(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146027
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】回路遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H01H 83/02 20060101AFI20231004BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01H83/02 E
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052999
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大垣 史迅
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030FA05
5G030XX17
5G211AA07
5G211AA12
5G211DD14
5G211DD15
5G211DD27
5G211DD37
5G211GG05
5G211GG06
5G211GG08
(57)【要約】
【課題】複数のソフトウエアが用いられる場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる回路遮断器などを提供する。
【解決手段】回路遮断器100は、第1ソフトウエアを実行することにより、交流電源ACと負荷31との間の電路の電流値又は電圧値に基づいて電路に関する第1異常を検知する第1検知部11と、第1ソフトウエアとは異なる第2ソフトウエアを実行することにより、第1異常とは異なる第2異常を検知する第2検知部12と、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて第1ソフトウエアを更新し、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて第2ソフトウエアを更新する制御部と、を備え、第1更新情報の取得経路と、第2更新情報の取得経路とは、異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソフトウエアを実行することにより、交流電源と負荷との間の電路の電流値又は電圧値に基づいて前記電路に関する第1異常を検知する第1検知部と、
前記第1ソフトウエアとは異なる第2ソフトウエアを実行することにより、前記第1異常とは異なる第2異常を検知する第2検知部と、
前記第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて前記第1ソフトウエアを更新し、前記第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて前記第2ソフトウエアを更新する制御部と、を備え、
前記第1更新情報の取得経路と、前記第2更新情報の取得経路とは、異なる
回路遮断器。
【請求項2】
前記第2更新情報を取得する通信部を備え、
取得された前記第2更新情報によって前記第2ソフトウエアが更新されるときに、前記第2検知部は、前記第2異常を検知することを中断する
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記通信部は、前記第2更新情報をクラウドサーバから取得する
請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記第1異常が検知された場合、又は、前記第2異常が検知された場合に、前記電路を遮断する遮断部を備え、
前記通信部及び前記第2検知部の間の距離は、前記遮断部及び前記第2検知部の間の距離より短い
請求項2又は3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記第1検知部によって前記第1異常が検知される感度を調整するための調整部を備える
請求項1~4のいずれか1項に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記第1検知部は、前記第1異常として過電流、漏電及び中性線欠損の少なくとも1つを検知し、
前記第2検知部は、前記第2異常としてアーク、雷及び地震の少なくとも1つを検知する
請求項1~5のいずれか1項に記載の回路遮断器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の回路遮断器と、
前記回路遮断器を格納する分電盤用キャビネットと、を備える
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電路の過電流を検出する過電流検出器と、電路の漏洩電流(つまりは漏電)を検出する漏洩電流検出器とを備える回路遮断器(漏電遮断器)が開示されている。このような回路遮断器は、過電流及び漏電など分電盤における複数の種類の異常を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年新しい種類の電化製品が創出され、例えば住宅などにおいて、この電化製品が、既存の負荷とは異なる新しい種類の負荷として交流電源に接続される。このような新しい種類の負荷が使用される場合においても、分電盤における異常が検知される必要がある。
【0005】
しかし上記の新しい種類の負荷が分電盤に接続され使用された状態で、分電盤の製造時又は出荷時に当該分電盤に記憶されたソフトウエアを実行することで電路の異常を検知しようとすると、誤検知が発生してしまう場合がある。誤検知の一例としては、異常が発生していないにもかかわらず、誤って異常が発生していると検知するような事例が挙げられる。例えば、特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤では、新しい種類の負荷が使用されても、製造時などに記憶されたソフトウエアを実行して検知を行うことが想定されるため、誤検知が頻発するおそれがある。
【0006】
そこで、新しい種類の負荷が分電盤に接続された場合に誤検知が起こらないようにするためには、製造時などに記憶されたソフトウエアが更新される必要がある。
【0007】
また、特許文献1のように複数の異常、例えば互いに異なる第1異常及び第2異常が検知される場合がある。この場合、第1異常を検知するための第1ソフトウエアと、第2異常を検知するための第2ソフトウエアとは、異なるソフトウエアである。このように複数のソフトウエアが用いられる場合でも、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができれば、新しい種類の負荷が分電盤に接続されても、誤検知の発生が容易に抑制されることができる。
【0008】
本発明は、複数のソフトウエアが用いられる場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる回路遮断器などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る回路遮断器は、第1ソフトウエアを実行することにより、交流電源と負荷との間の電路の電流値又は電圧値に基づいて前記電路に関する第1異常を検知する第1検知部と、前記第1ソフトウエアとは異なる第2ソフトウエアを実行することにより、前記第1異常とは異なる第2異常を検知する第2検知部と、前記第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて前記第1ソフトウエアを更新し、前記第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて前記第2ソフトウエアを更新する制御部と、を備え、前記第1更新情報の取得経路と、前記第2更新情報の取得経路とは、異なる。
【0010】
本発明の一態様に係る分電盤は、上記記載の回路遮断器と、前記回路遮断器を格納する分電盤用キャビネットと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回路遮断器などは、複数のソフトウエアが用いられる場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る回路遮断器の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る動作例1のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る動作例2のフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る動作例3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0015】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る回路遮断器100の構成について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る回路遮断器100の機能構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施の形態に係る回路遮断器100は、異常を検知して電路を遮断するための機器であり、例えば戸建て住宅等の建物B内に設置される分電盤50に用いられる。分電盤50は、例えば、建物Bの壁面などに設置される。本実施の形態においては、複数の種類の異常が検知され、例えば2つの種類の異常(第1異常及び第2異常)が検知される。また、分電盤50は、外部装置の一例であるサーバ装置200と通信を行う。なお、サーバ装置200は、回路遮断器100を管理する管理者によって操作される装置である。
【0018】
分電盤50は、回路遮断器100を有する主幹ブレーカ10と、計測ユニット20と、複数の分岐ブレーカ30とを、分電盤用キャビネット5内に備える。換言すると、分電盤50は、主幹ブレーカ10と、計測ユニット20と、複数の分岐ブレーカ30と、分電盤用キャビネット5と、を備える。
【0019】
分電盤50は、電力線40からの交流電力を、主幹ブレーカ10を介して複数の分岐ブレーカ30に分配する。例えば単相3線式の配電方式が用いられるとよい。
【0020】
ここでは、主幹ブレーカ10は、商用電源のような外部の交流電源ACに電気的に接続されている電力線40と、分電盤50内の計測ユニット20に電気的に接続される電力線41との間に電気的に接続されている。また、計測ユニット20は、電力線41と、分電盤50内の複数の分岐ブレーカ30に電気的に接続される電力線42との間に電気的に接続されている。
【0021】
複数の分岐ブレーカ30のそれぞれは、電力線42及び電力線43の間に電気的に接続されている。複数の分岐ブレーカ30のそれぞれは、電力線43を介して負荷31に接続されている。
【0022】
本実施の形態においては、回路遮断器100によって遮断される電路は、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路であって、一例として、電力線40、電力線41及び電力線42である。
【0023】
主幹ブレーカ10は、上記の通り、回路遮断器100を有する。
【0024】
回路遮断器100は、第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアを実行することにより、第1異常及び第2異常を検知し、第1異常及び第2異常が検知された場合に、電路を遮断する装置である。つまり、回路遮断器100においては複数のソフトウエアが用いられている。回路遮断器100は、第1検知部11、遮断部13、第1制御部14、第1記憶部15及び第1通信部17を含む。
【0025】
第1検知部11は、第1ソフトウエアを実行することにより、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路の電流値又は電圧値に基づいて、電路に関する第1異常を検知する処理部である。つまり、第1ソフトウエアは、第1異常を検知するためのソフトウエアである。なお、電路の電流値又は電圧値は、計測ユニット20によって計測された値である。また、本実施の形態においては、第1検知部11は、主幹ブレーカ10に交流電源ACから電力が供給されている場合には、第1異常を常時検知している。第1検知部11は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。第1検知部11の機能は、第1検知部11を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが第1記憶部15に記憶されたソフトウエア(コンピュータプログラム)を実行することによって実現される。
【0026】
第1検知部11は、第1異常として分電盤50に交流電源ACから電力が供給されている間は常時検知される必要がある異常を検知する。より具体的には、第1検知部11は、第1異常として過電流、漏電及び中性線欠損の少なくとも1つを検知するが、本実施の形態においては、第1検知部11は、第1異常として過電流を検知する。
【0027】
第1異常が過電流及び漏電の少なくとも1つである場合には、第1検知部11は、第1ソフトウエアを実行することにより、電路の電流値に基づいて、電路に関する第1異常を検知する。また、第1異常が中性線欠損である場合には、第1検知部11は、第1ソフトウエアを実行することにより、電路の電圧値に基づいて、電路に関する第1異常を検知する。
【0028】
なお、第1検知部11が第1ソフトウエアを実行することにより、第1異常として過電流、漏電及び中性線欠損を検知する方法は上記に限られない。
【0029】
また、本実施の形態においては、第1ソフトウエアは、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて、更新される。
【0030】
第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、第1異常とは異なる第2異常を検知する処理部である。第2ソフトウエアは、第1ソフトウエアとは異なるソフトウエアである。また、第2ソフトウエアは、第2異常を検知するためのソフトウエアである。第2検知部12は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。第2検知部12の機能は、第2検知部12を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが第1記憶部15に記憶されたソフトウエア(コンピュータプログラム)を実行することによって実現される。
【0031】
なお、第2異常は、第1異常とは異なり、分電盤50に交流電源ACから電力が供給されている間は常時検知されることが必要ではない。つまり、第2異常は、分電盤50に交流電源ACから電力が供給されている間であっても、検知されていない期間があってもよい。第2検知部12は、第2異常としてアーク、雷及び地震の少なくとも1つを検知するが、本実施の形態においては、第2検知部12は、第2異常としてアークを検知する。
【0032】
例えば、第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、交流電源ACと負荷31との間の電路の電流値に基づいて、第2異常としてアークを検知する。
【0033】
また、本実施の形態においては、第2ソフトウエアは、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて、更新される。
【0034】
なお、本実施の形態においては、第2検知部12は、第2異常としてアークを検知するが、雷及び地震などを検知してもよい。
【0035】
例えば、第2異常として雷が検知される場合には、第2検知部12は、以下のように、雷を検知する。例えばこの場合、回路遮断器100は落雷によるサージ電流を計測するサージ電流計測部を有し、第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、サージ電流計測部が計測したサージ電流に基づいて、第2異常として雷を検知するとよい。なお、第2検知部12が雷を検知する手段は上記に限られない。
【0036】
また例えば、第2異常として地震が検知される場合には、第2検知部12は、以下のように、地震を検知する。例えばこの場合、回路遮断器100は地震による加速度を計測値として計測する感震センサを有し、第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、感震センサが計測した計測値に基づいて、第2異常として地震を検知するとよい。なお、第2検知部12が地震を検知する手段は上記に限られない。
【0037】
遮断部13は、第1検知部11によって第1異常又は第2検知部12によって第2異常が検知された場合に電路を遮断する。より具体的には、遮断部13は、以下のように、電路を遮断する。まず、本実施の形態においては、電力線40と電力線41との間には、接点部が設けられている。遮断部13からの開信号によって、接点部が開くように構成されている。
【0038】
遮断部13は、第1異常又は第2異常が検知された場合に、第1制御部14から出力される遮断信号に応じて接点部を開く開信号を生成し、生成した開信号を接点部に出力する。言い換えると、遮断部13は、第1検知部11及び第2検知部12の検知結果に応じて電路を遮断する機能を有する。
【0039】
第1制御部14は、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて第1ソフトウエアを更新し、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて第2ソフトウエアを更新する処理部である。また、第1制御部14は、第1検知部11によって第1異常又は第2検知部12によって第2異常が検知された場合に、遮断信号を遮断部13に出力する。つまり、第1検知部11は、第1異常を検知すると当該第1異常が検知されたことを示す検知結果を第1制御部14に出力し、第1制御部14は出力された検知結果に応じて、遮断信号を遮断部13に出力する。同様に、第2検知部12は、第2異常を検知すると当該第2異常が検知されたことを示す検知結果を第1制御部14に出力し、第1制御部14は出力された検知結果に応じて、遮断信号を遮断部13に出力する。
【0040】
第1制御部14は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。第1制御部14の機能は、第1制御部14を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが第1記憶部15に記憶されたソフトウエア(コンピュータプログラム)を実行することによって実現される。
【0041】
第1記憶部15は、遮断部13及び第1制御部14が実行するソフトウエアなどの電路の遮断のための情報処理に必要な情報が記憶される記憶装置である。第1記憶部15は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0042】
調整部16は、第1検知部11によって第1異常が検知される感度を調整するための部材であり、本実施の形態においては、スイッチである。
【0043】
スイッチである調整部16は、例えば、ユーザによって操作される。ユーザとは、例えば建物Bの住人、又は、回路遮断器100の修理及び点検を行うサービスマンなどである。スイッチが操作されることで、第1異常が検知される感度が多段階で調整されるとよい。本実施の形態においては、第1異常として過電流が検知される。よって、調整部16においては、感度が高くなるように操作されると僅かな過電流でも第1異常として検知され、感度が低くなるように操作されると過電流が大きい場合に第1異常として検知される。
【0044】
第1通信部17は、通信部の一例であり、計測ユニット20及びサーバ装置200と通信を行うための通信回路である。第1通信部17は、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報を取得する。ここでは、第1通信部17は、第2更新情報をサーバ装置200から取得する。本実施の形態においては、第1通信部17は、無線通信を行うための回路であり、第1通信部17は、具体的には、BLE(Blutooth(登録商標) Low Energy)又はWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。なお、第1通信部17は、有線通信を行うための回路であってもよい。例えば、第1通信部17は、計測ユニット20によって計測された電流値又は電圧値を、計測ユニット20から取得する。
【0045】
また、第1検知部11、第2検知部12、遮断部13、第1制御部14、第1記憶部15、調整部16及び第1通信部17は、
図1に示すように、主幹ブレーカ10の筐体1内に収容されている。筐体1は、収容部の一例である。
【0046】
ここで、第2検知部12と、第1通信部17と、遮断部13との配置について説明する。第2検知部12と、第1通信部17と、遮断部13とは、筐体1内において、1つの回路基板上に設置されている。なお、第1検知部11、遮断部13、第1制御部14、第1記憶部15及び第1通信部17が当該1つの回路基板上に設置されているとよい。
【0047】
本実施の形態においては、第1通信部17及び第2検知部12の間の距離は、遮断部13及び第2検知部12の間の距離より短い。より具体的には、当該1つの回路基板の平面視で、第1通信部17の中心及び第2検知部12の中心の間の距離は、遮断部13の中心及び第2検知部12の中心の間の距離より短い。
【0048】
また、上記の通り、本実施の形態に係る第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアは更新される。この更新についてより詳細に説明する。
【0049】
「発明が解決しようとする課題」で記載の通り、近年新しい種類の電化製品が創出され、例えば建物Bの一例である住宅において、この電化製品が負荷として交流電源ACに接続される。特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤においては、異常を検知するためのソフトウエアが更新されることはないため、製造時に記憶されたソフトウエアが変更されることなく利用され続ける。しかし、製造時に記憶されたソフトウエアは、既存の負荷が特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤に接続された場合に、異常を検知するために用いられるソフトウエアである。このため、特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤が製造された後に創出された電化製品(つまりは新しい種類の負荷)が交流電源に接続された場合に、当該ソフトウエアが用いられると、誤検知が頻発するおそれがある。
【0050】
そこで本実施の形態に係る回路遮断器100及び分電盤50では、製造時などに記憶された第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが更新される。これにより、新しい種類の負荷が回路遮断器100及び分電盤50に接続された場合であっても、誤検知の発生が抑制される。
【0051】
本実施の形態においては、一例として、サービスマン又は管理者が、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報及び第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報を作成する。サービスマン又は管理者は、新しい種類の負荷となりうる電化製品が創出されたことを知得した後、例えば、当該電化製品が販売された後に、第1更新情報及び第2更新情報を作成する。このような第1更新情報及び第2更新情報に基づいて、第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが更新される。
【0052】
次に、計測ユニット20について説明する。
【0053】
計測ユニット20は、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路に流れる電流値又は電圧値を計測する。計測ユニット20は、計測部21と、取得部22と、第2制御部24と、第2記憶部25と、第2通信部27とを含む。
【0054】
計測部21は、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路に流れる電流値又は電圧値を計測する機器である。ここでは、計測部21は、電流値を計測し、一例として電流値センサであり、より具体的にはCT(Current Transformer)センサである。
【0055】
取得部22は、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路の電流値又は電圧値を取得する処理部である。本実施の形態においては、取得部22は、計測部21によって計測された電流値を取得する。取得部22は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。取得部22の機能は、取得部22を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが第2記憶部25に記憶されたソフトウエア(コンピュータプログラム)を実行することによって実現される。
【0056】
第2制御部24は、取得部22が電流値又は電圧値を取得した場合に、取得された電流値又は電圧値を主幹ブレーカ10に出力するように、第2通信部27を制御する。第2制御部24は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。第2制御部24の機能は、第2制御部24を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが第2記憶部25に記憶されたソフトウエア(コンピュータプログラム)を実行することによって実現される。
【0057】
第2記憶部25は、取得部22及び第2制御部24が実行するソフトウエアなどの電路の遮断のための情報処理に必要な情報が記憶される記憶装置である。第2記憶部25は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0058】
第2通信部27は、計測ユニット20が、主幹ブレーカ10及びサーバ装置200と通信を行うための通信回路である。本実施の形態においては、第2通信部27は、無線通信を行うための回路であり、第2通信部27は、具体的には、BLE又はWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。なお、第2通信部27は、有線通信を行うための回路であってもよい。
【0059】
また、計測部21と、取得部22と、第2制御部24と、第2記憶部25と、第2通信部27とは、
図1に示すように、計測ユニット20の筐体2内に収容されている。筐体2は、収容部の一例である。なお、これに限られず、筐体2は、取得部22と、第2制御部24と、第2記憶部25と、第2通信部27とを収容し、計測部21は、筐体2の外部であって、分電盤用キャビネット5内に配置されていてもよい。
【0060】
なお、本実施の形態においては、筐体1と筐体2とは、別体であり、別個の筐体である。
【0061】
さらに、サーバ装置200について説明する。
【0062】
サーバ装置200は、外部装置の一例である。サーバ装置200は、本実施の形態においては、クラウドサーバである。また例えば、サーバ装置200にかえて、回路遮断器100専用の高性能なプロセッサなどが外部装置として用いられてもよい。サーバ装置200などの外部装置は、建物B外に設置され、より具体的には、建物Bから遠隔地に設置されている。なお、外部装置は、建物B内に設置されてもよい。
【0063】
サーバ装置200は、回路遮断器100を管理する管理者によって使用される装置である。
【0064】
サーバ装置200は、第3通信部201を有する。第3通信部201は、サーバ装置200が、主幹ブレーカ10及び計測ユニット20と通信を行うための通信回路である。本実施の形態においては、第3通信部201は、無線通信を行うための回路であり、第3通信部201は、具体的には、BLE又はWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。第3通信部201は、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報を、主幹ブレーカ10に出力する。なお、第3通信部201は、有線通信を行うための回路であってもよい。
【0065】
また、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報が、サーバ装置200から分電盤50(つまりは主幹ブレーカ10及び計測ユニット20)に出力されることはない。
【0066】
第2更新情報は、回路遮断器100を管理する管理者などによって作成される情報である。上記の通り、管理者は、新しい種類の負荷となりうる電化製品が創出され販売された場合に、第2更新情報を作成する。第2更新情報によって、第2ソフトウエアが更新されることで、新しい種類の負荷に対応した第2ソフトウエアとなる。第2検知部12がこの更新された第2ソフトウエアを実行しても、第2異常が誤検知されない。
【0067】
次に、以上のように構成された本実施の形態における回路遮断器100における動作について説明する。
【0068】
まずは、第1異常及び第2異常が検知される動作例1を説明する。
【0069】
[動作例1]
図2は、本実施の形態に係る動作例1のフローチャートである。
図2の動作は、例えば、分電盤50(回路遮断器100)が建物Bに設置され、建物Bにおいて複数の負荷31が分電盤50に接続された後に行われる。
【0070】
まず、計測部21は、交流電源ACと複数の負荷31との間の電路に流れる電流値を計測する(S10)。
【0071】
取得部22は、計測部21によって計測された電流値を取得する(S12)。第2通信部27は、取得部22によって取得された電流値を、第1通信部17に出力する。なお、より具体的には、取得部22は、計測された電流値と、当該電流値が計測された時刻とを紐づけた電流値情報を第1通信部17に出力する。第1通信部17は、第2通信部27によって出力された電流値情報を取得する。
【0072】
また、本実施の形態においては、ステップS10では計測部21は電路に流れる電流値を常時計測し、ステップS12では取得部22は常時計測された電流値を取得して、さらに第2通信部27は当該電流値を第1通信部17に出力している。つまり、計測ユニット20においては、計測部21が電路に流れる電流値を常時計測(監視)し、当該電流値は全て、取得部22によって取得され、第2通信部27によって主幹ブレーカ10に出力される。
【0073】
続いて、第1検知部11が、第1記憶部15に記憶されている第1ソフトウエアを実行して、第2通信部27によって取得された電流値情報(電流値)に基づいて、電路についての第1異常を検知する(S14)。例えば、第1ソフトウエアを実行した第1検知部11においては、取得された電流値が第1閾値よりも大きい又は小さい場合に、電路についての第1異常が検知される、つまりは第1検知部11が第1異常があることを検知するとよいが、これに限られない。
【0074】
第1検知部11が第1異常を検知しない場合、つまりは、第1異常がない場合(S14でNo)には、第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、第2異常を検知する(S16)。より具体的には、第2検知部12は、第2ソフトウエアを実行することにより、第2通信部27によって取得された電流値情報(電流値)に基づいて、電路についての第2異常としてアークを検知する。例えば、第2ソフトウエアを実行した第2検知部12においては、取得された電流値が第2閾値よりも大きい又は小さい場合に、第2異常が検知される、つまりは第2検知部12が第2異常があることを検知するとよいが、これに限られない。
【0075】
第1検知部11が第1異常を検知した場合つまりは第1異常がある場合(S14でYes)、又は、第2検知部12が第2異常を検知した場合つまりは第2異常がある場合(S16でYes)には、遮断部13は電路を遮断する(S18)。
【0076】
第1異常又は第2異常が検知された場合に、第1制御部14は遮断信号を遮断部13に出力する。さらに、遮断部13は、第1制御部14によって出力された遮断信号に応じて接点部を開く開信号を生成し、生成した開信号を接点部に出力する。遮断部13からの開信号によって、接点部が開くことで、電路が遮断される。
【0077】
また、第2検知部12が第2異常を検知しない場合つまりは第2異常がない場合(S16でNo)には、動作が終了する。
【0078】
なお、本動作例では、ステップS14の後に、ステップS16が行われたが、順序は逆でもよい。また、ステップS14とステップS16とは、同時に行われてもよい。これらの場合においても、第1異常がある場合、又は、第2異常がある場合には、遮断部13は電路を遮断する。
【0079】
次に、第1検知部11が実行する第1ソフトウエアが更新される動作例2、及び、第2検知部12が実行する第2ソフトウエアが更新される動作例3、について説明する。
【0080】
[動作例2及び動作例3]
図3は、本実施の形態に係る動作例2のフローチャートである。より具体的には、
図3には第1ソフトウエアが更新される例が示されている。
【0081】
図4は、本実施の形態に係る動作例3のフローチャートである。より具体的には、
図4には第2ソフトウエアが更新される例が示されている。
【0082】
図3及び
図4の動作は、例えば、サービスマン又は管理者が、新しい種類の負荷となりうる電化製品が創出されたことを知得し、第1更新情報及び第2更新情報を作成した後に行われる。上記の通り新しい種類の負荷が接続された場合には、誤検知の発生の抑制のため、第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが更新される必要がある。なお、複数の負荷31のうち1つの負荷31として、「発明が解決しようとする課題」で説明された新しい種類の負荷が分電盤50に接続された後に、
図3及び
図4の動作が行われるとよい。
【0083】
まずは、第1ソフトウエアが更新される例について説明する。
【0084】
図3を用いて説明する前に、第1ソフトウエアが更新される前提条件を説明する。第1検知部11が第1異常を検知しながら第1ソフトウエアが更新されると、その更新中に誤検知が発生する可能性が有る。また、第1検知部11は、分電盤50に交流電源ACから電力が供給されている間は、第1異常を常時検知する。このため、分電盤50に交流電源ACから電力が供給されていない間に、第1ソフトウエアが更新される必要がある。ここでは、サービスマンによって、分電盤50が建物Bの壁面から取り外されることで、交流電源ACから電力が分電盤50に供給されない間に第1ソフトウエアが更新される例を示す。
【0085】
より具体的には、
図3が示す動作例2を用いて、第1ソフトウエアが更新される例を説明する。
【0086】
第1ソフトウエアを更新するために、サービスマンは建物Bで作業を行う。まず、サービスマンによって、分電盤50が建物Bの壁面から取り外される(S40)。つまりは、分電盤50と交流電源ACとの電気的な接続、及び、分電盤50と複数の負荷31との電気的な接続が、切断される。
【0087】
さらに、サービスマンが携帯する専用装置が第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報を出力する(S42)。当該専用装置とは、第1更新情報が記憶された装置であり、記憶された第1更新情報を分電盤50(より具体的には、回路遮断器100)に出力する。例えば当該専用装置は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末又は専用制御装置などであり、サービスマンによって建物Bへ持ち運ばれる。当該専用装置は、一例として、分電盤50が有する情報インターフェースを介して、当該専用装置に記憶された第1更新情報を分電盤50に出力する。情報インターフェースとは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポートなどである。この結果、分電盤50において、第1記憶部15に第1更新情報が記憶される。なおこのとき、専用装置から分電盤50に電力が供給されているとよい。このように、分電盤50(回路遮断器100)は、第1更新情報を、例えば専用装置から取得する。つまり、第1更新情報の取得経路は、専用装置から回路遮断器100までの経路である。
【0088】
次に、主幹ブレーカ10において、第1制御部14は、第1記憶部15に記憶されている第1更新情報に基づいて、第1検知部11が実行する第1ソフトウエアを更新する(S44)。第1ソフトウエアは、更新されることにより、新しい種類の負荷に対応した第1ソフトウエアとなる。第1検知部11は、この更新された第1ソフトウエアを実行することで、取得された電流値又は電圧値に基づいて第1異常を誤検知しない。
【0089】
第1ソフトウエアの更新としては以下の例が挙げられる。上記の通り、取得された電流値が第1閾値よりも大きい又は小さい場合に、第1異常が検知されるが、第1ソフトウエアが更新されることにより、この第1閾値が変更される。このため、第1異常の誤検知の発生が抑制される。
【0090】
その後、サービスマンによって、分電盤50が建物Bの壁面に取り付けられる。つまりは、分電盤50と交流電源ACとが電気的に接続し、分電盤50と複数の負荷31とが電気的に接続する。
【0091】
なお、第1検知部11によって検知される第1異常は、主幹ブレーカ10に交流電源ACから電力が供給されている間は常時検知される異常である。よって、ステップS40で、分電盤50が建物Bの壁面から取り外されてから、再度、取り付けられるまでの間においては、第1検知部11は、第1異常を検知しない。
【0092】
また、本動作例では、第1検知部11が第1異常を検知しながら、第1ソフトウエアが更新されることがないため、第1ソフトウエアの更新中に、誤検知が発生することが抑制される。
【0093】
【0094】
サーバ装置200は、サービスマン又は管理者によって作成された第2更新情報を第1通信部17に出力する(S50)。第1通信部17は、出力された第2更新情報を取得する。このように、分電盤50(回路遮断器100)は、第2更新情報を、第1通信部17などを介して、サーバ装置200から取得する。つまり、第2更新情報の取得経路は、サーバ装置200から回路遮断器100までの経路である。
【0095】
主幹ブレーカ10において、第1制御部14は、第1通信部17によって取得された第2更新情報に基づいて、第2検知部12が実行する第2ソフトウエアを更新する(S52)。第2ソフトウエアは、更新されることにより、新しい種類の負荷に対応した第2ソフトウエアとなる。第2検知部12は、この更新された第2ソフトウエアを実行することで、第2異常を誤検知しない。
【0096】
第2ソフトウエアの更新としては以下の例が挙げられる。上記の通り、取得された電流値が第2閾値よりも大きい又は小さい場合に、第2異常が検知されるが、第2ソフトウエアが更新されることにより、この第2閾値が変更される。このため、第2異常の誤検知の発生が抑制される。
【0097】
また、本実施の形態においては、取得された第2更新情報によって第2ソフトウエアが更新されるときに、第2検知部12は、第2異常を検知することを中断する。つまり、第1制御部14によって第2ソフトウエアが更新される期間には、第2検知部12は、第2異常を検知しない。第1検知部11と同様に、第2検知部12が第2異常を検知しながら第2ソフトウエアが更新されると、その更新中に誤検知が発生する可能性が有る。第2ソフトウエアが更新されるときには、第2検知部12は第2異常を検知することを中断することで、このような誤検知は発生しない。
【0098】
図3及び
図4での動作例2及び動作例3が示す通り、本実施の形態においては、第1更新情報の取得経路と、第2更新情報の取得経路とは、異なる。
【0099】
回路遮断器100は、第1更新情報を、例えば専用装置から取得する。つまり、第1更新情報の取得経路は、専用装置から回路遮断器100までの経路である。なお、専用装置は、上記の通り、第1更新情報が記憶され、当該第1更新情報を回路遮断器100に出力するための装置であり、例えば、第1ソフトウエアを更新するためにサービスマンによって携帯され、建物Bに持ち運ばれる装置である。
【0100】
一方で、回路遮断器100は、第2更新情報を、サーバ装置200から取得する。つまり、第2更新情報の取得経路は、サーバ装置200から回路遮断器100までの経路である。
【0101】
よって、本実施の形態においては、第1更新情報の取得経路と、第2更新情報の取得経路とは、異なる。
【0102】
つまり、第2異常を検知するための第2ソフトウエアが更新される場合には、サービスマンは建物Bで作業を行う必要はない。主幹ブレーカ10において、建物Bから遠隔地に配置されたサーバ装置200から出力された第2更新情報に基づいて、第2ソフトウエアが更新されるため、例えば、サービスマンは建物Bで作業を行う場合に比べて、第2ソフトウエアは、簡便に更新される。
【0103】
なお、実際的には、第1ソフトウエアが更新されることはほとんどなく、一方で、第2ソフトウエアは頻繁に更新されることが多い。第1ソフトウエアが更新される頻度は、第2ソフトウエアが更新される頻度に比べて、圧倒的に低く、例えば、十分の一以下である。つまり、頻繁に更新される第2ソフトウエアにおいて簡便な更新が可能であることで、更新の手間が省かれた回路遮断器100が実現されている。
【0104】
[効果など]
本実施の形態に係る回路遮断器100は、第1検知部11と、第2検知部12と、制御部と、を備える。第1検知部11は、第1ソフトウエアを実行することにより、交流電源ACと負荷31との間の電路の電流値又は電圧値に基づいて電路に関する第1異常を検知する。第2検知部12は、第1ソフトウエアとは異なる第2ソフトウエアを実行することにより、第1異常とは異なる第2異常を検知する。制御部(第1制御部14)は、第1ソフトウエアを更新するための第1更新情報に基づいて第1ソフトウエアを更新し、第2ソフトウエアを更新するための第2更新情報に基づいて第2ソフトウエアを更新する。第1更新情報の取得経路と、第2更新情報の取得経路とは、異なる。
【0105】
上記の通り、特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤が製造された後に創出された電化製品(つまりは新しい種類の負荷)が当該回路遮断器及び当該分電盤に接続された場合には、以下の問題が想定される。このような場合には、特許文献1に開示される回路遮断器及び分電盤の製造時などに記憶されたソフトウエアが用いられると、誤検知が頻発するという問題が想定される。これに対し、本実施の形態では、製造時などに記憶された第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが更新され、これにより、新しい種類の負荷が回路遮断器100及び分電盤50に接続された場合であっても、誤検知の発生が抑制される。
【0106】
さらに、本実施の形態においては、第1更新情報の取得経路と、第2更新情報の取得経路とは、異なる。より具体的には、回路遮断器100は、第1更新情報を、例えば建物Bで作業を行うサービスマンが携帯する専用装置から取得する。つまり、第1更新情報の取得経路は、専用装置から回路遮断器100までの経路である。一方で、回路遮断器100は、第2更新情報を、サーバ装置200から取得する。つまり、第2更新情報の取得経路は、サーバ装置200から回路遮断器100までの経路である。
【0107】
このように、第2異常を検知するための第2ソフトウエアが更新される場合には、サービスマンは建物Bで作業を行う必要はない。主幹ブレーカ10において、建物Bから遠隔地に配置されたサーバ装置200から出力された第2更新情報に基づいて、第2ソフトウエアが更新されるため、例えば、サービスマンは建物Bで作業を行う場合に比べて、第2ソフトウエアは、簡便に更新される。
【0108】
以上まとめると、回路遮断器100は、複数のソフトウエアが用いられている場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる。より具体的には、回路遮断器100は、第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが用いられる場合に、少なくとも第2ソフトウエアを簡便に更新することができる。
【0109】
さらに、回路遮断器100においては、第2ソフトウエアを簡便に更新することができれば、新しい種類の負荷が分電盤に接続されても、第2異常についての誤検知の発生が容易に抑制されることができる。
【0110】
また例えば、本実施の形態に係る回路遮断器100は、第2更新情報を取得する通信部(第1通信部17)を備える。取得された第2更新情報によって第2ソフトウエアが更新されるときに、第2検知部12は、第2異常を検知することを中断する。
【0111】
本実施の形態に係る回路遮断器100が第1通信部17を備えることで、第2異常を検知するための第2ソフトウエアが更新される場合には、サービスマンは建物Bで作業を行う必要はない。例えば、サービスマンは建物Bで作業を行う場合に比べて、第2ソフトウエアは、簡便に更新される。
【0112】
よって、回路遮断器100は、複数のソフトウエアが用いられている場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる。より具体的には、回路遮断器100は、第1ソフトウエア及び第2ソフトウエアが用いられる場合に、少なくとも第2ソフトウエアを簡便に更新することができる。
【0113】
また、第2検知部12が第2異常を検知しながら第2ソフトウエアが更新されると、その更新中に誤検知が発生する可能性が有る。しかし、本実施の形態においては、第2ソフトウエアが更新されるときには、第2検知部12は第2異常を検知することを中断するため、このような誤検知は発生しない。
【0114】
また例えば、通信部(第1通信部17)は、第2更新情報をクラウドサーバ(サーバ装置200)から取得する。
【0115】
これにより第1通信部17は、クラウドサーバ(サーバ装置200)から第2更新情報を取得することができる。
【0116】
また例えば、本実施の形態に係る回路遮断器100は、第1異常が検知された場合、又は、第2異常が検知された場合に、電路を遮断する遮断部13を備える。通信部(第1通信部17)及び第2検知部12の間の距離は、遮断部13及び第2検知部12の間の距離より短い。
【0117】
これにより、遮断部13は、第1通信部17に比べて第2検知部12から遠い位置に配置される。このため、遮断部13は、第2検知部12から出力されるデジタルノイズの影響を受けにくくなる。
【0118】
また例えば、本実施の形態に係る回路遮断器100は、第1検知部11によって第1異常が検知される感度を調整するための調整部16を備える。
【0119】
これにより、例えば、ユーザによって調整部16が操作されることより、第1異常が検知される感度が調整される。
【0120】
また例えば、第1検知部11は、第1異常として過電流、漏電及び中性線欠損の少なくとも1つを検知する。第2検知部12は、第2異常としてアーク、雷及び地震の少なくとも1つを検知する。
【0121】
これにより、回路遮断器100は、第1異常として過電流、漏電及び中性線欠損の少なくとも1つを検知し、第2異常としてアーク、雷及び地震の少なくとも1つを検知することができる。
【0122】
また例えば、分電盤50は、上記の回路遮断器100と、回路遮断器100を格納する分電盤用キャビネット5と、を備える。
【0123】
上記の通り、回路遮断器100は、複数のソフトウエアが用いられている場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる。よってこのような回路遮断器100を備える分電盤50も、複数のソフトウエアが用いられている場合に、異常を検知するためのソフトウエアを簡便に更新することができる。
【0124】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0125】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法は、一例である。装置間の通信方法については特に限定されるものではない。
【0126】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0128】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0129】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の分電盤又はサーバ装置として実現されてもよいし、分電盤が実行する情報処理方法として実現されてもよい。本発明は、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録された非一時的な記録媒体として実現されてもよい。このようなプログラムには、汎用の情報端末などのコンピュータを、上記実施の形態のサーバ装置として機能させるためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0130】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
5 分電盤用キャビネット
11 第1検知部
12 第2検知部
13 遮断部
50 分電盤
100 回路遮断器
AC 交流電源