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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146029
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】液体浸漬物
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/00 20060101AFI20231004BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231004BHJP
   A23L 2/42 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20231004BHJP
   A61K 8/9706 20170101ALI20231004BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20231004BHJP
   A61K 8/9761 20170101ALI20231004BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20231004BHJP
   A61K 8/9711 20170101ALI20231004BHJP
【FI】
A23B7/00
A23B7/00 101
A23L2/52
A23L2/00 N
A61Q19/10
A61Q1/00
A61K8/97
A61K8/9706
A61K8/9728
A61K8/9761
A61K8/9789
A61K8/9711
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053001
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】399037195
【氏名又は名称】清栄薬品 株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504017256
【氏名又は名称】株式会社F・E・C
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】弁理士法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 幸子
(72)【発明者】
【氏名】福本 康文
【テーマコード(参考)】
4B117
4B169
4C083
【Fターム(参考)】
4B117LC15
4B117LE03
4B117LG01
4B117LG02
4B117LG07
4B117LG22
4B117LG23
4B117LP01
4B169AA04
4B169AB05
4B169HA06
4B169HA11
4B169HA14
4B169HA17
4B169HA20
4B169KA10
4B169KB03
4B169KC22
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC25
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE50
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】外部からの配合物(添加物)や混入物がなく、安全・安心である天然由来の液体を用い、生のままの固体を保存した液体浸漬物を提供すること。
【解決手段】乾燥していない植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を固液分離の対象物として固液分離して得られる液体B中に、該対象物と同種の植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を生の状態で浸漬してなる液体浸漬物Xであって、
該固液分離の方法が、低温真空固液分離法を使用し、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、該対象を固液分離する方法であることを特徴とする液体浸漬物X;該液体浸漬物Xに含有されている液体Bである飲料、食品保存液、化粧料用原料;該液体浸漬物Xに含有されている固体Sである食品;該液体浸漬物を瓶・缶・袋の中に入れてなる瓶詰、缶詰又はパウチ詰。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥していない植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を固液分離の対象物として固液分離して得られる液体中に、該対象物と同種の植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を生の状態で浸漬してなる液体浸漬物であって、
該固液分離の方法が、低温真空固液分離法を使用し、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、該対象を固液分離する方法であることを特徴とする液体浸漬物。
【請求項2】
前記固液分離を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行う請求項1に記載の液体浸漬物。
【請求項3】
前記固液分離中は、1kPa以上10kPa以下の圧力を維持する請求項1又は請求項2に記載の液体浸漬物。
【請求項4】
前記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項5】
前記容器の体積をV[L]とし、該容器に投入される対象物の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項6】
前記容器内の対象物を、該容器内で、粗破砕しつつ撹拌機で撹拌しながら固液分離する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項7】
前記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の固定刃を有すると共に、前記撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、容器内の対象物を、該固定刃と該回転刃で粗破砕しつつ固液分離する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項8】
前記対象物を固液分離中に、該対象物の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、1mm以上15mm以下に粗破砕する請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項9】
前記対象物が植物の一部であって、該植物の一部が、植物の葉、花、茎、根、果実、又は、種子である請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の液体浸漬物。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の液体浸漬物に含有されている液体であることを特徴とする飲料。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の液体浸漬物に含有されている液体であることを特徴とする食品保存液。
【請求項12】
請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の液体浸漬物に含有されている固体であることを特徴とする食品。
【請求項13】
請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の液体浸漬物に含有されている液体及び/又は固体を含有することを特徴とする、入浴剤、沐浴剤又は化粧料。
【請求項14】
請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の液体浸漬物を瓶、缶又はパウチの中に入れてなるものであることを特徴とする瓶詰、缶詰又はパウチ詰。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の液体中に特定の固体が浸漬されている液体浸漬物に関し、詳しくは、特定の対象物から特定の固液分離方法を使用することによって得られる液体に、該対象物と同種のものを浸漬して得られる液体浸漬物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品の形態・外観や保存法としては、該食品を瓶詰・缶詰等にする際に、加熱、燻製、乾燥、発酵、塩漬、砂糖漬、酢漬、油漬等にする、又は、そのようにしておく方法が知られている。
また、該食品に保存料を付着若しくは浸透させたり、保存料を含有する保存液に浸漬させたりした状態で容器に詰める方法も知られている。特に、果物、野菜等の生ものについては、かかる保存料や保存液は重要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、L-アスコルビン酸、及び、第一鉄(II)塩を含有する材料を用いて食品を包装・収納する技術が記載されており、常温で保管しても腐敗を防止し、鮮度の落ち易い食品に適用しても鮮度が保てるとしている。
【0004】
特許文献2には、食品の保存料として、鮭の白子から抽出されたプロタミンと、炭酸(水素)塩とを併用する技術が記載されており、塩漬、砂糖漬、酢漬等では食品の風味を損なうが、該技術ではそれがないとしている。
【0005】
特許文献3には、チアミンラウリル硫酸塩及びマルトシルサイクロデキストリンを含む食品保存用水溶液組成物が記載され、該組成物は低温でも安定で透明な水溶液を与え、組成物自体の保存安定性に優れており、日持ち効果、静菌効果等を得ることができるとしている。
【0006】
特許文献4には、加熱食品の保存方法であって、グリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルを加えて加熱混合物とし、それにラウリン酸を添加する食品の保存方法が記載されており、食味や食感を低下させずに日持ちさせられるとしている。
【0007】
また、食品の保存液を「天然物からの抽出成分」とすることによって、保存食品の安全性を高める技術も知られている。天然物からの抽出物を保存液として使用する技術としては、例えば、以下が知られている。
【0008】
特許文献5には、フラボノイド類やポリフェノール類を含む天然植物抽出液を添加し、更に特定の作用を有する包装材で包装し、その包装物を低温で保存する食品保存方法が記載されており、肉や魚に対して、添加されたフラボノイド類やポリフェノール類は、酸化防止剤、抗菌剤、消臭剤として働くとしている。
【0009】
特許文献6には、グレープフルーツの種から抽出した抽出液を、食品に噴霧、浸漬、塗布、混入等して、該食品の鮮度保持、腐敗防止、酸化防止等を図る食品用添加物が記載されている。
【0010】
特許文献7には、白樺、エゾノウワミズザクラ、柑橘等の葉、果皮若しくは種子から抽出した抽出成分と、多価アルコールとを混合させた抽出液材を、エタノール水溶液で希釈させ、加工食品に混入させ、浸漬又は噴霧させて加工食品を保存する方法が記載され、更にそこに、乳酸若しくは酪酸及びキトサンを混合して、加工食品の保存性を高める方法が記載されている。
【0011】
しかしながら、上記の食品保存液や上記の保存方法では、食品の保存性が十分ではなく、保存中に該食品が変質してしまっていた。また、生の食品ではなく加工食品にしか適用できないものがあった。
また、無機塩等と併用したり、特殊な保存方法を併用したりする必要があった。このように、生ものにも好適に適用でき、保存効果の高い技術はなかった。
【0012】
一方、食品や生薬の原料となる植物からの抽出法としては、種々の方法が知られている。
例えば、特許文献8には、生薬原料植物の乾燥品である蓬乾燥品から、抽出媒体として二酸化炭素を用いた超臨界抽出法で、グリセロ糖脂質を抽出する方法が記載されている。
【0013】
特許文献9には、生薬原料植物の乾燥品である芍薬乾燥品から、浸漬法、向流抽出法、水蒸気蒸留法、超臨界抽出法等を用い、抽出溶媒と接触させることで抽出物を得る方法が記載されている。
【0014】
特許文献10には、乾燥していない薬草から、低温真空固液分離法を用いて薬水を得る方法が記載されている。
【0015】
しかしながら、このような抽出液や抽出物を、食品の保存に応用した技術がなかった。
このように、生ものにも好適に適用でき、保存効果が高く、添加物を加えずに全て天然のものからなる安全・安心な食品の保存・保管技術はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭59-085278号公報
【特許文献2】特開平02-076563号公報
【特許文献3】特開平11-253142号公報
【特許文献4】特開2005-080634号公報
【特許文献5】特開平02-100660号公報
【特許文献6】特開平02-190170号公報
【特許文献7】特開平08-280368号公報
【特許文献8】特開2016-011400号公報
【特許文献9】特開2019-038790号公報
【特許文献10】特開2020-200309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、外部からの配合物(添加物)や混入物がなく、安全・安心である天然由来の液体を用い、生のままの固体を保存した液体浸漬物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、乾燥していない植物又は茸又は藻類を固液分離して得られる液体中に、該対象物と同種の植物又は茸又は藻類を生の状態で浸漬して得られる液体浸漬物は、上記問題点や課題を好適に解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、乾燥していない植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を固液分離の対象物として固液分離して得られる液体中に、該対象物と同種の植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を生の状態で浸漬してなる液体浸漬物であって、
該固液分離の方法が、低温真空固液分離法を使用し、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、該対象を固液分離する方法であることを特徴とする液体浸漬物を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記の液体浸漬物に含有されている液体であることを特徴とする飲料を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記の液体浸漬物に含有されている液体であることを特徴とする食品保存液を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記の液体浸漬物に含有されている固体であることを特徴とする食品を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記の液体浸漬物に含有されている液体及び/又は固体を含有することを特徴とする、入浴剤、沐浴剤又は化粧料を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、前記の液体浸漬物を瓶、缶又はパウチの中に入れてなるものであることを特徴とする瓶詰、缶詰又はパウチ詰を提供するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、保存性に優れ、安心・安全な液体浸漬物を提供することができる。
【0026】
本発明において、「液体浸漬物」とは、例えば図1に示したように、液体媒体中に浸漬されている「分離対象物と同種の植物等の全体若しくは一部」(すなわち「固体S」)、及び、該液体媒体の両方からなるものを意味する。
【0027】
上記液体媒体(これを単に「液体」と記載する)は、「乾燥していない植物又は茸又は藻類」の「全体若しくは一部」を対象物として固液分離して得られる。従って、該固液分離の対象物である植物又は茸又は藻類に含まれる細胞水、生体液、水溶性物質等を全て有している。
ここで、「細胞水」とは、細胞内に含まれる細胞内水のことを言う。
また、45℃以下で固液分離するので、該対象物すなわち植物又は茸又は藻類に含まれる水自体を含め、低沸点物(高蒸気圧物質)も散逸することなく該液体中に残存している。そのために、前記した本発明の効果を好適に発揮する。
【0028】
本発明の液体浸漬物は、固液分離の最中であっても、固液分離後であっても、外部から抽出溶媒、添加剤等を加えない方が、前記した本発明の効果を発揮する。本発明における固液分離には、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用していない。
従って、上記液体は、「天然物である植物又は茸又は藻類に含まれる物質」以外の物質を含有しないので、前記した本発明の効果を更に好適に発揮すると共に、需要者にとって安全であり安心である。
【0029】
本発明における「固液分離の対象物」である「植物又は茸又は藻類」は、無農薬で栽培されたものが好ましい。また、農薬が付着されていないものが好ましい。そうでないと、固液分離中に対象物や液体が着色したり、固液分離後、液体の固体に対する保存性が悪化したりする。
【0030】
固液分離の対象物である植物又は茸又は藻類に含まれる「常温(20℃)で液体の物質」を実質的に全て含み、外部からの物質を含まない本発明の液体浸漬物における液体は、飲用・飲料として好適であるし、その中に、植物又は茸又は藻類を生の状態で浸漬すれば、該植物又は茸又は藻類は、経時で変質しない。すなわち、「浸漬されている生の植物又は茸又は藻類」における含有物は、分解しないので着色も変形もなく、菌の増殖もないので腐敗せず、本来の風味を維持できる。
【0031】
従って、本発明の液体浸漬物に含有される液体は、固液分離直後のものでも経時させたものでも、飲料、食品等として、本来の風味を有する優れたものとなる。
また、本発明の液体浸漬物に含有される液体は、食品保存液として有用である。
【0032】
本発明の液体浸漬物を、瓶、缶等の容器;フィルムの中に入れてなるものは、保存性が良いことに加え、天然物のみからなるため安心・安全で体にも良い。
すなわち、本発明の液体浸漬物を内包する瓶詰、缶詰、パウチ詰、袋詰め、パウチ食品等は、外観、風味等の保存性が良いことに加え、天然物のみからなるため食品本来の風味が楽しめ、安心・安全で体にも良い。
【0033】
本発明の液体浸漬物に含有される液体、すなわち、本発明における固液分離法で固液分離された液体は、極めて良い香りがする。例えば、みかんの葉、桜の葉等から得られた液体は、今までに体験したことのない、みかんの風味やサクランボの風味がする。
従って、該液体は、そのまま飲んでもよいし、飲食品・料理の原料・材料としても好適に使用できる。
【0034】
また、沐浴剤等の入浴料(入浴剤);化粧水等の化粧料(化粧品);等として、又は、それらの原料としても極めて有用である。
【0035】
更に、透明瓶を使用すれば、内部の固体が見えるので、本発明の液体浸漬物の液体が、何と言う植物又は茸又は藻類から固液分離した液体かが一目で分かる。すなわち、該固体が該液体の由来を示すラベルのような働きをする。言い換えれば、該固体によって、該液体の素性・由来物・原料等を見える形で需要者に示すことができる。
【0036】
更に、本発明の液体浸漬物を透明な瓶詰にすれば、内部の固体の保存性が良いので、長期に亘ってインテリア等としても綺麗である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の液体浸漬物及び該液体浸漬物を入れてなるものを示す図である。(a)生の桜の葉と花から固液分離して得られた液体中にサクランボを浸漬して得られた液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰(b)生の桜の葉と花から固液分離して得られた液体中にサクランボを浸漬して得られた液体浸漬物を褐色透明瓶の中に入れてなる瓶詰(c)廃棄されていた生のマンゴの果皮部分から固液分離して得られた液体中に切り分けたマンゴの可食部分を浸漬して得られた液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰(d)廃棄されていた生のマンゴの果皮部分から固液分離して得られた液体中に切り分けたマンゴの可食部分を浸漬して得られた液体浸漬物を缶の中に入れてなる缶詰(e)生のニンジンの葉から固液分離して得られた液体中にニンジンを浸漬して得られた液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰(f)生の芍薬の葉と茎と花から固液分離して得られた液体中に生の芍薬の根を浸漬して得られた液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰(g)温州ミカンと夏ミカンの廃棄されていた外果皮(フラベド)から固液分離して得られた液体中に温州ミカンの中果皮(アルベド)を剥いた可食部分である房を浸漬して得られた液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰
図2】生のヒノキの葉から固液分離して得られる液体中にヒノキの葉を浸漬して得られる液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰の写真である。
図3】生の大和橘の葉から固液分離して得られる液体中に大和橘の果実と葉を浸漬して得られる液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰の写真である。
図4】生のシロキクラゲの全体から固液分離して得られる液体中にシロキクラゲを浸漬して得られる液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰の写真である。
図5】生のモズクの全体から固液分離して得られる液体中にモズクを浸漬して得られる液体浸漬物を無色透明瓶の中に入れてなる瓶詰の写真である。
図6】本発明に使用する固液分離装置全体の一態様を示す概略図である。
図7】本発明に使用する固液分離装置に具備される容器、冷却器、回収容器等の一形態を示す概略断面図である。
図8】本発明に使用する固液分離装置に具備される容器が有する破砕撹拌機の一形態を示す概略斜視図である。
図9】本発明に使用する装置に具備される好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタと水タンクと循環ポンプ等の一形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0039】
[液体浸漬物]
本発明の液体浸漬物は、乾燥していない植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を固液分離の対象物として固液分離して得られる液体中に、該対象物と同種の植物又は茸又は藻類の全体若しくは一部を生の状態で浸漬して得られる液体浸漬物であって、
該固液分離の方法が、低温真空固液分離法を使用し、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、該対象を固液分離する方法であることを特徴とする。
【0040】
上記液体は、化粧水等の化粧品や化粧品原料として優れた性能を有し、また、食品保存液として浸漬されている生の食品を、風味や外観をそのままの形で長期に亘り保存することができるが、該液体は、そのまま飲んだり、すなわち飲料として使用したり、料理等に用いたりもできる。
限定はされないが、上記「液体浸漬物」は、「食用液体浸漬物」であることが好ましい。ここで、「食用液体浸漬物」とは、飲むことができる液体媒体中に浸漬された食べることができる固体、及び、該液体媒体の両方からなるものを意味する。
【0041】
<固液分離の対象物、及び、固液分離して得られる液体>
本発明における固液分離の対象物は、乾燥していない「植物又は茸又は藻類」の「全体若しくは一部」である。
該対象物は、通常使用されている一部分である必要はない。例えば、サクランボを浸漬・保存するのに、桜の葉や花から固液分離した液体を用いてもよい。また、例えば、ミョウガを浸漬・保存するのに、ミョウガの葉から固液分離した液体を用いてもよい。また、例えば、生の「生薬の原料である植物の根」を浸漬・保存するのに、該生薬の原料である植物の葉から固液分離した液体を用いてもよい。また、例えば、マンゴの食用部分を浸漬・保存するのに、一般には廃棄される「マンゴの外果皮」から固液分離した液体を用いてもよい。また、例えば、生の果物を浸漬・保存するのに、一般には廃棄される該果物のジュースを搾り取った搾りかすでもよい。搾りかすも植物の一部に該当する。また、上記した具体的な植物名は、他の植物に置き換える(読み替える)ことができる。
【0042】
本発明における「植物又は茸又は藻類」(以下、括弧内を単に「植物等」と略記する)としては、食用・薬用の植物等(すなわち、口にすることができるもの)、アロマテラピーの原料植物等、化粧料の原料植物等、入浴剤の原料植物等が挙げられる。
【0043】
上記食用・薬用の植物等としては、以下に特に限定はされないが、具体的には、例えば、ダイコン、ニンジン、ゴボウ等の根菜類;タマネギ、アスパラガス、ウド等の茎菜類;キャベツ、レタス、コマツナ、ホウレンソウ、ハクサイ等の葉菜類;トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリ等の果菜類;ミョウガ、カリフラワー、ブロッコリー、食用菊等の花菜類;サクランボ、ミカン、マンゴ、バナナ、パイナップル、モモ等の果物類;椎茸、松茸、シメジ、エノキダケ、エリンギ、キクラゲ等の茸類;ワカメ、ヒジキ、昆布、モズク、アカモク等の褐藻、海苔等の紅藻、アオサ、カサノリ等の緑藻、等の海藻類;等が挙げられる。
【0044】
本発明において、固液分離の対象物は、上記食用部分には限定されない。通常は食べない部分も固液分離の対象物となる。
【0045】
上記食用・薬用の植物等としては、以下に特に限定はされないが、具体的には、例えば、生薬の原料になる「乾燥前の植物」も挙げられる。該生薬としては、具体的には、例えば、トウキ(当帰)、シャクヤク(芍薬)、ヨモギ(蓬)、カンキツ(柑橘)、オウバク(黄柏)、カンゾウ(甘草)、クズ(葛)、ゲットウ(月桃)(白手伊豆縮砂)、チョウショウ(釣樟)(クロモジ)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄ごん)、オウレン(黄連)、ガジュツ(莪じゅつ)、ケイヒ(桂皮)、コウブシ(香附子)、コウボク(厚朴)、サンシュユ(山茱萸)、サンヤク(山薬)、ジオウ(地黄)、シコン(紫根)、シュクシャ(縮砂)、ショウキョウ(生姜)、カンキョウ(乾姜)、センキュウ(川きゅう)、ソウジュツ(蒼朮)、ソヨウ(紫蘇葉)、ダイオウ(大黄)、タイソウ(大棗)、タクシャ(沢瀉)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮、橘皮)、トチュウ(杜仲)、ニンジン(人参、高麗人参、田七人参等)、ハンゲ(半夏)、ブシ(附子)、ボタンピ(牡丹皮)等が挙げられる。
【0046】
通常、生薬は乾燥したものから得られる。しかし、本発明では、「生薬の原料となる植物」の実質的に乾燥していないものを固液分離の対象とする。
また、通常、生薬の原料となる部位以外の「該生薬の部位」も固液分離の対象となり得る。生薬となる部位以外の「該生薬の部位」を固液分離の対象とすることが、産地等が限定されず入手し易い、乾燥品としてのブランドに左右されず安価である等の理由から好ましい。
【0047】
本発明によって、従来、生薬の原料(抽出部位)となっていた部位(特に根茎等)以外の部位でも、優れた効果を示すことが明らかとなった。本発明における固液分離の対象部位は、従来の生薬の部位には限定されない。
【0048】
その乾燥品を「生薬」とは言わないこともあるが、本発明における植物等としては、アマチャ(甘茶)、キクイモ(菊芋)、ヒノキ、スギ、マキ等が挙げられる。これらの植物等の「全体若しくは一部」の実質的に乾燥していないものを固液分離の対象物とする。
【0049】
本発明においては、上記固液分離の対象部位が、上記植物等の全ての部位から選ばれた少なくとも1つの部位である。該植物等の部位としては、例えば、根、根茎、球茎、塊茎、茎、根皮、樹皮、木幹、葉、果実、果肉、果皮、種子、花、花弁、萼、蕾、花穂、茸の傘、茸の柄、等が挙げられる。
これらの部位は、1つだけの部位を固液分離の対象としてもよいし、2つ以上の部位をまとめて固液分離の対象としてもよい。また、植物等の全体を対象としてもよいし、植物等全体からある部位だけを除いたものを対象としてもよい。
【0050】
固液分離の対象物である植物等の「全体若しくは一部」としては、大量に採れたり(獲れたり)して食品として流通しなかったもの;キズもの、サイズが小さ過ぎる若しくは大き過ぎるもの、形が悪いもの、間引いたもの、採取時期がずれたもの等と言った商品としては規格外となったもの;分類上は近縁の植物等であるが食習慣がない等の理由で食品とはならなかったもの;等が挙げられる。食習慣がない等の理由で食用とならないため、従来捨てられていた「植物等の部位」等も挙げられる。
【0051】
また、固液分離の対象物である植物等の一部としては、食品となる部分が果実の場合には、「該果実が生る植物」の葉・茎・枝・根・外皮等の「果実以外の部分」が挙げられ、食品が野菜の場合には、「該野菜の生る植物」において、食用とならない端材、例えば「(外)葉・茎・花・根等と言った部分」が挙げられる。例えば、サクランボの保存に、サクラの葉から得られた食品保存液を使用することができる。
【0052】
前記「食品として用いられる部分」が、野菜、果物又はナッツであり、前記固液分離の対象物が、「該野菜、該果物又は該ナッツが採れる若しくは生る植物」であることは、本発明の効果を好適に得るため、食品としての需要が大きいため等から特に好ましい。
【0053】
前記「固液分離の対象物である植物等」が、食品として用いられなかったものであるか、又は、前記「固液分離の対象物である植物等の一部」が、「食品として用いられる部分」以外の部分であることが、本発明の効果を好適に得るため、破棄物の処理も同時にできるため等から特に好ましい。
前記「固液分離の対象物である植物等(の一部)」が、食品として用いられずに廃棄されていたもの若しくは廃棄されていた部分であることが特に好ましい。
【0054】
固液分離の対象物として「植物等の搾りかす」も好ましいが、該「搾りかす」としては、果物ジュース、野菜ジュース、青汁等を搾り取った後のものが挙げられる。圧搾によって得られる「植物等の搾りかす」には、通常、60~90質量%もの水分が含まれる。減圧にしないで常圧で搾った場合は、通常多くの水分が残存する。
本発明によれば、対象物を45℃以下に維持しつつ減圧にして留出してきた気体を冷却して液体B(水溶液)を得るので、それら搾りかすに残存していた水分が取得でき、該水分よりなる液体B(水溶液)が優れた食品保存液、化粧品の原料、飲料等となる。
【0055】
45℃以下で、かつ減圧にすることによって初めて、植物等の細胞に含有される細胞水が好適に抽出でき、該細胞水が該植物等の保存に好適である可能性が高い。
後記する「本発明における固液分離の方法」で得られた液体の方を、単に「液体」と略記することがある。
【0056】
<固液分離の方法>
本発明の「液体」の製造方法は、乾燥していない植物等の全体若しくは一部を、固液分離の対象物として固液分離するものであり、該固液分離の方法が、低温真空固液分離法を使用し、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、該対象物を固液分離する方法である。
【0057】
上記固液分離法としては、具体的には、好ましくは、上記固液分離の条件を有しつつ、以下の工程(1)ないし工程(3)の全ての工程を有する低温真空固液分離法を用いることである。
【0058】
(1)固液分離の対象物である植物等の全体若しくは一部を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程
(2)外部から熱を加えつつ減圧し、該固液分離の対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程
(3)該容器内から留出してきた気体を冷却して水溶液である液体を得る工程
【0059】
<<低温真空固液分離法>>
本発明で「低温真空固液分離法」とは、実質的に抽出媒体も水蒸気も使用せずに、好ましくは撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧して、50℃以下で固液分離する方法である。
ここで、「抽出媒体」とは、例えば、水;アルコール類等の有機溶媒;二酸化炭素等の超臨界流体・亜臨界流体;等が挙げられる。上記「水蒸気」とは、水蒸気蒸留法で使用する水蒸気のことを言う。
ここで「実質的に使用しない」とは、分離対象物の5質量%以下しか使用しないことを言い、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下しか使用しないことであり、特に好ましくは全く使用しないことである。
【0060】
本発明における「液体」の製造方法は、上記「低温真空固液分離法」の中でも、更に固液分離条件が限定されているものである。すなわち、少なくとも、該固液分離の方法の要件は、工程(1)ないし工程(3)の全てを有する。本発明における固液分離の方法の要件を以下に記載する。
【0061】
<<<工程(1)>>>
工程(1)は、前記したような、固液分離の対象物である植物等の全体、又は、植物等の一部(搾りかすも含まれる)を、固液分離装置に具備された容器内に投入する工程である。
本発明に用いる固液分離装置の概略図を図6に示す。また、該分離装置が有する容器の一例の概略図を図7図8に示す。
以下、「固液分離の対象物である植物等全体、植物等の一部を、「固液分離の対象物」又は単に「分離対象物」若しくは「対象物」と略記することがある。また、「固液分離装置」を単に「分離装置」と略記することがある。
【0062】
本発明の分離方法に使用される分離装置は、一例を図6に示したように、低温真空固液分離法の実施が可能で、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧し、対象物を45℃以下に維持するように減圧器300で容器内を減圧して、液体Bが得られるようになっている。
本発明における液体Bの製造方法においては、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、「固液分離の対象物」のみを固液分離して前記水溶液(液体B)を得ることが好ましい。
【0063】
[固液分離装置と好ましい固液分離方法]
本発明に使用される好ましい分離装置は、具体的には、例えば、
固液分離の対象物A及び容器100内を加熱する加熱ユニット120、及び、分離対象物Aから発生する水蒸気等の気体を取り出す気体取出口130等を有する容器100;
該気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;
該容器100内を減圧する減圧器300;並びに;
該冷却器200で冷却されて液化した液体Bを回収獲得する回収容器400;を具備している。
【0064】
容器100内には、分離対象物Aを破砕しつつ撹拌する破砕撹拌機110が具備されていることが特に好ましい(例えば図7図8参照)。
分離対象物Aを破砕撹拌機110で破砕しながら減圧して固液分離することによって、対象物Aから、植物等の細胞水等を含む優れた液体Bが得られる。
【0065】
分離対象物Aは、投入口103から容器100に投入される。投入される分離対象物Aは、予め粗く裁断しておいてもよい。
分離対象物A以外の物質を上記容器内に実質的に投入しないで固液分離することが好ましい。本発明では、外部から「分離対象物以外のもの」を実質的に投入する必要がなく、投入しないことによって得られる液体Bは、対象物Aである植物等に含有されている成分のみからなるようにできる。言い換えると、本発明によって得られる液体Bは、対象物Aとした植物等に含有されていた成分のみからなる。
【0066】
図7及び図8に、本発明における固液分離装置の容器100の一例の概略図を示す。
容器100は、対象物Aを収容し、好ましくは破砕撹拌機110で破砕しながら撹拌し(図7)、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して固液分離する容器である。容器100には、破砕撹拌機110が具備されておらず(図6)、固液分離中は、破砕をせずに撹拌して固液分離をしてもよい。
【0067】
図7図8の容器100は、破砕撹拌機110を収容した下部半円筒部101と、その上に形成された上部角形部102とからなる。少なくとも下部半円筒部101の周囲には、容器100の内部に熱を加える蒸気室121がある。
下部半円筒部101の最下部の中央には、分離後の固体残渣Cを取り出す残渣取出口140が設けられていることが好ましい。以下、上記「固体残渣」を、単に、「残渣」と略記することがある。
【0068】
上記上部角形部102の上部には、投入口が設けられていると共に、その投入口を塞ぐ投入口蓋が設けられていることが好ましい。
上記上部角形部102の上部には、吸引される蒸気の気体取出口130が設けられ、この気体取出口130には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
【0069】
本発明における液体Bの製造方法においては、好ましくは、対象物Aを、破砕撹拌機110に具備された撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に分離を行う。
上記破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113b、複数の回転刃溝114a、114bを有する回転刃体112a、112b」及び「分離装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた分離装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい(図8)。
【0070】
例えば、図8は、前記破砕撹拌機110の構成の一例を示す斜視図であり、破砕撹拌機110は、容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器100の端壁に回転可能に支持される左右の端板と、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115a、115bの形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
【0071】
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、対象物Aを撹拌羽根で破砕しながら撹拌し易くすると共に、残渣Cを容器100の内壁から良好に掻き取り、残渣取出口140に向けて掻き寄せることができる。
本発明の分離方法は、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記対象物Aを破砕しつつ撹拌し、固液分離完了後には、残渣Cを上記容器100の内壁から掻き取り、上記残渣取出口140に向けて掻き寄せることが好ましい。ただし、回転刃体は1個でもよい。また、固液分離完了後には、残渣Cを、容器100の上部から、すくい出してもよい。
【0072】
本発明の分離方法は、上記容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113b、回転刃溝114a、114bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、容器100内の対象物Aを、「該凸型固定刃111」と「該回転刃113a、113b、回転刃溝114a、114b」とで破砕しつつ分離することが好ましい(図8)。
【0073】
容器100には、更に、前記容器100内の真空度を計測する真空計と温度計が設けられていることが好ましい。これらは、分離工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、固液分離時の対象物Aの温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、固液分離の開始と終了を判定するために設けられている。
【0074】
<<<工程(2)>>>
工程(2)は、外部から熱を加えつつ減圧し、該固液分離の対象物を45℃以下に維持しつつ、減圧器で該容器内を減圧にする工程である。
【0075】
[温度]
固液分離中の対象物Aの温度は、上記加熱ユニット120によって、該対象物Aが有する酵素、微量成分等を変質又は失活させないように、45℃以下に維持する。特に、固液分離中は、水の蒸発熱で対象物Aを冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上44℃以下に維持することが好ましい。
分離中の該対象物Aの温度は、15℃以上42℃以下がより好ましく、20℃以上40℃以下が更に好ましく、22℃以上38℃以下が特に好ましく、24℃以上36℃以下が最も好ましい。
【0076】
対象物Aの加熱は、蒸気供給装置122から「容器の外壁に存在する蒸気室121」に送り込まれる加熱水蒸気によって行われ、対象物Aの冷却は、細胞水等の水(溶液)の蒸発による蒸発熱によって行われる。
【0077】
該温度が低過ぎると、商業的規模や工業的規模を考えた場合、蒸発分離に時間がかかり過ぎる場合等がある。
一方、該温度が高過ぎると、該対象物Aが有する物質を変質・分解・失活・酸化させてしまう場合等がある。
上記温度範囲であると、対象物Aが有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質、水等を、変化も変質・分解もさせずに、液体Bとして得ることができる。
固液分離中の対象物Aの温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入する対象物(植物等)が個体として死んでいたとしても、該個体が生命を維持できる、又は、細胞等が死なない上記温度範囲(特に温度上限)が望ましい。
【0078】
容器100に設けられた温度計は、破砕撹拌機110を含む容器100の熱伝導等を利用して、分離中の対象物Aの温度を十分正確に測定できるようになっている。
【0079】
[圧力]
減圧器300の気体排出能力は、特に限定はないが、「内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることが、分離効率、水の蒸発速度、蒸発による冷却等が好適範囲になるので好ましい。
該減圧器300としては、蒸発熱による冷却する、対象物Aの温度を好適範囲に維持する、上記の気体排出能力を有する、等の点から、水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)が好ましい。
【0080】
本発明における容器100には、対象物Aから発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
【0081】
本発明における固液分離装置には、例えば図6図7に示したように、容器100の工程的後段に、気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200が具備されている。該冷却器200としては、公知のものが用いられる。
冷却器200の後ろには、容器100内を減圧する減圧器300が具備されている。
該減圧器300としては、水の蒸発熱による吸熱で、対象物Aの温度が45℃を超えないように、又は、所定の好ましい温度範囲になるように、限定はされないが、内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300を用いることが好ましい。
【0082】
図6に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。流動液体は静止液体より圧力が低い性質(ベルヌーイの定理)を用いて減圧して気体を排出する。
【0083】
本発明においては、上記分離を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことが好ましい。減圧器300による減圧度は、分離中は、該容器内の圧力を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低くすることが好ましい。
減圧器300による減圧度は、分離中は、該容器内の圧力を1kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-100.3kPa]以上10kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-91.3kPa]以下に維持することがより好ましい。
更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、-100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、-92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、-99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、-92.7kPa)以下であり、特に好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、-98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、-93kPa)以下である。
【0084】
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱による対象物Aの冷却が期待できずに、対象物Aの温度が高くなり過ぎる場合、分離に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、液体Bに含まれる有効成分が、分解・変質・酸化等する場合がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記する「該圧力における水の沸点」と「対象物の前記温度範囲」との関係で、そこまで低圧力にする必要がない場合があり、また、量産化を図る場合、十分な気体排出能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器300が存在しない又は極めて高価になる場合等がある。
【0085】
温度(℃) 水の蒸気圧(kPa)
10 1.2
20 2.3
30 4.2
40 7.4
50 12.3
【0086】
減圧器300による容器内圧力(減圧度)は、分離中は、「分離対象物Aの温度」における水の蒸気圧の0.10倍以上1.0倍以下が好ましく、0.2倍以上0.99倍以下がより好ましく、0.4倍以上0.95倍以下が更に好ましく、0.6倍以上0.9倍以下が特に好ましい。
【0087】
上記減圧器300は、水を噴射することによって減圧を達成する水エジェクタ301であることが前記理由から好ましく、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い気体排出能力を有するために特に好ましい。
すなわち、減圧度と気体排出能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に気体排出能力を上げ易い。
本発明の固液分離方法は、(産業)廃棄物の処理も兼ねていることがあるが、該産業廃棄物は、一般に1バッチ(1回分)の量が多いので、減圧器300として、気体排出能力が大きいものを使用することは重要である。本発明においても気体排出能力が大きいものを使用することが好ましい。
【0088】
上記気体排出能力と減圧度(真空度)の両立は、「水エジェクタ301」で好適に達成でき、特に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、好適に両立が可能である。
前記した高い気体排出能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い気体排出能力の数値は、(例えば好ましい態様を下記する)水エジェクタを有する減圧器の構造(特に、吸引孔、水位、消音器等);噴射する水の温度;噴射速度;噴射ノズル径;単位時間当たりの噴射量;噴射距離等を調整して得る。
【0089】
本発明における特に好ましい減圧器300の態様を図9に示す。
図9に示した「横噴射型の水エジェクタ」は、入口側フランジ2の内部に位置する(入口側フランジ2の直後の内部に位置する)水入口片の下流側に設けられ、該水入口片から流入する水と吸引ガスとを混合する主管スロート6と、該主管スロート6の下流側端部に接続して設けられた(出口側フランジ9の手前の内部に位置する)出口片を有している。
更に要すれば、円筒形状であり、該出口片の下流側端部に設けられ、水と吸引ガスとの混合物を流す消音器12と、該消音器12に取付けられ、水が流出する際に該消音器12内に空気を取り入れて、該消音器12内の気圧の急変を防止する吸気管11とを備えている。
【0090】
また、上記した水エジェクタ301においては、水入口片と主管スロート6と出口片とを収容する外被管8を備え、該外被管8に、容器100からの気体を供給する吸引管3を取付け、該外被管8を消音器12に接続し、主管スロート6は、水入口片の終端部に連接して設けられ複数個のガス吸引孔4を有する円筒形パイプからなることが好ましい。
【0091】
図9には、水エジェクタ301を横方向に設置して水タンク303に接続する形態を示す。水入口片よりも直径の太い主管スロート6が水入口片に接続されている。該主管スロート6の形状は単純なパイプ形状である。
消音器12の内径は、水エジェクタ301の出口片の出口の内径より太いパイプ形状を有する。
【0092】
本発明における減圧器300の好ましい態様は、図9に示すように、水エジェクタ301の極めて高い気体排出能力を図るために、消音器12を漬ける水を溜めた水タンク303を備え、水エジェクタ301で使用された水は、一旦、水タンク303に蓄えられる構造になっている。水タンク303の水は、冷却水で20℃以下に冷却されることが好ましい(図6図9)。
【0093】
本発明における好ましい水エジェクタ301は、管同士の隙間から気体を吸込む従来の水エジェクタと比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。また、本発明の好ましい水エジェクタ301とそれに連結される消音器12は、図9のように、水の循環路が水タンク303の水位17より低く、横向き水平に使用設置することが可能となり、該「水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301」は、前記したような高い気体排出能力を有するようになる。
【0094】
本発明における固液分離方法は、「45℃以下という比較的低温」での水の蒸気圧を勘案して、該蒸気圧に対し必要以上に容器100内の圧力(減圧度)を低くすることに拘らず、その分を気体排出能力の向上に振り向けて、対象物Aを「対象物Aに含有される水」の蒸発熱で冷却することが好ましい。
また、そのように条件設定することで、商業的工業的規模の対象物Aの量(処理量)でも、十分な圧力(減圧度)と十分な気体排出能力を有する減圧器300が存在し得る。本発明は、産業廃棄物の処理も兼ねていることが好ましいので、1バッチの質量が大きい対象物(植物等)でも対応できる減圧器として、気体排出能力が大きい上記した減圧器300を使用することが好ましい。
【0095】
[時間]
主たる固液分離(対象物に含有される水の95質量%が留去され分離されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、30分以上24時間以下が好ましく、45分以上12時間以下がより好ましく、1時間以上6時間以下が特に好ましい。
【0096】
時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、45℃以下と言う比較的低温で、短時間で水を蒸発させるだけの減圧器がない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記した特殊な分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、分離装置を適用する意味が薄れる場合;等がある。
【0097】
<<<工程(3)>>>
工程(3)は、容器100の中から(容器内から)留出してきた気体を冷却して(食品保存)液体Bを得る工程である。
【0098】
本発明における固液分離装置には、例えば図6図7に示したように、冷却器200で冷却されて液化した液体Bを回収・獲得する回収容器400が具備されている。回収容器400に回収された液体Bは、液体取出バルブ405を開くことによって取り出す。
該冷却器200は特に限定はなく、公知のものが使用される。
【0099】
回収容器400の上層に油相が得られ、下層に水相が得られたときは、該水相を取り出して液体Bとする。
【0100】
<<<工程(4)>>>
工程(4)は、工程(3)の後、容器100内に残った残渣Cを回収する工程である。該工程(4)は、本発明の必須要件ではないが、容器内に残渣Cを残存させておくわけにはいかないので通常は行う。
該残渣Cは、容器100の上からすくい出してもよいし、残渣取出口140から取り出してもよいが、残渣取出口140から取り出すことが好ましい。
【0101】
工程(4)で得られた残渣Cの質量は、使用した対象物Aの質量全体に対して、通常は30質量%以下にはなる。20質量%以下となることが多く、10質量%以下になることもある。従って、廃棄されていた固液分離対象物(植物等の食品として用いられない部分等)から有益な液体Bが得られることに加え、該対象物Aを廃棄するのに比べ、該残渣Cを廃棄する方が、質量が一桁近く減るので、格段にコスト削減につながる。
更に、該残渣Cは、廃棄せず、肥料;飼料・ペットフード;ふりかけ等の食品;等として使用(有効利用)することもできる。
【0102】
[液体]
本発明は、前記した液体の製造方法を使用して製造されたものであることを特徴とする液体Bでもある。
該液体Bを使用すれば、天然由来であることもあって、安全に安心して、食品保存液、化粧品の原料、飲料等となると共に、極めて好適に食品の保存が可能となる。
【0103】
本発明は、前記した液体浸漬物に含有されている液体であることを特徴とする飲料(飲用水等)でもあり、食品保存液でもあり、化粧料、入浴剤、沐浴剤等の原料(化粧水等)でもある。本発明は、前記の液体浸漬物に含有されている液体及び/又は固体を含有することを特徴とする、入浴剤、沐浴剤又は化粧料を提供するものである。
【0104】
本発明における液体Bは、特段の味はしないが、香り・風味を有することが多い。従って、保存された食品に香り・風味を付与することができる。
また、本発明における液体Bは、特段の味がしないことが多く、かつ、食品を保存させる性質に極めて優れているので、液体Bを使用すれば、保存させたい食品に、塩、砂糖、醤油、味噌、合成保存料、食用油等の保存用物質(調味料等)の添加・配合が不要であり、加熱、発酵、燻蒸等も不要であるため、食品本来の味を保持したまま、保存(保管、輸送等)が可能である。なお、本発明においては、上記保存用物質(調味料等)の配合や、上記した加熱、発酵、燻蒸等の「調理や他の保存処理」を排除するものではない(併用してもよい)。
【0105】
該液体が、一般食品等の「口にするもの」である場合には、本発明の液体浸漬物から該液体だけを取り出して、好適に飲むことができる。言い換えれば、本発明の液体Bは、良い香りや風味を有するので、液体B自体を好適に食べる又は飲むこともできる。また、本発明の液体Bによって保存された「植物等の食品として用いられる部分」すなわち「固体S」を食した後に、又は、該食品部分(固体S)と同時に、該液体Bを食することもできる(実施例3~7(缶詰・瓶詰)等を参照)。
更に、「植物等の食品として用いられる部分」(固体S)と「液体B」を混合してなるものを食することもできる(実施例6(トマトピューレ)等を参照)。
【0106】
[固体]
本発明は、「本発明の液体浸漬物」に含有されている固体であることを特徴とする食品でもある。すなわち、本発明は、該液体浸漬物に浸漬されている「分離対象物と同種の植物等の全体若しくは一部」でもある。
該固体が、一般食品(の食する部分)、健康食品、生薬原料等の「口にするもの」である場合には、本発明の液体浸漬物から該固体だけを取り出して、好適に食べることができる。
【0107】
<瓶詰、缶詰又はパウチ詰>
本発明の液体Bの用途としては、食品保存液、化粧料の原料、飲料等が挙げられるが、食品(固体S)を保存するための食品保存液(液体B)は、瓶詰、缶詰、パウチ詰等の詰物の浸漬液として使用することが特に好ましい。
すなわち、本発明は、前記の本発明の液体Bの中に、前記「植物等の食品として用いられる部分」を浸漬させた状態で詰めたものであることを特徴とする瓶詰、缶詰又はパウチ詰でもある。
【0108】
本発明は、「本発明の液体浸漬物」を瓶、缶又はパウチ(食品用の袋を意味する)の中に入れてなるものであることを特徴とする瓶詰、缶詰又はパウチ詰でもある。
言い換えれば、本発明は、前記液体Bを、前記「植物等の食品として用いられる部分」(固体S)に接触若しくは付着させた状態で詰めたものである瓶詰、缶詰又はパウチ詰でもある。
【0109】
上記詰物については、家庭、レストラン等の最終需要者(最終消費者)が使用する態様も、生産者(生産地)から加工業者や最終需要者等まで輸送するための、(一般には大型の)一時的な態様も含まれる。
【0110】
<<瓶詰>>
瓶詰の瓶としては、通常の家庭使用の小型の瓶、輸送用等の大型の瓶等が挙げられ、広口瓶、細口瓶等が挙げられる。
瓶の材質は、特に限定はないが、ガラスが好ましく、透明ガラスがより好ましく、無色透明ガラスが特に好ましい。
有色透明ガラスであれば、紫外線がカットされるので中の固体の劣化がより抑制され、無色透明ガラスであれば、中の固体が外から良く見えるので、瓶の中の液体の由来物(原料、固液分離の対象物)が分かり、すなわち、何から固液分離して得られた液体であるかが分かり、缶詰における「内容物を示すラベル」の代わりにもなる。
【0111】
<<缶詰>>
缶詰の缶としては、特に限定はなく、2ピース缶、3ピース缶、リシール缶等が挙げられ、通常缶詰として家庭で使用される缶、やや大型のペール缶、18L缶、大型のドラム缶等が挙げられ、スチール缶、ステンレス缶、ブリキ缶、アルミ缶等が挙げられる。
【実施例0112】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
実施例1
<サクランボ、固液分離された液体、無色透明瓶>
サクランボが生らないソメイヨシノの生の葉を、固液分離の対象物Aとして、図6図7図8に示した容器100内に8.0kg投入した。その際、外部から、水、エタノール、砂糖、酸化防止剤、食塩等の添加物を加えなかった。
【0114】
図6に示した固液分離装置を用い、外部から熱を加えつつ減圧し、該対象物を38℃に維持しつつ、図6図9に示す減圧器300で容器内を減圧にした。
容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
【0115】
容器100内から留出される気体は、図6に示したような冷却器200を用い、4℃の冷却水を使用して冷却した。減圧開始から10分で、「桜の葉の中の液体」の気体(蒸気)が得られ始めた。また、減圧開始から20分で、回収容器400に、ほぼ室温(約15℃)の液体Bが貯まり始めた。
液体Bが得られなくなるまで、1時間10分かけて、38℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
【0116】
回収容器400に、サクランボ保存用の液体Bが6.3kg得られた。該液体Bは、無味ではあったが、極めて良い香りがした。そのため、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。
【0117】
得られた液体500gの中に、別の木から採った食用のサクランボ10個を完全に浸漬し、無色透明の広口瓶に詰めた(図1(a))。
図1(a)に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のサクランボが見えたので、該液体が桜(の葉)から固液分離された液体であることが一目で分かった。内部に見えるサクランボ(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図1(a)に示す瓶詰は、本物のサクランボを保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0118】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、液体の中からサクランボを取り出して食べたところ、採り立てのサクランボの味が保持されていた。
瓶詰ではあるが、シロップ漬けにしていないので、変に甘い味もせず、自然のままの味が楽しめた。
また、サクランボの硬さや外観もそのままの状態で保たれており、異常に柔らかくなることもなかった。
【0119】
実施例2
<サクランボ、固液分離された液体、褐色透明瓶>
実施例1において、無色透明瓶に代えて、有色透明瓶である褐色透明瓶を使用した以外は、実施例1と同様にして、桜の葉から固液分離して得た液体にサクランボを入れた液体浸漬物の瓶詰を得た(図1(b))。
【0120】
その状態で、室温(25℃)で2か月保存したが、外部からの紫外線がカットされていたので、極めて好適にサクランボの保存ができた。
液体の中からサクランボを取り出して食べたところ、採り立てのサクランボの味が保持されていた。サクランボの硬さや外観もそのままの状態で保たれており、経時で柔らかくなることもなかった。また、液体もよい香りがして飲料として好適であった。
【0121】
比較例1
<サクランボ、脱塩水、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉から固液分離して得られた液体Bに代えて、水道水からイオンを取り除いて得た脱塩水を使用した以外は、実施例1と同様にして、液体(すなわち脱塩水)にサクランボを入れた(浸漬した)液体浸漬物の瓶詰を得た。
【0122】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存したが、好適にサクランボの保存ができなかった。
液体の中からサクランボを取り出して食べたところ、サクランボの味や硬さが変化していた。サクランボの硬さや外観は保たれておらず、柔らかくなっていた。また、液体は飲料として不適であった。
【0123】
実施例3
<マンゴ、固液分離された液体、無色透明瓶>
若干若い(完熟していない)通常出荷されるマンゴ(果実)の果皮と種を取り除き、食べる部分だけをカットして、該「食べる部分」を別途出荷した。
【0124】
上記で取り除いた「マンゴ(果実)の果皮と種」を、固液分離の対象物Aとして、図6図7図8に示した容器100内に10.0kg投入した。その際、外部から、水、エタノール、砂糖、酸化防止剤、食塩等の添加物を加えなかった。
【0125】
図6に示した固液分離装置を用い、外部から熱を加えつつ減圧し、該対象物を38℃に維持しつつ、図6図9に示す減圧器300で容器内を減圧にした。
容器内の圧力は、1気圧(101.3kPa)に対して、-97.0kPa~-98.0kPaの圧力(真空度)とした。
【0126】
容器100内から留出される気体は、図6に示したような冷却器200を用い、2℃の冷却水で冷却した。
減圧開始から10分で、気体が得られ始めた。また、減圧開始から20分で、回収容器400に、ほぼ室温(10℃)の液体Bが貯まり始めた。
液体Bが得られなくなるまで、1時間30分かけて、38℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
【0127】
回収容器400に、液体Bが8.2kg得られた。
該液体Bは、無味ではあったが、極めて良い香りがした。そのため、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。
【0128】
完熟したマンゴ(の果実)から果皮と種を取り除いて、内部の可食部分を切り分けて、上記で得られた液体Bの500gの中に浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に詰めて瓶詰を製造した(図1(c))。
【0129】
図1(c)に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のマンゴが見えるので、該液体Bが(可食部分とは限らないが)マンゴから固液分離された液体Bであることが一目で分かった。
すなわち、内部に見えるマンゴ(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
【0130】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、液体の中からマンゴを取り出して食べたところ、採り立ての完熟したマンゴの味が保持されていた。
瓶詰ではあるが、シロップ漬けにしていないので、変に甘い味もせず、自然のままの味が楽しめた。
また、マンゴの硬さや外観もそのままの状態で保たれており、異常に柔らかくなることがなかった。
【0131】
実施例4
<マンゴ、固液分離された液体、缶>
実施例3の無色透明瓶に代えて、一般家庭用缶詰の缶を用いた以外は、実施例3と同様にして液体浸漬物を得た(図1(d))。
【0132】
金属でできた缶であり中身が見えないので、該缶詰には中身を示すラベルを貼った。
その状態で、室温(25℃)で1か月保存し、液体Bの中からマンゴを取り出して食べたところ、採り立ての完熟したマンゴの味が保持されていた。
また、マンゴの硬さや外観もそのままの状態で保たれており、異常に柔らかくなることがなかった。
【0133】
マンゴの生産地であるタイで、上記のようなことをして(缶詰を作り)、上記「室温(25℃)で1か月保存」を、「タイから日本への船での運搬中での保存」とすれば、日本にいても、採り立てのマンゴと同様の味が楽しめる。なお、この場合の缶は、大型のペール缶、18L缶、ドラム缶等が好ましい。
このようにすれば、例えば、輸入国における日本において、害虫や菌等の駆除のための燻蒸、消毒等も不要となる。
【0134】
比較例2
<マンゴ、空気中、箱>
採取したままの状態の熟したマンゴの果実を箱に入れて、空気中で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、保存したマンゴの皮をむいて種を取り除いて食べたところ、採り立てのマンゴの味が保持されておらず、熟れ過ぎた感じがした。
【0135】
また、若いうちに(早めに)マンゴ果実を採取し、箱に入れて、空気中で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、保存したマンゴの皮をむいて種を取り除いて食べたところ、完熟したマンゴの味がせず、若い感じのマンゴの味しかしなかった。すなわち、通常、日本人が感じている(知っている)輸入マンゴの味しかしなかった。
【0136】
比較例3
<マンゴ、純水、缶>
採取したままの状態の熟したマンゴの果実を純水に入れて、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、純水の中からマンゴを取り出し、皮をむいて種を取り除いて食べたところ、極めて不味くなっていた。また、外観も崩れ、感触もグシャグシャになっていた。
【0137】
実施例5
<ニンジン、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えてニンジンの葉5.0kgを用い、サクランボに代えてニンジンの可食部(根)を用いた。
それ以外は、実施例1と同様にして液体Bを得た。
【0138】
減圧開始から15分で、液体が得られ始めた。
また、減圧開始から30分で、回収容器400内に液体Bが貯まり始めた。
液体Bが得られなくなるまで、1時間30分かけて、40℃に維持しつつ、上記圧力を維持した。
回収容器400に、液体Bが4.2kg得られた。
【0139】
得られた液体500gの中に、別途採集したニンジン(根菜)を採取したままの状態と切断した状態で浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に詰めて瓶詰とした(図1(e))。
その状態で、室温(30℃)で1か月保存した。
【0140】
1か月後、液体の中からニンジンを取り出して食べたところ、採り立てのニンジンの味が保持されていた。また、ニンジンの硬さや外観もそのままの状態で保たれており、柔らかくなることもなかった。
【0141】
比較例4
<ニンジン、空気中、箱>
採取したままの状態のニンジン(の根)(可食部分)を箱に入れて、空気中で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、保存したニンジンを食べたところ、採り立てのニンジンの味が保持されていなかった。
【0142】
実施例6
<芍薬、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、乾燥していない芍薬の葉と茎と花2.0kgを用い、サクランボに代えて、乾燥していない「生の芍薬」の根を用いた。
それ以外は、実施例1と同様にして液体Bを得た。
生薬として流通している所謂「芍薬」は、乾燥した芍薬の根である。実施例6では、液体Bに浸漬する固体として「生の芍薬の根」を用いた。
【0143】
液体Bの中に、「生の芍薬の根」を浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図1(f))。
【0144】
その状態で、室温(30℃)で1か月保存した。
1か月後、液体Bの中から芍薬の根を取り出し食べたところ、根の硬さや外観がそのままの状態で保たれており、柔らかくなっていることもなかった。本発明の液体浸漬物(中の固体S)は、生薬における乾燥に比較しても、保存性は十分であった。
【0145】
また、液体浸漬物に浸漬されている芍薬の根(固体S)を食した人は、生薬としての芍薬の効果と同一の効果が得られ、更に、根を一旦乾燥してしまうより、生薬の芍薬としての効果がより得られた。生薬における乾燥は、単に保存性を上げているだけであることが分かった。
【0146】
実施例7
<ミカン、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、温州ミカンと夏ミカンの廃棄されていた外果皮(フラベド)2.0kgを用い、サクランボに代えて、温州ミカンの「中果皮(アルベド)を剥いた可食部分」であるミカンの房を用いた。
それ以外は、実施例1と同様にして液体Bを得た。
【0147】
液体Bの中に、温州ミカンの房(可食部)を浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図1(g))。
図1(g)に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のミカンの房が見えたので、該液体がミカン由来の液体であることが一目で分かった。内部に見えるミカン(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図1(g)に示す瓶詰は、本物のミカンの可食部の房を保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0148】
該液体Bは、無味ではあったが、極めて良い香りがした。そのため、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。また、料理にも好適に使用することができた。
【0149】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、液体の中からミカンを取り出して食べたところ、採り立てのミカンの味が保持されていた。
瓶詰ではあるが、シロップ漬けにしていないので、変に甘い味もせず、自然のままの味が楽しめた。通常、みかんの瓶詰や缶詰には、保存性を良くするために、砂糖等の糖類の水溶液が用いられているが、本発明の液体Bを用いた瓶詰(や缶詰)では、「保存用の糖類」を必要としなかった。
また、ミカンの可食部である房の硬さ・食感や、その外観も、そのままの状態で保たれており、柔らかくなることも変形することもなかった。
【0150】
実施例8
<ミカン、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例7において、温州ミカンと夏ミカンの廃棄されていた外果皮(フラベド)を用いる代わりに、みかん(果実)を圧搾することで、ミカンジュースを得た「残りの搾りかす」を、固液分離の対象物Aとして、実施例7と同様にして液体Bを得た。
【0151】
該液体Bの中に、温州ミカンの房(可食部)を浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た。
【0152】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存したが、液体Bの香り、液体浸漬物の保存性、保存後の固体Sの食感と味は、実施例7と同様に優れていた。
また、みかんの搾りかすは、通常は産業廃棄物として処理されていたが、廃棄物を有用物に変えることができ、コストダウンにつながった。
【0153】
圧搾しただけでは、その搾りかすには、通常、該搾りかす全体に対して約85質量%もの水(溶液)が残存している。上記のようにして(減圧によって)得られた液体Bには、むしろ重要な「みかんの細胞水」が含有されている。
該細部水は、ジュースを製造するときの常圧における圧搾のみではジュースとして取り出し難く、本発明の工程(2)における減圧によって取り出せる(取り出し易い)。この新たな液体Bは、本発明の製造方法によって初めて取り出すことができた。
【0154】
実施例9
<ヒノキ、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、ヒノキの葉を10.0kg用い、サクランボに代えて、ヒノキの葉(枝付き)を用いた(図2)。
それ以外は、実施例1と同様にして固液分離をして、液体Bとして7.8kgを得た。
【0155】
液体Bの中に、ヒノキの葉(枝付き)を浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図2)。
図2に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のヒノキが見えたので、該液体がヒノキ由来の液体であることが一目で分かった。内部に見えるヒノキ(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図2に示す瓶詰は、本物のヒノキを保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0156】
該液体Bは、無味ではあったが、極めて良い香りがした。そのため、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。また、料理にも好適に使用することができた。
更に、浴用剤;化粧水等の「化粧料の原料」;等として有用であった。
【0157】
その状態で、室温(25℃)で1か月保存した。
1か月後、液体Bの中からヒノキの葉(固体S)を取り出して観察したところ、新鮮であり、ヒノキの葉の保存性が優れていた。すなわち、ヒノキは殆ど生きている状態であることが示唆された。
【0158】
実施例10
<大和橘、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、大和橘の葉を1.0kg用い、サクランボに代えて、大和橘の果実と葉を用いた(図3)。
それ以外は、実施例1と同様にして固液分離をして、液体Bとして0.8kgを得た。
【0159】
液体Bの中に、大和橘の果実と葉を浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図3)。
図3に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部の大和橘の果実と葉が見えたので、該液体が大和橘由来の液体であることが一目で分かった。内部に見える大和橘の果実と葉(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図3に示す瓶詰は、本物の大和橘を保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0160】
該液体Bは、無味ではあったが、極めて良い香りがした。そのため、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。また、料理にも好適に使用することができた。
更に、浴用剤;化粧水等の「化粧料の原料」;等として有用であった。
【0161】
実施例11
<シロキクラゲ、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、シロキクラゲを1.0kg用い、サクランボに代えて、シロキクラゲを用いた(図4)。
それ以外は、実施例1と同様にして固液分離をして、液体Bとして0.8kgを得た。
【0162】
液体Bの中に、シロキクラゲを浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図4)。
図4に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のシロキクラゲが見えたので、該液体がシロキクラゲ由来の液体であることが一目で分かった。内部に見えるシロキクラゲ(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図4に示す瓶詰は、本物のシロキクラゲを保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0163】
該液体Bは、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。また、料理にも好適に使用することができた。
更に、浴用剤;化粧水等の「化粧料の原料」;等として有用であった。
【0164】
実施例12
<モズク、固液分離された液体、無色透明瓶>
実施例1において、桜の葉に代えて、モズクの食用部分を1.0kg用い、サクランボに代えて、モズクの食用部分を用いた(図5)。
それ以外は、実施例1と同様にして固液分離をして、液体Bとして0.8kgを得た。
【0165】
液体Bの中に、モズクを浸漬して液体浸漬物を調製し、該液体浸漬物を無色透明瓶に入れて瓶詰を得た(図5)。
図5に示すような液体浸漬物の瓶詰は、外から内部のモズクが見えたので、該液体がモズク由来の液体であることが一目で分かった。内部に見えるモズク(固体S)が、液体Bの由来(原材料、固液分離の対象物)を示すラベルのような働きをした。
また、図5に示す瓶詰は、本物のモズクを保存性が良い状態で長期に保存できるので、インテリアとしても綺麗なものであった。
【0166】
該液体Bは、該液体を食品(飲料)として、そのまま好適に飲むことができた。また、料理にも好適に使用することができた。
更に、浴用剤;化粧水等の「化粧料の原料」;等として有用であった。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の固液分離方法で得られた液体Bは、今までの抽出液とは、水を含めた化学種及び成分組成を異にしている。また、固液分離工程において、高熱をかけず分離溶媒も使用しないので、実質的に完全に天然の水溶液であり、得られる物の性能が極めて優れている。特に、保存液、飲食品、化粧料の原料等として極めて有用である。
【0168】
従って、本発明は、農業等の食品生産分野;食品製造・加工分野;食品輸送分野;食品保管分野;一般食品・健康食品・漢方薬分野;食品小売業分野;等において、広く実施・利用されるものである。
【0169】
また、本発明の液体浸漬物は、「固液分離対象物と同種の植物等の全体若しくは一部」(固体S)、及び、該液体Bの両方からなるものであり、食品としての保存性が良いのみならず、瓶詰等として一般家庭で種々の用途に使用されるものである。
【符号の説明】
【0170】
2 入口側フランジ
3 吸引管
4 ガス吸引孔
6 主管スロート
8 外被管
9 出口側フランジ
11 吸気管
12 消音器
17 水タンクの水位
18 オーバーフロー通風口
100 容器
101 下部半円筒部
102 上部角形部
103 投入口
104 投入口蓋
110 破砕撹拌機
111 凸型固定刃
112a 回転刃体
112b 回転刃体
113a 回転刃
113b 回転刃
114a 回転刃溝
114b 回転刃溝
115a 「く」の字
115b 「く」の字
120 加熱ユニット(蒸気室121+蒸気供給装置122)
121 蒸気室
122 蒸気供給装置
130 気体取出口
131 気体配管
140 残渣取出口
200 冷却器
300 減圧器
301 水エジェクタ
302 水循環ポンプ
303 水タンク
400 回収容器
405 液体取出バルブ
A (固液分離)対象物
B 液体
C 残渣
R 回転
S 固体
X 液体浸漬物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9