(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146067
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】撮像システム、録画装置、録画方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20231004BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20231004BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H04N5/232 300
H04N5/77
H04N5/92 010
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053056
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】杉原 英二
【テーマコード(参考)】
5C053
5C122
【Fターム(参考)】
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA01
5C053LA14
5C122DA03
5C122DA11
5C122EA01
5C122GA21
5C122GA24
5C122GA31
5C122GA34
5C122GC52
5C122HA01
5C122HA71
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】イベント発生時点の前後の動画像データを適切に録画することができる撮像システム、録画装置、録画方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】録画装置1は、動画バッファ121が記憶する動画像データを構成する画像データを、動画取得部111が取得した第1時点よりも後の第2時点において、動画バッファ121から取り出して動画記憶部131に記憶させる動画取出部112と、イベントが発生すると、そのイベント発生時点から、動画バッファ121を経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部116と、動画記憶部131が記憶する動画像データから前述の抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出する動画抽出部117と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、
前記撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置と、を備え、
前記録画装置は、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファと、
前記撮像装置から送信される前記動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部と、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部と、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部と、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を有する、
撮像システム。
【請求項2】
前記録画装置は、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データの平均データ量を算出する平均算出部と、
前記平均データ量と前記撮像装置から前記録画装置へ前記動画像データを送信する際のビットレートとに基づいて、前記遅延時間の平均である平均遅延時間を算出する遅延時間算出部と、を更に有し、
前記抽出期間特定部は、前記平均遅延時間に基づいて、前記抽出期間を特定する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、動画像データの送信に使用するプロトコルにより前記動画像データを前記録画装置へ送信し、
前記録画装置は、
前記動画像データの一部を構成する前記イベント発生時点の前記画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出するシーケンス番号抽出部と、
前記遅延時間を算出する遅延時間算出部と、を更に有し、
前記動画取得部は、前記イベント発生時点の前記画像データを、前記画像データを含むパケットに対応する前記シーケンス番号情報に対応づけて前記動画バッファに記憶させ、
前記遅延時間算出部は、前記シーケンス番号情報に基づいて、前記動画取出部により前記イベント発生時点の前記画像データが前記動画バッファから取り出された取り出し時点を特定し、特定した前記取り出し時点と前記イベント発生時点との時間差を前記遅延時間として算出し、
前記抽出期間特定部は、前記イベント発生時点から、算出された前記遅延時間だけ経過した時点を含む期間を前記抽出期間として特定する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記遅延時間は、予め決定された時間であり、
前記抽出期間特定部は、前記イベントが発生すると、前記遅延時間だけ前記イベント発生時点から経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
撮像装置と、
前記撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置と、を備え、
前記撮像装置は、動画像データの送信に使用するプロトコルにより撮像対象の動画像データを前記録画装置へ送信し、
前記録画装置は、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファと、
前記動画像データを取得して動画バッファに記憶させる動画取得部と、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部と、
前記動画バッファが記憶する動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部と、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記動画像データの一部を構成する前記イベントが発生したイベント発生時点の画像データを含むパケットに含まれる前記イベント発生時点の画像データが生成された時刻を示す時刻情報を抽出する時刻情報抽出部と、
前記時刻情報が示す前記イベント発生時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を有する、
撮像システム。
【請求項6】
前記録画装置は、
前記イベントが発生したことを示すトリガ情報を取得するトリガ取得部を更に有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項7】
撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置であって、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファと、
前記撮像装置から送信される前記動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部と、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部と、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部と、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を備える、
録画装置。
【請求項8】
撮像装置よりネットワークを介して受信する動画像データの録画方法であって、
前記撮像装置から送信される動画像データを取得して前記動画像データを一時的に記憶する動画バッファに記憶させるステップと、
前記動画バッファが記憶する動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部に記憶させるステップと、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定するステップ、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出するステップと、を含む、
録画方法。
【請求項9】
コンピュータを、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファ、
撮像装置から送信される動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム、録画装置、録画方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像手段を用いて所定の対象を監視するシステムであって、対象で異常が発生した場合、異常が発生したことを示す情報を取得したことをトリガとして、異常の発生時点の前後において撮像された画像データを記憶手段に記憶させるシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。また、このシステムと同様の機能をもつシステムとして、撮像手段としてネットワークカメラを採用し、異常発生時点の前後でネットワークカメラにより撮像された画像データを録画するための録画装置が、ネットワークを介してネットワークカメラに接続されたシステムが提供されている。このようなシステムでは、例えば録画装置が、異常が発生したことを示す情報を取得すると、ネットワークカメラから録画装置へ送信された画像データの中から異常発生時点の前後における画像データを抽出して保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のようなネットワークカメラと録画装置とがネットワークを介して接続された構成のシステムでは、通信遅延に起因した画像データの抜けを防止し安定した動画送信を実現するために、録画装置側においてネットワークカメラから取得した画像データを一時的な記憶手段にバッファリングさせつつ、その後ストレージへ蓄積していくのが一般的である。この場合、バッファを経由した後の画像データがストレージに保存される時点とその画像データが実際に撮像された時点との間でずれが生じてしまう。このため、各画像データがストレージに保存された時点を基準に異常発生時点前後の画像データを取得しても所望する画像データを得られない虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、イベント発生時点の前後の動画像データを適切に録画することができる撮像システム、録画装置、録画方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像システムは、
撮像装置と、
前記撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置と、を備え、
前記録画装置は、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファと、
前記撮像装置から送信される前記動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部と、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部と、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部と、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を有する。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る録画装置は、
撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置であって、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファと、
前記撮像装置から送信される前記動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部と、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部と、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部と、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を備える。
【0008】
他の観点から見た本発明に係る録画方法は、
撮像装置よりネットワークを介して受信する動画像データの録画方法であって、
前記撮像装置から送信される動画像データを取得して前記動画像データを一時的に記憶する動画バッファに記憶させるステップと、
前記動画バッファが記憶する動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部に記憶させるステップと、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定するステップ、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出するステップと、を含む。
【0009】
他の観点から見た本発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
動画像データを一時的に記憶する動画バッファ、
撮像装置から送信される動画像データを取得して前記動画バッファに記憶させる動画取得部、
前記撮像装置から取得した前記動画像データを記憶する動画記憶部、
前記動画バッファが記憶する前記動画像データを構成する画像データを前記動画バッファから取り出して前記動画記憶部に記憶させる動画取出部、
前記撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、前記イベントが発生したイベント発生時点から、前記動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、前記動画記憶部が記憶する前記動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部、
前記動画記憶部が記憶する前記動画像データから前記抽出期間に対応する前記動画像データの一部を抽出する動画抽出部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る撮像システムによれば、抽出期間特定部が、撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。これにより、前述の遅延時間に基づいて少なくともイベント発生時点が前述の抽出期間に含まれるように抽出期間を特定することができるので、イベント発生時点の前後の動画像データを適切に録画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る撮像システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る撮像システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る撮像システムの機能構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る撮像システムの動作説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る撮像装置が実行する録画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】比較例に係る撮像システムの動作説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る撮像システムの機能構成を示す図である。
【
図8】RTP(Real-time Transport Protocol)のプロトコルスタックの一部を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る撮像装置が実行する録画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態3に係る撮像システムの機能構成を示す図である。
【
図11】実施の形態3に係る撮像装置が実行する録画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】変形例に係る撮像システムの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係る撮像システムについて、
図1乃至
図4を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る撮像システムは、撮像装置と、撮像装置とネットワークを介して接続された録画装置と、を備える。そして、録画装置は、撮像装置から送信される動画像データを取得して動画バッファに記憶させる動画取得部と、動画バッファが記憶する動画像データを構成する画像データを、動画取得部が画像データを取得した第1時点よりも後の第2時点において、動画バッファから取り出して動画記憶部に記憶させる動画取出部と、撮像装置による撮像対象において予め設定されたイベントが発生すると、イベントが発生したイベント発生時点から動画バッファを経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する抽出期間特定部と、動画記憶部が記憶する動画像データから抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出する動画抽出部と、を有する。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態に係る撮像システムは、例えば
図1に示すように、ネットワークカメラ2と、ネットワークカメラ2とネットワークNWを介して接続された録画装置1と、を備える。ネットワークNWは、例えば有線LAN(Local Area Network)である。ネットワークカメラ2は、例えば生産設備を監視する監視カメラとして使用されるものである。ネットワークカメラ2は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、撮像部204と、有線通信インタフェース206と、各部を接続するバス209と、を備える撮像装置である。主記憶部202は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成されている。補助記憶部203は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリから構成され、ネットワークカメラ2を制御するためのプログラムを記憶する。有線通信インタフェース206は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介したデータの送受信を行う。CPU201は、補助記憶部203が記憶するプログラムを主記憶部202に読み込んで実行することにより、
図3に示すように、撮像部204で撮像された動画像を示す動画像データを録画装置1へ送信する動画送信部211として機能する。
【0014】
また、
図2に示す主記憶部202は、
図3に示すように、撮像部204で撮像された動画像を示す動画像データを一時的に記憶する撮像画像バッファ221を有する。動画送信部211は、例えば撮像部204による動画像データを構成する1フレーム分の画像データの撮像画像バッファ221への書き込みが完了する毎に、1フレーム分の画像データを録画装置1へ送信する処理を繰り返す。また、動画送信部211は、例えばRTP(Real-time Transport Protocol)により撮像画像バッファ221が記憶する動画像データを録画装置1へ送信する。
【0015】
図2に戻って、録画装置1は、CPU101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、有線通信インタフェース106と、異常検知インタフェース(以下、「異常検知I/F」と称する。)107と、計時部108と、各部を接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、RAMのような揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、ROMのような不揮発性メモリ、または、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、録画装置1を制御するためのプログラムを記憶する。有線通信インタフェース106は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介したデータの送受信を行う。異常検知I/F107は、トリガ情報を取得するインタフェースである。異常検知I/F107は、例えば、RS-232などのシリアルポートであってもよい。トリガ情報は、例えば、ネットワークカメラ2による撮像対象となる生産設備において、生産設備に異常が発生した場合に生産設備から出力される異常検知信号に基づくものである。計時部108は、例えばハードウェアタイマを有するものである。
【0016】
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図3に示すように、動画取得部111、動画取出部112、トリガ取得部113、平均算出部114、遅延時間算出部115、抽出期間特定部116および動画抽出部117として機能する。また、
図2に示す主記憶部102は、
図3に示すように、ネットワークカメラ2から取得した動画像データをFIFO(First In First Out)方式で一時的に記憶する動画バッファ121を有する。更に、
図2に示す補助記憶部103は、
図3に示すように、ネットワークカメラ2から取得した動画像データを記憶する動画記憶部131と、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出した動画像データを記憶する抽出動画記憶部132と、を有する。動画記憶部131は、動画取出部112が動画バッファ121から取り出した動画像データを構成する複数の画像データを、それぞれ、動画取出部112が画像データを取り出した時刻を示す時刻情報(以下、取り出し時刻情報とも呼ぶ)に対応づけて記憶する。
【0017】
抽出動画記憶部132は、動画記憶部131が記憶する動画像データから、ネットワークカメラ2による撮像対象において予め設定されたイベントが発生した時点であるイベント発生時点の前後の期間に対応する部分を抽出してなる動画像データを記憶する。抽出動画記憶部132が記憶する動画像データは、例えばネットワークカメラ2の撮像対象物に予め設定されたイベントが発生した場合にそのイベントの発生原因を分析するために使用される。
【0018】
動画取得部111は、ネットワークカメラ2から送信される動画像データを取得して動画バッファ121に記憶させる。動画取得部111は、取得した動画像データを構成する複数の画像データを時系列で動画バッファ121に記憶させる。ここで、ネットワークカメラ2が撮像対象を撮像する時点に対する動画取得部111が動画像データを取得する時点の遅延時間は、ネットワークカメラ2が1フレーム分の画像データを録画装置1へ送信するのに要する時間に略等しく、後述する動画取得部111が動画像データを取得した時点に対する動画取出部112が動画バッファ121から動画像データを取り出す時点の遅延時間に比べて無視できる程度に十分に小さい。従って、動画取得部111が、イベント発生時点に撮像した画像データを取得した時点は前述のイベント発生時点と略等しいと看做すことができる。
【0019】
動画取出部112は、動画バッファ121が記憶する動画像データを構成する任意の画像データについて、動画取得部111が取得した時刻(第1時点)よりも、動画バッファ121を経由することによる遅延時間だけ後の時刻(第2時点)において、動画バッファ121から取り出して動画記憶部131に記憶させる。動画取出部112は、例えば
図4に示すように、第1時点T0においてネットワークカメラ2から取得した画像データPI(T0)を、第2時点T1において動画バッファから取り出して動画記憶部131に記憶させる。これにより、動画記憶部131は、画像データPI(T0)を第2時点T1に対応づけて記憶する。
【0020】
図3に戻って、トリガ取得部113は、異常検知I/F107を介して異常検知信号を受信すると、即ち、ネットワークカメラ2の撮像対象において前述のイベントが発生したことを示すトリガ情報を取得すると、イベントが発生したことを通知するイベント発生通知情報を抽出期間特定部116および平均算出部114に通知する。
【0021】
平均算出部114は、動画バッファ121が記憶する動画像データの平均データ量を算出する。平均算出部114は、動画バッファ121が記憶する動画像データのデータ量を常時監視しており、トリガ取得部113からイベント発生通知情報を取得すると、イベント発生通知情報を取得した直前の予め設定された平均算出対象期間内の各時点において動画バッファ121が記憶するデータ量の平均データ量を算出する。ここで、平均算出対象期間の長さは、例えば数sec乃至数minに設定される。このように、平均算出部114は、平均算出対象期間に基づいて、平滑化されたデータ量を算出することができる。当該平均データ量の算出は、ネットワークを介することにより生じる(例えば帯域不足などによるデータ量の低下など)、ネットワークカメラ2から送信される動画像データに変動があるために、バッファされているデータ量が変動する場合に有用である。平均算出部114は、算出した平均データ量を示す平均データ量情報を遅延時間算出部115に通知する。なお、本実施の形態では、予め設定された平均算出対象期間内の各時点においての動画バッファ121が記憶するデータ量の平均データ量を算出しているが、例えば、平均算出部114は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報を取得したことを契機にその時点の動画バッファ121が記憶するデータ量を算出してもよい。
【0022】
遅延時間算出部115は、平均算出部114から通知される平均データ量情報が示す平均データ量と、ネットワークカメラ2から録画装置1へ動画像データを送信する際のビットレートとに基づいて、前述の第2時点における前述の第1時点からの遅延時間、即ち、前述のイベント発生時点に対する動画取出部112が動画像データを取り出す時点の遅延時間の平均である平均遅延時間を算出する。具体的には、遅延時間算出部115は、平均データ量を前述のビットレートで除することにより平均遅延時間を算出する。例えば平均データ量が6乃至9Mビットであり、ビットレートが3Mbpsである場合、遅延時間算出部115が算出する平均遅延時間は、2乃至3secとなる。遅延時間算出部115は、算出した平均遅延時間を示す平均遅延時間情報を抽出期間特定部116に通知する。
【0023】
抽出期間特定部116は、ネットワークカメラ2による撮像対象においてイベントが発生すると、イベントが発生したイベント発生時点から、動画バッファ121を経由することによる遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。具体的には、抽出期間特定部116は、ネットワークカメラ2の撮像対象においてイベントが発生すると、イベントが発生したイベント発生時点から平均遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。抽出期間特定部116は、ネットワークカメラ2の撮像対象においてイベントが発生しトリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されると、イベント発生通知情報が通知された時点から、遅延時間算出部115から通知される平均遅延時間情報が示す平均遅延時間dT1だけ経過した時点を含む期間を抽出期間として特定する。ここで、抽出期間は、例えば
図4に示すように、イベント発生時点Ttから前述の平均遅延時間dT1だけ経過した時点(Tt+dT1)よりも予め設定された一定時間dT2だけ以前の時点(Tt-dT2)と前述の一定時間dT2だけ後の時点(Tt+dT2)との間の期間に設定される。また、この一定時間dT2は、動画記録の目的に応じて、録画装置1の利用者により予め設定することができ、例えば30secに設定される。抽出期間特定部116は、特定した抽出期間を示す抽出期間情報を動画抽出部117に通知する。
【0024】
図3に戻って、動画抽出部117は、動画記憶部131が記憶する動画像データから抽出期間特定部116から通知される抽出期間情報が示す抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出する。具体的には、動画抽出部117は、動画記憶部131が記憶する動画像データを構成する複数の画像データそれぞれに対応づけられた時刻情報を参照して、複数の画像データの中から前述の時刻情報が示す時刻が前述の抽出期間情報が示す抽出期間内に含まれる画像データを抽出する。動画抽出部117は、例えば
図4に示すように、動画記憶部131が記憶する動画像データから、イベント発生時点Ttから前述の平均遅延時間dT1だけ経過した時点(Tt+dT1)を含む前後の時点、すなわち(Tt+dT1-dT2)から時点(Tt+dT1+dT2)までの間の期間に対応する動画像データを抽出する。そして、動画抽出部117は、抽出した動画像データの一部を抽出動画記憶部132に記憶させる。動画抽出部117は、例えば
図4に示すように、イベント発生時点Ttから前述の平均遅延時間dT1だけ経過した時点(Tt+dT1)を含んで、これよりも予め設定された一定時間dT2だけ以前の時点(Tt+dT1-dT2)と前述の一定時間dT2だけ後の時点(Tt+dT1+dT2)との間の期間に相当する動画像データを抽出して抽出動画記憶部132に記憶させる。これにより、動画像データとしては、イベント発生時点Ttよりも一定時間dT2だけ以前の時点(Tt-dT2)から一定時間dT2だけ後の時点(Tt+dT2)までの間の期間にネットワークカメラ2により撮像された動画像データを抽出動画記憶部132に記憶させることができる。
【0025】
次に、本実施の形態に係る録画装置1が実行する録画処理について
図5を参照しながら詳細に説明する。この録画処理は、例えば録画装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。ここで、この録画処理と並行して、動画取得部111が、ネットワークカメラ2から送信される動画像データを取得して動画バッファ121に記憶させる処理と、動画取出部112が、動画バッファ121から動画像データを構成する画像データを取り出し、その取り出し時刻情報に対応づけて動画記憶部131に記憶させる処理と、が実行されるものとする。まず、トリガ取得部113は、トリガ情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得していないと判定する限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理が繰り返し実行される。一方、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得したと判定すると(ステップS101:Yes)、平均算出部114が、動画バッファ121が記憶する動画像データの直前の平均算出対象期間における平均データ量を算出する(ステップS102)。次に、遅延時間算出部115は、平均算出部114が算出した平均データ量と、ネットワークカメラ2から録画装置1へ動画像データを送信する際のビットレートとに基づいて、撮像対象においてイベントが発生した時点に対する動画取出部112が動画像データを取り出す時点の遅延時間の平均である平均遅延時間を算出する(ステップS103)。
【0026】
続いて、抽出期間特定部116は、前述のイベント発生時点から算出された平均遅延時間だけ経過した時点を含む所定の期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する(ステップS104)。その後、動画抽出部117は、動画記憶部131が記憶する動画像データから抽出期間特定部116が特定した抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出し、抽出した動画像データの一部を抽出動画記憶部132に記憶させる(ステップS105)。次に、再びステップS101の処理が実行される。
【0027】
ところで、動画抽出部117が、例えば
図6に示すように、動画記憶部131が記憶する動画像データを構成する複数の画像データそれぞれに対応する時刻情報を参照して、単にイベント発生時点Ttの前後の時点(Tt-dT2)から時点(Tt+dT2)までの間の期間に対応する動画像データの一部を抽出したとする。この場合、抽出された動画像データの一部は、イベント発生時点Ttよりも一定時間dT1+dT2だけ以前の時点(Tt-dT1-dT2)から一定時間dT2-dT1だけ後の時点(Tt-dT1+dT2)までの間の期間にネットワークカメラ2により撮像された動画像データが抽出動画記憶部132に記憶されることになる。即ち、イベント発生時点Tt前後で抽出された動画像データに対応する時間の長さが異なってしまう。特に、遅延時間dT1が、利用者により設定された一定時間dT2よりも長くなると、イベント発生時点Ttにおける画像データを抽出できない。
【0028】
これに対して、本実施の形態に係る撮像システムによれば、抽出期間特定部116が、前述の遅延時間に基づいて決定された平均遅延時間dT1だけイベント発生時点Ttから経過した時点(Tt+dT1)を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。これにより、前述の遅延時間に基づいて少なくともイベント発生時点Ttが前述の抽出期間に含まれるように抽出期間を特定することができるので、イベント発生時点の前後の動画像データを適切に録画することができる。
【0029】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る撮像システムは、録画装置1が、動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出するシーケンス番号抽出部を有し、シーケンス番号に基づいて前述の遅延時間を算出する点で実施の形態1と相違する。
【0030】
本実施の形態に係る撮像システムのハードウェア構成および機能構成は、実施の形態1に係る撮像システムと同様である。そこで、本実施の形態に係る撮像システムのハードウェア構成については適宜
図2に示す符号を用いて説明する。
図7に示すように、本実施の形態に係る録画装置2001のCPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、動画取得部2111、動画取出部2112、トリガ取得部113、遅延時間算出部2115、抽出期間特定部116、動画抽出部117およびシーケンス番号抽出部2118として機能する。なお、
図7において実施の形態1と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。また、録画装置2001の主記憶部102は、ネットワークカメラ2から取得した動画像データを、ネットワークカメラ2から送信された動画像データを構成する画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号に対応づけて一時的に記憶する動画バッファ2121を有する。更に、録画装置2001の補助記憶部103は、動画記憶部131と抽出動画記憶部132とを有する。
【0031】
動画取得部2111は、ネットワークカメラ2から送信された動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを、当該画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号に対応づけて動画バッファ2121に記憶させる。ここで、ネットワークカメラ2から送信され動画取得部2111が取得する画像データを含むパケットは、前述のRTPに適合するものであり、
図8に示すようなRTPヘッダ情報を含む。ここで、「V」は、RTPのバージョン番号を示し、例えば「2」に設定されている。「P」は、パケットのRTPヘッダに対応するペイロード部分がパディングされているか否かを示し、パディングされていれば「1」に設定され、パディングされていない場合「0」に設定される。「X」は、拡張ヘッダが追加されているか否かを示し、拡張ヘッダが追加されている場合「1」に設定され、拡張ヘッダが追加されていない場合「0」に設定される。「CC」は、パケットのRTPヘッダに対応するペイロード部分が複数のメディアストリームの合成である場合にパケットに含まれる複数のメディアストリームを示す情報のリストの長さを示す。「M」は、メディアストリームの開始、再開、終了等のRTPで定義されたイベントを表す。「PT」は、RTPヘッダに対応するペイロードに格納されたデータのメディアタイプを識別する情報である。シーケンス番号は、ネットワークカメラ2からパケットが送信される度に1ずつインクリメントされる符号無しの16ビット整数値で表現されている。タイムスタンプは、パケットに含まれる画像データが生成された時点の時刻を示す。これは、ほぼ画像が撮影された時点の時刻に等しい。動画取得部2111は、ネットワークカメラ2から送信された画像データを含むパケットを取得すると、取得したパケットから画像データを抽出し、抽出した画像データを、取得したパケットのRTPヘッダに含まれるシーケンス番号を示すシーケンス番号情報に対応づけて動画バッファ2121に記憶させる。なお、ここではRTPヘッダに記載されたシーケンス番号を用いて説明したが、ネットワークカメラから送信されるパケットにおいて画像データとシーケンス番号が対応づけられていればよく、RTPに限られない。
【0032】
図7に戻って、トリガ取得部113は、ネットワークカメラ2の撮像対象において前述のイベントが発生したことを示すトリガ情報を取得すると、イベントが発生したことを通知するイベント発生通知情報を抽出期間特定部116、遅延時間算出部2115およびシーケンス番号抽出部2118に通知する。
【0033】
シーケンス番号抽出部2118は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されると、動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出する。具体的には、シーケンス番号抽出部2118は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されたときに、動画取得部2111がネットワークカメラ2から取得したパケットのRTPヘッダに含まれるシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出する。動画取得部2111が受信した時点での遅延はほぼ無視できるので、このシーケンス番号が付いたパケットにロードされた画像データは、イベント発生時に撮影されたものにほぼ等しい。シーケンス番号抽出部2118は、抽出したシーケンス番号情報を動画取出部2112に通知する。
【0034】
動画取出部2112は、実施の形態1に係る動画取出部112と同様に、動画バッファ2121が記憶する動画像データを構成する画像データを、動画バッファ2121から取り出して動画記憶部131に記憶させる。このとき、動画バッファ2121から動画像データを取り出す時刻は、動画バッファ2121を経由することによる遅延時間だけ遅延している。そして、動画取出部2112は、動画バッファ2121から、シーケンス番号抽出部2118から通知されたシーケンス番号情報に対応づけられた画像データを取り出したとき、イベント発生時点の画像データを取り出したことを通知するイベント発生時点画像取出通知情報を遅延時間算出部2115に通知する。
【0035】
遅延時間算出部2115は、前述のシーケンス番号に基づいて、動画取出部2112によりイベント発生時点の画像データが動画バッファ2121から取り出された取り出し時点を特定し、特定した取り出し時点とイベント発生時点との時間差を遅延時間として算出する。具体的には、遅延時間算出部2115は、動画取出部2112から前述のイベント発生時点画像取出通知情報が通知された時点を、前述の取り出し時点として特定する。そして、遅延時間算出部2115は、算出した遅延時間を示す遅延時間情報を抽出期間特定部116に通知する。抽出期間特定部116は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されると、イベント発生通知情報が通知された時点から、遅延時間算出部2115から通知される遅延時間情報が示す遅延時間だけ経過した時点を含む期間を抽出期間として特定する。
【0036】
次に、本実施の形態に係る録画装置2001が実行する録画処理について
図9を参照しながら詳細に説明する。なお、この録画処理と並行して、動画取得部2111が、ネットワークカメラ2から送信される動画像データを取得してシーケンス番号情報に対応づけて動画バッファ121に記憶させる処理と、動画取出部2112が、動画バッファ121から動画像データを構成する画像データを取り出し、その取り出し時刻情報に対応づけて動画記憶部131に記憶させる処理と、が実行されるものとする。まず、トリガ取得部113は、トリガ情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得していないと判定する限り(ステップS201:No)、ステップS201の処理が繰り返し実行される。一方、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得したと判定すると(ステップS201:Yes)、シーケンス番号抽出部2118は、動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを含むパケットのRTPヘッダ情報から当該パケットに付与されたシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出する(ステップS202)。
【0037】
次に、遅延時間算出部2115は、シーケンス番号抽出部2118が抽出したシーケンス番号情報に基づいて、動画取出部2112によりイベント発生時点の画像データが動画バッファ2121から取り出された取り出し時点を特定する(ステップS203)。続いて、遅延時間算出部2115は、特定した取り出し時点とイベント発生時点との時間差を遅延時間として算出する(ステップS204)。より具体的には、遅延時間算出部2115は、シーケンス番号情報に基づいて、特定した取り出し時点のパケットに含まれるタイムスタンプとイベント発生時点のパケットに含まれるタイムスタンプとの時間差を遅延時間として算出する。その後、抽出期間特定部116は、前述のイベント発生時点から算出された遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する(ステップS205)。次に、動画抽出部117は、動画記憶部131が記憶する動画像データから抽出期間特定部116が特定した抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出し、抽出した動画像データの一部を抽出動画記憶部132に記憶させる(ステップS206)。続いて、再びステップS201の処理が実行される。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態に係る撮像システムによれば、シーケンス番号抽出部2118が、イベント発生時点の画像データを含むパケットに付与されたシーケンス番号を示すシーケンス番号情報を抽出する。また、遅延時間算出部2115が、シーケンス番号情報に基づいて、動画取出部2112によりイベント発生時点の画像データが動画バッファ2121から取り出された取り出し時点を特定し、特定した取り出し時点とイベント発生時点との時間差を遅延時間として算出する。そして、抽出期間特定部116は、イベント発生時点から、算出された遅延時間だけ経過した時点を含む期間を抽出期間として特定する、これにより、イベント発生時点の画像データに対応する遅延時間をより精度良く算出することができるので、抽出期間を適切に特定することができる。
【0039】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る撮像システムは、録画装置1が、イベント発生時点の画像データを含むパケットに含まれるイベント発生時点を示す時刻情報(タイムスタンプ)を抽出する時刻情報抽出部を有し、抽出した時刻情報に基づいて前述の抽出期間を特定する点で実施の形態1と相違する。
【0040】
本実施の形態に係る撮像システムのハードウェア構成および機能構成は、実施の形態1に係る撮像システムと同様である。そこで、本実施の形態に係る撮像システムのハードウェア構成については適宜
図2に示す符号を用いて説明する。
図10に示すように、本実施の形態に係る録画装置3001のCPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、動画取得部3111、動画取出部3112、トリガ取得部113、抽出期間特定部3116、動画抽出部117および時刻情報抽出部3118として機能する。なお、
図10において実施の形態1と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。また、録画装置3001の主記憶部102は、ネットワークカメラ2から取得した動画像データを、ネットワークカメラ2から送信された動画像データを構成する画像データが生成された時点を示す時刻情報に対応づけて一時的に記憶する動画バッファ3121を有する。更に、録画装置3001の補助記憶部103は、動画記憶部3131と抽出動画記憶部132とを有する。動画記憶部3131は、動画取出部3112が動画バッファ3121から取り出した動画像データを構成する複数の画像データを、それぞれ、画像データが生成された時点を示す時刻情報に対応づけて記憶する。
【0041】
動画取得部3111は、ネットワークカメラ2から送信された動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを、当該画像データが生成された時点を示す時刻情報に対応づけて動画バッファ3121に記憶させる。動画取得部3111は、画像データを含むパケットを取得すると、画像データを抽出するとともに、パケットのRTPヘッダに含まれる前述のタイムスタンプを参照して、画像データが生成された時点が示す時刻情報を生成する。そして、動画取得部3111は、抽出した画像データと生成した時刻情報とを互いに対応づけて動画バッファ3121に記憶させる。
【0042】
トリガ取得部113は、ネットワークカメラ2の撮像対象において前述のイベントが発生したことを示すトリガ情報を取得すると、イベントが発生したことを通知するイベント発生通知情報を時刻情報抽出部3118に通知する。
【0043】
時刻情報抽出部3118は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されると、動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データが生成された時点を示す時刻情報を抽出する。具体的には、時刻情報抽出部3118は、トリガ取得部113からイベント発生通知情報が通知されたときに、動画取得部2111がネットワークカメラ2から取得したパケットのRTPヘッダに含まれるタイムスタンプを示すタイムスタンプ情報、即ち、時刻情報を抽出する。時刻情報抽出部3118は、抽出した時刻情報を抽出期間特定部3116に通知する。
【0044】
動画取出部3112は、動画バッファ3121が記憶する動画像データを構成する画像データと当該画像データに対応する時刻情報とを、動画バッファ3121から取り出し、これらを互いに対応づけて動画記憶部3131に記憶させる。
【0045】
抽出期間特定部3116は、時刻情報抽出部3118から通知されるイベント発生時点を示す時刻情報に基づいて、イベント発生時点を含む所定の期間を、動画記憶部3131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。抽出期間特定部3116は、特定した抽出期間を示す抽出期間情報を動画抽出部117に通知する。動画抽出部117は、動画記憶部3131が記憶する動画像データを構成する画像データに対応する時刻情報を参照して、当該時刻情報が示す時点が抽出期間特定部3116から通知される抽出期間情報が示す期間内に含まれる動画像データの一部を抽出する。
【0046】
次に、本実施の形態に係る録画装置3001が実行する録画処理について
図11を参照しながら詳細に説明する。なお、この録画処理と並行して、動画取得部3111が、ネットワークカメラ2から送信される動画像データを取得して時刻情報に対応づけて動画バッファ3121に記憶させる処理と、動画取出部3112が、動画バッファ121から動画像データを構成する画像データとこれらに対応する時刻情報を取り出してこれらを互いに対応づけて動画記憶部3131に記憶させる処理と、が実行されるものとする。まず、トリガ取得部113は、トリガ情報を取得したか否かを判定する(ステップS301)。ここで、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得していないと判定する限り(ステップS301:No)、ステップS301の処理が繰り返し実行される。一方、トリガ取得部113が、トリガ情報を取得したと判定すると(ステップS301:Yes)、時刻情報抽出部3118は、動画像データの一部を構成するイベント発生時点の画像データを含むパケットのRTPヘッダ情報から画像データが生成された時点を示す時刻情報を抽出する(ステップS302)。
【0047】
次に、抽出期間特定部3116は、時刻情報抽出部3118が抽出した時刻情報が示すイベント発生時点の画像データが生成された時点を含む期間を、動画記憶部3131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する(ステップS303)。続いて、動画抽出部117は、動画記憶部3131が記憶する動画像データから抽出期間特定部3116が特定した抽出期間に対応する動画像データの一部を抽出し、抽出した動画像データの一部を抽出動画記憶部132に記憶させる(ステップS304)。その後、再びステップS301の処理が実行される。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る撮像システムによれば、時刻情報抽出部3118が、動画像データの一部を構成するイベントが発生したイベント発生時点の画像データを含むパケットに含まれるイベント発生時点の画像データが生成された時点を示す時刻情報を抽出する。そして、抽出期間特定部3116は、時刻情報抽出部3118が抽出した時刻情報が示すイベント発生時点の画像データが生成された時点を含む期間を抽出期間として特定する、これにより、イベント発生時点の画像データが生成された時点を精度良く特定できるので、抽出期間を適切に特定することができる。
【0049】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば抽出期間特定部が、ネットワークカメラ2の撮像対象にイベントが発生すると、予め設定された一定の遅延時間だけイベント発生時点から経過した時点を含む期間を前述の抽出期間として特定するものであってもよい。
【0050】
本変形例に係る撮像システムのハードウェア構成および機能構成は、実施の形態1に係る撮像システムと同様である。本変形例に係る撮像システムでは、
図12に示すように、録画装置4001のCPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、動画取得部111、動画取出部112、トリガ取得部113、抽出期間特定部4116および動画抽出部117として機能する。なお、
図12において実施の形態1と同様の構成については
図3と同一の符号を付している。また、録画装置3001の補助記憶部103は、動画記憶部131と抽出動画記憶部132と遅延時間記憶部4133とを有する。遅延時間記憶部4133は、過去の経験、例えば実施の形態1で説明した第2時点の第1時点からの遅延時間などに基づき、動画バッファ121を経由することによる遅延時間として、予め決定された一定の遅延時間を示す遅延時間情報を記憶する。
【0051】
抽出期間特定部4116は、ネットワークカメラ2の撮像対象においてイベントが発生すると、イベントが発生したイベント発生時点から遅延時間記憶部4133が記憶する遅延時間情報が示す一定の遅延時間だけ経過した時点を含む期間を、動画記憶部131が記憶する動画像データの一部を抽出する抽出期間として特定する。
【0052】
本構成によれば、録画装置4001で実行される処理が簡素化されるので、その分、録画装置4001の処理負荷を軽減できる。
【0053】
また、遅延時間を特定する別の方法として、トリガ情報を受信したとき、ネットワークカメラ2から取得した動画像データにフラグを付与し、このフラグ付き動画像データを動画バッファ121から取り出した時点とトリガ情報を受信した時点との差から遅延時間を特定しても良い。
【0054】
各実施の形態では、動画送信部211が、RTPにより撮像画像バッファ221が記憶する動画像データを録画装置1へ送信する例について説明したが、動画像データの送信に使用するプロトコルはこれに限定されない。例えば動画送信部211が、インターネット動画配信の技術であるストリーミングプロトコルであるHLS(HTTP Live Streamig)により撮像画像バッファ211が記憶する動画像データを録画装置1へ送信するものであってもよい。
【0055】
本発明に係る録画装置1、2001、3001、4001の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する録画装置1、2001、3001、4001を構成してもよい。
【0056】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する録画装置1、2001、3001、4001として機能する。
【0057】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、ネットワークカメラを用いたイベントドリブン録画を実行する撮像システムとして好適である。
【符号の説明】
【0059】
1,2001,3001,4001:録画装置、2:ネットワークカメラ、101,201:CPU、102,202:主記憶部、103,203:補助記憶部、106,206:有線通信インタフェース、108:計時部、109,209:バス、111,2111,3111:動画取得部、112,2112,3112:動画取出部、113:トリガ取得部、114:平均値算出部、115,2115:遅延時間算出部、116,3116,4116:抽出期間特定部、117:動画抽出部、121,2121,3121:動画バッファ、131,3131:動画記憶部、132:抽出動画記憶部、204:撮像部、211:動画送信部、221:撮像画像バッファ、2118:シーケンス番号抽出部、3118:時刻情報抽出部、4133:遅延時間記憶部、NW:ネットワーク