(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014610
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】車両用外装部品
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20230124BHJP
B60R 19/52 20060101ALI20230124BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B60R19/52 K
B60J5/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118657
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】太田 耕志朗
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AC12
3D023AD05
3D023AD15
(57)【要約】
【課題】車両用外装部品を外光が強い場合に金属調に視認可能とし、外光が弱い場合に電飾可能とし、電飾時における照射光の波長成分の割合を調整可能とする。
【解決手段】車両用外装部品100は、車両の外部に向けられる外表面101aと車両の内部に向けられる内表面101bを有する透明な透明部材101と、透明部材101の内表面101bに設けられると共に外表面101aから透明部材101に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過する金属製光輝薄膜102と、透明部材101との間に金属製光輝薄膜102を挟んで透明部材101の内表面101b側に配置されると共に透明部材101の内表面101b側から照射される照射光L2に含まれる一部の波長成分を反射あるいは吸収する干渉膜103とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用外装部品であって、
車両の外部に向けられる外表面と車両の内部に向けられる内表面を有する透明な透明層と、
前記透明層の前記内表面に設けられると共に前記外表面から前記透明層に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過する金属製光輝薄膜と、
前記透明層との間に前記金属製光輝薄膜を挟んで前記透明層の内表面側に配置されると共に前記透明層の前記内表面側から照射される照射光に含まれる一部の波長成分を反射あるいは吸収するフィルタ層と
を有することを特徴とする車両用外装部品。
【請求項2】
前記フィルタ層は、前記一部の波長成分を反射する干渉膜であることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記フィルタ層は、前記金属製光輝薄膜の透過前後で前記照射光において割合が増加する波長成分を反射あるいは吸収することを特徴とする請求項1または2記載の車両用外装部品。
【請求項4】
前記フィルタ層が前記金属製光輝薄膜と密着されていることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【請求項5】
前記フィルタ層の前記透明層と反対側に配置されると共に前記フィルタ層に向かう前記照射光を拡散する拡散層を備えることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【請求項6】
前記照射光を発光する光源部を備えることを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載の車両用外装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に対しては、様々な外装部品(車両用外装部品)が装着されている。これらの車両用外装部品は、車両の外部から視認されるものであり、車両の外観印象の形成に大きな影響を与える部品である。例えば、特許文献1には、車両用外装部品として、ラジエータグリルを備える車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、車両の外観印象を向上させるために、明るい場所では金属調に視認され、暗い場所では電飾される車両用外装部品も考えられる。例えば、このような車両用外装部品では、入射された光の一部を透過可能な膜厚を有する金属製光輝薄膜が透明部材の背面に設けられる。金属製光輝薄膜は、入射された光の一部を透過するが、光の一部は反射する。このため、太陽光等の外光が車両の外部側から車両用外装部品に入射した場合には、外光の一部が金属製光輝薄膜に反射される。この結果、車両用外装部品は金属調に視認される。一方、外光が弱い場合には、車両の内側から金属製光輝薄膜に光を照射すると、照射された光の一部が金属製光輝薄膜を透過して外部の者に視認される。この結果、車両用外装部品が電飾される。
【0005】
しかしながら、金属製光輝薄膜は、照射光の透過前後の波長成分の割合を変化させる。つまり、照射光の波長成分の割合は金属製光輝薄膜を透過することで変化してしまう。このような波長成分の割合の変化は、金属製光輝薄膜を形成する金属の種類によって異なる。例えば、金属製光輝薄膜がインジウム(In)によって形成されている場合に、白色の照射光が金属製光輝薄膜を透過すると、照射光に含まれる黄色の波長成分の割合が大きくなる。この結果、電飾された車両用外装部品の色合いが、黄味掛かることになる。照射光の波長成分の割合の変化によっては、電飾された車両用外装部品の鮮映性が低下する原因となる。現在のところ、このような金属製光輝薄膜の透過前後における照射光の波長成分の割合の変化を調整可能とするための提案はなされていない。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、車両用外装部品を外光が強い場合に金属調に視認可能とし、外光が弱い場合に電飾可能とし、電飾時における照射光の波長成分の割合を調整可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、車両用外装部品であって、車両の外部に向けられる外表面と車両の内部に向けられる内表面を有する透明な透明層と、上記透明層の上記内表面に設けられると共に上記外表面から上記透明層に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過する金属製光輝薄膜と、上記透明層との間に上記金属製光輝薄膜を挟んで上記透明層の内表面側に配置されると共に上記透明層の上記内表面側から照射される照射光に含まれる一部の波長成分を反射あるいは吸収するフィルタ層とを有するという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記フィルタ層が、上記一部の波長成分を反射する干渉膜であるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記フィルタ層は、上記金属製光輝薄膜の透過前後で上記照射光において割合が増加する波長成分を反射あるいは吸収するという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3いずれかの態様において、上記フィルタ層が上記金属製光輝薄膜と密着されているという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記フィルタ層の上記透明層と反対側に配置されると共に上記フィルタ層に向かう上記照射光を拡散する拡散層を備えるという構成を採用する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5いずれかの態様において、上記照射光を発光する光源部を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金属製光輝薄膜によって、車両用外装部品を外光が強い場合に金属調に視認させることが可能である。また、金属製光輝薄膜が光の一部を透過可能であることから、車両の内側から照射光を金属製光輝薄膜に照射することで電飾が可能である。また、本発明によれば、フィルタ層によって照射光に含まれる一部の波長成分が反射あるいは吸収される。このため、フィルタ層によって、金属製光輝薄膜に入射される照射光の波長成分の割合を調整することができ、さらには金属製光輝薄膜を透過した照射光の波長成分の割合を調整することができる。したがって、本発明によれば、車両用外装部品を外光が強い場合に金属調に視認可能とし、外光が弱い場合に電飾可能とし、電飾時における照射光の波長成分の割合を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態における車両用外装部品の模式的な断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態における車両用外装部品の模式的な断面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態におけるイルミネーショングリルを備える車両の模式的な正面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態におけるイルミネーショングリルの分解斜視図である。
【
図5】本発明の第3実施形態におけるイルミネーショングリルを車両前後方向沿った鉛直面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用外装部品の一実施形態について説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の車両用外装部品100の模式的な断面図である。本実施形態の車両用外装部品100は、外装部品として車両に設置される部品である。車両用外装部品100は、車両に設置される外装部品であれば使用用途を特に限定されるものではないが、例えば、電気自動車のイルミネーショングリルや、バックドアフィニッシャとして用いることが可能である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の車両用外装部品100は、透明部材101(透明層)と、金属製光輝薄膜102と、干渉膜103(フィルタ層)と、ハードコート層104と、トップコート層105とを有している。
【0019】
透明部材101は、光を透過可能な透明な板状の部材である。透明部材101は、金属製光輝薄膜102と、干渉膜103と、ハードコート層104と、トップコート層105とを支持する基材として機能する。透明部材101は、一方側の面が車両の外側(外部)に向け、他方側の面が車両の内側(内部)に向けられるように車両に装着される。車両の外側に向けられた面を外表面101a、車両の内側に向けられた面を内表面101bと称する。つまり、透明部材101は、外表面101aと内表面101bとを有する板状の部材である。このような透明部材101は、例えば透明のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されている。透明部材101の厚さ寸法は、例えば1.5mm~10mm程度である。
【0020】
金属製光輝薄膜102は、透明部材101の内表面101bに設けられている。金属製光輝薄膜102は、金属によって形成された薄膜であり、光が透過可能な程度の厚さ寸法で形成されている。例えば、金属製光輝薄膜102は、数十nm程度の厚さ寸法に形成されている。この金属製光輝薄膜102は、入射された光の一部を透過すると共に残部を反射する。つまり、金属製光輝薄膜102は、透明部材101側から入射された外光L1の少なくとも一部を車両の外側に向けて反射する。また、金属製光輝薄膜102は、透明部材101と反対側から入射された光(照射光L2)の少なくとも一部を透過する。このような金属製光輝薄膜102は、透明部材101の内表面101bに設けられると共に外表面101aから透明部材101に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過する。
【0021】
金属製光輝薄膜102を形成する金属は特に限定されるものではない。例えば、金属製光輝薄膜102は、インジウム(In)、アルミニウム(Al)によって形成される。このような金属製光輝薄膜102は、例えばスパッタリングによって透明部材101の内表面101bに成膜されている。本実施形態においては、金属製光輝薄膜102は、透明部材101の内表面101bに密着している。このように、金属製光輝薄膜102が透明部材101の内表面101bに密着することで、金属製光輝薄膜102の透明部材101側の表面が空気や水分と接触することを抑止することができる。
【0022】
ただし、金属製光輝薄膜102と透明部材101との間に光の少なくとも一部を透過可能な他の層を介装しても良い。また、異なる種類の金属によって形成された複数の金属製光輝薄膜102を設けても良い。
【0023】
干渉膜103は、金属製光輝薄膜102を透明部材101と反対側から覆うようにして成膜されている。つまり、干渉膜103は、透明部材101との間に金属製光輝薄膜102を挟んで透明部材101の内表面101b側に配置されている。干渉膜103は、透明部材101の反対側から入射された光(照射光L2)に含まれる一部の波長成分を反射あるいは吸収する。干渉膜103は、光の干渉作用によって特定の波長成分のみを反射し、特定の波長成分と異なる波長成分の光を透過する。干渉膜103は、例えば酸化シリコン(SiO2)によって形成されており、特定の波長成分を反射する厚さ寸法に形成されている。
【0024】
つまり、干渉膜103は、透明部材101と反対側から金属製光輝薄膜102を透過する照射光L2の波長成分の割合を変更し、車両の外部の者に到達する照射光L2の波長成分の割合を調整する。本実施形態においては、金属製光輝薄膜102の透過前後で照射光L2において割合が増加する波長成分を反射あるいは吸収する。
【0025】
例えば、インジウムによって形成された金属製光輝薄膜102を白色の照射光L2が透過すると、照射光L2に含まれる波長成分のうち黄色の波長成分の割合が増加する。このため、仮に干渉膜103が設けられていないとすると、照射光L2が照射されている場合には、車両の外部から車両用外装部品100を視認する者は、車両用外装部品100の全体が黄味掛かって視認される。これに対して、本実施形態の干渉膜103は、金属製光輝薄膜102の透過前後で照射光L2において割合が増加する波長成分である黄色成分を反射あるいは吸収する。この結果、車両の外部から車両用外装部品100を視認する者に、車両用外装部品100の全体が黄味掛かって視認されることを防止することが可能となる。
【0026】
干渉膜103は、例えばスパッタリングによって金属製光輝薄膜102に重ねて成膜されている。本実施形態においては、干渉膜103は、金属製光輝薄膜102に密着している。このように干渉膜103が金属製光輝薄膜102に密着することで、金属製光輝薄膜102の透明部材101と反対側の表面が空気や水分と接触することを抑止することができる。つまり、本実施形態では、金属製光輝薄膜102の表面は、透明部材101あるいは干渉膜103と密着されている。このため、金属製光輝薄膜102が空気や水分と接触することによる劣化を防止することが可能である。ただし、金属製光輝薄膜102と干渉膜103との間に光の少なくとも一部を透過可能な他の層を介装しても良い。また、異なる種類の複数の干渉膜103を設けても良い。
【0027】
ハードコート層104は、透明部材101の外表面101aに設けられた保護層である。ハードコート層104は、透明部材101の外表面101aが傷付くことを防止する透明な層である。トップコート層105は、干渉膜103の透明部材101と反対側の表面に設けられた保護層である。トップコート層105は、干渉膜103が劣化することを防止する透明な層である。これらのハードコート層104とトップコート層105とのいずれかあるいは両方を設けない構成も可能である。
【0028】
このように構成された本実施形態の車両用外装部品100は、照射光L2を発光する光源部の前方(光源部から見て車両の外側位置)に配置される。例えば、日光が外部から照射される昼間は、光源部が消灯される。このような昼間においては、日光等の強い外光L1が外側から透明部材101に入射し、透明部材101を透過して金属製光輝薄膜102に入射する。金属製光輝薄膜102に入射された外光L1の一部は、金属製光輝薄膜102に反射される。金属製光輝薄膜102に反射された外光L1が車両の外部の者に視認されるため、車両用外装部品100が金属調に視認される。
【0029】
一方、日光等の強い外光L1がない夜間は、光源部が点灯される。光源部から射出された照射光L2は、干渉膜103に入射する。干渉膜103に入射した照射光L2は、金属製光輝薄膜102を透過することで割合が増加する波長成分の割合が減少するように、波長成分の割合が調整される。このように干渉膜103で波長成分の割合が調整された照射光L2が金属製光輝薄膜102を透過する。金属製光輝薄膜102を透過した照射光L2は、透明部材101を透過して車両の外部に向けて射出される。このような照射光L2が車両の外部の者に視認されるため、車両用外装部品100が電飾されて視認される。
【0030】
このような本実施形態の車両用外装部品100は、透明部材101を備える。透明部材101は、車両の外部に向けられる外表面101aと車両の内部に向けられる内表面101bを有する。また、車両用外装部品100は、金属製光輝薄膜102を備える。金属製光輝薄膜102は、透明部材101の内表面101bに設けられると共に外表面101aから透明部材101に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過する。また、本実施形態の車両用外装部品100は、干渉膜103を備える。干渉膜103は、透明部材101との間に金属製光輝薄膜102を挟んで透明部材101の内表面101b側に配置されると共に透明部材101の内表面101b側から照射される照射光L2に含まれる一部の波長成分を反射あるいは吸収する。
【0031】
本実施形態の車両用外装部品100によれば、金属製光輝薄膜102によって、車両用外装部品100を外光L1が強い場合に金属調に視認させることが可能である。また、金属製光輝薄膜102が光の一部を透過可能であることから、車両の内側から照射光L2を金属製光輝薄膜102に照射することで電飾が可能である。また、本実施形態の車両用外装部品100によれば、干渉膜103によって照射光L2に含まれる一部の波長成分が反射あるいは吸収される。このため、干渉膜103によって、金属製光輝薄膜102に入射される照射光L2の波長成分の割合を調整することができ、さらには金属製光輝薄膜102を透過した照射光の波長成分の割合を調整することができる。したがって、本実施形態の車両用外装部品100によれば、車両用外装部品100を外光L1が強い場合に金属調に視認可能とし、外光L1が弱い場合に電飾可能とし、電飾時における照射光L2の波長成分の割合を調整することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態の車両用外装部品100においては、透明部材101の内表面101bに設けられると共に外表面101aから透明部材101に入射した光の少なくとも一部を反射すると共に残部を透過するフィルタ層として干渉膜103を用いている。このような干渉膜103は、例えばスパッタリングによって薄く形成することが可能である。このため、車両用外装部品100を小型かつ軽量なものとすることが可能となる。また、干渉作用を利用しているため、着色したフィルタ層を用いる場合と比較して、経年変化が生じにくい。
【0033】
また、本実施形態の車両用外装部品100においては、干渉膜103が、金属製光輝薄膜102の透過前後で照射光L2において割合が増加する波長成分を反射あるいは吸収する。このため、金属製光輝薄膜102を照射光L2が通過することによって色調の変化を、干渉膜103によってキャンセルすることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の車両用外装部品100においては、干渉膜103が金属製光輝薄膜102と密着されている。このため、干渉膜103によって金属製光輝薄膜102を保護することができ、トップコート層105を設けない構成を採用することも可能になる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0036】
図2は、本実施形態の車両用外装部品200の模式的な断面図である。本実施形態の車両用外装部品200は、上記第1実施形態の車両用外装部品100が備える透明部材101と、金属製光輝薄膜102と、干渉膜103と、ハードコート層104と、トップコート層105とに加えて、光源部106と、拡散カバー107(拡散層)とを有している。
【0037】
光源部106は、透明部材101の内表面101b側に設けられており、トップコート層105に対して一定の隙間を空けて配置されている。本実施形態において光源部106は、基板106aと、基板106aにアレイ状に複数実装されたLED素子106bとを備えている。光源部106は、不図示の制御部と接続されており、制御部の制御の下、LED素子106bの点灯及び消灯を行う。LED素子106bにて照射光L2が発光される。つまり、LED素子106bが点灯されることで、LED素子106bすなわち光源部106から照射光L2が射出される。
【0038】
拡散カバー107は、光源部106とトップコート層105との間に配置されている。つまり、拡散カバー107は、干渉膜103の透明部材101と反対側に配置されている。この拡散カバー107は、光源部106から干渉膜103に向かう照射光L2を拡散する。
【0039】
このような本実施形態の車両用外装部品200によれば、光源部106を備えるため、自らが射出した照射光L2によって電飾することが可能となる。また、本実施形態の車両用外装部品200によれば、拡散カバー107を備えているため、LED素子106bから射出された照射光L2が外部の者に点光源として認識されることを抑止することが可能となる。
【0040】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態あるいは第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0041】
本実施形態においては、上記第2実施形態における車両用外装部品200をイルミネーショングリル1に適用した例について説明する。
図3は、本実施形態のイルミネーショングリル1を備える車両20(移動体)の模式的な正面図である。
図3に示すように、車両20は、フロントガラスGの下方に配置された開閉可能なフードH、フードHの下方にて左右に離間して配置されたヘッドランプL、及びヘッドランプLの下方に配置されたフロントバンパB等を備えている。
【0042】
フードH、ヘッドランプL及びフロントバンパB等の車両パーツの表面は、搭載される車両20の種類に応じた複雑な立体的な形状とされている。例えば、フードHの上面は、本実施形態においては、車両前方に向かうに連れて下方に落ち込むように湾曲されている。ヘッドランプLの前面及びフロントバンパBの前面は、車幅方向にて車両20の端部に向かうに連れて後方に向かうように湾曲されている。
【0043】
なお、本実施形態において車両20に搭載される車両パーツは一例であり、車両20に対しては他の車両パーツが搭載可能である。また本実施形態における車両パーツの表面形状も一例であり、車両パーツの表面形状は平面ではない三次元形状にて変更可能である。ただし、全ての車両パーツの表面形状が三次元形状である必要は必ずしもない。複数の車両パーツのうち、少なくとも1つの表面形状は三次元形状とされている。
【0044】
本実施形態のイルミネーショングリル1は、昼間等の外光が強い場合に金属調に視認され、夜間等の外光が弱い場合に電飾される外装部品である。本実施形態のイルミネーショングリル1は、
図3に示すように、三次元形状の表面を有する車両パーツに囲まれるように車両20の前部に配置されている。本実施形態においては、イルミネーショングリル1は、フードHの下方、フロントバンパBの上方、かつ、左右のヘッドランプLの間に配置されている。
【0045】
図4は、本実施形態のイルミネーショングリル1の分解斜視図である。
図5は、本実施形態のイルミネーショングリル1を車両前後方向沿った鉛直面で切断した断面図であり、
図3のA-A断面図である。例えば、
図4及び
図5に示すように、本実施形態のイルミネーショングリル1は、インナ部材2と、光源部3と、ベゼル4と、アウタカバー5と、拡散板6とを備えている。
【0046】
なお、以下の説明においては、光源部3から照射光L2を射出する先を前方と称し、前方と反対側を後方と称する。本実施形態では、インナ部材2と、光源部3と、ベゼル4と、アウタカバー5とが前後方向に配列されており、これらのうちインナ部材2が最も後方側に配置され、アウタカバー5が最も前方側に配置されている。
【0047】
インナ部材2は、光源部3、ベゼル4及びアウタカバー5を直接的あるいは間接的に支持する部材であり、光源部3、ベゼル4及びアウタカバー5の後方(背後)に配置されている。インナ部材2は、例えば黒色のABSによって形成されている。インナ部材2は、板状部2aと、板状部2aを上下左右方向から囲うように設けられたインナ縁部2bとを有している。
【0048】
板状部2aは、光源部3の後述する支持基板3aに対して前後方向に一定の隙間を空けて配置されており、光源部3を後方から覆う板状の部位である。このようなインナ部材2の板状部2aは、光源部3の後述する支持基板3aに対して一定の隙間を空けて配置されている。
【0049】
また、このような板状部2aには、光源部3をねじ7(
図5参照)によって固定するための孔部2a1が複数設けられている。これらの孔部2a1に挿入されたねじ7が光源部3の後述する支持基板3aに設けられた螺合部3bに螺合されることで、インナ部材2に対して光源部3が固定される。また、インナ部材2のインナ縁部2bには、インナ部材2を車体に対して取り付けるための複数の取付部2cが設けられている。これらの取付部2cが車体に対して不図示のねじ等によって固定されることによって、本実施形態のイルミネーショングリル1が車体に対して固定される。
【0050】
また、インナ部材2のインナ縁部2bには、アウタカバー5を係止するための係止突起が設けられている。インナ部材2には、係止突起によってアウタカバー5が接続される。このようなインナ部材2は、アウタカバー5に後方から接続されると共にアウタカバー5との間にLED素子3dが収容される閉空間を形成する。
【0051】
光源部3は、不図示の制御装置の制御に基づいて照射光L2を射出する装置であり、上記第2実施形態と光源部106に相当する。この光源部3は、支持基板3aと、螺合部3bと、回路基板3cと、LED素子3dとを備えている。
【0052】
支持基板3aは、前面に回路基板3cが貼付される板状の部位である。このような支持基板3aは、アウタカバー5に対して一定の隙間を空けて配置されている。螺合部3bは、支持基板3aの裏面から後方に向けて突出して設けられた筒状の部位であり、インナ部材2の板状部2aに設けられた孔部2a1に対応して複数設けられている。これらの螺合部3bには、
図5に示すように、ねじ7が螺合される。
【0053】
回路基板3cは、表面側にLED素子3dが実装されており、裏面側が支持基板3aに固定される。この回路基板3cは、上記実施形態における基板106aに相当する。LED素子3dは、回路基板3cを介して支持基板3aの前面に固定されており、前後左右方向に複数配列されている。これらのLED素子3dは、前方から見て、支持基板3aの中央部に(
図4参照)に集めて配置されている。各々のLED素子3dには、回路基板3cを通じて制御装置に接続される。これらのLED素子3dが発光されることによって、アウタカバー5に向けて照射光L2(
図1及び
図2参照)が射出される。これらのLED素子3dは、上記実施形態におけるLED素子106bに相当する。
【0054】
なお、
図4に示すように、支持基板3aの周縁には、LED素子3dが配置されていない領域が環状に設けられており、このLED素子3dが設けられていない領域の背面に螺合部3bが設けられている。
【0055】
また、LED素子3dとアウタカバー5との間には、緩衝空間Kが設けられている。この緩衝空間Kは、車両20の走行振動によってLED素子3dとアウタカバー5とが相対移動した場合であっても、LED素子3dがアウタカバー5と接触することを防止する空間である。また、緩衝空間Kを設けることによって、LED素子3dが消灯している場合に、アウタカバー5の前方からLED素子3dがより視認され難くすることが可能となる。
【0056】
ベゼル4は、
図4に示すように、中央に開口4aが設けられた環状の板部材であり、アウタカバー5側から見て枠形状とされている。このベゼル4は、光源部3とアウタカバー5との間に介挿されている介挿部材であり、例えば黒色のABSによって形成されている。ベゼル4は、LED素子3dよりも僅かに前方に配置されており、LED素子3dに対して僅かに隙間を空けて配置されている。
【0057】
また、このようなベゼル4は、車両20の走行等によって光源部3がアウタカバー5に近づくことを規制するストッパとして機能する。このため、車両20が緊急停止したような場合であっても、ベゼル4が光源部3のアウタカバー5に接近することを防止し、LED素子3dがアウタカバー5に接触することや、LED素子3dとアウタカバー5までの距離が変化することを防止することができる。
【0058】
アウタカバー5は、光源部3(すなわちLED素子3d)の前方に配置されたカバー部材である。このアウタカバー5は、上記実施形態における透明部材101と、金属製光輝薄膜102と、干渉膜103と、ハードコート層104と、トップコート層105との積層体からなる。このようなアウタカバー5は、板状部5aと、板状部5aを上下左右方向から囲うように設けられたアウタ縁部5bとを有している。
【0059】
板状部5aは、LED素子3dの前方に配置されており、光源部3を前方から覆う板状の部位である。このようなアウタカバー5の板状部5aは、光源部3のLED素子3dに対して一定の隙間を空けて配置されている。また、アウタカバー5のアウタ縁部5bには、アウタカバー5をインナ部材2に係止するための係止爪部が設けられている。アウタカバー5は、係止爪部がインナ部材2の係止突起に係止されることによってインナ部材2が接続される。なお、アウタ縁部5bとインナ縁部2bとの境界部分には、必要に応じてシーリングが施される。このようなシーリングによって、インナ部材2とアウタカバー5との間の閉空間が封止され、LED素子3dを空気中の水分等から守ることが可能となる。
【0060】
拡散板6は、光源部3とアウタカバー5との間に配置されている。この拡散板6は、インナ部材2に固定されている。このような拡散板6は、上記実施形態における拡散カバー107に相当する。
【0061】
このような本実施形態のイルミネーショングリル1においては、金属製光輝薄膜102によって、イルミネーショングリル1を外光が強い場合に金属調に視認させることが可能である。また、金属製光輝薄膜102が光の一部を透過可能であることから、車両の内側から光源部3から照射光L2を金属製光輝薄膜102に照射することでイルミネーショングリル1の電飾が可能である。また、本実施形態のイルミネーショングリル1によれば、干渉膜103によって照射光L2に含まれる一部の波長成分が反射あるいは吸収される。このため、干渉膜103によって、金属製光輝薄膜102に入射される照射光L2の波長成分の割合を調整することができ、さらには金属製光輝薄膜102を透過した照射光の波長成分の割合を調整することができる。したがって、本実施形態のイルミネーショングリル1によれば、イルミネーショングリル1を外光が強い場合に金属調に視認可能とし、外光が弱い場合に電飾可能とし、電飾時における照射光L2の波長成分の割合を調整することが可能となる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1……イルミネーショングリル(車両用外装部品)、2……インナ部材、3……光源部、4……ベゼル、5……アウタカバー、6……拡散板(拡散層)、100……車両用外装部品、101……透明部材(透明層)、101a……外表面、101b……内表面、102……金属製光輝薄膜、103……干渉膜、104……ハードコート層、105……トップコート層、106……光源部、107……拡散カバー(拡散層)、200……車両用外装部品、L1……外光、L2……照射光