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▶ 株式会社フジキンの特許一覧

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  • 特開-レンチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146108
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】レンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/48 20060101AFI20231004BHJP
   G01C 9/24 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B25B13/48 D
G01C9/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053130
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 和幸
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝保
(57)【要約】
【課題】水平の確認が可能で、作業の邪魔にならない水準器をもつレンチを提供する。
【解決手段】本体部2と本体部2の少なくとも一方にもうけられたヘッド部3とからなる操作部4と、ヘッド部3の端部に形成されたヘッド部の先端部分に開口部が外側になるように口径部5が形成され、口径部5は、対向した面が平行になる平行面5a及び5bを有し、本体部2の中央部分には、孔6が形成されており、その中に水準器7が配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人手によって、被回転体を回転させる操作部を備えたレンチであって、
前記操作部は、棒状の本体部と、該本体部の少なくとも一方に形成され、被回転体又は被回転体に嵌合するソケットを保持する保持部を備えたヘッド部とからなり、
前記操作部には、孔が形成され、
前記孔の中に水準器が配置されているレンチ。
【請求項2】
前記水準器は、前記孔から突出しないよう設置されている、請求項1に記載のレンチ。
【請求項3】
前記孔は、操作部を貫通している、請求項1に記載のレンチ。
【請求項4】
前記被回転体は、ナット及びボルトである、請求項1に記載のレンチ。
【請求項5】
前記保持部は、前記回転体の頭部に形成された平行面に対向する平行面を有する口径部、または、前記回転体を嵌め入れ可能な固定部が形成されている、請求項1に記載のレンチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として水準器付のレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンチ(スパナも含み、ここではボルト等を回して締付け等を行うものの総称とする)の構造は、棒状の本体部の少なくとも一方にヘッド部を持ち、このヘッド部には、ボルト(ナット等の被回転体も含む)の頭部に設けられた六角形の内のいずれかの平行面に対向する平行面を持つ口径部、またはボルト頭部全体を嵌め入れ可能で内径部に複数の凹凸が形成されることでボルト頭部の六角形の角部が凹凸に嵌まるように形成された保持部を有し、ボルトを保持部に嵌め入れた状態で、本体部をボルトの回転軸を中心に回転させることで、ボルトを締付け固定、または緩めて取り外すことが出来る。
【0003】
通常の作業に於いて、水平な固定面に対してボルトを締付ける際、ヘッド部がボルトを固定面に対して水平になるようにしてレンチを回転させる必要がある。これは、ヘッド部が固定面に対して斜めの状態で回転させた場合、ヘッド部の先端部が固定面に接触し、固定面を傷付ける可能性があるためである。また、ヘッド部が固定面に対して斜めになっているという事は、ボルトの頭部に対しても斜めに嵌められていることになるため、ボルトに対して加えるトルク等が不均一になり、締付け不良が発生する可能性がある。
【0004】
レンチのヘッド部を水平になるようにするため、レンチの上に水準器(水平器とも言う、水平状態を確認する器具)を乗せた状態で締め付けを行う事も出来るが、レンチの上に水準器を固定した状態で両方を回転させる必要があり、作業がやりにくく、作業効率が悪くなる。なお、特許文献1のようにレンチに水準器を設置するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-094669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の水準器付レンチは、ねじ止め具の上部に円形の水準器を設けている。それによって、水準器を手で固定する必要はなく、水準器を見ながらレンチのみを動かすことが出来る。しかしながら、特許文献1の水準器付レンチは、水準器がねじ止め具の上部に設けられているため、締付け作業を行う際には邪魔になり、作業途中に持ち替えたりする必要が出てくる。
本発明は、作業時に邪魔にならず、レンチの平行度を容易に確認することが出来る水準器付のレンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るレンチは、人手によって、被回転体を回転させる操作部を備えたレンチであって、前記操作部は、棒状の本体部と、該本体部の少なくとも一方に形成され、被回転体又は被回転体に嵌合するソケットを保持する保持部を備えたヘッド部とからなり、前記操作部には、孔が形成され、前記孔の中に水準器を備えることを特徴とする。前記水準器は、前記孔から突出しないよう設置されてもよい。また前記孔は、操作部を貫通していてもよい。さらに前記被回転体は、ナット及びボルトであってもよい。前記保持部は、前記回転体の頭部に形成された平行面に対向する平行面を有する口径部、または、前記回転体を嵌め入れ可能な固定部が形成されていればよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水準器がレンチの操作部に設置されているため、締付け作業を行っている際に、持ち手を変えずに水準器を見ながら作業を行うことが出来る。また、水準器はレンチに内蔵されているため、作業の邪魔になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るレンチの第1実施形態を示す上面図及び断面図である。
図2】水準器の外観図である。
図3】本発明に係るレンチの第2実施形態を示す外観図である。
図4】本発明に係るレンチの第3実施形態を示す上面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るレンチの実施形態について、以下に図1図4を参照して説明する。
【0011】
図1を参照して、第1実施形態に係るレンチ1は、棒状の本体部2の端部にヘッド部3が配設された操作部4と、ヘッド部の先端部分に開口部が外側になるように口径部(保持部)5が形成されている。口径部5は、対向した面が平行になる平行面5a及び5bを有している。この平行面5a及び5bが、ボルトの六角形の頭部のうちの対向する面と向き合うように嵌めた状態で、操作部4をボルトの回転軸に合わせて回転させることで、ボルトを締付ける、もしくは、ボルトを緩めることが出来る。レンチ1の本体部2の中央部分には、孔6が形成されており、その中に水準器7が配置されている。
【0012】
図2は、水準器7の構造を示している。気泡管7bの両端部分に蓋部7aがそれぞれ固定されており、気泡管7bの内部に充填されている液体7e(一般的にはアルコールやエーテル等)を漏れないようにシールしているとともに、孔6内で水準器7を固定している。また、気泡管7bの内部には、液体7eとともに気泡7dが混入されており、この気泡7dの位置によってレンチの傾き具合を確認することが出来る。具体的には、円筒部7bの外部に記載されている線7cと気泡7dとの位置からレンチの平行度の具合を確認しながら、傾きを調整することになる。
【0013】
水準器7は、孔6の中に設置された際、本体部からはみ出ることが無いように固定する。それによって、水準器7を用いて作業を行う際、水準器7に引っかかることなく作業を行うことが出来る。なお、水準器7が本体2からはみ出ないように設置する事が出来るのであれば、孔2は貫通したものでも底面を有するものであっても良い。また水準器7の設置場所は、図1では本体部2の中ほどに設置しているが、作業を行う際に邪魔にならず、且つ、作業中に見ることが出来る位置であれば操作部4のどこであっても良く、例えばヘッド部3の平坦部3aに設けるようにしても良い。平坦部3aは並行面5a及び5bと垂直となる位置に配置されているので、平坦部3aに水準器7を設けても作業中にレンチの水平を確認することが出来る。
【0014】
図3は、本発明に係るレンチの第2実施例を示している。図3のレンチは、所謂モンキーレンチで、ヘッド部13に設けられた上あご部13bと下あご部13cとで口径部15を構成しており、下あご部13cは、ウォーム18を回転させることで上あご部13bの平行面15aに向かって下あご部13cの平行面15bを移動させて、ボルトの頭部を挟み込み、本体部12をボルトの回転軸に沿って回転させることでボルトを締付け、または緩めることが出来る口径部(保持部)25を形成する。水準器7は本体部12の中央部分に設けられた孔16内に設置されている。
【0015】
図4は、本発明に係るレンチの第3実施例を示している。図3のレンチは、本体22の一方の端に第1ヘッド部23を有し、先端部に開口部を持つ口径部25を有するレンチと、本体22の他方の端には第2ヘッド部28に円形状の貫通孔となっている固定部(保持部)29の内部に凹凸30が設けられたレンチとを有しており、凹凸30がボルトの六角形にはまり込むことで本体22とボルトを固定し、ボルトの回転軸に沿って回転させることでボルトを締付け、または緩めることが出来る。
【0016】
これらの構造は、所謂コンビネーションレンチやコンビネーションスパナとも呼ばれる。また図4では、固定部29の内部の凹凸30は固定されているが、所謂ラチェットレンチのように、凹凸30が可動するタイプのものでも良い。図1図3では水準器は1つだけ設けられていたが、図4の場合、本体22の両端それぞれでボルトの締付け作業を行う事が可能であるため、それぞれ作業で使用できるように、水準器を2つ設けても良い。すなわち、本体22には、第1孔26aと第2孔26bが設けられ、それぞれに第1水準器27aおよび第2水準器27bが配置されている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。たとえば、本体両端が貫通孔でその内部に凹凸が形成されている、所謂メガネレンチであっても良い。また、水準器の形状は気泡管のように、円筒を横向けにした構造で説明したが、水平を確認できる構成であればどのような形状でも良く、例えば円形や円盤形(図示無し)と呼ばれる水準器を用いても良い。さらに、本体部が直線ではなく、途中で曲がっている形状のレンチについて、水準器を設置する場所とヘッド部とが水平になるようにしておけば、本願の目的を達することが出来る。
【符号の説明】
【0018】
1 レンチ
2、12、22 本体部
3、13、23、28 ヘッド部
4 操作部
5、15、25 口径部(保持部)
5a、5b、15a、15b、25a、25b 平行面
6、16、26a、26b 孔
7、27a、27b 水準器
7a 蓋部
7b 気泡管
7c 線
7d 気泡
29 固定部(保持部)
30 凹凸

図1
図2
図3
図4