(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146114
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】被写体評価管理装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/30 20060101AFI20231004BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20231004BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20231004BHJP
【FI】
G01B11/30 W
G06T7/60 150Z
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053136
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
(72)【発明者】
【氏名】坂田 全弘
【テーマコード(参考)】
2F065
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA23
2F065AA25
2F065AA49
2F065AA65
2F065BB15
2F065CC40
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ03
2F065MM06
2F065MM26
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ41
2F065RR08
2F065SS09
2F065UU05
5L049CC07
5L096BA03
5L096FA59
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA70
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、被写体を撮影すると被写体認識をし、損傷等のスコア、ランクを判定し、熟練者の優先ランク入力により、ランク判断基準が、集積された熟練者の判断基準により自動的に置き代わる被写体評価管理装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の被写体評価管理装置は、撮像手段と被写体認識手段と特徴量スコア算出手段とランク判定手段とランク対応スコア基準データメモリと電子管理表と表示手段と優先入力ランク判定手段と優先判定履歴データメモリと基準データ置換手段を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理すべき被写体の画像を撮影するカメラである撮像手段と、撮影された前記被写体の前記画像から前記被写体の特徴量を算出し、前記特徴量の値から評価のためのスコアを求める特徴量スコア算出手段と、前記スコアの値が属するランクを判定するランク判定手段と、前記ランクを判定する場合に用いるランク対応スコア基準データを格納するランク対応スコア基準データメモリと、電子管理表を作成する電子管理表作成手段と、前記被写体の物件を識別する物件識別子と前記画像と前記スコア又は/及び前記ランクとを含む前記被写体の物件情報を収納する電子的収納部と、操作入力又は/及び判定出力を行う表示手段と、を備え、
前記電子管理表作成手段は、前記物件情報を前記電子管理表に組み入れ作成し、表示することを特徴とする被写体評価管理装置。
【請求項2】
前記被写体の個々の識別を行う被写体認識手段を更に備え、前記被写体認識手段は、
取得された前記被写体の特徴的形状の画像自体、又は、前記被写体の近傍に設置され前記被写体の個々を識別可能な被写体識別仕掛により、前記被写体を識別し、前記被写体に固有な前記物件識別子を割り当てることを特徴とする請求項1記載の被写体評価管理装置。
【請求項3】
前記ランクを判定する場合に、前記ランク判定手段を介さずに、熟練者が優先的に前記被写体の実物又は前記画像からランクを決めて入力することが可能な優先入力ランク判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の被写体評価管理装置。
【請求項4】
前記優先入力ランク判定手段により入力された優先判定結果を蓄積する優先判定履歴データメモリと前記優先判定結果が所定の量蓄積した場合に、前記ランク対応スコア基準データメモリ内の前記ランク対応スコア基準データを前記優先判定結果により自動的に置き換える基準データ置換手段とを更に備えることを特徴とする請求項3記載の被写体評価管理装置。
【請求項5】
前記電子的収納部は、前記画像、前記スコア、前記ランクの前記被写体に関する各データを前記被写体の区別なく収納するものであって、
各データは、前記物件識別子と撮影年を含む撮影年情報が付与されて収納され、前記電子管理表として表示する場合に、前記電子管理表作成手段により、前記物件識別子と前記撮影年情報をもとに検索され、引き出されて前記電子管理表の書式の所定の位置に前記各データがはめ込まれて、前記電子管理表として供されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置。
【請求項6】
前記画像内の前記スコアを算出する範囲を指定する算出範囲指定手段を備え、表示された撮影画像の前記被写体を囲む指定により、囲まれた領域の前記被写体の画像のみを前記スコアの計算に供することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置。
【請求項7】
前記特徴量が複数ある場合に、前記被写体の劣化の管理対応では、前記スコアの最悪値、前記被写体の改良の対応では前記スコアの最良値をもって前記ランクを判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置。
【請求項8】
前記被写体認識手段で前記被写体の認識が行われた後、該当する前記物件識別子に対応する表示部が前記電子管理表の表示において点灯する顕示表示をすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体をカメラ画像として捉え、特徴量の数値をスコアとして算出し、スコアの属するランクにより対処管理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下に関係する従来例を上げる。
特許文献1は、点検対象物をカメラで撮影し、画像解析装置で解析し、表面劣化の度合いを示すスコアを算出し、画像とスコアを紐づけてサーバに保存するシステムを提案している。各画像の実情を数値化したスコアの計算と、その見直しまで記述があるが、スコアから基準値に基づいたランク分けについては、記述がなく、人為的な判別になる恐れがある。
更に、特許文献1の段落0012から0013にあるように、点検作業員が、点検対象物に関する情報を検索・取得して設定、或いは、点検対象物一覧から情報を呼び出して、画像とそのスコアを紐づけるなど人為的な所為となり、ミスに繋がりやすい。更に、点検現場での経験豊富な点検員の判定を優先的に生かし、データ化していくものではない。
特許文献2は、測定点までの距離と、水平角、垂直角を計測してカメラの光軸に対する被調査面の傾斜角を求め、被調査面がカメラに正対した画像に補正してコンクリート面のひび割れの分布状態とひび割れ幅を求め表示するものであり、本願による処理の補助として使用できる。
特許文献3は、被写体と被写体の単位長を撮影して、被写体の寸法を計測するものである。
被写体の寸法の計測は、公知の手法であり、被写体の単位長を撮影しなくとも可能であることは知られていて利用できる。例えば、被写体とカメラが正対していれば、
図11に示される式により、レンズの焦点距離f、焦点と感光面の距離x(ピント合わせにおいてのレンズの繰り出し距離から計算される)は、既知であるので、被写体までの距離aが計測され既知とすれば、撮像面の像サイズwを計測すれば、被写体の実寸法が分かるのは公知であり、そのために、距離測定手段を要する。他に、ステレオカメラを用いると、距離測定が不要で寸法の測定が可能なことも距離測定手段として公知であり、利用できる。尚、被写体とカメラが正対していない場合は、特許文献2の手段で補正し対応することが出来、その後に、
図11の式を使用すればよい。
又、特許文献4は、ズームレンズを備えるオートフォーカスカメラにおいて、被写体までの距離を測定する手段と、その距離とズームレンズ位置から求めたスケールを画面に表示することも行われていて公知技術として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-4285
【特許文献2】特開平10-78305
【特許文献3】特開2006-127104
【特許文献4】特開平1-268363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、被写体を撮影すると被写体認識をし、損傷等のスコア、ランクを判定し、自動的に電子管理表を作成し、管理に供し、更に、熟練者の優先ランク入力により、ランク判断基準が、集積された熟練者の判断基準により自動的に置き換わる被写体評価管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、被写体評価管理装置であって、
管理すべき被写体の画像を撮影するカメラである撮像手段と、撮影された前記被写体の前記画像から前記被写体の特徴量を算出し、前記特徴量の値から評価のためのスコアを求める特徴量スコア算出手段と、前記スコアの値が属するランクを判定するランク判定手段と、前記ランクを判定する場合に用いるランク対応スコア基準データを格納するランク対応スコア基準データメモリと、電子管理表を作成する電子管理表作成手段と、前記被写体の物件を識別する物件識別子と前記画像と前記スコア又は/及び前記ランクとを含む前記被写体の物件情報を収納する電子的収納部と、操作又は/及び判定出力を行う表示手段と、を備え、
前記電子管理表作成手段は、前記物件情報を前記電子管理表に組み入れ作成し、表示することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の被写体評価管理装置において、
前記被写体の個々の識別を行う被写体認識手段を更に備え、前記被写体認識手段は、
取得された前記被写体の特徴的形状の画像自体、又は、前記被写体の近傍に設置され前記被写体の個々を識別可能な被写体識別仕掛により、前記被写体を識別し、前記被写体に固有な前記物件識別子を割り当てることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の被写体評価管理装置において、
前記ランクを判定する場合に、前記ランク判定手段を介さずに、熟練者が優先的に前記被写体の実物又は前記画像からランクを決めて入力することが可能な優先入力ランク判定手段を更に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の被写体評価管理装置において、
前記優先入力ランク判定手段により入力された優先判定結果を蓄積する優先判定履歴データメモリと前記優先判定結果が所定の量蓄積した場合に、前記ランク対応スコア基準データメモリ内の前記ランク対応スコア基準データを前記優先判定結果により自動的に置き換える基準データ置換手段とを更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置において、前記電子的収納部は、前記画像、前記スコア、前記ランクの前記被写体に関する各データを前記被写体の区別なく収納するものであって、
各データは、前記物件識別子と撮影年を含む撮影年情報が付与されて収納され、前記電子管理表として表示する場合に、前記電子管理表作成手段により、前記物件識別子と前記撮影年情報をもとに検索され、引き出されて前記電子管理表の書式の所定の位置に前記各データがはめ込まれて、前記電子管理表として供されるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置において、前記画像内の前記スコアを算出する範囲を指定する算出範囲指定手段を備え、表示された撮影画像の前記被写体を囲む指定により、囲まれた領域の前記被写体の画像のみを前記スコアの計算に供することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置において、前記特徴量が複数ある場合に、前記被写体の劣化の管理対応では、前記スコアの最悪値、前記被写体の改良の対応では前記スコアの最良値をもって前記ランクを判定することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の被写体評価管理装置において、前記被写体認識手段で前記被写体の認識が行われた後、該当する前記物件識別子に対応する表示部が前記電子管理表の表示において点灯する顕示表示をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の様に構成されているので、本発明による被写体評価管理装置では、被写体を撮影すると被写体認識をし、損傷等のスコア、ランクを判定し、電子管理表を自動的に作成し管理に供し、更に、熟練者の優先ランク入力により、ランク判断基準が、集積された熟練者の判断基準により自動的に置き換わる判断機能が充実する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる被写体評価管理装置の構成の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる被写体評価管理装置の動作フローの一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる被写体評価管理装置が管理する被写体が道路例である場合の管理すべき損傷の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる被写体評価管理装置により被写体の特徴量のスコアとランクの一実施態様を示す図である。
【
図5】本発明にかかる被写体評価管理装置が扱う被写体の損傷等の特徴量とスコアとランク判定の一実施態様を示す図である。
【
図6】本発明にかかる被写体評価管理装置の損傷態様からのスコア算定とランク判定までの動作の一実施態様を示す図である。
【
図7】本発明にかかる被写体評価管理装置で熟練者優先の判定入力を促す表示例の一実施態様を示す図である。
【
図8】本発明にかかる被写体評価管理装置の優先判定履歴データのスコア-ランク分布の一実施態様を示す図である。
【
図9】本発明にかかる被写体評価管理装置の表示面に表示される電子管理表の一実施態様を示す図である。
【
図10】本発明にかかる被写体評価管理装置の表示面に表示される電子管理表の他の実施態様を示す図である。
【
図11】カメラ画像の寸法と被写体までの距離、レンズの焦点距離から被写体の寸法を算出する公知の技術を示す図である。
【
図12】国土交通省資料による道路種毎の健全性の診断判定区分の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明にかかる被写体評価管理装置の構成の一実施態様を示す図である。
管理すべき被写体の画像を撮影するカメラである撮像手段110と、撮影された被写体の画像から被写体の特徴量を算出し、特徴量の値から評価のためのスコアを求める特徴量スコア算出手段120とスコアの値が属するランクを判定するランク判定手段130と、ランクを判定する場合に用いるランク対応スコア基準データを格納するランク対応スコア基準データメモリ140と、後述する物件識別子と画像とスコア又は/及びランクを含む被写体の物件情報を示す電子管理表を作成する電子管理表作成手段150と、前記物件情報を収納する電子的収納部151と、操作入力又は/及び判定出力を行う表示手段160と、被写体の個々の識別を行う被写体認識手段170とを備え、撮像手段110により撮影された被写体又は被写体関連の画像から被写体認識手段170により被写体を認識し、撮像手段110により撮影された被写体の画像の損傷等の特徴量とスコアを特徴量スコア算出手段120で算出し、ランク判定手段130でランク判定し、電子的収納部151に格納し、電子管理表として表示して被写体の対処管理を行うものである。
【0016】
ここで、被写体認識手段170は、取得された被写体の特徴的形状の画像自体又は、被写体の近傍に設置され被写体の個々を識別可能な被写体識別仕掛を撮影する。被写体識別仕掛としては、被写体の特徴的形状の画像自体以外に、マーク、番号、符号、符標、二次元コード、QRコード(登録商標)、通信TAGなどの形態が可能である。通信TAG以外は、画像撮影による取得できるものであるが、通信TAGは、被写体識別仕掛側と被写体評価管理装置側の間に通信手段が必要となることは当然である。
被写体識別仕掛により被写体が識別されると、その被写体となった物件に対応し、区別する物件識別子が割り当てられる。物件識別子の形態としては、番号、符号、文字等区別表示が可能であれば利用できる。
被写体識別仕掛を撮影することで自動的に被写体を認識可能なので、人為的ミスの恐れを排除できる。当然、被写体識別仕掛が無い場合は、作業者の操作で直接、電子管理表作成手段150又は被写体認識手段170を経由して物件識別子を入力することも可能である。
特に、実績のない初めての被写体の撮影になる場合は、作業者の操作で物件識別子を指定或いは既に割り当てられた順番で次の物件識別子を電子管理表作成手段150又は被写体認識手段170が割り当てることでもよい。
尚、被写体識別仕掛側が番号、符号などの例では、わざわざ変えることなく、被写体識別仕掛側の番号、符号と同じ番号、同じ符号を物件識別子にしてもよいことは当然である。更に、本装置では、特徴量スコア算出手段120で特徴量とスコアからランクを判定する場合に、ランク判定手段130を介さずに、熟練者が優先的に実物又は画像からランクを判定して入力することが可能な優先入力ランク判定手段180と優先判定結果を蓄積する優先判定履歴データメモリ190と優先判定結果が所定の量蓄積した場合に、ランク対応スコア基準データメモリ140内の基準データを優先判定結果により自動的に置き換える基準データ置換手段200を有する。
【0017】
ランク対応スコア基準データメモリ140内の基準データは、最初は、初期値設定手段210により人為的に設定されたもので、満足な値でない場合も多いが、優先入力ランク判定手段180で熟練者の判定したランクは、最も信頼できる判定であり、そのデータが集積されて、基準データに置き換わっていくことで、自然に信頼できるランク判断をするシステムが形成されていくことになり、極めて有効な手段となっている。
【0018】
更に、画像から被写体やその特徴量の寸法を計算する場合には、ステレオカメラを用いるか、又は、被写体までの距離を測定する距離測定手段220が必要となる。
距離測定手段220としては、超音波距離測定装置やレーザー測長器が使用できる。
又、被写体の位置が欲しい場合は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)等の位置測定手段230があってもよい。尚、算出範囲指定手段240を備えると、表示された撮影画像の被写体を囲む指定により、囲まれた領域の被写体の画像のみをスコア計算に供することが出来都合がよい。
【0019】
図2は、本発明にかかる被写体評価管理装置の動作フローの一実施態様を示す図である。
a)電源をonする。
b)通常撮影か/監視判定撮影か指定する。
通常撮影を指定すればc)通常撮影となり
監視判定撮影を指定すれば、
d)被写体認識・撮影/被写体までの距離、位置測定となる。
被写体認識手段170により被写体の個々を区別して認識できれば、被写体データと画像とを人手を介さず結合できミスの恐れは無くなる利点がある。
e)被写体認識により、被写体に関連する電子管理表関連が指定又は選択される。
尚、電子管理表の作成と表示は、電子管理表の作成・表示の起動ボタンを設けておけば、使用者が必要な時に随時行えることは当然である。
f)撮影された画像内でスコア等の算出を行う範囲の指定を行うことも可能である。
g)範囲指定
h)範囲指定の有無にかかわらず、スコアが算出される。算出例は後述される。
i)熟練者によるランク優先入力をしたか判定する。
j)優先入力しない場合は、計算されたスコアに対して、ランク対応スコア基準データメモリ140のデータから対応するランクを自動判定する。尚、ランク対応スコア基準データメモリ140のデータは、ランクごとのスコアの範囲を判定基準として、予め、m)手動入力されている。
このことにより、熟練者でないものは、ランク判定しなくとも自動判定に任すことが出来る。
k)優先入力した場合は、スコアとランクのデータを優先判定履歴データメモリ190に格納される。
l)優先入力の有無に関わらず、被写体の画像、スコア、ランクを対応する電子管理表として作成・表示し、電子的収納部に格納する。
n)優先判定履歴データメモリ190には、スコアとランクのデータが格納されて、所定の量蓄積されると、この優先判定の実績データによる判定基準がランク対応スコア基準データメモリ140に組込が自動的に行われる。その結果、熟練者による判断基準が自動的にランク対応スコア基準データメモリ140内の新たな基準となり好都合となる。この結果、年々、熟練者が減少していき判断が未熟になっていく現状を打開することが出来る。
【0020】
図3は、本発明にかかる被写体評価管理装置が管理する被写体が道路例である場合の管理すべき損傷の一実施態様を示す図である。
管理対象が道路例での損傷例であり、損傷態様が、1.ひび割れ単一、分岐あり、複合
2.穴孔/凹凸段差 3.錆び・腐蝕について、形状特徴、長辺長、短辺長、最大段差、損傷部総面積と割合などの数値を持つ特徴量が示されている。
図5は、道路画像を例にして
本発明にかかる被写体評価管理装置が扱う被写体の損傷等の特徴量とスコア算出とランク判定を示した図である。
5-1と5-4の状態は一般道路ではよく見かけるが、(スコア,ランク)で、各々(68,3)と(63,3)であり、その他は、5-2,5-3,5-5は、(88,4)、(82,4)、(93,4)となっている。
尚、ランクとスコアの範囲例は、
図4に示される。ランクの4段階表示では、例えば、ランク4は、被写体は、「問題になるレベルであり、緊急に処置対応必要」の状態である。
ランクを決めるスコアの範囲は、被写体が何であるかにより決まる。例えば、高速道路と一般道路では、全く違うことは当然となる。
尚、ランクの4段階区分は、
図12に示すように国土交通省資料にも見ることが出来る。
尚、画像内のスコアを算出する範囲を指定する算出範囲指定手段を備えて、表示された撮影画像の被写体を、
図5の5-5に示すように囲む指定により、囲まれた領域の被写体の画像のみをスコアの計算に供することで、損傷の無い領域を計算から排除し無駄な計算を行うことを回避でき、しかも、損傷の割合等を求めることが必要な場合は、損傷の無い部分が大きいほど、損傷部の割合が小さく見えてしまい、妥当な比較ができにくい恐れがあるため、算出範囲指定によりこれを回避することができる。
【0021】
次に、損傷態様からのスコア算出とランク判定までの動作の例を示す。
図6は、本発明にかかる被写体評価管理装置の損傷態様からのスコア算定とランク判定までの動作の一実施態様を示す図である。
6-1において、
・画像の損傷態様から先ず、特徴量の算出を行う。特徴量は、最大段差、長辺長、短辺長、損傷部総面積等である。
・特徴量数値をスコアに換算する。(この処理は、特徴量は、被写体の物理的な量で損傷により異なるので、数値のみでは、状態の深刻度合が捉えにくい。そのため同じ尺度になるようにスコアに換算している)
・複数の特徴量がある場合は、そのスコアの最悪値又は最良値をもって、そのスコアが入るランクを判定する。ランク判定は、例えば、
図4をもとに行う。通常の被写体は、一般には、時間とともに損傷・劣化していく場合が殆どなので、このような対応には、スコアの最悪値をもってランクを判定する。ところが、例えば、生物特に植物の品種改良の場合は、悪くなるものもあるが、良くなっていくものがあり、良くなっていくものを選別して飼育し、改良していくので、スコアの最良値をもってランクを判定することがよい。当然、
図4、
図7他、図では、損傷・劣化していくものの管理対象にした例を示したが、品種改良の様な改良していく場合は、具体的な記述が変わることがある。
【0022】
6-2に特徴量の算出例を示す。特徴量(寸法)の算出の背景技術は、
図11に示され公知の技術であり、「カメラ撮影された画像内の対象物のサイズは、カメラから対象物への距離と、レンズによる拡大率により決まるので、距離計による距離と、撮影時のカメラの拡大率により画面上のサイズ(画素数に対応)を機械的に補正することで正確に求まる。」ということである。例えば、6-2の右側には、ひび/裂、凹凸/穴孔、これらの複合/錆び等の損傷状態の画像を撮像手段110の画素対応で示している。勿論、実際の画素は、100万画素では、1000行、1000列に並んでいるので、図に表示できないくらい細かいものである。ひび/裂では、長辺長(長さ方向)と長さ方向と直角な短辺長(最大値を選ぶ)の寸法を算出し、凹凸/穴孔では、奥行方向での幅を段差として算出し、複合や錆びでは、損傷部総面積を算出しているが、いずれも画像の寸法又は、画像の画素数から自動的に算出することが出来る。
6-3には、道路の段差を例にとり、特徴量の数値に基づいてスコアの値に換算することを示している。被写体となった対象物により対応関係の数値は違って設定される。
こうして、被写体の画像の特徴量算出からスコアへ換算、スコアからランクが判定され、管理に供される。
【0023】
図7は、本発明にかかる被写体評価管理装置で熟練者優先の判定入力を促す表示例の一実施態様を示す図である。
特徴量スコア算出手段120において、
図2のフロー図のh)スコアを算出した後、優先入力ランク判定手段180において、
図2のフロー図のi)ランク優先入力したかの判定がされる。その場合の動作例を示す。
図7は、本発明にかかる被写体評価管理装置で熟練者優先の判定入力を促す表示例の一実施態様を示す図である。表示面に示される表示例を示している。
熟練者(又は、熟練者優先判定資格者/使用者側の判断で決めて良い)は、被写体又はその画像から指定ランク番号のボタンを押せば、ランクを指定することが出来る。当然、被写体の画像は特徴量とスコアが算出されているので、ランクが付加された形になる。熟練者でないものや、優先判定したくない場合は、指定しないボタンを押せばよい。指定しないボタンを押すと、
図2のフロー図のj)のランク対応スコア基準データメモリ140のデータからランクの自動判定されることは既述の通りである。
【0024】
図2のフロー図のk)スコアとランクのデータを優先判定履歴データメモリ190に格納する工程に示すように、優先判定がなされる度に、スコアとランクの関連データは、
図8に示すように蓄積していく。ランクごとのスコア範囲基準が分かるほどの所定の数量になった時に、
図2のフロー図のn)ランク対応スコア基準データメモリ140へ優先判定の実績組込が行われ、熟練者経験に基づく判定基準が出来上がり、以後のランク判定に生かされる。
【0025】
図9は、本発明にかかる被写体評価管理装置の電子管理表作成手段150により作成され表示面に表示される電子管理表の一実施態様を示す図である。
図2のフロー図のe)電子管理表関連指定に関連し、表示手段160に表示される電子管理表の例が示されている。
この例では、被写体となった物件を表す物件識別子毎に物件名、スコア、ランク、定期点検実績、データ収納のための電子的な電子的収納部が表形式で配置される。
電子的収納部は、収納箱形式の見かけを持つとよい。
図1の被写体認識手段170で
図2のフロー図のd)被写体認識が行われると、該当する物件識別子に対応する表示部が点灯するなどの顕示表示をするので、使用者は、誤ることなく被写体に対応出来る。
例えば、物件識別子の被写体に関する被写体識別仕掛をカメラで撮影すると、被写体識別仕掛から物件識別子が例えば、06である場合は、06の物件識別子に対応する表示部が点灯する。
06の電子的収納部内には、06の物件識別子の被写体に関する物件識別子、撮影画像、撮影年月日、位置データ、スコア、ランク、その他特記事項など電子データが点検毎の履歴として収納され、履歴表示へのボタンを押すと、<履歴等グラフ表示>を表示でき、履歴グラフを見ることが出来る。戻りボタンにより、前の表示に戻ることが出来る。これらのデータは、電子的書式になっていて、被写体を撮影しただけで、構成され表示される。
被写体のデータは、物件識別子をもとに、自動的に同じ物件識別子の電子的収納部に収納され、人為的な操作を必要としないので、誤操作の恐れを回避できる。
【0026】
図10は、本発明にかかる被写体評価管理装置の電子管理表作成手段150により作成され表示面に表示される電子管理表の他の実施態様を示す図である。
図9との違いは、対象物件毎の電子的収納部151はなく、ここでは、電子的収納部151は、データを対象物件の区別なく収納するようになっている。各データは、物件識別子と撮影年情報が付与されているだけで、ランダムに収納されている(通常データ取得や処理の都度収納することが多い)が、電子管理表として表示する場合に初めて、電子管理表作成手段150により、物件識別子と撮影年情報をもとに電子的収納部151の中で自動検索又は、被写体評価管理装置の使用者の操作により検索され、引き出されて電子管理表書式の所定の位置に各データが自動又は使用者の操作によりはめ込まれ、電子管理表として表示に供されるものである。この態様では、電子管理表作成手段150で表示出力前に検索・組み込みという処理が必要であるが、全て電子的に処理されるので、処理は早く待ち時間もなく行われ不利な点はない。更に利点は、
図9のものよりデータ量が少なくて済むことと、この扱いができる人を権限で制限すると、電子的収納部151に格納されたバラバラのデータ自体からは、電子管理表のように容易にデータ把握ができないので、悪意による把握が難しく機密保持に有効であることである。勿論、上記の利点は、失われるが、各データがはめ込まれ電子管理表になったものを電子的収納部151又は他の記憶媒体に格納してもよい。
尚、明細書及び請求の範囲に既述する「撮影年情報」の意味するものは、撮影した年、年月、年月日、年月日時刻などの年次を含む撮影時を表す情報である。
更に、電子的収納部151へのデータの格納は、年度毎に分ける等も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように本発明にかかる被写体評価管理装置は、被写体を撮影すると被写体認識をし、
損傷等のスコアを算出、ランクを判定し、熟練者の優先ランク入力により、ランク判断基準が熟練者の判断基準により置き換わるので、産業上利用して極めて好都合である。
【0028】
110 撮像手段
120 特徴量スコア算出手段
130 ランク判定手段
140 ランク対応スコア基準データメモリ
150 電子管理表作成手段
151 電子的収納部
160 表示手段
170 被写体認識手段
180 優先入力ランク判定手段
190 優先判定履歴データメモリ
200 基準データ置換手段
210 初期値設定手段
220 距離測定手段
230 位置測定手段
240 算出範囲指定手段