(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146119
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】穿孔装置およびそれを備えたシート後処理装置
(51)【国際特許分類】
B26D 5/16 20060101AFI20231004BHJP
B26F 1/14 20060101ALI20231004BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B26D5/16
B26F1/14 C
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053141
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 里菜
【テーマコード(参考)】
3C024
3C060
3F108
【Fターム(参考)】
3C024BB06
3C060AA01
3C060BA01
3C060BB12
3C060BC02
3C060BC03
3C060BC06
3C060BD01
3C060BE08
3C060BF09
3C060BG13
3C060BH02
3F108GA01
3F108GB07
3F108HA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートに対する穿孔パターンをコンパクトな構成で切り換え可能であり、切り換え時間も短縮可能な穿孔装置およびそれを備えたシート後処理装置を提供する。
【解決手段】穿孔装置1は、シャフト12と、穿孔モーター11と、第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bと、第1カム14aと、第2カム14bと、制御部と、穿孔切換機構90と、を含む。穿孔切換機構90は、シャフト12を軸方向に往復移動させて、第1カム14aが第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bに対向する第1の位置と、第2カム14bが第1穿孔部15aに対向する第2の位置と、に選択配置する。制御部は、シャフト12を第1の位置および第2の位置に配置して行う第1穿孔処理および第2穿孔処理を選択的に実行可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトを回転させる穿孔モーターと、
前記シャフトに取り付けられた偏芯カムと、
前記シャフトの軸線に沿って配列され、シートに穴を開ける穿孔刃と、前記穿孔刃を前記偏芯カムに接近する方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記偏芯カムの回転に応じて前記偏芯カムによる押圧力と前記付勢部材の付勢力によって前記穿孔刃を往復移動させる穿孔部と、
前記穿孔モーターの駆動を制御する制御部と、
を含み、前記シートに穿孔処理を行う穿孔装置において、
前記穿孔部は、第1穿孔刃により前記シートに第1の穿孔を行う第1穿孔部と、第2穿孔刃により前記シートに第2の穿孔を行う第2穿孔部と、を含み、
前記偏芯カムは、前記第1穿孔部の前記第1穿孔刃および前記第2穿孔部の前記第2穿孔刃を往復移動させる第1カムと、前記第1穿孔部の前記第1穿孔刃のみを往復移動させる第2カムと、を含み、前記第1カムと前記第2カムは、前記シャフトに対して軸方向に離間した位置に配置されており、
前記シャフトを軸方向に往復移動させて、前記第1カムが前記第1穿孔部および前記第2穿孔部に対向する第1の位置と、前記第2カムが前記第1穿孔部に対向する第2の位置と、に前記シャフトを選択配置する穿孔切換機構を備え、
前記制御部は、
前記シャフトを前記第1の位置に配置した状態で前記シャフトを回転させることにより、前記シートに前記第1穿孔部による前記第1の穿孔および前記第2穿孔部による前記第2の穿孔を行う第1穿孔処理と、
前記シャフトを前記第2の位置に配置した状態で前記シャフトを回転させることにより、前記シートに前記第1穿孔部による前記第1の穿孔のみを行う第2穿孔処理と、
を選択的に実行可能であり、
前記穿孔切換機構は、
前記シャフトに取り付けられ、側面にラック歯が形成されたラックと、
前記シャフトを前記軸方向に往復移動させる穿孔切換モーターと、
前記穿孔切換モーターの回転軸に固定され、前記ラックと直接若しくはアイドルギアを介して噛み合うピニオンギアと、
を含むことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記ラックは、前記シャフトに対して軸方向への移動が規制され、且つ周方向に回転可能に保持されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記第1穿孔部は、前記シートの幅方向の中央部の2箇所に配置され、前記第2穿孔部は、前記シートの幅方向の両端部に配置されており、
前記第1穿孔処理は、前記第1穿孔部および前記第2穿孔部により前記シートの幅方向の4箇所に穿孔する4穴穿孔であり、前記第2穿孔処理は、前記第1穿孔部により前記シートの幅方向の2箇所に穿孔する2穴穿孔であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記シャフトの回転速度を検知する回転速度検知部と、
前記第1穿孔刃および前記第2穿孔刃が前記シートから離間したホームポジションに位置するか否かを検知するホームポジション検知部と、
を備え、
前記回転速度検知部および前記ホームポジション検知部は、
前記シャフトと共に回転するパルス板と、
前記パルス板の外周縁を挟むように配置されるセンサー部と、
を含み、
前記パルス板は、前記シャフトに対して周方向への回転が規制され、且つ軸方向に摺動可能に保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の穿孔装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の穿孔装置を備えたシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに対して穿孔処理を行う穿孔装置およびそれを備えたシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に取り付けられ、画像形成済の用紙(シート)に対して所定の後処理を行う用紙後処理装置(フィニッシャー)が広く用いられている。用紙後処理装置には、用紙に穿孔処理(パンチ穴形成処理)を行う穿孔装置を備えるものがある。
【0003】
穿孔装置は、用紙を穿孔するための穿孔刃を含み、突出した穿孔刃が用紙に突き当たることで用紙に対して穿孔処理が行われる。突出した穿孔刃は、次の用紙に対する穿孔処理の邪魔にならないように、退避位置(ホームポジション)に戻される。モーターを用いて穿孔処理を行う場合、穿孔装置にはモーターの駆動力によって回転し、穿孔刃を往復移動させる回転部材が設けられる構成が知られている。
【0004】
このような穿孔装置では、穿孔の数を変更するために、従来は2孔用、4孔用のユニットが搭載されていた。しかし、構成が複雑となり部品点数が増加するという問題点があった。
【0005】
そこで、穿孔の数を切り換える技術が提案されており、例えば特許文献1には、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンと、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けてパンチピンの移動方向と交差する方向に往復動作するスライダと、扇形ピニオン歯車および/または歯欠けピニオン歯車を有し、スライダの第2のラック歯車およびパンチピンの第1のラック歯車に噛み合ってスライダの往復動作をパンチピンの移動動作に変換する歯車変換機構と、を備え、スライダの一方向(F方向)への往復動作と他方向(L方向)への往復動作を行うことで、穿孔動作を行なうパンチピンを切り替える用紙穿孔装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、モーターによって軸を支持する支持部材をベース上でスライド移動させることにより、軸に取り付けられたブラケットを押し下げるカム位置を変更して2穴パンチ及び3穴パンチの切り替えを行うシート穿孔装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-291881号公報
【特許文献2】特開2010-70385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の構成では、切り換え機構として多数のギアが必要であり、部品点数や組み立て工数の増加、ギアのバックラッシュ等に起因する穿孔精度の低下につながっていた。また、特許文献2の構成では、軸と支持部材の両方を往復移動させるためにトルクの大きい大型のモーターを使用する必要があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、シートに対する穿孔パターンをコンパクトな構成で切り換え可能であり、切り換え時間も短縮可能な穿孔装置およびそれを備えたシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の第1の構成は、シャフトと、穿孔モーターと、偏芯カムと、穿孔部と、制御部と、穿孔切換機構と、を含み、シートに穿孔処理を行う穿孔装置である。穿孔モーターは、シャフトを回転させる。偏芯カムは、シャフトに取り付けられる。穿孔部は、シャフトの軸線方向に沿って配列され、シートに穴を開ける穿孔刃と、穿孔刃を偏芯カムに接近する方向に付勢する付勢部材と、を有し、偏芯カムの回転に応じて偏芯カムによる押圧力と付勢部材の付勢力によって穿孔刃を往復移動させる。制御部は、穿孔モーターの駆動を制御する。穿孔部は、第1穿孔刃によりシートに第1の穿孔を行う第1穿孔部と、第2穿孔刃によりシートに第2の穿孔を行う第2穿孔部と、を含む。偏芯カムは、第1穿孔部の第1穿孔刃および第2穿孔部の第2穿孔刃を往復移動させる第1カムと、第1穿孔部の第1穿孔刃のみを往復移動させる第2カムと、を含み、第1カムと第2カムは、シャフトに対して軸方向に離間した位置に配置される。穿孔切換機構は、シャフトを軸方向に往復移動させて、第1カムが第1穿孔部および第2穿孔部に対向する第1の位置と、第2カムが第1穿孔部に対向する第2の位置と、にシャフトを選択配置する。制御部は、シャフトを第1の位置に配置した状態でシャフトを回転させることにより、シートに第1穿孔部による第1の穿孔および第2穿孔部による第2の穿孔を行う第1穿孔処理と、シャフトを第2の位置に配置した状態でシャフトを回転させることにより、シートに第1穿孔部による第1の穿孔のみを行う第2穿孔処理と、を選択的に実行可能である。穿孔切換機構は、シャフトに取り付けられ、側面にラック歯が形成されたラックと、シャフトを軸方向に往復移動させる穿孔切換モーターと、穿孔切換モーターの回転軸に固定され、ラックと直接若しくはアイドルギアを介して噛み合うピニオンギアと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、シャフトを軸方向に往復移動させて第1の位置と第2の位置に配置するだけで、第1穿孔処理と第2穿孔処理とを切り換えることができる。従って、穿孔パターンの切り換えに要する時間が短くなり、処理効率(生産性)を高めることができる。また、シャフトを前後方向(搬送方向)に移動させて穿孔パターンを切り換える構成に比べて穿孔装置を小型化することができる。さらに、シャフトを軸方向に往復移動させる穿孔切換機構として、シャフトに取り付けられたラックと、シャフトを軸方向に往復移動させる穿孔切換モーターと、穿孔切換モーターの回転軸に固定され、ラックと直接若しくはアイドルギアを介して噛み合うピニオンギアと、を用いることで、ソレノイドを用いてシャフトを往復移動させる構成に比べて切替のストロークを確保しつつ、高さ方向の寸法を小さくすることができ、穿孔装置の小型化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の穿孔装置1を備えた用紙後処理装置2および用紙後処理装置2が取り付けられた画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図
【
図2】用紙後処理装置2が取り付けられた画像形成装置100の一例を示す概略断面図
【
図3】本発明の一実施形態に係る穿孔装置1の制御経路を示すブロック図
【
図4】本実施形態の穿孔装置1を用紙搬送方向の上流側から見た斜視図
【
図5】本実施形態の穿孔装置1に用いられる回転速度検知部7およびホームポジション検知部8の拡大図
【
図6】本実施形態の穿孔装置1における第1穿孔部15a、第2穿孔部15bの動作を示す側面断面図であって、第1穿孔刃9aが上方に退避した状態を示す図
【
図7】本実施形態の穿孔装置1における第1穿孔部15a、第2穿孔部15bの動作を示す側面断面図であって、第1穿孔刃9aが下方に突出した状態を示す図
【
図8】本実施形態の穿孔装置1において4穴穿孔を行う場合のシャフト12の配置を示す斜視図
【
図9】本実施形態の穿孔装置1において2穴穿孔を行う場合のシャフト12の配置を示す斜視図
【
図10】本実施形態の穿孔装置1における穿孔切換機構90の側面図
【
図11】本実施形態の穿孔装置1における穿孔切換機構90の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1~
図11を用いて、本発明に係る穿孔装置1および穿孔装置1を含む用紙後処理装置2、用紙後処理装置2が搭載される画像形成装置100について説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0014】
(画像形成装置の概要)
図1は、本発明の穿孔装置1を備えた用紙後処理装置2および用紙後処理装置2が取り付けられた画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図である。まず、
図1に基づいて画像形成装置100(ここでは複合機)の制御経路について説明する。
【0015】
画像形成装置100は、主制御部3と記憶部3aを含む。主制御部3は、画像形成装置100全体の動作を統括し、画像形成装置100の各部を制御する。主制御部3は、CPU31、画像処理部32、通信部33を含む。CPU31は制御に関する演算、制御を行う。画像処理部32は、送信されてくる画像データにジョブ(印字)に必要な処理を施す。記憶部3aはROM、RAM、HDDのような記憶装置を含む。記憶部3aは制御用プログラムや画像データ等を記憶する。通信部33は、PCやサーバーのようなコンピューター200と通信するためのインターフェイスである。通信部33は、画像データのような印字内容を示すデータ(印字用データ)を受信する。
【0016】
主制御部3は、原稿搬送部4a、画像読取部4bと通信可能に接続される。原稿搬送部4aは、セットされた原稿を読み取り位置に向けて搬送する。画像読取部4bは、原稿搬送部4aが搬送する原稿と、原稿台(コンタクトガラス、不図示)にセットされた原稿を読み取れる。画像読取部4bは画像データを生成する。主制御部3は、原稿搬送部4aと画像読取部4bの動作を制御する。主制御部3は操作パネル5と通信可能に接続される。操作パネル5は表示パネル51、タッチパネル52、ハードキー53を含む。操作パネル5は使用者の操作を受け付ける。
【0017】
画像形成装置100は、画像形成部6を含む。画像形成部6は、エンジン制御部60、給紙部6a、搬送部6b、転写部6c、定着部6dを含む。エンジン制御部60は、主制御部3と通信可能に接続される。主制御部3は、印字指示、印字ジョブの内容、印字に用いる画像データをエンジン制御部60に送信する。主制御部3の指示に基づき、エンジン制御部60は、給紙部6a、搬送部6b、転写部6c、定着部6dの動作を制御する。具体的に、エンジン制御部60は、用紙を一枚ずつ給紙部6aに供給する給紙動作、供給された用紙を搬送部6bに搬送させる搬送動作、トナー像を転写部6cに形成させる画像形成動作、転写部6cにおいてトナー像を用紙に転写する転写動作、用紙に転写されたトナー像を定着部6dに定着させる定着動作を順次実行する。
【0018】
(用紙後処理装置2)
次に、
図1、
図2を用いて、本実施形態の用紙後処理装置2の概要について説明する。
図2は、本実施形態の用紙後処理装置2が取り付けられた画像形成装置100の一例を示す概略断面図である。
【0019】
用紙後処理装置2は、画像形成装置100から排出された画像形成済の用紙に各種後処理を施す。用紙後処理装置2は画像形成装置100の本体に取り付けられる。
図2に示すように、用紙後処理装置2は、画像形成装置100の胴内排出部101に取り付けられる(嵌め込まれる)。なお、画像形成装置100の側面に取り付けるタイプの用紙後処理装置2もある。
【0020】
定着部6dを通過した画像形成済の用紙は、搬入口102から用紙後処理装置2に搬入される。用紙後処理装置2は、パンチ穴形成部10、用紙搬送部21、ステープル部22、処理トレイ部23、排出トレイ24を含む。また、
図1に示すように、用紙後処理装置2は後処理制御部20(制御部に相当)を含む。後処理制御部20は、CPU等の処理回路2a、メモリー2b、計時回路2cを含む基板である。後処理制御部20は用紙後処理装置2の各部の動作を制御する。なお、用紙後処理装置2内に後処理制御部20を設けず、画像形成装置100の主制御部3またはエンジン制御部60が用紙後処理装置2の動作を制御してもよい。
【0021】
用紙後処理装置2は、穿孔装置1を含む。
図1に示すように、穿孔装置1は、後処理制御部20とパンチ穴形成部10を含む。操作パネル5で穿孔処理を行う設定がなされているとき、後処理制御部20は、パンチ穴形成部10により用紙への穿孔処理を行う。
【0022】
用紙搬送部21は、パンチ穴形成部10を通過した用紙を処理トレイ部23に搬送する。用紙搬送部21は、第1搬送ローラー対21a、第2搬送ローラー対21b、用紙搬送ガイド21cを含む。処理トレイ部23は、処理トレイ23a、第1排出ローラー23b、第2排出ローラー23c、ストッパー23d、幅規制板23eを含む。後処理制御部20は、処理トレイ部23に搬送されて積載された用紙束の整合および排出を行う。操作パネル5でステープル処理が設定されているとき、後処理制御部20はステープル部22により処理トレイ部23に積載された排出前の用紙束へステープル処理を行う。
【0023】
(穿孔装置1)
次に、
図3~
図9を用いて、本実施形態の穿孔装置1について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る穿孔装置1の制御経路の一例を示すブロック図である。
図4は、本実施形態の穿孔装置1の一例を示す斜視図である。
図4は、穿孔装置1を用紙搬送方向上流側から見た斜視図であり、用紙の進入方向を破線矢印で示している。
図5は、本実施形態の穿孔装置1に用いられる回転速度検知部7およびホームポジション検知部8の拡大図である。
図6および
図7は、本実施形態の穿孔装置1における第1穿孔部15a、第2穿孔部15bの動作を示す側面断面図である。
【0024】
穿孔装置1は、
図3に示すように、後処理制御部20とパンチ穴形成部10を含む。パンチ穴形成部10は、穿孔モーター11、シャフト12、モーター駆動部13、カム14a、14b、穿孔部15a、15b、回転速度検知部7、ホームポジション検知部8、穿孔切換機構90を含む。穿孔部15a、15bは、それぞれ穿孔刃9a、9bを含む。
図3の白矢印は、穿孔モーター11および穿孔切換モーター91からの駆動力の伝達経路を示す。
【0025】
穿孔モーター11は、穿孔刃9a、9bを往復運動させる。例えば、穿孔モーター11には、DCブラシモーターを用いることができる。モーター駆動部13は、複数(ここでは4つ)のスイッチング素子13a~13dを含む。スイッチング素子13a~13dは穿孔モーター11への電流の供給のON/OFFを行う。後処理制御部20は、各スイッチング素子13a~13dを制御する。後処理制御部20は、モーター駆動部13を制御し、穿孔モーター11のブレーキ制御を実行する。
【0026】
図4に示すように、穿孔装置1は、所定の間隔を隔てて対向配置される上ガイド部16および下ガイド部17を有する。上ガイド部16の上方には複数の穿孔部15a、15bが設けられており、ここでは4つの穿孔部15a、15bを設ける例を示している(4穴方式に対応)。具体的には、穿孔部15a、15bは、用紙の幅方向中央部に2穴を形成する第1穿孔部15aと、用紙の幅方向両端部に2穴を形成する第2穿孔部15bとで構成される。第1穿孔部15a、第2穿孔部15bは、上ガイド部16と下ガイド部17の間を通過する用紙に穿孔処理を行う。以下、第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bに配置される穿孔刃9a、9bを、それぞれ第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bとして区別する。
【0027】
シャフト12は、第1穿孔部15a、第2穿孔部15bの上方を跨ぐように配置される。シャフト12は支軸部材12aに回転可能に支持される。シャフト12にはカム14a、14bが取り付けられている。カム14a、14bは、第1カム14aと、第2カム14bとで構成される。第1カム14aは、シャフト12の軸方向の4箇所に取り付けられており、内側の2つの第1穿孔部15aと、外側の2つの第2穿孔部15bに対応して配置される。第2カム14bは、シャフト12の軸方向の2箇所に取り付けられており、2つの第1穿孔部15aに対応する第1カム14aに隣接して配置される。第1穿孔部15a、第2穿孔部15bの上方には、第1カム14a、第2カム14bを覆うカムカバー141が取り付けられている。第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bを引き上げる際、第1カム14a、第2カム14bがカムカバー141の内壁面に沿って摺動しながら上方へ回転する。即ち、カムカバー141は、コイルバネ19の付勢力によって第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bを押し上げる際の第1カム14a、第2カム14bの移動を補助(アシスト)する。
【0028】
シャフト12はギアを介して穿孔モーター11の回転軸に連結されており、穿孔モーター11がシャフト12を回転させることで、シャフト12と共に第1カム14a、第2カム14bが回転する。例えば、穿孔モーター11を1回転させると、シャフト12が1回転する。
【0029】
図5に示すように、回転速度検知部7はシャフト12(穿孔モーター11)の回転速度を検知する。回転速度検知部7は、第1パルス板71と第1センサー部72を含む。第1センサー部72は透過型の光センサーである。第1センサー部72は発光部73と受光部74を含む。第1パルス板71がシャフト12に取り付けられる。発光部73と受光部74は、シャフト12に取り付けられた第1パルス板71の外周縁を挟むように配置される。
【0030】
第1パルス板71は、シャフト12に対して周方向への回転が規制され、且つ軸方向に摺動可能に保持される。これにより、後述するようにシャフト12を軸方向に往復移動させたときに第1パルス板71が軸方向に移動しないため、第1パルス板71と第1センサー部72との位置関係が変化しない。シャフト12に対して第1パルス板71を軸方向にのみ摺動可能に保持する方法としては、例えばシャフト12の外周面に軸方向に延びるリブを形成し、第1パルス板71にはリブに摺動可能に係合する溝を形成する構成が挙げられる。
【0031】
第1パルス板71には、複数のスリット71aが設けられる。例えば、スリット71aの本数は、数十~数百本(例えば、40~50本)である。スリット71aは、発光部73と受光部74に挟まれる第1パルス板71の外周縁に設けられる。スリット71aは一定角度毎に形成されており、シャフト12が一定角度回転するごとに、第1センサー部72(受光部74)の出力が変化する。発光部73と受光部74の間で第1パルス板71が回転するときの受光部74の出力が回転速度検知部7の出力である。受光部74の出力は、シャフト12(穿孔モーター11)が一定角度回転するごとに、立ち上がる、または、立ち下がるパルス信号となる。受光部74の出力は、後処理制御部20に入力される。後処理制御部20は、第1センサー部72の出力に基づき、シャフト12が一定角度回転したことを検知する。
【0032】
また、後処理制御部20は、パルス信号のパルスの周期に基づき、シャフト12(穿孔モーター11)の回転速度を検知する。より詳細には、後処理制御部20は、パルス信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの時間的な間隔に基づき、シャフト12の回転速度を検知する。そのため、後処理制御部20内の計時回路2cは、各パルス信号の周期(エッジの間隔)を計測する。
【0033】
1秒あたりのシャフト12の回転速度(rps)を求める場合を説明する。この場合、後処理制御部20は、1(秒)を1パルスの周期で除算する。これにより、現周期での1秒間あたりのパルス数Aが算出される。そして、後処理制御部20は、パルス数Aを、シャフト12を1周させたときに生ずるパルス数B(第1パルス板71のスリット数)で除算する。これにより、シャフト12の回転速度を求めることができる。rpmを求める場合、60を乗じる。例えば、1パルスの周期が10ミリ秒のとき、パルス数A=100となる。パルス数Bが50のとき、1秒間の回転数=100/50=2[rps]となる。
【0034】
ホームポジション検知部8は、シャフト12(穿孔モーター11)の回転角度が予め定められた基準角度になったことを検知して、穿孔刃9がホームポジションに位置するか否かを検知する。ホームポジション検知部8は、第2パルス板81と第2センサー部82を含む。第2センサー部82は透過型の光センサーである。第2センサー部82は発光部83と受光部84(
図3参照)を含む。発光部83と受光部84は、シャフト12に取り付けられた第2パルス板81の外周縁を挟むように配置される。
【0035】
第2パルス板81は、シャフト12に対して周方向への回転が規制され、且つ軸方向に摺動可能に保持される。これにより、後述するようにシャフト12を軸方向に往復移動させたときに第2パルス板81が軸方向に移動しないため、第2パルス板81と第2センサー部82との位置関係が変化しない。シャフト12に対して第2パルス板81を軸方向にのみ摺動可能に保持する方法は、前述した第1パルス板71と同様である。
【0036】
第2パルス板81の外周縁には切り欠き81aが設けられる。切り欠き81aは、シャフト12の角度が基準角度になったとき、第2センサー部82(受光部84)の出力が変化する位置に形成されている。発光部83と受光部84の間で第2パルス板81が回転するときの受光部84の出力がホームポジション検知部8の出力である。受光部84の出力は、検知信号として後処理制御部20に送信される。後処理制御部20は、ホームポジション検知部8の出力に基づき、シャフト12の角度が基準角度になったことを検知する。
【0037】
本実施形態では、2穴穿孔および4穴穿孔におけるシャフト12の1回転を検知するため、第2パルス板81の1箇所に切り欠き81aを設けている。
【0038】
ここで、搬送される用紙と第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが接触しない位置が穿孔刃9のホームポジションとされる。言い換えると、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bがホームポジションにあるとき、第1穿孔部15aの第1穿孔刃9aおよび第2穿孔部15bの第2穿孔刃9bはいずれも用紙から退避(離間)している位置となる。
【0039】
具体的に、ホームポジションは、シャフト12が基準角度になったことをホームポジション検知部8が検知した後、回転速度検知部7の出力が予め定められたパルス数(位置合わせパルス数)だけシャフト12を正方向に回転させたときに第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが取り得る位置の範囲である。例えば、位置合わせパルス数を2とすると、基準角度は、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bがホームポジションとなる位置から回転速度検知部7の2パルス分だけ正回転したときのシャフト12の角度となる。そのため、基準角度から1パルス、3パルスではホームポジション外となる。第1パルス板71のスリット71aの数が36である場合、1パルス当たりの回転角度は360/36=10°となる。
【0040】
なお、画像形成装置100や用紙後処理装置2の主電源が投入されたとき、後処理制御部20は起動処理を行う。起動処理には穿孔刃9をホームポジションとする処理が含まれる。この場合、後処理制御部20は、穿孔モーター11を低速で正回転させ、シャフト12が基準角度になったことをホームポジション検知部8が検知した後、回転速度検知部7の出力が位置合わせパルス数だけ変化した時点で穿孔モーター11を停止させる。
【0041】
図6および
図7に示すように、第1穿孔部15a、第2穿孔部15bは、それぞれ第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9b、当接部材18、コイルバネ(付勢部材)19を有する。第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bは、例えば金属製のパイプであり、下端部に刃が形成されている。第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bの上方には当接部材18が設けられており、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bの上端部は当接部材18に固定されている。
【0042】
上ガイド部16と下ガイド部17には、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bに対向する位置に孔(不図示)が開いている。第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが下方に移動して第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bの下端部が用紙に突き当たり、さらに第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが下方に移動することにより用紙に穿孔される。次に搬送されてくる用紙への穿孔処理の妨げにならないように、穿孔後、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bは上方に退避する。
【0043】
シャフト12および第1カム14a、第2カム14bの下方には当接部材18が設けられる。
図6に示すように、第1カム14a、第2カム14bはシャフト12の軸方向からみて楕円形状であり、第1カム14a、第2カム14bの外周面と当接部材18の上面とが接触する。当接部材18は、コイルバネ19によって上方向に付勢されている。穿孔モーター11の駆動力によってシャフト12が回転すると、シャフト12の回転角度に応じて当接部材18と接触する部分の第1カム14a、第2カム14bの外径が変化する。即ち、シャフト12の回転角度に応じ、第1カム14a、第2カム14bの当接部材18に対する押圧量が変化する。
【0044】
図6に示すように、第1カム14a、第2カム14bの小径部が当接部材18と接触する状態では、コイルバネ19の付勢力によって当接部材18が上昇し、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bも上方に退避している。一方、
図7に示すように、第1カム14a、第2カム14bの大径部が当接部材18と接触する状態では、コイルバネ19の付勢力に抗して当接部材18が押し下げられ、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが下方に突出する。このように、第1カム14aの回転に応じて第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bが往復移動する。
【0045】
図8および
図9は、それぞれ本実施形態の穿孔装置1において4穴穿孔および2穴穿孔を行う場合のシャフト12の配置を示す斜視図である。説明の便宜のため、
図8および
図9では第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9b、コイルバネ19、カムカバー141の記載を省略している。以下、
図6~
図9を参照しながら、本実施形態の穿孔装置1において用紙の幅方向中央部および両端部に2穴ずつ計4穴を形成する4穴穿孔(第1穿孔処理)と、用紙の幅方向中央部に2穴を形成する2穴穿孔(第2穿孔処理)との切り換えについて説明する。
【0046】
4穴穿孔を行う場合、
図8に示すように、シャフト12の4箇所に取り付けられた第1カム14aが第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bの当接部材18に当接する位置(第1の位置)にシャフト12を配置する。この状態で、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bがホームポジション(
図6参照、切り欠き81aの検知タイミングから位置合わせパルス数だけ回転した位置)にある状態からシャフト12の正回転を開始させる。これにより、第1カム14aが当接部材18と共に第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bを押し下げる。そして、シャフト12をホームポジションから90°回転させると、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bは用紙を突き抜く位置(
図7参照、下ガイド部17の下方)まで下降する。その結果、2つの第1穿孔部15aによって内側の2穴が穿孔され、2つの第2穿孔部15bによって外側の2穴が穿孔される。
【0047】
その後、後処理制御部20はシャフト12をさらに正回転させると、第1カム14aが当接部材18を押し下げる量が少なくなり、第1穿孔刃9a、第2穿孔刃9bがコイルバネ19の付勢力によって上方に移動する。シャフト12の正回転が続くと、第2穿孔部15bの第2穿孔刃9bは用紙搬送を遮らない位置(上ガイド部16の上方)まで持ち上げられる。後処理制御部20は第1穿孔刃9aおよび第2穿孔刃9bがホームポジションとなるように穿孔モーター11を停止させる。上記の動作を繰り返すことにより、2つの第1穿孔部15a、2つの第2穿孔部15bによって4穴穿孔が行われる。
【0048】
2穴穿孔を行う場合、穿孔切換モーター91(
図10参照)を正回転させることにより、
図9に示すように、シャフト12を
図8の状態から軸方向に所定量だけ移動させる。そして、シャフト12の2箇所に取り付けられた第2カム14bが第1穿孔部15aの当接部材18に当接する位置(第2の位置)にシャフト12を配置する。このとき、4箇所の第1カム14aは、第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bから軸方向にずれた位置に配置されている。
【0049】
この状態で、第1穿孔刃9aがホームポジション(
図6参照)にある状態からシャフト12の正回転を開始させる。これにより、第2カム14bが当接部材18と共に第1穿孔刃9aを押し下げる。そして、シャフト12をホームポジションから90°回転させると、第1穿孔刃9aは用紙を突き抜く位置(
図7参照)まで下降する。その結果、2つの第1穿孔部15aによって内側の2穴が穿孔される。
【0050】
その後、後処理制御部20はシャフト12をさらに正回転させると、第2カム14bが当接部材18を押し下げる量が少なくなり、第1穿孔刃9aがコイルバネ19の付勢力によって上方に移動する。シャフト12の正回転が続くと、第1穿孔部15aの第1穿孔刃9aは用紙搬送を遮らない位置(上ガイド部16の上方)まで持ち上げられる。後処理制御部20は第1穿孔刃9aがホームポジションとなるように穿孔モーター11を停止させる。上記の動作を繰り返すことにより、2つの第1穿孔部15aによって2穴穿孔が行われる。
【0051】
図10は、本実施形態の穿孔装置1における穿孔切換機構90の側面図である。
図11は、本実施形態の穿孔装置1における穿孔切換機構90の斜視図である。
図10および
図11に示すように、穿孔切換機構90は、穿孔切換モーター91と、ラック93と、アイドルギア95と、を備える。
【0052】
穿孔切換モーター91は、モーター保持フレーム96によって下ガイド部17に固定されている。穿孔切換モーター91の回転軸91bにはピニオンギア91aが固定されている。
【0053】
ラック93は、シャフト12の一端(
図8、
図9の紙面手前側)に保持されている。ラック93は、ラック歯93aと、遮光板93bと、ガイド部93cとを有する。ラック歯93aは、アイドルギア95との対向面(
図10の紙面手前側)に形成され、アイドルギア95の小径部95bと噛み合う。遮光板93bは、モーター保持フレーム96との対向面に形成されている。シャフト12の軸方向への往復移動に伴い、遮光板93bがモーター保持フレーム96に配置されたシャフト位置検知センサー97の検知部を透光および遮光する。後処理制御部20は、シャフト位置検知センサー97の出力に基づき、シャフト12の第1の位置または第2の位置への移動を検知する。
【0054】
アイドルギア95は、大径部95aと小径部95bとを有する二段ギアである。アイドルギア95の大径部95aはピニオンギア91aと噛み合っている。アイドルギア95の小径部95bはラック歯93aと噛み合っている。この構成により、穿孔切換モーター91の回転駆動力がアイドルギア95を介してラック93に伝達される。穿孔切換モーター91を正逆回転することにより、ラック93と共にシャフト12が軸方向に往復移動して第1の位置(
図8参照)と第2の位置(
図9参照)に配置される。
【0055】
ラック93は、シャフト12に対して軸方向への移動が規制され、且つ径方向に摺動可能に保持される。また、ガイド部93cにはアイドルギア95の回転軸95cが摺動可能に係合する。これにより、シャフト12を回転させたときにラック93が連れ回りせず、且つ、シャフト12を軸方向に往復移動させたときにラック歯93aとアイドルギア95との位置関係も変化しない。そのため、シャフト12の位相(回転角度)に係わらず、ラック歯93aとアイドルギア95との噛み合い状態を維持することができる。
【0056】
シャフト12に対してラック93を径方向にのみ摺動可能に保持する方法としては、例えばラック93に形成された貫通孔にシャフト12を挿通してラック93をシャフト12に取り付け、シャフト12の軸方向の2箇所に形成された係止溝にストップリング(いずれも図示せず)を嵌めて固定することにより、ラック93の軸方向への移動を規制する構成が挙げられる。また、ラック93のシャフト12周りの回転を規制する構成としては、ラック93のガイド部93cにアイドルギア95の回転軸95cを挿通した後、回転軸95cにストップリング(図示せず)を嵌めて固定する構成が挙げられる。
【0057】
本実施形態の穿孔装置1によれば、シャフト12は、内側の2つの第1穿孔部15aおよび外側の2つの第2穿孔部15bに対応して配置される第1カム14aと、第1穿孔部15aのみに対応して配置される第2カム14bとを有する。そして、第1カム14aが第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bの当接部材18に当接する第1の位置にシャフト12を配置した状態で、シャフト12を1回転させることにより第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bを用いて4穴穿孔を行う。また、第2カム14bが第1穿孔部15aの当接部材18に当接する位置(第2の位置)にシャフト12を配置した状態で、シャフト12を1回転させることにより第1穿孔部15aを用いて2穴穿孔を行う。
【0058】
これにより、シャフト12を軸方向に往復移動させて第1の位置と第2の位置に配置するだけで、4穴穿孔と2穴穿孔とを切り換えることができる。従って、穿孔パターンの切り換えに要する時間が短くなり、処理効率(生産性)を高めることができる。
【0059】
また、シャフト12を前後方向(搬送方向)に移動させて穿孔パターンを切り換える構成に比べて穿孔装置1を小型化することができる。さらに、穿孔切換機構90として
図10に示したようなギア機構(ラック・ピニオン機構)を用いることで、シャフト12の位置を低くしてもソレノイドを用いる構成に比べて切替のストロークを確保することができ、穿孔切換機構90の小型化に有利となる。
【0060】
その他、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では2つの第1穿孔部15aおよび2つの第2穿孔部15bにより用紙の幅方向に沿って4穴を形成し、2つの第1穿孔部15aにより用紙の幅方向中央部に2穴を形成することで4穴穿孔と2穴穿孔を切り換える構成としたが、第1穿孔部15aおよび第2穿孔部15bの配置箇所および配置個数は任意に設定可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、穿孔切換機構90として穿孔切換モーター91、ラック93、アイドルギア95を備えた構成としたが、これに限定されるものではなく、アイドルギア95を2つ以上設けてもよい。或いは、穿孔切換モーター91のピニオンギア91aがラック93のラック歯93aに直接噛み合う構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、穿孔装置および穿孔装置を含むシート後処理装置に利用可能である。本発明の利用により、シートに対する穿孔パターンをコンパクトな構成で切り換え可能であり、切り換え時間も短縮可能な穿孔装置およびそれを備えたシート後処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 穿孔装置
7 回転速度検知部
8 ホームポジション検知部
9a 第1穿孔刃
9b 第2穿孔刃
10 パンチ穴形成部
11 穿孔モーター
12 シャフト
14a 第1カム
14b 第2カム
15a 第1穿孔部
15b 第2穿孔部
18 当接部材
19 コイルバネ(付勢部材)
20 後処理制御部(制御部)
71 第1パルス板
72 第1センサー部
81 第2パルス板
82 第2センサー部
90 穿孔切換機構
91 穿孔切換モーター
91a ピニオンギア
91b 回転軸
93 ラック
95 アイドルギア
100 画像形成装置