(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014612
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】信号授受装置および処理装置
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
G08C15/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118661
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】山西 美実
(72)【発明者】
【氏名】今峯 一也
(72)【発明者】
【氏名】中野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】笠井 俊明
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA31
2F073AB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC14
2F073DD03
2F073FF11
2F073GG04
2F073GG07
(57)【要約】
【課題】移動側機器と固定側機器との間で迅速に信号授受を行うことのできる信号授受装置を提供すること。
【解決手段】信号授受装置は、移動軌跡に従って移動と停止を繰り返す、複数の移動側機器と、それぞれの移動側機器に対応して設けられる、情報信号の授受を担う第1授受体と、を備える移動側機構と、それぞれが移動軌跡に倣って配置されるとともに、配置の位置が固定される複数の固定側機器と、それぞれの固定側機器に設けられる、第1授受体と直に接触し、情報信号の授受を担う第2授受体と、を備える固定側機構と、を備える。移動側機器が固定側機器に対応する位置まで上流側から移動した後に停止することで、第1授受体が第2授受体と接触し、情報信号の授受を行う動作が繰り返される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが上流側から下流側に向けて移動軌跡に従って移動と停止を繰り返す、複数の移動側機器と、それぞれの前記移動側機器に対応して設けられる、電気的な情報信号の授受を担う第1授受体と、を備える移動側機構と、
それぞれが前記移動軌跡に倣って配置されるとともに、前記配置の位置が固定される複数の固定側機器と、それぞれの前記固定側機器に設けられる、前記第1授受体と直に接触し、前記情報信号の授受を担う第2授受体と、を備える固定側機構と、を備え、
前記移動側機器が前記固定側機器に対応する位置まで前記上流側から移動した後に停止することで、前記第1授受体が前記第2授受体と接触し、前記情報信号の授受を行う動作が繰り返される、
信号授受装置。
【請求項2】
前記情報信号は、
前記移動側機器および前記固定側機器のいずれか一方の状態を特定し、
前記移動側機器および前記固定側機器の一方から他方に提供される、
請求項1に記載の信号授受装置。
【請求項3】
単数の単位で前記移動側機器および前記固定側機器の一方から他方に同じ前記情報信号が提供されるか、
複数の単位で前記移動側機器および前記固定側機器の一方から他方に同じ前記情報信号が提供される、
請求項2に記載の信号授受装置。
【請求項4】
前記移動側機器の台数と前記固定側機器の台数とが一致するか、または、
前記移動側機器の台数と前記固定側機器31の台数が異なる、
請求項2または請求項3に記載の信号授受装置。
【請求項5】
前記移動側機構は、第1中心軸を中心にして回転する回転体を備え、
複数の前記移動側機器は、円周方向に沿って所定間隔で前記回転体に配置され、
前記回転体が回転することで、複数の前記移動側機器は円弧状の前記移動軌跡に従って移動し、
前記固定側機構は、
前記回転体の径方向の外側であって、前記円弧状の前記移動軌跡に倣って、複数の前記固定側機器が配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の信号授受装置。
【請求項6】
前記移動側機構において、
前記移動側機器の台数に応じる数の前記第1授受体が、それぞれの前記移動側機器に対応する前記回転体の外側面または外周縁に設けられる、
請求項5に記載の信号授受装置。
【請求項7】
前記移動側機構において、
それぞれの前記移動側機器は、第2中心軸を中心にして駆動され、物品を支持する自転テーブルを備え、
前記自転テーブルは、少なくとも、前記移動側機器が対応する前記固定側機器に対峙して前記回転体が停止している間に回転する、
請求項5から請求項6のいずれか一項に記載の信号授受装置。
【請求項8】
前記情報信号は、
前記自転テーブルの回転方向の位置を特定するものである、
請求項7に記載の信号授受装置。
【請求項9】
複数の移動側機器を有する移動側機構と複数の固定側機器を有する固定側機構とを備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の信号授受装置と、
前記移動側機器および前記固定側機器の一方のそれぞれに設けられる物品の支持体と、前記移動側機器および前記固定側機器の他方のそれぞれに設けられる、前記物品に所定の処理を施す処理部と、を備える、
処理装置。
【請求項10】
前記固定側機器の前記処理部は、
移動が停止している前記移動側機器の支持体に支持される前記物品に印刷を施す印刷ヘッドである、
請求項9に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動側機器と固定側機器との間において信号を伝える信号授受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動側機器と固定側機器との間で信号を伝える必要性がある。例えば、特許文献1は、以下の回転体における信号授受装置を開示する。特許文献1の信号授受装置は、自転テーブル上に設置され、自転テーブルが一周する間に所定の加工を行う加工ユニットと、加工ユニットに部品供給等の作用をおよぼす回転体周辺に固定された周辺装置と、加工ユニットと周辺装置間の信号授受を非接触で行う、数種類の信号形態を組み合わすことの可能な光通信制御装置を備える。特許文献1の信号授受装置は、光通信制御装置を用いることにより、非接触で信号の伝送を可能にすることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のような光通信は、信号の送り側から発せられる電気的な情報信号を光信号に変換し、この光信号を信号の受け側において電気信号に変換する。このように、光通信は、電気信号と光信号の変換が必要なため、信号の伝送遅れが生じる。したがって、移動側機器と固定側機器との間で信号授受に迅速性が求められる用途においては、光通信は使用できないことがある。
以上より、本開示は、移動側機器と固定側機器との間で迅速に信号授受を行うことのできる信号授受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る信号授受装置は、移動側機構と、固定側機構と、を備える。
回転機構は、それぞれが上流側から下流側に向けて移動軌跡に従って移動と停止を繰り返す、複数の移動側機器と、それぞれの移動側機器に対応して設けられる、電気的な情報信号の授受を担う第1授受体と、を備える。
固定側機構は、それぞれが移動軌跡に倣って配置されるとともに、配置位置が固定される複数の固定側機器と、それぞれの固定側機器に設けられる、第1授受部材と直に接触し、情報信号の授受を担う第2授受体と、を備える。
信号授受装置は、移動側機器が固定側機器に対応する位置まで上流側から移動した後に停止することで、第1授受体が第2授受体と接触し、情報信号の授受を行う動作が繰り返される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の信号授受装置によれば、移動側機器と固定側機器とが電気的に接続される相手を順番に代えながら、それぞれの相手と情報信号の授受を行うことができる。したがって、本開示の信号授受装置によれば、伝送遅延を招く信号切り替えを要することなく、情報信号は常に対応する移動側機器と固定側機器との間で直接的に伝送されるため、迅速に情報信号を伝送できる。
また、移動側機器に設けられる第1授受体は、移動方向に沿って配置される。したがって、相当数の第1授受体が必要だとしても、それに応じて移動方向の寸法を大きくすれば第1授受体を配置できる。したがって、信号授受装置としての高さは、移動側機器と固定側機器との間で必要とされる信号数に対応する第1授受体の数に応じた高さに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る信号授受装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図1の信号授受装置の動作を説明するための図である。
【
図4】
図3に続いて、
図1の信号授受装置の動作を説明するための図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る信号授受装置を含む印刷装置の概略構成を示す平面図である。
【
図7】
図5の印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図8】
図7に続いて、
図5の印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図9】本開示の第3実施形態に係る信号授受装置を含む印刷装置の概略構成を示す平面図である。
【
図10】
図9の印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図12】
図9の印刷装置における信号授受のタイムチャートである。
【
図13】本開示の第4実施形態に係る信号授受装置の概略構成を示す平面図である。
【
図14】
図13の信号授受装置の主要部の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る第1実施形態~第4実施形態の四つの実施形態について説明する。
いずれの実施形態も移動側機構と固定側機構を備える。移動側機構は移動と移動停止が交互に繰り返されるが、固定側機構はその位置が変わらずに固定される。移動側機構に複数の導電体(第1授受体)が設けられるのに対して、複数の固定側機構のそれぞれに集電子(第2授受体)が設けられる。移動側機構が移動を停止している間に移動側機構の導電体と固定側機構の集電子が電気的に接触し、導電体と集電子の間で電気的な情報信号の授受が行われる。
【0009】
第1実施形態~第3実施形態は移動側機構における移動が回転体による例についてのものであり、第4実施形態は移動側機構における移動が直線運動体による例についてのものである。移動側機構が回転体を含む実施形態において、複数の導電体は、回転体の移動方向、つまり円周方向に一例として均等な間隔を空けて設けられる。移動側機構が直線移動側機構を含む実施形態において、複数の導電体は、直線移動側機構の移動方向、つまり直線方向に間隔を空けて設けられる。いずれにしても、導電体が移動側機構の移動方向に分割して設けられる。
また、第2実施形態および第3実施形態は、第1実施形態の信号授受装置を処理装置の一例である印刷装置に適用する例についてのものであり、具体的には自転する容器の外周面に印刷を施す装置を例示する。
【0010】
〔第1実施形態:
図1,
図2,
図3,
図4〕
第1実施形態に係る信号授受装置1について、
図1~
図4を参照して説明する。
信号授受装置1は、
図1および
図2に示すように、移動側機構10と、移動側機構10の周囲に配置される複数の固定側機構30と、移動側機構10と固定側機構30の動作を制御する制御部50と、を備える。
【0011】
[移動側機構10:
図1,
図2]
移動側機構10は、
図1および
図2に示すように、円筒状の回転体11と、第1中心軸C1を中心にして回転体11を回転駆動する例えばサーボモータからなり第1エンコーダ15を備える第1電動モータ13と、を備える。この第1電動モータ13は、制御部50からの制御信号に基づいて回転および回転停止が行われることにより、回転体11も回転および回転停止が行われる。第1電動モータ13は回転体11の下面11Bの側に配置され、その第1出力軸14は第1中心軸C1に沿って下面11Bに固定される。第1エンコーダ15は例えばインクリメンタル方式のロータリエンコーダが適用される。第1エンコーダ15における位置情報が本開示における情報信号の一例に該当し、例えば図示を省略する信号線を介して制御部50に伝送される。
【0012】
移動側機構10は、
図1および
図2に示すように、回転体11の上面11Aの側に位置される複数の移動側機器17と、それぞれの移動側機器17に対応して設けられる導電体19と、それぞれの移動側機器17と導電体19を電気的に繋ぐ移動側電線21と、を備える。
第1実施形態においては、一例として、
図1に示すように四つの移動側機器17が円周方向に均等の間隔を隔てて配置される。四つの移動側機器17は、回転体11に対して位置が固定するように、回転体11の上面11Aの側に配置される。ただし、回転体11が回転運動することにより、移動側機器17は回転体11の上面11Aの側において円弧状の軌跡を移動する。
【0013】
四つの移動側機器17のそれぞれ対応する導電体19は、回転体11の外側面11Cに固定される。ここでは外側面11Cとして平面視した形状が円弧面を例示するが、例えば多角形からなる外側面11Cとしてもよい。
本実施形態においては、それぞれ一台の移動側機器17に対応して二つ、つまり一対の導電体19が設けられる例を示しており、一対の導電体19は回転体11の外側面11Cにおいて、第1中心軸C1の方向に間隔を空けつつ、円周方向の同じ位置に固定される。導電体19は、一例として、外側面11Cに接する内面19Aおよび内面19Aに対向する外面19Bは、外側面11Cとほぼ同等の曲率を有する円弧面から構成される。ただし、外側面11Cが平面視して例えば多角形からなる場合には、内面19Aおよび外面19Bが平坦な面からなる直方体状の導電体19を用いることもできるなど、導電体19の外観形状は任意である。
導電体19は、電気的信号の授受が行われる要素であるから、導電性の優れる金属材料、例えば銅、銅合金から構成される。移動側電線21の芯線および次に説明する集電子33、固定側電線35の芯線も同様である。
【0014】
[固定側機構30:
図1,
図2]
固定側機構30は、
図1および
図2に示すように、回転体11の外側面11Cより径方向の外側に所定間隔、ここでは均等間隔を空けて配置される複数の固定側機器31と、固定側機器31のそれぞれに対応して設けられる集電子33と、固定側機器31と集電子33とを電気的に接続する固定側電線35と、を備える。
第1実施形態においては、一例として、
図1に示すように四つの固定側機器31が円周方向に均等の間隔を隔てて配置される。四つの固定側機器31は、絶対的な位置が変わらずに固定されるが、回転体11が回転されると、外側面11Cに対する相対的な位置が移動する。
集電子33は、移動側機構10の導電体19と接触することにより、移動側機構10と固定側機構30の間の情報信号の授受が可能となる。集電子33のそれぞれは位置が固定されるが、回転体11が回転運動に伴って外側面11Cの導電体19が移動するため、集電子33は導電体19と接触する状態と導電体19と非接触の状態がある。集電子33と導電体19が接触状態において固定側機器31と移動側機器17との間で情報信号の授受が行われるが、集電子33と導電体19が非接触状態においては固定側機器31と移動側機器17との間で信号の授受を行うことはできない。第1実施形態においては、移動側機器17の台数と固定側機器31の台数とが一致する。
なお、ここでは固定側機器31を回転体11の径方向の外側に配置される例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、回転体11が内側に空隙を有するリング形状を有する場合には、固定側機器31は回転体11の径方向の内側に配置されることになる。そして、この場合には、移動側機構10の導電体19はリング形状を有する回転体11の内側面または内周縁に設けられる。
【0015】
[制御部50:
図1,
図2]
制御部50は、以上説明した移動側機構10および固定側機構30の動作を制御する。ここでは、移動側機構10および固定側機構30の両者の動作の制御を制御部50がまとめて担うこととしているが、移動側機構10の動作のみを制御する制御部と、固定側機構30動作のみを制御する制御部とが独立して設けられてもよい。
【0016】
[信号授受装置1の動作:
図3,
図4]
次に、
図3および
図4を参照して信号授受装置1の動作を説明する。なお、
図3および
図4において、左上、右上、右下、左下の順に動作が進むものとし、それぞれをSTEP1A~STEP8Aと称することにする。この動作の進行順は、
図3および
図4に示される白抜き矢印で示されている。また、
図3および
図4において、R1、R2、R3およびR4は四つの移動側機器17を区別するために付された記号であり、以下の説明においては、移動側機器R1、移動側機器R2、移動側機器R3および移動側機器R4と称される。同様にF1、F2、F3およびF4は四つの固定側機器31を区別するために付された記号であり、以下の説明においては、固定側機器F1、固定側機器F2、固定側機器F3および固定側機器F4と称される。第1実施形態は、移動側機器17の台数と固定側機器31の台数とが一致する例を示している。
【0017】
[STEP1A:
図3]
一例として、はじめに
図3のSTEP1Aに示すように、以下の固定側機器と移動側機器の組み合わせで電気的に接続されており、両者の間で情報信号が授受される。このとき、回転体11は回転が所定時間だけ停止されており、この停止している間に信号の授受が行われる。信号は、固定側機器から移動側機器に向けて伝送されてもよいし、移動側機器から固定側機器に向けて伝送されてもよい。ここでは回転体11が所定時間だけ停止して信号の授受が行われる例を具体的に示しているが、回転体11が停止することなく信号の授受を行うこともできる。以下で説明するSTEP3A,5A,7Aについても同様である。
移動側機器R1と固定側機器F1 , 移動側機器R2と固定側機器F2
移動側機器R3と固定側機器F3 , 移動側機器R4と固定側機器F4
【0018】
[STEP2A~STEP3A:
図3]
所定時間の停止を経た後に、回転体11は所定の向き、ここでは時計回りに回転することで、集電子33と導電体19とが非接触の状態、つまり固定側機器と移動側機器の電気的な接続が一度は解除されるSTEP2Aを経る。さらに回転体11が所定の向きに回転することで、以下の固定側機器と移動側機器の組み合わせで電気的に接続されると、回転が停止される。このSTEP3Aにおいても、回転体11は回転が所定時間だけ停止され、この停止している間に信号の授受が行われる。
移動側機器R1と固定側機器F2 , 移動側機器R2と固定側機器F3
移動側機器R3と固定側機器F4 , 移動側機器R4と固定側機器F1
【0019】
[STEP4A~STEP5A:
図3,
図4]
所定時間の停止を経た後に、回転体11は所定の向きに回転することで、集電子33と導電体19とが非接触の状態、つまり固定側機器と移動側機器の電気的な接続が一度は解除されるSTEP4Aを経る。さらに回転体11が所定の向きに回転することで、以下の固定側機器と移動側機器の組み合わせで電気的に接続されると、回転が停止される。
図4に示されるSTEP5Aにおいても、回転体11は回転が所定時間だけ停止され、この停止している間に信号の授受が行われる。
移動側機器R1と固定側機器F3 , 移動側機器R2と固定側機器F4
移動側機器R3と固定側機器F1 , 移動側機器R4と固定側機器F2
【0020】
[STEP6A~STEP7A:
図4]
所定時間の停止を経た後に、回転体11は所定の向きに回転することで、集電子33と導電体19とが非接触の状態、つまり固定側機器と移動側機器の電気的な接続が一度は解除されるSTEP6Aを経る。さらに回転体11が所定の向きに回転することで、以下の固定側機器と移動側機器の組み合わせで電気的に接続されると、回転が停止される。
図4に示されるSTEP7Aにおいても、回転体11は回転が所定時間だけ停止され、この停止している間に信号の授受が行われる。
移動側機器R1と固定側機器F4 , 移動側機器R2と固定側機器F1
移動側機器R3と固定側機器F2 , 移動側機器R4と固定側機器F3
【0021】
[STEP8A~STEP1A:
図4,
図3]
所定時間の停止を経た後に、回転体11は所定の向きに回転することで、集電子33と導電体19とが非接触の状態、つまり固定側機器と移動側機器の電気的な接続が一度は解除されるSTEP8Aを経る。さらに回転体11が所定の向きに回転することで、以下の固定側機器と移動側機器の組み合わせで電気的に接続されると、回転が停止される。これで、当初から回転体11が一回転することで、
図3のSTEP1Aに戻る。
移動側機器R1と固定側機器F1 , 移動側機器R2と固定側機器F2
移動側機器R3と固定側機器F3 , 移動側機器R4と固定側機器F4
【0022】
[信号授受装置1による効果]
以上のように、信号授受装置1によれば、回転体11が一回転する間に、移動側機器R1~移動側機器R4と固定側機器F1~固定側機器F4とが電気的に接続される相手を順番に代えながら、それぞれの相手と情報信号の授受を行うことができる。したがって、信号授受装置1によれば、伝送遅延を招く信号切り替えを要することなく、情報信号は常に対応する移動側機器R1~移動側機器R4と固定側機器F1~固定側機器F4との間で直接的に伝送されるため、迅速に情報信号を伝送できる。また、信号切り替え機を要しないため、信号授受装置1が占めるスペースやコストを抑えることができる。
【0023】
また、導電体19と集電子33は、回転体11の外側面11Cに沿って配置される。したがって、相当数の導電体19と集電子33が必要だとしても、それに応じて回転体11の径が大きくなれば相当数の導電体19と集電子33を配置できる。したがって、信号授受装置1としての高さは、移動側機器17と固定側機器31との間で必要とされる信号数に対応する導電体19および集電子33の数に応じた回転体11の厚さおよび回転体11に搭載される移動側機器17の高さに抑えることができる。なお、第1実施形態における必要とされる信号数は一つであるが、1種類の信号を伝送するために、高さ方向Hに並ぶ一対の導電体19が設けられている。
【0024】
〔第2実施形態:
図5,
図6,
図7,
図8〕
第2実施形態は、第1実施形態の信号授受装置1を印刷装置3に適用する例である。この印刷装置3は、連続的に搬送される飲料用の容器Bの外表面に文字、イラストなどの印刷を施す。印刷装置3は、移動側機構110の側が容器Bの搬送を受け持ち、固定側機構130の側において印刷を受け持つ。印刷装置3は、一本の容器Bについて順番に異なる色を印刷する。
【0025】
第2実施形態に係る移動側機構110は、載せられた容器Bを円周方向に沿って搬送するために回転体11が所定の向きに回転するのに加えて、回転体11に載せられた容器Bをその第2中心軸C2を中心にして回転する機能を有する。以下において、回転体11が第1中心軸C1を中心にして所定の向きに回転することを容器Bの交転と称し、容器Bが第2中心軸C2を中心にして回転することを容器Bの自転と称する。移動側機構110の移動側機器17が容器Bを自転しながら支持する。
【0026】
第2実施形態に係る固定側機構130は、一例としてインクジェット方式により、容器Bの外表面に印刷を施す。そのために、固定側機構130の固定側機器31がインクジェット方式の印刷ヘッドとして機能する。印刷ヘッドとしての固定側機器31は、それぞれに対応する位置において自転する容器Bに印刷を施す。
【0027】
以下、第2実施形態について、
図5~
図8を参照して具体的に説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ要素には、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0028】
[移動側機構110:
図5,
図6,
図7]
移動側機構110は、
図5および
図6に示すように、回転体11に設けられる複数の自転テーブル23と、それぞれの自転テーブル23を回転駆動させる第2電動モータ25と、を備える。
自転テーブル23は、回転体11の外側面11Cの近傍に円周方向に一例として均等間隔で設けられる。また、自転テーブル23は、回転体11の上壁11Dから微小間隔を空けて設けられ、容器Bを載せた状態で、第2電動モータ25により回転駆動される。この回転駆動は、容器Bの外表面に印刷を施すために行われる。第2実施形態においては一例として24台の自転テーブル23が設けられているが、この台数はあくまで一例であり、第3実施形態においてはさらに多くの自転テーブル23が設けられる。
【0029】
第2電動モータ25は、第1実施形態で述べた移動側機器17に該当する。第2電動モータ25が備える第2出力軸26は、上壁11Dを貫通して自転テーブル23を支持し、第2電動モータ25は自転テーブル23を回転駆動する。第2電動モータ25は、例えばサーボモータからなり、第2エンコーダ27を備えている。第2エンコーダ27もインクリメンタル方式のロータリエンコーダを適用できる。インクリメンタル方式のロータリエンコーダは、1回転ごとに出力されるZ相のほか、位相の異なるA相とB相の3種類のパルス波形を出力する。次に説明する第3実施形態においては、印刷ヘッド37による印刷を実行するためのデータ信号としてA相のパルス信号およびZ相のパルス信号を利用する。これらパルス信号は、第2エンコーダ27における位相の状態を特定するものであり、本開示における電気的な情報信号に該当する。また、これらパルス信号は、自転テーブル23の回転方向の位置を特定するものである。
【0030】
移動側機構110は、
図6に示すように、それぞれの第2電動モータ25には移動側電線21を介して導電体19が電気的に接続されている。第2実施形態においては、それぞれの第2電動モータ25に対応して二対、つまり合わせて四本の移動側電線21および四つの導電体19が設けられる例を示している。二対は固定側機構130の集電子33についても同様に当てはまる。また、導電体19は、回転体11の外周縁11Eに沿って設けられる。
【0031】
[固定側機構130:
図5,
図6]
固定側機構130は、
図5および
図6に示すように、回転体11の外側面11Cから所定間隔、ここでは均等間隔を空けて設けられる複数の印刷ヘッド37と、それぞれの印刷ヘッド37に対応して設けられる紫外線照射ランプ39と、を備える。印刷ヘッド37および紫外線照射ランプ39が、固定側機器31に該当する。
【0032】
複数の印刷ヘッド37は、円周方向に沿って均等な間隔を空けて配置され、また、紫外線照射ランプ39も円周方向に沿って均等な間隔を空けて配置される。この円周方向において、印刷ヘッド37と紫外線照射ランプ39が交互に配置される。
【0033】
印刷ヘッド37は、一例としてインクジェット方式のヘッドからなり、本実施形態においては6つの異なる色に対応する6台の印刷ヘッド37が用意される。この6色は、一例としてブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色、プライマ(透明)、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、グレーの6色などが掲げられる。この6色を区別するために、
図5において、印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fと表記される。
紫外線照射ランプ39は、印刷ヘッド37で容器Bの表面に塗布されたインクを乾燥するための紫外線を照射する。
図5において、印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fに対応することが分かるように、紫外線照射ランプ39A,39B,39C,39D,39E,39Fと表記される。例えば、印刷ヘッド37Aで塗布されたインクは紫外線照射ランプ39Aで乾燥され、また、印刷ヘッド37Dで塗布されたインクは紫外線照射ランプ39Dで乾燥される。
【0034】
固定側機器31である印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fおよび紫外線照射ランプ39A,39B,39C,39D,39E,39Fのそれぞれに対応して集電子33および固定側電線35が設けられる。
第2実施形態においては、移動側機器17である自転テーブル23の台数の方が固定側機器31である印刷ヘッド37の台数より多い。
【0035】
[印刷装置3の動作:
図7,
図8]
次に、
図7および
図8を参照して印刷装置3の動作を説明する。この動作の説明は、容器Bの搬送の手順、印刷ヘッド37からのインク塗布の手順、および、紫外線照射ランプ39からの紫外線照射の手順を中心に行うが、固定側機器と移動側機器との電気的な接続は第1実施形態と同様に断続的に行われる。なお、
図7および
図8において、左上、右上、右下、左下の順に動作が進むものとし、それぞれをSTEP1B~STEP8Bと称することにする。この動作の進行順は、
図7および
図8に示される白抜き矢印で示されている。
【0036】
[STEP1B:
図7]
図7に示すように、STEP1Bは、印刷ヘッド37Aの前に容器B1が搬送されたところから開始される。なお、この説明において、最初に搬送されることから容器B1と表記される。
容器B1が印刷ヘッド37Aの前に搬送されると、回転体11の回転、つまり公転が停止される。回転体11の公転が停止すると、容器B1への印刷が始まる。容器B1への印刷は、容器B1を載せた自転テーブル23が第2電動モータ25の駆動により回転するとともに、印刷ヘッド37Aからインクを容器B1の外表面に向けて吐出することにより行われる。容器B1の自転および印刷ヘッド37Aからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。なお、自転テーブル23は回転体11の公転が行われている間に回転してもよい。
【0037】
[STEP2B~STEP3B:
図7]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、容器B1が紫外線照射ランプ39Aの前に搬送、次の容器B2が印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP2B)。
回転体11の公転が停止すると、容器B1への紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および容器B2への印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP3B)。この間、容器B1を載せた自転テーブル23および容器B2を載せた自転テーブル23は自転する。容器B1および容器B2の回転、紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37Aからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。なお、容器B1および容器B2の回転位置にかかわらず、紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射が行われる。
【0038】
[STEP4B~STEP5B:
図7,
図8]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、容器B1が印刷ヘッド37Bの前に搬送され、容器B2が紫外線照射ランプ39Aの前に搬送され、容器B3が印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP4B)。
回転体11の公転が停止すると、容器B1への印刷ヘッド37Bによる印刷が行われ、容器B2への紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および容器B3への印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP5B)。この間、容器B1を載せた自転テーブル23、容器B2を載せた自転テーブル23および容器B3を載せた自転テーブル23は自転する。容器B1、容器B2および容器B3の回転、紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37A,37Bからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0039】
[STEP6B~STEP7B:
図8]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、容器B1が紫外線照射ランプ39Bの前に搬送され、容器B2が印刷ヘッド37Bの前に搬送され、容器B3が紫外線照射ランプ39Aの前に搬送され、容器B4が印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP6B)。
回転体11の公転が停止すると、容器B1への紫外線照射ランプ39Bによる紫外線照射、容器B2への印刷ヘッド37Bによる印刷、容器B3への紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および容器B4への印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP7B)。この間、容器B1を載せた自転テーブル23、容器B2を載せた自転テーブル23および容器B3を載せた自転テーブル23は自転する。容器B1、容器B2および容器B3の回転、紫外線照射ランプ39A,39Bによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37A,37Bからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0040】
[STEP8B:
図8]
以上と同様にして容器B1などの搬送、印刷ヘッド37Aなどによる印刷、紫外線照射ランプ39Aなどによる紫外線照射を繰り返す。そうすると、
図9に示すように、先頭で供給された容器B1は、印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fによる印刷および紫外線照射ランプ39A,39B,39C,39D,39E,39Fによる紫外線の照射を完了して、所望する装飾、文字などを含む印刷が施される。
【0041】
[印刷装置3による効果]
印刷装置3によれば、以下の効果を奏する。
印刷装置3は、以上のように、信号授受装置1によれば、回転体11が一回転する間に、移動側機器である自転テーブル23と固定側機器である印刷ヘッド37とが電気的に接続される相手を順番に代えながら、それぞれの相手と情報信号の授受を行うことができる。したがって、印刷装置3によれば、伝送遅延を招く信号切り替えを要することなく、情報信号は常に対応する自転テーブル23と印刷ヘッド37との間で直接的に伝送されるため、迅速に情報信号を伝送できる。したがって、印刷ヘッド37による容器Bへの印刷を迅速に行うことができる。
【0042】
〔第3実施形態:
図9,
図10,
図11,
図12〕
第3実施形態は、第3実施形態と同様に信号授受装置1を印刷装置5に適用する例である。印刷装置5が印刷装置3と異なる点は以下の通りである。つまり、印刷装置3は一本の容器Bについて順番に異なる色を印刷するものであったが、印刷装置5は複数本、例えば四本の容器Bについて同じ色による印刷を施し、次いで四本の容器Bについて異なる色による印刷施すという手順を繰り返すものである。印刷装置5の基本的な動作は、移動側機構210の側が容器Bの搬送を受け持ち、固定側機構230の側において印刷を受け持つ点、インクジェット方式による印刷など、印刷装置3と同じである。以下では、
図9~
図12を参照しながら、印刷装置3と同様の構成については説明をできるだけ省き、印刷装置3との相違点を中心に説明する。
【0043】
[移動側機構210:
図9]
移動側機構210は、
図9に示すように、回転体11に設けられる複数の自転テーブル23を備えるが、自転テーブル23の台数が第2実施形態に比べて多く備えられている。回転体11およびそれぞれの自転テーブル23は、図示が省略されるが、第2実施形態と同様に、第1電動モータ13および第2電動モータ25で駆動されるものとする。また、移動側機構210において、図示が省略されるが、第2実施形態と同様にそれぞれの第2電動モータ25には移動側電線21を介して導電体19が電気的に接続されているものとする。
【0044】
[固定側機構230:
図9]
固定側機構230は、
図9に示すように、複数の印刷ヘッド37および複数の紫外線照射ランプ39が交互に設けられる。ただし、第3実施形態の固定側機構230は、一例として、印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fのそれぞれが四台ずつ、紫外線照射ランプ39A,39B,39C,39D,39E,39Fのそれぞれが四台ずつ設けられる。そして、同じ色を印刷する四台の例えば印刷ヘッド37Aは隣接し並んで設けられ、四台の印刷ヘッド37Aのそれぞれに対応する四台の紫外線照射ランプ39Aは、印刷ヘッド37Aの下流側に隣接し並んで設けられる。この構成は、四本の容器Bに同じ色を同時に印刷することを前提としている。例えば、六本の容器Bに同じ色を同時に印刷することを前提とすれば、印刷ヘッド37A~37Fのそれぞれを六台として、紫外線照射ランプ39A~39Fのそれぞれを六台とすればよい。
同じ色を同時に印刷する容器Bの本数が多いほど、第1実施形態に係る信号授受装置1を用いることによる効果が顕著になる。
【0045】
[印刷装置5の動作:
図10,
図11]
次に、
図10および
図11を参照して印刷装置5の動作を説明する。この動作の説明は、第2実施形態の
図7および
図8と同様にして、容器Bの搬送の手順、印刷ヘッド37からのインク塗布の手順、および、紫外線照射ランプ39からの紫外線照射の手順を中心に行う。この間における固定側機器と移動側機器との電気的な接続は第1実施形態と同様に断続的に行われる。
【0046】
[STEP1C:
図10]
図10に示すように、STEP1Cは、四台の印刷ヘッド37Aの前に四本の容器B1が搬送されたところから開始する。
四本の容器B1が四台の印刷ヘッド37Aの前に搬送されると、回転体11の公転が停止される。回転体11の公転が停止すると、四本の容器B1への印刷が同時に始まる。四本の容器B1への印刷は、四本の容器B1のそれぞれを載せた自転テーブル23が第2電動モータ25の駆動により同期して回転するとともに、四台の印刷ヘッド37Aから同時にインクを吐出して四本の容器B1のそれぞれの外表面を印刷することにより行われる。容器B1の回転および印刷ヘッド37Aからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0047】
[STEP2C~STEP3C:
図10]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、四本の容器B1が四台の紫外線照射ランプ39Aの前に搬送、次の四本の容器B2が四台の印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP2C)。
回転体11の公転が停止すると、四本の容器B1への四台の紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および四本の容器B2への四台の印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP3C)。この間、四本の容器B1のそれぞれを載せた四台の自転テーブル23および四本の容器B2のそれぞれを載せた四台の自転テーブル23は自転する。四本の容器B1および四本の容器B2の回転、紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37Aからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0048】
[STEP4C~STEP5C:
図10]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、四本の容器B1が四台の印刷ヘッド37Bの前に搬送され、四本の容器B2が四台の紫外線照射ランプ39Aの前に搬送され、四本の容器B3が四台の印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP4C)。
回転体11の公転が停止すると、四本の容器B1への四台の印刷ヘッド37Bによる印刷が行われ、四本の容器B2への四台の紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および四本の容器B3への四台の印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP5C)。この間、容器B1を載せた自転テーブル23、容器B2を載せた自転テーブル23および容器B3を載せた自転テーブル23は自転する。容器B1、容器B2および容器B3の回転、紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37A,37Bからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0049】
[STEP6C~STEP7C:
図10,
図11]
所定の公転停止時間を経た後に、回転体11は所定の向きに所定の角度だけ回転する。そうすると、四本の容器B1が四台の紫外線照射ランプ39Bの前に搬送され、四本の容器B2が四台の印刷ヘッド37Bの前に搬送され、四本の容器B3が四台の紫外線照射ランプ39Aの前に搬送され、四本の容器B4が四台の印刷ヘッド37Aの前に搬送され、回転体11の公転が停止される(STEP6C)。
回転体11の公転が停止すると、四本の容器B1への四台の紫外線照射ランプ39Bによる紫外線照射、四本の容器B2への四台の印刷ヘッド37Bによる印刷、四本の容器B3への四台の紫外線照射ランプ39Aによる紫外線の照射および四本の容器B4への四台の印刷ヘッド37Aによる印刷が行われる(STEP7C)。この間、容器B1を載せた自転テーブル23、容器B2を載せた自転テーブル23、容器B3を載せた自転テーブル23および容器B4を載せた自転テーブル23は自転する。容器B1、容器B2、容器B3および容器B4の回転、紫外線照射ランプ39A,39Bによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド37A,37B,37Cからのインクの吐出は、回転体11の公転が停止している間に行われる。
【0050】
[STEP8C:
図11]
以上と同様にして容器B1などの搬送、印刷ヘッド37Aなどによる印刷、紫外線照射ランプ39Aなどによる紫外線照射を繰り返す。そうすると、
図11に示すように、先頭で供給された容器B1は、印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fによる印刷および紫外線照射ランプ39A,39B,39C,39D,39E,39Fによる紫外線の照射を完了して、所望する装飾が施される。
【0051】
[印刷装置5の状態と制御信号の関係:
図12]
次に、
図12を参照して、印刷装置5の状態と制御信号の関係を説明する。なお、
図12において、印刷装置5の状態が上段に記載され、制御信号は印刷装置5の状態よりも下方に記載されている。印刷装置5が印刷を実行する前提として、印刷条件、容器Bの寸法、印刷条件および容器Bの寸法に基づく自転テーブル23の要求回転速度が印刷ヘッド37(37A~37F)に対して設定される。
【0052】
[印刷装置5の状態:
図12]
印刷装置5は、
図12に示すように、印刷ヘッド37Aによる一色目の印刷がなされ、次いで印刷ヘッド37Bによる二色目の印刷がなされ、以下同様にして印刷ヘッド37Fによる六色目の印刷が順に行われる。印刷は、ボタンを押圧するなどの印刷開始指令を受けて開始され得る。
【0053】
印刷装置5において、回転体11が回転、つまり公転する。回転体11の公転は、容器Bを印刷ヘッド37A,37B,37C,37D,37E,37Fの順に搬送することを目的とするものである。したがって、
図12に示すように、印刷ヘッド37による印刷の前後に回転体11は公転するが、容器Bを目的とする印刷ヘッド37まで届けると回転体11は停止する。
【0054】
印刷装置5において、自転テーブル23が回転、つまり自転する。
図12に示すように、一例として自転テーブル23は、容器Bの搬送および印刷に関わらず、常に回転している。印刷ヘッド37による印刷の間だけ自転テーブル23を回転させることもできるが、制御の容易性から、自転テーブル23を常に回転させるほうが容易である。
【0055】
図12において、エンコーダ信号およびトリガ信号は、自転テーブル23を駆動する第2電動モータ25の第2エンコーダ27からの情報信号であり、導電体19および集電子33を介して固定側機器31である印刷ヘッド37Aに伝送される。なお、ここのエンコーダ信号は前述したA相に係るパルス信号であり、トリガ信号は前述したZ相に係るパルス信号であり、印刷ヘッド37を介して制御部50にも伝送される。
また、
図12において、印刷イネーブル信号および印刷終了信号は、制御部50から印刷ヘッド37に向けて送られる。
【0056】
[1色目印刷]
1色目についてみると、回転体11が公転および自転テーブル23が自転している最中に一つ目のトリガ信号が第2エンコーダ27から出力される。回転体11が1色目の印刷位置における位置決めが完了後に、制御部50から印刷ヘッド37Aに向けて印刷イネーブル信号(第1イネーブル信号)を出力する。ただし、印刷ヘッド37Aは第1印刷イネーブル信号を受けたとしても、即座には印刷を開始しない。印刷ヘッド37Aは、第1印刷イネーブル信号を受けた後の一つ目のトリガ信号、つまり当初からすると二つ目のトリガ信号を受けると、印刷を開始する。なお、それ以降の当初からの三つ目以降のトリガ信号は無視される。また、これらの同じエンコーダ信号およびトリガ信号が四台の印刷ヘッド37Aに対して複数の単位で提供される。2色目以降も同様である。
【0057】
1色目について、印刷ヘッド37Aが予め定められる所定の印刷を終えると、印刷ヘッド37Aは印刷終了信号を制御部50に向けて出力する。
制御部50は、印刷終了信号を受けると、印刷イネーブル信号をオフにした後に、回転体11の公転を指示する。
【0058】
[2色目印刷以降]
次に2色目の印刷についてみる。
制御部50は、回転体11の公転による位置決めを行った後に、印刷ヘッド37Bに向けて第2印刷イネーブル信号を出力する。2色目についても1色目と同様に、直後のトリガ信号を受けて印刷ヘッド37Bが印刷を開始する。これにより、1色目と2色目の印刷開始位置をそろえることができる。
2色目について、印刷ヘッド37Bが予め定められる所定の印刷を終えると、印刷ヘッド37Bは印刷終了信号を制御部50に向けて出力する。
制御部50は、印刷終了信号を受けると、印刷イネーブル信号をオフにした後に、回転体11の公転を指示する。これで、2色目の印刷に関する制御信号の説明は終わるが、以後同様にして6色目までの印刷が実行される。
【0059】
[印刷装置5による効果]
印刷装置5によれば、以下の効果を奏する。
印刷装置5は、同じ色を吐出する印刷ヘッド37を複数備えており、複数本の容器Bに同時に印刷を施すことができる。したがって、第2実施形態の印刷装置5よりも単位時間あたりに容器Bに印刷する本数を増やすことができる。
【0060】
〔第4実施形態:
図13,
図14〕
次に、第4実施形態にかかる信号授受装置7について、
図13および
図14を参照して説明する。第1実施形態に係る信号授受装置1は移動側機器が円弧状の軌跡を移動するのに対して、第4実施形態に係る信号授受装置7は移動側機器が直線状の軌跡を移動する点で相違する。なお、信号授受装置7において、第1実施形態の信号授受装置1と同様の要素については信号授受装置1と同じ符号を用いることで説明を省略することがある。
【0061】
[移動側機構310:
図13]
移動側機構310は、
図13に示すように、楕円形の周回軌道を有する搬送路12と、搬送路12に沿って移動する複数の移動側機器17と、を備える。移動側機構310は、移動側機器17で容器Bを支持しながら搬送路12に沿って搬送するものであり、この搬送の過程において種々の処理を施すことができる。
【0062】
[搬送路12]
搬送路12は、
図13に示すように、搬送路12の主体をなす互いに平行な直線路12A,12Bと、直線路12Aと直線路12Bの一方端同士を繋ぐ円弧状の反転路12Cと、直線路12Aと直線路12Bの他方端同士を繋ぐ円弧状の反転路12Dと、を備える。
直線路12Aと直線路12Bは幅方向Wに所定の間隔をあけて対向して配置され、また、反転路12Cと反転路12Dは長手方向Lに所定の間隔をあけて対向して配置されている。
【0063】
搬送路12は、直線路12A、反転路12Cおよび直線路12Bの順に、
図1における反時計回りに移動側機器17が走行する。
搬送路12は、直線路12Aにおいて移動側機器17が受け取った物品、例えば容器Bを移動側機器17が載せた状態で、直線路12A、反転路12C、直線路12Bおよび反転路12Dの順に搬送する。直線路12Bに対向して設けられる複数の固定側機器31と移動側機器17とが関連付けられることにより、容器Bに対して所定の処理が行われる。
【0064】
搬送路12は、直線路12A,12B及び反転路12C,12Dからなる周回軌道上に、リニアモータの一方の要素である電磁コイルが設けられる。リニアモータの他方の要素である永久磁石は、それぞれの移動側機器17に設けられており、搬送路12と移動側機器17によりリニアモータが構成される。
【0065】
第4実施形態における移動側機器17は、リニアモータとしての要素、搬送路12を走行するための要素を備える以外は、第1実施形態の移動側機器17と同様の要素を備えているとともに、導電体19および移動側電線21が付属されている。
【0066】
[固定側機構330:
図13]
固定側機構330は、
図13に示すように、直線路12Bに沿って固定側機器31が一列に並んで構成される。それぞれの固定側機器31は、第1実施形態と同様に、集電子33と固定側電線35を備える。
第4実施形態において、
図1に示すように複数、一例として10台の固定側機器31が直線状に均等の間隔を隔てて配置される。10台の固定側機器31は、絶対的な位置が固定される。
【0067】
[信号授受装置7の動作:
図14]
次に、
図14を参照して信号授受装置7の動作を説明する。なお、
図14は、搬送路12の中で固定側機器31および直線路12Bの一部だけを示している。
図14に示すように、移動側機器17が直線路12Bを移動し(STEP1D)、それぞれが対応する固定側機器31の前にたどり着くと移動を停止する(STEP2D)。移動側機器17が停止している間に所定の処理を行った後に、移動側機器17は直線路12Bを移動する(STEP3D)。以後は、移動側機器17の固定側機器31の前における停止、所定処理、移動の動作を繰り返す。
【0068】
[信号授受装置7による効果]
信号授受装置7によれば、直線状の搬送路においても、信号授受装置1と同様の効果を実現できる。
また、信号授受装置7によれば、それぞれの移動側機器17の移動手段としてリニアモータを用いている。したがって、信号授受装置7によれば、複数の移動側機器17のそれぞれの移動および停止を独立して制御できる。
【0069】
[付記]
本開示の第1形態に係る信号授受装置(1,7)は、それぞれが上流側から下流側に向けて移動軌跡に従って移動と停止を繰り返す、複数の移動側機器(17)と、それぞれの移動側機器(17)に対応して設けられる、情報信号の授受を担う第1授受体(19)と、を備える移動側機構(10)と、それぞれが移動軌跡に倣って配置されるとともに、配置の位置が固定される複数の固定側機器(31)と、それぞれの固定側機器(31)に設けられる、第1授受体(19)と直に接触し、情報信号の授受を担う第2授受体(33)と、を備える固定側機構(30)と、を備える。
信号授受装置(1,7)は、移動側機器(17)が固定側機器(31)に対応する位置まで上流側から移動した後に停止することで、第1授受体(19)が第2授受体(33)と接触し、情報信号の授受を行う動作が繰り返される。
【0070】
第1形態に係る信号授受装置によれば、移動側機器と固定側機器とが電気的に接続される相手を順番に代えながら、それぞれの相手と情報信号の授受を行うことができる。したがって、本開示の信号授受装置によれば、伝送遅延を招く信号切り替えを要することなく、情報信号は常に対応する移動側機器と固定側機器との間で直接的に伝送されるため、迅速に情報信号を伝送できる。
また、移動側機器に設けられる第1授受体は、移動方向に沿って配置される。したがって、相当数の第1授受体が必要だとしても、それに応じて移動方向の寸法を大きくすれば第1授受体を配置できる。したがって、信号授受装置としての高さは、移動側機器と固定側機器との間で必要とされる信号数に対応する第1授受体の数に応じた高さに抑えることができる。
【0071】
本開示の第2形態に係る信号授受装置(1,7)における情報信号は、移動側機器(17)および固定側機器(31)のいずれか一方の状態を特定し、移動側機器(17)および固定側機器(31)の一方から他方に提供される。
第2形態に係る信号授受装置によれば、移動側機器および固定側機器のいずれか一方の状態を特定する情報信号が、移動側機器および固定側機器の一方から他方に提供されるので、提供される情報信号に基づいて適切な処理を施すことができる。
【0072】
本開示の第3形態に係る信号授受装置(1,7)は、単数の単位で移動側機器(17)および固定側機器(31)の一方から他方に同じ前記情報信号が提供されるか、または、複数の単位で移動側機器(17)および前記固定側機器(31)の一方から他方に同じ情報信号が提供される。
第3形態に係る信号授受装置によれば、単数の単位に限らず、複数の単位で同じ情報信号が提供できるので、複数の移動側機器において同じ処理を施すことができる。
【0073】
本開示の第4形態に係る信号授受装置(1,7)は、移動側機器(17)の台数と固定側機器31の台数とが一致するか、または、移動側機器(17)の台数が固定側機器31の台数と異なる。
このように、第4形態によれば、移動側機器の台数と固定側機器の台数との大小関係に関わらずに、本開示が実行できる。
【0074】
本開示の第5形態に係る移動側機構(10)は、第1中心軸(C1)を中心にして回転する回転体(11)を備え、複数の移動側機器(17)は、円周方向に沿って所定間隔、例えば均等間隔で回転体(11)に配置され、回転体(11)が回転することで、複数の移動側機器(17)は円弧状の移動軌跡に従って移動し、固定側機構(30)は、回転体(11)の径方向の外側であって、円弧状の移動軌跡に倣って、複数の固定側機器(31)が一列に並んで配置される。
第5形態によれば、円弧状の移動経路であっても、本開示を適用できるので、設置スペースを小さくできる。
【0075】
本開示の第6形態に係る移動側機構(10)において、移動側機器(17)の台数に応じる数の第1授受体(19)が、それぞれの移動側機器(17)に対応する回転体(11)の外側面(11C)または外周縁(11E)に設けられる。
第6形態によれば、回転体(11)の外側面(11C)に限らず、回転体(11)の外周縁(11E)に第1授受体(19)を設けることができる。
【0076】
本開示の第7形態に係る移動側機構(10)において、それぞれの移動側機器(17)は、第2中心軸(C2)を中心にして駆動され、物品を支持する自転テーブル(23)を備え、自転テーブル(23)は、少なくとも、移動側機器(17)が対応する固定側機器(31)に対峙して回転体(11)が停止している間に回転する。
第7形態によれば、自転テーブル(23)を備えることで、自転テーブル(23)に載せられる容器(B)などの物品の全周囲に印刷などの処理を施すことができる。
【0077】
本開示の第8形態に係る情報信号は、自転テーブル(23)の回転方向の位置を特定するものである。
第8形態によれば、自転テーブルに支持される物品の回転方向の位置を特定できるので、当該物品へ適切な処理を施すことができる。
【0078】
本開示の第9形態に係る処理装置(5,7)は、複数の移動側機器(17)を有する移動側機構(10)と複数の固定側機器(31)を有する固定側機構(30)とを備える信号授受装置(1,7)と、移動側機器(17)および固定側機器(31)の一方のそれぞれに設けられる物品の支持体(23)と、移動側機器(17)および固定側機器(31)の他方のそれぞれに設けられる、物品に所定の処理を施す処理部(37)と、を備える。
このように、第9形態によれば、処理部(37)を備えることにより、断続的に物品に所定の処理を行うことができる。
【0079】
本開示の第10形態に係る処理装置(5,7)において、固定側機器(31)の処理部(37)は、移動が停止している移動側機器(17)の支持体(23)に支持される物品に印刷を施す印刷ヘッド(37)である。
このように第10形態によれば、断続的に物品に印刷を施すことができる。
【0080】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0081】
第1実施形態~第4実施形態において、情報信号は移動側機構から固定側機構に向けて伝送されるが、本開示はこの逆に情報信号を伝送できる。
また、第2実施形態および第3実施形態において、処理装置の一例として印刷装置が示されているが、本開示における処理装置としては、他に、容器に複数種類のラベルを貼り付ける装置などが掲げられる。
さらに、第2実施形態および第3実施形態において、情報信号の一例として第2エンコーダからのパルス信号が示されているが、本開示における情報信号としては、他に、各種のセンサ電気信号などが掲げられる。
【0082】
また、第4実施形態において、移動側機器17の移動手段としてリニアモータを用いたが、本開示はこれに限るものではない。例えば、リニアモータの代替として、楕円形に形成されるコンベア装置を用い、このコンベア装置に複数の移動側機器17を載せて移動できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,7 信号授受装置
3,5 印刷装置
10,110,210,310 移動側機構
11 回転体
11A 上面
11B 下面
11C 外側面
11D 外周縁
11D 上壁
12 搬送路
12A,12B 直線路
12C,12D 反転路
13 第1電動モータ
14 第1出力軸
15 第1エンコーダ
17 移動側機器
19 導電体
19A 内面
19B 外面
21 移動側電線
23 自転テーブル
25 第2電動モータ
26 第2出力軸
27 第2エンコーダ
30,130,230,330 固定側機構
31 固定側機器
33 集電子
35 固定側電線
37,37A,37B,37C,37D,37E,37F 印刷ヘッド
39,39A,39B,39C,39D,39E,39F 紫外線照射ランプ
50 制御部
B,B1,B2,B3,B4 容器
C1 第1中心軸
C2 第2中心軸
F1,F2,F3,F4 固定側機器
R1,R2,R3,R4 移動側機器
W 幅方向
H 高さ方向
L 長手方向