(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146139
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】発火物体特定装置、発火物体特定システム、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20220101AFI20231004BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231004BHJP
【FI】
B09B3/00 ZAB
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053168
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇和 直哉
(72)【発明者】
【氏名】菅 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】川上 博史
(72)【発明者】
【氏名】藤木 隆史
【テーマコード(参考)】
4D004
5L096
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004CA04
4D004CB45
4D004DA01
4D004DA04
4D004DA17
4D004DA20
5L096BA02
5L096CA05
5L096FA69
5L096JA03
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】ゴミ処理施設において、発火した物体の特定を可能にする。
【解決手段】発火物体特定装置6は、ゴミ処理施設(破砕選別処理設備1)において廃棄物を搬送する搬送装置(第2コンベヤ22)と、搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置(第1カメラ71、第2カメラ72)と、廃棄物の発火が検知された場合に、撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像を特定する画像特定部634と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている、発火物体特定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発火物体特定装置において、
前記画像特定部によって特定された画像を表示する表示装置をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発火物体特定装置において、
前記画像特定部によって特定された画像を記憶する記憶部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
前記撮影装置は、前記搬送装置の上流側に設置された第1撮影装置と、前記搬送装置における前記第1撮影装置よりも下流側に設置された第2撮影装置とを含み、
前記第2撮影装置が撮影した画像に基づいて前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記画像特定部は、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、前記検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する、発火物体特定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発火物体特定装置において、
前記第2撮影装置が撮影した画像における発火位置に基づいて、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像における発火物体の位置を特定する位置特定部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発火物体特定装置において、
前記位置特定部は、発火前の画像において、発火物体の位置を区別して示す、発火物体特定装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
前記撮影装置が撮影した画像を記憶するメモリをさらに備え、
前記画像特定部は、前記メモリが記憶している画像から、発火前の画像を特定する、発火物体特定装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
学習済みモデルを有しかつ、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項9】
ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するためのシステムであって、
搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力部と、
前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている、発火物体特定システム。
【請求項10】
ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力処理と、
前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知処理と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定処理と、をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、ゴミ処理施設において、発火物体を特定するための装置、システム、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンベヤ上で廃棄物が発火した場合に消火を行う廃棄物処理システムが記載されている。このシステムでは、破砕機によって破砕された後の廃棄物が、コンベヤによって運搬される。コンベヤは、火災検知センサと、消火設備とを備えている。火災検知センサは、温度や光によって、搬送されている廃棄物の火災を検知する。消火設備は、火災検知センサが火災を検知すると、コンベヤが走行している状態で消火動作を行う。
【0003】
特許文献2には、可燃性廃棄物の貯留ピットにおいて、燃焼煙を検知するシステムが記載されている。このシステムは、貯留ピットにおける廃棄物の画像を撮像する撮像部と、撮像された画像に燃焼煙の画像部分が存在するか否かの判定を行う判定部と、燃焼煙の画像部分が存在している場合に報知を行う報知部とを備えている。判定部は、機械学習によって予め生成された学習モデルを使って判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-063722号公報
【特許文献2】特開2021-103345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴミ処理施設においては、例えばリチウムイオンバッテリのような処理対象外のゴミが破砕されることによって発火することがある。ゴミ処理施設において火災が発生してしまうと、その消火作業及び消火後の後処理のために、ゴミ処理施設の稼働を停止しなければならず、施設の運用に支障が生じる。火災の発生を防止する観点から、周辺地域の住民に対して、発火の恐れのある処理対象外のゴミを、確実に分別するように注意喚起をすることが望ましい。
【0006】
そうした注意喚起の効果を高めることを目的として、ゴミ処理施設において発火又は火災が発生した場合に、その発火物体を特定することが考えられる。つまり、ゴミ処理施設における実際の発火事例に基づいて、周辺地域の住民に対する注意喚起を行えば、その効果が高まることが期待できる。
【0007】
そこで、特許文献2に記載されているような、ゴミ処理施設に設置されているカメラを利用して、発火物体を特定することが考えられる。
【0008】
ところが、発火している廃棄物を撮影した画像には煙や炎が含まれるため、煙や炎に視界が遮られることで、発火物体の特定が難しい場合がある。
【0009】
ここに開示する技術は、ゴミ処理施設において、発火した物体の特定を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示する技術は、発火物体を特定する装置に係る。この装置は、ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている。
【0011】
搬送装置は、ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する。搬送装置は、例えばコンベヤ又はスクリュフィーダとしてもよい。搬送装置によって搬送されている最中、廃棄物は、その搬送方向に対して直交する方向、つまり、搬送装置の幅方向の位置を変えない。
【0012】
撮影装置は、搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する。廃棄物の発火が検知された場合に、画像特定部は、撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像を特定する。発火後の画像には煙や炎が含まれるため、発火物体の特定が難しい場合がある。これに対し、発火前の画像には煙や炎が含まれていない。また、前述したように、搬送装置によって搬送されている最中、廃棄物は、搬送装置の幅方向の位置を変えない。そのため、特定された発火前の画像に基づいて、発火物体を特定することが可能である。
【0013】
前記発火物体特定装置は、前記画像特定部によって特定された画像を表示する表示装置をさらに備えている、としてもよい。
【0014】
表示装置が表示する発火前の画像に基づいて、オペレータは、発火物体を特定することが可能である。
【0015】
前記発火物体特定装置は、前記画像特定部によって特定された画像を記憶する記憶部をさらに備えている、としてもよい。
【0016】
特定された画像が記憶されていれば、例えば廃棄物の消火が終わった後に、記憶部が記憶している発火前の画像に基づいて、発火物体を特定することが可能である。
【0017】
前記撮影装置は、前記搬送装置の上流側に設置された第1撮影装置と、前記搬送装置における前記第1撮影装置よりも下流側に設置された第2撮影装置とを含み、前記第2撮影装置が撮影した画像に基づいて前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記画像特定部は、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、前記検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する、としてもよい。
【0018】
ゴミ処理施設に設置されている搬送装置は、廃棄物の飛散防止等の目的でカバーに覆われている。カバーの内部を撮影しようとすると、撮影装置は、搬送装置に近い位置に設置しなければならないため、撮影装置の画角の制限から、一つの撮影装置が、搬送装置の全体を撮影することは難しい。
【0019】
そこで、第1撮影装置と第2撮影装置との2台の撮影装置を使ってもよい。第1撮影装置は搬送装置における上流側に設置し、第2撮影装置は、第1撮影装置よりも下流側に設置する。第1撮影装置は、例えば搬送装置に対する廃棄物の投入部付近に設置し、第2撮影装置は、例えば搬送装置に対する廃棄物の投出部付近に設置してもよい。こうすることで、発火物体特定装置は、搬送装置が搬送している間に発生した廃棄物の発火を検知できる。搬送装置から次工程へ発火物体が搬送されることが防止できる。
【0020】
前述したように、搬送装置によって搬送されている最中、廃棄物は、搬送装置の幅方向の位置を変えないため、第1撮影装置が撮影した画像における廃棄物の位置と、第2撮影装置が撮影した画像における廃棄物の位置とは対応する。
【0021】
第2撮影装置が撮影した画像に基づいて廃棄物の発火が検知された場合に、画像特定部は、第2撮影装置よりも上流側の第1撮影装置が撮影した画像であって、検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する。ここで、所定時間は、第1撮影装置及び第2撮影装置の設置間隔と、搬送装置の搬送速度とに基づいて設定できる。所定時間は、第2撮影装置が撮影した画像に含まれる発火物体が、第1撮影装置が撮影した画像に含まれていると推定できる時間に設定すればよい。そうすることで、画像特定部によって特定された、発火前の画像(つまり、第1撮影装置が撮影した画像)に基づいて、発火物体を特定することが可能になる。
【0022】
前記第2撮影装置が撮影した画像における発火位置に基づいて、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像における発火物体を特定する位置特定部をさらに備えている、としてもよい。
【0023】
前述の通り、搬送装置によって搬送されている最中に、廃棄物は搬送方向に直交する方向について位置を変えない。第1撮影装置が撮影した画像における廃棄物の位置と、第2撮影装置が撮影した画像における廃棄物の位置とは対応する。
【0024】
そこで、画像処理技術を利用して、位置特定部が、第2撮影装置が撮影した画像における発火位置から、第1撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像における発火物体の位置を特定することにより、発火物体を容易に特定できる。
【0025】
前記位置特定部は、前記発火前の画像において、発火物体の位置を区別して示す、としてもよい。
【0026】
こうすることでオペレータは、位置特定部によって発火物体の位置が示された、発火前の画像に基づいて、発火物体を容易に特定できる。
【0027】
前記発火物体特定装置は、前記撮影装置が撮影した画像を記憶するメモリをさらに備え、前記画像特定部は、前記メモリが記憶している画像から、発火前の画像を特定する、としてもよい。
【0028】
こうすることで、画像特定部は、発火を検知した時点よりも過去の時点、つまり発火前の画像を特定できる。
【0029】
前記発火物体特定装置は、学習済みモデルを有しかつ、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部をさらに備えている、としてもよい。
【0030】
こうすることで、発火物体特定装置は、発火の検知から発火物体の特定までを自動化できる。
【0031】
ここに開示するシステムは、ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するためのシステムに係る。このシステムは、搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力部と、前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている。
【0032】
このシステムを使うと、ゴミ処理施設において発火した物体の特定が可能である。
【0033】
ここに開示するコンピュータプログラムは、ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。このコンピュータプログラムは、搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力処理と、前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知処理と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定処理と、をコンピュータに実行させる。
【0034】
このコンピュータプログラムを用いると、ゴミ処理施設において、発火した物体の特定が可能である。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、前記の発火物体特定装置、発火物体特定システム、及び、コンピュータプログラムは、ゴミ処理施設において、発火した物体の特定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】
図2は、コンベヤに設置された発火物体特定装置を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、発火が検知された画像と、発火物体を特定する画像との表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、発火物体特定装置の制御手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、発火物体特定装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する発火物体特定装置は例示である。
【0038】
(ゴミ処理施設の構成)
図1は、ゴミ処理施設の構成を例示している。
図1のゴミ処理施設は、不燃ゴミ・不燃性粗大ゴミの破砕選別処理設備1である。ここで説明する発火物体特定装置6(
図2参照)は、不燃ゴミ・不燃性粗大ゴミの破砕選別処理設備1に設置されている。尚、発火物体特定装置6は、不燃ゴミ・不燃性粗大ゴミの破砕選別処理設備1に設置されることに限定されない。
【0039】
破砕選別処理設備1は、大別して、ゴミピット11、破砕機室12、及び、分類装置13に分けられる。
図1に示すゴミピット11、破砕機室12、及び、分類装置13の位置は、これらゴミピット11、破砕機室12、及び、分類装置13の相対的な位置を正確に表すものではない。
【0040】
ゴミピット11は、各所から回収された不燃ゴミ・不燃性粗大ゴミ、つまり廃棄物を貯留する。ヤード10に設置されたダンピングボックス14は、回動することによって、ゴミピット11へ廃棄物を投入する。尚、図示は省略するが、各所から廃棄物を回収する回収車が直接、ゴミピット11へ廃棄物を投入する場合もある。
【0041】
ゴミクレーン15は、ゴミピット11から第1コンベヤ21の受入ホッパ211へ、廃棄物を運ぶ。
【0042】
第1コンベヤ21は、低速回転式破砕機3へ廃棄物を搬送する。第1コンベヤ21は、低速回転式破砕機3の供給コンベヤである。第1コンベヤ21は、一対のプーリーと、一対のプーリーに巻き掛けられたベルトとを備えている。プーリーが回転すると、ベルトが走行する。ベルトの上に置かれた廃棄物がベルトに沿って搬送される。
【0043】
低速回転式破砕機3は、破砕機室12内に設置されている。受入ホッパ211は、破砕機室12の外に設けられている。第1コンベヤ21は、受入ホッパ211へ投入された廃棄物を上方へ搬送しながら、破砕機室12の中へ搬送する。第1コンベヤ21によって搬送された廃棄物は、低速回転式破砕機3へ投入される。
【0044】
低速回転式破砕機3は、廃棄物を粗く破砕する。低速回転式破砕機3は、低速回転する一対の回転刃を有している。一対の回転刃は、横軸であって並設されている。尚、廃棄物を粗く破砕する破砕機の構成は、図例に限定されない。
【0045】
低速回転式破砕機3によって粗く破砕された廃棄物は、第2コンベヤ22へ投入される。第2コンベヤ22は、高速回転式破砕機4へ廃棄物を搬送する。第2コンベヤ22は、高速回転式破砕機4の供給コンベヤである。第2コンベヤ22は、第1コンベヤ21と同様に、一対のプーリーと、ベルトとを備えている。第2コンベヤ22は、低速回転式破砕機3によって破砕された廃棄物を、上方へ搬送する。第2コンベヤ22によって搬送された廃棄物は、高速回転式破砕機4へ投入される。
【0046】
高速回転式破砕機4は、廃棄物をさらに細かく破砕する。高速回転式破砕機4は、高速回転するハンマーを有している。ハンマーは、縦軸である。尚、廃棄物を細かく破砕する破砕機の構成は、図例に限定されない。
【0047】
高速回転式破砕機4によって細かく破砕された廃棄物は、第3コンベヤ23へ投入される。第3コンベヤ23は、廃棄物を、破砕機室12の外に設置されている分類装置13へ搬送する。第3コンベヤ23は、第1破砕物搬送コンベヤである。
【0048】
分類装置13は、廃棄物を、不燃残渣、可燃残渣、アルミ類、及び、鉄類の4種に分類する。分類装置13は、磁力選別機51、不燃残渣・可燃残渣分離装置52、アルミ選別機53、アルミ類風力選別機54、及び、鉄類風力選別機55を備えている。
【0049】
第4コンベヤ24は、第3コンベヤ23に連続する。第4コンベヤ24は、第3コンベヤ23によって搬送された破砕物を、磁力選別機51へ搬送する。第4コンベヤ24は、第2破砕物搬送コンベヤである。
【0050】
磁力選別機51は、磁力を使って、破砕された廃棄物を、鉄類と、それ以外とに選別する。磁力選別機51によって選別された鉄類は、鉄類風力選別機55へ送られる。鉄類以外の廃棄物は、不燃残渣・可燃残渣分離装置52へ送られる。
【0051】
不燃残渣・可燃残渣分離装置52は、廃棄物を、不燃残渣と、それ以外とに分離する。不燃残渣・可燃残渣分離装置52によって分離された不燃残渣は、不燃残渣搬送コンベヤ25によって不燃残渣貯留ホッパ56に搬送される。不燃残渣貯留ホッパ56は、不燃残渣を貯留する。不燃残渣・可燃残渣分離装置52によって分離された不燃残渣以外の廃棄物は、アルミ選別機53へ送られる。
【0052】
アルミ選別機53は、廃棄物からアルミ類を選別する。アルミ選別機53によってアルミ類が選別された残りの廃棄物は、可燃残渣となる。アルミ選別機53によって選別されたアルミ類は、アルミ類風力選別機54に送られる。可燃残渣は、可燃残渣搬送コンベヤ26によって可燃残渣貯留ホッパ57へ搬送される。可燃残渣貯留ホッパ57は、可燃残渣を貯留する。
【0053】
アルミ類風力選別機54は、アルミ選別機53から送られてきたアルミ類から、軽量物を取り除く。アルミ類風力選別機54を通過後のアルミ類は、アルミ類貯留ホッパ58へ搬送される。アルミ類貯留ホッパ58は、アルミ類を貯留する。
【0054】
鉄類風力選別機55は、磁力選別機51から送られてきた鉄類から、軽量物を取り除く。鉄類風力選別機55を通過後の鉄類は、鉄類貯留ホッパ59へ搬送される。鉄類貯留ホッパ59は、鉄類を貯留する。
【0055】
こうして、破砕選別処理設備1は、不燃ゴミ・不燃性粗大ゴミを、4種の廃棄物に選別する。4種の廃棄物はそれぞれ、各ホッパ56~59からトラックへ積載されて、各所へ運搬される。
【0056】
破砕選別処理設備1は、焼却炉により可燃ごみを焼却する処理施設と比較して、処理対象物が受入から搬出までのあらゆる工程において発火の可能性がある。すなわち、可燃ごみは焼却炉で焼却して灰になれば基本的に発火の可能性はないが、破砕選別処理設備1で扱う廃棄物は、リチウムイオンバッテリのような衝撃により発火する物体が混在する限り、あらゆる工程において発火の可能性がある。そのため、煙の検知や火災の検知を早期に行うことが求められる。具体的に破砕選別処理設備1では、以下のような発火の可能性がある。
(1)廃棄物をヤード10に展開する際に、衝撃による発火の恐れがある。
(2)ゴミピット11へのゴミ投入時やゴミクレーン15で掴む際の衝撃に加え、湿気での発熱発火の恐れがある。
(3)低速回転式破砕機3及び高速回転式破砕機4が廃棄物を破砕することにより、発火のリスクが高まる。
(4)破砕後に、分類のために、分類装置13において様々な機器を通るため、空気と触れ合う機会が多く、火災発生の恐れがある。
(5)搬出前に、各貯留ホッパ56~59において廃棄物が貯留されるため、そこで火災の恐れがある。
【0057】
また、
図1には示していないが、破砕選別処理設備1における工程の途中に、手作業による選別工程を設ける場合がある。作業者の避難経路の確保等の観点からも、火災の早期発見が求められる。
【0058】
そこで、
図1に例示するように、破砕選別処理設備1の各所には、カメラ71~710が設置され、カメラ71~710が撮影した動画像をオペレータが監視することによって、煙の検知や火災の検知を早期に行うようにしている。
【0059】
尚、破砕選別処理設備1の各所に設置されたカメラ71~710の画像から、AI技術を利用して煙や火災の検知を自動で行うようにしてもよい。
【0060】
(発火物体特定装置の構成)
前述の通り、破砕選別処理設備1においては、火災の早期検知が重要であるが、そうした火災の発生を未然に防止する観点から、周辺地域の住民に対して、発火の恐れのある処理対象外のゴミを分別するよう、注意喚起をすることが考えられる。その注意喚起に際しては、破砕選別処理設備1において火災等が発生した場合に、その発火物体を特定することにより、周辺地域の住民に、発火の恐れのあるゴミの具体例を周知させることが有効である。
【0061】
破砕選別処理設備1には、火災等の発生時に、発火物体を特定するための発火物体特定装置6が設置されている。発火物体特定装置6は、第2コンベヤ22における火災等の発生を検知すると共に、その火災等の発生時に、発火物体の特定を行う。第2コンベヤ22は、低速回転式破砕機3によって破砕された廃棄物を搬送することから、火災が発生する可能性が高いためである。また、第2コンベヤ22において発火を検知しないと、発火物体が次の分類装置13へ送られてしまうためである。第2コンベヤ22は、搬送装置の一例である。
【0062】
尚、ここでは、発火物体特定装置6が、第2コンベヤ22に適用されているが、発火物体特定装置6は、第1コンベヤ21に適用してもよい。この場合、発火物体特定装置6は、ゴミクレーン15によって掴まれた後の発火物体を特定することができる。また、発火物体特定装置6は、第3コンベア23に適用してもよい。この場合、発火物体特定装置6は、高速回転式破砕機4によって細かく破砕された後の発火物体を特定することができる。
【0063】
図2は発火物体特定装置6の構成を例示している。発火物体特定装置6は、第1撮影装置としての第1カメラ71と、第2撮影装置として第2カメラ72と、制御装置63と、第1及び第2モニタ64、65と、を備えている。
【0064】
第1カメラ71は、第2コンベヤ22の上流側に設置されている。より具体的に、第1カメラ71は、第2コンベヤ22の投入部221の付近を撮影するように設置されている。投入部221は、第2コンベヤ22の上流端に相当する部分であって、低速回転式破砕機3によって破砕された廃棄物が投入される部分である。第2コンベヤ22は、搬送中の廃棄物の飛散を防止する等の理由から、カバー222を有している。カバー222は、第2コンベヤ22を覆う。第1カメラ71は、例えばカバー222に取り付けられてもよい。また、カバー222に覆われることで、第1カメラ71の撮影箇所が暗くなってしまう。撮影箇所を照らすための照明711を、カバー222等の適宜の箇所に取り付けてもよい。尚、第1カメラ71と照明711とは、第2コンベヤ22のベルトの幅方向に並べて配置してもよい。尚、ベルトの幅方向は、
図2における紙面に直交する方向である。
【0065】
第2カメラ72は、廃棄物の搬送方向について、第1カメラ71よりも下流側に設置されている。より具体的に、第2カメラ72は、第2コンベヤ22の投出部223の付近を撮影するように設置されている。投出部223は、第2コンベヤ22の下流端に相当する部分であって、高速回転式破砕機4へ廃棄物を投出する部分である。図例においては、第2コンベヤ22に、第2カメラ72の撮影箇所を照らす照明721も取り付けられている。第2カメラ72と照明721との設置態様は、適宜の態様を採用できる。
【0066】
第1カメラ71及び第2カメラ72はそれぞれ、例えばデジタル方式のカメラであり、撮影した画像のデータを、制御装置63へ送る。第1カメラ71及び第2カメラ72と、制御装置63との間の接続形態は、公知の様々な形態を適宜、採用することができる。
【0067】
尚、
図2の構成例では、第1カメラ71と第2カメラと62との二台のカメラを、第2コンベヤ22に設置している。第2コンベヤ22はカバー222によって覆われているが、二台のカメラを使用することによって、発火物体特定装置6は、第2コンベヤ22における投入部221の画像と、投出部223の画像との両方を取得できる。一台のカメラが、第2コンベヤ22における投入部221と投出部223との両方を撮影できるのであれば、発火物体特定装置6は、一台のカメラのみを備えてもよい。また、発火物体特定装置6は、三台以上のカメラを備えていてもよい。
【0068】
第1カメラ71及び第2カメラ72はそれぞれ、第2コンベヤ22によって搬送中の廃棄物を撮影できる位置に設置すればよい。第1カメラ71及び第2カメラ72の設置箇所はそれぞれ、第2コンベヤ22における投入部221、及び、投出部223に限定されない。尚、第1カメラ71及び第2カメラ72をそれぞれ、投入部221及び投出部223に設置することは、第2コンベヤ22によって搬送されている最中の発火を検知できるという利点がある。
【0069】
また、
図2の構成例では、一点鎖線の矢印によって示されるように、第1カメラ71及び第2カメラ72はそれぞれ、第2コンベヤ22の搬送方向に対向する向きに設置されているが、これは一例である。
【0070】
制御装置63は、入力部631、メモリ632、検知部633、画像特定部634、位置特定部635、及び、出力部636を備えている。制御装置63は、例えば汎用のコンピュータによって構成することが可能である。制御装置63は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含んで構成することができる。制御装置63は、メモリ632に記憶されているコンピュータプログラムを読み込むことによって、後述する各種の処理を実行する発火物体特定システムを構成する。少なくとも、入力部631、検知部633、画像特定部634、位置特定部635、及び、出力部636は、プログラムを読み込んだ制御装置63によって実現される機能ブロックである。
【0071】
入力部631は、第1カメラ71及び第2カメラ72の画像データを受ける。
【0072】
メモリ632は、大容量メモリや、ハードディスク等の不揮発性メモリによって構成される。メモリ632は、入力部631が受けた、第1カメラ71及び第2カメラ72の画像データを記憶する。メモリ632は、後述するように、第1モニタ64が、過去の画像を表示することを可能にする。メモリ632は、現時点から所定期間過去までの画像データを記憶するよう、所定期間よりも古い画像データを順次削除してもよい。
【0073】
検知部633は、第2カメラ72の画像データに基づいて、発火の検知を行う。検知部633は、AI技術を利用して画像データから発火の検知を行う。具体的に、検知部633は、学習済みモデル637を有している。学習済みモデル637は、例えば機械学習によって予め生成してもよい。第2コンベヤ22の投出部223を撮影した画像であって、煙や発火物体が存在しない画像、及び、煙や発火物体が存在する画像を含む教師画像と、教師画像のそれぞれについて煙や発火物体が存在しているか否かの判断結果と、からなる教師データセットを用い、例えばディープラーニングによって、学習済みモデル637を生成してもよい。検知部633はまた、破砕選別処理設備1の稼働中において、第2カメラ72の画像データを使って強化学習を行ってもよい。
【0074】
画像データに基づく発火の検知は、例えば特許文献1に記載されているような、コンベヤの上方に設置されかつ、天井にまで煙が到達することによって発煙(火災)を検知する火災検知センサよりも早期に、発火を検知することができる。こうした発火の早期検知は、前述したように、煙の検知や火災の検知を早期に行うことが求められる破砕選別処理設備1において、特に有効である。
【0075】
検知部633は、第2カメラ72の画像データに基づいて発火を検知した場合、検知信号を、画像特定部634及び位置特定部635へ出力する。検知信号には、第2カメラ72の画像データに基づく発火位置の情報が少なくとも含まれる。発火位置の情報は、より具体的には、第2コンベヤ22のベルト幅方向に対する位置情報である。検知部633は、公知の画像処理技術を利用することによって、第2カメラ72の画像における発火位置を特定できる。
【0076】
画像特定部634は、検知部633からの検知信号を受けると、第1カメラ71の画像であって、発火の検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する。そのために画像特定部634は、メモリ632から、所定時間過去の、第1カメラ71の画像を読み出す。
【0077】
ここで、所定時間Tは、第1カメラ71の設置位置、第2カメラ72の設置位置、及び、第2コンベヤ22の搬送速度Vに基づいて設定される。つまり、
図2に示すように、第1カメラ71が撮影する位置から、第2カメラが撮影するための第2コンベヤ22のベルトに沿った距離L(二点鎖線の矢印参照)と、搬送速度V(実線の矢印参照)とから、所定時間Tは、T=L/Vで計算される。所定時間Tは、第2カメラ72が撮影した画像に含まれる発火物体が、第1カメラ71が撮影した画像に含まれるであろう過去のタイミングに相当する。
【0078】
位置特定部635は、検知部633からの検知信号を受けると、画像特定部634が特定した画像であって、所定時間過去に撮影された画像において発火物体の位置を特定する。
【0079】
第2コンベヤ22によって搬送されている廃棄物は、搬送方向に直交するベルトの幅方向に対しては、位置が変わらない。第2カメラ72の画像における発火物体の、ベルト幅方向の位置と、第1カメラ71の画像における当該発火物体の、ベルト幅方向の位置とは同じ又はほぼ同じ位置である。位置特定部635は、検知信号に含まれる発火位置に基づいて、画像特定部634が特定した第1カメラ71の画像における発火物体の位置を特定する。位置特定部635は、公知の画像処理技術を利用することによって、第1カメラ71の画像における発火物体の位置を特定できる。
【0080】
位置特定部635は、発火物体の位置を特定すれば、第1カメラ71の画像に、発火物体の位置を示すマークを付加する。マークが付加された第1カメラ71の画像は、出力部636を通じて、第1モニタ64に表示される。
【0081】
図3は、第1モニタ64と第2モニタ65との表示例を示している。第2モニタ65は、第2カメラ72の画像であって、リアルタイムの画像を表示してもよい。第1モニタ64は、第1カメラ71の画像であって、現時点から所定時間過去の画像を表示してもよい。
図3の例では、第2モニタ65は、廃棄物(つまり発火物体100)が発火した様子を表示している。第1モニタ64が表示する画像には、特定部634が特定した発火物体100を示すマーク101が付加されている。オペレータは、第1モニタ64を監視することによって、発火物体100が何であるかを特定できる。尚、
図3のマーク101は四角枠であるが、このマーク101の形態は例示である。第1モニタ64が表示する画像において、発火物体100の位置を特定できる形態であれば、どのようなマークが表示されてもよい。
【0082】
尚、第1モニタ64は、現時点から所定時間過去の画像を、常時表示してもよいし、発火検知時のみ、画像を表示してもよい。
【0083】
第2カメラ72が撮影した画像に基づいて発火を検知すると共に、第1カメラ71が撮影した画像に基づいて発火物体を特定するためには、第2コンベヤ22において、ベルト上に廃棄物が、何層も積み重なっているよりも、ベルト上に廃棄物が一層だけ積まれている方が好ましい。破砕選別処理設備1において、低速回転式破砕機3から第2コンベヤ22への廃棄物の供給量と、第2コンベヤ22のベルトの走行速度とを調整することによって、第2コンベヤ22は、ベルト上に廃棄物が一層だけ積まれた状態で、廃棄物を搬送することができる。
【0084】
図4は、発火物体特定装置6の制御手順の例を示している。スタート後のステップS51において、制御装置63は、第1カメラ71及び第2カメラ72の画像を読み込む(入力処理)。続くステップS52において、制御装置63のメモリ632は、第1カメラ71及び第2カメラ72の画像を記憶する。
【0085】
ステップS53において、制御装置63は、検知部633が第2カメラ72の画像に基づいて発火を検知したか否かを判断する(検知処理)。検知していない場合、プロセスがステップS51へ戻る。検知した場合、プロセスはステップS54へ進む。
【0086】
ステップS54において、検知部633は、第2カメラ72の画像に基づき発火位置を特定し、続くステップS55において、制御装置63の画像特定部634は、発火前の第1カメラ71の画像を特定し(画像特定処理)、位置特定部635は、特定された発火位置に基づいて、第1カメラ71の画像において発火物体の位置を特定する(位置特定処理)。そしてステップS56において、出力部636は、発火物体100が特定された第1カメラ71の画像を出力し(出力処理)、第1モニタ64は、当該画像を表示する(
図3参照)。コンピュータプログラムは、コンピュータに、入力処理、検知処理、画像特定処理、位置特定処理、及び、出力処理を実行させる。
【0087】
このように、前記の発火物体特定装置6、発火物体特定システム、及び、コンピュータプログラムによると、廃棄物の発火が、第2カメラ72の画像に基づいて検知された場合に、第1カメラ71が撮影した、発火前の画像において、発火物体100の位置が示される。発火後の画像には煙や炎が含まれて視界が遮られるため、発火後の画像に基づくと発火物体100の特定が難しい場合があるが、発火前の画像には煙や炎が含まれていないため、オペレータは、発火物体100を、比較的容易に特定することが可能である。
【0088】
また、特定部634が、第1モニタ64が表示する画像において、発火物体100の位置をマーク101によって示すため、オペレータは、発火物体100の特定が、より容易になる。
【0089】
尚、特定部634は、AI技術を利用して、第1カメラ71の画像に基づき、位置を特定した発火物体100が何であるかの特定(つまり、物体認識)も行ってもよい。そうした物体認識に関して、例えば教師付きの機械学習によって生成した学習済みモデルを、特定部634は有していてもよい。
【0090】
尚、発火が検知された後、破砕選別処理設備1においては、その消火作業が行われる。
【0091】
ここに開示する発火物体特定装置、発火物体特定システム、及び、コンピュータプログラムは、破砕選別処理設備1に適用することに限らず、搬送装置によって廃棄物が搬送される設備に広く適用することができる。ここに開示する発火物体特定装置、発火物体特定システム、及び、コンピュータプログラムは、搬送中に、廃棄物が搬送方向に対して直交する方向に位置を変えない箇所であれば、適用が可能である。
【0092】
図1に示す破砕選別処理設備1の構成は一例であり、破砕選別処理設備1は、様々な構成を適宜採用できる。
【0093】
また、
図3に例示される第1カメラ71のカメラアングル、及び、第2カメラ72のカメラアングルは、適宜変更が可能である。例えば、コンベヤのベルトを真上から撮影するように、第1及び/又は第2カメラ71、72を設置してもよい。また、第1カメラ71の画像における廃棄物の位置と、第2カメラ72の画像における廃棄物の位置との対応付けができれば、第1カメラ71が撮影する向きと、第2カメラ72が撮影する向きとは、それぞれ任意の向きに設定することができる。
【0094】
また、制御装置63の検知部633は省略することができる。オペレータは、第2モニタ65を用いて、第2カメラ72が撮影した画像を監視することにより、廃棄物の発火を検知することができる。オペレータは、例えば第2カメラ72の画像において発火位置を指定する手動操作を行ってもよい(例えば画像における発火位置をクリックする操作等)。画像特定部634は、オペレータの操作によって発火が検知されたタイミングに基づいて、前記と同様に、第1カメラ71の画像を特定できると共に、位置特定部635は、オペレータの操作によって指定された発火位置に基づいて、前記と同様に、第1カメラ71の画像における発火物体の位置を特定できる。
【0095】
また、カメラ画像を利用する検知部633に代えて、又は、検知部633と共に、コンベヤの上方に、煙を検知する煙検知器を取り付けたり、温度や光によって火炎を検知する火災検知器を取り付けたりしてもよい。煙検知器や火災検知器を利用する場合、これらの検知器が火災を検知したタイミングに基づいて、画像特定部634は、前記と同様に、第1カメラ71の画像を特定できる。また、これらの検知器が火災を検知したときに、オペレータは、例えば第2カメラ72の画像において発火位置を指定する手動操作を行ってもよい。位置特定部635は、オペレータの操作によって指定された発火位置に基づいて、前記と同様に、第1カメラ71の画像における発火物体の位置を特定できる。
【0096】
尚、制御装置63の位置特定部635は省略することができる。第1モニタ64は、現時点に対して所定時間過去に撮影された第1カメラ71の画像を表示してもよい。この場合、第1モニタ64は、廃棄物の発火が検知された場合に、第1カメラが撮影した画像であって、発火前の画像を特定する画像特定部に相当する。オペレータは、第2カメラ72の画像において発火位置を特定すると共に、第1モニタ64に表示される、所定時間過去に撮影された第1カメラ71の画像に基づいて発火物体を特定することができる。
【0097】
また、第1カメラ71及び第2カメラ72が撮影した画像を表示するモニタは、第1モニタ64及び第2モニタ65の2台が必須ではなく、一台であってもよい。例えば一台のモニタが、複数台のカメラの画像を分割して表示してもよいし、複数台のカメラの画像を所定時間毎に切り替えて表示してもよい。
【0098】
さらに、第1モニタ64及び/又は第2モニタ65は、カメラが撮影した画像を、常時、表示しなくてもよい。例えばメモリ632が、第1カメラ71及び第2カメラ72が撮影した画像を記憶しておき、検知部633が発火を検知した場合、画像特定部634は、メモリ632から発火の検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定すると共に、位置特定部635は、所定時間過去に撮影された画像において発火物体の位置を特定してもよい。発火物体の位置が特定された画像は、記憶部に記憶される。記憶部は、メモリ632であってもよい。例えば画像特定部634は、特定した画像にタグ情報を付加した上で、メモリ632に記憶させてもよい。また、位置特定部635は、特定した画像に、発火物体の位置情報を付加した上で、メモリ632に記憶させてもよい。こうすることで、オペレータは、後に、特定された画像をメモリ632から読み出して、第1モニタ64又は第2モニタ65に表示させて、発火物体を特定できる。
【0099】
尚、画像の表示は、モニタが行うことに限らず、各種の携帯端末等が、特定された画像を表示してもよい。この場合、制御装置63は、通信機能を有する。
【符号の説明】
【0100】
1 破砕選別処理設備(ゴミ処理施設)
22 第2コンベヤ(搬送装置)
632 メモリ(記憶部)
633 検知部
634 画像特定部
635 位置特定部
636 学習済みモデル
71 第1カメラ(第1撮影装置)
72 第2カメラ(第2撮影装置)
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
ここに開示する技術は、発火物体を特定する装置に係る。この装置は、ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
ここに開示する発火物体特定装置はまた、ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備え、前記撮影装置は、前記搬送装置の上流側に設置された第1撮影装置と、前記搬送装置における前記第1撮影装置よりも下流側に設置された第2撮影装置とを含み、前記第2撮影装置が撮影した画像に基づいて前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記画像特定部は、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、前記検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
ここに開示するシステムは、ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するためのシステムに係る。このシステムは、搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力部と、前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
ここに開示するコンピュータプログラムは、ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。このコンピュータプログラムは、搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力処理と、前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知処理と、前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定処理と、をコンピュータに実行させる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている、発火物体特定装置。
【請求項2】
ゴミ処理施設において廃棄物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されている廃棄物を撮影する撮影装置と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、前記発火前の画像を特定する画像特定部と、を備え、
前記撮影装置は、前記搬送装置の上流側に設置された第1撮影装置と、前記搬送装置における前記第1撮影装置よりも下流側に設置された第2撮影装置とを含み、
前記第2撮影装置が撮影した画像に基づいて前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記画像特定部は、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、前記検知時点よりも所定時間過去に撮影された画像を特定する、発火物体特定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発火物体特定装置において、
前記画像特定部によって特定された画像を表示する表示装置をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
前記画像特定部によって特定された画像を記憶する記憶部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の発火物体特定装置において、
前記第2撮影装置が撮影した画像における発火位置に基づいて、前記第1撮影装置が撮影した画像であって、発火前の画像における発火物体の位置を特定する位置特定部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発火物体特定装置において、
前記位置特定部は、発火前の画像において、発火物体の位置を区別して示す、発火物体特定装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
前記撮影装置が撮影した画像を記憶するメモリをさらに備え、
前記画像特定部は、前記メモリが記憶している画像から、発火前の画像を特定する、発火物体特定装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の発火物体特定装置において、
学習済みモデルを有しかつ、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部をさらに備えている、発火物体特定装置。
【請求項9】
ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するためのシステムであって、
搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力部と、
前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知部と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定部と、を備えている、発火物体特定システム。
【請求項10】
ゴミ処理施設において搬送装置によって搬送されている廃棄物が発火した場合に、当該発火物体を特定するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
搬送中の前記廃棄物を撮影する撮影装置からの画像を受ける入力処理と、
前記画像に基づいて、前記廃棄物の発火を検知する検知処理と、
前記廃棄物の発火が検知された場合に、前記撮影装置が撮影した画像であって、発火が検知された当該廃棄物が含まれる、前記廃棄物の発火前の画像を特定する画像特定処理と、をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。