(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146146
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20231004BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20231004BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053175
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】健康づくりを支える環境を地域レベルで実現すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置であって、サービスに加盟する理美容院で採取された利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得部と、評価結果に基づいて、サービスに関わる所定の連携先と、利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御部とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置であって、
前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得部と、
前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記評価結果が前記心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、悪化リスクを示す情報を前記利用者に通知するとともに、前記所定の連携先として、前記利用者を地域住民とするエリアに対応する事業者が前記利用者に対して所定のコンテンツを提供できるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記事業者から前記所定のコンテンツの入稿を受け付ける入稿受付部をさらに有し、
前記制御部は、前記入稿受付部により受け付けられた前記所定のコンテンツが、前記利用者が利用する所定のアプリケーションの画面に設けられる表示枠に表示されるよう制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記評価結果が前記心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、悪化リスクを示す情報を前記利用者に通知するとともに、前記所定の連携先として、前記利用者を地域住民とするエリアに対応する事業者が開催する健康診断を受診するよう促す提案情報を前記利用者に通知する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用者が健康診断を受診していないと判定された場合には、前記提案情報を通知する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記評価結果の履歴に基づいて、今回の評価結果と、以前の評価結果とを比較することで、前記心身の状態が改善したか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記制御部は、前記心身の状態が改善したと判定された場合には、前記所定の連携先として、前記利用者を地域住民とするエリアに対応する事業者に対して課される成功報酬であって、前記心身の状態の改善に伴う成功報酬を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記成功報酬を原資とするインセンティブであって、前記心身の状態の改善に伴うインセンティブが前記利用者または前記理美容院に付与されるよう制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記評価結果が前記心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、前記心身の状態を改善するためのコンテンツを前記利用者に提案する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得工程と、
前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置が実行する情報処理プログラムであって、
前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得手順と、
前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御手順と
を前記情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の健康情報を収集し、収集した健康情報の中に異常が検出された場合には、健康情報に一意に対応するアラート情報を出力する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、健康づくりを支える環境を地域レベルで実現することができるとは限らない。
【0005】
例えば、上記の従来技術では、健康情報(例えば、身体データ、ワクチン接種データ、保育データ、健診データ、介護データ等)に基づいて、特定のコミュニティに発生する問題を検出し、問題に関する情報を共有させる共有システムが提案されている。
【0006】
このような共有システムによれば、コミュニティに属する代表者(例えば、病院等の医療機関や、小中学校等の教育機関)が社会的弱者の貧困、虐待、暴力、病気等を適切に把握できるようになるため、改善策を講じることができるようになると考えられる。
【0007】
一方で、このような共有システムでは、健康状態に問題がある人物が状況を自覚し、行動に移せるよう地域レベルでサポートしてゆくという点では改善の余地があると考えられる。
【0008】
そこで、本発明では、健康づくりを支える環境を地域レベルで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置であって、前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得部と、前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得工程と、前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理プログラムは、利用者の心身ケアを支援するサービスを提供する情報処理装置が実行する情報処理プログラムであって、前記サービスに加盟する理美容院で採取された前記利用者の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、前記利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する取得手順と、前記評価結果に基づいて、前記サービスに関わる所定の連携先と、前記利用者とを関連付ける所定の制御を実行する制御手順とを前記情報処理装置に実行させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、健康づくりを支える環境を地域レベルで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る課題および課題解決の方向性の具体例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る健康ケアサービスSAの概要図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る末端利用者データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る分析結果データベースの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るコンテンツデータベースの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、広告処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、健康行動に関わる情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[実施形態]
〔1.はじめに〕
まず、本発明は、地域住民、美容業界(例えば、理容院、美容院)、事業者(例えば、公共事業者、民間事業者)という3者それぞれが有する課題に着目し、3者にとってメリットのある三方良しサービスを提供することで、この課題を解決しようとするものである。
【0016】
ここで、
図1に、課題および課題解決の方向性の具体例を挙げる。
図1は、実施形態に係る課題および課題解決の方向性の具体例を示す図である。
図1に示すように、課題を抱える対象者には、「地域住民」、「理美容院」、「公共事業者」(例えば、自治体)、「民間事業者」(例えば、地域のストアやスポーツジム等)が存在する。
【0017】
図1によれば、「地域住民」には、「長期にわたり解決できない課題」として、「自身の健康に自覚がない(健康無関心層の存在)」、「健康に向き合わなければならない自覚はあるが具体的な実行に移せない(健康行動を継続できない)」、「気付かぬうちに生活習慣病が進行している」等がある。そこで、本発明の発明者らは、これらの課題に対して、「理美容院での非侵襲の毛髪分析で身体の糖化度合いが判明する」、「担当者」(理容師または美容師)が寄り添いサポートする」、「特別な体験をしながら結果として健康になる」という点に解決の方向性を見出した。
【0018】
また、
図1によれば、「理美容院」には、「長期にわたり解決できない課題」として、「新規顧客の獲得や、顧客の維持ができない(投資対効果の不透明な仕組みに頼らざるを得ない)」、「若手美容師(理容師)を中心に離職率が高く、人材の確保が難しい(コストがかかる)」等がある。そこで、発明者らは、これらの課題に対して、「顧客が来店・再来店する動機づけ」、「若手美容師の活躍の場を提供」、「切る・あてる・染めるだけではない新たな付加価値サービスを提供」という点に解決の方向性を見出した。
【0019】
また、
図1によれば、「公共事業者」には、「長期にわたり解決できない課題」として、「多額のコストや手間をかけて地域住民の健診・特定保健指導受診率向上や健康施策をするものの効果が出ない」、「地方創生に寄与する有効な打ち手がない」等がある。そこで、発明者らは、これらの課題に対して、「地域住民の健診や特定保健指導受診に向けた打ち手を得る」、「糖尿病の重症化を抑止し、医療費を削減する」という点に解決の方向性を見出した。
【0020】
また、
図1によれば、「民間事業者」には、「長期にわたり解決できない課題」として、「広告配信を実施しているものの、個人への訴求力や費用対効果が不透明」等がある。そこで、発明者らは、これらの課題に対して、「パーソナライズされた広告枠への広告表示により、商品・サービスの訴求力を図る」という点に解決の方向性を見出した。
【0021】
以上のことから、本発明の目的は、理美容院を介して、顧客(地域住民)に対して美と健康への気付きやきっかけを提供し、そして、美容師(あるいは、理容師)が寄り添うことで、顧客が健康行動を継続できるようサポートする点にある。
【0022】
さらに、本発明の目的は、公共事業者あるいは民間事業者が展開している事業(具体的には、地域住民の健康に関する事業)をサポートする点にある。
【0023】
これらの目的のため、本発明では、健康ケアにまつわる様々な機能を有するプラットフォームである健康ケアプラットフォームPFを3者それぞれに提供する。健康ケアプラットフォームPFで実現されるサポートサービス(以下、「健康ケアサービスSA」と表記する)の概要については
図2で説明するが、それに先立って、健康ケアサービスSAのコンセプトについて以下に説明する。
【0024】
健康ケアサービスSAのコンセプトは、糖化タンパク質の量を非侵襲で測定することができるサービスである。
【0025】
まず、発明者らは、毛髪に含まれる一成分である糖化タンパク質に着目し、毛髪における糖化タンパク質の含有量から糖尿病等の各種の疾病リスクを見つけ出すことができる技術に着目した。具体的には、発明者らは、毛髪に含まれる糖化タンパク質の量(濃度)と、糖尿病の指標となるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)との間には、相関関係があることに着目した。
【0026】
ここで、糖化とは、糖質がタンパク質や脂質と結びついて細胞等を劣化させる現象であり、糖とタンパク質が結合した糖化タンパク質は、老化を進めるAGE(糖化最終生成物)に変化することが知られている。したがって、顧客の老化に日々立ち向かう理美容院にとって、AGEは因縁ある物質といえる。また、AGEは、血管や内臓に作用して、糖尿病以外にも、例えば、動脈硬化、がん、アルツハイマー病等の原因としても知られている。
【0027】
以上のことから、発明者らは、毛髪と密な関係にある理美容院を活用すれば、この理美容院が存在する地域の地域住民が手軽に健康リスクを把握できる機会を創出できるようになると考えた。例えば、地域住民は、理美容院で毛髪をカットするだけで、この毛髪を糖化タンパク質量の分析(毛髪分析)のための検体として提供することになるため、理美容院を活用した健康ケアサービスSAでは、非侵襲な糖化タンパク質量の測定が実現される。
【0028】
〔2.健康ケアサービスSAの概要〕
ここからは、
図2を用いて、健康ケアサービスSAの概要を説明する。
図2は、実施形態に係る健康ケアサービスSAの概要図である。
図2の例によれば、健康ケアプラットフォームPFに対応する情報処理装置100は、健康ケアサービスSAとして、利用者向けサービスSA1と、事業者向けサービスSA2とを提供する。
【0029】
まず、利用者向けサービスSA1を利用することでメリットを享受することができる利用者は、2つに分類することができる。
【0030】
1つは、毛髪分析の仲介役となる仲介利用者であり、
図1で説明した課題の対象となっている「理美容院」を指し示す。
【0031】
例えば、利用者向けサービスSA1に加盟する理美容院には、毛髪分析のための検体となる毛髪を採取するためのマニュアルや、採取キット等が提供される。例えば、毛髪分析のための検体となる毛髪は、理美容院のスタッフ等によって採取されてよく、採取における高度な技術は不要とされる。また、採取キットは、容易に扱えるよう設計されているとともに、普通郵便で分析会社に郵送できるようコンパクトサイズにおさえられている。
【0032】
例えば、利用者向けサービスSA1に加盟する理美容院の担当者(理容師、あるいは、美容師)は、顧客として訪れた地域住民に対して、毛髪分析のサービスを行っている旨を口頭で営業してよい。そして、興味を持って顧客が毛髪分析を依頼した場合には、担当者は、顧客から採取した毛髪を採取キットに封入し、分析会社へと郵送すればよい。
【0033】
なお、上記のマニュアルや採取キットは、例えば、健康ケアプラットフォームPFを運営する事業者(情報処理装置100を管理する事業者ともいえる)によって提供されてよい。以下では、係る事業者を「運営事業者T」と表記する。
【0034】
そして、理美容院は、利用者向けサービスSA1に加盟することで、
図1で説明した課題が解決され、結果、
図1の方向性で示されるようなメリットを受けることができるようになる。一方で、利用者向けサービスSA1に加盟する理美容院は、サービス利用料あるいは加盟料を運営事業者Tに対して支払う。
【0035】
もう1つの利用者は、理美容院に顧客として訪れた末端利用者であり、
図1で説明した課題の対象となっている「地域住民」を指し示す。例えば、地域住民は、身近に利用している理美容院へ行くだけで毛髪分析を受ける機会を与えられるため、
図1で説明した課題が解決され、結果、
図1の方向性で示されるようなメリットを受けることができるようになる。
【0036】
次に、事業者向けサービスSA2を利用することでメリットを享受することができる事業者は、2つに分類することができる。
【0037】
1つの事業者は、
図1で説明した課題の対象となっている「公共事業者」を指し示す。例えば、自治体(公共事業者の一例)は、事業者向けサービスSA2に加盟することで、地域住民に対して適切に検診の案内を提供したり、心身の状態が悪化するリスクのある地域住民を把握したりすることができるようになる。
【0038】
また、自治体は、事業者向けサービスSA2に加盟することで、ターゲットとする地域住民に対して、住民それぞれの心身の状態に応じた内容の広告コンテンツを配信する機会が得られる。
【0039】
具体的には、自治体は、特定の広告枠に表示させる広告コンテンツを入稿することができるようになる。このため、自治体は、
図1で説明した課題が解決され、結果、
図1の方向性で示されるようなメリットを受けることができるようになる。一方で、事業者向けサービスSA2に加盟する自治体は、地域住民の健康リスクが改善された場合には、その成果報酬を運営事業者Tに対して支払ってよい。
【0040】
もう1つの事業者は、
図1で説明した課題の対象となっている「民間事業者」を指し示す。例えば、地域のストア(民間事業者の一例)は、事業者向けサービスSA2に加盟することで、ターゲットとする地域住民に対して、住民それぞれの心身の状態に応じた内容の広告コンテンツを配信する機会が得られる。
【0041】
具体的には、ストアは、特定の広告枠に表示させる広告コンテンツを入稿することができるようになる。このため、ストアは、
図1で説明した課題が解決され、結果、
図1の方向性で示されるようなメリットを受けることができるようになる。一方で、事業者向けサービスSA2に加盟するストアは、地域住民の健康リスクが改善された場合には、その成果報酬を運営事業者Tに対して支払ってよい。また、係る例に限らず、ストア等の民間事業者は、必ずしも成功報酬を支払う必要はない。
【0042】
〔3.システム構成〕
続いて、
図3を用いて、実施形態に係る情報処理システムの構成を説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図1には、実施形態に係る情報処理システムの一例として、情報処理システム1が示される。
【0043】
図1に示すように、情報処理システム1には、仲介利用者装置10と、末端利用者装置20と、事業者装置30と、分析会社装置40と、情報処理装置100とが含まれてよい。また、仲介利用者装置10と、末端利用者装置20と、事業者装置30と、分析会社装置40と、情報処理装置100とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0044】
仲介利用者装置10は、
図2で説明した仲介利用者である理美容院によって利用される情報処理端末である。仲介利用者装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現されてよい。
【0045】
末端利用者装置20は、
図2で説明した末端利用者である地域住民によって利用される情報処理端末である。末端利用者装置20は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDAや、ウェアラブル端末等により実現されてよい。
【0046】
事業者装置30は、
図2で説明した事業者である公共事業者や民間事業者によって利用される情報処理端末である。事業者装置30は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等により実現されてよい。
【0047】
分析会社装置40は、毛髪分析を行う分析会社によって利用される情報処理端末である。分析会社装置40は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等により実現されてよい。なお、分析会社は、特定の医療機関であってもよいし、特定の成分分析が可能な民間会社であってもよい。
【0048】
なお、仲介利用者装置10、末端利用者装置20、事業者装置30、分析会社装置40には、情報処理装置100との間での情報の送受信を実現するためのアプリケーションが導入されていてよい。また、係るアプリケーションは、情報処理装置100にアクセスするための専用のアプリケーションとして実装されてもよいし、ブラウザなどの汎用的なアプリケーションであってもよい。以下では、このアプリケーションを「アプリAP」と表記する。
【0049】
情報処理装置100は、健康ケアプラットフォームPFを実現する装置であり、健康ケアプラットフォームPFを介して健康ケアサービスSAを地域住民、理美容院、事業者という3者に提供する。
【0050】
このようなことから、情報処理装置100は、情報処理システム1において、実施形態に係る情報処理を行う装置である。具体的には、情報処理装置100は、健康ケアサービスSAに加盟する理美容院で採取された地域住民の毛髪に対する成分分析の結果に基づき、利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する。
【0051】
例えば、情報処理装置100は、評価結果として、成分分析の結果に基づき、地域住民が所定の疾病を発症する発症リスクが数値化されたリスクスコア(推定評価値)を取得してよい。また、ここでいう所定の疾病とは、毛髪中の糖化タンパク質量に基づき発症リスクを推定可能な疾病であればいかなるものであってもよい。疾病の一例としては、糖尿病、動脈硬化、がん、アルツハイマー病、その他生活習慣病等が挙げられる。
【0052】
また、心身の状態というように、リスクの推定対象は、疾病の限らず、例えば、ストレスの状況であってもよい。
【0053】
また、情報処理装置100は、評価結果に基づいて、健康ケアサービスSAに関わる所定の連携先と、地域住民とを関連付ける所定の制御を実行してよい。所定の連携先とは、これまでに説明した公共事業者および民間事業者であってよく、情報処理装置100は、例えば、評価結果を地域住民に提供するだけでなく、これら事業者も評価結果を共有することができるよう制御する。この結果、情報処理装置100は、例えば、健康診断の受診、あるいは、自治体を巻き込んだ健康改善プログラム等を地域住民に案内したり、自治体やストアの広告コンテンツを地域住民に配信したりすることができるようになる。
【0054】
ここで、情報処理システム1によれば、仲介利用者装置10、末端利用者装置20、事業者装置30、分析会社装置40は、利用者の近くでエッジ処理を行うエッジコンピュータといえる。一方で、情報処理装置100は、例えば、クラウド側で処理を行うクラウドコンピュータに相当する。
【0055】
〔4.情報処理装置の構成〕
ここからは、
図4を用いて、実施形態に係る情報処理装置100について説明する。
図4は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図4に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0056】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、仲介利用者装置10、末端利用者装置20、事業者装置30、分析会社装置40、との間で情報の送受信を行う。
【0057】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、末端利用者データベース121と、分析結果データベース122と、コンテンツデータベース123とを有する。
【0058】
(末端利用者データベース121について)
末端利用者データベース121は、健康ケアサービスSAを利用する末端利用者(地域住民)に関する情報を記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る末端利用者データベース121の一例を示す。
図5の例では、末端利用者データベース121は、「利用者ID」、「属性情報」、「健診受診状況」といった項目を有する。
【0059】
「利用者ID」は、自治体に対して住民登録のある地域住民を、健康ケアサービスSAの利用者として識別する識別情報を示す。「属性情報」は、「利用者ID」で識別される地域住民の属性に関する情報である。ここでいう属性とは、氏名、年齢、性別、住所、職業、家族構成、身体データ、病歴等、各種のデモグラフィック属性であってよい。
【0060】
「健診受診状況」は、「利用者ID」で識別される地域住民が健康診断を受診しているか否かといった受診状況を示す情報である。例えば、「健診受診状況」は、年に1回の健康診断を受診しているか否かを示す受診履歴であってよい。
【0061】
例えば、情報処理装置100は、「属性情報」、「健診受診状況」の登録について、アプリAPを介して地域住民本人から受け付けてよい。一方で、情報処理装置100は、健康ケアサービスSAに加盟する自治体のうち、「利用者ID」で識別される地域住民に対応する自治体を特定し、例えば、特定した自治体のサーバ装置にアクセスすることで、「属性情報」、「健診受診状況」を取得してもよい。
【0062】
(分析結果データベース122について)
分析結果データベース122は、毛髪分析の結果に関する情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係る分析結果データベース122の一例を示す。
図6の例では、分析結果データベース122は、「利用者ID」、「履歴ID」、「採取日」、「採取先店舗」、「分析結果」、「リスクスコア」といった項目を有する。
【0063】
「利用者ID」は、自治体に対して住民登録のある地域住民を、健康ケアサービスSAの利用者として識別する識別情報を示し、
図5の「利用者ID」と同一である。
【0064】
「履歴ID」は、「採取日」と、「採取先店舗」と、「分析結果」と、「リスクスコア」との組を、評価結果に関する1つ履歴として識別する識別情報を示す。
【0065】
「採取日」は、「利用者ID」で識別される地域住民が、毛髪分析のため自身の毛髪を採取された日付に関する情報を示す。
【0066】
「採取先店舗」は、「利用者ID」で識別される地域住民が、毛髪の採取に関して利用した理美容院を示す情報である。
【0067】
「分析結果」は、「利用者ID」で識別される地域住民から採取された毛髪に対する毛髪分析の結果を示す情報である。毛髪分析の結果は、例えば、「利用者ID」で識別される地域住民から採取された毛髪中の糖化タンパク質量であってよい。
【0068】
「リスクスコア」は、「分析結果」に基づき、「利用者ID」で識別される地域住民の心身の状態が評価された評価結果に対応し、心身の状態が数値化された推定評価値であってよい。また、「リスクスコア」は、「利用者ID」で識別される地域住民の健康状態に関して、どれだけ悪化のリスク(健康リスク)があるか悪化度合いを指し示す指標値といえる。例えば、「リスクスコア」は、「利用者ID」で識別される地域住民が所定の疾病を発症する発症リスクを指し示す指標値であってもよいし、「利用者ID」で識別される地域住民のストレスの溜まり具合を指し示す指標値であってもよい。
【0069】
なお、「リスクスコア」は、「分析結果」に基づき情報処理装置100が算出してもよいし、例えば、分析を行った分析会社によって算出されてもよい。
【0070】
(コンテンツデータベース123について)
コンテンツデータベース123は、広告コンテンツに関する情報を記憶する。ここで、
図7に、実施形態に係るコンテンツデータベース123の一例を示す。
図7の例では、コンテンツデータベース123は、「入稿元ID」、「コンテンツID」、「コンテンツデータ」、「ターゲティング条件」、「広告費」、「クリック単価」といった項目を有する。
【0071】
「入稿元ID」は、広告コンテンツの入稿元を識別する識別情報である。例えば、公共事業者や民間事業者が入稿元となり得る。「コンテンツID」は、「入稿元ID」で識別される事業者によって入稿された広告コンテンツを識別する識別情報である。「コンテンツデータ」は、「コンテンツID」で識別される広告コンテンツを構成する実データである。
【0072】
「ターゲティング条件」は、「コンテンツID」で識別される広告コンテンツの配信先となる末端利用者を条件付ける条件情報である。例えば、「ターゲティング条件」の候補としては、例えば、「健診未受診者」、「糖尿病予備軍」、「糖化タンパク質量〇〇以上」、「リスクスコア××以上」等が挙げられる。
【0073】
「広告費」は、「入稿元ID」で識別される事業者が、「コンテンツID」で識別される広告コンテンツに費やすことができる料金における現時点での上限額を示す。「クリック単価」は、「コンテンツID」で識別される広告コンテンツを選択するユーザ操作が1回行われるごとに、「広告費」から減算される金額を示す。
【0074】
(制御部130について)
図4に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0075】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、入稿受付部132と、第1制御部133と、第2制御部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図4に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0076】
(取得部131について)
取得部131は、健康ケアサービスSAに加盟する理美容院で採取された末端利用者の毛髪に対する成分分析である毛髪分析の結果を取得する。例えば、取得部131は、毛髪分析の結果として、末端利用者の毛髪中の糖化タンパク質量を取得してよい。
【0077】
また、取得部131は、毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態が評価された評価結果を取得する。例えば、取得部131は、評価結果として、毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態が数値化された推定評価値であるリスクスコアを取得してよい。具体的には、取得部131は、末端利用者が心身の状態においてどれだけの健康リスクを保有しているか、健康悪化の危険性の度合を指し示すリスクスコアを取得してよい。一例として、取得部131は、リスクスコアとして、末端利用者が所定の疾病を発症する危険性である発症リスクを指し示す指標値を取得してよい。また、他の一例として、取得部131は、リスクスコアとして、末端利用者のストレスの溜まり具合を指し示す指標値を取得してもよい。
【0078】
なお、
図4では不図示であるが、情報処理装置100は、毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態を評価する評価部を有してもよい。例えば、評価部は、毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態が数値化された推定評価値であるリスクスコアを算出してよい。具体的には、評価部は、末端利用者が心身の状態においてどれだけの健康リスクを保有しているか、健康悪化の危険性の度合を指し示すリスクスコアを算出してよい。一例として、評価部は、リスクスコアとして、末端利用者が所定の疾病を発症する危険性である発症リスクを指し示す指標値を算出してよい。また、他の一例として、評価部は、リスクスコアとして、末端利用者のストレスの溜まり具合を指し示す指標値を算出してもよい。また、係る例では、取得部131は、評価部の処理で得られた評価結果を取得してよい。
【0079】
なお、リスクスコアは、例えば、糖化タンパク質量そのものであってもよいし、糖化タンパク質量と相関性を有する値(例えば、HbA1c)であってもよい。また、リスクスコアは、糖化タンパク質量、あるいは、糖化タンパク質量と相関性を有する値を例えば特定の段階(例えば、5段階)で評価されたレベル値であってもよい。また、取得部131は、取得した成分分析の結果や評価結果を分析結果データベース122に記憶させてよい。
【0080】
(入稿受付部132について)
入稿受付部132は、健康ケアサービスSAに加盟する事業者(例えば、公共事業者、民間事業者)から、コンテンツ配信に関する各種の情報設定を受け付ける。例えば、入稿受付部132は、広告コンテンツの配信に関する各種の情報設定を事業者から受け付ける。例えば、入稿受付部132は、広告コンテンツの配信に関する各種の情報設定として、広告コンテンツの入稿、ターゲティング条件の設定、広告費の支払い、クリック単価の設定等を受け付けてよい。また、入稿受付部132は、受け付けた情報をコンテンツデータベース123に記憶させてよい。
【0081】
(第1制御部133について)
第1制御部133は、コンテンツ配信の点から、健康ケアサービスSAに関わる所定の連携先と、末端利用者とを関連付ける制御を行う。具体的には、第1制御部133は、広告配信の観点から、健康ケアサービスSAに加盟する事業者(例えば、公共事業者、民間事業者)と、末端利用者とを関連付ける制御を行う。
【0082】
例えば、第1制御部133は、末端利用者に対応する毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態が評価された評価結果(リスクスコア)が心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、悪化リスクを示す情報をこの末端利用者に通知してよい。
【0083】
また、第1制御部133は、このような通知を行ったうえで、末端利用者を地域住民とするエリアに対応する事業者(例えば、公共事業者、民間事業者)が、末端利用者に対して広告コンテンツを提供できるよう制御してよい。例えば、第1制御部133は、入稿受付部132により受け付けられた広告コンテンツが、末端利用者に対応するアプリAPの画面に設けられる表示枠に表示されるよう制御してよい。
【0084】
(第2制御部134について)
第2制御部134は、健康行動の点から、健康ケアサービスSAに関わる所定の連携先と、末端利用者とを関連付ける制御を行う。具体的には、第2制御部134は、健康への行動変位、あるいは、健康に向き合う活動の継続の観点から、健康ケアサービスSAに加盟する事業者(例えば、公共事業者、民間事業者)と、末端利用者とを関連付ける制御を行う。
【0085】
例えば、第2制御部134は、末端利用者に対応する毛髪分析の結果に基づき、末端利用者の心身の状態が評価された評価結果(リスクスコア)が心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、悪化リスクを示す情報をこの末端利用者に通知してよい。
【0086】
また、第2制御部134は、このような通知を行ったうえで、末端利用者を地域住民とするエリアに対応する事業者(例えば、自治体等の公共事業者)が開催する健康診断を受診するよう促す提案情報を末端利用者に通知してよい。例えば、第2制御部134は、この末端利用者が健康診断を受診していないと判定できた場合には、提案情報を通知してよい。
【0087】
例えば、第2制御部134は、心身の状態に悪化リスクがある末端利用者に対応する評価結果の履歴に基づいて、今回の評価結果と、以前の評価結果とを比較することで、心身の状態が改善したか否かを判定してよい。例えば、第2制御部134は、今回の毛髪分析の結果として得られた糖化タンパク質量と、前回の毛髪分析の結果として得られた糖化タンパク質量とを比較することで、心身の状態が改善したか否かを判定してよい。
【0088】
そして、第2制御部134は、心身の状態が改善したと判定できた場合には、末端利用者を地域住民とするエリアに対応する自治体に対して課される成功報酬であって、心身の状態の改善に伴う成功報酬を決定してよい。また、第2制御部134は、決定した成功報酬を自治体に請求する請求処理も行ってよい。
【0089】
また、第2制御部134は、この成功報酬を原資とするインセンティブであって、心身の状態の改善に伴うインセンティブが末端利用者または理美容院に付与されるよう制御してよい。例えば、情報処理装置100は、ポイントが管理されるデータベース(不図示)を有してよく、第2制御部134は、心身の状態が改善したと判定できた場合には、係るデータベースで管理される「利用者ID」あるいは「採取先ID」に対して、成功報酬を原資とするポイント情報を付与してよい。
【0090】
さらに、第2制御部134は、評価結果が心身の状態に悪化リスクがあることを示している場合には、心身の状態を改善するためのコンテンツ(例えば、健康に向き合わせるための運動プログラム)を、悪化リスクを保有する末端利用者に提案してもよい。
【0091】
〔5.処理手順(1)〕
次に、
図8を用いて、実施形態に係る情報処理のうち、広告配信に関わる情報処理の手順について説明する。
図8は、広告処理手順を示すフローチャートである。
【0092】
まず、第1制御部133は、末端利用者データベース121に登録がある地域住民のうち、リスクスコアが心身の状態に悪化リスクがあることを示している人物であるリスク保有者を特定する(ステップS801)。例えば、第1制御部133は、リスクスコアが所定の位置より低い地域住民について、悪化リスクを保有するリスク保有者として特定してよい。
【0093】
そして、第1制御部133は、リスク保有者を示す末端利用者情報を抽出する(ステップS802)。例えば、第1制御部133は、リスク保有者を示す末端利用者情報として、リスク保有者の末端利用者装置20にインストールされているアプリAPの識別情報を抽出してよい。
【0094】
そして、第1制御部133は、抽出した末端利用者情報を、リスク保有者それぞれに対応するパートナー事業者に提供する(ステップS803)。例えば、第1制御部133は、健康ケアサービスSAに加盟している事業者のうち、リスク保有者を地域住民とするエリアに対応する事業者(例えば、リスク保有者を地域住民とするエリアに対応するストア)それぞれに末端利用者情報を提供してよい。
【0095】
このような状態で、入稿受付部132は、末端利用者情報を提供した事業者から、広告コンテンツの配信に関する各種の情報設定を受け付けたか否かを判定する(ステップS804)。例えば、入稿受付部132は、広告コンテンツの入稿、ターゲティング条件の設定、広告費の支払い、クリック単価の設定等を受け付けたか否かを判定してよい。
【0096】
入稿受付部132は、情報設定を受け付けていないと判定している間は(ステップS804;No)、情報設定を受け付けたと判定できるまで待機する。
【0097】
一方、入稿受付部132は、情報設定を受け付けたと判定できた場合には(ステップS804;Yes)、受け付けた情報をコンテンツデータベース123に記憶させる(ステップS805)。
【0098】
続いて、第1制御部133は、ステップS804で受け付けられた情報に基づく広告配信制御を実行する(ステップS806)。例えば、第1制御部133は、事業者が設定したターゲティング条件を満たすリスク保有者に対して、アプリAPを介して、この事業者が入稿した広告コンテンツを提供する。例えば、第1制御部133は、事業者が設定したターゲティング条件を満たすリスク保有者に対応するアプリAPの画面に設けられる広告枠に、この事業者が入稿した広告コンテンツが表示されるよう表示制御する。なお、第1制御部133は、複数の事業者が同一のターゲティング条件を設定している場合には、ターゲティング条件を満たすリスク保有者に提供する広告コンテンツを、例えばクリック単価に基づいて決定してよい。
【0099】
〔6.処理手順(2)〕
次に、
図9を用いて、実施形態に係る情報処理のうち、健康行動(例えば、健康への行動変位、あるいは、健康に向き合う活動の継続)に関わる情報処理の手順について説明する。
図9は、健康行動に関わる情報処理手順を示すフローチャートである。なお、
図9では、末端利用者として、利用者ID「U1」で識別される利用者U1を一例に挙げて、情報処理手順を説明するが、他の末端利用者についても同様の手順で行われてよい。
【0100】
まず、取得部131は、利用者U1について行われた毛髪分析の結果として、利用者U1の毛髪中の糖化タンパク質量を取得する(ステップS901)。
【0101】
また、取得部131は、利用者U1が保有している健康悪化の危険性である健康リスクが、糖化タンパク質量に基づき評価された評価結果として、リスクスコアを取得する(ステップS902)。リスクスコアは、糖化タンパク質量に基づき情報処理装置100によって算出されてもよいし、分析会社側で算出されてもよい。
【0102】
続いて、第2制御部134は、リスクスコアに関する情報が示される診断結果画面を利用者U1に提供する(ステップS903)。例えば、第2制御部134は、アプリAPが有するプッシュ通知機能を利用し、アプリAP内で実現される画面の1つである診断結果画面を利用者U1の末端利用者装置20に表示させてよい。
【0103】
次に、第2制御部134は、利用者U1のリスクスコアが所定閾値を超えているか否かを判定する(ステップS904)。なお、第2制御部134は、利用者U1の毛髪中の糖化タンパク質量が所定閾値を超えているか否かを判定してもよい。
【0104】
第2制御部134は、リスクスコアが所定閾値を超えていると判定した場合には(ステップS904;Yes)、健康改善を目的とするコンテンツ(例えば、運動プログラム)と、健康診断の受診とを提案する提案情報を利用者U1に通知する(ステップS905)。
【0105】
ここで、第2制御部134は、利用者U1を地域住民とするエリアに存在する観光地やランドマーク等の所定のスポットに到達すると一定のポイントが付与されることを条件に、所定のスポットまでのウォーキングを提案することができる。また、第2制御部134は、ウォーキングルートも提示してよく、例えば、利用者U1の位置情報の変化や、位置情報の変化に応じた速度から、利用者U1が実際にこのルートをウォーキングしたと判定できた場合には、ポイントを付与してよい。また、第2制御部134は、ウォーキングが行われた回数、ウォーキングの継続状況等に応じて、ポイントを制御してもよい。
【0106】
また、第2制御部134は、このような運動プログラムに限らず、例えば、食事の見直しとして、おすすめの献立や、1食につき摂取してよい糖質量の目安等も提案してもよい。
【0107】
また、第2制御部134は、利用者U1が今年の健康診断を未受診であると判定できた場合に、例えば、利用者U1を地域住民とするエリアに対応する自治体が開催している健康診断を受診するよう提案してよい。
【0108】
次に、第2制御部134は、利用者U1が毛髪分析を受けてから所的期間が経過したか否かを判定する(ステップS906)。例えば、糖化タンパク質量が所定閾値を超えている状態で、運動や食事の見直しが実践されたとしても、数値に改善傾向が表れるまでには、6ヶ月ほどを要することが判明しているとする。このような場合、第2制御部134は、利用者U1が毛髪分析を受けてから6ヶ月が経過したか否かを判定してよい。
【0109】
また、
図9に示すように、第2制御部134は、リスクスコアが所定閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS904;No)、ステップS905をスキップしてよい。
【0110】
第2制御部134は、利用者U1が毛髪分析を受けてから所的期間が経過していないと判定している間は(ステップS906;No)、所定期間が経過したと判定できるまで待機する。
【0111】
一方、第2制御部134は、利用者U1が毛髪分析を受けてから所的期間が経過したと判定できた場合には(ステップS906;Yes)、取得部131によって新たな分析結果としての糖化タンパク質量が取得されたか否かを判定する(ステップS907)。つまり、第2制御部134は、前回の毛髪分析(ステップS901で取得された分析結果に対応する毛髪分析)から所定期間(例えば、6ヶ月)が経過した後に、利用者U1が再度毛髪分析を受けたことによる現時点で最新の糖化タンパク質量が取得されたか否かを判定する。
【0112】
第2制御部134は、所定期間経過した後の毛髪分析に対応する新たな分析結果が取得されていないと判定している間は(ステップS907;No)、新たな分析結果が取得されたと判定できるまで待機する。
【0113】
一方、第2制御部134は、新たな分析結果が取得されたと判定できた場合には(ステップS907;Yes)、新たな分析結果は、前回の毛髪分析で利用された理美容院に利用者U1が再訪することで行われた毛髪分析による分析結果であるか否かを判定する(ステップS908)。
【0114】
つまり、第2制御部134は、前回毛髪分析サービスを受けた理美容院に再訪して再び毛髪分析サービスを受けたか否かを判定する。換言すると、第2制御部134は、毛髪分析サービスの提供が功を奏して、利用者U1が前回利用した理美容院のリピーターとなったか否かを判定する。なお、第2制御部134は、分析結果データベース122に記憶される履歴情報に基づいて、このような判定処理を行うことができる。
【0115】
第2制御部134は、前回毛髪分析サービスを受けた理美容院に再訪して、再び毛髪分析サービスを受けたと判定できた場合には(ステップS908;Yes)、今回も利用された再訪先の理美容院をインセンティブ付与対象として決定する(ステップS909a)。つまり、第2制御部134は、理美容院が集客に貢献したという意味でインセンティブ付与対象と定める。
【0116】
一方、第2制御部134は、再訪ではないと判定した場合には(ステップS908;No)、公開利用された理美容院をインセンティブ付与対象外として決定する(ステップS909b)。
【0117】
次に、第2制御部134は、今回の糖化タンパク質量が、前回の糖化タンパク質量を下回っているか否かを判定する(ステップS910)。つまり、第2制御部134は、糖化タンパク質量の変化に基づいて、利用者U1の健康リスクが改善したか否かを判定する。
【0118】
第2制御部134は、今回の糖化タンパク質量が、前回の糖化タンパク質量を上回ってしまっていると判定した場合には(ステップS910;No)、ステップS905へと処理を戻してよい。
【0119】
一方、第2制御部134は、今回の糖化タンパク質量が、前回の糖化タンパク質量を下回っていると判定した場合には(ステップS910;Yes)、利用者U1が保有する健康リスクが改善したことに伴う成功報酬であって、利用者U1を地域住民とするエリアに対応する自治体に課す成功報酬を決定するとともに、決定した成功報酬を自治体に請求する(ステップS911)。
【0120】
次に、第2制御部134は、インセンティブを付与する期日になったか否かを判定する(ステップS912)。第2制御部134は、インセンティブを付与する期日になっていないと判定している間は(ステップS912;No)、期日になったと判定できるまで待機する。
【0121】
一方、第2制御部134は、インセンティブを付与する期日になったと判定できた場合には(ステップS912;Yes)であって、ステップS909aに進んだことでインセンティブ対象の理美容院を決定している場合には、自治体に請求した成功報酬を原資とするインセンティブを、この理美容院に対して付与する処理を行う(ステップS913)。
【0122】
なお、第2制御部134は、ステップS909aに進んだことでインセンティブ対象の理美容院を決定している場合には、ステップS910において、今回の糖化タンパク質量が、前回の糖化タンパク質量を下回っているか否かに拘わらず、この理美容院に対して付与してもよい。具体的には、第2制御部134は、ステップS909aに進んだことでインセンティブ対象の理美容院を決定している場合には、ステップS913へと進んでもよい。
【0123】
また、第2制御部134は、自治体に請求した成功報酬を原資とするインセンティブを、利用者U1に対しても付与する処理を行う(ステップS914)。
【0124】
さて、ここまで、
図8および
図9を用いて、実施形態に係る情報処理の手順を説明した。このような情報処理により、地域住民、理美容院、事業者という3者にとってメリットのある健康ケアサービスSAが実現される。また、このようなことから、健康ケアプラットフォームPFに対応する情報処理装置100は、健康づくりを支える環境を地域レベルで実現することができるといえる。
【0125】
〔7.ハードウェア構成〕
次に、実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。
図10は、実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図10を参照すると、情報処理装置100は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0126】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0127】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータなどを格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータなどが一時的または永続的に格納される。
【0128】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0129】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバーなどが用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0130】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機ELなどのディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホンなどのオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリなど、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。
【0131】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどが用いられる。
【0132】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0133】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子などのような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0134】
(通信装置813)
通信装置813は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または各種通信用のモデムなどである。
【0135】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディアなどである。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器などであってもよい。
【0136】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダなどである。
【0137】
なお、実施形態に係る記憶部120は、ROM802やRAM803、ストレージ810によって実現される。また、プロセッサ801によって実現される実施形態に係る制御部130が、取得部131と、入稿受付部132と、第1制御部133と、第2制御部134とを実現する各制御プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を、ROM802やRAM803などから読み出し実行する。
【0138】
〔8.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0139】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0140】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0141】
1 情報処理システム
10 仲介利用者装置
20 末端利用者装置
30 事業者装置
40 分析会社装置
100 情報処理装置
120 記憶部
121 末端利用者データベース
122 分析結果データベース
123 コンテンツデータベース
130 制御部
131 取得部
132 入稿受付部
133 第1制御部
134 第2制御部