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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146197
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】積層型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20231004BHJP
   F28F 3/10 20060101ALI20231004BHJP
   F28D 9/02 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
F28F3/08 301B
F28F3/10
F28F3/08 301A
F28D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053266
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 喜彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀之
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB16
3L103CC02
3L103CC08
3L103DD15
3L103DD52
3L103DD61
(57)【要約】
【課題】 プレートと、プレートの外周に整合する枠材とを交互に積層した積層型熱交換器における製作性の向上を目的とする。
【解決手段】 平坦なプレート1と、その外周縁に略整合する枠材2とを交互に積層して、積層方向に交互に第1流体6が流通する第1流路3と、第2流体7が流通する第2流路4とが形成される積層型熱交換器において、枠材2が複数の分割された部分から構成され、それらの分割された部分の少なくとも一つを棒状体2aとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦なプレート(1)と、その外周縁に略整合する枠材(2)とを交互に積層して、積層方向に交互に第1流体(6)が流通する第1流路(3)と、第2流体(7)が流通する第2流路(4)とが形成される積層型熱交換器において、
枠材(2)は、複数の分割された部分から構成され、それらの分割された部分の少なくとも一つは棒状体(2a)である積層型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型熱交換器において、
少なくとも一方の前記流路に、インナフィン(5)が配置され、
前記棒状体(2a)はその両端が、前記枠材(2)の他の部分に保持された状態で、前記流路側に弾性変形可能に形成された積層型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレートと、プレートの外周に整合する枠材とを交互に積層した積層型熱交換器における製作性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
図6Aは、従来型の積層型熱交換器の一例の要部平面図であり、図6Bは、図6AのB-B矢視の部分断面図である。
この積層型熱交換器は、そのエレメントが上下一対のプレート1と、その外周に整合する枠材22とが交互に積層されたものからなる。積層方向の一枚ごとに、第1流体が流通する第1流路と、第2流体が流通する第2流路とが形成されている。この例では、図6Aに示す如く、インナフィン5が配置され、各部品間が一体に接合される。
そして、各流路に流通する第1流体と第2流体との間に熱交換が行われる。
【0003】
図6A図6Bの従来型の積層型熱交換器において、枠材22は一体として形成されているため、それをプレス等で成形する際に生じる端材が多く、材料の歩留まりが悪い。また、その熱交換器の組立てに際して、図6Bの第二段目の如く、プレート1と枠材22とのに間にインナフィン5の縁5cが挟まれ、そのまま接合されることがある。
前者の歩留まりの問題を解決する手段としては、下記特許文献1の積層型熱交換器が提案されている。これは、枠体を二分割して歩留まりを向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-293823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す二分割された分割片は、略L字状なので、分割されてもなお、プレス等で成形する際に無駄となる端材が多く排出されるため、それによる歩留りの向上は十分ではなく、歩留まりの更なる向上が望まれている。
そこで、本発明は歩留まりがよく、製作性のよい積層型熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、平坦なプレート1と、その外周縁に略整合する枠材2とを交互に積層して、積層方向に交互に第1流体6が流通する第1流路3と、第2流体7が流通する第2流路4とが形成される積層型熱交換器において、
枠材2は、複数の分割された部分から構成され、それらの分割された部分の少なくとも一つは棒状体2aで構成されている積層型熱交換器である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
少なくとも一方の前記流路に、インナフィン5が配置され、
前記棒状体2aはその両端が、前記枠材2の他の部分に保持された状態で、前記流路側に弾性変形可能に形成された積層型熱交換器である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、枠材2が複数の分割された部分から構成され、それらの分割された部分の少なくとも一つは棒状体2aで構成されたものである。
構成部分の少なくとも一つを棒状体2aとしたことにより、枠材2を成形する際に生じる端材が少なくなり、積層型熱交換器の製造における歩留まりが向上する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、少なくとも一方の流路に、インナフィン5が配置され、棒状体2aはその両端が、前記枠材2の他の部分に保持された状態で、前記流路側に弾性変形可能に形成されたものである。
この構成により、棒状体2aを流路側に弾性変形させて、インナフィン5に押し当てることによって、容易にインナフィン5を適切な位置に、調整配置することが可能となり、積層型熱交換器における製作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1の積層型熱交換器の分解斜視図。
図2】同熱交換器の組立て状態を示す斜視図。
図3】同熱交換器の組立て説明図。
図4A】同熱交換器の組立てにおいて、棒状体2aとインナフィン5との相対関係を示す要部平面図。
図4B図4AのB-B矢視断面の説明図。
図5A】本発明の積層型熱交換器の実施例2における棒状体2aの作用を示す説明図。
図5B】実施例2における棒状体2aの作用を示す断面説明図。
図6A】従来型熱交換器の要部平面図。
図6B図6AのB-B矢視部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
【実施例0012】
図1は本発明の実施例1の積層型熱交換器の分解斜視図であり、図2はその組立て状態を示す斜視図、図3はその組立て説明図である。
図4Aは、同熱交換器の組立てにおいて、棒状体2aとインナフィン5との相対関係を示す要部平面図であり、図4Bは、図4AのB-B矢視断面の説明図である。
積層型熱交換器は、図1に示す如く、平坦なプレート1と、その外周縁に略整合する枠材2とが交互に積層されてコア11が形成されている。
このコア11には、一例として、図2に示す如く、プレート1と枠部2の積層方向の両端部に出入口板12が配置される。そして、各部品間が接合される。
この積層型熱交換器は、特に、建築機械用のオイルクーラに好適であり、その場合、第1流体6として冷却水等の冷媒を用い、第2流体7としてオイルを用いることができる。 両流体6,7の間に熱交換が行われる。
【0013】
この例の枠材2は、枠材2の長手方向の両端に配置される一対の第1端板2ba、又は一対の第2端板2bbと、それらの端板2ba、2bbを連結する弾性を有する一対の棒状体2aとからなる。枠材2内には、枠材2の長手方向に沿って、複数のインナフィン5(この例では、3枚のインナフィン5)が配置されている。
【0014】
枠材2の積層方向の1枚おきに、第1流体6が流通する第1流路3と、第2流体7が流通する第2流路4とが交互に形成される。
この例では、第1流路3を形成する一対の第1端板2baには、第2流路4に連通する第2連通孔10bが形成され、第2流路4を形成する一対の第2端板2bbには、第1流路3に連通する第1連通孔10aが形成されている。
【0015】
図3は、棒状体2aと端板2baとの係止説明図である。ここでは、例として、第1端板2baと棒状材2aとの場合について説明するが、第2端板2bbと棒状材2aとの場合についても同様である。
第1端板2baには、枠部2の外方に向けて突出している凸部13が形成されており、本発明の枠材2を構成する棒状体2aの両端は、一方の第1端板2baの凸部13により形成された段と、他方の第1端板2baの凸部13により形成された段の間に支持されている。
棒状材2aが弾性を有し、その両端が一方の第1端板2baの凸部13により形成された段と、他方の第1端板2baの凸部13により形成された段の間に支持されていることにより、図4Aに示す如く、棒状材2aが流路側に弾性変形が可能となっている。これにより、図4Bのように、流路の内部に配置されたインナフィン5に棒状材2aを押し当てることによって、容易にインナフィン5を適切な位置に、調整配置することができる。
【0016】
この積層型熱交換器の組立ての一例を、図1に基づいて説明する。
治具23に、第1端板2ba、第2端板2bb、棒状材2aを仮固定する位置決め9を設置しておく。
その治具23に、枠材2の積層方向の端部に配置されるプレートを配置しておく。
枠材2の第1端板2ba、第2端板2bbには、孔8が形成されている。各端板2ba、2bbの孔8に、位置決め9が挿入されて、第1端板2ba、第2端板2bbが位置決めされる。
次に、一対の棒状体2aを、一方の第1端板2baの凸部13により形成された段と、他方の第1端板2baの凸部13により形成された段の間に配置する。次いで、別の一対の棒状体2aを、一方の第2端板2bbの凸部13により形成された段と、他方の第2端板2bbの凸部13により形成された段の間に配置する。
棒状体2aを支持する位置決め9は治具23の棒状体2aの外側に設置されており、それによって、棒状体2aを位置決めしている。そして、複数からなるインナフィン5を流路の内部に配置する。
次いで、プレート1と枠材2とを順次積層し、コア11を仮組した後に、各流路の棒状材2aを流路側に弾性変形させて、インナフィン5に押し当てることによって、インナフィン5を適切な位置に調整する。
その後、炉中でコア11を一体にろう付する。
【実施例0017】
次に、図5Aは本発明の枠材2を構成する棒状体2aの実施例2の要部斜視図であり、図5Bは、実施例2の棒状体2aの作用を示す断面説明図である。
この例の棒状体2aは、図5A図5Bに示すように、棒状体2aの厚み方向の中間位置で、インナフィン5側に、突起部2cが形成されたものである。
各流路の棒状材2aを流路側に弾性変形させて、棒状体2aの突起部2cの先端を、図5Bに示すように、インナフィン5の壁面に押し当てることによって、インナフィン5を適切な位置に調整する。
また、棒状体2aの突起部2cにより、プレート1と棒状材2aとの間にインナフィン5の縁部5aが挟まれることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、積層型熱交換器に広く適用可能であり、特に、建築機械用のオイルクーラに好適である。
【符号の説明】
【0019】
1 プレート
2 枠材
2a 棒状体
2ba 第1端板
2bb 第2端板
2c 突起部
3 第1流路
4 第2流路
5 インナフィン
5a 縁部
5c 縁
【0020】
6 第1流体
7 第2流体
8 孔
9 位置決め
10a 第1連通孔
10b 第2連通孔
11 コア
12 出入口板
13 凸部
22 枠材
23 治具
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B