(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146234
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231004BHJP
H02M 7/04 20060101ALI20231004BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20231004BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/04 D
H05K9/00 G
H05K7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053319
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】森山 克也
(72)【発明者】
【氏名】齋地 正義
【テーマコード(参考)】
5E321
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5E321AA05
5E321AA14
5E321AA32
5E321CC22
5E321GG01
5E321GG05
5H006HA05
5H770AA04
5H770KA01Z
5H770QA28
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】コントローラの耐ノイズ性能を向上させる。
【解決手段】コントローラ1は、金属製の筐体2と、外部電源から交流電流が入力される電源入力部3を有する。コントローラ1は、電源入力部3から供給される交流電流を直流電流に変換して外部に出力する駆動電流を生成する。電源入力部3は、筐体2内に配置される電源入力端子台4、および、電源入力端子台4を介して交流電流が入力されるノイズフィルタを備える。筐体2は、電源入力部3が設置されるメインフレーム20と、電源入力部3のプロテクティブアース線PE1~PE5および交流電源のアース線GL1、GL2が接続されるフレームグランド端子台10を備える。フレームグランド端子台10とメインフレーム20は同一金属からなり、且つ、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の筐体と、
外部電源から交流電流が入力される電源入力部と、
前記電源入力部から供給される交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路および前記直流交流変換回路から供給される直流電流に基づき外部に出力する駆動電流を生成する駆動電流生成部と、を有し、
前記電源入力部は、前記筐体内に配置される電源入力端子台および前記電源入力端子台を介して交流電流が入力される少なくとも1つのノイズフィルタを備え、
前記筐体は、前記電源入力部が設置されるメインフレームと、前記電源入力部のプロテクティブアース線が接続されるフレームグランド端子台と、を備え、
前記フレームグランド端子台と前記メインフレームは同一金属からなり、且つ、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接されていることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記メインフレームは、前記電源入力部が設置される電源入力部設置面を備え、
前記フレームグランド端子台は、前記電源入力部設置面に配置されることを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記メインフレームは、前記筐体の底板および前記底板の外縁に繋がる枠状の筐体フレームを備え、
前記電源入力部設置面は、前記底板に設けられ、
前記フレームグランド端子台は、前記底板の外縁に配置されることを特徴とする請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記フレームグランド端子台は、前記底板に当接する固定板、および、前記底板の外縁に沿って延びる傾斜板を備え、前記傾斜板に前記プロテクティブアース線が固定され、
前記傾斜板は、前記外縁から前記電源入力部に近づくにしたがって前記底板から離れる方向に傾斜することを特徴とする請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記電源入力端子台は、前記電源入力部の前記フレームグランド端子台側の先端に配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記筐体内に引き込まれる給電ケーブルは、交流電源から交流電流を供給する給電線および前記交流電源の接地端子に接続されるアース線を備え、
前記給電線が前記電源入力端子台に接続され、
前記アース線が前記フレームグランド端子台に接続されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記電源入力部は、前記電源入力端子台と前記ノイズフィルタとを接続する電流供給経路に配置される配線用遮断器を備え、
前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、および、前記ノイズフィルタのプロテクティブアース線が接続されることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記電源入力部は、前記電源入力端子台と前記ノイズフィルタとを接続する電流供給経路に配置されるサージプロテクタを備え、
前記サージプロテクタのプロテクティブアース線は、前記フレームグランド端子台に直接接続されるか、もしくは、前記電源入力端子台を介して前記フレームグランド端子台に接続されることを特徴とする請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記電源入力部は、前記ノイズフィルタを通過した交流電流を分配する分配コネクタを備え、
前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、前記ノイズフィルタのプロテクティブアース線、および前記分配コネクタのプロテクティブアース線が接続されることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記電源入力部は、駆動電流を生成するための交流電流を供給する第1電源入力部と、前記駆動電流とは異なる電圧の制御電流を生成するための交流電流を供給する第2電源入力部と、を備え、
前記第1電源入力部は、第1配線用遮断器および第1サージプロテクタと、少なくとも1つの前記ノイズフィルタを備え、
前記第2電源入力部は、第2配線用遮断器および第2サージプロテクタと、少なくとも1つの前記ノイズフィルタおよび分配コネクタを備え、
前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、前記第1電源入力部に設けられた各ノイズフィルタのプロテクティブアース線、前記第2電源入力部に設けられた各ノイズフィルタのプロテクティブアース線、および、前記分配コネクタのプロテクティブアース線が接続され、
前記第1サージプロテクタのプロテクティブアース線および前記第2サージプロテクタのプロテクティブアース線は、前記フレームグランド端子台に直接接続されるか、もしくは、前記電源入力端子台を介して前記フレームグランド端子台に接続されることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の筐体を備えるコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットを制御するコントローラとして、金属製の筐体内に、制御回路基板、駆動回路基板、通信用インターフェース基板、駆動電圧生成基板、電源回路基板などの各種のユニットを収容したものが記載される。
【0003】
特許文献1のコントローラは、筐体の正面パネルに外部電源コネクタおよび外部電源コネクタから入力される200Vの交流電流の供給と遮断とを切り換えるサーキットプロテクタが配置されており、筐体の内側には、交流電流からノイズを除去するノイズフィルタと、ノイズが除去された交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路が設けられた駆動電圧生成基板および電源回路基板などの電源供給系のユニットが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コントローラでは、外部電源から供給される交流電流にのるノイズを抑制するために、金属製の筐体をフレームグランドとしてノイズを逃がす構造が採用されている。例えば、筐体のフレームに固定される金属板に対して、金属製の端子台部品をねじで固定することにより、筐体にフレームグランド端子台を設ける。電源供給系の各ユニットは、フレームグランド端子台との間に引き回されるフレームグランド線を介してフレームグランドに接続される。
【0006】
しかしながら、筐体にフレームグランド端子台を設けるにあたって、フレームグランド端子台の構成によってはノイズ耐性が不十分となるおそれがある。例えば、端子台部品と筐体側の金属パネルとの接触抵抗が大きいとノイズやサージを逃がし切れない。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、コントローラの耐ノイズ性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコントローラは、金属製の筐体と、外部電源から交流電流が入力される電源入力部と、前記電源入力部から供給される交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路および前記直流交流変換回路から供給される直流電流に基づき外部に出力する駆動電流を生成する駆動電流生成部と、を有し、前記電源入力部は、前記筐体内に配置される電源入力端子台および前記電源入力端子台を介して交流電流が入力される少なくとも1つのノイズフィルタを備え、前記筐体は、前記電源入力部が設置されるメインフレームと、前記電源入力部のプロテクティブアース線が接続されるフレームグランド端子台と、を備え、前記フレームグランド端子台と前記メインフレームは同一金属からなり、且つ、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、コントローラの筐体を構成する金属部材のうち容量が大きい部材であ
るメインフレームに対して、メインフレームと同一金属からなるフレームグランド端子台を溶接する。その際、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接を行う。このように、メインフレームに対して直接フレームグランド端子台を固定することにより、メインフレームとフレームグランド端子台との間に他部材が介在する場合と比較して接地抵抗を減らすことができる。また、めっき被膜が形成されていない基材面同士を当接させることにより、メインフレームとフレームグランド端子台の間の接触抵抗を減らすことができる。接地抵抗を減らすことにより、フレームグランド端子台からノイズを逃がしやすくなるので、耐ノイズ性能が向上する。また、溶接により固定することにより、確実に接触させることができ、ねじ固定の場合のねじ締めトルクのばらつきによる接触抵抗の変動をなくすことができる。従って、耐ノイズ性能のばらつきを抑制できる。これにより、ノイズフィルタを簡素化しても必要な耐ノイズ性能を得られるので、ノイズフィルタのコスト削減を図ることができる。さらに、ねじ固定用の穴を削減できるため、フレームグランド端子台の小型化および部品コストの削減が可能になるとともに、フレームグランド端子台の誤分解のリスクを避けることができる。
【0010】
本発明において、前記メインフレームは、前記電源入力部が設置される電源入力部設置面を備え、前記フレームグランド端子台は、前記電源入力部設置面に配置されることが好ましい。このようにすると、同一面に電源入力部とフレームグランド端子台が配置される。従って、電源入力部のフレームグランド線をフレームグランド端子台に引き回して接続する際の作業性向上を図ることができる。
【0011】
本発明において、前記メインフレームは、前記筐体の底板および前記底板の外縁に繋がる枠状の筐体フレームを備え、前記電源入力部設置面は、前記底板に設けられ、前記フレームグランド端子台は、前記底板の外縁に配置されることが好ましい。このようにすると、筐体フレームに固定される外面パネルを外すことによりフレームグランド端子台に容易にアクセスできる。従って、フレームグランド端子台にプロテクティブアース線を接続する際の作業性を良好にすることができる。
【0012】
本発明において、前記フレームグランド端子台は、前記底板に当接する固定板、および、前記底板の外縁に沿って延びる傾斜板を備え、前記傾斜板に前記プロテクティブアース線が固定され、前記傾斜板は、前記外縁から前記電源入力部に近づくにしたがって前記底板から離れる方向に傾斜することが好ましい。このようにすると、底板に配置されるフレームグランド端子台を斜め上方から見下ろしたときにプロテクティブアース線を固定する固定面(すなわち、傾斜板)が見える。従って、プロテクティブアース線を接続する際の作業性を向上させることができる。
【0013】
本発明において、前記電源入力端子台は、前記電源入力部の前記フレームグランド端子台側の先端に配置されることが好ましい。このようにすると、電源入力端子台とフレームグランド端子台との距離を近づけることができる。従って、電源入力端子台のプロテクティブアース線をフレームグランド端子台に接続する作業を容易に行うことができる。また、電源入力部の先端に電源入力端子台とフレームグランド端子台をまとめて配置できるので、配線作業を効率的に行うことができる。
【0014】
本発明において、前記筐体内に引き込まれる給電ケーブルは、交流電源から交流電流を供給する給電線および前記交流電源の接地端子に接続されるアース線を備え、前記給電線が前記電源入力端子台に接続され、前記アース線が前記フレームグランド端子台に接続されることが好ましい。このように、フレームグランド端子台に直接交流電源のアース線を接続することにより、フレームグランドを有効にアース接地することができる。従って、電源入力部のプロテクティブアース線をフレームグランド端子台に集結させることにより、フレームグランド端子台を介して電源入力部を有効にアース接地することができる。
【0015】
本発明において、前記電源入力部は、前記電源入力端子台と前記ノイズフィルタとを接続する電流供給経路に配置される配線用遮断器を備え、前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、および、前記ノイズフィルタのプロテクティブアース線が接続されることが好ましい。このようにすると、電源入力部のプロテクティブアース線の多くがフレームグランド端子台に集結する。従って、フレームグランド端子台に交流電源のアース線が接続されることで、電源入力部を構成する電子素子の多くがフレームグランド端子台を介してアース接地されるので、耐ノイズ性能を高めることができる。また、ノイズフィルタを簡素化してコスト削減を図ることが可能になる。
【0016】
この場合に、前記電源入力部は、前記電源入力端子台と前記ノイズフィルタとを接続する電流供給経路に配置されるサージプロテクタを備え、前記サージプロテクタのプロテクティブアース線は、前記フレームグランド端子台に直接接続されるか、もしくは、前記電源入力端子台を介して前記フレームグランド端子台に接続されることが好ましい。このようにすると、サージプロテクタを追加した場合に、他の電子素子と同様にサージプロテクタもフレームグランド端子台を介して接地される。従って、耐ノイズ性能を高めることができる。
【0017】
本発明において、前記電源入力部は、前記ノイズフィルタを通過した交流電流を分配する分配コネクタを備え、前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、前記ノイズフィルタのプロテクティブアース線、および前記分配コネクタのプロテクティブアース線が接続されることが好ましい。このようにすると、分配コネクタから供給する交流電流のノイズを少なくできるので、さらに耐ノイズ性能を高めることができる。
【0018】
本発明において、前記電源入力部は、駆動電流を生成するための交流電流を供給する第1電源入力部と、前記駆動電流とは異なる電圧の制御電流を生成するための交流電流を供給する第2電源入力部と、を備え、前記第1電源入力部は、第1配線用遮断器と、少なくとも1つの前記ノイズフィルタを備え、前記第2電源入力部は、第2配線用遮断器と、少なくとも1つの前記ノイズフィルタおよび分配コネクタを備え、前記フレームグランド端子台には、前記電源入力端子台のプロテクティブアース線、前記第1電源入力部に設けられた各ノイズフィルタのプロテクティブアース線、前記第2電源入力部に設けられた各ノイズフィルタのプロテクティブアース線、および、前記分配コネクタのプロテクティブアース線が接続され、前記第1サージプロテクタのプロテクティブアース線および前記第2サージプロテクタのプロテクティブアース線は、前記フレームグランド端子台に直接接続されるか、もしくは、前記電源入力端子台を介して前記フレームグランド端子台に接続されることが好ましい。このようにすると、第1電源入力部を構成する電子素子、および、第2電源入力部を構成する電子素子がそれぞれフレームグランド端子台を介して接地されるので、制御電流および駆動電流のノイズを低減させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コントローラの筐体を構成する金属部材のうち最も大きな部材であるメインフレームに対して、メインフレームと同一金属からなるフレームグランド端子台を溶接する。その際、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接を行う。このように、メインフレームに対して直接フレームグランド端子台を固定することにより、メインフレームとフレームグランド端子台との間に他部材が介在する場合と比較して接地抵抗を減らすことができる。また、めっき被膜が形成されていない基材面同士を当接させることにより、メインフレームとフレームグランド端子台の間の接触抵抗を減らすことができる。接地抵抗を減らすことにより、フレームグランド端子台からノイズを逃がしやすくなるので、耐ノイズ性能が向上する。また、溶接により固定することにより、確
実に接触させることができ、ねじ固定の場合のねじ締めトルクのばらつきによる接触抵抗の変動をなくすことができる。従って、耐ノイズ性能のばらつきを抑制できる。これにより、ノイズフィルタを簡素化しても必要な耐ノイズ性能を得られるので、ノイズフィルタのコスト削減を図ることができる。さらに、ねじ固定用の穴を削減できるため、フレームグランド端子台の小型化および部品コストの削減が可能になるとともに、フレームグランド端子台の誤分解のリスクを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用したコントローラの外観斜視図である。
【
図2】インターフェースパネルおよび側板を取り外したコントローラの部分斜視図である。
【
図3】コントローラの断面図(
図1のA-A位置で切断した断面図)およびその部分拡大図である。
【
図4】電源入力部を模式的に示すブロック図である。
【
図5】メインフレームおよび電源入力部を前面側から見た拡大斜視図である。
【
図6】メインフレームにおけるフレームグランド端子台が固定された部分の斜視図である。
【
図7】フレームグランド端子台を斜め上方および斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】本形態のコントローラと従来例のコントローラにおける雑音端子電圧試験のノイズ波形図である。
【
図9】変形例のフレーム端子台を用いた場合のプロテクティブアース線の接続態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したコントローラの実施形態を説明する。本実施形態のコントローラ1は、モータなどのアクチュエータを備えるロボット(マニピュレータ)に電力を供給する装置である。
【0022】
図1は、本発明を適用したコントローラ1の外観斜視図である。
図2は、インターフェースパネル21Aおよび側板24を取り外したコントローラ1の部分斜視図である。
図3は、コントローラ1の断面図(
図1のA-A位置で切断した断面図)およびその部分拡大図である。
【0023】
本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。本明細書では、便宜的にZ方向をコントローラ1の上下方向とする。Z1方向は下方であり、Z2方向は上方である。X方向はコントローラ1の前後方向である。X1方向は前方であり、X2方向は後方である。Y方向はコントローラ1の幅方向である。Y1方向とY2方向は、Y方向の一方側と他方側である。なお、実際のコントローラ1の使用態様では、Z方向が上下方向(鉛直方向)と一致していなくてもよい。
【0024】
(全体構成)
図1-
図3に示すように、コントローラ1は、金属製の筐体2を備える。筐体2は直方体であり、X1方向を向く前面2aおよびX2方向を向く背面2bと、Y1方向を向く側面2cおよびY2方向を向く側面2dと、Z1方向を向く底面2eおよびZ2方向を向く上面2fを備える。本形態では、筐体2を構成する部材は、前面2aに配置される3枚のインターフェースパネル21A、21B、21Cと、背面2bに配置される背面板22と、Y1側の側面2cに配置される側板23と、Y2側の側面2dに配置される側板24と、上面2fに配置される上板25と、メインフレーム20を備える。
【0025】
メインフレーム20は、底面2eに配置される底板26と底板26の外縁に繋がる直方
体状の筐体フレーム27とを一体に形成した部材である。インターフェースパネル21A、21B、21C、背面板22、側板23、24、および上板25は、筐体2の外面パネルであり、筐体フレーム27に着脱可能に固定される。
【0026】
図2に示すように、筐体フレーム27は、矩形枠状の前面フレーム27A、側面フレーム27B、上面フレーム27Cを備える。前面フレーム27Aにはインターフェースパネル21A、21B、21Bが固定される。上面フレーム27Cには上板25が固定される。側面フレーム27BにはY2側の側板24が固定される。前面フレーム27Aおよび側面フレーム27Bは、底板26の外縁からZ2方向に立ち上がり、上面フレーム27Cの外縁に接続される。また、筐体フレーム27は、背面板22が固定される背面フレーム、および、Y1側の側板23が固定される側面フレーム(いずれも図示せず)を備える。
【0027】
コントローラ1は、外部電源から交流電流が入力される電源入力部3を備える。
図2、
図3に示すように、電源入力部3は、筐体2の内部空間において、筐体前面のY2側の端に配置されるインターフェースパネル21Aの内側に配置される。
図1、
図3に示すように、外部交流電源の2本の給電ケーブル40は、インターフェースパネル21Aに取り付けられたスリーブ28から筐体2内に引き込まれる。
【0028】
コントローラ1は、電源入力部3から供給される交流電流の一部を所定の電圧の直流電流に変換する直流交流変換回路(図示せず)、および、直流交流変換回路から供給される直流電流に基づき外部に出力する駆動電流を生成する駆動電流生成部(図示せず)、を備える。直流交流変換回路および駆動電流生成部を構成する回路基板や電子素子は、筐体2内に配置される。駆動電流生成部は、インターフェースパネル21Cに設けられた外部出力コネクタ29(
図1参照)に接続される。外部出力コネクタ29にマニピュレータ側のコネクタを接続すると、駆動電流がマニピュレータに供給される。
【0029】
また、コントローラ1は、筐体2内に配置される通信基板(図示せず)、制御回路基板(図示せず)、および冷却用のファン6を備える。通信基板の端部に配置される複数の外部接続用コネクタ30は、インターフェースパネル21Bに設けられた穴に配置される。ファン6は、背面板22の内側に複数配置される。
図2に示すように、複数のファン6のうちの1つは、電源入力部3の後方(X2側)に配置される。
【0030】
(電源入力部)
図4は、電源入力部3を模式的に示すブロック図である。
図5は、メインフレーム20および電源入力部3を前面側(X1側)から見た斜視図である。
図4に示すように、電源入力部3は、電源入力端子台4と、電源入力端子台4を経由して交流電流が供給される第1電源入力部5Aおよび第2電源入力部5Bを備える。
【0031】
図4に示すように、筐体2内に引き込まれる2本の給電ケーブル40のうちの1本は、駆動電源用の3相の交流電流を供給するための3本の給電線40Aと、外部交流電源の接地端子に接続される1本のアース線GL1を備える。2本目の給電ケーブル40は、制御電源用の2相の交流電流を供給するための2本の給電線40Bと、外部交流電源の接地端子に接続される1本のアース線GL2を備える。3本の給電線40Aおよび2本の給電線40Bは、電源入力端子台4に接続される。アース線GL1、GL2は、後述するように、電源入力端子台4ではなく、フレームグランド端子台10(
図5参照)に接続される。
【0032】
電源入力部3に入力される200Vの交流電流は、電源入力端子台4を経由して第1電源入力部5Aおよび第2電源入力部5Bに供給される。第1電源入力部5Aには、給電線40Aおよび電源入力端子台4を経由して、駆動電源となる3相の交流電流が入力される。第2電源入力部5Bには、給電線40Bおよび電源入力端子台4を経由して、制御電源
となる2相の交流電流が入力される。
【0033】
図4に示すように、第1電源入力部5Aは、第1配線用遮断器51と、第1サージプロテクタ52と、第1ノイズフィルタ53と、第2ノイズフィルタ54を備える。第1ノイズフィルタ53および第2ノイズフィルタ54は、第1電源入力部5Aに供給される交流電流に重畳されるノイズを除去するためのフィルタ回路を備える。第1配線用遮断器51は、ノーヒューズブレーカである。第1配線用遮断器51および第1サージプロテクタ52は、電源入力端子台4と第1ノイズフィルタ53とを接続する電流供給経路に配置される。
【0034】
第2電源入力部5Bは、第2配線用遮断器55と、第2サージプロテクタ56と、第3ノイズフィルタ57と、分配コネクタ58を備える。第3ノイズフィルタ57は、第2電源入力部5Bに供給される交流電流に重畳されるノイズを除去するためのフィルタ回路を備える。第2配線用遮断器55は、サーキットプロテクタである。第2配線用遮断器55および第2サージプロテクタ56は、電源入力端子台4と第3ノイズフィルタ57とを接続する電流供給経路に配置される。
【0035】
分配コネクタ58は、第2ノイズフィルタ54から出力される交流電流を複数の供給先に分配する。分配コネクタ58から分配される交流電流は、駆動電流とは異なる電圧の制御電流に変換される。例えば、分配コネクタ58から分配される交流電流により、ファン6に供給される24Vの直流電流、および、制御回路基板に供給される5Vの直流電流が生成される。
【0036】
電源入力部3は、全体としてX方向に細長い形状のユニットである。
図2、
図4に示すように、電源入力端子台4は、電源入力部3の前端(X1側の端)に配置される。また、第1配線用遮断器51および第2配線用遮断器55は、電源入力部3の前端(X1側の端)において、電源入力端子台4の上側(Z2側)に並んで配置される。
図3に示すように、第1サージプロテクタ52は、第1配線用遮断器51の後方(X2側)に配置される。
図2に示すように、第2サージプロテクタ56は、第2配線用遮断器55の後方(X2側)に配置される。第1配線用遮断器51および第2配線用遮断器55の前端部は電源入力端子台4よりも前方(X1方向)に突出しており、インターフェースパネル21Aの開口部31に配置される(
図1参照)。電源入力端子台4は、インターフェースパネル21Aの内側に配置される。
【0037】
図3に示すように、第1ノイズフィルタ53と第2ノイズフィルタ54は、電源入力端子台4のY1側の部分の後方(X2側)において、前後方向(X方向)に配列される。第1ノイズフィルタ53は電源入力端子台4の後方(X2側)に配置され、第2ノイズフィルタ54は第1ノイズフィルタ53の後方(X2側)に配置される。
【0038】
図2に示すように、第3ノイズフィルタ57と分配コネクタ58は、電源入力端子台4のY2側の部分の後方(X2側)において、前後方向(X方向)に配列される。第3ノイズフィルタ57は電源入力端子台4の後方(X2側)に配置され、分配コネクタ58は第3ノイズフィルタ57の後方(X2側)に配置される。
図3において破線で示すように、第3ノイズフィルタ57は第1ノイズフィルタ53とY方向に並ぶ位置に配置される。分配コネクタ58は第2ノイズフィルタ54の後端部とY方向に並ぶ位置に配置される。
【0039】
電源入力部3は、金属製のベースプレート60に対して電源入力端子台4、第1電源入力部5Aを構成する電子素子、および第2電源入力部5Bを構成する電子素子をねじ固定することによりユニット化されている。メインフレーム20は、電源入力部3を設置する電源入力部設置面32を備える。電源入力部3は、ベースプレート60を電源入力部設置
面32にねじ固定することによりメインフレーム20に固定される。従って、
図2、
図3に示すように、電源入力部設置面32は底板26に設けられている。
【0040】
ベースプレート60は、底板26に平行な第1板部61、および、第1板部61のX1側の端からZ2方向に屈曲した第2板部62を備える。
図2、
図3に示すように、第2板部62には、電源入力端子台4、第1配線用遮断器51、第1サージプロテクタ52、第2配線用遮断器55、および第2サージプロテクタ56が固定される。電源入力端子台4、第1配線用遮断器51、および第2配線用遮断器55は第2板部62のX1側に配置され、第1サージプロテクタ52および第2サージプロテクタ56は第2板部62のX2側に配置される。第1板部61には、第1ノイズフィルタ53、第2ノイズフィルタ54、第3ノイズフィルタ57、および分配コネクタ58が固定される。
【0041】
(フレームグランド端子台)
本形態では、電源入力部3からは、電源入力端子台4のプロテクティブアース線PE1、第1ノイズフィルタ53のプロテクティブアース線PE2、第2ノイズフィルタ54のプロテクティブアース線PE3、第3ノイズフィルタ57のプロテクティブアース線PE4、分配コネクタ58のプロテクティブアース線PE5、第1サージプロテクタ52のプロテクティブアース線PE6、および、第2サージプロテクタ56のプロテクティブアース線PE7がX1方向に引き出されている。
【0042】
筐体2は、電源入力部3の7本のプロテクティブアース線のうちの5本(プロテクティブアース線PE1~PE5)および給電ケーブル40のアース線GL1、GL2が接続されるフレームグランド端子台10を備える。
図2、
図3、
図5に示すように、フレームグランド端子台10は、底板26のX1側の外縁に配置される。従って、メインフレーム20からインターフェースパネル21Aを取り外したとき、前面フレーム27Aの開口部から容易にアクセスできる位置にフレームグランド端子台10が配置される。
【0043】
フレームグランド端子台10は、電源入力部3の前側(X1側)に配置されており、電源入力部設置面32において電源入力部3と前後方向(X方向)に隣り合う位置に配置される。従って、電源入力部3のX1側の端に配置される電源入力端子台4とフレームグランド端子台10は、前後方向(X方向)に隣り合う位置に配置される。
【0044】
フレームグランド端子台10は、メインフレーム20と同一の金属材料からなる。本形態では、フレームグランド端子台10およびメインフレーム20は、SPCC(冷間圧延鋼板)からなる。フレームグランド端子台10は、メインフレーム20に対して溶接により固定される。フレームグランド端子台10およびメインフレーム20は、めっき処理を施す前の状態で溶接されており、溶接後にめっき処理が施されている。従って、フレームグランド端子台10とメインフレーム20は、めっき処理が施されていない基材面同士が当接した状態で溶接されている。
【0045】
図6は、メインフレーム20におけるフレームグランド端子台10が固定された部分の斜視図である。
図7は、フレームグランド端子台10を斜め上方および斜め下方から見た斜視図である。
図3、
図6、
図7に示すように、フレームグランド端子台10は、底板26に当接する固定板11と、複数のねじ穴12が設けられた傾斜板13と、固定板11と傾斜板13とを接続する接続板14を備える。固定板11はY方向に延在する。固定板11は、めっき処理が施されていない状態で底板26に当接し、底板26に溶接されている。接続板14は、固定板11のX1側の端から略直角に屈曲してZ2方向に立ち上がる側板15と、側板15のX1側の端から略直角に屈曲してX1方向に延びる上板16を備えており、上板16のX1側の端から底板26の外縁に向かって傾斜板13が延びている。
【0046】
傾斜板13は、底板26のX1側の外縁に沿ってY方向に延びている。傾斜板13は、プロテクティブアース線PE1~PE5およびアース線GL1、GL2が固定される複数のねじ穴12が設けられたアース線固定面を構成する。傾斜板13は、底板26に対して45度の角度、もしくは、45に近い角度で傾斜する。より詳細には、傾斜板13は、底板26の外縁側から底板26の内側(X2側)へ向かうにしたがって底板26から離れる方向(Z2側)へ向かう方向に傾斜する。すなわち、傾斜板13は、インターフェースパネル21Aを取り外して斜め上方から見たとき、ねじ穴12が正面に見える角度になっており、プロテクティブアース線PE1~PE5およびアース線GL1、GL2をねじ止めしやすい方向に傾いている。
【0047】
フレームグランド端子台10には、7箇所のねじ穴12が設けられている。7本のプロテクティブアース線のうちの5本(プロテクティブアース線PE1~PE5)と、給電ケーブル40のアース線GL1、GL2は、導電性の金属からなるねじ(図示せず)を用いて、傾斜板13に1列に並ぶ7箇所のねじ穴12に1本ずつ固定される。また、第1サージプロテクタ52のプロテクティブアース線PE6、および、第2サージプロテクタ56のプロテクティブアース線PE7は、電源入力端子台4に接続されており、電源入力端子台4およびプロテクティブアース線PE1を介してフレームグランド端子台10に接続される。
【0048】
上記のように、電源入力端子台4はフレームグランド端子台10に隣り合う位置に配置されているため、電源入力端子台4のプロテクティブアース線PE1を引き回す経路は短い。また、第1サージプロテクタ52と第2サージプロテクタ56は、電源入力端子台4のZ2側においてベースプレート60の第2板部62に固定されているので、第1サージプロテクタ52、第2サージプロテクタ56のフレームグランド線FG6、FG7を引き回す経路は短い。
【0049】
図3に示すように、第1ノイズフィルタ53、第2ノイズフィルタ54、第3ノイズフィルタ57、および分配コネクタ58は、電源入力端子台4に対してフレームグランド端子台10とは反対側(X2側)に配置される。従って、フレームグランド線PE2~PE5は、電源入力端子台4の後方から電源入力端子台4の側方(Y2側)を通って前方に引き出せばよいので、プロテクティブアース線PE6、PE7を引き回す経路は単純であり、比較的短い。
【0050】
(雑音端子電圧試験)
図8は、本形態のコントローラと従来例のコントローラにおける雑音端子電圧試験のノイズ波形図である。
図8(a)は従来例のコントローラにおける雑音端子電圧試験のノイズ波形図であり、
図8(b)は本形態のコントローラにおける雑音端子電圧試験のノイズ波形図である。従来例のコントローラは、本形態と異なり、めっき済みの筐体部品にめっき済みのフレームグランド端子台をねじ固定した構造である。
【0051】
雑音端子電圧試験は、シールドルーム内において、コントローラ1と交流電源との間に疑似電源回路網(Line Impedance Stabilization Network)を介在させ、疑似電源回路網の測定端子に出力されるノイズをスペクトラムアナライザにより測定する方法により行う。
図8(a)、
図8(b)のノイズ波形図において、横軸は周波数であり、縦軸はノイズレベルである。
図8(a)、
図8(b)に示す限度値(QP)および限度値(AV)は、共通EMC規格(EN61000-6-4 ClassA)に準じた値である。
【0052】
図8(a)のノイズ波形図から、従来例のコントローラは周波数F1、F2において限度値に対するマージンが0.2dBしかないので、ノイズを落とし切れていない。これに対して、本形態のコントローラ1は、
図8(b)のノイズ波形図からわかるように、周波
数F1、F2において限度値に対するマージンが5dB以上となっており、許容レベルである。従って、本形態のフレームグランド端子台10の構成を採用することにより、従来例と比較して耐ノイズ性能が向上する。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のコントローラ1は、金属製の筐体2と、外部電源から交流電流が入力される電源入力部3と、電源入力部3から供給される交流電流を直流電流に変換する直流交流変換回路および直流交流変換回路から供給される直流電流に基づき外部に出力する駆動電流を生成する駆動電流生成部を有する。電源入力部3は、筐体2内に配置される電源入力端子台4、および、電源入力端子台4を介して交流電流が入力されるノイズフィルタ(第1ノイズフィルタ53、第2ノイズフィルタ54、第3ノイズフィルタ57)を備える。筐体2は、電源入力部3が設置されるメインフレーム20と、電源入力部3のプロテクティブアース線PE1~PE5が接続されるフレームグランド端子台10を備える。フレームグランド端子台10とメインフレーム20は同一金属からなり、且つ、めっき被膜が形成されていない基材面同士が当接した状態で溶接されている。
【0054】
本形態では、コントローラ1の筐体2を構成する金属部材のうちで容量が大きい部材であるメインフレーム20に対して直接フレームグランド端子台10を固定するので、メインフレーム20とフレームグランド端子台10との間に他部材が介在する場合と比較して接地抵抗が少ない。また、めっき被膜が形成されていない基材面同士を当接させて溶接するので、メインフレーム20とフレームグランド端子台10の間の接触抵抗が少ない。従って、フレームグランド端子台10からノイズを逃がしやすいので、耐ノイズ性能が高い。また、フレームグランド端子台10を溶接により固定するので、確実に接触させることができ、ねじ固定の場合のねじ締めトルクのばらつきによる接触抵抗の変動をなくすことができ、耐ノイズ性能のばらつきを抑制できる。これにより、ノイズフィルタを簡素化しても必要な耐ノイズ性能を得られるので、ノイズフィルタのコスト削減を図ることができる。さらに、フレームグランド端子台10からねじ固定用の穴を削減できるため、フレームグランド端子台10の小型化および部品コストの削減が可能になるとともに、フレームグランド端子台10の誤分解のリスクを避けることができる。
【0055】
本形態では、メインフレーム20の電源入力部設置面32にフレームグランド端子台10が配置される。このように、同一面に電源入力部3とフレームグランド端子台10を配置することにより、電源入力部3の近くにフレームグランド端子台10を配置できるため、電源部のプロテクティブアース線PE1~PE5をフレームグランド端子台10に引き回して接続する際の作業性が良好である。
【0056】
本形態では、メインフレーム20は、筐体2の底板26および底板26の外縁に繋がる枠状の筐体フレーム27を備えているため、筐体2を構成する金属部材のうちで最も容量が大きい。また、底板26に電源入力部設置面32が設けられており、フレームグランド端子台10は、底板26の外縁に配置される。このような構成では、筐体フレーム27に固定される外面パネル(例えば、インターフェースパネル21A)を外すことにより、フレームグランド端子台10に容易にアクセスできる。従って、フレームグランド端子台10にプロテクティブアース線PE1~PE5を接続する際の作業性が良好である。
【0057】
本形態では、フレームグランド端子台10は、底板26に当接する固定板11、および、底板26の外縁に沿って延びる傾斜板13を備える。傾斜板13は、フレームグランド線固定面を構成する。傾斜板13は、外縁から電源入力部3に近づくにしたがって底板26から離れる方向に傾斜する。従って、底板26に配置されるフレームグランド端子台10を斜め上方から見下ろしたとき、傾斜板13のねじ穴12が正面に見えるので、プロテクティブアース線PE1~PE5を接続する際の作業性が良好である。
【0058】
本形態では、電源入力端子台4は、電源入力部3のフレームグランド端子台10側(すなわち、X1側)の先端に配置されているため、電源入力端子台4とフレームグランド端子台10との距離が近い。従って、電源入力端子台4のフレームグランド線FG1をフレームグランド端子台10に接続する作業を容易に行うことができる。また、電源入力部3の先端側(X1側)に電源入力端子台4とフレームグランド端子台10がまとめて配置されているので、配線作業を効率的に行うことができる。
【0059】
本形態では、筐体2内に引き込まれる給電ケーブル40は、交流電源から交流電流を供給する給電線40A、40Bおよび交流電源の接地端子に接続されるアース線GL1、GL2を備え、給電線40A、40Bが電源入力端子台4に接続され、アース線GL1、GL2がフレームグランド端子台10に接続される。このように、フレームグランド端子台10に直接交流電源のアース線GL1、GL2を接続することにより、フレームグランドを有効にアース接地することができる。従って、電源入力部3のプロテクティブアース線PE1~PE5をフレームグランド端子台10に集結させることにより、フレームグランド端子台10を介して電源入力部3を有効にアース接地することができる。
【0060】
本形態では、電源入力部3は、電源入力端子台4とノイズフィルタ(第1ノイズフィルタ53、第3ノイズフィルタ57)とを接続する電流供給経路に配置される配線用遮断器(第1配線用遮断器51、第2配線用遮断器55)およびサージプロテクタ(第1サージプロテクタ52、第2サージプロテクタ56)を備える。フレームグランド端子台10には、電源入力端子台4のプロテクティブアース線PE1、ノイズフィルタ(第1ノイズフィルタ53、第2ノイズフィルタ54、第3ノイズフィルタ57)のプロテクティブアース線PE2、PE3、PE4が接続される。一方、第1サージプロテクタ52のプロテクティブアース線PE6、および、第2サージプロテクタ56のプロテクティブアース線PE7は電源入力端子台4に接続されており、電源入力端子台4およびプロテクティブアース線PE1を介してフレームグランド端子台10に接続される。
【0061】
このように、本形態では、電源入力部3のプロテクティブアース線の多くがフレームグランド端子台10に集結する。従って、交流電源のアース線GL1、GL2がフレームグランド端子台10に接続されることで、電源入力部3を構成する電子素子の多くがフレームグランド端子台10を介してアース接地されるので、耐ノイズ性能が高い。よって、ノイズフィルタを簡素化しても必要な耐ノイズ性能を得られるので、ノイズフィルタのコスト削減を図ることができる。
【0062】
本形態では、電源入力部3は、第3ノイズフィルタ57を通過した交流電流を分配する分配コネクタ58を備える。フレームグランド端子台10には、電源入力端子台4のプロテクティブアース線PE1、第3ノイズフィルタ57のプロテクティブアース線PE4、および分配コネクタ58のプロテクティブアース線PE5が接続される。従って、分配コネクタ58から供給する交流電流のノイズを少なくできるので、さらに耐ノイズ性能を高めることができる。
【0063】
本形態では、電源入力部3は、駆動電流を生成するための交流電流を供給する第1電源入力部5Aと、駆動電流とは異なる電圧の制御電流を生成するための交流電流を供給する第2電源入力部5Bを備える。第1電源入力部5Aは、第1配線用遮断器51および第1サージプロテクタ52と、第1ノイズフィルタ53および第2ノイズフィルタ54を備える。第2電源入力部5Bは、第2配線用遮断器55および第2サージプロテクタ56と、第3ノイズフィルタ57および分配コネクタ58を備える。フレームグランド端子台10には、電源入力端子台4のプロテクティブアース線PE1、第1電源入力部5Aに設けられた第1ノイズフィルタ53および第2ノイズフィルタ54のプロテクティブアース線P
E2、PE3が接続されるとともに、第2電源入力部5Bに設けられた第3ノイズフィルタ57のプロテクティブアース線PE4、および、分配コネクタ58のプロテクティブアース線PE5が接続される。また、第1サージプロテクタ52のプロテクティブアース線PE6、および、第2サージプロテクタ56のプロテクティブアース線PE7は上記のように電源入力端子台4に接続されており、電源入力端子台4およびプロテクティブアース線PE1を介してフレームグランド端子台10に接続される。従って、第1電源入力部5Aを構成する電子素子、および、第2電源入力部5Bを構成する電子素子がそれぞれフレームグランド端子台10を介して接地されているので、制御電流および駆動電流のノイズを少なくできる。
【0064】
なお、第1電源入力部5Aと第2電源入力部5Bを構成する電子素子の構成は上記の形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記形態では、第1電源入力部5Aが2つのノイズフィルタを備え、第2電源入力部5Bが1つのノイズフィルタを備える構成であったが、ノイズフィルタの台数は上記の形態に限定されるものではない。また、第1サージプロテクタ52および第2サージプロテクタ56を省略した構成とすることができる。
【0065】
(変形例)
図9は、変形例のフレーム端子台10Aを用いた場合のプロテクティブアース線PE1-PE7の接続態様を示す斜視図である。
図9に示すフレーム端子台10Aは、ねじ穴12の数が9である。そのため、プロテクティブアース線PE1-PE5に加えて、第1サージプロテクタ52のプロテクティブアース線PE6、および、第2サージプロテクタ56のプロテクティブアース線PE7を直接フレーム端子台10Aに接続する。従って、電源入力部3を構成する電子素子のプロテクティブアース線が、全て、直接フレーム端子台10Aに接続されるため、さらに耐ノイズ性能を高めることができる。また、上記形態と同様に、アース線GL1、GL2を直接フレーム端子台10Aに接続するので、電源入力部3を構成する各電子素子をそれぞれ有効にアース接地することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…コントローラ、2…筐体、2a…前面、2b…背面、2c、2d…側面、2e…底面、2f…上面、3…電源入力部、4…電源入力端子台、5A…第1電源入力部、5B…第2電源入力部、6…ファン、10、10A…フレームグランド端子台、11…固定板、12…ねじ穴、13…傾斜板、14…接続板、15…側板、16…上板、20…メインフレーム、21A、21B、21C…インターフェースパネル、22…背面板、23、24…側板、25…上板、26…底板、27…筐体フレーム、27A…前面フレーム、27B…側面フレーム、27C…上面フレーム、28…スリーブ、29…外部出力コネクタ、30…外部接続用コネクタ、31…開口部、32…電源入力部設置面、40…給電ケーブル、40A、40B…給電線、51…第1配線用遮断器、52…第1サージプロテクタ、53…第1ノイズフィルタ、54…第2ノイズフィルタ、55…第2配線用遮断器、56…第2サージプロテクタ、57…第3ノイズフィルタ、58…分配コネクタ、60…ベースプレート、61…第1板部、62…第2板部、GL1、GL2…アース線、PE1、PE2、PE3、PE4、PE5、PE6、PE7…プロテクティブアース線