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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146240
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20231004BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20231004BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231004BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231004BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231004BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20231004BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20231004BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20231004BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231004BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/04
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26
G09F9/00 338
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053327
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小亀 平章
(72)【発明者】
【氏名】三村 寿文
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD89
3K107EE21
3K107EE46
3K107GG11
3K107GG13
3K107GG28
5C094AA31
5C094BA27
5C094CA19
5C094GB10
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA14
5G435BB05
5G435CC09
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 表示装置の信頼性を向上させることが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置の製造方法においては、第1下電極と、第1上電極と、前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置する第1有機層とを含む第1表示素子を基板に形成し、前記第1表示素子を覆う第1封止層を形成し、前記第1封止層の上に第1レジストを形成し、水を含む洗浄液を用いた前記基板の洗浄を含む第1パターニング工程により、前記第1封止層および前記第1表示素子のうち前記第1レジストから露出した部分を除去する。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1下電極と、第1上電極と、前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置する第1有機層とを含む第1表示素子を基板に形成し、
前記第1表示素子を覆う第1封止層を形成し、
前記第1封止層の上に第1レジストを形成し、
水を含む洗浄液を用いた前記基板の洗浄を含む第1パターニング工程により、前記第1封止層および前記第1表示素子のうち前記第1レジストから露出した部分を除去する、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄液は、純水である、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1パターニング工程は、
前記第1封止層のうち前記第1レジストから露出した部分をドライエッチングにより除去し、
前記ドライエッチングの後に、前記洗浄液を用いて前記基板を洗浄する、
ことを含む、請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1パターニング工程は、前記第1上電極のうち、前記ドライエッチングの後の前記第1封止層から露出した部分をエッチングにより除去することをさらに含み、
前記洗浄液を用いた洗浄は、前記第1封止層に対する前記ドライエッチングの後、前記第1上電極に対する前記エッチングの前に実施される、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1表示素子は、前記第1上電極と前記第1封止層の間に配置され前記第1表示素子の光学特性を調整する第1キャップ層をさらに含み、
前記第1パターニング工程は、前記第1キャップ層のうち、前記ドライエッチングの後の前記第1封止層から露出した部分をエッチングにより除去することをさらに含み、
前記洗浄液を用いた洗浄は、前記第1封止層に対する前記ドライエッチングの後、前記第1キャップ層に対する前記エッチングの前に実施される、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1表示素子を形成する前に、導電性を有する下部と、前記下部の側面から突出した上部とを含む隔壁を前記基板に形成する、
請求項3乃至5のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記下部の前記側面の一部が前記洗浄液によって洗浄される、
請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1封止層に対する前記ドライエッチングには、フッ素を含むエッチングガスが用いられ、
前記下部は、アルミニウムを含む、
請求項6または7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1パターニング工程の後、第2下電極と、第2上電極と、前記第2下電極と前記第2上電極の間に位置する第2有機層とを含む第2表示素子を前記基板に形成し、
前記第2表示素子を覆う第2封止層を形成し、
前記第2封止層の上に第2レジストを形成し、
前記洗浄液を用いた前記基板の洗浄を含む第2パターニング工程により、前記第2封止層および前記第2表示素子のうち前記第2レジストから露出した部分を除去する、
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2パターニング工程の後、第3下電極と、第3上電極と、前記第3下電極と前記第3上電極の間に位置する第3有機層とを含む第3表示素子を前記基板に形成し、
前記第3表示素子を覆う第3封止層を形成し、
前記第3封止層の上に第3レジストを形成し、
前記洗浄液を用いた前記基板の洗浄を含む第3パターニング工程により、前記第3封止層および前記第3表示素子のうち前記第3レジストから露出した部分を除去する、
請求項9に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
上記のような表示装置を製造するにあたり、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示装置の信頼性を向上させることが可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置の製造方法においては、第1下電極と、第1上電極と、前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置する第1有機層とを含む第1表示素子を基板に形成し、前記第1表示素子を覆う第1封止層を形成し、前記第1封止層の上に第1レジストを形成し、水を含む洗浄液を用いた前記基板の洗浄を含む第1パターニング工程により、前記第1封止層および前記第1表示素子のうち前記第1レジストから露出した部分を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
図4図4は、第1副画素と第2副画素の間に配置された隔壁とその近傍を拡大した概略的な断面図である。
図5図5は、表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図5におけるパターニング工程の詳細を示すフローチャートである。
図7図7は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図13図13は、図12に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図14図14は、図13に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図15図15は、図14に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図16図16は、図15に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図17図17は、図16に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図18図18は、図17に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図19図19は、図18に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図20図20は、図19に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図21図21は、図20に続く製造工程を示す概略的な断面図である。
図22図22は、第1変形例に係るパターニング工程を示すフローチャートである。
図23図23は、第2変形例に係るパターニング工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、青色の第1副画素SP1、緑色の第2副画素SP2および赤色の第3副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0017】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。図2の例においては、第2副画素SP2と第1副画素SP1が第1方向Xに並んでいる。第3副画素SP3と第1副画素SP1も第1方向Xに並んでいる。さらに、第3副画素SP3と第2副画素SP2が第2方向Yに並んでいる。
【0018】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、複数の第1副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列と、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0019】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0020】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、第1副画素SP1において第1画素開口AP1を有し、第2副画素SP2において第2画素開口AP2を有し、第3副画素SP3において第3画素開口AP3を有している。図2の例においては、第2画素開口AP2が第3画素開口AP3よりも大きく、第1画素開口AP1が第2画素開口AP2よりも大きい。
【0021】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間、および、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0022】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
第1副画素SP1は、第1画素開口AP1とそれぞれ重なる第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1を備えている。第2副画素SP2は、第2画素開口AP2とそれぞれ重なる第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2を備えている。第3副画素SP3は、第3画素開口AP3とそれぞれ重なる第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3を備えている。
【0024】
第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1は、第1副画素SP1の第1表示素子DE1を構成する。第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2は、第2副画素SP2の第2表示素子DE2を構成する。第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3は、第3副画素SP3の第3表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層を含んでもよい。
【0025】
例えば、第1表示素子DE1は青色の波長域の光を放ち、第2表示素子DE2は緑色の波長域の光を放ち、第3表示素子DE3は赤色の波長域の光を放つ。
【0026】
第1下電極LE1は、第1コンタクトホールCH1を通じて第1副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。第2下電極LE2は、第2コンタクトホールCH2を通じて第2副画素SP2の画素回路1に接続されている。第3下電極LE3は、第3コンタクトホールCH3を通じて第3副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0027】
図2の例において、第1コンタクトホールCH1は、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH2,CH3は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0028】
図3は、図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0029】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3はいずれも有機絶縁層12に設けられている。
【0030】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0031】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。
【0032】
第1有機層OR1は、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1を覆っている。第1上電極UE1は、第1有機層OR1を覆い、第1下電極LE1と対向している。第2有機層OR2は、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2を覆っている。第2上電極UE2は、第2有機層OR2を覆い、第2下電極LE2と対向している。第3有機層OR3は、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3を覆っている。第3上電極UE3は、第3有機層OR3を覆い、第3下電極LE3と対向している。
【0033】
図3の例においては、第1上電極UE1の上に第1キャップ層CP1が配置され、第2上電極UE2の上に第2キャップ層CP2が配置され、第3上電極UE3の上に第3キャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0034】
第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1の他の部分と離間している。同様に、第2有機層OR2、第2上電極UE2および第2キャップ層CP2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は第2有機層OR2、第2上電極UE2および第2キャップ層CP2の他の部分と離間している。さらに、第3有機層OR3、第3上電極UE3および第3キャップ層CP3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は第3有機層OR3、第3上電極UE3および第3キャップ層CP3の他の部分と離間している。
【0035】
第1副画素SP1には第1封止層SE1が配置され、第2副画素SP2には第2封止層SE2が配置され、第3副画素SP3には第3封止層SE3が配置されている。第1封止層SE1は、第1キャップ層CP1や第1副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第2封止層SE2は、第2キャップ層CP2や第2副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第3封止層SE3は、第3キャップ層CP3や第3副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0036】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。さらに、封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0037】
有機絶縁層12および樹脂層13,15は、有機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、例えばシリコン窒化物(SiNx)などの無機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層および酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
【0038】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(IndiumTin Oxide)、IZO(IndiumZinc Oxide)またはIGZO(IndiumGallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0039】
有機層OR1,OR2,OR3は、一対の機能層と、これら機能層の間に配置された発光層とを含む。一例として、有機層OR1,OR2,OR3は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層を順に積層した構造を有している。
【0040】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は省略されてもよい。
【0041】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0042】
第1下電極LE1と第1上電極UE1の間に電位差が形成されると、第1有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。第2下電極LE2と第2上電極UE2の間に電位差が形成されると、第2有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。第3下電極LE3と第3上電極UE3の間に電位差が形成されると、第3有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0043】
図4は、副画素SP1,SP2の間に配置された隔壁6とその近傍を拡大した概略的な断面図である。この図においては、基板10、回路層11、樹脂層13、封止層14および樹脂層15を省略している。
【0044】
隔壁6の下部61は、第1副画素SP1側(第1表示素子DE1側)の第1側面F1と、第2副画素SP2側(第2表示素子DE2側)の第2側面F2とを有している。隔壁6の上部62は、第1側面F1から突出した第1端部E1と、第2側面F2から突出した第2端部E2とを有している。第1上電極UE1は第1側面F1に接触し、第2上電極UE2は第2側面F2に接触している。
【0045】
図4の例において、下部61は、リブ5の上に配置された第1金属層611と、第1金属層611の上に配置された第2金属層612とを有している。第2金属層612は、第1金属層611よりも厚く形成されている。
【0046】
図4の例において、上部62は、第2金属層612の上に配置された第1薄膜621と、第1薄膜621の上に配置された第2薄膜622とを有している。
【0047】
第1金属層611は、例えばモリブデン(Mo)によって形成されている。第2金属層612は、例えばアルミニウム(Al)によって形成されている。第2金属層612は、アルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウムとアルミニウム合金の積層構造を有してもよい。
【0048】
第1薄膜621は、例えばチタン(Ti)によって形成されている。第2薄膜622は、例えばITO、IZOまたはIGZOなどの透明な導電性酸化物によって形成されている。
【0049】
なお、下部61および上部62の少なくとも一方は、単層構造を有してもよい。単層構造の下部61は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成することができる。また、単層構造の上部62は、例えばチタンまたはシリコン酸化物によって形成することができる。
【0050】
図4の例において、第1キャップ層CP1は、第1上電極UE1を覆う第1層L1と、第1層L1を覆う第2層L2とを有している。同様に、第2キャップ層CP2および第3キャップ層CP3も第1層L1と第2層L2を有している。例えば、第1層L1は有機材料によって形成され、第2層L2はフッ化リチウム(LiF)などの無機材料によって形成されている。
【0051】
図3および図4の例においては、上部62の上の第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1と、上部62の上の第2有機層OR2、第2上電極UE2および第2キャップ層CP2とが離間している。
【0052】
第1封止層SE1は、第1表示素子DE1、第1側面F1および第1端部E1を連続的に覆っている。第2封止層SE2は、第2表示素子DE2、第2側面F2および第2端部E2を連続的に覆っている。第1封止層SE1の端部および第2封止層SE2の端部は、上部62の上に位置し、互いに離間している。
【0053】
副画素SP1,SP3の間の隔壁6とその近傍の構成や、副画素SP2,SP3の間の隔壁6とその近傍の構成は、図4に示した副画素SP1,SP2の間の隔壁6とその近傍の構成と同様である。
【0054】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。
図5は、表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。図6は、図5におけるパターニング工程(工程P7,P10,P13)の詳細を示すフローチャートである。図7乃至図21は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。図7乃至図21においては、基板10および回路層11を省略している。
【0055】
表示装置DSPの製造においては、先ず基板10の上に回路層11および有機絶縁層12が形成される(図5の工程P1)。
【0056】
工程P1の後、図7に示すように、有機絶縁層12の上に下電極LE1,LE2,LE3が形成される(図5の工程P2)。
【0057】
工程P2の後、図8に示すように、下電極LE1,LE2,LE3の端部を覆うリブ5が形成される(図5の工程P3)。なお、画素開口AP1,AP2,AP3は、工程P3において形成されてもよいし、隔壁6が形成された後に形成されてもよい。
【0058】
工程P3の後、隔壁6が形成される(図5の工程P4)。具体的には、先ず図9に示すように、リブ5の上に下部61の基となる金属層61aが形成され、金属層61aの上に上部62の基となる薄膜62aが形成される。
【0059】
下部61が図4に示したように第1金属層611および第2金属層612を含む場合、金属層61aはこれら金属層611,612の材料で形成された2つの層を含む。上部62が図4に示したように第1薄膜621および第2薄膜622を含む場合、薄膜62aはこれら薄膜621,622の材料で形成された2つの層を含む。
【0060】
次に、図10に示すように、隔壁6の形状に応じたレジストRが薄膜62aの上に形成される。さらに、レジストRをマスクとしたエッチングにより、薄膜62aおよび金属層61aのうちレジストRから露出した部分が除去される。これにより、図11に示すように上部62が形成される。図11の例においては、金属層61aのうちレジストRから露出した部分の一部が残されている。一例として、薄膜62aのうち第2薄膜622の基となる層に対するエッチングはウェットエッチングであり、薄膜62aのうち第1薄膜621の基となる層および金属層61aに対するエッチングは異方性のドライエッチングである。
【0061】
続いて、金属層61aに対して等方性のウェットエッチングが施される。一例として、当該ウェットエッチングには、リン酸、硝酸および酢酸を含むエッチング液が用いられる。当該ウェットエッチングにより金属層61aのうちレジストRから露出した部分が除去され、図12に示すように下部61が形成される。当該ウェットエッチングにおいては、下部61の側面も侵食される。そのため、下部61の幅が上部62の幅よりも小さくなり、オーバーハング状の隔壁6が得られる。ウェットエッチングの後、レジストRが除去される。
【0062】
工程P4の後、第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成される(図5の工程P5)。具体的には、図13に示すように、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1に接触する第1有機層OR1、第1有機層OR1を覆う第1上電極UE1、第1上電極UE1を覆う第1キャップ層CP1が蒸着によって順に形成される。さらに、第1キャップ層CP1や隔壁6を連続的に覆う第1封止層SE1がCVD(ChemicalVapor Deposition)によって形成される。
【0063】
これら第1有機層OR1、第1上電極UE1、第1キャップ層CP1および第1封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、第1副画素SP1だけでなく第2副画素SP2および第3副画素SP3にも配置されている。第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0064】
工程P5の後、図14に示すように、第1封止層SE1の上に第1レジストR1が形成される(図5の工程P6)。第1レジストR1は、第1副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。
【0065】
続いて、第1表示素子DE1および第1封止層SE1に対する第1パターニング工程が実施される(図5の工程P7)。第1パターニング工程においては、先ず図15に示すように、第1封止層SE1のうち第1レジストR1から露出した部分がドライエッチングにより除去される(図6の工程P21)。
【0066】
このドライエッチングには、フッ素を含むエッチングガスが用いられる。このようなエッチングガスの例としては、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)、三フッ化メタン(CHF)および三フッ化窒素(NF)が挙げられる。第1キャップ層CP1の第2層L2などは、このドライエッチングのエッチングストッパとして機能する。
【0067】
このドライエッチングを経ると、第1レジストR1の表層が硬化し得る。そこで、アッシングによって第1レジストR1の表層が削られる(図6の工程P22)。これにより、第1レジストR1を後の工程で除去しやすくなる。
【0068】
続いて、図16に示すように、第1表示素子DE1が形成された基板が洗浄される(図6の工程P23)。この工程においては、基板が洗浄用のチャンバに配置され、シャワー装置から噴射される洗浄液CLに一定時間にわたり晒される。この一定時間は、例えば10分以下であり、一例では5分である。
【0069】
洗浄液CLは、例えば純水である。ただしこの例に限られず、洗浄液CLとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、リン酸水溶液、フッ酸水溶液、シュウ酸水溶液、硝酸水溶液および酢酸水溶液など、水を含む他の液体を用いてもよい。
【0070】
上述の第1封止層SE1に対するドライエッチングの直後には、第2副画素SP2や第3副画素SP3に隣接する下部61の側面を含む各所に、フッ素などのエッチングガスの成分が付着し得る。洗浄液CLを用いた洗浄により、下部61の側面などにおいて、このようなエッチングガスの成分が除去される。
【0071】
洗浄の後、例えば自然乾燥によって基板が乾燥される。乾燥後、本実施形態においては第1レジストR1が剥離液によって除去される(図6の工程P24)。
【0072】
第1レジストR1を除去した後、第1キャップ層CP1の第2層L2のうち第1封止層SE1から露出した部分がウェットエッチングにより除去される(図6の工程P25)。さらに、第1キャップ層CP1の第1層L1のうち第1封止層SE1から露出した部分がアッシングにより除去される(図6の工程P26)。
【0073】
次に、第1上電極UE1のうち第1封止層SE1から露出した部分がウェットエッチングにより除去される(図6の工程P27)。さらに、第1有機層OR1のうち第1封止層SE1から露出した部分がアッシングにより除去される(図6の工程P28)。最後に、剥離液を用いた洗浄やアッシングにより、各層の残渣が除去される(図6の工程P29)。
【0074】
以上の第1パターニング工程を経ると、図17に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2および第3副画素SP3に表示素子や封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0075】
第1パターニング工程の後、第2表示素子DE2および第2封止層SE2が形成される(図5の工程P8)。具体的には、図18に示すように、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2に接触する第2有機層OR2、第2有機層OR2を覆う第2上電極UE2、第2上電極UE2を覆う第2キャップ層CP2、第2キャップ層CP2を覆う第2封止層SE2が順に形成される。これら第2有機層OR2、第2上電極UE2、第2キャップ層CP2および第2封止層SE2は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、第2副画素SP2だけでなく第1副画素SP1および第3副画素SP3にも配置されている。
【0076】
工程P8の後、図18に示すように、第2封止層SE2の上に第2レジストR2が形成される(図5の工程P9)。第2レジストR2は、第2副画素SP2とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。
【0077】
続いて、第2表示素子DE2および第2封止層SE2に対する第2パターニング工程が実施される(図5の工程P10)。第2パターニング工程の流れは、第1パターニング工程と同様である。
【0078】
すなわち、第2封止層SE2のうち第2レジストR2から露出した部分がドライエッチングにより除去され(図6の工程P21)、アッシングによって第2レジストR2の表層が削られる(図6の工程P22)。続いて、洗浄液CLによって基板が洗浄され(図6の工程P23)、基板が乾燥した後に第2レジストR2が除去される(図6の工程P24)。
【0079】
その後、第2キャップ層CP2(第1層L1および第2層L2)、第2上電極UE2および第2有機層OR2のうち第2封止層SE2から露出した部分が順次除去され(図6の工程P25~P28)、さらに各層の残渣が除去される(図6の工程P29)。
【0080】
以上の第2パターニング工程を経ると、図19に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2に第2表示素子DE2および第2封止層SE2が形成され、第3副画素SP3に表示素子や封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0081】
第2パターニング工程の後、第3表示素子DE3および第3封止層SE3が形成される(図5の工程P11)。具体的には、図20に示すように、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3に接触する第3有機層OR3、第3有機層OR3を覆う第3上電極UE3、第3上電極UE3を覆う第3キャップ層CP3、第3キャップ層CP3を覆う第3封止層SE3が順に形成される。これら第3有機層OR3、第3上電極UE3、第3キャップ層CP3および第3封止層SE3は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、第3副画素SP3だけでなく第1副画素SP1および第2副画素SP2にも配置されている。
【0082】
工程P11の後、図20に示すように、第3封止層SE3の上に第3レジストR3が形成される(図5の工程P12)。第3レジストR3は、第3副画素SP3とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。
【0083】
続いて、第3表示素子DE3および第3封止層SE3に対する第3パターニング工程が実施される(図5の工程P13)。第3パターニング工程の流れは、第1パターニング工程および第2パターニング工程と同様である。
【0084】
すなわち、第3封止層SE3のうち第3レジストR3から露出した部分がドライエッチングにより除去され(図6の工程P21)、アッシングによって第3レジストR3の表層が削られる(図6の工程P22)。続いて、洗浄液CLによって基板が洗浄され(図6の工程P23)、基板が乾燥した後に第3レジストR3が除去される(図6の工程P24)。
【0085】
その後、第3キャップ層CP3(第1層L1および第2層L2)、第3上電極UE3および第3有機層OR3のうち第3封止層SE3から露出した部分が順次除去され(図6の工程P25~P28)、さらに各層の残渣が除去される(図6の工程P29)。
【0086】
以上の第3パターニング工程を経ると、図21に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2に第2表示素子DE2および第2封止層SE2が形成され、第3副画素SP3に第3表示素子DE3および第3封止層SE3が形成された基板を得ることができる。
【0087】
このように表示素子DE1,DE2,DE3および封止層SE1,SE2,SE3が形成された後、図3に示した樹脂層13、封止層14および樹脂層15が順に形成され、表示装置DSPが完成する(図5の工程P14)。
【0088】
以上の本実施形態に係る製造方法において、仮に、工程P23にて基板を洗浄しない場合、封止層SE1,SE2,SE3に対するドライエッチングで使用されるエッチングガスに起因した不所望な層が隔壁6の下部61の側面に形成される可能性がある。例えば下部61がアルミニウムを含み、エッチングガスがフッ素を含む場合、この層はフッ化アルミニウム(AlF)により形成され得る。
【0089】
例えば、第1パターニング工程にてこのような不所望な層が形成されると、その後に形成される上電極UE2,UE3と下部61の側面との間にこの層が介在し、上電極UE2,UE3と下部61の導通が妨げられる可能性がある。第2パターニング工程にてこの層が形成された場合にも同様に、その後に形成される第3上電極UE3と下部61の側面との導通が妨げられ得る。
【0090】
これに対し、本実施形態においては、洗浄液CLによって下部61の側面が洗浄される。これにより、下部61の側面などに付着したエッチングガスの成分が除去され、上述の不所望な層の形成が抑制される。結果として、上電極UE2,UE3と下部61の良好な導通が確保され、表示装置DSPの信頼性を高めることができる。
【0091】
本実施形態においては、封止層SE1,SE2,SE3に対するドライエッチングの後、上電極UE1,UE2,UE3に対するエッチングの前、より具体的にはキャップ層CP1,CP2,CP3のエッチングの前に洗浄液CLを用いた洗浄が実施される。このように、封止層SE1,SE2,SE3に対するドライエッチングの直後に洗浄液CLを用いた洗浄を行うことにより、エッチングガスの成分を良好に除去することができる。
【0092】
表示素子DE1,DE2,DE3は水分への耐性が低いため、表示素子DE1,DE2,DE3を形成した後に水を含む洗浄液で基板を洗浄することは一般的ではなく、仮に洗浄した場合であっても基板を加熱するなどして十分に乾燥する必要がある。この点に関し、本実施形態においてはオーバーハング状の隔壁6によって表示素子DE1,DE2,DE3が分断され、さらに表示素子DE1,DE2,DE3が端部まで封止層SE1,SE2,SE3で覆われている。これにより、洗浄液CLを用いて基板が洗浄された場合でも、表示素子DE1,DE2,DE3への水分の浸入が抑制される。したがって、基板の乾燥に自然乾燥を適用するなど、製造工程の簡略化が可能である。
【0093】
なお、本実施形態にて開示した表示装置DSPの製造方法は、種々の態様に変形し得る。以下に、いくつかの変形例を開示する。
【0094】
図22は、第1変形例に係るパターニング工程(図5の工程P7,P10,P13)を示すフローチャートである。第1変形例を第1パターニング工程に適用する場合、先ず図5の工程P21と同様に第1封止層SE1のうち第1レジストR1から露出した部分がドライエッチングにより除去される(図22の工程P31)。このドライエッチングの直後、図5の工程P23と同様に洗浄液CLによって基板が洗浄される(図22の工程P32)。
【0095】
続いて、第1レジストR1を除去することなく、図5の工程P25~P28と同様に、第1キャップ層CP1、第1上電極UE1および第1有機層OR1のうち第1封止層SE1から露出した部分(第1レジストR1から露出した部分)が順次除去される(図22の工程P33~P36)。その後、剥離液によって第1レジストR1が除去され(図22の工程P37)、さらに各層の残渣が除去される(図22の工程P38)。第2パターニング工程および第3パターニング工程についても、第1パターニング工程と同様の流れを適用できる。
【0096】
図23は、第2変形例に係るパターニング工程(図5の工程P7,P10,P13)を示すフローチャートである。第2変形例を第1パターニング工程に適用する場合、先ず図5の工程P21と同様に第1封止層SE1のうち第1レジストR1から露出した部分がドライエッチングにより除去される(図23の工程P41)。このドライエッチングの直後、図5の工程P23と同様に洗浄液CLによって基板が洗浄される(図23の工程P42)。
【0097】
続いて、第1キャップ層CP1、第1上電極UE1および第1有機層OR1のうち第1封止層SE1から露出した部分が剥離液により一括して除去される(図23の工程P43)。第1レジストR1は、工程P43で一緒に除去されてもよいし、工程P43の前または後に実施される別の工程で除去されてもよい。第2パターニング工程および第3パターニング工程についても、第1パターニング工程と同様の流れを適用できる。
【0098】
第1変形例および第2変形例に係るパターニング工程を適用した場合であっても、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0100】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0101】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0102】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP…副画素、LE1,LE2,LE3…第1乃至第3下電極、OR1,OR2,OR3…第1乃至第3有機層、UE1,UE2,UE3…第1乃至第3上電極、SE1,SE2,SE3…第1乃至第3封止層、DE1,DE2,DE3…第1乃至第3表示素子、5…リブ、6…隔壁、61…隔壁の下部、62…隔壁の上部、R1,R2,R3…第1乃至第3レジスト、CL…洗浄液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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