(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014628
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】飛沫拡散防止システム、および飛沫拡散防止装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/22 20210101AFI20230124BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20230124BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20230124BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20230124BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
F24F8/22
A61L9/20
A61L9/16 Z
F24F8/80 120
F24F8/80 216
F24F8/80 238
F24F8/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118685
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】591172032
【氏名又は名称】上杉 宴弘
(71)【出願人】
【識別番号】503181510
【氏名又は名称】有限会社知的財産センター
(72)【発明者】
【氏名】上杉 宴弘
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180DD08
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH17
4C180KK05
4C180LL14
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】 会話で生じる複数方向からの飛沫のうち、テーブル上に落下しようとする飛沫は吸気口31から吸引して、殺菌手段5を介してある程度殺菌、或いは不活化させた状態で天井側に上昇排気流として排出し、吸引漏れした浮遊飛沫はこの上昇排気流に吸収同伴させて処理することで、上昇排気流自体をエアカーテンとして機能させ、対面する同席者側への飛散を防止して、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによる感染リスクを低減または防止する。
【解決手段】 送風ファン4を備える吸排気装置1自体を小型化し、通気路を狭くしたケーシング3内に殺菌手段5を配設し、テーブル上の周辺空間領域に、吸排気装置1を中心とした、全周方向から吸気口31に向けて流入する周辺吸引流と排気口32から排出する上昇排気流とを生成し、流入から排出へと一方向に流動化する気体の流動環境を構築する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に殺菌手段と送風ファンを備え、ケーシングの下部側に形成された吸気口から吸引した気体を上部側の排気口から排出する吸排気装置であって、
該吸排気装置は、会食など複数人が同席可能なテーブル上に立設載置可能な大きさとすべく、前記ケーシングを筒状に形成せしめ、
前記吸気口は、前記ケーシングの外周面域に多方向から気体を吸引可能に形成されると共に、
前記吸排気装置をテーブル上に立設載置した状態で、その周辺空間域となるテーブル上の気体を、前記ケーシングの多方向から前記吸気口に向けて流入する周辺吸気流と、前記排気口から流出する上昇排気流とを生成せしめることで流動化し、
会食時等における会話中に生じる複数方向からの飛沫を、前記吸気口から吸引した吸引飛沫は前記殺菌手段により殺菌及び/又は不活化させて排出する一方、吸引漏れした浮遊飛沫は前記上昇排気流に同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項2】
請求項1において、前記上昇排気流は、浮遊飛沫を周囲の同席者への拡散を規制するエアカーテンとして機能することを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ケーシングの外周廻りには、2乃至4方向に延出する飛沫受け板が配設されていることを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記排気口に、その排出口形を狭める形態で流出口が形成された排出流形成キャップを設けることで、前記上昇排気流の排出流形を生成せしめることを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記殺菌手段は、人の皮膚や目に悪影響を及ぼさない紫外線波長の紫外線殺菌ランプであり、前記気体流路を通過する吸引飛沫を、当該紫外線殺菌ランプによって、接触飛沫は、その点灯による発熱温度を利用した熱殺菌により、非接触飛沫は、照射による紫外線殺菌により行うことを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項6】
請求項5において、前記紫外線殺菌ランプは、前記排気口から排出した気体に対して照射殺菌することを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記殺菌手段は、電熱ヒーターであり、前記気体流路を通過する吸引飛沫を、当該電熱ヒーターによって、接触飛沫は、その所定温度に設定された発熱温度を介した熱殺菌により、非接触飛沫は、前記ケーシング内の環境温度殺菌により行うことを特徴とする飛沫拡散防止システム。
【請求項8】
ケーシングの内部に送風ファンを備え、ケーシングの下部側に形成された吸気口から吸引した気体を上部側の排気口から排出する吸排気装置であって、
該吸排気装置は、会食など複数人が同席可能なテーブル上に立設載置可能な大きさとすべく、前記ケーシングを筒状に形成せしめ、
前記吸気口を、前記ケーシングの外周面域に多方向から気体を吸引可能に形成すると共に、
前記ケーシングの外周廻りに2乃至4方向に延出する飛沫受け板を配設し、
前記吸排気装置をテーブル上に立設載置した状態で、会話中に生じる複数方向からの飛沫を、前記飛沫受け板で受け止めて、落下飛沫は前記吸気口から吸引して前記排気口から排出する一方、吸引漏れした浮遊飛沫は前記排気口から排出される上昇排気流に同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流可能に構成し、
前記上昇排気流を、浮遊飛沫を吸引するエアカーテンとして機能せしめたことを特徴とする飛沫拡散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店や会議室など複数人がテーブルを介して会食や打合せ等をする際、会話により生じる飛沫を、テーブル上に滞留させることなく周囲の同席者などへ飛散や拡散を防いで、飛沫による感染リスクを低減または防止するための飛沫拡散防止システム、および飛沫拡散防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルスによる感染症が流行しており、その対策として、マスクの着用に加え、室内換気や殺菌機能を有したサーキュレータ、紫外線殺菌装置、空気清浄機など、種々の感染予防装置が提案されている。殊に、複数人が集う飲食店や家庭内などにおいて、その会食時等の会話中に生じる飛沫によって感染することが大きな要因となることが問題視されている。
ところで、殺菌機能を有した装置として、例えば特許文献1に開示された如く、ケーシング(4)の前面下端部に吸気口(5)、上端部に排気口(6)が設けられ、その内部にモータ(3)に連結された送風用ファン(2)と、紫外線殺菌灯(10)が配設されたサーキュレータ(1)なるものが知られている。(
図1、3参照)。
【0003】
しかしながら、このものは、室内(Rの)床面の壁際に配置して稼働させることにより、床面に滞留している空気を吸引し、紫外線殺菌灯(10)により殺菌された気体を上方の天井面に届く風量をもって排出させ、床面を経て再び吸気口(5)から吸引することで、室内全体の空気を循環させるようにし、ケーシング(4)自体も大きな箱型に形成して、その内部空間の気体流路を広く設定することでより多くの空気を吸引し、ケーシング(4)内の吸引気体に対して、紫外線殺菌灯(10)による照射殺菌を行うよう構成されているため、紫外線殺菌灯(10)と内周壁面との間の流路幅も広く、通過する吸引気体が紫外線殺菌灯(10)に接触することがほとんど無く、吸引気体に対する接触効率も低いため、点灯による発熱温度を有効利用して接触による熱殺菌効果を期待することができないものであった。
【0004】
また、このように室内全体の空気循環を目的とした装置を、飲食を目的としたテーブル上に載せて用いても、単に邪魔になるだけであるため、装置全体を小型化して用いることも考えられるが、このものは吸気口(5)が一側面にのみしか設けられておらず、例えば4人掛け等、対面会食を前提とするテーブル上の中央に配置した際に、マスク着用が難しい飲食時の会話で生じる複数方向からの飛沫を、吸気口(5)の無い側からの吸引が行えず拡散を防止することができないため、同席者を感染させてしまう危惧があり実用的でない。
一方、飲食店においては、例えば対面会食を前提とするテーブル上の中央位置に、同席者を仕切る透明アクリル板(パーティション)を設置する手法が推奨されるが、同席者間を塞ぐ形となるため閉塞感や圧迫感を受け邪魔であるばかりか、会話時における飛沫の最大飛距離は1mとされ、声を出している1分間で少なくとも1000個の微細な飛沫が生じ、発生後8分間以上は空中に漂い続けるという可視化シュミレーションよる結果も報告されており、飛沫は依然としてテーブル上に浮遊飛沫となって滞留し続け、アクリル板を飛び越えて相手方に飛散するエアロゾル感染などの危惧もあり、飛沫が感染防止のための室内換気流や循環流などによってテーブル上から排出されるまでの間感染リスクを払拭することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、気体を下部側の吸気口から吸引して上部側の排気口から排出する吸排気装置を用いるものでありながら、吸排気装置自体を、複数人が同席可能な例えば2人掛け、4人掛けといったテーブル上に立設載置可能な邪魔にならない大きさに小型化し、当該装置に向けて会話をすることで、殊に、マスク着用が難しい飲食時の会話で生じる複数方向からの飛沫を、直ちに吸引して殺菌手段を介してある程度の殺菌、或いは不活化させた状態で天井側に排出し、この上昇排気流をエアカーテンとして機能させることで、吸引漏れした浮遊飛沫があっても対面する同席者側への飛散を防止すると共に、上昇排気流と同伴して感染防止のための室内換気流や循環流などに合流させるようにテーブル上の気体を流動化し、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによる感染リスクを低減または防止することのできる飛沫拡散防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が採用した技術手段は、ケーシングの内部に殺菌手段と送風ファンを備え、ケーシングの下部側に形成された吸気口から吸引した気体を上部側の排気口から排出する吸排気装置であって、該吸排気装置は、会食など複数人が同席可能なテーブル上に立設載置可能な大きさとすべく、前記ケーシングを筒状に形成せしめ、前記吸気口は、前記ケーシングの外周面域に多方向から気体を吸引可能に形成されると共に、前記吸排気装置をテーブル上に立設載置した状態で、その周辺空間域となるテーブル上の気体を、前記ケーシングの多方向から前記吸気口に向けて流入する周辺吸気流と、前記排気口から流出する上昇排気流とを生成せしめることで流動化し、会食時等における会話中に生じる複数方向からの飛沫を、前記吸気口から吸引した吸引飛沫は前記殺菌手段により殺菌及び/又は不活化させて排出する一方、吸引漏れした浮遊飛沫は前記上昇排気流に同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のように構成したことにより、気体を下部側の吸気口から吸引して上部側の排気口から排出する吸排気装置でありながら、吸排気装置自体を、複数人が同席可能な例えば2人掛け、4人掛けといったテーブル上に立設載置しても、邪魔にならない大きさとなるようにケーシングを筒状に形成して小型化し、ケーシング自体の通気路を狭く形成することで、この通気領域に殺菌手段を配設させて更に狭くなつた気体流路に対して吸引気体を通過させることができるので、採用される殺菌手段の形態などにより流入気体の接触効率を容易に高めることができ、殺菌手段として、紫外線殺菌ランプや電熱ヒーターなどの発熱温度を有効利用した接触による熱殺菌効果と共に、ケーシングの内周壁面との狭い通気路を通過するウイルス等を含む気体に対しても、当該発熱による雰囲気温度殺菌や紫外線殺菌による効果を作用させて、吸引気体に対する殺菌効率を高めることができる。
しかも、テーブル上に、吸排気装置を中心とした周辺空間領域に、吸気口に向けて多方向から流入する周辺吸気流の生成と排気口から流出する上昇排気流の生成とにより、流入から排出へと一方向に流動化する気体の流動環境が形成されて、循環流動を必要としない好適な流動化による管理を行うことができ、吸排気装置に向けて会話をすることで、殊に、マスク着用が難しい飲食時等の会話で生じる複数方向からの飛沫のうち、テーブル上に落下しようとする飛沫は吸気口から直ちに吸引して、殺菌手段を介してある程度殺菌、或いは不活化させた状態で天井側に排出し、さらに、吸引漏れした浮遊飛沫はこの上昇排気流に吸収同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することができる結果、この上昇排気流をエアカーテンとして機能させることができ、対面する同席者側への飛散が防止され、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによる感染リスクを低減または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吸排気装置を示す(A)は内部機構を説明する縦断面図、(B)は平面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る吸排気装置を示す(A)は内部機構を説明する縦断面図、(B)は平面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる吸排気装置の排気口に挿着される上昇排気流の排出流形成キャップを示す(A)は平面図と断面図、(B)は他の実施形態を示す平面図と断面図である。
【
図4】本発明の吸排気装置の使用形態を示し、(A)は4人掛けテーブルに配置した状態の説明面図、(B)は2人掛けテーブルに配置した状態の説明面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示する吸排気装置を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は第1実施形態に係る吸排気装置を示し、(A)は内部機構を説明する縦断面図、(B)は平面図である。これら図に示すように、吸排気装置1は、台座2上に立設された円形筒状のケーシング3と、該ケーシング3の内部に送風ファン4と殺菌手段5とを備え、ケーシング3の下部側に形成された吸気口31から吸引した気体を上部側の排気口32から排出するよう構成され、会食など複数人が同席可能な2人掛け、4人掛けといったテーブル上に立設載置可能な邪魔にならない大きさにて形成される。
また、ケーシング3の上部側は、適宜の回転と角度調整ができるよう自在継手3aが設けられており、吸引気体を天井側の感染防止のための室内換気流や循環流などの主流に対して排気方向を調整できるようになっている。
【0011】
ケーシング3は、例えば、筒径が約5~8cm、高さが約20~40cm程度の任意の大きさに形成され、ケーシング3の下部側には、例えば
図4(A)に示す4人掛けテーブル上の中央に配置した際に、全方位(全周方向)からの吸引が可能に周面全域に縦方向所定間隔を存して複数穿孔された吸気口31が設けられ、ケーシング3の上部側となる筒端部の開口が排気口32として設定されており、会話で生じる複数方向からの飛沫を、吸気口31から直ちに吸引して天井側に排出できるよう構成される。なお、吸気口31は、例えば
図4(B)に示す2人掛けテーブル上に配置した際には、全方位からの吸引は必要ないので、例えは200度程度の円弧状周面方向から気体を吸引できれば良く、要は、使用形態において適宜にケーシング3の外周面域に対して多方向(複数方向)から気体を吸気可能に形成されたものであれば良く、吸気口31の形態もガラリタイプ、網タイプなども含め適宜に種々変更できることは勿論である。
【0012】
送風ファン4は、二重軸モータ41と、その外側モータ軸に軸着される羽根体42a、外側モータ軸に軸着される羽根体42bとから成り、羽根体42a、42bはそれぞれ独立回転可能に制御される。なお、送風ファン4の構成は本実施例に限定されること無く、採用可能な他の構成のものを用いることができる。つまり、羽根体42は2枚羽根として例示したが、3枚以上の羽根やその形状等、吸引に必要な最適な機能を満たすものなど適宜に変更しても良く、また、通常の一軸モータを用いても良い。
【0013】
殺菌手段5は、筒状のケーシング3内の送風ファン4の直上に配設されており、全方位(全周方向)から吸引された気体が略均等状に接触するように配設されている。つまり、ケーシング3の筒内通気路自体が狭く、この狭い筒内領域に殺菌手段5を内壁面との通気路間隔を等分させた状態で配設することができ、吸引気体が、ケーシング3の内周面と殺菌手段5との間における気体流路が、更に狭くなった通気領域(殺菌領域)を通過することとなり、殺菌手段5に対する接触効率を高める配設が容易に行える構成となっている。なお、殺菌手段5は、二重軸モータ41と羽根体42aとの間のケーシング3内領域に、単独又は送風ファン4の直上のものと同種のものを2ヶ所に配設させ、或いは異種のもの(電熱ヒーター52など)と併用しても良い。
また、殺菌手段5の上部側のケーシング3は、ケーシング3に設けられた連結リング3bを介して下部側と分割できるよう着脱可能に構成されており、この着脱構成はケーシング3の外周に設けた突部3b1に対し、連結リング3bの内周に逆L字状の溝を挿入し回転操作することで被嵌取着される。これにより、ケーシング3の上部側を取り外して、殺菌手段5の取替え等のメンテナンス作業が行えるようになっている。
【0014】
殺菌手段5としては、人の皮膚や目に悪影響を及ぼさない紫外線波長の紫外線殺菌ランプ51を用いて上下に2連設けたものでり、飛沫が狭い筒内領域を通過することにより、照射距離が短くより接近した状態で強い紫外線強度(UV照度)をもって量的照射することができるだけでなく、紫外線殺菌ランプ51自体の発熱温度は一般的に約40゜C程度まで上昇し、温度の最も高い部分は管両端の電極付近で、50~60゜C程度まで上昇するとされており、特に新型コロナウイルスは、温度上昇によって不活化され易くなることも分かっており、さらに、UV-C光源が物体表面に付着した新型コロナウイルスの99%を約6秒間で不活性化できるとの検証結果も報告されていることから、ケーシング3の内壁に付着した飛沫を含め、ケーシング3内の雰囲気温度を加味した紫外線照射や、飛沫が紫外線殺菌ランプ51自体に直接接触し付着する熱接触を含む複合的な殺菌や不活化を効率よく行うことができる。また、ケーシング3内温度は、送風ファン4により一定以上の高温化が抑制されるようになっているが、必要において温度コントローラーや温度センサーにより制御すれば良い。
【0015】
つまり、吸引した飛沫は、ケーシング3内を1、2秒程度で通過するものであるが、ある程度(例えば30~50%程度)の殺菌或いは不活化させた状態で、菌が減少された飛沫(気体)を天井側に排出し、更には排気口32から筒外に排出した気体や上昇排気流に同伴する浮遊飛沫に対しても紫外線照射により殺菌効果を高めつつ、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理できるようになっている。なお、ランプの殺菌照射有効時間に制限がある場合は、2連設けたものを自動切り替えできる様にすれば良い。また、紫外線殺菌ランプ51は、単管、蛇行、螺旋状のものなど、その形状や大きさは多種多様のものがあり、本装置に最適な殺菌効果のあるものを採用することができ、紫外線殺菌ランプ51を羽根体42aの下側に設けて吸気口31よりテーブル上を照射殺菌するようにしても良く、オゾンレスタイプの紫外線殺菌ランプを用いる場合には、外部に照射漏れが生じないようにフィルターで通気路を塞ぐ様にすれば良い。
【0016】
一方、紫外線殺菌ランプ51を介してある程度殺菌、或いは不活化させた状態で、排気口32から天井側に向けて排出した上昇排気流は、飲食時等の会話で生じる複数方向からの飛沫のうち、吸気口31から吸引漏れした浮遊飛沫があっても、この上昇排気流と同伴して感染防止のための室内換気流や循環流などに合流させることができ、対面する同席者側への飛散を防止するためのエアカーテンとして機能させることができる。
つまり、テーブル上には、吸排気装置1を中心とした周辺空間領域に、
図1、2で矢示する気流の如きに、吸気口31に向けて多方向(全周方向を含む)から集合的に流入する周辺吸気流と、排気口32から流出する上昇排気流とが生成され、気体の循環流動を必要としない流入から排出へと一方向に流動化する気体(空気)の流動環境が構築されることとなり、一度排出された上昇排気流が再び当該テーブル上空間に循環流入することもなく、かつ、浮遊飛沫がテーブル上の空間域に滞留し続けることもないので、吸引飛沫はある程度の殺菌或いは不活化による、謂わば補助的な感染対策によって、充分に感染リスクを回避、低減または防止することが可能となり、滅菌に近い高度な殺菌処理の必要性を無くし得て、装置自体の構造の簡素化が図られ安価に製作することができる。
【0017】
6は飛沫受け板であって、該飛沫受け板6は、透明なアクリル樹脂にて角形に形成され、ケーシング3の外周廻りとなる外周面部に2乃至4方向に延出させて配設される。具体的には、飛沫受け板6の一端側の上下に設けられた取付け部61、61を、ケーシング3に穿設された上下一対のセット孔62、62に挿入セットすることにより着脱可能に構成され、主に吸気口31から排気口32までの間で気流が弱くなる空域の飛沫を受け止めることができる。このセット孔62、62は、前後左右の4方向に設けられ、飛沫受け板6が都合4ヶ所、即ち4方向にケーシング3から延出させて取り付けることで、ケーシング3の外周廻りの空間域を2乃至4分割状に区画できるようになっており、4人掛け、2人掛けといったテーブル上に吸排気装置1を配置するパターンに応じて、適宜に要・不要を選択して2乃至4方向に延出させてセットできるように構成される。
【0018】
なお、飛沫受け板6は、ケーシング3に直接取り付けるようにしたが、ケーシング3の外周廻りに近接させてテーブル上に載置させても良く、大きさや形状等は適宜に変更される。
このように飛沫受け板6を設けることにより、会話中に生じる複数方向からの飛沫を飛沫受け板6で受け止めて、落下飛沫は吸気口31から確実に吸引させて排気口32から排出することができ、また、吸引漏れした浮遊飛沫は排気口32から排出されるエアカーテンとして機能する上昇排気流に同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流させることができる。したがって、吸気口31への吸引効率と上昇排気流への同伴効率を高めることができ、テーブル上の空気の流動化が促進されて、殺菌手段5を有していなくとも対面する同席者側への飛散を確実に防止させて、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによるエアロゾル感染などの感染リスクをより一層低減または防止することができる。
【0019】
次に、吸排気装置1の他の実施例を
図2に基づいて説明する。ただし、前記第1実施形態と共通する構成については、詳細な説明を省略する。
図2(A)は内部機構を説明する縦断面図、
図2(B)は平面図を示すものであり、殺菌手段5として、電熱ヒーター52を用いたものである。電熱ヒーター52としては、一般的な発熱体であるニクロム線を金属パイプで覆い自由に曲げ加工が可能なシーズヒータ、柔軟性に優れ、曲面・円筒などに巻きつける等、被加熱物に完全にフィットさせることができるシート状のシリコンラバーヒーターやシートヒーター、コード状のシリコンコードヒーターなどが用いられる。これらヒーターは、単管、蛇行、螺旋状のものなど、その形状や大きさは多種多様のものがあり、本装置に最適な殺菌効果のあるもの(他種の電熱ヒーターでも良い)を採用することができる。
【0020】
これら図に示すように、吸排気装置1は、台座2上に立設された円形筒状のケーシング3と、該ケーシング3の内部に送風ファン4a、4bと、送風ファン4aと4bとの間に配設される殺菌手段5(電熱ヒーター52)とを備え、ケーシング3の下部側及び上部側に形成された吸気口31、31aから吸引した気体を上部側の排気口32から排出するよう構成される。ケーシング3は、送風ファン4aの上部側が、その上部側に設けられた連結リング3bを介して下部側と分割できるよう着脱可能に構成されている。また、飛沫受け板6は、テーブル上に吸排気装置1を同席者との関係で配置するパターンに応じて、適宜に要・不要を選択して2乃至4方向に延出させてセットされる。
【0021】
吸気口31、31aは、円周方向の全方位からの吸引が可能に周面全域に縦方向所定間隔を存して複数穿孔されており、送風ファン4a、4bは吸気口31からの気体を吸引し、装着ホルダー3c上の送風ファン4bは吸気口31aからの気体を吸引できるように2機設けられ、それぞれ独立した回転/停止等の駆動制御が行われる。特に、送風ファン4bは、吸気口31で吸引漏れした浮遊飛沫を上部側の吸気口31aからも積極的に吸引できるようにして吸引効率を高めると共に、排気口32から天井側に向けて排出する上昇排気流の流量を多くして、上昇排気流自体のエアカーテンとしての機能を向上させ、対面する同席者側への飛散防止効果を高めることができ、天井までの高低変化に対応して、高さ距離(空間)が大きい場合に室内換気流や循環流などへの合流を好適に行うことができる。
【0022】
送風ファン4a、4bは、モータ4a1、4b1と、それぞれのモータ軸に軸着される羽根体4a2、4b2とからなり、羽根体4a2は、電熱ヒーター52(筒内中心)へ向けて吸引気体が送風されるよう僅かに上方に傾斜させた状態で設けられている。つまり、吸引飛沫を電熱ヒーター52に対して積極的に接触させ、電熱ヒーター52への接触量を多くして熱接触による殺菌や不活化を効率よく行えるようになっている。なお、電熱ヒーター52に対する接触効率を高めるには、羽根体4a2の傾斜設定によらず、例えば、羽根体4a2の上部近傍にハ字状に傾斜するリング状部材を設けて、流入気体を電熱ヒーター52に向けて誘導案内するようにしても良く、電熱ヒーター52自体の表面部を凹凸面に形成するなどして接触性を向上させるようにしても良い。
【0023】
電熱ヒーター52は、装着ホルダー3cに上下部を支持されて設けられており、連結リング3bの操作でケーシング3の上部側を引き抜いてメンテナンスできる様になっている。また、熱接触によるある程度の殺菌や不活化に有効な温度設定をするにあたり、ケーシング3内温度が送風ファン4により空冷され一定以上の高温化が抑制されるようになっているが、図示しない温度コントローラーや温度センサーにより制御される。電熱ヒーター52の温度設定は、ケーシング3内の雰囲気温度や殺菌効率を考慮して、約60゜C(±5゜C)程度の任意の設定値を目安として温度コントローラーにより温度調整を行い、高温化を抑制するために温度センサーにより自動的にスイッチがON/OFFされる。また、モータ4a1と羽根体4a2との間のケーシング3内スペースに紫外線殺菌ランプ51との併用や電熱ヒーター52を配設しても良い。
【0024】
図3は、吸排気装置1の排気口32に挿着される上昇排気流の排出流形成キャップ7を示す(A)は平面図と断面図、(B)は他の実施形態を示す平面図と断面図である。これら図に示すように、排出流形成キャップ7は、排気口32の排出口形を可変することで、上昇排気流の排出流形を生成するためのものであり、ケーシング3の上端部に被嵌挿着させ、排気口32自体の排出口形を狭める形態で流出口32aと32bを形成し、排出する気体が狭い流出口32aと32bを通過することにより、排気流の通過流速を高め、上昇排気流に勢いを与えて噴出させ、エアカーテンとしての機能を向上させると共に、ケーシング3内の流入気体を若干滞留させて、殺菌効率を高めることができる。つまり、流出口32aと32bから噴出される上昇排気流は、噴出直後において、同席者の頭の上側付近まで夫々の流出口32aと32bの形状が維持された状態で風量調整することが好適である。即ち、送風ファン4による吸引力制御との関係で、排出する気体の流速と排気量の調整を行うことにより、エアカーテンとしての上昇排気流に浮遊飛沫を効率よく吸収し、同伴させて対面する同席者側への飛散を防止することが可能となっている。
【0025】
図3(A)に示す排出流形成キャップ71は、中心の丸孔711からそれぞれ上下左右の4方向に延出するスリット孔712…を穿設することによって、全体の排出口形がケーシング3の筒内径よりも小さい形態で流出口32aをクロス状に形成したものである。また、排出流形成キャップ71の内部には、排出する気体を丸孔711と各スリット孔712…へと傾斜面によって導く案内部713が設けられており、流入気体が必要以上にケーシング3内で滞留すること無く、スムーズに流出口32aより排気通過させる。従って、上昇排気流の排出流形は、中心の丸孔711および4方向のスリット孔712…とによって略クロス形状にエアカーテンとして生成される。
【0026】
また、
図3(B)に示す排出流形成キャップ72は、中心部を残してそれぞれ上下左右の4方向に、ケーシング3の筒径よりも大きく突出する形態で延出形成されたスリット状の長孔721…を穿設することによって、流出口32bをクロス状に形成したものである。従って、上昇排気流の排出流形は、4方向の各長孔721…によって略クロス形状のエアカーテンとして生成され、ケーシング3の筒径よりも外側の浮遊飛沫を吸収することができる。なお、排出流形成キャップ72の内部には、排出する気体を各長孔721…へと傾斜面によって導く案内部(図示しない)が設けられている。
【0027】
次に、本装置が
図4(A)に示す4人掛けテーブルに配置した状態、
図4(B)に示す2人掛けのテーブルに配置した状態の説明面図に基づいて、複数人が会食等における会話中に生じるテーブル上における飛沫拡散防止するシステムについて詳細に説明する。
先ず、対面する同席者との正面中央に配置した場合(飛沫受け板6は左右に配設)や、
図4(A)や
図4(B)に示す如く対面位置から少しずらした位置に配置した場合(飛沫受け板6は図示のとおり配設)において、本装置に向けて互いに会話を行う様にする。つまり、4人掛けテーブルの中央に配置した際に、吸気口31は全方位(全周方向)からの吸引が可能に構成されており、本装置を中心としたテーブル上の周辺空間領域には、吸気口31に向けてその多方向(複数方向)からケーシング3内に流入する周辺吸気流が生成され、この流入気体が排気口32より排出されることで上昇排気流が生成される。
【0028】
そのため、テーブル上には、多方向からから本装置に向かう周辺吸気流と上昇排気流とによる一方向に流動化する気体の流動環境、即ち、テーブル上の空間領域に循環流動を必要としない気体の流動化システムによる流動環境が構築される。
従って、会話時に発生した複数方向からの飛沫のうち、飛沫受け板6で受け止められるものを含めて、テーブル上に落下しようとする飛沫は直ちに吸気口31から吸引され、殺菌手段5を介してある程度殺菌、或いは不活化させた状態で排気口32より天井側に上昇排気流として排出されると共に、吸引漏れした浮遊飛沫はエアカーテンとして機能する上昇排気流に吸収同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することができ、対面する同席者側への飛散が防止され、飛沫発生後8分間以上も空中に漂い続けるという状態を確実に回避して、浮遊飛沫がテーブル上の空間域に滞留し続けることによるエアロゾル感染などの感染リスクを低減または防止することができる。
【0029】
なお、本実施例における筒状に形成せしめたケーシング3は、単管状のものを例示したが、これに限定されること無く、その形状は、例えば、上昇排気流を4方向に区分け排出できるように上面視四つ葉状や楕円状の形態としたもの、吸引力を高めるため送風ファン4の下部側収容部を大きくした正面視凸状形態のもの、複数の筒体を有したものなど、テーブル上の空間領域に本装置を中心とした気体の流動化とエアカーテン機能を実現できるもので有ればその形状変更は任意に行うことができる。
【0030】
叙述の如く構成された本発明の実施例の形態において、いま、ケーシング3の内部に殺菌手段5と送風ファン4を備え、ケーシング3の下部側に形成された吸気口31から吸引した気体を上部側の排気口32から排出する吸排気装置1を用いて、飲食店や会議室など複数人がテーブルを介して会食や打合せ等をする際、会話によって発生した飛沫による感染を防止するのであるが、本発明における飛沫拡散防止システムは、吸排気装置1をテーブル上に立設載置可能な大きさとすべく、ケーシング3を筒状に形成せしめ、吸気口31は、ケーシング3の外周面域に多方向から気体を吸引可能に形成されると共に、テーブル上に立設載置された吸排気装置1によって、その周辺空間域となるテーブル上の気体を、ケーシング3の多方向(全周方向を含む)から吸気口31に向けて流入する周辺吸引流と排気口32から流出する上昇排気流とを生成せしめることで流動化し、会食時等における会話中に生じる複数方向からの飛沫を、吸気口31から吸引した吸引飛沫は殺菌手段5に接触せしめて殺菌及び/又は不活化させて排出する一方、吸引漏れした浮遊飛沫は上昇排気流に同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理される。
【0031】
このように構成された飛沫拡散防止システムによれば、気体を下部側の吸気口31から吸引して上部側の排気口32から排出する吸排気装置1でありながら、吸排気装置1自体を、複数人が同席可能な例えば2人掛け、4人掛けといったテーブル上に立設載置しても、邪魔にならない大きさとなるようにケーシング3を筒状に形成して小型化し、ケーシング3自体の通気路を狭く形成することで、この通気領域に殺菌手段5を配設させ、更に狭くなつた気体流路に対して吸引気体を通過させることができるので、採用される殺菌手段5の形態などにより流入気体の接触効率を容易に高めることができ、殺菌手段5として、紫外線殺菌ランプ51や電熱ヒーター52などの発熱温度を有効利用した接触による熱殺菌効果と共に、ケーシング3の内周壁面との狭い通気路を通過するウイルス等を含む気体に対しても、当該発熱による雰囲気温度殺菌や紫外線殺菌による殺菌効果を作用させて、吸引気体に対する殺菌効率を高めることができる。
【0032】
しかも、テーブル上には、吸排気装置1を中心とした周辺空間領域に、吸気口31に向けて外周方向から流入する周辺吸引流の生成と上昇排気流の生成とにより、流入から排出へと一方向に流動化する気体の流動環境が形成されて、循環流動を必要としない好適な流動化による管理を行うことができ、吸排気装置1に向けて会話をすることで、殊に、マスク着用が難しい飲食時等の会話で生じる複数方向からの飛沫のうち、テーブル上に落下しようとする飛沫は吸気口31から直ちに吸引して、殺菌手段5を介してある程度殺菌、或いは不活化させた状態で天井側に上昇排気流として排出し、さらに、吸引漏れした浮遊飛沫はこの上昇排気流に吸収同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することができる結果、上昇排気流自体をエアカーテンとして機能させることができ、対面する同席者側への飛散が防止され、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによるエアロゾル感染などの感染リスクを低減または防止することができるだけでなく、キャンドルサービス用アイテムとしての機能も付与することができる。従って、テーブル上に対面する同席者間を仕切るような大きなアクリル板を配置する必要性が回避され、アクリル板による閉塞感や圧迫感を受けることもない。
【0033】
また、上昇排気流は、浮遊飛沫を周囲の同席者への拡散を規制するエアカーテンとして機能するので、吸引漏れした浮遊飛沫は、殺菌手段5を介してある程度殺菌、或いは不活化された上昇排気流に同伴、即ちブロックされた状態で、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することができ、対面する同席者側への飛散や拡散が防止され、飛沫発生後8分間以上も空中に漂い続けるという状態を確実に回避して、浮遊飛沫がテーブル上の空間域に滞留し続けることにより、料理への落下や飛沫吸引等による感染リスクを低減または防止することができる。
【0034】
また、ケーシング3の外周廻りには、2乃至4方向に延出する飛沫受け板6…が設けられているので、吸排気装置1に向けて会話をした際に発生する複数方向からの飛沫を、主に吸気口31から排気口32までの間で気流が弱くなる空域があっても、飛沫受け板6によるパーティション機能をもって確りと受け止めることができ、テーブル上に落下しようとする飛沫は、周辺吸引流に同伴させて吸気口31からより確実に吸引を行うことができ、また、吸引漏れした浮遊飛沫は、エアカーテンとして機能する上昇排気流により確実に吸収同伴させて、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理することができる。
したがって、吸気口31への吸引効率と上昇排気流への同伴効率を高めることができ、テーブル上の空気の流動化が促進されて、殺菌手段5を有していなくとも対面する同席者側への飛散を確実に防止させて、飛散防止効果を高めることができ、飛沫がテーブル上に滞留し続けることによる感染リスクをより一層低減または防止することができる。
【0035】
また、排気口32に、その排出口形を狭める形態で流出口32aや32bが形成された排出流形成キャップ7を設けることで、エアカーテンとしての機能する上昇排気流の排出流形を生成せしめるようにしたので、排出する気体が狭い流出口32aと32bを通過することにより、排気流の通過流速を高め、上昇排気流に勢いを与えて噴出させ、エアカーテンとしての機能を向上させると共に、ケーシング3内の流入気体を若干滞留させて、殺菌効率を高めることができ、送風ファン4の吸引力制御との関係で、排出する気体の流速と排気量の調整を行うことにより、エアカーテンとして効率よく浮遊飛沫を吸収同伴させることができ、対面する同席者側への飛散を防止することが可能となる。なお、流出口32aと32bはクロス状に形成したが、これに限定されるものでなく多孔板等任意の形態で形成したものでも良い。
【0036】
また、殺菌手段5は、人の皮膚や目に悪影響を及ぼさない紫外線波長の紫外線殺菌ランプ51であり、気体流路を通過する吸引飛沫を、当該紫外線殺菌ランプ51によって、接触飛沫は、その点灯による発熱温度を利用した熱殺菌により、非接触飛沫は、照射による紫外線殺菌により行うべく構成されている。
このように構成すると、ケーシング3の気体流路を通過する吸引飛沫に対して、紫外線殺菌ランプ51自体の発熱温度(例えば約40~60゜C程度)を有効利用した接触による熱殺菌効果と共に、ケーシング3の内周壁面との狭い通気路を通過するウイルス等を含む気体に対しても、照射距離が短くより接近した状態で強い紫外線強度(UV照度)をもって量的照射することができるだけでなく、ケーシング3の内壁に付着した飛沫を含め、ケーシング3内の雰囲気温度を加味した紫外線照射や、熱接触を含む複合的な殺菌や不活化を効率よく行うことができる。さらに、排気口32から排出した気体や上昇排気流に同伴する浮遊飛沫に対しても照射による殺菌や不活化を効率を高めつつ、室内が備える感染防止のための換気流や循環流などに合流処理させることができる。
【0037】
また、殺菌手段5には、電熱ヒーター52を用いて、気体流路を通過する吸引飛沫を、当該電熱ヒーター52によって、接触飛沫は、その所定温度に設定された発熱温度を介した熱殺菌により、非接触飛沫は、ケーシング内の環境温度殺菌により行うよう構成されているので、電熱ヒーター52には、自由に曲げ加工が可能なシーズヒータや、柔軟性に優れ、曲面・円筒などに巻きつける等、被加熱物に完全にフィットさせることができるシート状のシリコンラバーヒーターやシートヒーター、コード状のシリコンコードヒーターなど、本装置に最適な殺菌効果のあるものを選択的に採用することができるだけでなく、電熱ヒーター52自体の表面部を凹凸面に形成するなどして接触効率を高めることができ、しかも、電熱ヒーター52の温度設定も、ケーシング3内の雰囲気温度や殺菌効率を考慮した任意の設定値を目安として温度コントローラーにより温度調整を容易に行うことができ、製作の自由度を高めることが可能となる。また、ケーシング3内の温度は送風ファン4により空冷され一定以上の高温化を抑制することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 吸排気装置
2 台座
3 ケーシング
3a 自在継手
31 吸気口
31a 吸気口
32 排気口
3b 連結リング
3b1 突部
3c 装着ホルダー
4 送風ファン
41 二重軸モータ
42a 羽根体
42b 羽根体
4a 送風ファン
4a1 モータ
4a2 羽根体
4b 送風ファン
4b1 モータ
4b2 羽根体
5 殺菌手段
51 紫外線殺菌ランプ
52 電熱ヒーター
6 飛沫受け板
61 取付け部
62 セット孔
71 排出流形成キャップ
32a 流出口
711 丸孔
712 スリット孔
713 案内部
72 排出流形成キャップ
32b 流出口
721 長孔