(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146284
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】火災報知設備の表示装置およびこれを用いた表示システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231004BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053393
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 淳一
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087DD04
5C087DD20
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF03
5C087GG02
5C087GG70
5G405AA08
5G405AB01
5G405AB02
5G405AD04
5G405CA22
5G405DA21
5G405EA41
(57)【要約】
【課題】表示装置の設置場所以外の場所からイベント発生画面を確認できるように、イベント発生画面の画像データを外部装置に送信できる火災報知設備の表示装置およびこれを用いた表示システムを提供する。
【解決手段】火災受信機および火災受信機に信号線を介して接続された複数の端末機器を有する火災報知設備から、各端末機器の状態情報を受けてイベント発生を検知すると、その状態情報を表示する火災報知設備の表示装置において、端末機器の位置および状態を示す監視地図を表示する部分であって、イベント発生時に状態情報が反映されて更新された監視地図のイベント発生部分を示すイベント発生画面を表示する表示部と、表示部のイベント発生画面の画像データを、ネットワークを介して外部装置に送信する送信部と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機および前記火災受信機に信号線を介して接続された複数の端末機器を有する火災報知設備から、各端末機器の状態情報を受けてイベント発生を検知すると、その状態情報を表示する火災報知設備の表示装置において、
前記端末機器の位置および状態を示す監視地図を表示する部分であって、前記イベント発生時に前記状態情報が反映されて更新された前記監視地図のイベント発生部分を示すイベント発生画面を表示する表示部と、
前記表示部の前記イベント発生画面の画像データを、ネットワークを介して外部装置に送信する送信部と、を備えた火災報知設備の表示装置。
【請求項2】
前記送信部は、イベントが発生して前記監視地図が更新される度に、前記表示部の前記イベント発生画面の前記画像データを前記外部装置に送信する請求項1記載の火災報知設備の表示装置。
【請求項3】
前記送信部は、イベントが発生して前記監視地図が更新される度に、前記表示部の前記イベント発生画面に表示されていない部分も含む前記監視地図の画像データを前記外部装置に送信する請求項1記載の火災報知設備の表示装置。
【請求項4】
オペレータの操作が入力される操作入力部を備え、
前記イベント発生画面は、前記操作入力部からの前記オペレータによる入力操作に応じて変化する画面であり、
前記送信部は、前記イベント発生時の前後の所定時間における前記イベント発生画面の動画を前記外部装置に送信する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の火災報知設備の表示装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の火災報知設備の表示装置と、
前記表示装置に前記ネットワークを介して接続される前記外部装置と、を備え、
前記外部装置は、
前記表示装置から送信されてきた前記画像データを受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記画像データを、ユーザ端末から読み出し可能に記憶する記憶部と、を備えた表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備の表示装置に関し、特に火災報知設備におけるいわゆる総合操作盤を構成する表示装置およびこれを用いた表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、総合操作盤を構成する火災報知設備の表示装置は、建物の防災センター等に設置されている。火災報知設備の表示装置は、煙感知器等の複数の端末機器が接続された火災受信機に接続されており、各端末機器の状態情報を火災受信機から受信できるように構成されている。特許文献1の火災報知設備の表示装置は、各種画像や各種情報を表示する表示部と、複数の端末機器のシンボルが配置された平面図の画像データを記憶する記憶部とを備えている。特許文献1の火災報知設備の表示装置は、平常時は「平常監視中」という文字を表示部に表示し、火災受信機からの状態情報に基づいて煙感知器の状態変化(発報)等のイベントの発生を確認すると、表示部の画面をイベント発生画面に切り替えて表示する。イベント発生画面には、各端末機器のシンボルが配置された平面図が表示され、イベントが発生した端末機器を、他の端末機器と識別できるようシンボルが色変え・点滅して表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば広域な工場や空港などで、煙感知器の状態変化(発報)等のイベントが発生した場合、表示装置が設置された防災センター等に寄らずに離れた場所からイベント発生画面を確認できれば、早期対応が可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、イベント発生画面を確認するには表示装置が設置された防災センター等に赴く必要があり、早期対応が困難となる可能性があった。
【0006】
本発明はこのような点を鑑みなされたもので、表示装置の設置場所以外の場所からイベント発生画面を確認できるように、イベント発生画面の画像データを外部装置に送信できる火災報知設備の表示装置およびこれを用いた表示システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る火災報知設備の表示装置は、火災受信機および火災受信機に信号線を介して接続された複数の端末機器を有する火災報知設備から、各端末機器の状態情報を受けてイベント発生を検知すると、その状態情報を表示する火災報知設備の表示装置において、端末機器の位置および状態を示す監視地図を表示する部分であって、イベント発生時に状態情報が反映されて更新された監視地図のイベント発生部分を示すイベント発生画面を表示する表示部と、表示部のイベント発生画面の画像データを、ネットワークを介して外部装置に送信する送信部と、を備えたものである。
【0008】
本発明に係る表示システムは、上記の火災報知設備の表示装置と、表示装置にネットワークを介して接続される外部装置と、を備え、外部装置は、表示装置から送信されてきた画像データを受信する受信部と、受信部で受信した画像データを、ユーザ端末から読み出し可能に記憶する記憶部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の火災報知設備の表示装置およびこれを用いた表示システムは、イベント発生画面に表示される画像データを外部装置に送信する送信部を備えた。よって、火災報知設備の表示装置および表示システムは、表示装置の設置場所以外の場所からイベント発生画面を確認できるように、イベント発生画面の画像データを送信部から外部装置に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置を用いた表示システム全体を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の記憶部に記憶される画像データの一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の表示部に表示される画面の説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の記憶部に記憶された各種リストの一例を示す図である。
【
図6】実施の形態2に係る表示システムのユーザ端末における監視地図の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置を用いた表示システム全体を示す構成図である。
図1において、1は表示装置である。2は表示装置1が接続された火災受信機である。この火災受信機2には、信号線を介して複数の端末機器が接続されている。ここでは、端末機器として、例えば煙感知器20、熱感知器21の火災感知器(自動で火災を検出する装置)、発信機22(火災発見者が操作する装置)、地区ベル装置23による地区音響装置(建物の各部で火災の発生を警報する装置)、防火戸24の防排煙装置(発生した煙を制御排出する装置、火災に基づき制御される装置一般を指す)、ガス漏れ検知器25(自動で漏れたガスを検出する装置)等が接続されている。これらの構成要素によって、実質的に火災報知設備を構成している。表示装置1は、火災受信機2および火災受信機2に信号線を介して接続された複数の端末機器を有する火災報知設備から、端末機器の状態情報を受けてその状態情報を表示する装置である。
【0012】
3は表示装置1に対してネットワークNを介して接続可能なユーザ端末である。ユーザ端末3は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末等で構成される。4は商用電源、5はブレーカ、6は表示装置1にブレーカ5を介して商用電源4からの電源を供給する予備電源装置である。
【0013】
11は表示装置1全体の動作を制御する制御部、12は火災受信機2から移報される情報を信号伝送により受信するインターフェース部である。このインターフェース部12には、表示装置1に対して接続される火災受信機2以外の盤との信号伝送も可能とされてよく、非常放送設備やビル管理設備等と情報の送受信が行えるようにしてもよい。
【0014】
13は制御部11により映出すべき画像を出力する画像出力部である。14は画像出力部13に接続されて画像を表示する表示部である。表示部14は、CRT、LCDまたはプラズマディスプレイ等である。15はオペレータの操作が入力される操作入力部である。ここでは、操作入力部15にはマウス16が接続され、マウス16を介してオペレータの操作が入力される。操作入力部15は、表示部14にポインタを表示し、マウス16の移動操作に基づいてそのポインタを移動し、クリック操作による入力を判別して制御部11に通知する。なお、操作入力部15は、表示部14の前面に配置されたタッチパネル式の入力パッドでもよい。17は制御部11の動作をプログラミングしたデータ、映出する画像データおよび各種リストなどが記憶される記憶部(ハードディスクドライブ)である。18は制御部11の制御により、ネットワークNを介して後述の外部装置19に画像データ等の送信を行う送信部である。
【0015】
外部装置19は、クラウドサーバなどのサーバ装置であり、通信機能を備えており、表示装置1とネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、例えばインターネット回線網の広域ネットワーク等である。外部装置19は、表示装置1から送信されてくる画像データ等を受信する受信部19aと、受信部19aで受信した画像データ等をユーザ端末3から読み出し可能に記憶する記憶部19bとを備えている。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の記憶部に記憶される画像データの一例を示す図である。記憶部17には、監視対象の建物における複数の端末機器の位置および状態を示す監視地
図17aが記憶されている。監視地
図17aは、建物のフロア毎の平面図、断面図または系統図等である。監視地
図17aは、更に具体的には、平面図、断面図または系統図等の図面上に、端末機器をシンボルで表した図である。シンボルの位置により端末機器の位置が示され、シンボルの表示(黒表示または赤表示など)によって端末機器の状態が示される。
図2には、監視地
図17aが平面図である場合の例を示している。
図2の拡大部分には、煙感知器20のシンボル20aの一例を示している。
【0017】
図3は、実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の表示部に表示される画面の説明図である。
図4は、
図3の画面の拡大図である。表示部14に表示される画面は、グラフィックエリア30、時刻表示エリア31、アラームリストエリア32、フロア選択エリア33、および、メニューバー34、を有する。もちろん、このエリアの数や種類はこれに限定されるものではない。
【0018】
グラフィックエリア30には、平常時画面およびイベント発生画面等が表示される。平常時画面は、平常時において例えば「正常監視中です」といったメッセージを表示して、表示装置1が起動して監視状態にあることを確認できる画面である。この表示は、定期的に位置が変わり、画面の焼き付きを防止する。
【0019】
イベント発生画面は、火災報知設備からの状態情報を受けてイベント発生が検知された際に表示される画面であって、状態情報が反映されて更新済の監視地
図17aに基づいて表示される画面である。
図3には、グラフィックエリア30にイベント発生画面35が表示された例を示している。イベント発生画面35は、警報の発生場所や状況をいち早く把握するための画面である。具体的には、イベント発生画面35は、建物の平面図、断面図・系統図等の図面上に端末機器をシンボルで表した監視地
図17aにおいて、発報・作動・異常等の状態変化時にシンボルを点滅・色変えにより表示した画面である。イベント発生画面35は、平面図画面と、断面図・系統図等の画面とを有する。
【0020】
平面図画面は、建物の平面図上に端末機器をシンボルで表し、発報・作動・異常等の状態変化時にシンボルを点滅・色変えにより表示して、警報の発生場所や状況をいち早く把握するための画面である。断面図・系統図等の画面は、自火報設備の竪穴区画表示や、防排煙・消火設備等の防災動力表示等、平面図では位置が把握しづらい場合や、発報場所と位置的に無関係な設備を表示する場合に平面図に変えて用いられる画面である。断面図・系統図等の画面においても、端末機器の表示は平面図と同様にシンボルを用いて表し、状態変化時にシンボルが点滅・色変えにより表示される。イベント発生画面35は、記憶部17に記憶された監視地
図17aと火災受信機2からの状態情報とに基づいて制御部11の制御の基に作成される画面である。なお、以下では平面図画面と断面図・系統図等の画面とを区別せず、イベント発生画面35には監視地
図17aに基づく画像データが表示されるものとして説明する。
【0021】
イベント発生画面35には、記憶部17に記憶されたフロア全体の監視地
図17aのうちの一部地区が表示される。表示される一部地区は、状態変化が生じたシンボルを有する地区である。つまり、イベント発生画面35は、監視地
図17aのイベント発生部分を示す画面である。平常時画面を表示中に警報等のイベントが発生した場合、該当するフロアの監視地
図17aのうち、状態変化が生じたシンボルを有する地区がグラフィックエリア30に自動映出される。
図3には、火災が発生した5階全体の監視地
図17aのうち、火災が発生した地区の監視地図が表示された状態を示している。以下では、イベント発生画面35に表示される範囲の監視地図を、部分監視地
図17bといい、イベント発生画面35に表示されていない部分も含めたフロア全体の監視地
図17aと区別する。
【0022】
グラフィックエリア30には縦横のスクロールバー30a、30bが設けられている。スクロールバー30a、30bの操作に基づいてグラフィックエリア30からはみ出して表示されていない部分をグラフィックエリア30に表示できる。
【0023】
時刻表示エリア31は、現在の日時を表示する。アラームリストエリア32は、その時点で発生しているイベントのうち、最新の複数のイベント、例えば5つのイベントを表示する。フロア選択エリア33は、建物のフロア毎の選択ボタン33aが表示されるエリアである。選択ボタン33aは、マウス16のクリック操作により選択されると、選択ボタン33aに対応するフロアの部分監視地
図17bがグラフィックエリア30に表示されるようになっている。また、メニューバー34は、各種のスイッチを表示するエリアである。
【0024】
[動作説明]
次に、動作について説明する。平常時、火災受信機2は、各端末機器の状態を把握する。この平常時には、平常時画面が表示部14に表示されている。また、火災受信機2は、火災発生時等には必要な端末機器を作動させる監視および制御を行っており、端末機器の状態(発報・作動・異常・回復など)を示す信号を表示装置1へ移報する。この信号がインターフェース部12を介して表示装置1の制御部11に入力されることにより、制御部11はイベント発生と検知する。
【0025】
一方、停電により表示装置1に供給される電源が途絶えた場合には、表示装置1は、内蔵する予備電源装置6からの電源供給により機能を維持すると共に、制御部11の制御の基に停電灯(LED)を点灯する。予備電源装置6の停電保障時間(例えば約5分聞)以内に停電が回復した場合、あるいは非常電源より電源供給が開始された場合には、上記の動作も回復する。停電保障時間内に電源供給が行われない場合には、予備電源装置6のバッテリー容量が限界に達するまでに、制御部11は装置やデータの破壊を防止するため自動的にシャットダウン処理を行い、機能を停止する。また、予備電源装置6は、予備電源の電圧が低下したときには、制御部11に電圧低下を知らせる信号を出力する。制御部11は、電圧低下を検知したときは、本表示装置1の動作を終了し、かつ、予備電源装置6に電源断を制御する停止出力を発する。
【0026】
[イベント発生時の動作]
次に、イベント発生時の動作について、
図3を用いて説明する。表示装置1は、火災受信機2から発報・作動・異常等の信号を受信したことをイベント発生と検知する。制御部11は、イベント発生時に、イベントが発生した地区が示された部分監視地
図17bを、グラフィックエリア30に映出する。
【0027】
具体的には例えば、制御部11は、5階フロアに設置された煙感知器20の状態変化(発報)を火災受信機2からの信号に基づいて検知すると、グラフィックエリア30の表示を、平常時画面からイベント発生画面35に切り替える。イベント発生画面35には、5階フロア全体の監視地
図17aのうち、発報した煙感知器20を有する地区を含む部分監視地
図17bが表示される。また、制御部11は、部分監視地
図17b上において、煙感知器20のシンボル20aを、発報していない他の煙感知器と識別できるように色を例えば赤等に変化させて点滅表示する。制御部11は更に、発報した煙感知器20を有する区域、例えば店舗を例えば赤等の枠で囲み、その枠内に、炎シンボルを重ねて表示する。なお、この表示は一例であって、発報時の表示は図示の表示に限定されるものではない。そして、制御部11は、地区ベル装置23を鳴動させる。
【0028】
なお、平常時画面からイベント発生画面35に切り替わり、最初の部分監視地
図17bがグラフィックエリア30に表示されて以降は、オペレータのマウス操作に応じてグラフィックエリア30の表示が変更される。例えば、スクロールバー30a、30bの操作により、グラフィックエリア30に表示する地区が変更されたり、フロア選択エリア33の選択ボタン33aの操作により、グラフィックエリア30に他のフロアの部分監視地
図17bが表示されたり、といった具合である。
【0029】
火災が発生した場合には、防火戸24の閉鎖、排煙口の開放、ガス漏れ検知器25の発報等、イベントが次々と発生する。制御部11は、イベントが発生する毎に、監視地
図17aにおいて状態変化が生じた設備機器のシンボルを色変化・点滅表示などで表示を変えた画像データを生成する。ここで生成される画像データは、フロア全体の監視地
図17aの画像データである。つまり、制御部11は、グラフィックエリア30に表示されていない部分についても、その非表示エリアに配置された端末機器で状態変化が生じた場合、その端末機器のシンボルの色等を変化させた監視地
図17a(以下、イベント反映済の監視地
図17aという)の画像データを生成し、記憶部17に記憶している。
【0030】
そして、制御部11は、記憶部17に記憶した監視地
図17aのうち、オペレータの操作により選択された地区の部分監視地
図17bをグラフィックエリア30に表示する。よって、オペレータはグラフィックエリア30に表示されたイベント発生画面35により、最新のイベント発生状況を確認できる。また、オペレータは、スクロールバー30a、30bの操作によりグラフィックエリア30に表示される地区を変更して、必要な確認作業等を行う。
【0031】
(部分監視地
図17bの送信)
制御部11は、イベント発生毎に、イベント発生画面35の画像データを、ネットワークNを介して送信部18から外部装置19に送信する。つまり、送信部18は、イベントが発生して監視地
図17aが更新される度に、イベント反映済の監視地
図17aの一部である部分監視地
図17bに基づくイベント発生画面35の画像データを、ネットワークNを介して送信部18から外部装置19に送信する。また、ユーザ端末3へは、送信部18から警報発生したことを知らせるためのイベント発生画面35の画像データを送信する。画像データの送信形式は特に限定するものではないが、例えばメールに添付して送信すればよい。
【0032】
表示装置1からの画像データを受信部19aで受信した外部装置19は、受信した画像データをユーザ端末3から読み出し可能に記憶部19bに記憶する。外部装置19は、表示装置1から画像データが送られてくる度に、その最新の画像データに上書きして記憶部19bを更新する。例えば、外部装置19は、5階の煙感知器20が発報した際、表示装置1から送信されてくる、煙感知器20のシンボル20aについて発報表示がされた5階の部分監視地
図17bの画像データを保存する。その後、5階の煙感知器20が回復した際には、表示装置1から送信されてくる、回復表示(発報前の表示)がされた5階の部分監視地
図17bの画像データに上書きする。これにより、外部装置19の記憶部19bには、フロア毎に常に最新の画像データが保存されていることになる。
【0033】
このように、表示装置1は、グラフィックエリア30に表示されている部分監視地
図17bの画像データをイベント発生毎に外部装置19に送信するようにしている。そして、外部装置19は、表示装置1からの部分監視地
図17bの画像データをユーザ端末3から読み出し可能に記憶部19bに記憶する。このため、防災管理者は、自身のユーザ端末3からネットワークNを通じて外部装置19にアクセスし、記憶部19bに記憶されている部分監視地
図17bの画像データを読み出してユーザ端末3の表示部に表示させることができる。なお、ユーザ端末3は、単に画像データを表示する機能を備えていればよく、防災用のアプリケーションや特定のブラウザがインストールされている必要はない。また、記憶部19bには、上述したようにフロア毎の最新の画像データが記憶されている。このため、防災管理者は、ユーザ端末3にてフロア毎の最新の状況を確認できる。
【0034】
以上より、防災管理者は、表示装置1の設置場所に赴かなくても、表示装置1の設置場所以外の場所からイベント発生時の状況を確認できる。具体的には、防災管理者は、イベント発生時にグラフィックエリア30に表示されている部分監視地
図17bを確認できる。
【0035】
[動画保存動作]
次に、動画保存動作について説明する。火災発生時、オペレータは、マウス16を用いて、例えば、グラフィックエリア30に表示されていない地区に設置された防火戸24が自動で閉鎖したことを確認したり、排煙機26が作動しているかを確認したり、といった作業を行う。前者の作業では、オペレータは、マウス16でスクロールバー30a、30bを操作してグラフィックエリア30上に防火戸24を表示させる操作を行う。また、後者の作業では、オペレータは、火災が発生した5階とは異なる、排煙機26の設置階の部分監視地
図17bが表示されるように、フロア選択エリア33の選択ボタン33aをマウス16でクリックして画面を切り替える操作等を行う。
【0036】
このようなオペレータの操作の事後分析を可能とするため、制御部11は、以下の処理を行う。制御部11は、まず、イベント発生時に、イベント発生前後の所定時間T(例えば3分)、グラフィックエリア30上に映出されている画面の動画、つまりイベント発生画面35の動画を記憶部17から取得する。記憶部17には、イベント発生画面35の動画が予め設定されたデータ容量分、動画で保存されており、データ容量が満杯になった場合には古いデータを消去して新たなデータが上書きされるようになっている。
【0037】
このように記憶部17にはイベント発生画面35の動画が保存されているため、制御部11は、イベント発生前後の所定時間Tのイベント発生画面35の動画を記憶部17から取得する。なお、イベントが次々と発生し、イベントの発生間隔が所定時間Tよりも短いような状況では、最初のイベント発生から最後のイベント発生までの間と、その間の前後の所定時間T分の動画を取得すればよい。
【0038】
そして、制御部11は、取得した動画を送信部18からネットワークNを通じて外部装置19に送信する。表示装置1からの動画を受信した外部装置19は、受信した動画を記憶部19bにユーザ端末3から読み出し可能に記憶する。
【0039】
以上のようにしてイベント発生前後の所定時間Tのイベント発生画面35の動画を外部装置19の記憶部19bに保存することで、防災管理者は、表示装置1の設置場所まで赴かなくても、自身のユーザ端末3から外部装置19にアクセスしてイベント発生画面35の動画を確認できる。ここで、イベント発生画面35は、操作入力部15からのオペレータによるマウス16を用いた入力操作に応じて変化する画面である。このため、イベント発生画面35の動画には、オペレータによる端末機器の操作、画面切り替え、マウス16の移動軌跡等が記録されている。このため、防災管理者は、イベント発生画面35の動画により、オペレータの操作の事後分析を行うことができる。
【0040】
事後解析を行う際には、どのような順番で警報が発生し、オペレータがどのような操作をしたかを確認することが重要である。後述の履歴リストには、発生したイベントが順次記録されるため、履歴リストを見れば、どのような順番で警報が発生したかは確認できるが、オペレータによる操作は記録されない。
【0041】
これに対し、本実施の形態1では、上述のようにイベント発生画面35自体を動画で保存するため、履歴リストに記録されないオペレータ操作を確認できるようになり、詳細な事後解析が可能となる。
【0042】
[各種リストの保存]
次に、各種リストの保存について説明する。
図5は、実施の形態1に係る火災報知設備の表示装置の記憶部に記憶された各種リストの一例を示す図である。記憶部17には、画面リスト171、アラームリスト172および履歴リスト173が記憶されている。表示部14は、これらのリストに基づいてグラフィックエリア30にリスト画面を表示する。リスト画面の映出方法は、メニューバー34にある「画面選択」(図示せず)を操作してサブメニューを開き、サブメニューに表示された「画面リスト」、「アラームリスト」、「履歴リスト」のメニューから所望のリストをマウス16でクリックして選択することで、選択されたリストをグラフィックエリア30に表示できる。
【0043】
画面リスト171のリスト画面には、監視対象の建物の各フロアの階数名がリスト表示され、現在イベントが発生している階については、赤字等で表示される。ここでは、5階で火災が発生しているとすると、「5階」の表示が赤字等で表示される。アラームリスト172のリスト画面には、現在発生しているイベントの発生時間および発生場所が赤字等で表示される。履歴リスト173のリスト画面には、アラームリストエリア32に表示されたイベントをリスト表示し、最新のイベントが赤字等で表示される。履歴リスト173では、例えば、最大5万点のイベントを確認できる。
【0044】
制御部11は、イベントが発生する度に、記憶部17に記憶されたこれらのリストを更新し、最新のリストを、ネットワークNを通じて送信部18から外部装置19に送信する。表示装置1からのリストデータを受信した外部装置19は、受信したリストデータを記憶部19bに記憶する。外部装置19は、表示装置1からリストデータが送信されてくる度に、その最新のリストデータに上書きして記憶部19bを更新する。これにより、外部装置19の記憶部19bには常に最新のリストが保存されていることになる。
【0045】
以上のようにして各種リストを外部装置19の記憶部19bに保存しておくことで、防災管理者は、表示装置1の設置場所まで赴かなくても、自身のユーザ端末3から外部装置19にアクセスして各種リストを確認し、現状の把握、事後解析に役立てることができる。
【0046】
[火災報知設備の表示装置1の効果]
以上説明したように実施の形態1の火災報知設備の表示装置1は、イベント発生画面35に表示される画像データを外部装置19に送信する送信部18を備えた。このように、火災報知設備の表示装置1は、表示装置1の設置場所以外の場所からイベント発生画面35を確認できるように、イベント発生画面35の画像データを送信部18から外部装置19に送信できる。
【0047】
また、火災報知設備の表示装置1は、イベント発生前後の所定時間Tのイベント発生画面35の動画を送信部18から外部装置19に送信する。これにより、防災管理者は、表示装置1の設置場所まで赴かなくても、自身のユーザ端末3から外部装置19にアクセスして動画を確認し、オペレータの操作の事後分析を行うことができる。
【0048】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、イベント発生時において、部分監視地
図17bの画像データを表示装置1から外部装置19に送信するようにしていた。これに対し、実施の形態2では、イベント発生画面35に表示されていない部分も含む監視地
図17aの画像データを表示装置1から外部装置19に送信する。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる内容を中心に説明するものとし、本実施の形態2で説明されていない内容は実施の形態1と同様である。
【0049】
火災発生時には、グラフィックエリア30に表示されていない地区の設備機器の状態についても確認を行うことが求められる。具体的には例えば、グラフィックエリア30に表示されていない地区に設置された防火戸24が閉鎖されているか、また、作動が不要な設備機器が誤って作動していないか、等の確認を行いたい場合がある。
【0050】
このため、実施の形態2の表示装置1の制御部11は、イベント発生毎に、イベント反映済の監視地
図17aであって、部分監視地
図17bを含む監視地
図17aの画像データを、ネットワークNを介して送信部18から外部装置19に送信する。表示装置1からの画像データを受信した外部装置19は、受信した画像データを記憶部19bに記憶する。外部装置19は、表示装置1から画像データが送られてくる度に、その最新の画像データに上書きして記憶部19bを更新する。外部装置19は、表示装置1からの画像データをユーザ端末3から読み出し可能に記憶部19bに記憶する。
【0051】
上記構成により、防災管理者は、ユーザ端末3を操作して監視地
図17aをユーザ端末3の表示部に表示することで、表示装置1のグラフィックエリア30に表示されていない部分も確認することができる。ユーザ端末3の表示部に監視地
図17aを表示する際には、監視地
図17aを縮小表示して全体が表示されるようにしてもよいし、指を用いたピンチアウトおよびピンチインの操作により、自由に拡大縮小して表示することもできる。これは、スマートフォン等のユーザ端末3が有するデフォルトの機能を用いて行える。
【0052】
なお、グラフィックエリア30には、部分監視地
図17bとして、監視地
図17aの一部が表示される。部分監視地
図17bを1倍画面とすると、監視地
図17aは2倍、4倍、8倍または16倍等となる。例えば2倍画面は、監視地
図17aの1/2の領域を表示した画面である。見方を変えれば、グラフィックエリア30に2倍画面が表示されている場合、グラフィックエリア30には監視地
図17aの1/2の領域だけしか表示されていないとも言える。
【0053】
実施の形態2の表示装置1は、グラフィックエリア30に表示されていない地区も含む監視地
図17aの画像データを外部装置19に送信して保存する。このため、防災管理者は、グラフィックエリア30に表示されていない地区の状況も自身のユーザ端末3から把握できるようになり、火災の発生状況をより正確且つ的確に把握できる。
【0054】
[火災報知設備の表示装置1の効果]
以上説明したように実施の形態2の火災報知設備の表示装置1は、実施の形態1と同様の効果が得られることに加え、以下の効果を有する。表示装置1は、イベント発生時に部分監視地
図17bを含む監視地
図17a全体の画像データを送信部18から外部装置19に送信する。このため、防災管理者は、ユーザ端末3から外部装置19にアクセスすることで、グラフィックエリア30に表示されていない部分の状況も確認できる。
【0055】
なお、上記実施の形態1では、ユーザ端末3に防災用のアプリケーションがインストールされている必要は無いとした。一方で、火災発生時の現状把握を簡便に確認可能とするため、防災用のアプリケーションをユーザ端末3にインストールして、以下の表示ができるようにしてもよい。
【0056】
図6は、実施の形態2に係る表示システムのユーザ端末における監視地図の表示例を示す図である。ユーザ端末3には、防災用のアプリケーションがインストールされている。ユーザ端末3は、防災管理者によって所定の操作が行われると、防災用のアプリケーションを起動してユーザ端末3の表示部に監視地
図17aを表示する。ユーザ端末3は、外部装置19の記憶部19bに記憶されている監視地
図17aのうち、まずは最新の監視地
図17aを表示する。
図6の例では、火災が発生した5階の監視地
図17aが表示されている。そして、その表示画面上で防災管理者によっていわゆるスワイプ操作がされると、ユーザ端末3は次に新しい監視地
図17aを表示する指示と認識し、該当の1階の監視地
図17aを表示する。
【0057】
このように、ユーザ端末3では、アプリケーションにより、各フロアの監視地
図17aを最新のものから順に並べ替えて表示できる。
【0058】
また、上記の実施の形態では、外部装置19は、表示装置1から画像データが送られてくる度に、その最新画像データに上書きして記憶部19bを更新するものとして説明したが、画像データが送られてくる度に、別の画像データとして記憶部19bに蓄積するようにしてもよい。その場合に、ユーザ端末3は、外部装置19に蓄積されている複数の画像データを並べて表示してもよいし、最新の画像データを表示しておいて、スワイプ操作されると順次過去の画像データを表示するようにしてもよい。また、ユーザ端末3は、一定時間毎に順次過去の画像データを表示するようにしてもよい。また、ユーザ端末3は、履歴リスト173でイベントが選択されると、その時点の画像データを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 表示装置、2 火災受信機、3 ユーザ端末、4 商用電源、5 ブレーカ、6 予備電源装置、11 制御部、12 インターフェース部、13 画像出力部、14 表示部、15 操作入力部、16 マウス、17 記憶部、17a 監視地図、17b 部分監視地図、18 送信部、19 外部装置、19a 受信部、19b 記憶部、20 煙感知器、20a シンボル、21 熱感知器、22 発信機、23 地区ベル装置、24 防火戸、25 検知器、26 排煙機、30 グラフィックエリア、30a スクロールバー、30b スクロールバー、31 時刻表示エリア、32 アラームリストエリア、33 フロア選択エリア、33a 選択ボタン、34 メニューバー、35 イベント発生画面、171 画面リスト、172 アラームリスト、173 履歴リスト、N ネットワーク。