(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146303
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/762 20060101AFI20231004BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231004BHJP
H01L 21/8249 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01L21/76 D
H01L27/088 331A
H01L27/06 321C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053427
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 史哲
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
【Fターム(参考)】
5F032AA03
5F032AA06
5F032CA09
5F032CA23
5F032DA24
5F032DA33
5F032DA43
5F032DA53
5F032DA71
5F032DA74
5F048AA04
5F048AB10
5F048BA01
5F048BG05
5F048BG11
5F048BG14
5F048BG16
(57)【要約】
【課題】
高周波の入力信号により動作する半導体装置において、素子に高周波信号が入力された際の素子間クロストークを低減可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体基板と、前記半導体基板の主面に形成されたポリシリコン層と、前記ポリシリコン層を介して前記主面上に形成された第1の素子形成領域および第2の素子形成領域と、前記第1の素子形成領域と前記第2の素子形成領域とを分離する素子分離領域と、を備え、前記素子分離領域は、前記ポリシリコン層の一部と、第1の絶縁層および第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に形成され、前記ポリシリコン層よりも抵抗値の低い低抵抗ポリシリコン層とで構成されることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成されたポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層を介して前記主面上に形成された第1の素子形成領域および第2の素子形成領域と、
前記第1の素子形成領域と前記第2の素子形成領域とを分離する素子分離領域と、を備え、
前記素子分離領域は、前記ポリシリコン層の一部と、第1の絶縁層および第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に形成され、前記ポリシリコン層よりも抵抗値の低い低抵抗ポリシリコン層とで構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第1の素子形成領域は、表面側に第1の半導体素子を有するとともに、前記第1の半導体素子に高周波信号が入力され、
前記第2の素子形成領域は、表面側に第2の半導体素子を有するとともに、前記第2の半導体素子に負荷が接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記素子分離領域は、前記第1の素子形成領域と第2の素子形成領域との間の領域の表面側に前記低抵抗ポリシリコン層と電気的に接続された電極を有し、
前記電極は、接地電位を含む任意の電位に接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記素子分離領域は、前記ポリシリコン層の一部を挟んで、前記第1の素子形成領域側に形成された前記第1の絶縁層と前記低抵抗ポリシリコン層と前記第2の絶縁層とで構成される第1の積層構造と、前記第2の素子形成領域側に形成された前記第1の絶縁層と前記低抵抗ポリシリコン層と前記第2の絶縁層とで構成される第2の積層構造とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
超音波診断装置用アナログスイッチとして使用されることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造とその製造方法に係り、特に、高周波の入力信号により動作する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号の切り替えに使用される高周波デバイスは、衛星放送や携帯電話などの各種映像・情報通信分野において、重要な役割を果たしている。医療分野においても、例えば、超音波診断装置に高耐圧アナログスイッチIC(Integrated Circuit)として利用されている。
【0003】
高周波デバイスは、高周波の入力信号により動作するため、高周波デバイスに形成された複数の素子間において、相互インダクタンスによる誘導(電磁)結合でノイズが誘起され、クロストークが発生する。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、「N-型のコレクタ領域115aと活性層領域115bとの間に、絶縁膜104と電流取り出し領域5とで構成される素子分離領域を設け、電流取り出し領域5の表面側を所望の電位(例えば接地電位)に固定した半導体装置」が開示されている。(特許文献1の
図2及び段落[0025]-[0026])
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の一般的な高周波デバイスでは、シリコン酸化膜及び高抵抗のポリシリコンにより素子間を分離し、さらに支持基板の裏面を接地電位に接続する素子分離構造が採用されている。
【0007】
素子分離領域のポリシリコンは高抵抗であるため、例えば一方の素子に高周波の信号が入力された場合、素子分離酸化膜容量を介して信号が他方の素子に接続された負荷に伝搬する信号クロストークが発生し易い。
【0008】
半導体装置におけるクロストークの発生は、信号遅延による誤動作や消費電力の増大、EM断線(Electromigration)などの不具合に繋がる可能性がある。
【0009】
上記特許文献1によれば、一つの半導体領域に変位電流が生じても、他の半導体領域がその変位電流によって誤動作を発生することを確実に防止することができるとしている。(特許文献1の段落[0015],[0026])
しかしながら、電流取り出し領域5の抵抗値によっては、半導体領域間に生じるクロストークを十分に抑制できない可能性がある。
【0010】
また、電流取り出し領域5がポリシリコンで形成されている場合、ポリシリコンを低抵抗化するには限界があり、より高い周波数の高周波信号が入力された場合にはクロストークを充分に抑制できない場合がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、高周波の入力信号により動作する半導体装置において、素子に高周波信号が入力された際の素子間クロストークを低減可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の主面に形成されたポリシリコン層と、前記ポリシリコン層を介して前記主面上に形成された第1の素子形成領域および第2の素子形成領域と、前記第1の素子形成領域と前記第2の素子形成領域とを分離する素子分離領域と、を備え、前記素子分離領域は、前記ポリシリコン層の一部と、第1の絶縁層および第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に形成され、前記ポリシリコン層よりも抵抗値の低い低抵抗ポリシリコン層とで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高周波の入力信号により動作する半導体装置において、素子に高周波信号が入力された際の素子間クロストークを低減可能な半導体装置を実現することができる。
【0014】
これにより、入力信号対雑音比(S/N比)を向上することができ、半導体装置の信頼性向上が図れる。
【0015】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の半導体装置の素子分離構造を示す図である。(従来例1)
【
図2】
図1の半導体装置における素子間クロストークCBEを示す図である。
【
図3】従来の半導体装置の素子分離構造を示す図である。(従来例2)
【
図4】
図3の半導体装置における素子間クロストークCBEを示す図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る半導体装置の素子分離構造を示す図である。
【
図6】
図5の半導体装置における素子間クロストークCBEを示す図である。
【
図7】
図1の半導体装置の等価回路を示す図である。(従来例1)
【
図8】
図3の半導体装置の等価回路を示す図である。(従来例2)
【
図9】
図5の半導体装置の等価回路を示す図である。(実施例1)
【
図10】素子間クロストークの入力信号周波数依存性比較を示す図である。
【
図11】本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【実施例0018】
先ず、
図1から
図4を参照して、従来の高周波デバイスにおけるクロストークについて説明する。
【0019】
[従来例1]
図1は、従来例1の半導体装置1の素子分離構造を示す図である。
図2は、
図1の半導体装置1における素子間クロストークCBEを示す図である。
【0020】
図1に示す従来例1の半導体装置1は、主要な構成として、半導体基板15と、半導体基板15の主面に形成されたポリシリコン層2と、ポリシリコン層2を介して半導体基板15の主面上に形成された複数の(
図1では2つの)素子形成領域3と、複数の素子形成領域3を互いに分離する素子分離領域とを備えている。
【0021】
素子分離領域は、ポリシリコン層2の一部(
図1では上に凸形状の部分)と、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁層4とで構成されている。
【0022】
ポリシリコン層2は、比較的抵抗値の高い高抵抗ポリシリコンで形成されており、少なくとも後述する
図3及び
図5の低抵抗ポリシリコン層22よりも高い抵抗値を有している。
【0023】
素子形成領域3は、活性層5と、不純物拡散層8と、絶縁層4と活性層5との間に形成された高濃度不純物層13とを有している。
【0024】
不純物拡散層8は、低濃度不純物層10と、中濃度不純物層11と、高濃度不純物層12とで構成されている。
【0025】
ポリシリコン層2と絶縁層4との間には、低濃度不純物層14が形成されている。
【0026】
素子分離領域を構成するポリシリコン層2の一部(上に凸形状の部分)と素子形成領域3の表面側には、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁層6が形成されている。
【0027】
素子形成領域3上の絶縁層6には、絶縁層6を貫通するコンタクトホール7が形成されており、絶縁層6上に形成された電極9がコンタクトホール7を介して不純物拡散層8の高濃度不純物層12と接続されている。
【0028】
活性層5と、不純物拡散層8と、高濃度不純物層13と、電極9とで1つの半導体素子が構成されている。
図1の例では、
図1の左側の活性層5,不純物拡散層8,高濃度不純物層13,電極9で1つの半導体素子が構成され、右側の活性層5,不純物拡散層8,高濃度不純物層13,電極9で1つの半導体素子が構成されている。
【0029】
半導体基板15は、ポリシリコン層2及び素子形成領域3の支持基板であり、半導体基板(支持基板)15の裏面は接地電位18に接続されている。
【0030】
ここで、
図1の左側の電極9に高周波信号源16が接続され、右側の電極9に負荷抵抗17が接続されている場合を考える。
【0031】
高周波信号源16から左側の電極9に高周波の信号が入力された場合、素子分離領域のポリシリコン層2は高抵抗であるため、素子分離膜容量19を介して信号が右側の電極9に接続された負荷抵抗17に伝搬する素子間クロストークCBEが発生する。
【0032】
この素子間クロストークCBEの大きさは、
図2に示すように高周波信号源16が接続された半導体素子の素子分離膜容量19に対するポリシリコン抵抗20と、他方の半導体素子の素子分離膜容量19及び負荷抵抗17の合成抵抗により決まるため、ポリシリコン抵抗20が高抵抗の場合には負荷抵抗17側に伝搬するクロストーク電圧値は比較的大きくなる。
【0033】
[従来例2]
図3は、従来例2の半導体装置21の素子分離構造を示す図である。
図4は、
図3の半導体装置21における素子間クロストークCBEを示す図である。
【0034】
従来例2の半導体装置21は、従来例1の半導体装置1に対して、ポリシリコン層2を低抵抗化して低抵抗ポリシリコン層22とし、さらに素子分離領域のポリシリコン層2上の絶縁層6にコンタクトホール7と電極9を設け、素子分離領域のポリシリコン層2がコンタクトホール7及び電極9を介して接地電位18に接続されている点において異なっている。その他の構成は、従来例1の半導体装置1と同様である。
【0035】
図3のような構造とすることで、低抵抗ポリシリコン層22を介して素子分離領域を接地電位に接続することが可能となり、
図4に示すように低抵抗ポリシリコン層22と素子分離膜容量19及び負荷抵抗17の合成抵抗を低くすることができ、素子間クロストークCBEを低減することが可能となる。
【0036】
しかしながら、従来例2の半導体装置21のように、ポリシリコン層全体を低抵抗化し、表面から電極を取り出して接地電位に接続した場合でも、低抵抗ポリシリコン層22の低抵抗化には限界があり、より周波数の高い高周波信号が入力された場合には素子間クロストークCBEを充分に抑制できない場合がある。
【0037】
次に、
図5から
図10を参照して、本発明の実施例1に係る半導体装置について説明する。
【0038】
図5は、本実施例の半導体装置23の素子分離構造を示す図である。
図6は、
図5の半導体装置23における素子間クロストークCBEを示す図である。
【0039】
図5に示す本実施例の半導体装置23は、主要な構成として、半導体基板15と、半導体基板15の主面に形成されたポリシリコン層2と、ポリシリコン層2を介して半導体基板15の主面上に形成された複数の(
図5では2つの)素子形成領域3と、複数の素子形成領域3を互いに分離する素子分離領域とを備えている。
【0040】
素子分離領域は、ポリシリコン層2の一部(
図5では上に凸形状の部分)と、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁層24,25と、絶縁層24,25の間に形成され、ポリシリコン層2よりも抵抗値の低い低抵抗ポリシリコン層22とで構成されている。
【0041】
低抵抗ポリシリコン層22は、比較的抵抗値の低いポリシリコンで形成されており、少なくともポリシリコン層2よりも低い抵抗値を有している。
【0042】
素子形成領域3は、活性層5と、不純物拡散層8と、絶縁層25と活性層5との間に形成された高濃度不純物層13とを有している。
【0043】
不純物拡散層8は、低濃度不純物層10と、中濃度不純物層11と、高濃度不純物層12とで構成されている。
【0044】
素子分離領域を構成するポリシリコン層2の一部(上に凸形状の部分)と素子形成領域3の表面側には、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁層6が形成されている。
【0045】
素子形成領域3上の絶縁層6には、絶縁層6を貫通するコンタクトホール7が形成されており、絶縁層6上に形成された電極9がコンタクトホール7を介して不純物拡散層8の高濃度不純物層12と接続されている。
【0046】
活性層5と、不純物拡散層8と、高濃度不純物層13と、電極9とで1つの半導体素子が構成されている。
図5の例では、
図5の左側の活性層5,不純物拡散層8,高濃度不純物層13,電極9で1つの半導体素子(「第1の半導体素子」と呼ぶ)が構成され、右側の活性層5,不純物拡散層8,高濃度不純物層13,電極9で1つの半導体素子(「第2の半導体素子」と呼ぶ)が構成されている。
【0047】
ここで、「第1の半導体素子」が形成される素子形成領域を「第1の素子形成領域」と呼び、「第2の半導体素子」が形成される素子形成領域を「第2の素子形成領域」と呼ぶ。
【0048】
半導体基板15は、ポリシリコン層2及び素子形成領域3の支持基板であり、半導体基板(支持基板)15の裏面は接地電位18に接続されている。
【0049】
素子分離領域の低抵抗ポリシリコン層22上の絶縁層6には、絶縁層6を貫通するコンタクトホール7が設けられており、絶縁層6上に形成された電極9がコンタクトホール7を介して低抵抗ポリシリコン層22と電気的に接続されている。電極9は、任意の電位AP(例えば接地電位)に接続される。
【0050】
なお、
図5に示すように、素子分離領域の低抵抗ポリシリコン層22の表面に高濃度不純物層12を形成し、高濃度不純物層12を介して電極9と低抵抗ポリシリコン層22とを電気的に接続しても良い。
【0051】
また、
図5に示すように、素子分離領域の2つの電極9の間の絶縁層6を除去して、絶縁層24が表面に露出するように構成しても良く、2つの電極9の間の絶縁層6を残して、絶縁層6が絶縁層24を覆うように構成しても良い。
【0052】
以上説明したように、
図5に示す本実施例の半導体装置23の素子分離領域は、ポリシリコン層2の一部(上に凸形状の部分)と、ポリシリコン層2の一部を挟んで、第1の素子形成領域3側に形成された第1の絶縁層24と低抵抗ポリシリコン層22と第2の絶縁層25とで構成される第1の積層構造と、第2の素子形成領域3側に形成された第1の絶縁層24と低抵抗ポリシリコン層22と第2の絶縁層25とで構成される第2の積層構造とを有している。
【0053】
このような素子分離領域を有することで、
図6に示すように、負荷抵抗17側の合成抵抗は、直列に接続された素子分離膜容量26と接地電位18に接続された低抵抗ポリシリコン層22によって、従来例1及び従来例2よりも低くなるため、素子間クロストークCBEをより効果的に低減することが可能となる。
【0054】
図7から
図10を用いて、本実施例の素子分離構造による素子間クロストーク抑制効果について、従来例1及び従来例2との比較結果を説明する。
【0055】
図7は、従来例1(
図1)の半導体装置1の等価回路を示す図である。
図8は、従来例2(
図3)の半導体装置21の等価回路を示す図である。
図9は、本実施例(
図5)の半導体装置23の等価回路を示す図である。
図10は、素子間クロストークCBEの入力信号周波数依存性比較を示す図である。
【0056】
従来例1(
図1及び
図2)、従来例2(
図3及び
図4)、本実施例(
図5及び
図6)において、ポリシリコン層2の抵抗値を1MΩ、低抵抗ポリシリコン層22の抵抗値を1KΩ、素子分離膜容量19,26,27を3pF、負荷抵抗17の抵抗値を50Ωと仮定し、
図7から
図9に示す等価回路における入力信号電圧Vinに対する50Ωの負荷抵抗17で発生する電圧Voutの入力信号周波数依存性を比較する。
【0057】
ここでは、入力信号電圧Vinに対する出力信号電圧Voutの大きさをKCRとし、以下の式(1)により素子間クロストークCBEの入力信号周波数依存性を比較した結果を
図10に示す。
【0058】
【0059】
図10の横軸は入力信号周波数fを示し、縦軸は入力信号電圧Vinに対する出力信号電圧Voutの大きさKCRを示している。また、A,B,Cは、それぞれ従来例1(
図1及び
図2),従来例2(
図3及び
図4),本実施例(
図5及び
図6)の値を示している。
【0060】
図10に示すように、入力信号周波数10MHzにおけるKCRは、従来例1(A)で約-46.5dB、従来例2(B)で約-55.6dB であるのに対し、本実施例では約-76.2dBとなり、本実施例での素子間クロストークCBEは従来例に対して20.6dB以上低い結果となる。
【0061】
これは、本実施例の50Ωの負荷抵抗17で発生する電圧Voutの大きさが、従来例に対して1/10以下であることを意味しており、本実施例において顕著な素子間クロストーク抑制効果を得られることがわかる。
【0062】
したがって、本実施例の素子分離構造を採用することにより、従来構造では素子間クロストークの悪化により使用できなかった、より周波数の高い高周波の入力信号領域においても半導体装置を使用することが可能となる。
【0063】
また、本実施例の素子分離構造を、例えば超音波診断装置用の高耐圧アナログスイッチICに採用することで、素子間クロストークが減少し、鮮明な画像が得られるなどのメリットがある。
次に、ステップS2において、マスクパターン29をマスクにウエットエッチングを行い、活性層基板28に断面が略V字状の溝30を形成する。この略V字状の溝30が、素子分離領域を構成するポリシリコン層2の一部(上に凸形状の部分)となる部分に相当する。
次に、ステップS4において、溝30を含む活性層基板28の表面の酸化膜31上に、ポリシリコン膜32を成膜する。このポリシリコン膜32は、比較的高抵抗なポリシリコン膜である。
次に、ステップS6において、溝30を含む活性層基板28の表面の低抵抗ポリシリコン膜34上に、ポリシリコン膜35を成膜する。このポリシリコン膜35は、ポリシリコン膜32と同様に、比較的高抵抗なポリシリコン膜である。
次に、ステップS8において、溝30を含む活性層基板28の表面の酸化膜36上に、ポリシリコン膜37を成膜する。このポリシリコン膜37は、ポリシリコン膜32,35と同様に、比較的高抵抗なポリシリコン膜である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。