(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146307
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 35/02 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
H02K35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053433
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000114710
【氏名又は名称】ヤマウチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】林 高良
(57)【要約】
【課題】従来より発電効率のよい発電機を提供する。
【解決手段】発電機100は、コイル30と、永久磁石52と、永久磁石52の上方に設けられた支持部材18と、上下方向(コイル30の軸方向)に伸縮可能な弾性部材54aを含みかつ永久磁石52と支持部材18とを接続する接続部材54と、永久磁石52の下方に配置された錘56と、永久磁石52と錘56とを接続する接続部材58とを備える。接続部材58は、錘56の左右方向の移動に連動して永久磁石52を下方に引っ張る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に巻回されたコイルと、
前記コイルの軸方向から見て前記コイルの内側に配置され、かつ前記コイルに対して前記軸方向に移動可能に設けられた永久磁石と、
前記軸方向において前記永久磁石の一方側に位置するように前記コイルに対して固定された第1支持部材と、
前記軸方向に伸縮可能な第1弾性部材を含みかつ前記永久磁石と前記第1支持部材とを接続する第1接続部材と、
前記軸方向において前記永久磁石の他方側に配置され、かつ前記コイルに対して前記軸方向および前記コイルの径方向に移動可能に設けられた錘と、
前記永久磁石と前記錘とを接続し、かつ前記錘の前記径方向における外側への移動に連動して前記永久磁石を前記軸方向における前記他方側に引っ張る第2接続部材と、
を備える、発電機。
【請求項2】
前記軸方向において前記永久磁石と前記第1支持部材との間に位置するように前記コイルの前記一方側に設けられかつ前記軸方向に貫通する第1貫通孔を有する第1ガイド部材をさらに備え、
前記第1接続部材は、前記第1貫通孔を通るように設けられた第1線状部材を有し、
前記軸方向から見て、前記第1貫通孔は、前記永久磁石の外縁よりも内側に位置し、
前記軸方向において、前記第1支持部材と前記第1ガイド部材との間に前記第1弾性部材が設けられ、
前記第1線状部材を介して、前記永久磁石と前記第1弾性部材とが接続されている、
請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記軸方向において前記永久磁石と前記錘との間に位置するように前記コイルの前記他方側に設けられかつ前記軸方向に貫通する第2貫通孔を有する第2ガイド部材をさらに備え、
前記第2接続部材は、前記第2貫通孔を通るように設けられた第2線状部材を有し、
前記軸方向から見て、前記第2貫通孔は、前記永久磁石の外縁よりも内側に位置している、
請求項1または2に記載の発電機。
【請求項4】
前記軸方向において前記錘の他方側に位置するように前記コイルに対して固定された第2支持部材と、
前記軸方向に伸縮可能な第2弾性部材を含みかつ前記錘と前記第2支持部材とを接続する第3接続部材と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれかに記載の発電機。
【請求項5】
前記永久磁石を収容する第1筒状部材をさらに備え、
前記コイルは、前記第1筒状部材の外周を覆うように設けられている、
請求項1から4のいずれかに記載の発電機。
【請求項6】
前記軸方向において前記第1筒状部材よりも一方側に設けられかつ前記第1弾性部材を収容する第2筒状部材をさらに備える、
請求項5に記載の発電機。
【請求項7】
前記軸方向において前記第1筒状部材よりも他方側に設けられかつ前記錘を収容する第3筒状部材をさらに備える、
請求項5または6に記載の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる種々の発電機が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された振動ダイナモ装置は、非磁性体の筒状部材と、筒状部材の外周に配置されたコイルと、筒状部材の延在方向に沿って往復運動できるように筒状部材に収容されたマグネットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の振動ダイナモ装置では、筒状部材の延在方向に振動が発生した場合に、マグネットがコイルの軸方向に沿って往復運動し、コイルに交流電流が発生する。すなわち、発電が行われる。一方で、筒状部材の延在方向に直交する方向(すなわち、コイルの径方向)に振動が発生しても、効率よく発電することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、従来より発電効率のよい発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の発電機を要旨とする。
【0008】
(1)筒状に巻回されたコイルと、
前記コイルの軸方向から見て前記コイルの内側に配置され、かつ前記コイルに対して前記軸方向に移動可能に設けられた永久磁石と、
前記軸方向において前記永久磁石の一方側に位置するように前記コイルに対して固定された第1支持部材と、
前記軸方向に伸縮可能な第1弾性部材を含みかつ前記永久磁石と前記第1支持部材とを接続する第1接続部材と、
前記軸方向において前記永久磁石の他方側に配置され、かつ前記コイルに対して前記軸方向および前記コイルの径方向に移動可能に設けられた錘と、
前記永久磁石と前記錘とを接続し、かつ前記錘の前記径方向における外側への移動に連動して前記永久磁石を前記軸方向における前記他方側に引っ張る第2接続部材と、
を備える。
【0009】
(2)前記軸方向において前記永久磁石と前記第1支持部材との間に位置するように前記コイルの前記一方側に設けられかつ前記軸方向に貫通する第1貫通孔を有する第1ガイド部材をさらに備え、
前記第1接続部材は、前記第1貫通孔を通るように設けられた第1線状部材を有し、
前記軸方向から見て、前記第1貫通孔は、前記永久磁石の外縁よりも内側に位置し、
前記軸方向において、前記第1支持部材と前記第1ガイド部材との間に前記第1弾性部材が設けられ、
前記第1線状部材を介して、前記永久磁石と前記第1弾性部材とが接続されている、
上記(1)に記載の発電機。
【0010】
(3)前記軸方向において前記永久磁石と前記錘との間に位置するように前記コイルの前記他方側に設けられかつ前記軸方向に貫通する第2貫通孔を有する第2ガイド部材をさらに備え、
前記第2接続部材は、前記第2貫通孔を通るように設けられた第2線状部材を有し、
前記軸方向から見て、前記第2貫通孔は、前記永久磁石の外縁よりも内側に位置している、
上記(1)または(2)に記載の発電機。
【0011】
(4)前記軸方向において前記錘の他方側に位置するように前記コイルに対して固定された第2支持部材と、
前記軸方向に伸縮可能な第2弾性部材を含みかつ前記錘と前記第2支持部材とを接続する第3接続部材と、をさらに備える、
上記(1)から(3)のいずれかに記載の発電機。
【0012】
(5)前記永久磁石を収容する第1筒状部材をさらに備え、
前記コイルは、前記第1筒状部材の外周を覆うように設けられている、
上記(1)から(4)のいずれかに記載の発電機。
【0013】
(6)前記軸方向において前記第1筒状部材よりも一方側に設けられかつ前記第1弾性部材を収容する第2筒状部材をさらに備える、
上記(5)に記載の発電機。
【0014】
(7)前記軸方向において前記第1筒状部材よりも他方側に設けられかつ前記錘を収容する第3筒状部材をさらに備える、
上記(5)または(6)に記載の発電機。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来より発電効率のよい発電機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る発電機を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、上下方向の振動が発生した際の発電機を示す図である。
【
図3】
図3は、左右方向の振動が発生した際の発電機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る発電機について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発電機の内部構造を示す概略断面図である。なお、
図1においては、発電機100のうち筐体10の断面を示し、筐体10内に配置された振動機構50については断面ではなく外観を示している。
【0018】
(発電機の構成)
図1に示すように、本実施形態に係る発電機100は、筐体10と、筐体10に支持されたコイル30と、筐体10内に配置された振動機構50とを備えている。
【0019】
筐体10は、筒状部材12と、筒状部材14と、筒状部材16と、支持部材18と、支持部材20と、ガイド部材22と、ガイド部材24と、一対のフランジ部材26とを有している。筐体10の各部材は、非磁性材料からなる。本実施形態では、筒状部材12が第1筒状部材に対応し、筒状部材14が第2筒状部材に対応し、筒状部材16が第3筒状部材に対応し、支持部材18が第1支持部材に対応し、支持部材20が第2支持部材に対応し、ガイド部材22が第1ガイド部材に対応し、ガイド部材24が第2ガイド部材に対応する。
【0020】
本実施形態では、筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16は同軸状に設けられている。筐体10は、例えば、筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16の軸方向が鉛直方向に略一致するように設置される。本実施形態では、筒状部材12の上方に筒状部材14が位置付けられかつ筒状部材12の下方に筒状部材16が位置付けられるように、筐体10が設置される。本実施形態では、筐体10は、環状のゴム足28を介して図示しない設置面上に支持される。本実施形態では、ゴム足28は、滑り止め部材として機能する。
【0021】
筒状部材16の内接円の直径は、筒状部材12の内接円の直径よりも大きい。言い換えると、筒状部材12の径方向において、筒状部材16の内部空間は、筒状部材12の内部空間よりも大きい。本実施形態では、筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16はそれぞれ円筒形状を有し、筒状部材16の直径は、筒状部材12および筒状部材14の直径よりも大きい。
【0022】
筒状部材12の外周面に、一対のフランジ部材26が筒状部材12の軸方向に間隔をあけて固定されている。一対のフランジ部材26の間において、筒状部材12の外周面にコイル30が巻回されている。すなわち、コイル30は、筒状部材12と同軸状に設けられている。
【0023】
支持部材18および支持部材20は、円板形状を有している。ガイド部材22は中空円板形状を有し、中心部に貫通孔22aが形成されている。同様に、ガイド部材24は中空円板形状を有し、中心部に貫通孔24aが形成されている。本実施形態では、貫通孔22aが第1貫通孔に対応し、貫通孔24aが第2貫通孔に対応する。
【0024】
本実施形態では、筒状部材14の上端部に支持部材18が固定され、筒状部材12の上端部と筒状部材14の下端部とに挟まれるようにガイド部材22が固定されている。また、筒状部材16の下端部に支持部材20が固定され、筒状部材12の下端部と筒状部材16の上端部とに挟まれるようにガイド部材24が固定されている。
【0025】
振動機構50は、永久磁石52と、接続部材54と、錘56と、接続部材58と、接続部材60とを含む。本実施形態では、接続部材54が第1接続部材に対応し、接続部材58が第2接続部材に対応し、接続部材60が第3接続部材に対応する。なお、本実施形態では、振動機構50が2つの永久磁石52を有しているが、永久磁石52の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0026】
本実施形態では、永久磁石52は球体形状を有している。各永久磁石52は、N極とS極とが半球ずつ分極着磁されている。本実施形態では、永久磁石52は、往復運動の方向(コイル30の軸方向)に分極着磁されている。永久磁石52の材料は特に限定されないが、例えば、Nd‐Fe‐B焼結磁石を用いることができる。
【0027】
接続部材54は、永久磁石52と支持部材18とを接続するように設けられている。本実施形態では、接続部材54は、一対の永久磁石52のうち上方側の永久磁石52と支持部材18とを接続している。本実施形態では、接続部材54は、支持部材18に支持された弾性部材54aと、永久磁石52に接着された保持部材54bと、弾性部材54aと保持部材54bとを接続する線状部材54cとを含む。本実施形態では、弾性部材54aが第1弾性部材に対応し、線状部材54cが第1線状部材に対応する。
【0028】
弾性部材54aは、コイル30の軸方向(本実施形態では上下方向)に伸縮可能に構成されている。弾性部材54aとしては、例えば、コイルばね等の公知のばねを用いることができる。保持部材54bは、例えば、鉄を含む磁性材料からなる。本実施形態では、一対の永久磁石52は、接続部材54の保持部材54bと接続部材58の後述する保持部材58aとによって挟まれて保持されている。線状部材54cは、ガイド部材22の貫通孔22aを通って弾性部材54aと保持部材54bとを接続している。線状部材54cとしては、例えば、てぐす等の糸を用いることができる。
【0029】
錘56は、例えば、鉛等の非磁性材料からなる。錘56は、一対の永久磁石52の下方において、上下方向および左右方向に移動可能に設けられている。接続部材58は、永久磁石52と錘56とを接続するように設けられている。本実施形態では、接続部材58は、一対の永久磁石52のうち下方側の永久磁石52と錘56とを接続している。本実施形態では、接続部材58は、永久磁石52に接着された保持部材58aと、保持部材58aと錘56とを接続する線状部材58bとを含む。本実施形態では、線状部材58bが第2線状部材に対応する。
【0030】
保持部材54bと同様に、保持部材58aは、鉄を含む磁性材料からなる。本実施形態では、保持部材54b,58aはヨークとして機能する。線状部材58bは、ガイド部材24の貫通孔24aを通って保持部材58aと錘56とを接続している。線状部材54cと同様に、線状部材58bとしては、例えば、てぐす等の糸を用いることができる。
【0031】
接続部材60は、錘56と支持部材20とを接続するように設けられている。本実施形態では、接続部材60は、弾性部材60aを含む。本実施形態では、弾性部材60aが第2弾性部材に対応する。弾性部材60aは、コイル30の軸方向(本実施形態では上下方向)に伸縮可能に構成されている。弾性部材54aと同様に、弾性部材60aとしては、例えば、コイルばね等の公知のばねを用いることができる。
【0032】
(作用効果)
本実施形態に係る発電機100では、永久磁石52は、コイル30の軸方向から見てコイル30の内側に配置され、かつ上下方向(コイル30の軸方向)に移動可能に設けられている。また、永久磁石52は、上下方向(コイル30の軸方向)に伸縮可能な弾性部材54aを含む接続部材54を介して支持部材18に接続されている。支持部材18は、永久磁石52の上方に位置するようにコイル30に対して固定されている。本実施形態では、支持部材18は、筒状部材14、ガイド部材22および筒状部材12を介してコイル30に対して固定されている。また、本実施形態では、錘56は、永久磁石52の下方において、コイル30に対して上下方向(コイル30の軸方向)および左右方向(コイル30の径方向)に移動可能に設けられている。
【0033】
上記の構成において、発電機100に対して上下方向の振動が生じた場合、
図2に示すように、永久磁石52は、弾性部材54aを伸縮させつつ、コイル30に対して上下方向に往復運動する。これにより、コイル30に交流電流が発生する。
【0034】
また、発電機100に対して左右方向の振動が生じた場合、
図3に示すように、錘56が、コイル30に対して左右方向に往復運動する。接続部材58は、コイル30の径方向における錘56の外側への移動に連動して、永久磁石52を下方に引っ張る。したがって、錘56が左右方向に往復運動することによって、弾性部材54aが伸縮しつつ、永久磁石52がコイル30に対して上下方向に往復運動する。これにより、コイル30に交流電流が発生する。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る発電機100によれば、上下方向(コイル30の軸方向)に発生する振動および左右方向(コイル30の径方向)に発生する振動の両方を利用して発電を行うことができる。これにより、一方向の振動に基づいて発電を行うことを想定して設計された従来の発電機に比べて、効率よく発電を行うことができる。なお、詳細な説明は省略するが、コイル30には、例えば、整流器および充電器等が接続されてもよく、通信機器等が接続されてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、永久磁石52と支持部材18との間にガイド部材22が設けられている。弾性部材54aは、支持部材18とガイド部材22との間に設けられ、線状部材54cは、ガイド部材22の貫通孔22aを通るように設けられている。発電機100の基準状態(
図1に示す状態。外部から発電機100に力が作用していない状態。)において、貫通孔22aは、コイル30の軸方向から見て、永久磁石52の外縁よりも内側に位置している。なお、発電機100が基準状態の場合には、コイル30の軸方向から見て、永久磁石52および錘56は、コイル30の軸線上に位置している。
【0037】
上記のような構成により、発電機100に左右方向の振動が発生した場合に、線状部材54cが貫通孔22aの内面に接触することによって、永久磁石52が左右方向に大きく振動することを防止することができる。その結果、発電機100に左右方向に振動が発生した場合に、永久磁石52を上下方向に適切に往復運動させることが可能になり、効率よく発電を行うことができる。なお、線状部材54cの摩耗を抑制する観点から、貫通孔22aの上縁および下縁はそれぞれ面取りされていることが好ましい。
【0038】
また、本実施形態では、永久磁石52と錘56との間にガイド部材24が設けられている。線状部材58bは、ガイド部材24の貫通孔24aを通るように設けられている。コイル30の軸方向から見て、貫通孔24aは、永久磁石52の外縁よりも内側に位置している。このような構成により、
図3に示すように、発電機100に左右方向の振動が発生した場合に線状部材58bが貫通孔24aの内面に接触することによって、永久磁石52が左右方向に大きく振動することを防止しつつ、錘56を左右方向に適切に振動させることができる。その結果、発電機100に左右方向に振動が発生した場合に、永久磁石52を上下方向に適切に往復運動させることが可能になり、効率よく発電を行うことができる。なお、線状部材58bの摩耗を抑制する観点から、貫通孔24aの上縁および下縁はそれぞれ面取りされていることが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、錘56は、上下方向(コイル30の軸方向)に伸縮可能な弾性部材60aを含む接続部材60を介して支持部材20に接続されている。支持部材20は、錘56の下方に位置するようにコイル30に対して固定されている。本実施形態では、支持部材20は、筒状部材16、ガイド部材24および筒状部材12を介してコイル30に対して固定されている。
【0040】
上記の構成において、発電機100において上下方向および左右方向の振動が発生した場合、
図2および
図3に示すように、錘56は、上下方向および左右方向に振動するが、弾性部材60aの復元力によって、錘56には、基準状態の位置に戻る方向の力が作用する。これにより、錘56を上下方向および左右方向に効率よく振動させることができる。その結果、永久磁石52を上下方向に効率よく振動させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、永久磁石52を収容するように筒状部材12が設けられ、筒状部材12の外周を覆うようにコイル30が設けられている。この場合、筒状部材12によって永久磁石52を保護しつつ、コイル30を巻回するためのボビンとして筒状部材12を利用することができる。
【0042】
また、弾性部材54aを収容するように筒状部材14が設けられ、錘56を収容するように筒状部材16が設けられている。これにより、弾性部材54aおよび錘56を保護することができる。なお、本実施形態では、コイル30の径方向において、筒状部材16の内部空間は、筒状部材12の内部空間よりも大きい。このため、発電機100に左右方向の振動が発生した場合に、左右方向の十分な範囲において錘56を振動させることができる。その結果、上下方向の十分な範囲において永久磁石52を振動させることができ、効率よく発電を行うことができる。
【0043】
(変形例)
上述の実施形態では、発電機100が筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16を備える場合について説明したが、発電機100が筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16を備えていなくてもよい。なお、筒状部材12、筒状部材14および筒状部材16を設けない場合には、例えば、コイル30として、自己融着線からなる空芯コイルを用いることが考えられる。この場合には、何らかの部材を介して、コイル30に対して支持部材18、支持部材20、ガイド部材22およびガイド部材24を固定すればよい。
【0044】
上述の実施形態では、支持部材18から永久磁石52が垂れさがるようにコイル30の軸方向が鉛直方向に略一致するように発電機100を設置する場合について説明したが、発電機100の設置方法は上述の例に限定されない。例えば、
図1に示す発電機100を、上下反転させて使用してもよく、コイル30の軸方向が鉛直方向に略直交するように発電機100を設置してもよい。
【0045】
上述の実施形態では、球体形状の永久磁石52を用いる場合について説明したが、永久磁石の形状は球体形状に限定されず、円柱形状等の他の形状の永久磁石を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、コイルの軸方向に発生する振動およびコイルの径方向に発生する振動の両方を利用して効率よく発電を行うことができる。したがって、本発明に係る発電機は、例えば、地震の振動で発電して通信機器等を駆動する際に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 筐体
12,14,16 筒状部材
18,20 支持部材
22,24 ガイド部材
22a,24a 貫通孔
26 フランジ部材
28 ゴム足
30 コイル
50 振動機構
52 永久磁石
54,58,60 接続部材
56 錘
54a,60a 弾性部材
54b,58a 保持部材
54c,58b 線状部材
100 発電機