(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146386
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ピッキング装置、自動倉庫システム、積み付け方法
(51)【国際特許分類】
B65G 60/00 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B65G60/00 A
B65G60/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053540
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 直弘
(57)【要約】
【課題】本開示の目的の一つは、荷を効率的に積み付け可能なピッキング装置を提供することにある。
【解決手段】ある態様のピッキング装置10は、1以上の荷1を含む第1荷集合11の上に、1以上の荷1を含む第2荷集合12を積み付けるピッキング装置であって、第1荷集合11の荷1の大きさおよび数量に関する荷情報を取得する取得部と、取得部で取得された荷情報に基づいて、第2荷集合12を積み付ける積付領域を決定する決定部と、決定部で決定された積付領域に第2荷集合12を積み付ける移載機構6と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付けるピッキング装置であって、
前記第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記荷情報に基づいて、前記第2荷集合を積み付ける積付領域を決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記積付領域に前記第2荷集合を積み付ける移載機構と、
を備えるピッキング装置。
【請求項2】
前記第1荷集合は、複数種類の荷を含み、前記荷情報は、複数種類の荷のそれぞれの大きさおよび数量に関する情報を含む請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記荷情報に基づいて、前記第1荷集合の上面のうち平坦に連続する領域のうち、前記第2荷集合を積み付け可能な大きさを有する積付可能領域を前記積付領域に決定する請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記積付可能領域が複数あるときは、複数の前記積付可能領域のうち最も広い領域を前記積付領域に決定する請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記積付可能領域が複数あるときは、複数の前記積付可能領域のうち、最も低位置の領域を前記積付領域に決定する請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記積付可能領域が複数あるときは、複数の前記積付可能領域のうち、前記第1荷集合に前記第2荷集合を積み付けて形成される統合荷集合の最大高さの統合荷集合の底面積に対する比率が最も小さい領域を前記積付領域に決定する請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記積付可能領域が複数あるときは、複数の前記積付可能領域のうち、積み付け時に前記移載機構が前記第1荷集合と干渉しない領域を前記積付領域に決定する請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記積付可能領域が複数あるときは、複数の前記積付可能領域のうち、ピッキング時の前記第2荷集合の移動距離が最も短い領域を積付領域に決定する請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項9】
荷を保管する保管部を有する棚と、前記保管部の荷を移動させるピッキング装置と、を備える自動倉庫システムであって、
前記ピッキング装置は、1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付ける装置であって、
前記第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記荷情報に基づいて、前記第2荷集合を積み付ける積付領域を決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記積付領域に前記第2荷集合を積み付ける移載機構と、
を備える自動倉庫システム。
【請求項10】
1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付ける方法であって、
前記第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得することと、
取得された前記荷情報に基づいて、前記第2荷集合を積み付ける積付領域を決定することと、
決定された前記積付領域に前記第2荷集合を積み付けることと、
を含む積み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置、自動倉庫システムおよび積み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある収容部の荷を、別の収容部へ移動させるピッキング装置が知られている。本出願人は、特許文献1において、ピッキング装置を備える自動倉庫システムに関する技術を開示した。このピッキング装置は、保持部と、保持部の底面に設けられた複数の吸着部と、ガントリ型のクレーン機構とを備えており、一の収容部の上方から対象の荷を取り出し、水平方向に移動させ、上方から他の収容部のパレットに当該対象の荷を降ろすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ピッキング装置について以下の新たな認識を得た。ピッキング装置において、荷が積載されたパレットから一部の荷を取り出して別のパレットに積み付けるとき、効率的に積み付ける観点から、一度の動作でなるべく多くの荷を積付できることが望ましい。この場合、先に積み付けられた荷の上に新たな荷を積み付ける態様によっては、パレット上の荷の安定性が低下し、荷を移送する際に荷崩れを生じる可能性がある。これらから、従来のピッキング装置は、荷を効率的に積み付けるという観点からは改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、荷を効率的に積み付け可能なピッキング装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のピッキング装置は、1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付けるピッキング装置であって、第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得する取得部と、取得部で取得された荷情報に基づいて、第2荷集合を積み付ける積付領域を決定する決定部と、決定部で決定された積付領域に第2荷集合を積み付ける移載機構と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管する保管部を有する棚と、保管部の荷を移動させるピッキング装置と、を備える自動倉庫システムであって、ピッキング装置は、1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付ける装置であって、第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得する取得部と、取得部で取得された荷情報に基づいて、第2荷集合を積み付ける積付領域を決定する決定部と、決定部で決定された積付領域に第2荷集合を積み付ける移載機構と、を備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は積み付け方法である。この方法は、1以上の荷を含む第1荷集合の上に、1以上の荷を含む第2荷集合を積み付ける方法であって、第1荷集合の荷の大きさおよび数量に関する荷情報を取得することと、取得された荷情報に基づいて、第2荷集合を積み付ける積付領域を決定することと、決定された積付領域に第2荷集合を積み付けることと、を含む。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷を効率的に積み付け可能なピッキング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の自動倉庫システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】実施形態のピッキング装置の一例を示す正面図である。
【
図3】
図1の自動倉庫システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】決定部の決定条件の第1の例を説明する図である。
【
図5】決定部の決定条件の第2の例を説明する図である。
【
図6】決定部の決定条件の第3の例を説明する図である。
【
図7】決定部の決定条件の第4の例を説明する図である。
【
図8】決定部の決定条件の第5の例を説明する図である。
【
図9】決定部の位置決定条件の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
[実施形態]
図面を参照して実施形態に係るピッキング装置10を備えた自動倉庫システム100の構成を説明する。
図1は、自動倉庫システム100を概略的に示す平面図である。
【0015】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、X方向を横方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0016】
本明細書では、荷について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等のケースを「荷」という。荷には複数の物品が収容されてもよい。荷はピッキングを行うときに取り扱いされる最小単位であってもよい。単数または複数の荷の集合を「荷集合」という。また、荷集合がパレットに載置されたものは、パレットを含めて「荷集合」という。
【0017】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。
図1に示すように、自動倉庫システム100は、荷1を保管可能な複数の保管部52を有する棚5と、棚5に入庫または出庫のために荷1を移動する移動手段74、75、76と、荷1を保持して移動させるピッキング装置10と、情報処理部80とを主に備える。
【0018】
移動手段74、75、76は、第1移動手段74(例えば、第1台車)と、第2移動手段75(例えば、第2台車)と、第3移動手段76(例えば、昇降装置)とを含む。第1移動手段74、第2移動手段75および第3移動手段76は、荷1を、X方向、Y方向およびZ方向に移動させる搬送手段を構成する。第1移動手段74は、荷1をY方向に沿って移動させうる。第2移動手段75は、荷1をX方向に沿って移動させうる。第3移動手段76は、荷1をZ方向に移動させうる。
【0019】
例えば、搬送手段は、荷1を棚5の保管部52から搬出できる。例えば、搬送手段は、荷1を棚5の保管部52に搬入できる。例えば、搬送手段は、荷1を棚5の一の保管部52から棚5の他の保管部52に搬送できる。
【0020】
棚5は、多数の荷1を保管可能な保管スペースであり、保管棚と称されることがある。実施形態の棚5は、第2走行路73を挟んで図中右側の棚55と、図中左側の棚56に区分されている。棚5の構成は、複数の荷1を収容、保管可能であれば、特に限定されない。この例では、棚5は、X方向、Y方向およびZ方向(段方向)に沿って配列された複数の保管部52を含む。X方向、Y方向に配列された複数の保管部52を保管ステージという。言い換えると、棚5は、段方向に配列された複数段(例えば、3段)の保管ステージを備える。各保管部52は、荷1を収容可能に構成されている。
【0021】
棚5には、第1移動手段74が走行するための第1走行路71(例えば、第1レール)と、第2移動手段75が走行するための第2走行路73(例えば、第2レール)とが設けられる。第1走行路71は、棚55、56および後述するピッキング空間58においてY方向に延設される。第1移動手段74は、各保管部52の下部を走行できる。第2走行路73は、棚55、56およびピッキング空間58に隣接してX方向に延設される。
【0022】
第1移動手段74は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、空荷または荷1を搭載した状態で第1走行路71をY方向に走行する。第1移動手段74は、第2移動手段75および第3移動手段76に乗降できる。第2移動手段75は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、第2走行路73をX方向に走行する。第2移動手段75は、空荷の状態または荷1を搭載した状態の第1移動手段74を移送する。第3移動手段76は、第2走行路73に隣接して設けられる。第3移動手段76は、第1移動手段74および荷1を任意の保管ステージから他の保管ステージに昇降させることができる。
図1の例では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設されている。
【0023】
この例では、入庫対象の荷1は、フォークリフトなどの外部搬送手段(不図示)によって入出庫部77に搬入され、第3移動手段76によって目的の段に移送される。出庫対象の荷1は、保管されていた段から第3移動手段76によって入出庫部77の段に昇降され、入出庫部77に移送され、入出庫部77から外部搬送手段によって運び出される。
【0024】
図3を参照して情報処理部80を説明する。
図3は、自動倉庫システム100の機能ブロックを示すブロック図である。
図3に示す情報処理部80の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0025】
図3に示すように、情報処理部80は、入力部801と、第1制御部802と、第2制御部803と、取得部3と、決定部4と、計算部804と、記憶部805とを含む。入力部801は、操作入力部822に入力されたユーザの操作入力を取得する。第1制御部802は、ユーザの操作入力に基づいて、荷1を入庫、出庫、搬出、移送等するために、移動手段74、75、76を制御する。第2制御部803は、荷1をピッキングするためにピッキング装置10の移載機構6(クレーン機構60、保持部67)の動作を制御する。取得部3、決定部4、計算部804および記憶部805については後述する。
【0026】
(ピッキング装置)
図1、
図2を参照して、ピッキング装置10を説明する。
図2は、ピッキング装置10の一例を概略的に示す正面図である。ピッキング装置10は、ピッキング空間58においてピッキング動作を実行する。
【0027】
ピッキング動作は、一の荷集合から1以上の荷を取り出して他の荷集合に積み付けて荷を統合する動作である。
図2の例では、単一種の荷が積まれた単載パレット14を複数準備し(例えば、3種類)、客先の要望に合わせて複数種の荷を混載した組立パレット15を作成する例を示す。
【0028】
組立パレットを作成する場合に、ピッキング装置10は、単載パレット14の1層分の荷のうち1以上の荷を取り出して組立パレット15に移載できる。単載パレット14は、ピッキング元の荷集合であり、組立パレット15はピッキングで形成された荷集合である。
【0029】
ピッキングするために、単載パレット14から取り出された1以上の荷1を含む荷集合を第2荷集合12という。また、第2荷集合12が積み付けられる荷集合を第1荷集合11といい、第1荷集合11に第2荷集合12が積み付けられて形成される荷集合を統合荷集合という。
【0030】
(ピッキング空間)
ピッキング空間58には、単載パレット14を載置するための第1領域521と、組立パレット15を載置するため第2領域522とが設けられる。したがって、第2領域522には組立パレット15を形成する過程の第1荷集合11が載置される。
【0031】
ピッキング空間58は、棚56の外部に設けられてもよいが、この例では棚56内に設けられている。第1領域521および第2領域522は、ピッキング空間58内の特定の場所を指すものではなく、荷1を一時的に保管する領域を指している。したがって、ピッキング空間58における第1領域521および第2領域522の位置や範囲はピッキング作業ごとに変化する場合もある。実施形態の第1領域521および第2領域522は、保管部52と同様の構成を有する。
【0032】
実施形態のピッキング空間58には、第1走行路71がY方向に延設されている。第1領域521および第2領域522は、第1走行路71上に設けられている。第1移動手段74は、第1領域521および第2領域522の下部を走行できる。ピッキング前の単載パレット14は、第1移動手段74によって第1領域521に運び入れされる。ピッキング装置10は、単載パレット14から第2荷集合12を吸着して持ち上げ、所定の移動方向に移動させ、第1荷集合11の上に積み入れする。ピッキングが済んだ組立パレット15は、第1移動手段74によって第2領域522から運び出される。
【0033】
(移載機構)
ピッキング装置10は、移載機構6を備える。移載機構6は、クレーン機構60と、保持部昇降機構66と、保持部67とを含む。実施形態では、クレーン機構60は、いわゆるガントリ型のクレーン機構で、保持部昇降機構66および保持部67を支持する。
図2では、一部の柱、梁、フレームなどの記載を省略している。クレーン機構60は、一対の横梁63と、横桁62と、クレーン台車64と、保持部昇降機構66とを備える。一対の横梁63は、ピッキング空間58の上部空間においてY方向両側に離隔して設けられる。横梁63の両端は、縦柱61の上端に支持される。
【0034】
横桁62は、Y方向に延びるレール状の構造体で、一対の横梁63の間に架け渡される。横桁62は、横梁63上をX方向に自走可能に構成される。横桁62は、クレーンガータと称されることがある。クレーン台車64は、横桁62上をY方向に自走可能な台車である。保持部昇降機構66は、ピッキング装置10をクレーン台車64に吊下げるとともに、ピッキング装置10をZ方向に上下動させることができる。
【0035】
クレーン機構60は、ピッキング装置10を水平なX方向およびY方向に自在に移動可能に支持している。また、クレーン機構60は、ピッキング装置10を上下方向に移動可能に支持している。
【0036】
図2に示すように、保持部67は、保持部昇降機構66の下端に連結され、保持部昇降機構66の上端はクレーン機構60のクレーン台車64に連結される。
【0037】
保持部昇降機構66の下端には保持部67が連結される。保持部昇降機構66は、情報処理部80の制御に基づいて、モータを含む駆動手段(不図示)によって、保持部67を昇降させることができる。保持部昇降機構66は、情報処理部80の制御に基づいて、保持部67を鉛直回転軸の周りに回転させることができる。
【0038】
保持部67は、1または複数の荷1を保持可能である。この例の保持部67は、ブラケットに支持された複数の吸着部68を備える。複数の吸着部68は、X方向およびY方向に所定の間隔でマトリックス状に配置される。
【0039】
吸着部68は、吸着パッドを有し、真空発生源(不図示)により生成された大気圧よりも低圧の空気(以下、「吸引流体」という)が通され、吸着部68の吸着パッドに発生させた負圧によって、荷1を吸着するための吸着力を発生させる。真空発生源は、真空ポンプ、エジェクタ、真空ブロアなどを含んで構成できる。真空発生源からの吸引流体は、配管(不図示)を通じて吸着部68に供給される。
【0040】
吸着部68が荷1を吸着可能な吸着力を発生することを、吸着部68は「オン状態」といい、オン状態でない状態を「オフ状態」という。保持部67は、情報処理部80の制御に基づいて、複数の吸着部68のそれぞれのオン/オフ状態を切り替えることにより、吸着対象の荷1に対応する領域の吸着部68をオン状態にし、当該吸着対象の荷1を吸着して保持できる。
【0041】
図1~
図3を参照して、ピッキング装置10のピッキング動作の一例を説明する。ピッキング動作は、1以上のピッキングサイクルを含む。各ピッキングサイクルは、ピッキング装置10によって、第1領域521の単載パレット14から取り出した第2荷集合12を、第2領域522に移動し、第2領域522の第1荷集合11の上に積み付け、統合荷集合を形成する。統合荷集合は、次のピッキングサイクルにおける第1荷集合11となる。最終のピッキングサイクルにおける統合荷集合は組立パレット15になる。
【0042】
ピッキング装置10では、先に積み付けられた荷集合の上面の適切な領域に別の荷集合を積み付けすることが重要である。しかし、互いに高さが異なる複数種類の荷1を含む第1荷集合11の上面は一様でなく、相対的に高位置の凸領域と、凸領域よりも低位置の凹領域を有する。ピッキング装置10では、第1荷集合11の凹凸を有する上面に第2荷集合12を積み付けるために、上面の凹凸に関する情報(以下、「凹凸分布情報」という)を使用する。ピッキング装置10は、凹凸分布情報を取得するために、取得部3と、計算部804と、記憶部805とを有する。
【0043】
ピッキング装置10では、取得部3は、ネットワーク111を介して上位システム112から、第1荷集合11に含まれる各荷の大きさおよび数量に関する荷情報Jを取得する。上位システム112は、社内コンピュータシステムであってもよいし、外部コンピュータシステムであってもよい。
【0044】
計算部804は、取得部3で取得された荷情報Jに基づいて、第1荷集合11が仮想パレット上に配置された状態をシミュレーションする。また、計算部804は、このシミュレーション結果に基づいて、第1荷集合11の各層の上面の凹凸分布情報を導出する。つまり、計算部804は、仮想パレット上に積まれた荷の大きさおよび数量から、凸領域および凹領域の位置、形状、高さを算出し、凹凸分布情報を導き出す。したがって、凹凸分布情報は、凸領域および凹領域の位置、形状、高さの情報を含んでいる。導き出された凹凸分布情報は、記憶部805に記憶される。
【0045】
凹凸分布情報が導き出されたら、決定部4は、凹凸分布情報に基づいて、第2荷集合12の積付位置を決定するための決定条件(以下、「決定条件」という)を満たす積付領域Sを抽出し、その領域を積付領域Sに決定する。移載機構6は、決定部4で決定された積付領域Sに第2荷集合12を積み付ける。以下、
図4~
図8を参照して、積付領域Sを決定するための条件を説明する。
【0046】
(第1の例)
図4を参照して、決定条件の第1の例を説明する。
図4は、決定条件の第1の例を説明する図である。
図4において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。この例および後続の例では、L1は第1種類の荷1を示し、L2は第2種類の荷1を示す。L1、L2は直方体で、底面積は等しく、L2の高さH2はL1の高さH1の1.2倍である。
【0047】
第1荷集合11は、互いに高さが異なる複数種類の荷1を含んでおり、第2荷集合12を第1荷集合11の上面の凸凹がある領域に積み付けると、凹凸により積み付けた荷1が崩れる可能性が高い。そこで、実施形態では、決定部4は、荷情報Jに基づいて、第1荷集合11の上面のうち平坦に連続する領域(以下、単に「連続領域」という)のうち、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有する積付領域Sに決定する。
【0048】
図4の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P11、P12を有する。また、連続領域P11、P12は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有しており、移載機構6は、連続領域P11、P12のいずれにも第2荷集合12を積み付けできる。第2荷集合12を積み付け可能な形状は、連続領域が、第2荷集合12の平面範囲(水平面に投影した範囲)をすべて含みうる形状である。
【0049】
一度の積み付け動作で、できるだけ多数の荷1を含む第2荷集合12を積み付けできることが望ましい。そこで、実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、当該複数の積付可能領域のうち最も広い領域を積付領域Sに決定する。
図4の例では、連続領域P11は、連続領域P12よりも広いため、決定部4は、連続領域P11を積付領域Sに決定する。
【0050】
(第2の例)
図5を参照して、決定条件の第2の例を説明する。
図5は、決定条件の第2の例を説明する図である。
図5において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。
【0051】
図5の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P21、P22、P23を有する。このうち、連続領域P21、P22は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有しており、移載機構6は、連続領域P21、P22のいずれにも第2荷集合12を積み付けできる。
【0052】
第2荷集合12を、第1荷集合11の上面の高位置に積み付けると、積み付けた荷1の最大高さが高くなり安定性が低下する。そこで、実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、最も低位置の領域を積付領域Sに決定する。
図5の例では、連続領域P21は、連続領域P22よりも低位置であるため、決定部4は、連続領域P21を積付領域Sに決定する。
【0053】
(第3の例)
図6を参照して、決定条件の第3の例を説明する。
図6は、決定条件の第3の例を説明する図である。
図6において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。
【0054】
図6の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P31、P32を有する。連続領域P31、P32は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有している。また、連続領域P31は、連続領域P32よりも広い。したがって、移載機構6は、連続領域P31、P32のいずれにも第2荷集合12を積み付けできる。
【0055】
第1荷集合11に第2荷集合12を積み付けて形成される統合荷集合13の安定性の観点から、統合荷集合13の最大高さの統合荷集合13の底面積に対する比率は、低いことが望ましい。そこで、実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、第1荷集合11に第2荷集合12を積み付けて形成される統合荷集合13の最大高さの統合荷集合13の底面積に対する比率が最も小さい領域を積付領域Sに決定する。
【0056】
荷集合の底面積は、パレット20に接する各荷の底面積の総和である。
図6の例では、第2荷集合12を連続領域P32に積み付けた場合、連続領域P31に積み付けた場合よりも、統合荷集合13の底面積は1.4倍大きく、統合荷集合13の最大高さは、1.3倍大きい。よって、統合荷集合13の最大高さの底面積に対する比率は、連続領域P32に積み付けた方が小さくなる。これらから、決定部4は、最大高さの底面積に対する比率が最も小さい連続領域P32を積付領域Sに決定する。
【0057】
(第4の例)
図7を参照して、決定条件の第4の例を説明する。
図7は、決定条件の第4の例を説明する図である。
図7において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。
【0058】
図7の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P41、P42、P43を有する。連続領域P42、P43は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有しており、移載機構6は、連続領域P42、P43のいずれにも第2荷集合12を積み付けできる。
【0059】
積み付けるために第2荷集合12を移動させる際、移載機構6が第1荷集合11と干渉すると、第1荷集合11が崩れる可能性がある。そこで、実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、積み付け時に移載機構6が第1荷集合11と干渉しない領域を積付領域Sに決定する。
【0060】
図7の例では、連続領域P42は、前後の連続領域P41、43よりも低位置にあり、第2荷集合12の積み付け時に移載機構6の保持部67と干渉する可能性がある。このため、決定部4は、積み付け時に移載機構6が第1荷集合11と干渉しない連続領域P43を積付領域Sに決定する。
【0061】
(第5の例)
図8を参照して、決定条件の第5の例を説明する。
図8は、決定条件の第5の例を説明する図である。
図8において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。
【0062】
図8の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P51、P52、P53を有する。連続領域P51、P53は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有しており、移載機構6は、連続領域P51、P53のいずれにも第2荷集合12を積み付けできる。
【0063】
第2荷集合12を、第1荷集合11の上面のピッキング時の第2荷集合12の移動距離が長い位置に積み付けると、積み付けに掛かる時間が長くなり、稼働効率の観点から不利になる。そこで、実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、ピッキング時の第2荷集合12の移動距離が最も短い領域を積付領域Sに決定する。移動距離が最も短い領域は、ピッキング元の元荷集合(単載パレット14)に最も近い領域であってもよい。
【0064】
図8で矢印Fは移載機構6の移動方向を示す。
図8の例では、連続領域P51は、連続領域P53よりもピッキング時の第2荷集合12の移動距離が短い。このため、決定部4は、ピッキング時の第2荷集合12の移動距離が最も短い連続領域P51を積付領域Sに決定する。
【0065】
図9を参照して、積付領域Sのうち第2荷集合12を積み付ける位置を説明する。
図9は、位置決定条件の一例を説明する図である。
図9において、(A)は第1荷集合11の平面図、(B)は第1荷集合11の正面図、(C)は統合荷集合13の正面図である。
【0066】
積付領域Sが決定された場合、決定部4は、当該積付領域Sのうち、所定の条件(以下、「位置決定条件」という)を満たす位置を第2荷集合12の積付位置に決定する。
【0067】
図9の例では、第1荷集合11の上面は、連続領域P61、P62を有する。連続領域P61は、第2荷集合12を積み付け可能な形状を有しており、移載機構6は、連続領域P61に第2荷集合12を積み付けできる。
【0068】
第1荷集合11の連続領域P61に第2荷集合12を載せたとき、当該連続領域P61のうち第2荷集合12によって覆われない非カバー領域は、次のピッキングサイクルで連続領域となる。このため、次のピッキングサイクルの積み付けを容易にする観点から非カバー領域は広いことが望ましい。そこで、決定部4は、第1荷集合11の連続領域P61に第2荷集合12を載せたときに、当該連続領域P61のうち第2荷集合12によって覆われない非カバー領域が最も広くなる位置を積付位置として決定してもよい。
【0069】
図9に示すように、決定部4は、連続領域P61のうち移載機構6の移動方向で奥側の位置を積付位置として決定してもよい。この場合、非カバー領域Qが移載機構6の移動方向で手前側に形成されるので、次のピッキングサイクルの積み付けが容易になる。
【0070】
上述の第1~第5の決定条件および位置決定条件は、単独で用いられてもよいし、複数組み合わせて用いられてもよいし、他の決定条件または位置決定条件と組み合わせて用いられてもよい。
【0071】
実施形態のピッキング装置10の特徴を説明する。ピッキング装置10は、1以上の荷1を含む第1荷集合11の上に、1以上の荷1を含む第2荷集合12を積み付けるピッキング装置であって、第1荷集合11の荷1の大きさおよび数量に関する荷情報Jを取得する取得部3と、取得部3で取得された荷情報Jに基づいて、第2荷集合12を積み付ける積付領域Sを決定する決定部4と、決定部4で決定された積付領域Sに第2荷集合12を積み付ける移載機構6と、を備える。
【0072】
この構成によれば、荷1の大きさおよび数量に基づいて積付領域Sを決定するため、先に積み付けられた荷集合の上の適切な領域を積付領域Sに決定でき、適切な領域に別の荷集合を積み付け可能なため、荷を効率的に積み付けできる。
【0073】
実施形態では、第1荷集合11は、複数種類の荷1を含み、荷情報Jは、複数種類の荷1のそれぞれの大きさおよび数量に関する情報を含む。この場合、複数種類の荷1のそれぞれの大きさおよび数量に関する情報に基づいて積付領域Sを決定するため、複数種類の荷1の荷集合の上に別の荷集合を積み付けできる。
【0074】
実施形態では、決定部4は、荷情報Jに基づいて、第1荷集合11の上面のうち平坦に連続する領域のうち、第2荷集合12を積み付け可能な大きさを有する領域を積付領域Sに決定する。この場合、第1荷集合11の上面に凸凹の段差がある領域を避けて、連続平坦領域に積み付けできる。
【0075】
実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち最も広い領域を積付領域Sに決定する。この場合、最も広い領域を積付領域Sに決定することで、一度の積み付け動作によって積み付け可能な荷1の数が増えるため、一層効率的にピッキングできる。
【0076】
実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、最も低位置の領域を積付領域Sに決定する。この場合、高位置に積み付ける場合と比較して、積み付け後の荷1の最大高さが低くなり、安定性が向上する。
【0077】
実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、第1荷集合11に第2荷集合12を積み付けて形成される統合荷集合の最大高さの統合荷集合の底面積に対する比率が最も小さい領域を積付領域Sに決定する。この場合、統合荷集合の最大高さの底面積に対する比率が高い領域に積み付ける場合と比較して、統合荷集合の安定性が向上する。
【0078】
実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、積み付け時に移載機構6が第1荷集合11と干渉しない領域を積付領域Sに決定する。この場合、移載機構6が第1荷集合11と干渉しない領域に積み付けできる。
【0079】
実施形態では、決定部4は、積付可能領域が複数あるときは、複数の積付可能領域のうち、ピッキング時の第2荷集合12の移動距離が最も短い領域を積付領域Sに決定する。この場合、移動距離が長い位置に積み付ける場合と比較して、積み付けに掛かる時間が短くなり、一層効率的にピッキングできる。この移動距離は平面視の移動距離であってもよい。
【0080】
実施形態の自動倉庫システム100の特徴を説明する。自動倉庫システム100は、荷1を保管する保管部52を有する棚5と、保管部52の荷1を移動させるピッキング装置10と、を備える自動倉庫システムであって、ピッキング装置10は、1以上の荷1を含む第1荷集合11の上に、1以上の荷1を含む第2荷集合12を積み付ける装置であって、第1荷集合11の荷1の大きさおよび数量に関する荷情報Jを取得する取得部3と、取得部3で取得された荷情報Jに基づいて、第2荷集合12を積み付ける積付領域Sを決定する決定部4と、決定部4で決定された積付領域Sに第2荷集合12を積み付ける移載機構6と、を備える。
【0081】
この構成によれば、荷1の大きさおよび数量に基づいて積付領域Sを決定するため、先に積み付けられた荷集合の上の適切な領域を積付領域Sに決定できる。
【0082】
本開示の技術は積み付け方法に適用できる。この積み付け方法は、1以上の荷1を含む第1荷集合11の上に、1以上の荷1を含む第2荷集合12を積み付ける方法であって、第1荷集合11の荷1の大きさおよび数量に関する荷情報Jを取得することと、取得された荷情報Jに基づいて、第2荷集合12を積み付ける積付領域Sを決定することと、決定された積付領域Sに第2荷集合12を積み付けることと、を含む。
【0083】
この方法によれば、荷1の形状および数量に基づいて積付領域Sを決定するため、先に積み付けられた荷集合の上の適切な領域を積付領域Sに決定できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容されうる。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0085】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0086】
実施形態の説明では、
図4~
図9の第1荷集合11が1層である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1荷集合11は2層以上であってもよい。
【0087】
実施形態の説明では、
図4~
図9の第1荷集合11が2種類の荷1を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1荷集合11は3種類以上の荷1を含んでもよい。
【0088】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、自動倉庫に適用される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のピッキング装置は、自動倉庫以外でもアームロボットを使用したデパレイズ装置やパレタイズ装置にも適用できる。
【0089】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が、棚5と一体的に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は、棚5の外部に設けられてもよい。この場合、荷1は、フォークリフトなどの搬送機構によって、棚5とピッキング空間58との間で搬送されてもよい。
【0090】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が棚5と同じ平面に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は棚5とは異なる平面に設けられてもよい。また、ピッキング装置10の一部が棚5と同じ平面に設けられ、他の部分が棚5の平面範囲から外へ張り出してもよい。
【0091】
実施形態の説明では、第2移動手段75と第3移動手段76が別個に備えられる例を示したが、これに限定されない。第2移動手段として、荷1を段方向および列方向に移動可能な移動手段(例えば、スタッカークレーン)を採用してもよい。この場合、スタッカークレーンは、第1移動手段を搭載できないものであってもよいし、荷1とともに第1移動手段を搭載可能なものであってもよい。
【0092】
実施形態の説明では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設される例を示したが、これに限定されない。各段それぞれに入出庫部が設けられ、入出庫する荷は、フォークリフトによって各段の入出庫部に出し入れされてもよい。また、入出庫部は入庫部と出庫部とに分けられていてもよい。
【0093】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、ガントリ型のクレーン機構60によって天井側から支持される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピッキング装置は多関節ロボットや別構成の支持手段によって支持されてもよい。また、ピッキング装置は側方の横壁に取付けられ、側方から支持される構成であってもよい。
【0094】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0095】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0096】
1 荷、 3 取得部、 4 決定部、 5 棚、 6 移載機構、 10 ピッキング装置、 11 第1荷集合、 12 第2荷集合、 13 統合荷集合、100 自動倉庫システム。