(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146434
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053622
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國田 智士
(72)【発明者】
【氏名】福島 敦史
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA01
5G503CC02
5G503EA08
(57)【要約】
【課題】遮断器の高抵抗異常を検出する。
【解決手段】蓄電装置50であって、セル60と、前記セル60に対して電気的に接続された正負の外部端子51、52と、前記セル60の電流を遮断する遮断器55と、前記外部端子51、52の電流を測定する第1電流センサ53と、管理装置150と、を含み、前記管理装置150は、前記外部端子51、52の電流が所定の条件を満たす場合、前記遮断器55の高抵抗異常を検出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置であって、
セルと、
前記セルに対して電気的に接続された正負の外部端子と、
前記セルの電流を遮断する遮断器と、
前記外部端子に流れる電流を測定する第1電流センサと、
管理装置と、を含み、
前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定の条件を満たす場合、前記遮断器の高抵抗異常を検出する、蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置であって、
正負の前記外部端子間に接続された放電回路を備え、
前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定値未満であって、前記外部端子に前記蓄電装置を充電する電力機器が接続されている場合、前記放電回路を用いた第1検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出する、蓄電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電装置であって、
前記放電回路は、放電抵抗と、第1スイッチを含み、
前記第1検出方法は、前記第1スイッチのクローズ前に前記外部端子に流れる電流と前記第1スイッチのクローズ後に前記外部端子に流れる電流の差分値に基づいて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法である、蓄電装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
正負の前記外部端子間に接続された放電回路と、
前記遮断器に並列に接続され前記遮断器の電流を分流する分流回路を備え、
前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定値未満であって、前記外部端子に蓄電装置を充電する電力機器が接続されていない場合、前記放電回路と前記分流回路を用いた第2検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出する、蓄電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電装置であって、
前記分流回路は、分流抵抗と第2スイッチを備え、
前記第2検出方法は、前記放電回路を導通させた状態で、
前記第2スイッチのクローズ前に前記分流回路に流れる電流と前記第2スイッチのクローズ後に前記分流回路に流れる電流の差分値に基づいて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法である、蓄電装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記外部端子に流れる電流が所定値以上の場合、前記遮断器の電圧と電流に基づく第3検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出する、蓄電装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記管理装置は、前記遮断器の高抵抗異常を検出した場合、前記遮断器の抵抗を低減する抵抗低減処理を実施する、蓄電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電装置であって、
前記管理装置は、前記抵抗低減処理を規定回数実施後、前記遮断器の高抵抗異常を検出した場合、異常を報知する、蓄電装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の蓄電装置であって、
前記抵抗低減処理は前記遮断器を複数回連続して開閉する処理である、蓄電装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の車両に搭載される蓄電装置であって、
前記管理装置は、前記車両の状態に応じて、第1検出方法、第2検出方法、第3検出方法のいずれか選択して、前記遮断器の高抵抗異常を検出し、
前記第1検出方法は、正負の外部端子間に接続された放電回路を用いて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法であり、
前記第2検出方法は、前記放電回路と、前記遮断器に並列に接続された分流回路を用いて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法であり、
前記第3検出方法は、前記遮断器の電圧と電流に基づいて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法である、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断器の高抵抗異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの保護装置の一つに、リレー等の遮断器がある(下記特許文献1参照)。バッテリの過放電や過充電等の異常を検出した場合、遮断器をオープンし電流を遮断することで、バッテリを保護することができる。遮断器が故障した場合、バッテリの保護や電力供給ができなくなるため、遮断器の故障を検出するための様々な方法が提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-5985号公報
【特許文献2】特開2012-100438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮断器は、開閉の繰り返しによる劣化や焼損等の要因により、抵抗が増大することがある。抵抗の増大により、遮断器での電力損失が増え、負荷に供給する電力が低下する懸念がある。
本発明の一つの課題は、遮断器の高抵抗異常を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
蓄電装置は、セルと、前記セルに対して電気的に接続された正負の外部端子と、前記セルの電流を遮断する遮断器と、前記外部端子に流れる電流を測定する第1電流センサと、管理装置と、を含む。前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定の条件を満たす場合、前記遮断器の高抵抗異常を検出する、蓄電装置。
【0006】
本技術は、遮断器の高抵抗異常の検出方法に、適用することができる。
【発明の効果】
【0007】
本技術は、遮断器の高抵抗異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】第1スイッチをクローズする前の電流経路を示す図
【
図8】第1スイッチをクローズした後の電流経路を示す図
【
図9】電流の差分値の計算に使用する回路定数を示す図
【
図12】第1スイッチをクローズした状態の電流経路を示す図
【
図13】第2スイッチをクローズした状態の電流経路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
蓄電装置の概要を説明する。
蓄電装置は、セルと、前記セルに対して電気的に接続された正負の外部端子と、前記セルの電流を遮断する遮断器と、前記外部端子に流れる電流を測定する第1電流センサと、管理装置と、を含む。前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定の条件を満たす場合、前記遮断器の高抵抗異常を検出する。
【0010】
この構成は、遮断器の高抵抗異常の検出により、遮断器における電力損失を抑制することができる。そのため、負荷に対して十分な電力を供給することが出来、電欠の発生を抑制することができる。
【0011】
正負の前記外部端子間に接続された放電回路を備えていてもよい。前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定値未満であって、前記外部端子に前記蓄電装置を充電する電力機器が接続されている場合、前記放電回路を用いた第1検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出してもよい。
【0012】
この構成は、外部端子に流れる電流が所定値未満の場合でも、放電回路を用いた第1検出方法により、遮断器の高抵抗異常を検出できる。そのため、検出時期が、外部端子に流れる電流が所定値以上に限られている場合に比べて、遮断器の高抵抗異常を、早期に発見することができる。
【0013】
前記放電回路は、放電抵抗と、第1スイッチを含んでもよい。前記第1検出方法は、前記第1スイッチのクローズ前に前記外部端子に流れる電流と前記第1スイッチのクローズ後に前記外部端子に流れる電流の差分値に基づいて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法でもよい。
【0014】
第1スイッチのクローズ前に外部端子に流れる電流とクローズ後に流れる電流の差分値は、電力機器から放電回路に流れる電流に等しい。電力機器から放電回路に流れる電流は、遮断器の抵抗が大きいほど、大きい。そのため、電流の差分値より、遮断器の高抵抗異常を検出できる。
【0015】
蓄電装置は、正負の前記外部端子間に接続された放電回路と、前記遮断器に並列に接続され前記遮断器の電流を分流する分流回路を備えていてもよい。前記管理装置は、前記外部端子に流れる電流が所定値未満であって、前記外部端子に蓄電装置を充電する電力機器が接続されていない場合、前記放電回路と前記分流回路を用いた第2検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出してもよい。
【0016】
この構成は、外部端子に流れる電流が所定値未満の場合でも、放電回路と分流回路を用いた第2検出方法により、遮断器の高抵抗異常を検出できる。そのため、検出時期が、外部端子に流れる電流が所定値以上に限られている場合に比べて、遮断器の高抵抗異常を、早期に発見することができる。
【0017】
前記分流回路は、分流抵抗と第2スイッチを備えていてもよい。前記第2検出方法は、前記放電回路を導通させた状態で、前記第2スイッチのクローズ前に前記分流回路に流れる電流と前記第2スイッチのクローズ後に流れる電流の差分値に基づいて、前記遮断器の高抵抗異常を検出する方法でもよい。
【0018】
遮断器から分流回路に分流する電流は、遮断器の抵抗が大きいほど、大きい。そのため、分流回路の電流より、遮断器の高抵抗異常を検出できる。また、電流の差分値を用いることで、ゼーベック効果による電流計測誤差やオフセット誤差の影響を抑えることができる。そのため、電流の計測精度が高く、遮断器の高抵抗異常を高精度に検出できる。
【0019】
前記外部端子に流れる電流が所定値以上の場合、前記遮断器の電圧と電流に基づく第3検出方法により、前記遮断器の高抵抗異常を検出してもよい。
【0020】
前記管理装置は、前記遮断器の高抵抗異常を検出した場合、前記遮断器の抵抗を低減する抵抗低減処理を実施してもよい。この構成では、抵抗低減処理により、抵抗が下がった場合、遮断器を継続使用できるので、遮断器の交換頻度を下げることができる。
【0021】
前記管理装置は、前記抵抗低減処理を規定回数実施後、前記遮断器の高抵抗異常を検出した場合、異常を報知してもよい。抵抗低減処理を行っても状態が改善されない遮断器の早期交換を促すことができる。
【0022】
前記抵抗低減処理は前記遮断器を複数回連続して開閉する処理である。遮断器の開閉により、遮断器の接点にできた酸化被膜を破壊できる。遮断器の開閉を連続して複数回行うことにより、1回だけ行う場合に比べて、酸化被膜の破壊が進むため、抵抗の低減効果が大きい。
【0023】
蓄電装置は車両用でもよい。前記管理装置は、車両の状態に応じて、第1検出方法、第2検出方法、第3検出方法のいずれか選択して、前記遮断器の高抵抗異常を検出してもよい。この構成によれば、車両の状態に依存せず、遮断器の高抵抗異常を検出することができる。例えば、車両が駐車中でも走行中でも、検出を実施できる。
【0024】
<実施形態1>
1.バッテリ50の説明
図1に示すように、自動車10には、エンジン20と、バッテリ50とが搭載されている。バッテリ50は12Vであり、例えば、エンジン20の始動用や補機用に用いられる。バッテリ50は「蓄電装置」の一例である。自動車10には、車両駆動用の蓄電装置や、燃料電池が搭載されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、バッテリ50は、組電池60と、監視基板65と、収容体71を備える。収容体71は、合成樹脂材料からなる本体73と蓋体74とを備える。本体73は有底筒状であり、底面部75と、4つの側面部76と、を備える。4つの側面部76によって、本体73の上端に開口部77が形成されている。
【0026】
収容体71は、組電池60と監視基板65を収容する。監視基板65は、プリント基板100上に各種部品(遮断器55、
図5に示す放電回路120、分流回路130、バイパス回路140及び管理装置150等)を搭載しており、
図2に示すように組電池60の、例えば上方に隣接して配置されている。代替的に、監視基板65は、組電池60の側方に隣接して配置されていてもよい。
【0027】
蓋体74は、本体73の開口部77を閉鎖する。蓋体74の周囲には外周壁78が設けられている。蓋体74は、平面視略T字形の突出部79を有する。蓋体74の前部のうち、一方の隅部に正極の外部端子51が固定され、他方の隅部に負極の外部端子52が固定されている。監視基板65は、収容体71の本体73に代えて、蓋体74内に(例えば突出部79内に)収容されていてもよい。
【0028】
組電池60は、複数のセル62から構成されている。
図4に示すように、セル62は、直方体形状(プリズマティック)のケース82内に電極体83を非水電解質と共に収容したものである。セル62は、例えばリチウムイオン二次電池セルである。ケース82は、ケース本体84と、その上方の開口部を閉鎖する蓋85とを有している。
【0029】
電極体83は、詳細は図示しないが、銅箔からなる基材に活物質を塗布した負極板と、アルミニウム箔からなる基材に活物質を塗布した正極板との間に、多孔性の樹脂フィルムからなるセパレータを配置したものである。これらはいずれも帯状で、セパレータに対して負極板と正極板とを幅方向の反対側にそれぞれ位置をずらした状態で、ケース本体84に収容可能となるように扁平状に巻回されている。電極体83は、巻回タイプのものに代えて、積層タイプのものであってもよい。
【0030】
正極板には正極集電体86を介して正極端子87が、負極板には負極集電体88を介して負極端子89がそれぞれ接続されている。正極集電体86及び負極集電体88は、平板状の台座部90と、この台座部90から延びる脚部91とを有する。台座部90には貫通孔が形成されている。脚部91は正極板又は負極板に接続されている。
【0031】
正極端子87及び負極端子89は、端子本体部92と、その下面中心部分から下方に突出する軸部93とからなる。正極端子87の端子本体部92と軸部93とは、アルミニウム(単一材料)によって一体成形されている。負極端子89においては、端子本体部92がアルミニウム製で、軸部93が銅製であり、これらが組み付けられている。正極端子87及び負極端子89の端子本体部92は、蓋85の両端部に絶縁材料からなるガスケット94を介して配置され、
図3に示すように、このガスケット94から外方へ露出されている。
【0032】
蓋85は、圧力開放弁95を有している。圧力開放弁95は、正極端子87と負極端子89の間に位置している。圧力開放弁95は、安全弁である。圧力開放弁95は、ケース82の内圧が制限を超えた場合に、開放して、ケース82の内圧を下げる。
【0033】
図5は、バッテリ50の電気的構成を示すブロック図である。バッテリ50は、組電池60、第1電流センサ53、第2電流センサ54、遮断器55、温度センサ58、放電回路120、分流回路130、バイパス回路140及び管理装置150を備える。
【0034】
組電池60のセル62は、例えば12個あり(
図2参照)、3並列で4直列に接続されている。
図5は、並列に接続された3つのセル62を1つの電池記号で表している。セルは、プリズマティックセルに限定はされず、円筒型セルであってもよいし、ラミネートフィルムケースを有するパウチセルであってもよい。
【0035】
組電池60、第1電流センサ53及び遮断器55は、パワーライン57P、パワーライン57Nを介して、直列に接続されている。パワーライン57P、55Nは、銅などの金属材料からなる板状導体であるバスバーBSB(
図2参照)を用いることができる。
【0036】
図5に示すように、パワーライン57Pは、正極の外部端子51と組電池60の正極とを電気的に接続する。パワーライン57Nは、負極の外部端子52と組電池60の負極とを電気的に接続する。
【0037】
外部端子51、52は、バッテリ50の、自動車10(電気負荷30や充電器45)との接続用端子である。外部端子51、52を介して、バッテリ50に、電気負荷30や充電器45に電気的に接続することができる。充電器45は、駐車中にバッテリ50を充電する電力機器である。
【0038】
第1電流センサ53は、負極のパワーライン57Nに設けられている。第1電流センサ53は金属板状の抵抗体(シャント抵抗)でもよい。第1電流センサ53は、抵抗体の両端電圧Vrに基づいて、外部端子52の電流Iを計測する。第1電流センサ53は、両端電圧Vrの極性(正負)から放電と充電を判別できる。
【0039】
温度センサ58は、組電池60に取り付けられており、組電池60あるいはその周囲の温度を検出する。
【0040】
遮断器55は、正極のパワーライン57Pに設けられている。遮断器55は、半導体スイッチや接点を有するリレーを用いることができる。この実施形態はラッチリレー(自己保持型スイッチ)を用いる。
【0041】
遮断器55は、ノーマリクローズタイプであり、正常時、クローズに制御される。バッテリ50に何らかの異常があった場合、遮断器55をクローズからオープンに切り換えることで、電流Iを遮断できる。
【0042】
放電回路120は、放電抵抗121と第1スイッチ125を有する。放電抵抗121の一端は、正極の外部端子51に接続され、他端は、第1スイッチ125の一端に接続されている。第1スイッチ125の他端は、負極の外部端子52に接続されている。放電回路120は、正負の外部端子間に接続されている。
【0043】
また、放電回路120は、遮断器55及び組電池60からなる直列回路56(
図6参照)に対して、並列である。放電回路120は、自動車10に搭載されたコンデンサ(図略)に蓄積された電荷の放電に用いることもできる。
【0044】
分流回路130は、
図6に示すように、分流抵抗131と、第2スイッチ135からなる。分流抵抗131の一端は、遮断器55の一端(
図5のA点)に接続され、他端は、第2スイッチ135の一端に接続されている。第2スイッチ135の他端は、遮断器55の他端(
図5のB点)に接続されている。分流回路130は、遮断器55に対して、並列に接続されている。
【0045】
バイパス回路140は、
図6に示すように、FET141と、第3スイッチ145からなる。FET141の一端は、遮断器55の一端(
図6のA点)に接続され、他端は、第3スイッチ145の一端に接続されている。第3スイッチ145の他端は、遮断器55の他端(
図6のB点)に接続されている。バイパス回路140は、遮断器55に対して、並列に接続されている。
【0046】
FET141は、寄生ダイオード142を有している。寄生ダイオード142は放電方向が順方向である。FET141をオープン、第3スイッチ145をクローズすることで、遮断器オープン中、組電池60は、バイパス回路140を通る経路(寄生ダイオード142を通る経路)で、電気負荷30に放電することができる。遮断器オープン中の充電は、寄生ダイオード142により遮断される。
【0047】
第2電流センサ54は、
図6中のB-E間に設置されている。第2電流センサ54は、分流回路130又はバイパス回路140の電流Iを計測する。第2電流センサ54は、A-D間に設置されていてもよい。
【0048】
管理装置150は、回路基板100(
図2参照)上に実装されており、
図5に示すように、CPU151とメモリ153を備える。管理装置150は、信号線L1、L2を介して、遮断器両端のA点、B点に接続されており、遮断器両端電圧VA、VBを計測することができる。
【0049】
管理装置150は、遮断器両端電圧VA、VBの計測値、第1電流センサ53、温度センサ58の出力に基づいて、バッテリ50の状態を監視する。つまり、組電池60の温度、電流I、正極電圧VBを監視する。管理装置150は、バッテリ50の監視結果に基づいて、遮断器55を制御する。
【0050】
管理装置150は、バッテリ50の外側面に設置された通信用のコネクタ59を介して自動車10に搭載された車両ECU(図略)と通信する。管理装置150は、車両ECUとの通信により、エンジン駆動の有無や、自動車10の状態に関する情報を取得することができる。自動車10の状態は、駐車、走行、停車などが含まれる。
【0051】
メモリ153には、バッテリ50の監視プログラムや遮断器55の高抵抗異常の検出プログラム及び、これらプログラムの実行に必要なデータが記憶されている。プログラムは、CD-ROM等の記録媒体に記憶して使用、譲渡、貸与等されてもよい。プログラムは、電気通信回線を用いて配信されてもよい。
【0052】
2.遮断器55の高抵抗異常検出
遮断器55は、開閉の繰り返しによる劣化や焼損等の要因により、抵抗R1が増大する。抵抗R1が増大すると、遮断器55での電力損失が増え、自動車10に供給する電力が低下する。この実施形態では、遮断器55の高抵抗異常検出方法を、3つ開示する。
【0053】
<第1検出方法>
第1検出方法は、放電回路120を用いた方法であり、以下の2つの条件を満たす場合に、実施することができる。
【0054】
(A)外部端子51、52の電流Iが所定値未満であること
(B)バッテリ50に充電器45が接続されていること
【0055】
所定値は一例として100mAである。外部端子51、52の電流Iが100mA未満の場合(I=0でもよい)、バッテリ50の端子電圧と充電器45の電圧は、ほぼ釣り合っている。
【0056】
そのため、
図7に示すように、放電回路120の第1スイッチ125がオープンした状態では、組電池60と充電器45が電気負荷30にそれぞれ放電し、組電池60から電気負荷30への放電電流Iaと、充電器45から電気負荷30への放電電流Ibが流れる。
【0057】
尚、第1検出方法の実施中、第2スイッチ135と第3スイッチ145はオープンであり、分流回路130、バイパス回路140は非通電のため、
図7において記載を省略している(
図8も同様)
【0058】
図8は、放電回路120の第1スイッチ125をクローズした後の電流経路を示している。第1スイッチ125をクローズした後、組電池60と充電器45は、電気負荷30に加え、放電回路120にも放電する。
【0059】
そのため、組電池60から電気負荷30への放電電流Iaと充電器45から電気負荷30への放電電流Ibに加えて、組電池60から放電回路120への放電電流Icと、充電器45から放電回路120への放電電流Idが流れる。
【0060】
外部端子52の電流Iは、第1スイッチ125をクローズする前は「Ia」に対し、第1スイッチ125をクローズした後は「Ia+Id」であり、スイッチ動作前後の電流Iの差分値ΔIは「Id」に等しい。
【0061】
ΔI=(Ia+Id)-Ia・・・(1)
【0062】
放電電流Ic、Idの大きさは、遮断器55の抵抗R1と充電器45の配線抵抗R3の比率により変化し、遮断器55の抵抗R1が大きい程、放電電流Icが減少し、放電電流Idが増加する。そのため、差分値ΔIを閾値と比較することで、遮断器55の高抵抗異常(R1の増大)を検出できる。
【0063】
ΔIは、以下の(2)式より、算出することができる。
ΔI=Id=V×R1/(R1R2+R2R3+R3R1)・・・(2)
Vは組電池の電圧である。R1は遮断器55の抵抗値、R2は放電抵抗121の抵抗値、R3は配線抵抗41の抵抗値である。
【0064】
図9、10は、ΔIの計算例である。V=14V、R2=270Ω、R3=10mΩである。正常な抵抗の例として、R1=0.3mΩの場合、ΔI=1.5mAである。高抵抗異常な場合の例として、R1=5.0mΩの場合、ΔI=17.3mAである。
【0065】
この実施形態では、差分値ΔIの閾値を10mAとする。ΔIが10mA未満の場合、抵抗R1は許容範囲で、遮断器55を正常と判断する。ΔIが10mA以上の場合、抵抗R1は許容範囲外で、遮断器55を高抵抗異常と判断する。
【0066】
図11は、第1検出方法のフローチャートである。第1検出定方法は、S31~S42の12ステップを含む。
【0067】
管理装置150は、S31にて、外部端子52の電流Iが所定値未満か、確認する。所定値は一例として100mAである。電流Iが所定値以上の場合、高抵抗異常の検出は実施されず、処理は終了する。電流Iが所定値未満の場合、S32に移行する。
【0068】
管理装置150は、S32にて、遮断器55がクローズか確認する。遮断器55がオープンの場合、高抵抗異常の検出は実施されず、処理は終了する。遮断器55がクローズの場合、S33に移行する。
【0069】
管理装置150は、S33への移行後、第1電流センサ53の計測値から、外部端子52の電流Iを取得する。電流Iの取得後、S34に移行する。
【0070】
管理装置150は、S34への移行後、放電回路120の第1スイッチ125をクローズする。第1スイッチ125のクローズ後、S35に移行する。
【0071】
管理装置150は、S35への移行後、第1電流センサ53の計測値から、外部端子52の電流Iを取得する。電流Iの取得後、S36に移行する。
【0072】
S36への移行後、管理装置150は、S33とS35で取得した電流Iの差分値ΔIを算出する。そして、算出したΔIを閾値と比較する。
【0073】
ΔIが閾値未満の場合、管理装置150は、遮断器55の抵抗R1は許容範囲、つまり、遮断器55を正常と判断する(S37)。正常判断された場合、フローは終了する。
【0074】
ΔIが閾値以上の場合、管理装置150は、遮断器55の抵抗R1は許容範囲外、つまり高抵抗異常と判断する。高抵抗異常と判断した場合、S38に移行する。
【0075】
S38に移行すると、管理装置150は、遮断器55の抵抗低減処理を、規定回数実施したか判定する。抵抗低減処理が、未実施又は所定回数未満の場合、S39に移行する。
【0076】
S39への移行後、管理装置150は、抵抗低減処理 を実施する。抵抗低減処理は、たとえば、遮断器55の開閉を複数回して連続行う処理である。遮断器55の開閉により、遮断器55の接点にできた酸化被膜を破壊できる。遮断器55の開閉を連続して複数回行うことにより、1回だけ行う場合に比べて、酸化被膜の破壊が進むため、抵抗R1の低減効果が大きい。
【0077】
抵抗低減処理が終了すると、S40に移行する。S40に移行すると、管理装置150は、放電回路120の第1スイッチ125をオープンに切り換える。第1スイッチ125のオープン後、処理の流れは、S31に戻る。
【0078】
その後、S31、S32、S33、S34、S35、S36が実行され、管理装置150は、S36にて、差分値ΔIを閾値と比較する。抵抗低減処理の実施後、差分値ΔIが閾値未満に下がった場合、S37に移行して、遮断器55は正常と判断される。
【0079】
1回目の抵抗低減処理の実施後、差分値ΔIが閾値以上の場合、2回目の抵抗低減処理が実施される。そして、抵抗低減処理を規定回数実施しても、差分値ΔIが閾値以上の場合、S38でYES判定され、S41に移行する。
【0080】
S41に移行すると、管理装置150は、遮断器55を高抵抗異常と判断する。その後、S42に移行し、管理装置150は異常を報知する。例えば、警告灯の表示や、自動車10の車両ECUに異常信号を出力する。
【0081】
<第2検出方法>
第2検出方法は、放電回路120、分流回路130を用いた検出方法であり、以下の2つの条件を満たす場合、実施することができる。
【0082】
(A)外部端子51、52の電流Iが所定値未満であること
(B)バッテリ50に対し充電器45が未接続であること
【0083】
充電器45が未接続の場合、
図12に示すように、第1スイッチ125をクローズした状態では、組電池60は、遮断器55を通る経路で、放電回路120に放電し、組電池60から放電回路120への放電電流Ic1が流れる。
【0084】
図13は第1スイッチ125のクローズ後、更に、分流回路130の第2スイッチ135をクローズした時の電流経路を示している。
【0085】
第1スイッチ125のクローズ後、更に、分流回路130の第2スイッチ135をクローズすると、組電池60は、遮断器55を通る経路に加え、分流回路130を通る経路でも、放電回路120に放電する。
【0086】
そのため、遮断器55を通る放電電流Ic1に加えて、分流回路130を通る放電電流Ic2が流れる。
【0087】
放電電流Ic1、Ic2の大きさは、遮断器55の抵抗R1と分流抵抗131の比率により変化し、遮断器55の抵抗R1が大きい程、放電電流Ic1が減少し、放電電流Ic2が増加する。
【0088】
第2電流センサ54に流れる電流Iは、第2スイッチ135をクローズする前は「I0(無電流)」に対し、第2スイッチ135をクローズした後は「Ic2」であり、スイッチ動作前後の差分値ΔIは「Ic2」に等しい。そのため、差分値ΔIを閾値と比較することで、遮断器55の高抵抗異常を検出することができる。
【0089】
ΔIを用いることで、ゼーベック効果の熱起電力による電流計測誤差や、電流値に関係なく計測されるオフセット誤差(無電流時にも計測される誤差)の影響を抑えることができる。そのため、電流Ic2の計測精度が高く、遮断器55の高抵抗異常を高精度に検出できる。
【0090】
図14は、ΔIの計算例である。V=14V、R4(分流抵抗131)=5mΩである。正常な抵抗の例として、R1=0.3mΩの場合、ΔI=-4.3mAであり、高抵抗異常な場合の例として、R1=5.0mΩの場合、ΔI=-38.1mAである。
【0091】
この実施形態では、電流Iの差分値ΔIの閾値を20mAとする。ΔIの大きさ(絶値値)が20mA未満の場合、抵抗R1は許容範囲で、遮断器55を正常と判断する。ΔIの大きさ(絶対値)が20mA以上の場合、抵抗R1は許容範囲外で、遮断器55を高抵抗異常と判断する。
【0092】
図15は、第2検出方法のフローチャートである。第2検出方法は、S51~S64の14ステップを含む。
【0093】
管理装置150は、S51にて、外部端子52の電流Iが所定値未満か、確認する。所定値は、一例として100mAである。電流Iが所定値以上の場合、高抵抗異常の検出は実施されず、処理は終了する。電流Iが所定値未満の場合、S52に移行する。
【0094】
管理装置150は、S52にて、遮断器55がクローズか、確認する。遮断器55がオープンの場合、高抵抗異常の検出は実施されず、処理は終了する。遮断器55がクローズの場合、S53に移行する。
【0095】
管理装置150は、S53に移行すると、放電回路120の第1スイッチ125をクローズする。第1スイッチ125のクローズ後、S54に移行する。
【0096】
管理装置150は、S54への移行後、第2電流センサ54の計測値より、分流回路130の電流Iを取得する。電流Iの取得後、S55に移行する。
【0097】
管理装置150は、S55への移行後、分流回路130の第2スイッチ135をクローズする。第2スイッチ135のクローズ後、S56に移行する。
【0098】
管理装置150は、S56への移行後、第2電流センサ54の計測値より、分流回路130の電流Iを取得する。電流Iの取得後、S37に移行する。
【0099】
S37に移行すると、管理装置150は、S54とS56で取得した電流Iの差分値ΔIを算出する。そして、算出したΔIの大きさ(絶対値)を閾値と比較する。
【0100】
ΔIの大きさが閾値未満の場合、管理装置150は、遮断器55の抵抗R1は許容範囲、つまり、遮断器55は正常と判断する(S58)。正常判断された場合、フローは終了する。
【0101】
ΔIの大きさが閾値以上の場合、管理装置150は、遮断器55の抵抗R1は許容範囲外、つまり、遮断器55は高抵抗異常と判断する。高抵抗異常と判断したS59に移行する。
【0102】
S59に移行すると、管理装置150は、抵抗低減処理を規定回数、実施したか判定する。抵抗低減処理が未実施又は所定回数未満の場合、S60に移行する。
【0103】
S60に移行すると、管理装置150は、抵抗低減処理を実施する。抵抗低減処理が終了すると、S61に移行する。
【0104】
S61に移行すると、管理装置150は、分流回路130の第2スイッチ135をオープンに切り換える。その後、S62に移行し、管理装置150は、放電回路120の第1スイッチ125をオープンに切り換える。第1スイッチ125のオープン後、処理の流れは、S51に戻る。
【0105】
その後、S51、S52、S53、S54、S55、S56、S57が実行され、管理装置150は、S57にて、差分値ΔIの大きさを閾値と比較する。抵抗低減処理の実施後、差分値ΔIが閾値未満に下がった場合、S58に移行して、遮断器55は正常と判断される。
【0106】
1回目の抵抗低減処理の実施後、差分値ΔIの大きさが閾値以上の場合、2回目の抵抗低減処理が実施される。抵抗低減処理を規定回数実施しても、差分値ΔIの大きさが閾値以上の場合、S59でYES判定され、S63に移行する。
【0107】
S63に移行すると、管理装置150は、遮断器55を高抵抗異常と判断する。その後、S64に移行し、管理装置150は異常を報知する。例えば、警告灯の表示や、車両へ異常信号を出力する。
【0108】
<第3検出方法>
第3検出方法は、遮断器55の両端電圧V1、V2に基づいて、遮断器55の高抵抗異常を検出する方法であり、外部端子52に所定値以上の電流Iが流れている場合に、実施することができる。所定値は一例として、1Aである。
【0109】
図16は、車両走行中において、DC/DCコンバータ46が動作している時の電流経路を示している。DC/DCコンバータ46は、高圧バッテリ(図略)やオルタネータ(図略)に接続されており、高圧バッテリやオルタネータの出力電圧を、12V用の低電圧に変換して出力する。
【0110】
車両走行中、第2スイッチ135と第3スイッチ145はオープンであり、分流回路130、バイパス回路140は非通電のため、
図16において、記載を省略している。
【0111】
車両走行中、バッテリ50が放電している場合、バッテリ50から電気負荷30に放電電流Iaが流れる。バッテリ50が充電されている場合、DC/DCコンバータ46からバッテリ50に充電電流Ifが流れる。
【0112】
遮断器両端の電圧VA、VBと放電電流Ia(又は充電電流If)から、遮断器55の抵抗R1を算出することができる。そして、算出した抵抗R1を閾値と比較することで、遮断器55の高抵抗異常を、検出することができる。
【0113】
R1=|VA-VB|/Ia
R1=|VA-VB|/If
【0114】
図17は、第3検出方法のフローチャートである。第3検出方法は、S71~S79の9ステップを含む。以下、バッテリ50が放電している場合を、例にして説明を行う。
【0115】
管理装置150は、S71にて、遮断器55の両端電圧VA、VBを取得し、更に、第1電流センサ53に計測値より放電電流Iaを取得する。VA、VB、Iaの取得後、S72に移行する。
【0116】
管理装置150は、S72移行後、放電電流Iaが所定値以上か判定する。所定値は一例として1Aである。放電電流Iaが所定値未満の場合、高抵抗異常の検出は実施されず、処理は終了する。
【0117】
放電電流Iaが所定値未満の場合、高抵抗異常の検出を実施しない理由は、電流値が大きくないと、高抵抗異常を正確に検出できないからである。
【0118】
放電電流Iaが所定値以上の場合、S73に移行する。管理装置150は、S73に移行すると、S71にて取得した電圧VA、VB、放電電流Iaに基づいて、遮断器55の抵抗R1を算出する。そして、算出した抵抗R1を閾値と比較する。
【0119】
抵抗R1が閾値未満の場合、管理装置150は、抵抗R1は許容範囲、つまり、遮断器55は正常と判断する(S74)。正常判断された場合、フローは終了する。
【0120】
抵抗R1が閾値以上の場合、管理装置150は、遮断器55を高抵抗異常と判断する。高抵抗異常と判断した場合、S75に移行する。
【0121】
S75に移行すると、管理装置150は、抵抗低減処理を規定回数、実施したか判定する。抵抗低減処理が未実施又は所定回数未満の場合、S76に移行する。
【0122】
管理装置150は、S76移行後、バッテリ50が無電流とみなせる状態か判定する。バッテリ50が無電流とみなせる状態になると、S77に移行する。
【0123】
S77に移行すると、管理装置150は、抵抗低減処理を実施する。抵抗低減処理が終了すると、S71に移行する。
【0124】
S71に移行すると、管理装置150は、遮断器55の両端電圧VA、VBを取得し、更に、第1電流センサ53から放電電流Iaを取得する。その後、S72、S73が実行され、管理装置150は、S73にて、抵抗R1と閾値と比較する。
【0125】
1回目の抵抗低減処理の実施後、抵抗R1が閾値未満に下がった場合、S74に移行して、遮断器55は正常と判断される。
【0126】
1回目の抵抗低減処理の実施後、抵抗R1が閾値以上の場合、2回目の抵抗低減処理が実施される。抵抗低減処理を規定回数実施しても、抵抗R1が閾値以上の場合、S75でYES判定され、S78に移行する。
【0127】
S78に移行すると、管理装置150は、遮断器55を高抵抗異常と判断する。その後、S79に移行し、管理装置150は異常を報知する。例えば、警告灯の表示や、車両へ異常信号を出力する。
【0128】
3つの検出方法は、自動車10の状態に応じて、使い分けてもよい。
図18は、そのフローチャートである。管理装置150は、
図18の検出フローを定期的に実行し、遮断器55の高抵抗異常を検出する。
【0129】
管理装置150は、検出フローの開始後、バッテリ50を搭載した自動車10が車両駐車中か判定する。車両駐車中か否かは、自動車10に搭載された車両ECUとの通信により判断できる。
【0130】
車両駐車中の場合(S10:YES)、S20に移行し、管理装置150は、バッテリ50に充電器45が接続されているか、判定する。充電器45の接続は、電流センサ53の計測値から判断することが出来る。この実施形態では、S10で車両ECUから自動車10が駐車中という信号を管理装置150が受信し、かつ、電流センサ53が充電電流を検出した場合、充電器45が接続されていると、判断する。
【0131】
管理装置150は、バッテリ50に充電器45が接続されている場合(S20:YES)、第1検出方法を選択して、遮断器55の高抵抗異常を検出する(S30)。
【0132】
管理装置150は、バッテリ50に充電器45が接続されていない場合(S20:NO)、第2検出方法を選択して、遮断器55の高抵抗異常を検出する(S50)。
【0133】
管理装置150は、バッテリ50を搭載した自動車10が、走行中など駐車以外の状態の場合(S10:NO)、第3検出方法を選択して、遮断器55の高抵抗異常を検出する(S70)。
【0134】
3.効果説明
この構成は、遮断器55の高抵抗異常の検出により、遮断器55における電力損失を抑制することができる。そのため、自動車10に対して十分な電力を供給することが出来、電欠の発生を抑制することができる。
【0135】
また、自動車10の状態に応じて、3つの検出方法を使い分けることで、自動車10の状態に依存せず、遮断器55の高抵抗異常を検出することができる。
【0136】
特に、第1検出方法、第2検出方法により、駐車期間を利用して、高抵抗異常を検出できるので、検出の実施時期が走行中などに限られる場合に比べて、遮断器55の高抵抗異常を早期に発見することができる。
【0137】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0138】
(1)セル(繰り返し充放電可能な蓄電セル)62は、リチウムイオン二次電池セルに限らず、他の非水電解質二次電池セルでもよい。セル62は、複数を直並列に接続する場合に限らず、直列の接続や、単セルでもよい。二次電池セルに代えて、キャパシタを用いることもできる。二次電池セル、キャパシタは、セルの一例である。
【0139】
(2)上記実施形態では、バッテリ50を自動車10に搭載したが、船舶や航空機など車両以外の移動体に搭載してもよい。また、移動体に限らず、分散型発電システムにおける変動吸収用の蓄電装置やUPS(無停電電源装置)など、定置用途に用いてもよい。
【0140】
(3)上記実施形態では、自動車10の状態により、第1検出方法、第2検出方法、第3検出方法を使い分けて、遮断器55の高抵抗異常を検出した。3つの検出方法のうち、少なくとも1つの検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗抵抗異常を検出してもよい。
【0141】
例えば、第1検出方法のみ用いて遮断器55の高抵抗異常を検出してもよい。第1検出方法のみ用いて遮断器55の高抵抗異常を検出する場合、分流回路130、第2電流センサ54は省いてもよい。第2検出方法のみ用いて遮断器55の高抵抗異常を検出する場合、放電回路120は省いてもよい。第3検出方法のみ用いて遮断器55の高抵抗異常を検出する場合、放電回路120、分流回路130、第2電流センサ54は省いてもよい。また、どの検出方法を選択するかにかかわらず、バイパス回路140は省いてもよい。
【0142】
(4)上記実施形態では、自動車10の状態により、第1検出方法、第2検出方法、第3検出方法を使い分けて、遮断器55の高抵抗異常を検出した。3つの検出方法のうち、2つの検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗抵抗異常を検出してもよい。例えば、第1検出方法と第3検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗異常を検出してもよい。また、第2検出方法と第3検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗異常を検出してもよい。どちらの組み合わせも、自動車10が駐車中、走行中のどちらの状態でも、遮断器55の高抵抗異常の検出が可能である。
【0143】
(5)上記実施形態では、第2検出方法において、分流回路130を用いて遮断器55の高抵抗異常を検出したが、分流回路130に代えてバイパス回路140を用いてもよい。FET141のオン抵抗を分流抵抗131に代用させてもよい。
【0144】
(6)上記実施形態では、自動車10の駐車中に、バッテリ50に充電器45が接続されている場合、第1検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗異常を検出した。自動車10が走行中であって、自動車10に搭載されたDC/DCコンバータ46が動作している場合、第1検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗異常を検出してもよい。
【0145】
より具体的には、バッテリ50の端子電圧とDC/DCコンバータ46の出力電圧がほぼ等しく、外部端子52の電流Iが所定値未満であれば、第1検出方法を用いて、遮断器55の高抵抗異常を検出してもよい。DC/DCコンバータ46は、車両走行中に、バッテリ50を充電する電力装置である。
【符号の説明】
【0146】
10 車両
45 充電器(電力機器)
46 DC/DCコンバータ(電力機器)
50 バッテリ(蓄電装置)
51、52 外部端子
53 第1電流センサ
54 第2電流センサ
55 遮断器
60 組電池
62 セル
120 放電回路
130 分流回路
140 バイパス回路
150 管理装置