(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146438
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】カルシウムを含む乳性飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20231004BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20231004BHJP
A23C 9/152 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A23L2/00 A
A23L2/38 P
A23C9/152
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053626
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 航
(72)【発明者】
【氏名】市島 睦生
【テーマコード(参考)】
4B001
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC06
4B001AC46
4B001EC01
4B117LC02
4B117LK01
4B117LK18
(57)【要約】
【課題】 カルシウムを含む乳性飲料において、飲んだときに感じられるカルシウム由来の収斂味を抑えることができる新規な技術を提供する。
【解決手段】 カルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料であって、カルシウムの含有量が40mg/100ml以上であり、食塩および/またはリン酸を含む、乳性飲料。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料であって、
カルシウムの含有量が40mg/100ml以上であり、
食塩および/またはリン酸を含む、乳性飲料。
【請求項2】
食塩およびリン酸を含む、請求項1に記載の乳性飲料。
【請求項3】
ナトリウムの含有量が10~40mg/100mlである、請求項1または2に記載の乳性飲料。
【請求項4】
その含有量が40mg/100ml以上であるカルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料において、食塩および/またはリン酸を含有させることを含む、前記乳性飲料のカルシウム由来の収斂味抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルシウムを含む乳性飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムは骨や歯の主要な構成成分でありその成長に重要であるほか、細胞の分裂や分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などの体の機能維持、調節にも欠かせないミネラルのひとつである。
このカルシウムの摂取量は十分でないケースもあり、例えば、日本人においてはその一日の摂取量は推奨される量に比べて不足しているとの報告がある。
【0003】
そのため、カルシウムを容易に摂取できるようにすることなどを目的として、カルシウムを添加するなどして製造される飲料が提案されており、その一つとしてカルシウム入りの乳性飲料が知られている(例えば特許文献1)。乳性飲料は乳蛋白を含有しており、乳蛋白が消化される過程でカルシウムの吸収を助けるペプチドが生成されるといわれている。そのため、乳性飲料は、カルシウム摂取量を高めることができる観点から優れた飲料の一つであるといえる。
【0004】
一方、カルシウムを含有する乳性飲料によってはカルシウム由来の収斂味が感じられるようになる場合があり、出願人はカルシウム由来の収斂味が感じられるのを抑制できる乳性飲料を提案している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-187851号公報
【特許文献2】特開2020-171249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カルシウムを含む乳性飲料において、飲んだときに感じられるカルシウム由来の収斂味を抑えることができる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
収斂味の抑制など飲料の改善には複数の選択肢があることが好ましい。
本発明者は、カルシウムを40mg/100ml以上の含有量で含有し、Brix値が4以下である乳性飲料を着想した。しかしながら、該飲料を飲んだところ、カルシウムに由来するキシキシ感とも称される収斂味(口内が収縮する(締め付けられる)ような刺激感)が感じられることに気が付いた。
鋭意研究の結果、本発明者は、乳性飲料において食塩および/またはリン酸を含有させることで、飲んだときに感じられる収斂味を抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
カルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料であって、
カルシウムの含有量が40mg/100ml以上であり、
食塩および/またはリン酸を含む、乳性飲料。
[2]
食塩およびリン酸を含む、[1]に記載の乳性飲料。
[3]
ナトリウムの含有量が10~40mg/100mlである、[1]または[2]に記載の乳性飲料。
[4]
その含有量が40mg/100ml以上であるカルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料において、食塩および/またはリン酸を含有させることを含む、前記乳性飲料のカルシウム由来の収斂味抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カルシウムを含む乳性飲料において、飲んだときに感じられるカルシウム由来の収斂味を抑えることができる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態はカルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料に関する。該乳性飲料は、カルシウムの含有量が40mg/100ml以上である。また、該乳性飲料は、食塩および/またはリン酸をさらに含有する。
【0011】
本明細書において、乳性飲料とは、乳を含む飲料をいう。
本実施形態において、原材料として用いる乳は、動物又は植物由来のいずれの乳であってもよい。例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳、豆乳等の植物乳を用いることができ、牛乳が一般的である。これらの乳は、単独又は二種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの乳を、乳酸菌やビフィズス菌等の微生物を用いて発酵させた発酵乳として用いることもできる。
乳の形態は特に限定されず、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物が挙げられ、また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。
【0012】
本実施形態の乳性飲料において、乳の含有量は特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、例えば無脂乳固形分量を0.1~3.0質量%とすることができ、また、収斂味をより抑えるために0.1~2.0質量%が好ましい。
本明細書において無脂乳固形分(SNF)とは、乳から水分及び脂質を除いた残りの成分をいい、蛋白質、乳糖および無機質などにより構成されている。
乳性飲料における無脂乳固形分量の調整は、例えば、原材料として使用される乳の形態や量を調整するなどして行うことができる。また、乳性飲料中の無脂乳固形分量は、例えば製造に用いられる原材料に基づき算出することができるほか、ケルダール法などにより測定することができる。
【0013】
また、本実施形態の乳性飲料において、飲料のBrix値は4以下であり、好ましくは2以下である。
本明細書においてBrix値とは、試料の温度(液温度)20℃における糖用屈折計の示度をいう。Brix値の測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。Brix値の調整は、例えば甘味料や酸味料の配合量の調整などにより行うことができる。当該Brix値の調整は、特に限定されないが、例えば飲料を調製する段階において行うことができる。本明細書の実施例では、ATAGO社製のデジタル屈折計RX-5000αを用いて20℃で測定した値を測定した。
【0014】
本実施形態の乳性飲料は、カルシウムを含有しており、カルシウムの含有量は40mg/100ml以上である。カルシウムの含有量の上限値は特に限定されないが、本発明の構成を適用することで収斂味をより抑えることができるため、80mg/100ml以下が好ましく、65mg以下がより好ましい。より好ましいカルシウムの含有量は、50mg/100ml以上である。
乳性飲料中のカルシウム含有量は例えば製造に用いられる原材料に基づき算出することができるほか、ICP発光分析法により測定することができる。また、乳性飲料中のカルシウムが塩の形態にある場合は、これを遊離カルシウムの量に換算した上で該飲料中のカルシウム含有量を算出することができる。
【0015】
本実施形態の乳性飲料においてカルシウム含有量の調整を行う方法については特に限定されず、当業者が適宜設定することができ、例えば食品上許容されるカルシウム源の添加を行うことによりカルシウム含有量を調整するなどすればよい。食品上許容されるカルシウム源としては、例えば、カルシウムの無機酸塩、カルシウムの有機酸塩、カルシウムの有機物塩が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を飲料中に添加するようにしてもよい。
【0016】
カルシウムの無機酸塩としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
カルシウムの有機酸塩としては、例えば、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等が挙げられる。
カルシウムの有機物塩としては、例えば、L-グルタミン酸カルシウム等が挙げられる。
【0017】
本実施形態の乳性飲料は、乳、カルシウムに加えて、食塩および/またはリン酸を含有する。また、本実施形態の乳性飲料においては、おいしさの観点から食塩を含有することが好ましいが、おいしさを食塩およびリン酸未添加の場合と比較して維持または向上できるとともに収斂味をより抑えることができるため、食塩およびリン酸を含有することがより好ましい。
本明細書において、食塩とは、塩化ナトリウムを主成分とする食用の塩をいう。食塩は、精製塩といった塩化ナトリウムそのものであってもよく、海塩、岩塩、天塩、および山塩等であってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の乳性飲料における食塩の含有量は特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、塩味を抑えるという観点から、10mg/100ml以上、100mg/100ml以下が好ましい。
【0018】
また、リン酸(H3PO4)は、例えば、液状のリン酸(85%)として本実施形態の乳性飲料に添加することができる。本実施形態の乳性飲料におけるリン酸の含有量は特に限定されないが、例えば、0.2g/L以上、4.0g/L以下とすることができる。
なお、乳性飲料中の食塩およびリン酸の含有量は、例えば製造に用いられる原材料に基づき算出することができる。
【0019】
また、本実施形態の乳性飲料においては、カルシウム由来の収斂味を抑えつつ、塩味を抑えるため、ナトリウム含有量が10~40mg/100mlであることが好ましい。
ナトリウム含有量の調整は、例えば、ナトリウム源となる物質、あるいは当該物質を含む組成物の添加などにより行うことができる。ナトリウム源となる物質を含む組成物としては、例えば、上述の食塩のほか、海水などの天然水、岩塩などを挙げることができる。ナトリウム源となる物質としては、ナトリウム塩を挙げることができ、具体的には塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、ナトリウム含有量は、原材料の組成に基づき算出することができるほか、原子吸光度法により測定することもできる。
【0020】
本実施形態においては、本発明の効果を得ることができる範囲で必要に応じて他の成分を適宜、乳性飲料中に含ませることができ、特に限定されない。
例えば、本実施形態の乳性飲料は、大豆多糖類を含有するようにしてもよい。
大豆多糖類は、乳蛋白質の安定化剤として知られたものが使用でき、通常、大豆製品の製造工程において副生するオカラ(繊維状の絞りかす)から抽出精製された多糖類であって、含有されるガラクツロン酸のカルボキシル基に由来して酸性下マイナスに帯電しているものが使用できる。市販品としては、例えば、商品名「SM-1200」(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)が挙げられる。
本実施形態の乳性飲料において、大豆多糖類の含有量は、乳の含有量等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
【0021】
また、本実施形態の乳性飲料において含有されてもよい他の成分としては、例えば、酸味料、甘味料、高甘味度甘味料、大豆多糖類以外の乳蛋白質安定化剤、香料、色素などが挙げられる。
【0022】
酸味料としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、グルコン酸、コハク酸、フマール酸等の有機酸又はその塩、リン酸以外の無機酸又はその塩が挙げられる。
なお、本実施形態の乳性飲料において、pHは特に限定されず当業者が適宜設定できるが、例えばpHを7未満とすることができ、より好ましくは4未満とすることができる(このとき、飲料は酸性乳性飲料とも称される)。pHの調整は、例えば、酸味料を使用する方法が挙げられるほか、発酵乳を使用する方法、果汁を使用する方法、またはこれらの方法を併用する方法により行うこともできるが、所望のpHとすることができれば特に限定されない。
【0023】
また、本実施形態の乳性飲料において、特に限定されないが、カルシウム由来の収斂味をより抑えるとの観点から、クエン酸酸度が0.1~0.5g/100mlであることが好ましく、より好ましくは0.15~0.35g/100mlである。
本明細書において、クエン酸酸度とは、飲料100ml中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数[無水クエン酸g/100ml]を指す。飲料のクエン酸酸度は、JAS規格の酸度測定法に定められた方法、具体的には、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
【0024】
また、本実施形態の乳性飲料においては、食塩およびリン酸に加えて乳酸および/またはリンゴ酸をさらに含有し、リン酸由来の酸度(クエン酸換算)に対する乳酸および/またはリンゴ酸の酸度(クエン酸換算)が0より大きく4以下であることが好ましく、0.9以上4以下がより好ましい。該関係を満足することで、カルシウム由来の収斂味を抑えつつ、乳性飲料に求められるおいしさ(ミルク特有のまろやかさが感じられ、後味のスッキリ感も感じられるような風味。)が得られやすくなる。
なお、まろやかさとは口当たりの良さともいい、まろやかさがより感じられるようになる、とは、飲料を口に含んだときに刺激がより少なくなることをいう。また、後味のスッキリ感とは飲用後の後味がスッとなくなるような感触であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味も含めて飲用後の後味がなくっていく感覚をいう(後味のキレともいう)。
【0025】
甘味料としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖等の糖類や、エリスリトール、マルチトール、キシリトール等の糖アルコールや、難消化性デキストリン、寒天等の食物繊維が挙げられる。なお、甘味料は上述のとおりBrix値調整のために飲料中に添加することができる。
高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、サッカリンナトリウム、グリチルリチン、グリチルリチン酸ジカリウム、ソーマチンが挙げられる。
【0026】
大豆多糖類以外の乳蛋白質安定化剤としては、例えば、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガムなどが挙げられる。
【0027】
本実施形態の乳性飲料は容器に充填されている容器詰めの乳性飲料とすることができる。容器としては、ガラス製容器、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)製の容器、紙製容器、缶容器などが挙げられる。
【0028】
本実施形態の乳性飲料は、例えば、乳、カルシウム源、食塩および/またはリン酸を配合することにより製造することができる。
具体的には、例えば、乳、カルシウム源、食塩および/またはリン酸、液体原料、および必要によって加えられるその他の成分を、カルシウムの含有量が40mg/100ml以上であり、Brix値が4以下となるように混合することにより乳性飲料を得る。液体原料は水のほか、上述の他の成分の溶液や分散液であってもよい。乳、カルシウム源、食塩および/またはリン酸は液体原料に同時に配合されてもよく、また、それぞれが別々に液体原料に配合されてもよく、さらにその順番も特に限定されない。
【0029】
上述のようにして得られた乳性飲料に対しては、均質化処理や殺菌処理を行なうようにしてもよい。
均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されないが、温度5~25℃で圧力10~50Mpaの条件が好ましく挙げられる。また、均質化処理は、殺菌処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理は、例えば、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌により行うことができる。殺菌処理の方法は特に制限されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。また、殺菌処理は、均質化処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うか、または容器充填前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
【0030】
得られた本実施形態の乳性飲料は、上述のとおり容器詰め飲料としてもよい。容器に充填する方法は特に限定されず、当業者が適宜設定できる。例えば殺菌処理を行った場合の本実施形態に係る乳性飲料を容器詰めの乳性飲料とする方法としては、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法などにより行うことができる。
【0031】
以上、本実施形態によれば、その含有量が40mg/100ml以上であるカルシウムを含有し、Brix値が4以下である乳性飲料において、食塩および/またはリン酸を含有させることで、カルシウム由来の収斂味(キシキシ感)を抑えることができる。その結果、乳性飲料の嗜好性の向上に寄与することが可能である。
【実施例0032】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0033】
[試験1]
表1記載の飲料を調合し、得られた飲料をペットボトルにホットパック充填し、容器詰めの乳性飲料を得た。なお、全ての試験水準について、無脂乳固形分(SNF)は0.4質量%、飲料全体のクエン酸酸度(w/v%)は0.20、pHは3.8とした。
この容器詰乳性飲料を飲用したときの香味について、5人のパネリストにて対照品を対照として評価した(評価基準は表2に記載)。
その評点の平均値を表1に示す。
【0034】
【0035】
【0036】
表1から理解できるように、食塩および/またはリン酸を含有する実施例の乳性飲料は、比較例1の乳性飲料と比較して感じられる収斂味が抑制されていた。
【0037】
[試験2]
表3記載の飲料を調合し、得られた飲料をペットボトルにホットパック充填し、容器詰めの乳性飲料を得た。
この容器詰乳性飲料を飲用したときの香味について、比較例1の飲料を対照として試験1と同様の評価を行った。
その評点の平均値を表3に示す。
【0038】
【0039】
表3から理解できるように、試験1と同様、食塩および/またはリン酸を含有する実施例の乳性飲料は、比較例1の飲料よりも感じられる収斂味が抑制されていた。
【0040】
[参考試験]
表3記載の飲料を調合し、得られた飲料をペットボトルにホットパック充填し、容器詰めの乳性飲料を得た。
この容器詰乳性飲料を飲用したときの香味について、比較例1の飲料を対照として試験1と同様の評価を行った。
その評点の平均値を表4に示す。
【0041】
【0042】
表4から理解できるように、カルシウム含有量が比較例2と同じで果糖ぶどう糖液糖の添加によりBrix値が4より高い参考例1は、感じられる収斂味が弱かった。また、カルシウム濃度が低い参考例2も感じられる収斂味が弱かった。