(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146451
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231004BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20231004BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231004BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231004BHJP
B65H 33/06 20060101ALI20231004BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20231004BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 204
B41J21/00 Z
G03G21/00 370
G03G21/00 378
H04N1/00 567Q
B65H33/06
B65H3/44 344
G03G15/00 403
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053643
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】大杉 実意
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H072
2H270
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
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2H270KA57
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2H270ZC04
3F343FA02
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3F343MC21
5C062AA05
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5C062AA25
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5C062AD02
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5C062AF10
(57)【要約】
【課題】 回転ソート機能を備える画像形成装置において、印刷ジョブに基づく印刷が行われている途中で、用紙切れとなることなく、当該印刷を完遂させることができるようにする。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置の複合機(10)は、回転ソート機能を有する。この回転ソート機能によれば、印刷が開始される前に、当該印刷に供される用紙(100)の供給元であるトレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおける当該用紙(100)の残量が検知される。そして、トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙(100)がバランス良く消費されるように、当該トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれが適宜に用紙(100)の供給元として設定される。これにより、印刷が行われている途中で、用紙切れとなることなく、当該印刷を完遂させることができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページ分の画像を複数枚のシート状の画像記録媒体に複数部数分形成する際に、当該画像が形成された後の当該画像記録媒体である印刷物をそれぞれの部ごとに仕分けるソート機能を有する、画像形成装置であって、
前記画像を前記画像記録媒体に形成する画像形成処理を担う画像形成手段、
前記画像記録媒体が互いに異なる向きで収容される第1収容手段と第2収容手段とを含む複数の媒体収容手段を有し、当該複数の媒体収容手段のいずれかを供給元として当該供給元から当該画像記録媒体を前記画像形成手段へ供給する媒体供給手段、
前記画像形成処理が実行される前に、前記複数の媒体収容手段のそれぞれにおける前記画像記録媒体の残量を検知する残量検知手段、および、
前記残量検知手段による検知結果に基づいて、前記供給元となるそれぞれの前記媒体収容手段において前記画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の前記画像形成処理が実行されるように、当該供給元となる当該媒体収容手段を設定するとともに、当該画像記録媒体に対する当該画像形成処理の要領を制御するソート制御手段を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記ソート制御手段は、複数の制御パターンを有し、当該複数の制御パターンのいずれかによって、前記供給元となる前記媒体収容手段を設定するとともに、前記画像記録媒体に対する前記画像形成処理の要領を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が多い方を、奇数部目の前記部についての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が少ない方を、偶数部目の前記部についての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定するとともに、当該奇数部目の部についての画像形成処理と当該偶数部目の部についての画像形成処理とのそれぞれが実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御する第1パターンを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が少ない方を、前記それぞれの部における先頭ページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が多い方を、当該それぞれの部における当該先頭ページ以外の各々のページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定するとともに、当該それぞれの部における個々のページについての当該画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御する第2パターンを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が多い方を、前記それぞれの部における最終ページ以外の各々のページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が少ない方を、当該それぞれの部における当該最終ページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定するとともに、当該それぞれの部における個々のページについての当該画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御する第3パターンを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの一方を、前記それぞれの部における先頭ページから所定ページまでの各々のページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの他方を、当該それぞれの部における当該所定ページよりも後の各々のページについての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定するとともに、当該それぞれの部における個々のページについての当該画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御する第4パターンを含み、
前記第4パターンにおいては、前記先頭ページから前記所定ページまでのページ数である所定ページ数が前記複数ページの総数の半分未満である場合に、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が少ない方が、前記一方とされるとともに、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が多い方が、前記他方とされ、当該所定ページ数が当該複数ページの総数の半分以上である場合に、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が多い方が、当該一方とされるとともに、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が少ない方が、当該他方とされる、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザ操作に従って前記所定ページ数を設定する第1設定手段をさらに備える、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1収容手段と前記第2収容手段とのそれぞれにおける前記画像記録媒体の残量と、前記複数ページの総数と、に基づいて前記所定ページ数を求める所定ページ数演算手段、および、
前記所定ページ数演算手段により求められた前記所定ページ数を設定する第2設定手段をさらに備える、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が多い方を、前記それぞれの部についての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が少ない方を、当該それぞれの部ごとに前記印刷物を仕分けるための合紙の前記供給元として設定するとともに、当該それぞれの部についての当該画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御し、併せて、当該合紙としての当該画像記録媒体に対しては当該画像形成処理を非実行とする第5パターンを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数の制御パターンは、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのうちの前記画像記録媒体の残量が多い方を、一部の前記部についての前記画像形成処理が実行されるときの前記供給元として設定し、当該第1収容手段と当該第2収容手段とのうちの当該画像記録媒体の残量が少ない方を、当該一部の部のそれぞれの前記印刷物を当該部ごとに仕分けるための合紙の前記供給元として設定するとともに、当該一部の部についての当該画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の向きに応じて当該画像形成処理の要領を制御し、併せて、当該合紙としての当該画像記録媒体に対して残りの前記部についての前記画像形成処理が実行されつつ当該合紙としての画像記録媒体の向きに応じて当該残りの部についての当該画像形成処理の要領を制御する第6パターンを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の媒体収容手段は、前記第1収容手段と前記第2収容手段とのそれぞれに収容される前記画像記録媒体よりもサイズの大きい大サイズ記録媒体が収容される第3収容手段を含み、
前記第6パターンにおいては、前記合紙としての前記画像記録媒体により複数の前記部が構成される場合に、前記第3収容手段が、それぞれの当該部ごとに前記印刷物を仕分けるための第2の合紙の前記供給元として設定されるとともに、当該第2の合紙としての前記大サイズ記録媒体に対しては前記画像形成処理が非実行とされる、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記残量検知手段による検知結果に基づいて、前記供給元となるそれぞれの前記媒体収容手段において前記画像記録媒体が不足することなく、前記全ての部数分の前記画像形成処理が実行されることが可能であるかどうかを判定する判定手段、および、
前記供給元となるそれぞれの前記媒体収容手段において前記画像記録媒体が不足することなく、前記全ての部数分の前記画像形成処理が実行されることは不可能である、という前記判定手段による判定結果が得られたときに、警告情報を出力する警告情報出力手段をさらに備える、請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
複数ページ分の画像を複数枚のシート状の画像記録媒体に複数部数分形成する際に、当該画像が形成された後の当該画像記録媒体である印刷物をそれぞれの部ごとに仕分けるソート機能を有する、画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
前記画像を前記画像記録媒体に形成する画像形成処理を担う画像形成手段、および、
前記画像記録媒体が互いに異なる向きで収容される第1収容手段と第2収容手段とを含む複数の媒体収容手段を有し、当該複数の媒体収容手段のいずれかを供給元として当該供給元から当該画像記録媒体を前記画像形成手段へ供給する媒体供給手段を備え、その上で、
前記画像形成処理が実行される前に、前記複数の媒体収容手段のそれぞれにおける前記画像記録媒体の残量を検知する残量検知ステップ、および、
前記残量検知ステップによる検知結果に基づいて、前記供給元となるそれぞれの前記媒体収容手段において前記画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の前記画像形成処理が実行されるように、当該供給元となる当該媒体収容手段を設定するとともに、当該画像記録媒体に対する当該画像形成処理の要領を制御するソート制御ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、特に、複数ページ分の画像を複数枚のシート状の画像記録媒体に複数部数分形成する際に、当該画像が形成された後の画像記録媒体である印刷物をそれぞれの部ごとに仕分けるソート機能を有する、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転ソート機能を有する画像形成装置の一例が開示されている。この特許文献1に開示された画像形成装置によれば、画像記録媒体としての用紙が収容される複数の媒体収容手段としての複数の給紙段が設けられる。これら複数の給紙段のうちの少なくとも2つの給紙段には、互いに同じサイズの用紙が互いに異なる向きで収容される。その上でたとえば、複数ページの原稿が複数部コピーされる場合、詳しくはコピー先として指定された用紙のサイズがここで言う少なくとも2つの給紙段に収容された用紙のサイズと合致するとともに、回転ソートを行うことが選択された上で、当該複数ページの原稿が複数部コピーされる場合、奇数部目の部については、原稿と同じ向きの用紙にコピーされる。そして、偶数部目の部については、原稿と異なる向きの用紙にコピーされ、そのために、当該原稿の画像が90度または270度回転される。これにより、コピー後の用紙である印刷物が1部ずつ交互に異なる向きで排出され、仕分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1に開示された画像形成装置によれば、複数ページの原稿が複数部コピーされる場合に、奇数部目の部については、原稿と同じ向きの用紙にコピーされ、偶数部目の部については、原稿と異なる向きの用紙にコピーされる。このため、同様のコピーが繰り返されると、とりわけコピー部数が奇数である場合が多いと、奇数部目のコピーに供される用紙が、偶数部目のコピーに供される用紙に比べて、早く消費される。その結果、コピーの実行中に用紙がなくなり(用紙切れとなり)、当該コピーが停止(中断)する、という不都合が頻発する。このことは、画像形成装置の利便性および当該画像形成装置を用いての作業の効率性の低下を招く。
【0005】
そこで、本発明は、コピーなどの画像形成処理が実行されている途中で用紙などの画像記録媒体がなくなることにより当該画像形成処理が停止するのを防止することができる、新規な画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る第1発明、および、画像形成装置の制御方法に係る第2発明を含む。
【0007】
このうちの画像形成装置に係る第1発明は、複数ページ分の画像を複数枚のシート状の画像記録媒体に複数部数分形成する際に、当該画像が形成された後の画像記録媒体である印刷物をそれぞれの部ごとに仕分けるソート機能を有することを、前提とする。この前提の下、本第1発明は、画像形成手段、媒体供給手段、残量検知手段およびソート制御手段を備える。画像形成手段は、画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を担う。媒体供給手段は、画像記録媒体が互いに異なる向きで収容される第1収容手段と第2収容手段とを含む複数の媒体収容手段を有する。そして、媒体供給手段は、複数の媒体収容手段のいずれかを供給元として、当該供給元から画像記録媒体を画像形成手段へ供給する。残量検知手段は、画像形成手段による画像形成処理が実行される前に、複数の媒体収容手段のそれぞれにおける画像記録媒体の残量を検知する。ソート制御手段は、残量検知手段による検知結果に基づいて、画像形成手段への画像記録媒体の供給元となるそれぞれの媒体収容手段において当該画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の画像形成処理が実行(完遂)されるように、当該供給元となる媒体収容手段を設定するとともに、当該画像記録媒体に対する画像形成処理の要領を制御する。
【0008】
具体的には、ソート制御手段は、複数の制御パターンを有する。そして、ソート制御手段は、これら複数の制御パターンのいずれかによって、画像形成手段への画像記録媒体の供給元となる媒体収容手段を設定するとともに、当該画像記録媒体に対する画像形成処理の要領を制御する。
【0009】
ここで言う複数の制御パターンは、第1パターンを含む。この第1パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、奇数部目の部についての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方が、偶数部目の部についての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。併せて、奇数部目の部についての画像形成処理と偶数部目の部についての画像形成処理とのそれぞれが実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、当該画像形成処理の要領が制御される。
【0010】
また、複数の制御パターンは、第2パターンを含んでもよい。この第2パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方が、それぞれの部における先頭ページについての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、それぞれの部における先頭ページ以外の各々のページについての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。併せて、それぞれの部における個々のページについての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、当該画像形成処理の要領が制御される。
【0011】
さらに、複数の制御パターンは、第3パターンを含んでもよい。この第3パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、それぞれの部における最終ページ以外の各々のページについての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方が、それぞれの部における最終ページについての画像形成処理が実行されるときの当該画像記録媒体の供給元として設定される。併せて、それぞれの部における個々のページについての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、当該画像形成処理の要領が制御される。
【0012】
加えて、複数の制御パターンは、第4パターンを含んでもよい。この第4パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの一方が、それぞれの部における先頭ページから所定ページまでの各々のページについての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの他方が、それぞれの部における所定ページよりも後の各々のページについての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の供給元として設定される。併せて、それぞれの部における個々のページについての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、画像形成処理の要領が制御される。その上でたとえば、先頭ページから所定ページまでのページ数である所定ページ数が前述の複数ページの総数の半分未満である場合は、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方が、ここで言う一方とされる。併せて、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、ここで言う他方とされる。これに対して、所定ページ数が前述の複数ページの総数の半分以上である場合は、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、ここで言う一方とされる。併せて、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方が、ここで言う他方とされる。
【0013】
また、第4パターンにおける所定ページ数を設定するために、第1設定手段が設けられてもよい。この第1設定手段は、ユーザ操作に従って所定ページ数を設定する。
【0014】
さらに、第1設定手段とは別に、第2設定手段が設けられてもよい。この場合、所定ページ数演算手段が併せて設けられる。この所定ページ数演算手段は、第1収容手段と第2収容手段とのそれぞれにおける画像記録媒体の残量と、前述の複数ページの総数と、に基づいて、所定ページ数を求める。そして、第2設定手段は、所定ページ数演算手段により求められた所定ページ数を設定する。
【0015】
複数の制御パターンは、第5パターンを含んでもよい。この第5パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、それぞれの部についての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方は、それぞれの部ごとに印刷物を仕分けるための合紙の供給元として設定される。併せて、それぞれの部についての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、画像形成処理の要領が制御される。そして、合紙としての画像記録媒体に対しては、画像形成処理が非実行とされる。
【0016】
複数の制御パターンは、第6パターンを含んでもよい。この第6パターンによれば、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が多い方が、一部の部についての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の供給元として設定される。そして、第1収容手段と第2収容手段とのうちの画像記録媒体の残量が少ない方は、当該一部の部のそれぞれの印刷物を当該部ごとに仕分けるための合紙の供給元として設定される。併せて、当該一部の部についての画像形成処理が実行されるときの画像記録媒体の向きに応じて、当該画像形成処理の要領が制御される。そして、合紙としての画像記録媒体に対しては、残りの部についての画像形成処理が実行されつつ、当該合紙としての画像記録媒体の向きに応じて、当該残りの部についての画像形成処理の要領が制御される。
【0017】
また、第6パターンにおいては、合紙としての画像記録媒体により複数の部が構成される場合に、当該複数の部のそれぞれの印刷物を当該部ごとに仕分けるための第2の合紙が用いられる。そのために、前述の複数の媒体収容手段は、第3収容手段を含む。この第3収容手段には、第1収容手段と第2収容手段とのそれぞれに収容される画像記録媒体よりもサイズの大きい大サイズ記録媒体が収容される。その上で、合紙としての画像記録媒体により複数の部が構成される場合は、第3収容手段が、当該複数の部のそれぞれの印刷物を当該部ごとに仕分けるための第2の合紙の供給元として設定される。そして、第2の合紙としての大サイズ記録媒体に対しては、画像形成処理が非実行とされる。
【0018】
本第1発明においては、さらに、判定手段および警告情報出力手段が設けられてもよい。判定手段は、残量検知手段による検知結果に基づいて、画像形成手段への画像記録媒体の供給元となるそれぞれの媒体収容手段において当該画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の画像形成処理が実行されることが可能であるかどうかを判定する。そして、警告情報出力手段は、画像記録媒体の供給元となるそれぞれの媒体収容手段において当該画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の画像形成処理が実行されることは不可能である、という判定手段による判定結果が得られたときに、警告情報を出力する。
【0019】
本発明のうちの第2発明に係る画像形成装置の制御方法は、残量検知ステップおよびソート制御ステップを含む。ここで、画像形成装置は、複数ページ分の画像を複数枚のシート状の画像記録媒体に複数部数分形成する際に、当該画像が形成された後の画像記録媒体である印刷物をそれぞれの部ごとに仕分けるソート機能を有する。併せて、画像形成装置は、画像形成手段および媒体供給手段を備える。画像形成手段は、画像を画像記録媒体に形成する画像形成処理を担う。媒体供給手段は、画像記録媒体が互いに異なる向きで収容される第1収容手段と第2収容手段とを含む複数の媒体収容手段を有する。そして、媒体供給手段は、複数の媒体収容手段のいずれかを供給元として、当該供給元から画像記録媒体を画像形成手段へ供給する。その上で、残量検知ステップでは、画像形成手段による画像形成処理が実行される前に、複数の媒体収容手段のそれぞれにおける画像記録媒体の残量を検知する。ソート制御ステップでは、残量検知ステップによる検知結果に基づいて、画像形成手段への画像記録媒体の供給元となるそれぞれの媒体収容手段において当該画像記録媒体が不足することなく、全ての部数分の画像形成処理が実行されるように、当該供給元となる媒体収容手段を設定するとともに、当該画像記録媒体に対する画像形成処理の要領を制御する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成処理が実行されている途中で用紙などの画像記録媒体がなくなることにより当該画像形成処理が停止するのを防止することができる。このことは、画像形成装置の利便性および当該画像形成装置を用いての作業の効率性の向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る複合機の正面、平面および左側面を示す外観図である。
【
図2】
図2は、同実施例における複合機の残量検知機構の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、同実施例における複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同実施例における複合機に複数のパーソナルコンピュータが接続された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、同実施例における複合機の給紙部の一状態を示す図である。
【
図6】
図6は、同実施例の比較対象としての一般的な回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図7】
図7は、同実施例における複合機の給紙部の別の状態を示す図である。
【
図8】
図8は、同実施例の比較対象としての一般的な回転ソートの課題を説明するための図である。
【
図9】
図9は、同実施例における第1パターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図10】
図10は、同実施例における複合機の給紙部のさらに別の状態を示す図である。
【
図11】
図11は、同実施例における第1パターンによる回転ソートでは対応することができない場合の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、同実施例における第2パターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図13】
図13は、同実施例における第3パターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図14】
図14は、同実施例における第4パターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図15】
図15は、同実施例における第5パターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図16】
図16は、同実施例における複合機の給紙部のさらに別の状態を示す図である。
【
図17】
図17は、同実施例における第6Aパターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図18】
図18は、同実施例における第6Bパターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図19】
図19は、同実施例における第6Cパターンによる回転ソートの要領を説明するための図である。
【
図20】
図20は、同実施例における第2の合紙の挿入状態の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、同実施例における回転ソート設定画面の一状態を示す図である。
【
図22】
図22は、同実施例における複合機の主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図23】
図23は、同実施例における回転ソート制御タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【
図24】
図24は、同実施例における回転ソート制御タスクの別の部分の流れを示すフロー図である。
【
図25】
図25は、同実施例における回転ソート制御タスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【
図26】
図26は、同実施例における合紙印刷制御処理の一部分の流れを示すフロー図である。
【
図27】
図27は、同実施例における合紙印刷制御処理の別の部分の流れを示すフロー図である。
【
図28】
図28は、同実施例における合紙印刷制御処理のさらに別の部分の流れを示すフロー図である。
【
図29】
図29は、同実施例における合紙印刷制御処理の残りの部分の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施例について、
図1に示される複合機10を例に挙げて説明する。
【0023】
本実施例に係る複合機10は、画像形成装置の一種であり、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。この複合機10は、たとえばオフィスに設置され、図示しない社員などの複数のユーザによって使用(共用)される。なお、
図1は、複合機10の正面(前面)、平面(上面)および左側面(左面)を示す外観図である。すなわち、
図1における上下方向は、複合機10の上下方向に対応する。そして、
図1における右斜め下方は、複合機10の前方に対応し、
図1における左斜め上方は、複合機10の後方に対応する。また、
図1における左斜め下方は、複合機10の左方に対応し、
図1における右斜め上方は、複合機10の右方に対応する。
【0024】
複合機10(の本体)の上部には、画像読取手段の一例としての画像読取部12が設けられる。この画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される不図示の原稿台を有する。この原稿台は、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせた状態で設けられる。この原稿台の両主面のうちの上面が、原稿の載置面である。そして、原稿台の下方には、不図示の光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有する画像読取ユニット、および、当該画像読取ユニットによる不図示の画像読取位置を原稿台の下面に沿って移動(走査)させるための不図示の駆動機構をはじめとする適宜の要素が設けられる。すなわち、原稿台に原稿が載置された状態で、画像読取ユニットによる画像読取位置が駆動機構により移動されることで、原稿の画像が読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。併せて、原稿台の上方には、当該原稿台に載置された原稿を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)14が設けられる。
【0025】
自動原稿送り装置14は、原稿台の上面(原稿載置面)を外部に露出させる状態と、原稿台の上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置14は、不図示のヒンジなどの適当な支点支持部材を介して複合機10の本体(筐体)に結合される。なお、
図1は、自動原稿送り装置14が原稿台の上面を覆った状態を示す。また、自動原稿送り装置14は、
図1に示される如く原稿台の上面を覆った状態にあるときに、厳密にはその上で、原稿台に原稿などの何らかの(自動原稿送り装置14自体を除く)物体が載置されていない状態にあるときに、それ本来の機能を発揮する。
【0026】
すなわち、自動原稿送り装置14は、原稿載置トレイ14aを有する。この原稿載置トレイ14aには、原稿が、厳密にはシート状の原稿が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿が積層状に載置可能である。そして、自動原稿送り装置14は、原稿載置トレイ14aに載置された原稿を1枚単位で(1枚ずつ)自動的に当該自動原稿送り装置14の内部に取り込む。この自動原稿送り装置14の内部に取り込まれた原稿は、原稿台の上面へ送り込まれ、詳しくは前述の画像読取ユニットによる画像読取位置へ送り込まれる。これにより、原稿の画像が読み取られ、いわゆる流し読み方式で読み取られる。その後、原稿は、自動原稿送り装置14の原稿排出トレイ14bに排出される。
【0027】
画像読取部12の下方には、外方へ開口された胴内空間10aが設けられる。そして、胴内空間10aの下方に、画像形成手段の一例としての画像形成部16が設けられる。この画像形成部16は、前述の読取画像データや後述する印刷ジョブに含まれる画像データなどの適宜の画像データに基づく画像をシート状の画像記録媒体としての後述する用紙100に形成する、つまり印刷する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部16は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。この画像形成部16による画像形成処理が施された後の用紙100、言わば印刷物100(ここで言う印刷物についても、「100」という符号を付して説明する。)は、胴内空間10aへ排出され、厳密には胴内空間10aに設けられた排出部としての排紙トレイ18へ排出される。なお、画像形成部16は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式により、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0028】
そして、画像形成部16の下方に、換言すれば複合機10の下部に、媒体供給手段の一例としての給紙部20が設けられる。この給紙部20は、複数の、たとえば4つの、媒体収容手段の一例としての給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dを有する。これら各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dは、上下方向に沿って重なるように設けられる。そして、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dには、後述する如く適宜のサイズの用紙100が収容され、厳密には複数枚の用紙100,100,…が積層状に収容可能である。また、複合機10の右側面には、補助的な給紙トレイである不図示の手差しトレイが設けられる。この手差しトレイには、任意のサイズの用紙100が載置され、厳密には複数枚の用紙100,100,…が積層状に載置可能である。給紙部20は、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dならびに手差しトレイのいずれかを用紙100の供給元として、当該供給元から画像形成部16へ用紙100を1枚単位で供給する。
【0029】
各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dのそれぞれは、
図2に示されるように、自身に収容された用紙100の残量を検知する残量検知手段の一例としての残量検知機構200を有する。この残量検知機構200は、連結レバー202およびレバー位置検知部204を含む。連結レバー202は、概略くの字状に屈曲した棒状体であり、屈曲部202aを軸として回動可能に設けられる。そして、連結レバー202の一方端部(
図2における右側の端部)は、用紙100が載置される概略矩形平板状の載置板206の底部に沿って摺動可能な状態に、当該載置板206の底部に連結される。すなわち、載置板206上の用紙100の量に応じて、換言すれば用紙100の残量に応じて、載置板206が上下方向へ移動するが、これに伴い、連結レバー202の一方端部が当該載置板206の底部に沿って摺動する。さらに、連結レバー202は、屈曲部202aを軸として回動し、その結果、当該連結レバー202の他方端部(
図2における左側の端部)が上下方向へ移動する。
【0030】
そして、レバー位置検知部204は、前述の如く上下方向へ移動する連結レバー202の他方端部の位置を検知し、ひいては用紙100の残量を検知する。そのために、レバー位置検知部204は、たとえば上下方向に沿って配置された不図示の複数の光センサを有する。このレバー位置検知部204を含む残量検知機構200による用紙100の残量の検知分解能は、光センサの数にもよるが、たとえば各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dそれぞれの用紙100の最大収容枚数の10%である。すなわち、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dそれぞれの用紙100の最大収容枚数が500枚であるとすると、当該各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dそれぞれの残量検知機構200は、50枚という分解能(単位)で用紙100の残量を検知する。なお、残量検知機構200は、ここで説明した構成のものに限らず、他の構成のものであってもよい。また、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dについては、これ以降、最上段のものから下方へ向かって順に「トレイ[1]」,「トレイ[2]」,「トレイ[3]」および「トレイ[4]」と称することがある。
【0031】
図1に戻って、複合機10の上部であって、当該複合機10の本体の前部に、概略矩形板状の操作ユニット22が設けられる。この操作ユニット22は、タッチパネル22a付きのディスプレイ22bを有する。タッチパネル22a付きのディスプレイ22bは、矩形状の表示面を有するディスプレイ22bと、このディスプレイ22bの表示面上に重なるように設けられたシート状のタッチパネル22aとが、一体的に組み合わされた構成品である。このうちのタッチパネル22aは、複合機10を使用するユーザによるタッチ操作を受付可能な操作受付手段の一例であり、たとえば投影型の静電容量方式のパネルである。そして、ディスプレイ22bは、各種の情報を表示する表示手段の一例であり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、タッチパネル22aは、投影型の静電容量方式に限らず、表面型の静電容量方式や電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、ディスプレイ22bは、液晶ディスプレイに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。さらに、操作ユニット21は、タッチパネル22a以外に、押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。併せて、操作ユニット22は、ディスプレイ22b以外に、発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0032】
図3は、複合機10の電気的な構成を示すブロック図である。この
図3に示されるように、複合機10は、画像読取部12、自動原稿送り装置14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22の他に、制御部30、補助記憶部32、通信部34などを備える。これらは、互いに共通のバス40を介して接続される。なお、画像読取部12、自動原稿送り装置14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22については、前述の通りである。また、
図2においては、本発明の本旨に直接的に関係しない要素の図示は省略してある。
【0033】
制御部30は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部30は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU30aを、有する。併せて、制御部30は、CPU30aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部30bを有する。主記憶部30bは、不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU30aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。そして、RAMは、CPU30aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0034】
補助記憶部32は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部32には、前述の読取画像データや後述する印刷ジョブなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部32は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。また、補助記憶部32は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0035】
通信部34は、後述するLAN回線50を介しての双方向の通信処理を担う、通信手段の一例である。また、通信部34は、不図示の公衆交換電話網を介しての双方向の通信処理をも担う。なお、通信部224は、たとえば有線によりLAN回線50と接続されるが、無線により、たとえばWi-Fi(登録商標)により、LAN回線50と接続されてもよい。
【0036】
LAN回線50には、
図3に示されるように、複数の外部装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する。)60,60,…が接続される。すなわち、複合機10には、LAN回線50を介して複数のPC60,60,…が接続される。そして、各PC60,60,…には、複合機10用のデバイスドライバがインストールされる。これにより、各PC60,60,…は、個別に複合機10と双方向の通信を行うことが可能となり、たとえば印刷ジョブを当該複合機10へ送信することが可能となる。
【0037】
さて、本実施例に係る複合機10は、コピー機能およびプリンタ機能における補助的機能の1つであるソート機能を有する。このソート機能は、基本的には回転ソート機能であるが、その時々の状況に応じた要領で印刷物100を仕分ける、言わば動的(適応的)な回転ソート機能である。
【0038】
具体的に説明すると、たとえば今、
図5に示されるように、給紙部20の各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dのそれぞれに適宜のサイズの用紙100が収容された状態にあるとする。すなわち、トレイ[1]にA4サイズの用紙100が収容され、トレイ[2]にA4Rサイズの用紙100が収容された状態にあるとする。そして、トレイ[3]にB5サイズの用紙100が収容され、トレイ[4]にA3サイズの用紙100が収容された状態にあるとする。
【0039】
なお、A4サイズの用紙100とA4Rサイズの用紙100とは、互いに同じサイズであるが、互いの向きが90度異なる。A4サイズの用紙100は、その長辺を搬送方向に対して直角な方向へ沿わせた状態で搬送されるように、いわゆる長辺通紙(横通紙)されるように、収容される。そして、A4Rサイズの用紙100は、その短辺を搬送方向に対して直角な方向へ沿わせた状態で搬送されるように、いわゆる短辺通紙(横通紙)されるように、収容される。
【0040】
さらに、
図5に示される状態においては、トレイ[1]に収容されたA4サイズの用紙100の残量が、当該トレイ[1]の用紙100の最大収容枚数の50%に相当し、つまり250枚であるとする。そして、トレイ[2]に収容されたA4Rサイズの用紙100の残量が、当該トレイ[2]の用紙100の最大収容枚数の100%に相当し、つまり500枚であるとする。すなわち、トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量が、トレイ[2]のA4Rの用紙100の残量よりも少ない状態にあるとする。
【0041】
その上で、いずれかのPC60から複合機10に対して、当該複合機10のプリンタ機能により100ページのA4サイズの原稿を3部印刷するとともに、回転ソートを行うことを指示する内容の印刷ジョブが与えられるとする。
【0042】
この場合、前述の特許文献1に開示された画像形成装置を含む一般的な画像形成装置における回転ソート機能によれば、
図6に示されるように、まず、1部目C1については、原稿と同じ向きのA4サイズの用紙100に印刷が行われ、つまりA4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、2部目C2については、原稿と異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われ、つまりA4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。併せて、2部目C2については、原稿の(画像データの)向きが90度(または270度)回転された上で、印刷が行われる。そして、3部目C3については、改めて原稿と同じ向きのA4サイズの用紙100に印刷が行われる。要するに、奇数部目C1およびC3については、原稿と同じ向きのA4サイズの用紙100に印刷が行われる。そして、偶数部目C2については、原稿の向きが90度回転された上で、原稿と異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる。
【0043】
これにより、トレイ[1]に収容されたA4サイズの用紙100は、計200枚(=100枚×2部)消費され、当該トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量は、50枚(=250枚-200枚)となる。そして、トレイ[2]に収容されたA4Rサイズの用紙100は、計100枚(=100枚×1部)消費され、当該トレイ[2]のA4Rサイズの用紙100の残量は、400枚(=500枚-100枚)となる。すなわち、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少なかった方の当該残量が、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量の多かった方の当該残量よりも、さらに少なくなる。
【0044】
したがって、同様の印刷ジョブに基づく印刷が繰り返されると、とりわけ印刷部数が奇数である場合が多いと、奇数部目の印刷に供される用紙100が、偶数部目の印刷に供される用紙100に比べて、早く消費される。その結果、印刷の実行中に用紙100がなくなり(用紙切れとなり)、当該印刷が停止する、という状況が頻発する。
【0045】
たとえば、
図7に示されるように、トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量が150枚(最大収容枚数の30%相当)であり、トレイ[2]のA4Rサイズの用紙100の残量が500枚(最大収容枚数の100%相当)であるとする。その上で、いずれかのPC60から複合機10に対して、前述と同様の印刷ジョブが与えられるとする。
【0046】
この場合、一般的な回転ソート機能によれば、
図8に示されるように、3部目C3についての印刷が行われている途中で、詳しくは3部目C3における50ページ目P50の印刷が終了した時点で、A4サイズの用紙100がなくなり、印刷が停止され、つまり印刷が完遂されない。すなわち、A4サイズの用紙100とA4Rサイズの用紙100とを合わせた当該用紙100の残量が印刷を完遂させるのに十分であったにも拘らず、当該印刷が完遂されないという結果となる。印刷を完遂させるには、トレイ[1]に用紙100を補給する必要があるが、とりわけプリンタ機能においては、ユーザがそのことに気づくのが遅くなることがある。このような状況が頻発するのは、複合機10の利便性および当該複合機10を用いての作業の効率性の観点から、極めて不都合である。
【0047】
これに対して、本実施例における回転ソート機能によれば、複合機10により印刷ジョブが受け付けられると、当該印刷ジョブに基づく印刷が行われる前に、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dそれぞれの用紙100の残量が確認される。そして特に、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式1を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、式2を満足するかどうかの判定が行われる。なお、Nは、原稿のページ数である。そして、Mは、印刷部数である。
【0048】
《式1》
D≧N×M’
where M’=M/2 (小数点以下切り捨て)
《式2》
E≧N×M”
where M”=M/2 (小数点以下切り上げ)
これらの式1および式2の両方が満足される場合に、第1パターンによる回転ソートが行われる。この第1パターンによる回転ソートによれば、
図9に示されるように、奇数部目C1およびC3については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4Rサイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。そして、偶数部目C2については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4サイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。なお、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0049】
すなわち、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方が、当該トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方よりも優先して、最初の部C1を含む奇数部目C1およびC3についての供給元として設定される。言い換えれば、トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙100の残量に応じて、当該トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙100がバランス良く消費されるように、当該トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれが適宜に供給元として設定される。これにより、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなる(不足する)ことなく、当該印刷が完遂される。これは、複合機10の利便性および当該複合機10を用いての作業の効率性の向上に大きく貢献する。
【0050】
ただし、第1パターンによる回転ソートによっても、前述の式1および式2の少なくとも一方が満足されない場合には、印刷が完遂されない。たとえば、
図10に示されるように、トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量が50枚(最大収容枚数の10%相当)であり、トレイ[2]のA4Rサイズの用紙100の残量が300枚(最大収容枚数の60%相当)である場合には、式2は満足されるものの、式1が満足されない。この場合、第1パターンによる回転ソートでは、
図11に示されるように、2部目C2についての印刷が行われている途中で、詳しくは2部目C2における50ページ目P50の印刷が終了した時点で、A4サイズの用紙100がなくなり、印刷が停止される。
【0051】
これに対処するために、本実施例においては、回転ソートの別パターンとして、第2パターンが用意されている。この第2パターンによる回転ソートによれば、
図12に示されるように、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける先頭ページP1については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4サイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける先頭ページP1以外の各々のページP2~P100については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4Rサイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際に、当該原稿の向きが90度回転される。
【0052】
これにより、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…については、それぞれの部C1,C2およびC3における先頭ページP1を目安として、当該それぞれの部C1,C2およびC3ごとに仕分けられる。
【0053】
なお、第2パターンによる回転ソートの実行に際して、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式3を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、式4を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式3および式4の両方が満足される場合に、第2パターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0054】
《式3》
D≧M
《式4》
E≧(N-1)×M
また、本実施例においては、回転ソートのさらに別パターンとして、第3パターンが用意されている。この第3パターンによる回転ソートによれば、
図13に示されるように、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける最終ページP100以外の各々のページP1~P99については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4Rサイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。そして、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける最終ページP100については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4サイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0055】
このような第3パターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…については、それぞれの部C1,C2およびC3における最終ページP100を目安として、当該それぞれの部C1,C2およびC3ごとに仕分けられる。
【0056】
なお、第3パターンによる回転ソートの実行に際しても、第2パターンによる回転ソートの実行に際してと同様、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、前述の式3を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、前述の式4を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式3および式4の両方が満足される場合に、第3パターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0057】
さらに、本実施例においては、回転ソートの別パターンとして、第4パターンが用意されている。この第4パターンによる回転ソートによれば、
図14に示されるように、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける先頭ページP1から所定ページP(V)までの各々のページについては、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4サイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける所定ページP(V)よりも後の各々のページP(V+1)~P100については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4Rサイズの用紙100に印刷が行われ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0058】
ここで、先頭ページP1から所定ページP(V)までのページ数(所定ページ数)Vについては、手動により任意に設定することができる。ただし、所定ページ数Vは、1以上かつ原稿の総ページ数Nの1/2未満の値(1≦V<(N/2))とされる。
【0059】
また、所定ページ数Vは、自動により設定することもできる。この場合、所定ページ数Vは、トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙100の残量(の相互比)と所定ページ数Vとに基づいて、詳しくは次の式5に基づいて、求められる。
【0060】
《式5》
V:(N-V)=D:E
∴ V=(D×N)/(D+E)
なお、第4パターンによる回転ソートの実行に際して、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式6を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、式7を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式6および式7の両方が満足される場合に、第4パターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0061】
《式6》
D≧V×M
《式7》
E≧(N-V)×M
このような第4パターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…については、それぞれの部C1,C2およびC3におけるA4サイズの印刷物100の束(一群)とA4Rサイズの印刷物100の束との組合せから、当該それぞれの部C1,C2およびC3ごとに仕分けられる。
【0062】
加えて、本実施例においては、回転ソートのさらに別パターンとして、第5パターンが用意されている。この第5パターンによる回転ソートによれば、
図15に示されるように、全ての部C1,C2およびC3について、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4Rサイズの用紙100に印刷され、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]が供給元として設定される。そして、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4サイズの用紙100については、合紙100(ここで言う合紙についても、「100」という符号を付して説明する。)として用いられる。すなわち、A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]は、合紙100の供給元として設定される。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。そして、合紙100としてのA4サイズの用紙100には、印刷は行われず、つまり画像形成処理が非実行とされる。
【0063】
このような第5パターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…については、合紙100を各部C1,C2およびC3の境界として、それぞれの各部C1,C2およびC3ごとに仕分けられる。
【0064】
なお、第5パターンによる回転ソートの実行に際して、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式8を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、式9を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式8および式9の両方が満足される場合に、第5パターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0065】
《式8》
D≧M-1
《式9》
E≧N×M
さらに加えて、本実施例においては、回転ソートの別パターンとして、第6パターンが用意されている。この第6パターンによる回転ソートによれば、合紙100として用いられる用紙100にも印刷が行われ、つまり当該合紙100についても印刷物100として活用される。なお、第6パターンは、原稿のページ数Nと印刷部数Mとの関係によって、詳しくは原稿のページ数Nと印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)との大小関係によって、第6Aパターン、第6Bパターンおよび第6Cパターンという3つのパターンに分かれる。
【0066】
ここで、
図16に示されるように、トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量が500枚(最大収容枚数の100%相当)であり、トレイ[2]のA4Rサイズの用紙100の残量が250枚(最大収容枚数の50%相当)であるとする。すなわち、トレイ[1]のA4サイズの用紙100の残量が、トレイ[2]のA4Rの用紙100の残量よりも多い状態にあるとする。
【0067】
その上で、いずれかのPC60から複合機10に対して、たとえば当該複合機10のプリンタ機能により3ページのA4サイズの原稿を5部印刷するとともに、回転ソートを行うことを指示する内容の印刷ジョブが与えられるとする。すなわち、原稿のページ数Nが3であり、印刷部数Mが5であり、つまりN=M-2である、とする。この場合、回転ソートのパターンとして、第6Aパターンが適用される。
【0068】
この第6Aパターンによる回転ソートによれば、
図17に示されるように、全ての部C1~C5のうちの1つ、ここでは最後の部C5、を除く各部C1~C4について、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4サイズの用紙100に印刷され、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4Rサイズの用紙100については、合紙100として用いられ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]は、合紙100の供給元として設定される。併せて、合紙100としてのA4Rサイズの用紙100に、最後の部5についての印刷が行われる。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0069】
このような第6Aパターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。そして、印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…のうちの最後の部C5以外の各部C1~C4の各印刷物100,100,…については、合紙100を当該各部C1~C4の境界として、それぞれの部C1~C4ごとに仕分けられる。そして、合紙100の集合により、最後の部C5が構成される。
【0070】
なお、第6Aパターンによる回転ソートの実行に際して、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式10を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該残量Eが、式11を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式10および式11の両方が満足される場合に、第6Aパターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0071】
《式10》
D≧N
《式11》
E≧N×(M-1)
これに対してたとえば、印刷ジョブに含まれる原稿のページ数Nが5であり、当該印刷ジョブによって指定された印刷部数Mが5である、つまりN>M-2である、とする。この場合、回転ソートのパターンとして、第6Bパターンが適用される。
【0072】
この第6Bパターンによる回転ソートによれば、
図18に示されるように、全ての部C1~C5のうちの1つ、ここでは最後の部C5、を除く各部C1~C4について、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4サイズの用紙100に印刷され、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4Rサイズの用紙100については、合紙100として用いられ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]は、合紙100の供給元として設定される。併せて、合紙100としてのA4Rサイズの用紙100に、最後の部C5についての印刷が行われる。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0073】
ただし厳密に言えば、合紙100のうちの4部目の部C4よりも前に印刷が行われるもののみが、当該合紙100としての本来の役割を果たす。そして、4部目の部C4よりも後に印刷が行われる合紙100については、当該合紙100としての本来の割を果たさず、最後の部C5を構成する印刷物100に留まる。
【0074】
このような第6Bパターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…のうちの最後の部C5以外の各部C1~C4の各印刷物100,100,…については、合紙100を当該各部C1~C4の境界として、それぞれの部C1~C4ごとに仕分けられる。そして、合紙100の集合により、最後の部C5が構成される。
【0075】
なお、第6Bパターンによる回転ソートの実行に際しても、第6Aパターンによる回転ソートの実行に際してと同様、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、前述の次の式10を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙の残量が多い方の当該残量Eが、前述の式11を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式10および式11の両方が満足される場合に、第6Bパターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0076】
さらにたとえば、印刷ジョブに含まれる原稿のページ数Nが3であり、当該印刷ジョブによって指定された印刷部数Mが8である、つまりN<M-2である、とする。この場合、回転ソートのパターンとして、第6Cパターンが適用される。
【0077】
この第6Cパターンによる回転ソートによれば、
図19に示されるように、全ての部C1~C8のうちの一部、ここでは最初の部C1から6部目の部C6までの6つの部C1~C6について、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方のA4サイズの用紙100に印刷され、つまり当該A4サイズの用紙100が収容されたトレイ[1]が供給元として設定される。そして、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方のA4Rサイズの用紙100については、合紙100として用いられ、つまり当該A4Rサイズの用紙100が収容されたトレイ[2]は、合紙100の供給元として設定される。併せて、合紙100としてのA4Rサイズの用紙100に、残りの最後の部C7およびC8についての印刷が行われる。この場合も、原稿とは異なる向きのA4Rサイズの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0078】
ただし厳密に言えば、合紙100のうちの6部目の部C6よりも前に印刷が行われるもののみが、当該合紙100としての本来の役割を果たす。そして、6部目の部C6よりも後に印刷が行われる合紙100については、当該合紙100としての本来の役割を果たさず、最後の部C8を構成する印刷物100に留まる。
【0079】
さらに、合紙100によって複数の部C7およびC8が構成されることから、これら複数の部C7およびC8を仕分けるために、当該合紙100よりもサイズの大きい用紙100、たとえばトレイ[4]に収容されたA3サイズの用紙100が、第2の合紙100(ここで言う第2の合紙についても、「100」という符号を付して説明する。)として用いられる。すなわち、A3サイズの用紙100が収容されたトレイ[4]は、第2の合紙100の供給元として設定される。この第2の合紙100としてのA3サイズの用紙100には、印刷は行われない。また、第2の合紙100が設けられる(挿入される)位置には、A4サイズの合紙100は設けられない。
【0080】
ここで、合紙100により構成される部(
図19においては7分目の部C7および最後の部C8)の数Y、つまりトレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の用紙100により構成される部の数Yは、次の式12により求められる。
【0081】
《式12》
Y=(M-2)/(N+1) (小数点以下切り上げ)
そして、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の用紙100により構成される部(
図19においては最初の部C1から6部目の部C6までの6つの部C1~C6)の数Zは、次の式13により求められる。
【0082】
《式13》
Z=M-Y
さらに、第2の合紙100の必要枚数Gは、次の式14により求められる。
【0083】
《式14》
G=Y-1
このような第6Cパターンによる回転ソートによっても、印刷が行われている途中で、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れとなることなく、当該印刷が完遂される。この印刷が完遂された後の各印刷物100,100,…のうちの最初の部C1から6部目の部C6までの各部C1~C6の各印刷物100,100,…については、A4サイズの合紙100またはA3サイズの第2の合紙100を当該各部C1~C6の境界として、それぞれの部C1~C6ごとに仕分けられる。そして、合紙100の集合により、残りの部C7およびC8が構成される。この残りの部C7およびC8を構成する各印刷物100,100,…については、
図20に示されるように、各部C7およびC8の境界に第2の合紙100が介在するので、当該第2の合紙100を境界として、それぞれの部C7およびC9ごとに仕分けられる。
【0084】
なお、第6Cパターンによる回転ソートの実行に際して、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該残量Dが、次の式15を満足するかどうかの判定が行われる。併せて、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該残量Eが、式16を満足するかどうかの判定が行われる。さらに、第2の合紙100の供給元であるトレイ[4]の用紙100の残量Hが、式17を満足するかどうかの判定が行われる。そして、これら式15、式16および式17の全てが満足される場合に、第6Cパターンによる回転ソートが実行可能となる。
【0085】
《式15》
D≧N×Y
《式16》
E≧N×Z
《式17》
H≧Y-1
なお、第1パターン~第6パターンのいずれの回転ソートが適用されたとしても、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能である場合は、当該印刷に必要な用紙100が不足している旨の通知が、言わば用紙不足通知が、複合機10から当該印刷ジョブの発信元であるPC60に対して成される。これにより、印刷ジョブの発信元であるPC60の不図示のディスプレイに、当該用紙不足通知に応じた不図示のメッセージが表示される。併せて、複合機10のディスプレイ22bにも、同様のメッセージが表示される。
【0086】
このような回転ソート機能についての設定を行うために、
図21に示されるような回転ソート設定画面300が設けられる。この回転ソート設定画面300は、複合機10についての種々の設定を行うためのシステム設定における1つの操作画面として、ディスプレイ22bに表示される。
【0087】
この回転ソート設定画面300には、前述の第1パターン以外による回転ソート、とりわけ第2パターン、第3パターンおよび第4パターンというそれぞれの部における特定のページの向きを異ならせる言わば特定ページの回転ソート、を試みるかどうかを設定するためのチェックボックス302が配される。なお、
図21は、チェックボックス302にチェックマークが入力された例を示し、つまり特定ページの回転ソートを試みるよう設定された例を示す。
【0088】
併せて、回転ソート設定画面300には、特定ページの回転ソートのうち、先頭ページの向きを異ならせる第2パターンによる回転ソート、最終ページの向きを異ならせる第3パターンによる回転ソート、および、先頭ページからVページ目までの向きを異ならせる第4パターンによる回転ソート、のそれぞれを試みるかどうかを個別に設定するための3つのチェックボックス304,306および308が適宜に配される。なお、
図21は、各チェックボックス304,306および308のそれぞれにチェックマークが入力された例を示し、つまり第2パターン、第3パターンおよび第4パターンのそれぞれによる回転ソートを試みるよう設定された例を示す。
【0089】
さらに、回転ソート設定画面300には、第4パターンによる回転ソートにおける所定ページ数Vを自動で設定するのか、それとも、当該所定ページ数Vを手動で設定するのかを、選択するための2つのラジオボタン310および312が配される。加えて、所定ページ数Vを手動で設定する場合に、当該所定のページ数Vの値を入力するためのフィールド314が配される。なお、
図21は、ラジオボタン310が操作された例を示し、つまり所定ページ数Vを自動で設定することが選択された例を示す。また、
図21は、フィールド314に「10」という値が入力された例を示す。ただし、
図21に示される状態においては、所定ページ数Vが自動で設定されるので、フィールド314に入力された値は、当該所定ページ数Vには反映されない。
【0090】
さらに加えて、回転ソート設定画面300には、第5パターンおよび第6パターンという合紙と組み合わせた回転ソートを試みるかどうかを設定するためのチェックボックス316が配される。なお、
図21は、チェックボックス316にチェックマークが入力された例を示し、つまり合紙と組み合わせた回転ソートを試みるよう設定された例を示す。
【0091】
併せて、回転ソート設定画面300には、合紙には印刷しない第5パターンによる回転ソートを試みるのか、それとも、合紙にも印刷する第6パターンによる回転ソートを試みるのかを、選択するための2つのラジオボタン318および320が配される。なお、
図21は、ラジオボタン320が操作された例を示し、つまり第6パターンによる回転ソートを試みることが選択された例を示す。
【0092】
そして、
図21からは分からないが、たとえばチェックボックス302にチェックマークが入力されていない状態にあるときには、当該チェックボックス302に関連する3つのチェックボックス304,306および308、2つのラジオボタン310および312、ならびに、フィールド314は、操作を受け付けることが不可能な状態とされ、たとえばグレーアウトされる。これと同様に、チェックボックス316にチェックマークが入力されていない状態にあるときには、当該チェックボックス316に関連する2つのラジオボタン318および320は、操作を受け付けることが不可能な状態とされ、たとえばグレーアウトされる。
【0093】
また、回転ソート設定画面300には、当該回転ソート設定画面300による設定内容を確定するためのOKボタン322が配される。併せて、回転ソート設定画面300には、当該回転ソート設定画面300による設定内容をキャンセルするためのキャンセルボタン324が配される。すなわち、OKボタン322が操作されることで、回転ソート設定画面300による設定内容が確定される。一方、キャンセルボタン324が操作されると、回転ソート設定画面300による設定内容がキャンセルされる。これらOKボタン322およびキャンセルボタン324のいずれかが操作されると、回転ソート設定画面300の表示が消えて、当該回転ソート設定画面300が表示される前の状態に戻る。
【0094】
図22は、主記憶部30bのRAM内の構成を概念的に示すメモリマップ400である。
【0095】
このメモリマップ400に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域410およびデータ記憶領域450を有する。このうちのプログラム記憶領域410には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム412、操作検出プログラム414、画像読取制御プログラム416、原稿送り制御プログラム418、画像形成制御プログラム420、給紙制御プログラム422、補助記憶制御プログラム424、通信制御プログラム426、回転ソート制御プログラム428などを含む。
【0096】
表示制御プログラム412は、ディスプレイ22bに前述の回転ソート設定画面300や不図示のホーム画面などの各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム414は、タッチパネル22aに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取制御プログラム416は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。原稿送り制御プログラム418は、自動原稿送り装置14を制御するためのプログラムである。画像形成制御プログラム420は、画像形成部16を制御するためのプログラムである。給紙制御プログラム422は、給紙部20を制御するためのプログラムである。補助記憶制御プログラム424は、補助記憶部32を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム426は、通信部34を制御するためのプログラムである。そして、回転ソート制御プログラム428は、CPU30aに後述する回転ソート制御タスクを実行させるためのプログラムである。
【0097】
一方、データ記憶領域450には、各種のデータが記憶される。この各種のデータとしては、表示画像生成データ452、操作データ454、送受信データ456などがある。
【0098】
表示画像生成データ452は、前述の表示制御プログラム412に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ454は、タッチパネル22aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル22aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。送受信データ456は、各PC60,60,…などの外部装置との間で送受信されるデータである。この送受信データ456には、印刷ジョブが含まれる。
【0099】
本実施例における回転ソート機能を実現するために、CPU30aは、回転ソート制御プログラム428に従って、回転ソート制御タスクを実行する。この回転ソート制御タスクの流れを、
図23~
図29に示す。なお、
図23~
図29のうちの
図26~
図29は、回転ソート制御タスクのサブルーチンである合紙印刷制御処理の流れを示すフロー図である。また、回転ソート制御タスクは、いずれかのPC60から複合機10に対して、当該複合機10のプリンタ機能により複数ページの原稿を複数部印刷するとともに、回転ソートを行うことを指示する内容の印刷ジョブが与えられたときに、実行される。印刷ジョブは、一旦、主記憶部30bまたは補助記憶部32に記憶される。
【0100】
この回転ソート制御タスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS1(
図23)において、回転ソートが可能であるかどうかを判定し、詳しくは回転ソートを行うのに必要な用紙100(つまり互いに異なる向きで収容された互いに同じサイズの用紙100)が備えられているかどうかを判定する。ここで、回転ソートが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS3へ進める。一方、回転ソートが不可能である場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS9へ進める。
【0101】
ステップS3において、CPU30aは、各給紙トレイ20a,20b,20cおよび20dのそれぞれにおける用紙100の残量を確認する。そして、CPU30aは、処理をステップS5へ進める。
【0102】
ステップS5において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第1パターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS7へ進める。
【0103】
ステップS7において、CPU30aは、第1パターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式1および式2の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS9へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS11へ進める。
【0104】
ステップS9において、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷を実行する。これに際して、CPU30aは、回転ソートのパターンが設定されている場合には、その設定されたパターンによる回転ソートを行う。このステップS9の実行をもって、CPU30aは、回転ソートタスクを終了する。
【0105】
これに対して、CPU30aは、ステップS7からステップS11へ処理を進めた場合、当該ステップS11において、前述した特定ページの回転ソートを試みる設定となっているかどうかを、言わば特定ページの回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、特定ページの回転ソートが有効となっている場合、CPU30aは、処理をステップS13へ進める。一方、特定ページの回転ソートが有効となっていない(無効となっている)場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS39(
図25)へ進める。
【0106】
ステップS13において、CPU30aは、第2パターンによる回転ソートを試みる設定となっているかどうかを、つまり第2パターンによる回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、第2パターンによる回転ソートが有効となっている場合、CPU30aは、処理をステップS15へ進める。一方、第2パターンによる回転ソートが有効となっていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS19(
図24)へ進める。
【0107】
ステップS15において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第2パターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS17へ進める。
【0108】
ステップS17において、CPU30aは、第2パターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式3および式4の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理を前述のステップS9へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理をステップS19へ進める。
【0109】
ステップS19において、CPU30aは、第3パターンによる回転ソートを試みる設定となっているかどうかを、つまり第3パターンによる回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、第3パターンによる回転ソートが有効となっている場合、CPU30aは、処理をステップS21へ進める。一方、第3パターンによる回転ソートが有効となっていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS25へ進める。
【0110】
ステップS21において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第3パターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS23へ進める。
【0111】
ステップS23において、CPU30aは、第3パターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述のステップS17における判定と同様、式3および式4の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS9へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理をステップS25へ進める。
【0112】
ステップS25において、CPU30aは、第4パターンによる回転ソートを試みる設定となっているかどうかを、つまり第4パターンによる回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、第4パターンによる回転ソートが有効となっている場合、CPU30aは、処理をステップS27へ進める。一方、第4パターンによる回転ソートが有効となっていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS39へ進める。
【0113】
ステップS27において、CPU30aは、前述の所定ページ数Vを自動で設定することが選択されているかどうかを判定する。ここで、所定ページ数Vを自動で設定することが選択されている場合、CPU30aは、処理をステップS29へ進める。一方、所定ページ数Vを手動で設定することが選択されている場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS31へ進める。
【0114】
ステップS29において、CPU30aは、前述の式5に基づいて、所定ページ数Vを算出する。その後、CPU30aは、処理をステップS31へ進める。
【0115】
これに対して、CPU30aは、ステップS27からステップS31へ処理を進めた場合、当該ステップS31において、前述の回転ソート設定画面300により設定された所定ページ数Vを参照する。そして、CPU30aは、処理をステップS33へ進める。
【0116】
CPU30aは、ステップS29を経て、処理をステップS33へ進めた場合、当該ステップS33において、ステップS29で算出された所定ページ数Vを設定する。一方、CPU30aは、ステップS31を経て、ステップS33へ処理を進めた場合、当該ステップS33において、ステップS31で参照された所定ページ数Vを設定する。このステップS33の実行後、CPU30aは、処理をステップS35へ進める。
【0117】
ステップS35において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第4パターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS37へ進める。
【0118】
ステップS37において、CPU30aは、第4パターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式6および式7の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS9へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理をステップS39へ進める。
【0119】
ステップS39において、CPU30aは、前述した合紙と組み合わせた回転ソートを試みる設定となっているかどうかを、つまり合紙と組み合わせた回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、合紙と組み合わせた回転ソートが有効となっている場合、CPU30aは、処理をステップS41へ進める。一方、合紙と組み合わせた回転ソートが有効となっていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS47へ進める。
【0120】
ステップS41において、CPU30aは、合紙にも印刷する回転ソートを試みることが選択されているかどうかを、換言すれば第6パターンによる回転ソートが有効となっているかどうかを、判定する。ここで、合紙にも印刷する回転ソートを試みることが選択されている場合、CPU30aは、処理を後述するステップS51へ進める。一方、合紙にも印刷する回転ソートを試みることが選択されていない場合、換言すれば合紙には印刷しない回転ソートを試みることが選択されている場合、さらに換言すれば第5パターンによる回転ソートが有効となっている場合は、CPU30aは、処理をステップS43へ進める。
【0121】
ステップS43において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第5パターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS45へ進める。
【0122】
ステップS45において、CPU30aは、第5パターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式8および式9の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS9へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理をステップS47へ進める。
【0123】
ステップS47において、CPU30aは、印刷ジョブの発信元であるPC60へ前述の用紙不足通知を行う。併せて、CPU30aは、ディスプレイ22bに当該用紙不足通紙に応じた不図示のメッセージを表示する。そして、CPU30aは、処理をステップS49へ進める。
【0124】
ステップS49において、CPU30aは、印刷ジョブの発信元であるPC60から当該印刷ジョブに基づく印刷をキャンセルすることを指示するキャンセル指令が送られてきたかどうかを判定する。ここで、キャンセル指令が送られてきた場合、CPU30aは、回転ソート制御タスクを終了する。一方、キャンセル指令が送られてこない場合は、CPU30aは、処理をステップS3へ戻す。
【0125】
また、CPU30aは、前述のステップS41からステップS51へ処理を進めた場合、当該ステップS51において、第6パターンによる回転ソートを試みるべく、回転ソートタスクのサブルーチンである合紙印刷制御処理を実行する。このステップS51の合紙印刷制御処理については、後で詳しく説明するが、当該合紙印刷制御処理において、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷が完遂された場合には、その旨を表す指標としてのフラグFが立てられ、つまり当該フラグFに1という値が設定される。一方、ステップS51の合紙印刷制御処理において、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷を完遂させることが不可能である場合には、フラグFが下ろされ、つまり当該フラグFに0(ゼロ)という値が設定される。このステップS51の合紙印刷制御処理の実行後、CPU30aは、処理をステップS53へ進める。
【0126】
ステップS53において、CPU30aは、フラグFに1が設定されているかどうかを判定する。ここで、フラグFに1が設定されている場合、つまりステップS51の合紙印刷制御処理において、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷が完遂された場合は、CPU30aは、回転ソート制御タスクを終了する。一方、フラグFに0が設定されている場合、つまりステップS51の合紙印刷制御処理において、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷を完遂させることが不可能であった場合は、CPU30aは、処理を前述のステップS47へ進める。
【0127】
続いて、ステップS51の合紙印刷制御処理について、
図26~
図29を参照して説明する。
【0128】
この合紙印刷制御処理によれば、CPU30aは、まず、ステップS101(
図26)において、原稿のページ数Nと印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)とを比較する。ここで、原稿のページ数Nと印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)とが等価(N=M-2)である場合、CPU30aは、処理をステップS103へ進める。一方、原稿のページ数Nと印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)とが等価でない(N≠M-2)場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS121(
図27)へ進める。
【0129】
ステップS103において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第6Aパターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS105へ進める。
【0130】
ステップS105において、CPU30aは、第6Aパターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式10および式11の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理を後述するステップS109へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理をステップS107へ進める。
【0131】
ステップS107において、CPU30aは、前述のフラグFに0を設定し、つまり当該フラグFを下ろす。これをもって、CPU30aは、合紙印刷制御処理を終了する。
【0132】
これに対して、CPU30aは、ステップS105からステップS109へ処理を進めた場合、当該ステップS109において、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100により構成される部の数(順番)をカウントするための部数カウント値iに0という値を設定し、つまり当該部数カウント値iをリセットする。併せて、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100、つまり合紙100、により構成される部のページ数(順番)をカウントするためのページ数カウント値jに0という値を設定し、つまり当該ページ数カウント値jをリセットする。そして、CPU30aは、処理をステップS111へ進める。
【0133】
ステップS111において、CPU30aは、部数カウント値iをインクリメントするとともに、ページ数カウント値jをインクリメントする。そして、CPU30aは、処理をステップS113へ進める。
【0134】
ステップS113において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100にi部目の印刷を行う。このとき、用紙100の向きが原稿の向きと異なる場合は、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。このステップS113の実行後、CPU30aは、処理をステップS115へ進める。
【0135】
ステップS115において、CPU30aは、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とを比較する。ここで、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価(i=M-1)である場合、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されたものと判断して、処理をステップS117へ進める。一方、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価でない(i≠M-1)場合、詳しくは部数カウント値iが印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)よりも小さい(i<M-1)場合は、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されていないものと判断して、処理を後述するステップS119へ進める。
【0136】
ステップS117において、CPU30aは、前述のフラグFに1を設定し、つまり当該フラグFを立てる。これをもって、CPU30aは、合紙印刷制御処理を終了する。
【0137】
これに対して、CPU30aは、ステップS115からステップS119へ処理を進めた場合、当該ステップS119において、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100を合紙100とするとともに、当該合紙100にjページ目の印刷を行う。このとき、合紙100の向きが原稿の向きと異なる場合には、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。そして、CPU30aは、処理をステップS111へ戻す。
【0138】
さらに、CPU30aは、前述のステップS101からステップS121へ処理を進めた場合、当該ステップS121において、原稿のページ数Nが印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)よりも大きい(N>M-2)かどうかを判定する。ここで、原稿のページ数Nが印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)よりも大きい(N>M-2)場合、CPU30aは、処理をステップS123へ進める。一方、原稿のページ数Nが印刷部数Mから2という値を減じた値(M-2)よりも小さい(N<M-2)場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS139(
図28)へ進める。
【0139】
ステップS123において、CPU30aは、回転ソートのパターンとして、第6Bパターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS125へ進める。
【0140】
ステップS125において、CPU30aは、第6Bパターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述のステップS105と同様、式10および式11の両方が満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS127へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理を前述のステップS107へ進める。
【0141】
ステップS127において、CPU30aは、前述の部数カウント値iをリセットするとともに、ページ数カウント値jをリセットする。そして、CPU30aは、処理をステップS129へ進める。
【0142】
ステップS129において、CPU30aは、部数カウント値iをインクリメントするとともに、ページ数カウント値jをインクリメントする。そして、CPU30aは、処理をステップS131へ進める。
【0143】
ステップS131において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100にi部目の印刷を行う。このとき、用紙100の向きが原稿の向きと異なる場合は、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。このステップS131の実行後、CPU30aは、処理をステップS133へ進める。
【0144】
ステップS133において、CPU30aは、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とを比較する。ここで、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価(i=M-1)である場合、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100への印刷が完了したものと判断して、処理をステップS135へ進める。一方、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価でない(i≠M-1)場合、詳しくは部数カウント値iが印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)よりも小さい(i<M-1)場合は、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100への印刷が完了していないものと判断して、処理を後述するステップS137へ進める。
【0145】
ステップS135において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100を合紙100とするとともに、当該合紙100にjページ目以降の各ページの印刷を行う。このとき、合紙100の向きが原稿の向きと異なる場合には、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。これにより、印刷ジョブに基づく印刷が完遂される。そして、CPU30aは、処理を前述のステップS117へ進める。
【0146】
これに対して、CPU30aは、処理をステップS133からステップS137へ進めた場合、当該ステップS137において、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100を合紙100とするとともに、当該合紙100にjページ目の印刷を行う。このとき、合紙100の向きが原稿の向きと異なる場合には、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。そして、CPU30aは、処理をステップS129へ戻す。
【0147】
加えて、CPU30aは、前述のステップS121からステップS139へ処理を進めた場合、当該ステップS139において、回転ソートのパターンとして、第6Cパターンを設定する。そして、CPU30aは、処理をステップS141へ進める。
【0148】
ステップS141において、CPU30aは、第6Cパターンによる回転ソートによって、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定する。この判定は、前述の式15、式16および式17の全てが満足されるかどうかに基づいて行われる。ここで、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが可能である場合、CPU30aは、処理をステップS143へ進める。一方、用紙切れを生ずることなく、印刷を完遂させることが不可能な場合は、CPU30aは、処理を前述のステップS107へ進める。
【0149】
ステップS143において、CPU30aは、前述の部数カウント値iをリセットするとともに、ページ数カウント値jをリセットする。そして、CPU30aは、処理をステップS145へ進める。
【0150】
ステップS145において、CPU30aは、部数カウント値iをインクリメントする。そして、CPU30aは、処理をステップS147へ進める。
【0151】
ステップS147において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100にi部目の印刷を行う。このとき、用紙100の向きが原稿の向きと異なる場合は、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。このステップS147の実行後、CPU30aは、処理をステップS149へ進める。
【0152】
ステップS149において、CPU30aは、部数カウント値iと印刷部数Mとを比較する。ここで、部数カウント値iと印刷部数Mとが等価(i=M)である場合、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されたものと判断して、処理を前述のステップS117へ進める。一方、部数カウント値iと印刷部数Mとが等価でない(i≠M)場合、詳しくは部数カウント値iが印刷部数Mよりも小さい(i<M)場合は、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されていないものと判断して、処理をステップS151へ進める。
【0153】
ステップS151において、CPU30aは、前述のページ数カウント値jと原稿のページ数Nとを比較する。ここで、ページ数カウント値jと原稿のページ数Nとが等価(j=N)である場合、CPU30aは、処理をステップS153へ進める。一方、ページ数カウント値jと原稿のページ数Nとが等価でない(j≠N)場合、詳しくはページ数カウント値jが原稿のページ数Nよりも小さい(j<N)場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS157(
図29)へ進める。
【0154】
ステップS153において、CPU30aは、トレイ[4]に収容されたA3サイズの用紙100を第2の合紙100として排出する。この第2の合紙100には、印刷は行われない。そして、CPU30aは、処理をステップS155へ進める。
【0155】
ステップS155において、CPU30aは、ページ数カウント値jをリセットする。そして、CPU30aは、処理をステップS145へ戻す。
【0156】
さらに加えて、CPU30aは、ステップS151からステップS157へ処理を進めた場合、当該ステップS157において、ページ数カウント値jをインクリメントする。そして、CPU30aは、処理をステップS159へ進める。
【0157】
ステップS159において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100を合紙100とするとともに、当該合紙100にjページ目の印刷を行う。このとき、合紙100の向きが原稿の向きと異なる場合には、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。そして、CPU30aは、処理を後述するステップS161へ進める。
【0158】
ステップS161において、CPU30aは、ページ数カウント値jと原稿のページ数Nとを比較する。ここで、ページ数カウント値jと原稿のページ数Nとが等価(j=N)である場合、CPU30aは、処理を後述するステップS167へ進める。一方、ページ数カウント値jと原稿のページ数Nとが等価でない(j≠N)場合、詳しくはページ数カウント値jが原稿のページ数Nよりも小さい(j<N)場合は、CPU30aは、処理をステップS163へ進める。
【0159】
ステップS163において、CPU30aは、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とを比較する。ここで、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価(i=M-1)である場合、CPU30aは、処理をステップS165へ進める。一方、部数カウント値iと印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)とが等価でない(i≠M-1)場合、詳しくは部数カウント値iが印刷部数Mから1という値を減じた値(M-1)よりも小さい(i<M-1)場合は、CPU30aは、処理を前述のステップS145へ戻す。
【0160】
ステップS165において、CPU30aは、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100を合紙100とするとともに、当該合紙100にj+1ページ目の印刷を行う。このとき、合紙100の向きが原稿の向きと異なる場合には、CPU30aは、当該原稿の向きを90度回転させた上で、印刷を行う。そして、CPU30aは、処理をステップS167へ進める。
【0161】
ステップS167において、CPU30aは、部数カウント値iをインクリメントする。そして、CPU30aは、処理をステップS169へ進める。
【0162】
ステップS169において、CPU30aは、部数カウント値iと印刷部数Mとを比較する。ここで、部数カウント値iと印刷部数Mとが等価(i=M)である場合、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されたものと判断して、処理を前述のステップS117へ進める。一方、部数カウント値iと印刷部数Mとが等価でない(i≠M)場合、詳しくは部数カウント値iが印刷部数Mよりも小さい(i<M)場合は、CPU30aは、印刷ジョブに基づく印刷が完遂されていないものと判断して、処理をステップS145へ戻す。
【0163】
このように、本実施例によれば、とりわけ回転ソート機能によれば、トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙100の残量に応じて、当該トレイ[1]およびトレイ[2]それぞれの用紙100がバランス良く消費されるように、当該トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれが適宜に供給元として設定される。これにより、トレイ[1]およびトレイ[2]のそれぞれにおいて用紙切れが生じ難くなる。そして、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷を完遂させることが不可能である場合は、当該印刷ジョブの発信元であるPC60に対して前述の用紙不足通知が成され、この用紙不足通知に応じたメッセージが当該PC60の不図示のディスプレイに表示される。併せて、複合機10のディスプレイ22bにも、同様のメッセージが表示される。したがって、印刷ジョブに基づく印刷が行われている途中で、用紙切れとなることが防止される。これらのことは、複合機10の利便性および当該複合機10を用いての作業の効率性の向上に大きく貢献する。
【0164】
なお、トレイ[1]の用紙100の残量とトレイ[2]の用紙100の残量とが互いに同じである場合は、画像形成部16までの搬送距離が短いトレイ[1]の方がトレイ[2]よりも用紙100の残量が少ないものとして、取り扱われる。
【0165】
本実施例におけるトレイ[1]およびトレイ[2]の一方は、本発明に係る第1収容手段の一例であり、当該トレイ[1]およびトレイ[2]の他方は、本発明に係る第2収容手段の一例である。そして、回転ソート制御タスクを実行するCPU30aは、本発明に係るソート制御手段の一例である。また、前述の所定ページ数Vが手動で設定される場合は、厳密にはCPU30aがユーザによる手動操作(回転ソート設定画面300上での操作)に従って当該所定ページ数Vを設定するが、そのようなCPU30aは、本発明に係る第1設定手段の一例である。さらに、所定ページ数Vが自動で設定される場合は、CPU30aが前述の式5に基づいて当該所定ページ数Vを算出するが、そのようなCPU30aは、本発明に係る所定ページ数演算手段の一例である。併せて、CPU30aは、式5に基づいて算出された所定ページ数を設定するが、そのようなCPU30aは、本発明に係る第2設定手段の一例である。
【0166】
加えて、トレイ[4]は、本発明に係る第3収容手段の一例である。そして、トレイ[3]に収容されるA3サイズの用紙100は、本発明に係る大サイズ記録媒体の一例である。また、CPU30aは、用紙切れを生ずることなく、印刷ジョブに基づく印刷を完遂させることが可能であるかどうかを判定するが、そのようなCPU30aは、本発明に係る判定手段の一例である。併せて、CPU30aは、前述の用紙不足通知を行うが、そのようなCPU30aは、本発明に係る警告情報出力手段の一例である。そして、用紙不足通知は、本発明に係る警告情報の一例である。
【0167】
本実施例は、本発明の一具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0168】
たとえば、第4パターンにおける所定ページ数Vについては、1以上かつ原稿のページ数Nの1/2未満の値(1≦V<(N/2))とされたが、当該原稿のページ数Nの1/2以上の値(V>(N/2))であってもよい。この場合、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける先頭ページP1から所定ページP(V)までの各々のページについては、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が多い方の当該用紙100に印刷が行われる。そして、各部C1,C2およびC3のそれぞれにおける所定ページP(V)よりも後の各々のページP(V+1)~P100については、トレイ[1]およびトレイ[2]のうちの用紙100の残量が少ない方の当該用紙100に印刷が行われる。併せて、原稿とは異なる向きの用紙100に印刷が行われる際には、当該原稿の向きが90度回転される。
【0169】
また、本実施例においては、用紙100の片面のみに印刷が行われる片面印刷を前提としたが、用紙100の両面に印刷が行われる両面印刷にも、本発明を適用することができる。この場合、原稿のページ数Nが1/2(小数点以下切り上げ)とされた上で、式1などの各式に基づく演算が行われる。
【0170】
さらに、回転ソート機能に供される用紙100のサイズとして、A4サイズおよびA4Rサイズを例示したが、これに限らない。B5サイズおよびB5Rサイズや、A5サイズおよびA5Rサイズなどの他のサイズの用紙100であっても、本発明を適用することができる。
【0171】
加えて、本実施例においては、複合機10のプリンタ機能における回転ソート機能を例に挙げて説明したが、当該複合機10のコピー機能における回転ソート機能にも、本発明を適用することができる。特に、自動原稿送り装置14が用いられる場合に、有益である。この場合、全ての原稿が画像読取部12により読み取られ、それらの読取画像データが一旦、主記憶部30bまたは補助記憶部32に記憶される。その上で、回転ソートが可能である場合に、当該回転ソートが行われる。
【0172】
そして、複合機10に限らず、プリンタ専用の画像形成装置やコピー専用の画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
【0173】
また、本発明は、画像形成装置という装置の形態に限らず、画像形成装置の制御方法という方法の形態で提供することもできる。
【0174】
さらに、本発明は、画像形成装置の制御プログラムというプログラムの形態で提供することもできる。
【0175】
併せて、本発明は、画像形成装置の制御プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体という記憶媒体の形態で提供することもできる。ここで言う記憶媒体とは、非一過性の記憶媒体を言う。このような記憶媒体としては、DVDやCDなどのディスク型記憶媒体、あるいは、SDメモリカードやUSBメモリなどの半導体型記憶媒体がある。また、可搬型の記憶媒体ではなく、ROMやハードディスクドライブなどのような装置組込型(内蔵型)の記憶媒体も、ここで言う記憶媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0176】
10 … 印刷システム
20 … 複合機
30 … PC
206 … 画像形成部
208 … 排紙トレイ
212 … 操作ユニット
212a … タッチパネル
212b … ディスプレイ
220 … 制御部
220a … CPU
220b … 主記憶部
250 オプション排紙トレイ