(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146458
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】紫外線照射装置、及び紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20231004BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053651
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和那
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB06
4C058CC02
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】専用のセンサを備えない構成で、車両内への紫外線の照射を適切に実行可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外線照射装置は、光源と、制御部と、を備える。光源は、紫外線を照射するように構成される。制御部は、車両から取得した車両の状態を示す状態情報に基づいて、光源における紫外線の照射条件を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射するように構成された光源と;
車両から取得した前記車両の状態を示す状態情報に基づいて、前記光源における紫外線の照射条件を制御する制御部と;
を備える、紫外線照射装置。
【請求項2】
前記状態情報は、前記車両のドアの状態を示す情報を含む、
請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記状態情報に基づいて、前記車両内における人の有無を判定し、
前記判定の結果に応じた照射条件を前記光源に適用する
ように構成された、
請求項1または2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記状態情報又は時刻情報に基づいて、前記車両内における人の混雑度を推定し、
前記推定された混雑度に応じた照射条件を前記光源に適用する
ように構成された、
請求項3記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
それぞれが紫外線を照射するように構成された光源を備える複数の灯具と;
車両から取得した前記車両の状態を示す状態情報に基づいて、前記灯具ごとにそれぞれ異なる判定条件で、前記光源からの紫外線の照射条件を制御する制御部と;
を備える、紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置、及び紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両内の空間の細菌やウイルス等による汚染箇所、汚染予想箇所を紫外線等によって処理する装置が用いられている。このような装置では、車両内の人への紫外線照射量が1日あたりに定められた上限値を超えないようにしつつ、汚染箇所を適切に処理することが求められている。また、このような装置では、人感センサ等の専用のセンサを備えない単純な構成で、車両内への紫外線の照射を適切に実行することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、専用のセンサを備えない構成で、車両内への紫外線の照射を適切に実行可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、紫外線照射装置は、光源と、制御部と、を備える。光源は、紫外線を照射するように構成される。制御部は、車両から取得した車両の状態を示す情報に基づいて、光源からの紫外線の照射条件を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、専用のセンサを備えない構成で、車両内への紫外線の照射を適切に実行可能な紫外線照射装置、及び紫外線照射システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る紫外線照射装置が適用される車両の一例を示す図。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る紫外線照射装置の一例を示す図。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る紫外線照射装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る紫外線照射装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の紫外線照射装置(20)は、光源(22)、及び制御部(26)を備える。光源(22)は、紫外線を照射するように構成される。制御部(26)は、車両(10)の状態を示す状態情報に基づいて、光源による紫外線の照射条件を制御する。これにより、紫外線照射装置(20)は、人感センサ等の専用のセンサを備えることなく、車両(10)内における人の有無を判定することができる。このため、紫外線照射装置(20)は、単純な構成で、車両内への紫外線照射を適切に実行可能となる。
【0009】
実施形態の紫外線照射装置(20)では、状態情報は、車両(10)のドア(11)の状態を示す情報を含む。これにより、紫外線照射装置(20)は、車両(10)内における人の有無を判定する際に、ドア(11)のロック状態を考慮することができる。
【0010】
実施形態の紫外線照射装置(20)では、制御部(26)は、状態情報に基づいて、車両(10)内における人の有無を判定し、判定の結果に応じた照射条件を光源(22)に適用する。これにより、紫外線照射装置(20)は、人がいる場合には人体への影響が少ない照射条件で光源22を制御し、人がいない場合には殺菌力が高い照射条件で光源22を制御することができる。
【0011】
実施形態の紫外線照射装置(20)では、制御部(26)は、状態情報又は時刻情報に基づいて、車両(10)内における人の混雑度を推定し、推定された混雑度に応じた照射条件を光源(22)に適用する。これにより、車両(10)内に人がいる場合、紫外線照射装置(20)は、より細かい照射条件で光源22を制御することができる。
【0012】
実施形態の紫外線照射システムは、複数の灯具(21)、及び制御部(26)を備える。複数の灯具(21)は、それぞれが紫外線を照射するように構成された光源(22)を備える。制御部(26)は、車両(10)から取得した車両(10)の状態を示す状態情報に基づいて、灯具(21)ごとにそれぞれ異なる判定条件で、光源(22)からの紫外線の照射条件を制御する。これにより、車両(10)内への紫外線照射を適切に実行可能となる。
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
なお、以下に示す実施形態に係る紫外線照射装置においては、紫外線を照射対象物(例えば、細菌やウイルス等が少なくとも1つ以上付着している汚染箇所)に照射することで、照射対象物を殺菌、もしくは除菌もしくは滅菌することが可能である。また、以下の実施形態においては殺菌を例に用いて説明を行うが、「殺菌」の用語は、「滅菌」ないし「除菌」に置き換えることが可能である。なお、本実施形態に係る紫外線照射装置においては、紫外線を、細菌やウイルス等が存在する虞がある箇所や、この先細菌やウイルス等が侵入してくる虞がある箇所を照射対象物として照射してもよい。また、本実施形態においては、照射対象物は「物」でなくてもよく、例えば、空気などの「気体」や、水などの「液体」であってもよい。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紫外線照射装置が適用される車両の一例を示す図である。
図1では、車両10の一例として、自家用車又はタクシーの場合が示される。なお、車両10としては、これらに限定されるものではない。例えば、車両10としては、タクシー、トラック、及びバス等のその他の自動車が適用され得る。また、例えば、車両10としては、電車、航空機等の自動車以外の車両が適用され得る。
【0016】
車両10には、各種設置物が設けられる。具体的には、例えば、車両10には、乗降用のドア11が設けられる。また、車両10内には、運転席12、助手席13、及び後部座席14、並びにこれらの座席に対応するシートベルト15が設けられる。運転席12の近傍には、運転用のハンドル16、シフトレバー17、アクセルペダル18、及びブレーキペダル19が設けられる。
【0017】
車両10は、これらの各種設置物の状態を示す状態情報を生成及び管理する。車両10によって管理される状態情報としては、例えば、ドア11のロック状態、ドア11の開閉状態、シートベルト15の装着状態、シフトレバー17によって選択されたギアの遷移、アクセルペダル18及びブレーキペダル19が踏まれているか否か、等が挙げられる。また、例えば、車両10は、図示せぬ圧力センサを備えることにより、運転席12、助手席13、及び後部座席14に加わる圧力を状態情報として管理してもよい。なお、この圧力センサは、車両10が備える専用のセンサであり、本実施形態の紫外線照射装置が備える専用のセンサではない。
【0018】
また、車両10がバスなどの複数の乗客が乗降する車両の場合、乗客の乗降記録を状態情報として管理してもよい。乗客の乗降記録は、例えば、乗車時における整理券の発行枚数及びIC(Integrated Circuit)カードの読取回数、並びに降車時における現金の支払い回数及びICカードの読取回数を含む。
【0019】
また、車両10がタクシーの場合、図示せぬ表示板の表示状態を、状態情報として管理してもよい。
【0020】
車両10の利用に際し、利用者は、これらの各種設置物に触れる。車両10の利用者が触れた箇所は、利用者に付着していた細菌やウイルス等が付着することにより、汚染される可能性がある。このような汚染箇所は、利用者の安全を担保しつつ、速やかに殺菌されることが好ましい。
【0021】
汚染箇所を殺菌するため、例えば、車両10の天井に、紫外線照射装置20が設けられる。紫外線照射装置20は、車両10から給電されることにより、車両10のエンジンがオフ状態の際にも動作可能に構成される。
【0022】
なお、車両10内に設けられる紫外線照射装置20の数は、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上の紫外線照射装置20が設けられる場合、各紫外線照射装置20は、車両10内における互いに異なる領域に紫外線を照射するように配置される。
図1の例では、2個の紫外線照射装置20がそれぞれ、車両10の前方領域及び後方領域に紫外線を照射する場合が示される。車両10がバスの場合、例えば、複数の紫外線照射装置20がそれぞれ、バスの運転席領域、客席領域、入口領域、及び出口領域に紫外線を照射する場合が想定され得る。
【0023】
図2は、第1実施形態に係る紫外線照射装置の一例を示す図である。
図2に示されるように、紫外線照射装置20は、灯具21、及び制御部26を含む。灯具21は、光源22と、筐体23と、前面カバー24と、透光カバー25と、を含む。
図2では、灯具21の断面構成と、制御部26の機能構成と、が併せて示される。
【0024】
光源22は、紫外線を照射するように構成された発光体である。光源22は、非LED(Light Emitting Diode)のランプであってもよく、LEDであってもよい。非LEDのランプである場合、光源22は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等であってもよい。光源22からは、例えば、UV-Cに分類される紫外線が照射される。また、車両10や紫外線照射装置20が備える光触媒材料を励起させる用途で、光源22からは、UV-Bや、UV-Aや、可視光が照射されてもよい。なお、光源22から照射される紫外線の波長は、1種類に固定されていてもよいし、2種類以上に可変であってもよい。また、灯具21は、各々が互いに異なる波長の紫外線を照射するように構成された複数の光源22を備える構成であってもよい。
【0025】
筐体23は、光源22を収納可能とする箱状に形成される。前面カバー24は、筐体23の開口部を覆う蓋状に形成される。筐体23及び前面カバー24は、光源22からの紫外線を遮蔽し得る、金属又は樹脂等の材料を含む。前面カバー24には、光源22からの紫外線を筐体23外に照射するための照射窓である透光カバー25が形成される。透光カバー25は、紫外線を透過する板状の部材である。透光カバー25は、例えば、筐体23と前面カバー24との間に設けられ、前面カバー24に形成された照射窓を塞ぐ。透光カバー25は、紫外線の透過率が高く、かつ紫外線によって劣化しにくい、ガラス又は樹脂等の材料を含む。
【0026】
以上のような構成の灯具21が、車両10の天井に取り付けられる。これにより、灯具21は、光源22からの紫外線を、透光カバー25を介して車両10内に照射させることができる。
【0027】
制御部26は、光源22による紫外線の照射条件を制御するように構成された機能ブロックである。制御部26は、プロセッサ、及び記憶媒体を含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。制御部26は、記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、光源22による紫外線の照射条件を制御する。また、制御部26は、タイマーを更に含んでいてもよい。タイマーは、現在時刻、及び或る時刻からの経過時間等の情報を時刻情報として生成する機能を有する。制御部26は、時刻情報に更に基づいて、照射条件を制御してもよい。制御部26は、灯具21の筐体23内に配設されていたり、車両10の天井に配設されていたり、車両10の運転席の近傍に配設されていたりする。
【0028】
照射条件の制御パラメータは、例えば、照射する紫外線の波長、照度、及び照射時間、並びに照射の可否を含む。制御部26は、これらの制御パラメータを適宜設定することにより、光源22に紫外線の照射条件を適用する。照射条件は、例えば、人体への影響を少なくすることを優先する照射条件、又は殺菌力を高めることを優先する照射条件に大別される。
【0029】
人体への影響を少なくすることを優先する照射条件が適用される場合、制御部26は、例えば、光源22に対して、紫外線の照射を停止させる、または、人体への影響が少ない波長の紫外線を照射させる、または、照射させる紫外線の照度を低くする、等の制御を行う。人体への影響が少ない波長とは、例えば、222ナノメートルが挙げられる。一方、殺菌力を高めることを優先した照射条件が適用される場合、制御部26は、例えば、光源22に対して、殺菌力が高い波長の紫外線を照射させる、及び照射させる照度を高くする、等の制御を行う。殺菌力が高い波長とは、例えば、222ナノメートル、及び254ナノメートルが挙げられる。
【0030】
また、制御部26は、時刻情報に基づいて、照射時間の上限を制御し得る。特に、殺菌力を高めることを優先した照射条件とする場合、紫外線照射装置20から照射される紫外線強度が高いため、殺菌を完了するために必要な時間は、比較的短い。このため、殺菌力を高めることを優先した照射条件において、光源22から紫外線を連続して照射させる時間(もしくは、紫外線照度)が閾値を超えた場合、制御部26は、紫外線の照射を停止させることが好ましい。
【0031】
上記照射条件を決定するため、制御部26は、車両10から状態情報を取得する。制御部26は、取得した状態情報に基づいて、車両10内における人の有無を判定する。そして、車両10内に人がいないと判定された場合、制御部26は、殺菌力を高めることを優先する照射条件を光源22に適用する。車両10内に人がいると判定された場合、制御部26は、人体への影響を少なくすることを優先する照射条件を光源22に適用する。なお、取得した状態情報に基づいて、車両10内に新たな人が入ってくると予想される状態が検出された場合、制御部26は、車両10内に人がいる、と判定してもよい。
【0032】
以下に、状態情報に基づく制御部26の具体的な判定基準の例について列記する。
【0033】
まず、車両10内に人いると判定される基準について示す。
【0034】
制御部26は、ドア11のロックがオン状態からオフ状態に切り替わったことに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0035】
制御部26は、車両10のエンジンがオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0036】
制御部26は、シートベルト15が装着されたことに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0037】
制御部26は、圧力センサの値が閾値以上であることに基づいて、車両10内に人がいる、判定し得る。
【0038】
制御部26は、アクセルペダル18又はブレーキペダル19が踏まれていることに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0039】
制御部26は、シフトレバー17によってギアの種類が“パーキング(P)”から“ドライブ(D)”に変更されたことに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0040】
また、制御部26は、上記した車両10内に人がいると判定し得る判定基準の任意の組合せに基づいて、車両10内に人がいる、と判定し得る。
【0041】
次に、車両10内に人がいないと判定される基準について示す。
【0042】
制御部26は、シフトレバー17によってギアの種類が“リバース(R)”から“パーキング(P)”に変更、または、“ドライブ(D)”から“パーキング(P)”に変更された後に、ドア11のロックがオフ状態からオン状態に切り替わった(車両外に出るためにロックを解除)こと、または、ドア11のロックがオン状態からオフ状態に切り替わった(車両外に出た後にドアをロック)ことに基づいて、車両10内に人がいない、と判定し得る。つまり、制御部26は、シフトレバー17の操作状況と、ドア11のロック状況と、の組合せに基づいて、車両10内に人がいないと判定し得る。
【0043】
制御部26は、車両10のエンジンがオン状態からオフ状態に切り替わり、シートベルト15が外され、圧力センサの値が閾値未満であり、かつドア11のロックがオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて、車両10内に人がいない、と判定し得る。制御部26は、上記事象の少なくとも1つ以上に基づいて、車両10内に人がいない、と判定し得る。
【0044】
制御部26は、上記した車両10内に人がいないと判定し得る判定基準が所定の期間継続して満たされた場合、車両10内に人がいない、と判定し得る。
【0045】
制御部26は、上記した車両10内に人がいないと判定し得る判定基準が所定の時間帯(例えば、午前0時から午前5時までの深夜の時間帯等)に満たされた場合、車両10内に人がいない、と判定し得る。
【0046】
なお、上述の例では、車両10の種類にかかわらず適用され得る判定基準について説明したが、これに限られない。
【0047】
例えば、車両10がバスの場合には、以下に示すような判定基準が更に適用され得る。以下の事例では、車両10内における紫外線照射装置20の設置場所(照射範囲の設定)によって、判定基準が異なる。このとき、紫外線照射装置20のそれぞれが制御部26を備えていてもよいし、複数の紫外線照射装置20の動作を制御する1つの制御部26を備えていてもよい。つまり、それぞれが紫外線を照射可能に構成された複数の灯具21と、複数の灯具21の動作を制御可能な制御部26と、を備える紫外線照射システムを構成してもよい。そして、この複数の灯具21は、それぞれ異なる判定条件で動作しうる。
【0048】
バスの入口領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、ブレーキペダル19が踏まれ、かつ入口ドアが閉状態から開状態に切り替わったことに基づいて、バスの入口領域に人がいる、と判定し得る。
【0049】
バスの客席領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、乗客の乗降記録に基づいて、バスの客席領域に人がいる、と判定し得る。具体的には、制御部26は、乗客の乗車時における整理券の発行枚数及びICカードの読取回数の合計と、降車時における現金の支払い回数及びICカードの読取回数の合計との差を、現在乗車している乗客の人数として算出する。そして、制御部26は、算出された乗客の人数が1人以上であることに基づいて、バスの客席領域に人がいる、と判定し得る。
【0050】
バスの出口領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、出口ドアが開状態から閉状態に切り替わったことに基づいて、バスの出口領域に人がいない、と判定し得る。
【0051】
バスの客席領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、乗客の乗降記録に基づいて、乗客の人数を算出する。そして、制御部26は、乗客の人数が0人であることに基づいて、バスの客席領域に人がいない、と判定し得る。
【0052】
また、例えば、車両10がタクシーの場合には、以下に示すような判定基準が更に適用され得る。
【0053】
タクシーの後方領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、表示板が“賃走”や“支払”等、乗客を乗せていることに基づいて、タクシーの後方領域に人がいる、と判定し得る。
【0054】
タクシーの後方領域を照射範囲に設定された紫外線照射装置20の制御部26は、表示板が“空車”や“回送”等、乗客を乗せていないことに基づいて、タクシーの後方領域に人がいない、と判定し得る。
【0055】
図3は、第1実施形態に係る紫外線照射装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
車両10で状態情報が生成されると(開始)、制御部26は、車両10から状態情報を取得する(S10)。
【0057】
制御部26は、S10の処理で取得された状態情報に基づいて、車両10内における人の有無を判定する(S20)。
【0058】
車両10内に人がいると判定された場合(S20;yes)、制御部26は、人体への影響が少ない紫外線の照射条件を光源22に適用する(S30)。
【0059】
車両10内に人がいないと判定された場合(S20;no)、制御部26は、殺菌力が高い紫外線の照射条件を光源22に適用する(S40)。
【0060】
S30の処理又はS40の処理の後、紫外線の照射条件の制御動作は終了となる(終了)。
【0061】
第1実施形態によれば、制御部26は、車両10から状態情報を取得する。そして、制御部26は、取得された状態情報に基づいて、紫外線の照射条件を制御する。これにより、紫外線照射装置20が利用者の有無を検出するための専用のセンサを備えることなく、車両10内への適切な紫外線の照射を実行することができる。つまり、紫外線照射装置20を車両10に搭載するにあたって、大型化する必要がない。そのため、比較的薄い、自家用車両の天井に紫外線照射装置20を配設することも可能となる。また、加えて紫外線照射装置20を安価に構成することも可能となる。
【0062】
また、制御部26は、状態情報に基づいて、車両10内における人の有無を判定する。制御部26は、判定結果に応じた照射条件を光源22に適用する。これにより、車両10内に人がいない場合には、殺菌力が高い紫外線によって、速やかに汚染箇所を殺菌することができる。また、車両10内に人がいる場合には、汚染箇所の殺菌に際して、紫外線が人に与える影響を考慮することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、人がいると判定された場合、人の混雑度に応じて照射条件が調整される点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作については主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び動作については、適宜説明を省略する。
【0064】
制御部26は、状態情報又は時刻情報に基づいて、現在の人の混雑度、または今後の人の混雑度を推定する。
【0065】
例えば、車両10がバスや電車の場合、制御部26は、乗客の乗降記録に基づいて、客席領域における混雑度を推定し得る。つまり、上述したように、現在乗車している乗客の人数を算出し、乗客の人数に基づいて混雑度を推定する。例えば、乗客の人数が所定の値以上であれば現在の混雑度は高いと推定する。また、制御部26は、現在の乗客の人数と、次に止まる停留所(駅)情報と、に基づいて、車両10の混雑度を予測する。例えば、次に止まる停留所で多くの人が乗ってくるという情報(リアルタイムな情報でもよいし、例えば統計データに基づく予測情報でもよい)がある場合、車両10は、今後の混雑度は高い(高くなる)と推定する。
【0066】
また、例えば、車両10がバス又は電車の場合、制御部26は、時刻情報に基づいて、客席領域における混雑度を推定し得る。具体的には、時刻情報が通勤時間帯を示す場合、制御部26は、比較的高い混雑度を推定し得る。時刻情報が深夜時間帯を示す場合、制御部26は、比較的低い混雑度を推定し得る。
【0067】
そして、制御部26は、推定された混雑度に応じて、紫外線の照射条件を調整する。
【0068】
例えば、混雑度が第1値以上の場合、制御部26は、紫外線の照度を低くする、又は紫外線の波長をより人体への影響が少ない波長へ変更する等の制御を実行し得る。また、例えば、混雑度が第1値より小さい第2値以下の場合、制御部26は、紫外線の照度を高くする、又は紫外線の波長をより殺菌力の高い波長へ変更する等の制御を実行し得る。
【0069】
図4は、第2実施形態に係る紫外線照射装置における紫外線の照射条件の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図4では、
図3に示されたS30の処理の後に、S31、S32、及びS33の処理が追加される場合が示される。以下では、S31~S33の処理について主に説明する。
【0070】
S30の処理の後、制御部26は、状態情報又は時刻情報に基づいて、人の混雑度を推定する(S31)。
【0071】
制御部26は、S31の処理で推定された混雑度が条件を満たすか否かを判定する(S32)。
【0072】
混雑度が条件を満たす場合(S32;yes)、制御部26は、紫外線の照射条件を調整する(S33)。
【0073】
混雑度が条件を満たさない場合(S32;yes)、S33の処理の後、又はS40の処理の後、紫外線の照射条件の制御動作は終了となる(終了)。
【0074】
第2実施形態によれば、車両10内に人がいると判定された場合、制御部26は、状態情報又は時刻情報に基づいて、人の混雑度を推定する。制御部26は、推定された混雑度に応じた照射条件を光源22に適用する。これにより、車両10内の混雑度に応じてより適切な照射条件を適用することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10…車両、11…ドア、12…運転席、13…助手席、14…後部座席、15…シートベルト、16…ハンドル、17…シフトレバー、18…アクセルペダル、19…ブレーキペダル、20…紫外線照射装置、21…灯具、22…光源、23…筐体、24…前面カバー、25…透光カバー、26…制御部。