IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 九電テクノシステムズ株式会社の特許一覧 ▶ 九州電力送配電株式会社の特許一覧

特開2023-146467送配電線路事故点標定方法および装置
<>
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図1
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図2
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図3
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図4
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図5
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図6
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図7
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図8
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図9
  • 特開-送配電線路事故点標定方法および装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146467
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】送配電線路事故点標定方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20231004BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G01R31/08
H02H7/26 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053660
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000164391
【氏名又は名称】九電テクノシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520242399
【氏名又は名称】九州電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】藤本 享平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 一義
【テーマコード(参考)】
2G033
【Fターム(参考)】
2G033AA01
2G033AB01
2G033AC02
2G033AD01
2G033AE01
2G033AF02
2G033AG04
2G033AG14
(57)【要約】
【課題】サージ伝播速度を用いることなくサージ検出時刻差のみで送配電線路に発生した事故点を標定可能にすること。
【解決手段】記憶手段4は、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間内の各地点を事故点として各地点を挟んで検出されるサージ波形の立ち上がり点の時刻差TBを、各地点に対応させて時刻差群TBnとして記憶する。算出手段9は、事故発生時に、前記任意区間の両端で計測される電圧または電流のサージ波形の立ち上がり点の時刻差TAを算出する。比較手段10は、前記時刻差群TBnを前記事故発生時に算出された時刻差TAと比較し、前記時刻差群TBnから前記時刻差TAと最小誤差を有する時刻差を求め、該時刻差に対する地点を事故点として標定する。時刻差補間処理により不明地点の時刻差を算出し、時刻差群TBnを補完することができる。また、時刻差群TBnにおいて異常を示す時間差を補正することもできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージを検出し、その検出時刻の時刻差から事故点を標定する送配電線路事故点標定方法であって、
第1のステップと第2のステップを有し、
前記第1のステップにより、
前記任意区間内の複数の各地点を事故点として、前記任意区間の両端で計測される送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出し、その検出時刻の時刻差を算出して各地点に対応させて時刻差群として記憶しておき、
前記第2のステップでは、
事故発生時に前記任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出し、その検出時刻の時刻差を算出し、該時刻差を前記時刻差群と比較して、該時刻差と最小誤差を有する時刻差を前記時刻差群から導出し、これにより導出された時刻差に対応する地点を事故点として標定することを特徴とする送配電線路事故点標定方法。
【請求項2】
前記時刻差群は、過去の事故発生時に前記任意区間の両端で計測された過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形、強制的に起こされた事故で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形、電気回路シミュレーションの模擬地絡で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形の1つまたは複数、または全てから検出された時間差、あるいはそれらの時刻差を演算処理して導出されたものを含むことを特徴とする請求項1に記載の送配電線路事故点標定方法。
【請求項3】
事故発生時のサージ波形の立ち上がり点の検出では、前記信号波形を確率変数としてその確率分布を算出し、該確率分布の変化によりサージ波形の立ち上がり点を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の送配電線路事故点標定方法。
【請求項4】
前記時刻差群において時刻差補間処理を実行し、該時刻差補間処理は、時刻差が不明の地点の時刻差を任意の複数地点の時刻差からの補間により算出し、これにより算出された時刻差で前記時刻差群を補完し、又は、或いは、それに加えて、前記時刻差群内で異常を示す時刻差を、正常を示す複数地点の時刻差からの補間により算出された時刻差で補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載された送配電線路事故点標定方法。
【請求項5】
前記時刻差群を生成するために時刻差が算出される地点は、任意の地点または電柱が設置されている地点であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の送配電線路事故点標定方法。
【請求項6】
前記電気回路シミュレーションの模擬地絡では、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させ、あるいは発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用いて、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の送配電線路事故点標定方法。
【請求項7】
前記第1のステップでは、発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用い、過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生したサージ波形を選択して時間差を算出し、このとき、実事故でのサージ波形と同じ地点についてのシミュレーションのサージ波形が既に存在する場合には、それらのサージ波形を演算処理してサージ波形を求め、またはそれらのサージ波形から算出した時刻差を演算処理して時刻差を求めることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載の送配電線路事故点標定方法。
【請求項8】
事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージを検出し、その検出時刻の時刻差から事故点を標定する送配電線路事故点標定装置であって、
前記任意区間内の複数の各地点を事故点として、前記任意区間の両端で計測される送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点が検出し、その検出時刻の時刻差を算出し、これにより算出された時刻差を各地点に対応させて時刻差群として記憶する記憶手段と、
前記任意区間の両端で送配電線路の電圧または電流の信号波形を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された信号波形を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたサージ波形の立ち上がり点の時刻差を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された時刻差を前記時刻差群と比較し、該時刻差と最小誤差を有する時刻差を前記時刻差群から導出する比較手段とを備え、
前記比較手段により導出された時刻差に対応する地点を事故点として標定することを特徴とする送配電線路事故点標定装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記記憶手段に記憶された信号波形に一定時間の時間枠を設定し、その時間枠を時間軸に沿って順次更新しつつ、各時間枠に含まれる信号波形を確率変数としてその確率分布のモーメントを算出する算出手段と、前記算出手段により算出されたモーメントの変化から送配電線路の電圧または電流の信号波形におけるサージ波形の立ち上がり点を検出する立ち上がり点検出手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の送配電線路事故点標定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送配電線路事故点標定方法および装置に関し、特に、サージ伝播速度を用いることなくサージ検出時刻差のみで送配電線路に発生した事故点を標定することができる送配電線路事故点標定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送配電線路に事故が発生したとき、事故点を挟む一対の子局において検出されるサージ(電圧または電流)の検出時刻差を算出すれば、その検出時刻差とサージ伝播時間を用いて事故点を標定することができる。
【0003】
特許文献1には、故障点標定に用いるサージ伝播速度を高精度で求め、故障点を高精度で標定する故障点標定システムにおけるサージ伝播速度算出方法が記載されている。ここでは、故障区間を挟む配置関係にある1対の子局(センサから得られる電流または電圧波形をGPS時刻と同期し計測することが可能で、地絡故障の検出機能も有す)の組み合わせを複数対選定する第1のステップと、各子局から受信したサージ波形のデータにより各子局におけるサージ到達時刻を算出し、前記選定した各組み合わせにおける子局同士でのサージ到達時刻と前記記憶手段に予め記憶した当該子局間の送配電線路長のデータにより、各組み合わせにおける故障点標定位置のばらつきが最小になるサージ伝播速度を算出する第2のステップとから成る処理を実行し、故障点位置の標定を行うためのサージ伝播速度を算出する。これにより算出したサージ伝播速度と選定した複数対の子局の組み合わせにおける子局同士でのサージ到達時刻の差と送配電線路長のデータに基づき各組合せにおける故障点を算出し、その算出した故障点の平均値を故障点標定位置として出力する。
【0004】
特許文献2には、サージ伝播速度の算出方法およびそれを用いた故障点標定システムが記載されている。ここでは、送配電線路の故障点に隣接する一の子局及び該一の子局に隣接する他の子局の、サージ電圧またはサージ電流の検出時刻と、該一の子局及び該他の子局間の送配電線路の長さをもとにサージ伝播速度を求め、このサージ伝播速度と、故障区間の両端の子局のサージ検出時刻の差と、該故障区間の送配電線路の長さとから送配電線路の故障点位置を特定し、故障点を標定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-58066号公報
【特許文献2】特開2001-133504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されている故障点標定システムは、何れも、サージ伝播速度を用いて故障点標定を行うものであり、送配電線路の子局間内のどの地点で故障が発生した場合でも一律のサージ伝播速度を用いている。しかし、サージ伝播速度は、線路と対地間要因に依存する。すなわち、サージ伝播速度は、送配電線路の対地間線路定数(静電容量など)やそのアンバランスなど、対地間の電気的な結合の影響を受け、また、サージを検出する子局(センサ)間の電柱径間ごとの対地間の電気的特性の違いにより、故障が発生した地点によって電源側と負荷側に伝わるサージ伝播速度が異なる。
【0007】
サージ伝播速度が子局間で相違することは、実系統のサージ伝播速度でも得られている。図10は、実系統から得られた事故点の電源側と負荷側のサージ伝播速度の一例を示す図である。この事故の事例では、事故点から事故区間の電源側のサージ伝播速度は63.0m/μs、負荷側のサージ伝播速度は94.9m/μsであり、電源側と負荷側とで大きく異なっている。このように、事故点からその両側のセンサまでのサージ伝播速度は異なるので、サージ伝播速度を一定とした事故点の標定では、事故点を正確に特定することができない。また、事故区間内のサージ伝播速度を一定と仮定しても、事故区間外からのサージ伝播速度は、80.2m/μsであり、それらのサージ伝播速度は相違する。このように、サージ伝播速度は、事故点で一律な速度でないので、事故点標定にサージ伝播速度を用いることは、標定誤差を増加させる要因となっている。
【0008】
また、特許文献1に記載されている故障点標定システムでは、故障点を挟む複数の対の子局を選定し、各組み合わせにおける故障点標定位置のばらつきが最小になるサージ伝播速度を算出しているが、そもそも、各対のサージ伝播速度の相違は、上述したように、各組み合わせ間の線路と対地間要因によりサージ伝播速度が一定でないことに起因するものであるので、特許文献1に記載されている故障点標定システムによっても故障点標定の精度は不十分である。
【0009】
本発明の目的は、サージ伝播速度を用いることなくサージ検出時刻差のみで送配電線路に発生した事故点を標定することができる送配電線路事故点標定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の特徴は、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージを検出し、その検出時刻の時刻差から事故点を標定する送配電線路事故点標定方法であって、第1のステップと第2のステップを有し、前記第1のステップにより、前記任意区間内の複数の各地点を事故点として、前記任意区間の両端で計測される送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出し、その検出時刻の時刻差を算出して各地点に対応させて時刻差群として記憶しておき、前記第2のステップでは、事故発生時に前記任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出し、その検出時刻の時刻差を算出し、この時刻差を前記時刻差群と比較し、該時刻差と最小誤差を有する時刻差を前記時刻差群から導出し、これにより導出された時刻差に対応する地点を事故点として標定することにある。
【0011】
また、本発明の特徴は、前記時刻差群が、過去の事故発生時に前記任意区間の両端で計測された過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形、強制的に起こされた事故で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形、電気回路シミュレーションの模擬地絡で発生し、前記任意区間の両端で計測されたサージ波形の1つまたは複数、または全てから検出された時間差、あるいはそれらの時刻差を演算処理して導出されたものを含むことにある。
【0012】
また、本発明の特徴は、事故発生時のサージ波形の立ち上がり点の検出では、前記信号波形を確率変数としてその確率分布を算出し、該確率分布の変化によりサージ波形の立ち上がり点を検出することにある。
【0013】
また、本発明の特徴は、前記時刻差群において時刻差補間処理を実行し、該時刻差補間処理は、時刻差が不明の地点の時刻差を任意の複数地点の時刻差からの補間により算出し、これにより算出された時刻差で前記時刻差群を補完し、又は、或いは、それに加えて、前記時刻差群内で異常を示す時刻差を、正常を示す複数地点の時刻差からの補間により算出された時刻差で補正することにある。
【0014】
また、本発明の特徴は、前記時刻差群を生成するために時刻差が算出される地点は、任意の地点または電柱が設置されている地点であることにある。
【0015】
また、本発明の特徴は、前記電気回路シミュレーションの模擬地絡では、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させ、あるいは発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用いて、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させることにある。
【0016】
また、本発明の特徴は、前記第1のステップでは、発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用い、過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生したサージ波形を選択して時刻差を算出し、このとき、実事故でのサージ波形と同じ地点についてのシミュレーションのサージ波形が既に存在する場合には、それらのサージ波形を演算処理してサージ波形を求め、またはそれらのサージ波形から算出した時刻差を演算処理して時刻差を求めることにある。ここでの演算処理は、平均値算出や、どちらかに重み係数を付した平均値算出などでよい。
【0017】
さらに、本発明の特徴は、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端で計測された送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージを検出し、その検出時刻の時刻差から事故点を標定する送配電線路事故点標定装置であって、前記任意区間内の複数の各地点を事故点として、前記任意区間の両端で計測される送配電線路の電圧または電流の信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出し、その検出時刻の時刻差を算出し、これにより算出された時刻差を各地点に対応させて時刻差群として記憶する記憶手段と、前記任意区間の両端で送配電線路の電圧または電流の信号波形を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された信号波形を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された信号波形からサージ波形の立ち上がり点を検出する検出手段と、前記検出手段により検出されたサージ波形の立ち上がり点の時刻差を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された時刻差を前記時刻差群と比較し、該時刻差と最小誤差を有する時刻差を前記時刻差群から導出する比較手段とを備え、前記比較手段により導出された時刻差に対応する地点を事故点として標定することにある。
【0018】
さらに、本発明の特徴は、前記検出手段が、前記記憶手段に記憶された信号波形に一定時間の時間枠を設定し、その時間枠を時間軸に沿って順次更新しつつ、各時間枠に含まれる信号波形を確率変数としてその確率分布のモーメントを算出する算出手段と、前記算出手段により算出されたモーメントの変化から送配電線路の電圧または電流の信号波形におけるサージ波形の立ち上がり点を検出する立ち上がり点検出手段を含むことにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、サージ伝播速度を用いることなくサージ検出時刻差のみで送配電線路に発生した事故点を標定するので、事故点から電源側と負荷側の子局までのサージ伝播速度が異なる送配電線路の事故においても、誤差の少ない事故点標定が可能となる。
【0020】
ここで、事故発生時のサージ波形の立ち上がり点の検出で、前記信号波形を確率変数としてその確率分布を算出し、該確率分布の変化によりサージ波形の立ち上がり点を検出すれば、送配電線路に定常的に存在する信号波形(雑音)を許容して、サージ波形を安定かつ正しく検出でき、その検出時刻を正確に特定することができる。
【0021】
また、ここで、前記第1のステップにおける時刻差群に対して時刻差補間処理を実行し、該時刻差補間処理では、時刻差が不明の地点の時刻差を、任意の複数地点の時刻差、例えば、近傍2地点の時刻差からの補間により算出し、これにより算出された時刻差で前記時刻差群を補完すれば、事故の発生地点をより細かく標定することができ、または、或いは、それに加えて、前記時刻差群内で異常を示す時刻差を、正常を示す複数地点の時刻差、例えば、近傍2地点の正常を示す時間差からの補間により算出された時刻差で補正するようにすれば、異常を示す時刻差を正しくすることができる。これにより標定精度向上させることができる。
【0022】
また、前記電気回路シミュレーションの模擬地絡で、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させ、あるいは発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用いて、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についてのサージ波形を発生させることにより、より標定精度を高めることができる。
【0023】
また、前記第1のステップでは、発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用い、過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生したサージ波形を選択して時間差を算出し、このとき、実事故でのサージ波形と同じ地点についてのシミュレーションのサージ波形が既に存在する場合には、それらのサージ波形を演算処理してサージ波形を求め、またはそれらのサージ波形から算出した時刻差を演算処理して時刻差を求めるようにすることにより、より標定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る送配電線路事故点標定装置の一実施形態を示す図である。
図2】送配電線路に地絡事故が発生した時の事故点より電源側と負荷側で計測された零相電流の信号波形の一例である。
図3】送配電線路における信号波形にサージ波形が含まれたときの零相電流および確率分布を表す1次モーメントの一例を示す図である。
図4】送配電線路における信号波形にサージ波形が含まれたときの零相電流および確率分布を表す2次モーメントの一例を示す図である。
図5】送配電線路における信号波形にサージ波形が含まれたときの零相電流および確率分布を表す3次モーメントの一例を示す図である。
図6】閾値によるサージ波形の検出の様子を示す図である。
図7】時刻差が既知の2地点間の時刻差が不明の地点を示す図である。
図8】予め算出されている時刻差を用いて線形補間により時刻差が不明の地点の時刻差を算出する処理の説明図である。
図9図7図8と同じように示す図である。
図10】実系統の事故結果で得られた事故点の電源側と負荷側のサージ伝播速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明について説明する。
【0026】
以下では、本発明が送配電線路事故点標定装置として実現された場合について説明するが、本発明は、送配電線路事故点標定装置としてだけでなく、送配電線路事故点標定方法としても実現できる。
【0027】
図1は、本発明に係る送配電線路事故点標定装置の一実施形態を示す図である。
【0028】
事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端の子局は、計測手段6を備え、親局は、記憶手段4,7、検出手段8、算出手段9および比較手段10を備える。また、図1において、( )付きの符号は、事故点標定に先立って、予め行う処理であり、それ以外は、事故発生時に事故点標定を行う構成である。つまり( )付きの符号は、事故発生後の事故点標定に先立って、予め行われる処理の場合もあるし、事故発生前に予め行われる処理の場合もある。なお、記憶手段7や検出手段8や算出手段9は、子局に付属するものでもよいし、記憶手段4,7は、同一のものでよい。
【0029】
親局では、事故点標定に先立って、予め、以下の(1)から(4)までの処理を行う。すなわち、親局では、予め、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端の一対の子局間の複数の地点(例えば、複数の電柱)での過去の実事故発生時のサージ波形、開閉器開閉時のサージ波形、電気回路シミュレーションでの模擬地絡によるサージ波形など(1)を利用して、各子局で検出されるサージ波形の立ち上がり点をそれぞれ検出(2)し、各サージ波形についての時刻差TBを算出(3)し、これにより算出された各時刻差を、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間内の各地点での地絡を模擬した時刻差TBとし、複数の時刻差TBを、その任意区間内の電源側から負荷側への各地点の順に並べて、その任意区間内の複数の各地点での地絡を模擬した時刻差群TBnを生成(4)する。
【0030】
なお、電気回路シミュレーションの模擬地絡では、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についての地絡サージ波形を発生させ、あるいは発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくとも1つの情報を用いて、予め地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)に数値を当てはめて任意の地点についての模擬地絡のサージ波形を発生させることができ、それにより標定精度を高めることができる。また、複数の各地点は、事故点標定対象とする送配電線路区間内の一定間隔の地点でも不規則な間隔の地点でもよい。
【0031】
過去の実事故でのサージ波形、開閉器の開閉操作で発生するサージ波形を選択するときには、発生事故の地絡相や地絡抵抗や地絡位相(タイミング)の少なくともひとつの情報を用いる。またこの時、実事故と同じ地点についてのシミュレーションによるサージ波形が既に存在する場合には、それらのサージ波形を演算処理してサージ波形を求め、またはそれらのサージ波形から算出した時刻差を演算処理して時刻差を求めればよい。ここでの演算処理としては、平均値算出や、どちらかに重み係数を付した平均値算出などを用いることができる。
【0032】
記憶手段4は、以上の予めの処理により生成された時刻差群TBnを、複数の各地点に対応させて記憶する。なお、時刻差群TBnは、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間内で、事故発生が想定される全ての地点について得られることが望ましいが、そうでない場合や、より細かい地点の時刻差を必要とする場合は、後述する時刻差補間処理(5)により、不明地点についての時刻差を算出し、これにより算出された時刻差で時刻差群TBnを補完すればよい。
【0033】
事故発生時、送配電線路のサージ波形は、一対の子局の計測手段6により計測され、記憶手段7に記憶される。記憶手段7に記憶されたサージ波形は、GPSにより取得された時刻情報とともに親局に送信される。
【0034】
親局の検出手段8は、受信したサージ波形の立ち上がり点を検出し、算出手段9は、検出手段8により検出された立ち上がり点の時刻差TAを算出する。すなわち、算出手段9は、事故点標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間両端の一対の子局の一方のサージ検出時刻をt1とし、他方のサージ検出時刻をt2とすると、時刻差t1-t2を算出し、事故発生時のサージ検出の時刻差TAとする。あるいは、サージ波形の立ち上がり点の時刻の算出までの処理を各子局で行ってもよく、その場合には事故発生時のサージ検出の時刻TBが親局に送信される。
【0035】
比較手段10は、事故発生時に算出された時刻差TAと記憶手段4に予め記憶されている時刻差群TBnとを比較し、時刻差群TBnから時刻差TAとの差が最小の時刻差を導出し、その時刻差に対応する地点の位置(子局からの距離)を標定結果(事故点)として導出する。あるいは、第1の最小値地点と第2の最小値地点を算出し、その第1と第2の時刻差で案分することで、その案分に対応する地点の位置(子局からの距離)を標定結果(事故点)として導出することもできる。
【0036】
次に、検出手段8でのサージ波形の立ち上がり点検出について説明する。以下は、サージ波形の立ち上がり点検出の一例であり、それに限られるものでない。
【0037】
送配電線路には、事故発生以前(定常時)から電圧または電流の信号波形が存在しており、この信号波形は、事故発生に起因するサージ波形の立ち上がり点検出においては雑音として影響する。例えば、送配電線路の健全(定常)時の場合でも三相のアンバランスによる残留成分が存在し、これは線路ごとにまたは同一線路でも場所により異なる。つまり、地絡事故などの事故が発生した場合、送配電線路の信号波形は、通常運用(定常)時の信号波形に事故発生に起因するサージ波形が重畳されたものとなり、この定常時の信号波形は、サージ波形の立ち上がり点検出においては、雑音となる。
【0038】
そこで、ここでは、送配電線路において計測された信号波形を確率変数としてその確率分布を算出し、該確率分布の変化によりサージ波形の立ち上がり点を検出する。これにより、送配電線路に定常的に存在する信号波形(雑音)を許容して、サージ波形の立ち上がり点を安定かつ正しく検出でき、その検出時刻を正確に特定することができる。
【0039】
確率変数xの確率分布f(x)のフーリエ変換F(jω)は、下記式(1)で表され、この指数関数部分をマクローリン級数展開すると、下記式(2)が得られる。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
ここで、mを下記式(3)のn次のモーメントとすると、上記式(2)は、下記式(4)となる。この式(4)を逆フーリエ変換すると、下記式(5)となる。
【0043】
【数3】
【0044】
【数4】
【0045】
【数5】
【0046】
上記式(5)で表されるように、確率分布f(x)は、各次数のモーメントmで展開(構成)される。つまり、確率分布f(x)は、上記式(3)のモーメントを特徴として表現される。なお、確率分布は、連続系である必要はなく、離散系でもよい。
【0047】
信号波形に対して一定時間の時間枠が設定される場合、例えば、1次モーメント(上記式(3)でn=1)は、確率分布の期待値(平均値)であり、その時間枠内での信号波形の平均的な値であり、2次モーメント(上記式(3)でn=2)は、確率分布の分散(標準偏差)であり、その時間枠内での信号波形のばらつきを示し、3次モーメント(上記式(3)でn=3)は、確率分布の歪度であり、その時間枠内での信号波形の偏りを示す。したがって、雑音となる定常時の信号波形の分布へのサージ波形の重畳は、その時間枠内の信号波形を確率変数としてその確率分布のモーメント値を指標とすることで把握することができる。
【0048】
図2は、記憶手段2に記憶される信号波形の一例である。ここでは、送配電線路に地絡事故が発生した時の事故点より電源側と負荷側で計測された零相電流の信号波形を、時間経過に従って示しており、これは、15~20msecの時点間で地絡事故が発生した場合の地絡事故発生時点近傍の信号波形の一例である。なお、送配電線路の健全(定常)時の場合でも三相のアンバランスによる残留成分が存在し、これは線路ごとにまたは同一線路でも場所により異なる。15msecの時点以前は、サージ検出において雑音として影響する通常運用時(定常時)の残留電流である。
【0049】
図3図4および図5は、送配電線路における信号波形にサージ波形が含まれたときの、図2の16msec近傍の零相電流、および算出された確率分布の1次、2次および3次モーメントを示す図である。
【0050】
図3、4および5で示されているように、定常時の信号波形は、雑音であり、バイアスおよびリップルとして観測される。ここで、各モーメントを算出するための時間枠は、例えば、約1/20msecとしている。図示されているように、各モーメントは、定常時の信号波形が存在しても、サージ波形が含まれていなければ、ほぼ一定値で変動がないが、サージ波形が含まれることに伴ってその値が変化する。
【0051】
1次モーメントは、信号波形のバイアス分を表しており、サージ波形が含まれることに伴ってその値が正または負に大きくなる。2次モーメントは、信号波形のばらつきを表しており、定常時では、信号波形のバイアス分が除去され、信号波形で観測されるばらつき(分散:2次モーメント)の変動がなく、安定しているが、サージ波形が含まれることに伴ってその値が変化する。3次モーメントは、信号波形の偏りとなる歪度を表しており、定常時では零近傍で最も安定し、サージ波形が含まれることに伴ってその値が急峻に変化する。
【0052】
以上のように、各時間枠でのモーメントは、定常時の信号波形(雑音)にサージ波形が重畳されると変化するので、サージ波形の立ち上がり点検出の指標となっており、それによりサージ波形の立ち上がり点を検出することができる。
【0053】
以下では、定常時に最も安定している3次モーメント(図5)を利用してサージ波形の立ち上がり点を検出する場合について説明する。
【0054】
ここでは、一例として、信号波形に時点tを中心とした約1/20msecの時間枠を設定し、その時間枠を時間軸に沿って順次更新しつつ、各時間枠に含まれる信号波形を確率変数としてその確率分布のモーメントを上記式(3)により算出する。
【0055】
なお、信号波形をAD変換により離散化処理し、その信号波形データy(t)を用いて、2次以上のモーメントを下記式(6)で算出するようにしてもよい。下記式(6)では、AD変換による離散化処理の各時点をポイントとして、時点tにおける時間枠をその前後のN(例えば1000)ポイントとし、その信号波形データのモーメントを算出する。この場合の時間枠は2N+1ポイントとなる。なお、上線付きyは、時間枠2N+1ポイントの信号波形データの平均値(1次モーメント)である。
【0056】
【数6】
【0057】
図6は、閾値によるサージ波形の検出の様子を示す。図6に示すように、信号波形の偏りとなる歪度を表す3次モーメントは、定常時では零近傍で安定しているが、サージ波形が含まれることに伴ってその値は急峻に変化する。したがって、その値の変化からサージ波形の立ち上がり点を検出することができる。例えば、3次モーメントの値を閾値と比較することによりサージ波形の立ち上がり点を検出することができる。ここで、閾値は、低レベルに設定することができるが、算出される3次モーメントの変動を考慮する。
【0058】
次に、時刻差補間処理(5)について説明する。時刻差補間処理(5)は、予め算出されている2地点の時刻差から、より細かい地点の時刻差を算出し、この時刻差により記憶手段4の時刻差群TBnを補完する。
【0059】
図7は、時刻差が予め算出されている2地点の間に時刻差が不明の地点が存在する場合を示す図である。この場合、2地点間で時刻差が送配電線路に沿って線形変化するものとして、図8に示すように、既に算出されている2地点の時刻差y0、y1を用いて線形内挿補間により不明地点の時刻差yを求めることができる。
【0060】
線形補間は基本的に座標で表され、(x0,y0)と(x1,y1)が既知であり、x0とx1の間にあるxが与えられたとき、この線上にある点(x,y)は、下記式(7)の関係式で表すことができる。
【0061】
【数7】
【0062】
上記式(7)の両辺の同じ値をαとすると、αは、補間係数と呼ばれる。これは、x0からx1までの距離とx0からxまでの距離の比である。x(またはy)の値が分かっていれば、補間係数αは、下記式(8)によって得られる。下記式(8)から下記式(9)または(10)が導出され、補間係数αの値を用いて、下記式(9)または(10)によりyの値を直接算出することができる。
【0063】
【数8】
【0064】
【数9】
【0065】
【数10】
【0066】
上記式(9),(10)は、xがx0とx1の間になくても成立する、この場合は、線形外挿法と呼ばれる。線形外挿法の場合、補間係数αnは1を超えて定義することが必要であるが、内挿法と同様に等価として計算することも可能である。ただし、その場合、補間係数αnは、(N+1+n)/(N+1)とする。ここで、nは、外挿の不明地点数(1,2,・・・)、Nは、内挿の不明地点数(x0~x1間)である。
【0067】
図9は、図7図8と同じように示す図である。ここで、補間係数αを求めると、下記式(11)の算出結果が得られる。
【0068】
【数11】
【0069】
上記式(11)の算出結果の補間係数αを用いて、下記式(12)により不明地点の時刻差Yを算出することができる。
【0070】
【数12】
【0071】
なお、この場合、各電柱の径間長が必要となるが、それが得られない場合などは、補間係数α=0.5に等価と単純に解釈し、これを用いて時刻差を算出することができる。
【0072】
また、2地点間に複数の不明地点がある場合には、以下のようにして、各地点での時刻差を算出することができる。
【0073】
不明地点数をNとした場合、補間係数αnは、下記式(13)または(14)で算出することができ、時刻差Ynは、下記式(15)で算出することができる。ここで、n=1,2,・・・,Nであり、Lnは、x0からxnまでの距離、LNは、x0からx1までの距離である。なお、下記式(13)は、距離をもとにした計算式であり、LnとLNにより補間係数αnを算出することができる。また、下記式(14)は、不明地点数をもとにした計算式であり、算出地点nを(不明地点数N+1)で除算することにより補間係数αnを算出することができる。
【0074】
【数13】
【0075】
【数14】
【0076】
【数15】
【0077】
ある事故の事例では、図10に示すように、事故点から事故区間の電源側と負荷側それぞれのサージ伝播速度は、63.0m/μsと94.9m/μsであり、事故点を挟む送配電線路区間の両端で大きく異なっている。ここで、条件を、区間距離L=3183m、事故区間サージ伝播速度v=80.2m/μs、サージ検出時刻差T=-3.1μsとしたとき、事故点を((v・T+L)/2)で算出する従来方式での標定結果は、1467m(誤差:+315m)であるのに対し、本発明での標定結果は、1152m(誤差:0m)であった。この標定結果から、事故点から一対の子局までのサージ伝播速度が異なる場合でも、本発明によれば、正確な事故点標定が可能となることが分かる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものでなく、種々に変形可能である。例えば、上記実施形態では、送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間の両端の一対の子局で送配電線路の電圧または電流の信号波形を計測するものとしたが、それらは子局でなくても、送配電線路の電圧または電流の信号波形を計測する機能を有する装置であればよい。また、親局も、それと同様の機能を有する装置であればよく、それが設置される個所も任意であり、また、記憶手段4,7は、外部に存在するものであってもよい。また、時刻差群TBnの生成には、標定対象とする送配電線路の事故点を挟み込んだ任意区間内の電柱で強制的に事故を発生させたときのサージ波形を利用することもできる。
【0079】
さらに、時刻差補間処理(5)により算出された時刻差は、時刻差群TBnを補完するために使用されるだけでなく、時刻差群TBnにおいて異常を示す時刻差を補正するために使用されてもよい。すなわち、時刻差群TBn内において線形関係を大きく外れるなどの時刻差は異常な時刻差であると判断して、その時刻差を、近傍2地点の正常な時刻差から線形補間により算出された時刻差で補正するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
4,7・・・記憶手段
6・・・計測手段
8・・・検出手段
9・・・算出手段
10・・・比較手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10