(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146474
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20231004BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231004BHJP
H10B 41/10 20230101ALI20231004BHJP
H10B 41/30 20230101ALI20231004BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L29/78 301G
H01L27/088 B
H01L27/088 C
H01L27/11519
H01L27/11521
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053668
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 勇士
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AA05
5F048AA09
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5F140DA03
(57)【要約】
【課題】FLOTOX型EEPROMと同じの半導体基板上に作成することが容易で、耐圧設定、ON抵抗設定を調整することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、DMOSトランジスタ100をp型の半導体基板1上に備える。DMOSトランジスタ100は、ディープp型ウェル3と、ディープn型ウェル5と、DMOS-n型ソース領域14と、DMOS-n型ドレイン領域9と、DMOSゲート絶縁膜7と、を備える。DMOSトランジスタ100は、DMOSゲート絶縁膜7を介してDMOSチャネル領域にあるディープn型ウェル5に対向するPOLY-Si層8と、POLY-Si層を覆うように形成されたONO膜11と、ONO膜11およびDMOSゲート絶縁膜7に跨って形成され、POLY-Si層8およびDMOSゲート絶縁膜7を介してDMOSチャネル領域に対向するPOLY-Si層13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMOSトランジスタを第1導電型の半導体基板上に備える半導体装置であって、
前記半導体基板の前記DMOSトランジスタ用の領域に形成されたDMOS第1導電型ウェルと、
前記DMOS第1導電型ウェルと隣接して形成されたDMOS第2導電型ウェルと、
前記DMOS第1導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ソース領域と、
前記DMOS第2導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ドレイン領域と、
前記DMOS第2導電型ソース領域と前記DMOS第2導電型ドレイン領域との間のDMOSチャネル領域を覆うように形成されたDMOSゲート絶縁膜と、
前記DMOSゲート絶縁膜を介して前記DMOSチャネル領域にある前記DMOS第2導電型ウェルに対向するDMOS第1ゲート電極と、
前記DMOS第1ゲート電極を覆うように形成されたDMOS層間絶縁膜と、
前記DMOS層間絶縁膜および前記DMOSゲート絶縁膜に跨って形成され、前記DMOS第1ゲート電極および前記DMOSゲート絶縁膜を介して前記DMOSチャネル領域に対向するDMOS第2ゲート電極と、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記DMOSゲート絶縁膜は、
前記DMOS第1ゲート電極と前記DMOS第2導電型ウェルとの間に形成された第1絶縁膜と、
前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOS第1導電型ウェルとの間に形成され、前記第1絶縁膜より膜厚が薄い第2絶縁膜とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記DMOS第1ゲート電極および前記DMOS第2ゲート電極は、ポリシリコン膜で形成されている、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記DMOS層間絶縁膜は、ONO膜で形成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ONO膜は、前記DMOS第1ゲート電極の側面に形成された部分から、前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOSゲート絶縁膜との間に延びた部分を有する形状である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記DMOSチャネル領域において、
前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOS第1導電型ウェルとの間に前記第2絶縁膜が形成された領域、
前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOS第1導電型ウェルとの間に前記第1絶縁膜および前記ONO膜が形成された領域、
前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOS第2導電型ウェルとの間に前記第1絶縁膜および前記ONO膜が形成された領域、
前記DMOS第2ゲート電極と前記DMOS第2導電型ウェルとの間に前記第1絶縁膜、前記DMOS第1ゲート電極および前記ONO膜が形成された領域、が前記DMOS第2導電型ソース領域から前記DMOS第2導電型ドレイン領域までの間に順に形成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記DMOS第1ゲート電極は、電気的に接続されているコンタクト導体と、前記コンタクト導体と電気的に接続されている配線と、を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
DMOSトランジスタと、EEPROMとを共通の第1導電型の半導体基板上に備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の前記DMOSトランジスタ用の領域に第1導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第1導電型ウェルを形成する工程と、
前記半導体基板の前記DMOSトランジスタ用の領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ウェルを形成する工程と、
前記半導体基板の前記EEPROM用の領域に第1導電型の不純物を選択的に導入することによって、前記DMOS第1導電型ウェルと比べて不純物濃度が低く、拡散が深いEEPROM第1導電型ウェルを形成する工程と、
前記EEPROM第1導電型ウェルの一部の領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、前記DMOS第2導電型ウェルと比べて不純物濃度が高いEEPROM第2導電型ウェルを形成する工程と、
前記DMOS第1導電型ウェルの一部、前記DMOS第2導電型ウェル、および前記EEPROM用の領域に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記EEPROM第2導電型ウェルの領域を覆う前記第1絶縁膜の一部の膜厚を薄くする工程と、
前記DMOS第1導電型ウェルの領域にDMOS第1ゲート電極を、前記EEPROM第1導電型ウェルの領域にEEPROM第1ゲート電極を形成し、前記EEPROM第1導電型ウェルおよび前記EEPROM第2導電型ウェルを跨ぐ領域にEEPROM第2ゲート電極をそれぞれ形成する工程と、
前記DMOS第2導電型ウェルの内方領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ドレイン領域を形成し、前記EEPROM第1導電型ウェルおよび前記EEPROM第2導電型ウェルに第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、EEPROM第2導電型拡散領域を形成する工程と、
DMOSチャネル領域および前記EEPROM用の領域にONO膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜を形成していない前記DMOS第1導電型ウェルの領域に、前記第1絶縁膜より膜厚が薄い第2絶縁膜を形成する工程と、
前記DMOS第1導電型ウェルおよび前記DMOS第1ゲート電極を跨ぐ領域にDMOS第2ゲート電極を、前記EEPROM第2ゲート電極を覆ってEEPROM第3ゲート電極をそれぞれ形成する工程と、
前記DMOS第1導電型ウェルの内方領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ソース領域を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記DMOS第1ゲート電極は、前記DMOSトランジスタのLOCOS酸化層に代えて形成されている、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板が、高耐圧CMOSトランジスタと、低耐圧CMOSトランジスタとをさらに備え、
前記第1絶縁膜は、前記高耐圧CMOSトランジスタの高耐圧ゲート絶縁膜を形成する工程で形成され、
前記第2絶縁膜は、前記低耐圧CMOSトランジスタの低耐圧ゲート絶縁膜を形成する工程で形成される、請求項8または請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高耐圧電界効果トランジスタとして、高耐圧DMOS(Double Diffused Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが知られている。たとえば、特開2009-32820号公報(特許文献1)に、高耐圧DMOSトランジスタの構成が開示されている。また近年、メモリ機能を搭載したLSI(Large Scale Integration)の開発が進められている。たとえば、従来のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセス、あるいはBCDMOS(Bipolar CMOS Double-diffused MOS)プロセスをそのまま使用したメモリの開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、FLOTOX(FLOating gate Tunnel OXide)型EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を搭載した半導体装置の開発は、EEPROMプロセスが他のプロセスに比べて特殊な工程が多いことと、逆に高耐圧DMOSトランジスタに必要な構造や工程がEEPROMに不要であるため、あまり進んでいない。また、高耐圧DMOSトランジスタには、様々な耐圧設定、ON抵抗設定があるので、素子のサイズ、構造、および作成方法などを変えて作成した上で必要な仕様に合わせる必要がある。そのため、素子のサイズ、構造、および作成方法などを変えた高耐圧DMOSトランジスタをあらかじめ半導体基板上に作成しておくことがあり、素子数が増加して管理が困難になるという問題があった。
【0005】
本開示の半導体装置の目的は、FLOTOX型EEPROMと同じの半導体基板上に作成することが容易で、耐圧設定、ON抵抗設定を調整することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、DMOSトランジスタを第1導電型の半導体基板上に備える半導体装置である。半導体装置は、半導体基板のDMOSトランジスタ用の領域に形成されたDMOS第1導電型ウェルと、DMOS第1導電型ウェルと隣接して形成されたDMOS第2導電型ウェルと、DMOS第1導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ソース領域と、DMOS第2導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ドレイン領域と、DMOS第2導電型ソース領域とDMOS第2導電型ドレイン領域との間のDMOSチャネル領域を覆うように形成されたDMOSゲート絶縁膜と、を備える。半導体装置は、DMOSゲート絶縁膜を介してDMOSチャネル領域にあるDMOS第2導電型ウェルに対向するDMOS第1ゲート電極と、DMOS第1ゲート電極を覆うように形成されたDMOS層間絶縁膜と、DMOS層間絶縁膜およびDMOSゲート絶縁膜に跨って形成され、DMOS第1ゲート電極およびDMOSゲート絶縁膜を介してDMOSチャネル領域に対向するDMOS第2ゲート電極と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る半導体装置によれば、DMOS第1ゲート電極およびDMOS第2ゲート電極を備えるので、FLOTOX型EEPROMと同じの半導体基板上に作成することが容易で、耐圧設定、ON抵抗設定を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に従う半導体装置の模式断面図である。
【
図2】実施の形態に従う半導体装置の平面図である。
【
図3】半導体装置の製造工程を説明するための第1の断面図である。
【
図4】半導体装置の製造工程を説明するための第1の平面図である。
【
図5】半導体装置の製造工程を説明するための第2の断面図である。
【
図6】半導体装置の製造工程を説明するための第3の断面図である。
【
図7】半導体装置の製造工程を説明するための第2の平面図である。
【
図8】半導体装置の製造工程を説明するための第4の断面図である。
【
図9】半導体装置の製造工程を説明するための第5の断面図である。
【
図10】半導体装置の製造工程を説明するための第3の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態]
(半導体装置の構成)
図1は、実施の形態に従う半導体装置の模式断面図である。
図2は、実施の形態に従う半導体装置の平面図である。
図1には、
図2におけるI-I断面が示されている。
図1では、図面を理解容易とするため後述するシリサイド膜17および層間膜18は取り除かれている。以下では、
図1および
図2を参照して、半導体装置の構成について説明する。
【0011】
半導体装置は、高耐圧DMOS(Double diffused Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ100を含む。半導体装置は、高耐圧DMOSトランジスタ100以外に、後述するFLOTOX(FLOating gate Tunnel OXide)型EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)200と、高耐圧CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ300と、低耐圧CMOSトランジスタ400とが共通のp型の半導体基板(たとえば、シリコン基板)1上に設けられている。
【0012】
半導体基板1の表面部には、高耐圧DMOSトランジスタ100、EEPROM200、高耐圧CMOSトランジスタ300、低耐圧CMOSトランジスタ400を互いに分離するための素子分離部2が形成してある。素子分離部2は、高耐圧DMOSトランジスタ100、EEPROM200、高耐圧CMOSトランジスタ300、低耐圧CMOSトランジスタ400がそれぞれ形成される領域を矩形状に取り囲んでいる。そして、素子分離部2は、半導体基板1の表面から比較的浅く掘り下がった溝(たとえば、深さ0.2μm~0.5μmのシャロートレンチ)に、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁物が埋め込まれた構造(STI(Shallow Trench Isolation)構造)である。
【0013】
この素子分離部2によって区画された高耐圧DMOSトランジスタ100用の領域のサイズは、たとえば、10μm~100μmである。高耐圧DMOSトランジスタ100用の領域には、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部2の辺に沿って、DMOS第1導電型ウェルの一例としてのディープp型ウェル3と、DMOS第2導電型ウェルの一例としてのディープn型ウェル5とが形成されている。
【0014】
ディープp型ウェル3の内方領域には、DMOS第2導電型ソース領域の一例としてのDMOS-n型ソース領域14が形成され、ディープn型ウェル5の内方領域には、DMOS第2導電型ドレイン領域の一例としてのDMOS-n型ドレイン領域9が形成されている。
図2に示すように、DMOS-n型ドレイン領域9にはドレイン電極Dが設けられている。DMOS-n型ソース領域14とDMOS-n型ドレイン領域9とは、半導体基板1の表面に沿って互いに間隔を空けて形成されている。このDMOS-n型ソース領域14とDMOS-n型ドレイン領域9との間の領域が、高耐圧DMOSトランジスタ100のチャネル領域である。
【0015】
ディープp型ウェル3の内方領域には、DMOS-n型ソース領域14とは別にDMOS-p型コンタクト領域21が形成されている。DMOS-p型コンタクト領域21は、DMOS-n型ソース領域14に対してDMOS-n型ドレイン領域9の側とは反対側にDMOS-n型ソース領域14に接して形成されている。DMOS-p型コンタクト領域21は、高耐圧DMOSトランジスタ100のバックゲートとして機能する。
図2に示すように、DMOS-p型コンタクト領域21に設けた電極Saは、DMOS-n型ソース領域14に設けたソース電極Sと電気的に接続され、DMOS-p型コンタクト領域21とDMOS-n型ソース領域14とは同電位となる。
【0016】
高耐圧DMOSトランジスタ100用の領域において半導体基板1の表面には、DMOSゲート絶縁膜7,12が形成されている。DMOSゲート絶縁膜7は、ディープn型ウェル5およびディープp型ウェル3の一部に形成され、DMOSゲート絶縁膜7は、ディープp型ウェル3に形成されている。ディープn型ウェル5と対向する位置には、DMOSゲート絶縁膜7を挟んでディープn型ウェル5とDMOS第1ゲート電極の一例としてのPOLY-Si層8が形成されている。
【0017】
さらに、ディープn型ウェル5およびディープp型ウェル3と対向する位置には、DMOSゲート絶縁膜7,12を挟んで、一部がPOLY-Si層8を乗り上げるようにDMOS第2ゲート電極の一例としてのPOLY-Si層13が形成されている。POLY-Si層8とPOLY-Si層13との間には、DMOS層間絶縁膜の一例としてのシリコン酸化膜と窒化膜の積層膜であるONO膜11が形成されている。
【0018】
高耐圧DMOSトランジスタ100は、POLY-Si層8とPOLY-Si層13との2層のPOLY-Si層でゲート電極を構成している。POLY-Si層8およびPOLY-Si層13は、コンタクト導体と、当該コンタクト導体と電気的に接続されている配線とをそれぞれ有している。そのため、POLY-Si層13は、高耐圧DMOSトランジスタ100の通常のゲート電極Gとして機能し、POLY-Si層8は、ゲート電極Gとは独立して電圧を印加することができる耐圧調整用ゲート電極Cとして機能する。耐圧調整用ゲート電極Cに負バイアスを印加することで、ドレイン電極Dに印加された高い正バイアスを打ち消し、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。また、耐圧調整用ゲート電極Cに印加する負バイアスを変更することで、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を調整したり、POLY-Si層8の直下に形成されるチャネル領域の深さを変えてON抵抗を調整したりして、高耐圧DMOSトランジスタ100の最適な耐圧とON抵抗を設定することができる。そのため、素子のサイズ、構造、および作成方法などを変えた高耐圧DMOSトランジスタ100をあらかじめ半導体基板1上に作成しておく必要がない。
【0019】
一般的な高耐圧DMOSトランジスタでは、ゲートとドレインとの間に挿入されるように、半導体基板の表面にLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)酸化膜が形成されている。しかし、本開示の高耐圧DMOSトランジスタ100では、LOCOS酸化膜の代わりに、同じ半導体基板1に形成されるEEPROM200のフローティングゲートに使用されるPOLY-Si層8をゲートとドレインとの間に挿入することで、高耐圧の構造を実現している。後述する高耐圧DMOSトランジスタ100の製造工程で説明するように、EEPROM200のフローティングゲートを形成する際のフォトマスクや工程で、LOCOS酸化膜の代わりのPOLY-Si層8を形成するので、LOCOS酸化膜を形成するために必要なフォトマスクや工程が不要となり、低コスト化が可能となる。
【0020】
高耐圧DMOSトランジスタ100は、POLY-Si層8とPOLY-Si層13との間にONO膜11が形成されていることで、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。さらに、
図1のチャネル領域の拡大図に示すように、DMOSゲート絶縁膜7とDMOSゲート絶縁膜12とは、連なって形成されている。また、DMOSゲート絶縁膜7の膜厚h1(たとえば、200~500Å)は、DMOSゲート絶縁膜12の膜厚h2(たとえば、70~150Å)に比べて厚い。これにより、DMOS-n型ドレイン領域9からDMOS-n型ソース領域14へ向かって、段階的に絶縁膜の厚さが薄くなっている。
【0021】
具体的に、DMOS-n型ドレイン領域9からDMOS-n型ソース領域14へ向かって、第1領域から第4領域までの領域が順に形成されている。第1領域には、POLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)とディープn型ウェル5との間にDMOSゲート絶縁膜7(第1絶縁膜)、POLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)およびONO膜11が形成されている。第2領域には、POLY-Si層13とディープn型ウェル5との間にDMOSゲート絶縁膜7およびONO膜11が形成されている。第3領域には、POLY-Si層13とディープp型ウェル3との間にDMOSゲート絶縁膜7およびONO膜11が形成されている。第4領域には、POLY-Si層13とディープp型ウェル3との間にDMOSゲート絶縁膜12(第2絶縁膜)が形成されている。
【0022】
後述する高耐圧DMOSトランジスタ100の製造工程で説明するように、DMOSゲート絶縁膜7(第1絶縁膜)には、EEPROM200および、EEPROM200の周辺回路を構成する高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート酸化膜を使用し、DMOSゲート絶縁膜12(第2絶縁膜)には、EEPROM200の周辺回路を構成する低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート酸化膜を使用する。そのため、高耐圧DMOSトランジスタ100は、低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート酸化膜を使用することでON抵抗を抑えつつ、高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート酸化膜でゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。さらに、DMOS-n型ドレイン領域9からDMOS-n型ソース領域14へ向かって、段階的に絶縁膜の厚さを薄くすることで、ドレイン電極Dとチャネル領域との間の電界を段階的に緩和し、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。
【0023】
ONO膜11は、POLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)の側面に形成された部分から、POLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)とDMOSゲート絶縁膜7との間に延びた部分を有する形状である。そのため、高耐圧DMOSトランジスタ100は、DMOSゲート絶縁膜7上にONO膜11の一部を残すことで、さらにゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。
【0024】
また、本実施の形態では、DMOSゲート絶縁膜7とDMOSゲート絶縁膜12との境界は、ディープn型ウェル5とディープp型ウェル3との境界よりもDMOS-n型ソース領域14の側に設定されている。これにより、ディープp型ウェル3とPOLY-Si層13との間の一部にDMOSゲート絶縁膜7が入り込んだ構造となり、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。
【0025】
さらに、POLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)の両側面は、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁物からなるサイドウォール15で覆われている。DMOS-n型ソース領域14とPOLY-Si層13との間、すなわち、サイドウォール15の直下の領域には、n型低濃度層16が形成されている。こうして、LDD(Lightly Doped Drain)構造が形成されている。n型低濃度層16は、DMOS-n型ソース領域14よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。n型低濃度層16は、POLY-Si層13に対して自己整合的に形成されており、DMOS-n型ソース領域14は、サイドウォール15に対して自己整合的に形成されている。
【0026】
高耐圧DMOSトランジスタ100は、
図2に示されるように直方体形状に形成されている。高耐圧DMOSトランジスタ100は、ディープp型ウェル3およびディープn型ウェル5が形成されている。ディープp型ウェル3のp型不純物濃度は、たとえば、10×10
12cm
-3以上10×10
16cm
-3以下である。ディープn型ウェル5のn型不純物濃度は、たとえば、10×10
12cm
-3以上10×10
16cm
-3以下である。
【0027】
ディープp型ウェル3に、DMOS-n型ソース領域14およびDMOS-p型コンタクト領域21が形成され、ディープn型ウェル5にDMOS-n型ドレイン領域9が形成されている。DMOS-n型ソース領域14とDMOS-n型ドレイン領域9と間にPOLY-Si層8およびPOLY-Si層13が形成されている。POLY-Si層13は、POLY-Si層8の一部に重なるように形成されている。
【0028】
(半導体装置の製造工程)
図3は、半導体装置の製造工程を説明するための第1の断面図である。
図4は、半導体装置の製造工程を説明するための第1の平面図である。
図4には、
図3における高耐圧DMOSトランジスタ100を形成する領域の平面図が示されている。まず、
図3(a)に示すように、STI構造により、半導体基板1に素子分離部2が形成される。これにより、高耐圧DMOSトランジスタ100、EEPROM200、高耐圧CMOSトランジスタ300、および低耐圧CMOSトランジスタ400の各アクティブ領域がそれぞれ確保される。高耐圧DMOSトランジスタ100を形成する領域に素子分離部2が形成された平面図を
図4(a)に示す。
【0029】
次に、
図3(b)に示すように、ディープp型ウェル3,4およびディープn型ウェル5,6の形成工程が行われる。具体的には、まず、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)が形成され、当該レジスト膜をマスクとして、ディープp型ウェル3を形成すべき高耐圧DMOSトランジスタ100および低耐圧CMOSトランジスタ400の領域にp型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。たとえば、p型不純物としてB
+イオンが用いられる(以下、同じ)。こうして、ディープp型ウェル3が形成される。さらに、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)が形成され、当該レジスト膜をマスクとして、ディープp型ウェル4を形成すべきEEPROM200および高耐圧CMOSトランジスタ300の領域にp型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。ディープp型ウェル4は、ディープp型ウェル3に比べて不純物濃度が比較的低く、拡散が深い。
【0030】
次に、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)が形成され、当該レジスト膜をマスクとして、ディープn型ウェル5を形成すべき高耐圧DMOSトランジスタ100および高耐圧CMOSトランジスタ300の領域にn型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。たとえば、n型不純物としてAs
+イオンまたはP
+イオンが用いられる(以下、同じ)。こうして、ディープn型ウェル5が形成される。さらに、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)が形成され、当該レジスト膜をマスクとして、ディープn型ウェル6を形成すべきEEPROM200および低耐圧CMOSトランジスタ400の領域にn型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。ディープn型ウェル6は、ディープn型ウェル5に比べて不純物濃度が比較的高く、拡散が浅い。高耐圧DMOSトランジスタ100を形成する領域にディープp型ウェル3,4およびディープn型ウェル5,6が形成された平面図を
図4(b)に示す。
【0031】
次に、
図3(c)に示すように、DMOSゲート絶縁膜7の形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上に高耐圧CMOSトランジスタ300用のゲート絶縁膜としても用いることができる比較的厚めのDMOSゲート絶縁膜7(たとえば、500Å程度のSiO
2などの酸化膜)が積層される。
【0032】
次に、
図5は、半導体装置の製造工程を説明するための第2の断面図である。
図6は、半導体装置の製造工程を説明するための第3の断面図である。
図7は、半導体装置の製造工程を説明するための第2の平面図である。まず、
図5(a)に示すように、EEPROM200のTUNNEL酸化膜7aの形成工程が行われる。具体的には、まず、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜(図示せず)が形成され、当該レジスト膜をマスクとしてウェットエッチングにより、EEPROM200のディープn型ウェル6上に膜厚が80-100ÅのTUNNEL酸化膜7aを形成する。TUNNEL酸化膜7aは、EEPROM200の書き込み時に電子が通過する膜である。
【0033】
次に、
図5(b)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)、EEPROM200のゲート電極8a,フローティングゲート8b、および高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート電極8cの形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上にPOLY-Si層を積層し、所定のパターンのレジスト膜80が形成され、当該レジスト膜80をマスクとして、ドライエッチングにより高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)、EEPROM200のゲート電極8a,フローティングゲート8b、および高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート電極8cを形成する。高耐圧DMOSトランジスタ100を形成する領域にPOLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)が形成された平面図を
図7(a)に示す。
【0034】
次に、
図5(c)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のDMOS-n型ドレイン領域9、EEPROM200のn型LDD領域10a、および高耐圧CMOSトランジスタ300のn型LDD領域10bの形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上に、所定のパターンのレジスト膜81が形成され、当該レジスト膜81をマスクとして、n型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。なお、同様の工程で、高耐圧CMOSトランジスタ300のp型LDD領域10cが形成される。
【0035】
次に、
図6(a)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100、EEPROM200および高耐圧CMOSトランジスタ300のONO膜11の形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上にONO膜11を積層し、所定のパターンのレジスト膜82が形成され、当該レジスト膜82をマスクとして、ドライエッチングにより高耐圧DMOSトランジスタ100の一部、および低耐圧CMOSトランジスタ400のONO膜11およびDMOSゲート絶縁膜7を除去する。
【0036】
次に、
図6(b)に示すように、POLY-Si層13aの形成工程が行われる。具体的には、高耐圧DMOSトランジスタ100のDMOSゲート絶縁膜12および低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート絶縁膜(たとえば、80-130Å程度)を形成した後、半導体基板1上に、POLY-Si層13aが形成される。
【0037】
次に、
図6(c)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)、EEPROM200のコントロールゲート13b、および低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート電極13cの形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上に積層したPOLY-Si層13aに、所定のパターンのレジスト膜83が形成され、当該レジスト膜83をマスクとして、ドライエッチングにより高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)、EEPROM200のコントロールゲート13b、および低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート電極13cを形成する。高耐圧DMOSトランジスタ100を形成する領域にPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)が形成された平面図を
図7(b)に示す。
【0038】
次に、
図8は、半導体装置の製造工程を説明するための第4の断面図である。
図9は、半導体装置の製造工程を説明するための第5の断面図である。
図10は、半導体装置の製造工程を説明するための第3の平面図である。まず、
図8(a)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のn型LDD領域(n型低濃度層16)、および低耐圧CMOSトランジスタ400のn型LDD領域16aの形成工程が行われる。具体的には、半導体基板1上に、所定のパターンのレジスト膜84が形成され、当該レジスト膜84をマスクとして、n型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。なお、同様の工程で、低耐圧CMOSトランジスタ400のp型LDD領域16bが形成される。
【0039】
次に、
図8(b)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)などのサイドウォール15の形成工程が行われる。具体的には、CVD法によって、半導体基板1の全面に酸化シリコン(SiO
2)膜や窒化シリコン(SiN)膜等の絶縁膜が500Å~1000Å堆積された後、その絶縁膜がドライエッチングによってエッチバックされる。このエッチバックを、高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)、EEPROM200のゲート電極、高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート電極、および低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート電極の各々が露出するまで行うと、それらの各両側面にサイドウォール15が同時に形成される。
【0040】
次に、
図8(c)に示すように、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜85が形成され、当該レジスト膜85をマスクとして、高耐圧DMOSトランジスタ100のソース領域、高耐圧CMOSトランジスタ300および低耐圧CMOSトランジスタ400のソース領域およびドレイン領域にn型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。これにより、高耐圧DMOSトランジスタ100のソース領域にDMOS-n型ソース領域14が形成される。同様に、半導体基板1上に所定のパターンのレジスト膜が形成され、当該レジスト膜をマスクとして、高耐圧CMOSトランジスタ300および低耐圧CMOSトランジスタ400のソース領域およびドレイン領域にp型不純物イオンが半導体基板1に選択的に注入される。なお、図示していないが、ディープp型ウェル3の内方領域にDMOS-p型コンタクト領域21を形成してもよい。
【0041】
次に、
図9(a)に示すように、高耐圧DMOSトランジスタ100のPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)などにシリサイド膜17を形成する。具体的に、半導体基板1上に酸化膜を300-1000Å程度積んだ後、エッチングにより所定の領域の酸化膜、およびONO膜11を除去した後、シリサイド膜17を形成する。
【0042】
次に、
図9(b)に示すように、半導体基板1の全面を覆う層間膜18が形成され、層間膜18に複数のコンタクトホールがエッチングにより形成され、これらのコンタクトホールにコンタクト導体19が埋め込まれる。そして、層間膜18上に、複数の配線20が形成され、複数のコンタクト導体19とそれぞれ電気的に接続される。以上の工程を経て、
図10に示すの高耐圧DMOSトランジスタ100が得られる。
【0043】
以上説明した、実施の形態の半導体装置は、マイコン、ゲートドライバー、その他メモリ機能が必要なLSI(Large-Scale Integration)に適用することが可能であり、以下のような特徴を有する。
【0044】
半導体装置は、2層のPOLY-Si層8,13を有する高耐圧DMOSトランジスタ100を含む。半導体装置は、高耐圧DMOSトランジスタ100とFlotox型のEEPROM200とを同じ半導体基板1上に形成するので、使用フォトマスクを共用して、少ないフォトマスクの枚数で製造する。高耐圧DMOSトランジスタ100は、ゲートとドレインとの間に挿入される局所的に膜厚の厚いLOCOS酸化膜の代わりに、EEPROM200のフローティングゲートに使用されるPOLY-Si層8を挟むことで、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。また、高耐圧DMOSトランジスタ100は、LOCOS酸化膜を形成しないので、LOCOS酸化膜を形成するために必要なフォトマスク、工程などを削減でき、低コスト化が可能である。
【0045】
さらに、高耐圧DMOSトランジスタ100は、POLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)とPOLY-Si層13(DMOS第2ゲート電極)との間にONO膜11を形成することで、より高耐圧構造とすることができる。EEPROM200の書き込み用回路に使用される高耐圧CMOSトランジスタ300のゲート酸化膜を、高耐圧DMOSトランジスタ100のDMOSゲート絶縁膜7(第1絶縁膜)とすることで、電界を緩和しつつ、ON抵抗を低減することができる。また、高耐圧DMOSトランジスタ100は、DMOSゲート絶縁膜7(第1絶縁膜)上にONO膜11の一部を残すことで、さらに高耐圧構造とすることができる。
【0046】
EEPROM200に用いられるTUNNEL酸化膜7a、もしくはロジック回路に使用される低耐圧CMOSトランジスタ400のゲート酸化膜を、高耐圧DMOSトランジスタ100のチャネル領域に用いることで、ON抵抗を下げることができる。POLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)にコンタクト導体19および配線20を繋ぐことで、他の端子とは独立して電圧を印加することができる。POLY-Si層8(DMOS第1ゲート電極)に負バイアスを印加することで、ドレイン電極Dに印加された高い正バイアスを打ち消し、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を高くすることができる。その際に印加する負バイアスを変化させることで、ゲート電極Gとドレイン電極Dとの間の耐圧を調整したり、POLY-Si層8の直下に形成されるチャネル領域の深さを変えてON抵抗を調整したりして、高耐圧DMOSトランジスタ100の最適な耐圧とON抵抗を設定することができる。
【0047】
(まとめ)
(1)本開示は、DMOSトランジスタを第1導電型の半導体基板上に備える半導体装置である。半導体装置は、半導体基板のDMOSトランジスタ用の領域に形成されたDMOS第1導電型ウェルと、DMOS第1導電型ウェルと隣接して形成されたDMOS第2導電型ウェルと、DMOS第1導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ソース領域と、DMOS第2導電型ウェルの内方領域に形成されたDMOS第2導電型ドレイン領域と、DMOS第2導電型ソース領域とDMOS第2導電型ドレイン領域との間のDMOSチャネル領域を覆うように形成されたDMOSゲート絶縁膜と、を備える。半導体装置は、DMOSゲート絶縁膜を介してDMOSチャネル領域にあるDMOS第2導電型ウェルに対向するDMOS第1ゲート電極と、DMOS第1ゲート電極を覆うように形成されたDMOS層間絶縁膜と、DMOS層間絶縁膜およびDMOSゲート絶縁膜に跨って形成され、DMOS第1ゲート電極およびDMOSゲート絶縁膜を介してDMOSチャネル領域に対向するDMOS第2ゲート電極と、を備える。
【0048】
本開示に係る半導体装置によれば、DMOS第1ゲート電極およびDMOS第2ゲート電極を備えるので、FLOTOX型EEPROMと同じの半導体基板上に作成することが容易で、耐圧設定、ON抵抗設定を調整することができる。
【0049】
(2)(1)に記載の半導体装置であって、DMOSゲート絶縁膜は、DMOS第1ゲート電極とDMOS第2導電型ウェルとの間に形成された第1絶縁膜と、DMOS第2ゲート電極とDMOS第1導電型ウェルとの間に形成され、第1絶縁膜より膜厚が薄い第2絶縁膜とを含む。これにより、半導体装置は、絶縁膜の厚さを薄くすることで、ドレイン電極とチャネル領域との間の電界を段階的に緩和し、ゲート電極とドレイン電極との間の耐圧を高くすることができる。
【0050】
(3)(1)または(2)に記載の半導体装置であって、DMOS第1ゲート電極およびDMOS第2ゲート電極は、ポリシリコン膜で形成されている。これにより、DMOSトランジスタとEEPROMとの製造工程を共用できる。
【0051】
(4)(1)~(3)のいずれか1項に記載の半導体装置であって、DMOS層間絶縁膜は、ONO膜で形成されている。これにより、DMOSトランジスタを高耐圧構造にすることができる。
【0052】
(5)(4)に記載の半導体装置であって、ONO膜は、DMOS第1ゲート電極の側面に形成された部分から、DMOS第2ゲート電極とDMOSゲート絶縁膜との間に延びた部分を有する形状である。これにより、DMOSトランジスタをより高耐圧構造にすることができる。
【0053】
(6)(5)に記載の半導体装置であって、DMOSチャネル領域において、DMOS第2ゲート電極とDMOS第1導電型ウェルとの間に第2絶縁膜が形成された領域、DMOS第2ゲート電極とDMOS第1導電型ウェルとの間に第1絶縁膜およびONO膜が形成された領域、DMOS第2ゲート電極とDMOS第2導電型ウェルとの間に第1絶縁膜およびONO膜が形成された領域、DMOS第2ゲート電極とDMOS第2導電型ウェルとの間に第1絶縁膜、DMOS第1ゲート電極およびONO膜が形成された領域、がDMOS第2導電型ソース領域からDMOS第2導電型ドレイン領域までの間に順に形成されている。これにより、DMOSトランジスタを高耐圧構造にすることができる。
【0054】
(7)(1)~(6)のいずれか1項に記載の半導体装置であって、DMOS第1ゲート電極は、電気的に接続されているコンタクト導体と、コンタクト導体と電気的に接続されている配線と、を有する。これにより、DMOSトランジスタの最適な耐圧とON抵抗を設定することができる。
【0055】
(8)本開示は、DMOSトランジスタと、EEPROMとを共通の第1導電型の半導体基板上に備える半導体装置の製造方法である。半導体装置の製造方法は、半導体基板のDMOSトランジスタ用の領域に第1導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第1導電型ウェルを形成する工程と、半導体基板のDMOSトランジスタ用の領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ウェルを形成する工程と、を含む。半導体装置の製造方法は、半導体基板のEEPROM用の領域に第1導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第1導電型ウェルと比べて不純物濃度が低く、拡散が深いEEPROM第1導電型ウェルを形成する工程と、EEPROM第1導電型ウェルの一部の領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ウェルと比べて不純物濃度が高いEEPROM第2導電型ウェルを形成する工程と、を含む。半導体装置の製造方法は、DMOS第1導電型ウェルの一部、DMOS第2導電型ウェル、およびEEPROM用の領域に第1絶縁膜を形成する工程と、EEPROM第2導電型ウェルの領域を覆う第1絶縁膜の一部の膜厚を薄くする工程と、を含む。半導体装置の製造方法は、DMOS第1導電型ウェルの領域にDMOS第1ゲート電極を、EEPROM第1導電型ウェルの領域にEEPROM第1ゲート電極を形成し、EEPROM第1導電型ウェルおよびEEPROM第2導電型ウェルを跨ぐ領域にEEPROM第2ゲート電極をそれぞれ形成する工程と、DMOS第2導電型ウェルの内方領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ドレイン領域を形成し、EEPROM第1導電型ウェルおよびEEPROM第2導電型ウェルに第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、EEPROM第2導電型拡散領域を形成する工程と、を含む。半導体装置の製造方法は、DMOSチャネル領域およびEEPROM用の領域にONO膜を形成する工程と、第1絶縁膜を形成していないDMOS第1導電型ウェルの領域に、第1絶縁膜より膜厚が薄い第2絶縁膜を形成する工程と、を含む。半導体装置の製造方法は、DMOS第1導電型ウェルおよびDMOS第1ゲート電極を跨ぐ領域にDMOS第2ゲート電極を、EEPROM第2ゲート電極を覆ってEEPROM第3ゲート電極をそれぞれ形成する工程と、DMOS第1導電型ウェルの内方領域に第2導電型の不純物を選択的に導入することによって、DMOS第2導電型ソース領域を形成する工程と、を含む。
【0056】
本開示に係る半導体装置によれば、DMOS第1ゲート電極およびDMOS第2ゲート電極を備えるので、FLOTOX型EEPROMと同じの半導体基板上に作成することが容易で、耐圧設定、ON抵抗設定を調整することができる。
【0057】
(9)(8)に記載の半導体装置の製造方法であって、DMOS第1ゲート電極は、DMOSトランジスタのLOCOS酸化層に代えて形成されている。これにより、DMOSトランジスタのLOCOS酸化層を形成するために必要なフォトマスク、工程などを削減でき、低コスト化が可能である。
【0058】
(10)(8)または(9)に記載の半導体装置の製造方法であって、半導体基板が、高耐圧CMOSトランジスタと、低耐圧CMOSトランジスタとをさらに備え、第1絶縁膜は、高耐圧CMOSトランジスタの高耐圧ゲート絶縁膜を形成する工程で形成され、第2絶縁膜は、低耐圧CMOSトランジスタの低耐圧ゲート絶縁膜を形成する工程で形成される。これにより、DMOSトランジスタの工程に高耐圧CMOSトランジスタおよび低耐圧CMOSトランジスタの工程を共用することができ低コスト化が可能である。
【0059】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 半導体基板、2 素子分離部、3,4 ディープp型ウェル、5,6 ディープn型ウェル、7,12 DMOSゲート絶縁膜、7a TUNNEL酸化膜、8,13 POLY-Si層、9 DMOS-n型ドレイン領域、11 ONO膜、14 DMOS-n型ソース領域、15 サイドウォール、16 n型低濃度層、17 シリサイド膜、18 層間膜、19 コンタクト導体、20 配線、21 DMOS-p型コンタクト領域、80~85 レジスト膜、100 高耐圧DMOSトランジスタ、200 EEPROM、300 高耐圧CMOSトランジスタ、400 低耐圧CMOSトランジスタ。