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特開2023-146475DC/DCコンバータのコントローラ回路、電源管理回路および電子機器
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  • 特開-DC/DCコンバータのコントローラ回路、電源管理回路および電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146475
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータのコントローラ回路、電源管理回路および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231004BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H02M3/155 H
G05F1/56 310N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053669
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忠之
【テーマコード(参考)】
5H430
5H730
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB05
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF02
5H430FF13
5H430HH03
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730BB81
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE58
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD51
5H730FG05
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】小型化および低消費電力化が可能なDC/DCコンバータのコントローラ回路を提供する。
【解決手段】コントローラ回路100は、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2を含むDC/DCコンバータを制御する。リニアレギュレータ110は、外付けの出力キャパシタが接続されない電源ライン102に電源電圧VDDを出力する。リニアレギュレータ110は、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能である。電流監視回路130は、イネーブル状態においてDC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視する。DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2が同時にオフであるハイインピーダンス区間中、電流監視回路130がディセーブル状態となり、リニアレギュレータ110が第2モードで動作する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータのコントローラ回路であって、
外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、
前記電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、
前記電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、前記イネーブル状態において前記DC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、
前記電源ラインと接続され、前記電流監視回路の出力に応じて、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、
を備え、
前記DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、前記ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、前記電流監視回路がディセーブル状態となり、前記リニアレギュレータが前記第2モードで動作する、コントローラ回路。
【請求項2】
前記電流監視回路は、ゼロ電流検出回路、ピーク電流検出回路、過電流検出回路の少なくともひとつを含む、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項3】
前記リニアレギュレータは、
差動アンプと、
前記差動アンプの出力電流を増幅するカレントミラー回路と、
を含む、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項4】
前記カレントミラー回路は、ミラー比が可変に構成され、
前記第2モードにおいて、前記ミラー比が小さくなる、請求項3に記載のコントローラ回路。
【請求項5】
前記差動アンプの基準電流が可変であり、
前記第2モードにおいて前記基準電流が減少する、請求項3に記載のコントローラ回路。
【請求項6】
複数の電源回路を制御する電源管理回路であって、
前記複数の電源回路のひとつは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータであり、
前記電源管理回路は、
外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、
前記電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、
前記電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、前記イネーブル状態において前記DC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、
前記電源ラインと接続され、前記電流監視回路の出力に応じて、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、
を備え、
前記DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、前記ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、前記電流監視回路がディセーブル状態となり、前記リニアレギュレータが前記第2モードで動作する、電源管理回路。
【請求項7】
前記電流監視回路は、ゼロ電流検出回路、ピーク電流検出回路、過電流検出回路の少なくともひとつを含む、請求項6に記載の電源管理回路。
【請求項8】
前記リニアレギュレータは、
差動アンプと、
前記差動アンプの出力電流を増幅するカレントミラー回路と、
を含む、請求項7に記載の電源管理回路。
【請求項9】
前記カレントミラー回路は、ミラー比が可変に構成され、
前記第2モードにおいて、前記ミラー比が小さくなる、請求項8に記載の電源管理回路。
【請求項10】
前記差動アンプの基準電流が可変であり、
前記第2モードにおいて前記基準電流が減少する、請求項8に記載の電源管理回路。
【請求項11】
ひとつの半導体基板に集積化される、請求項6から10のいずれかに記載の電源管理回路。
【請求項12】
請求項6から11のいずれかに記載の電源管理回路を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DC/DCコンバータのコントローラ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)には、内部電源回路を備えるものがある。内部電源回路は、リニアレギュレータが使用される。リニアレギュレータは、LDO(Low Drop Output)回路とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-107930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なリニアレギュレータの出力ラインには、出力電圧の安定性を高めるために、大容量の平滑化キャパシタが接続される。大容量の平滑化キャパシタを集積化することは難しいため、平滑化キャパシタは、外付けのチップ部品で構成される。そのため、ICには、平滑化キャパシタを接続するためのピン(端子)が必要となる。ICの用途やパッケージの種類にはよっては、ピン数に余裕がない場合があり、ピン数の削減が求められる。
【0005】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、小型化および低消費電力化が可能なDC/DCコンバータのコントローラ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータのコントローラ回路に関する。コントローラ回路は、外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、イネーブル状態においてDC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、電源ラインと接続され、電流監視回路の出力に応じて、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、を備える。DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、電流監視回路がディセーブル状態となり、リニアレギュレータが第2モードで動作する。
【0007】
本開示の別の態様は、複数の電源回路を制御する電源管理回路に関する。複数の電源回路のひとつは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータである。電源管理回路は、外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、イネーブル状態においてDC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、電源ラインと接続され、電流監視回路の出力に応じて、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、を備える。DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、電流監視回路がディセーブル状態となり、リニアレギュレータが第2モードで動作する。
【0008】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示のある態様によれば、DC/DCコンバータのコントローラ回路を小型化し、低消費電力化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るコントローラ回路を備える電源回路のブロック図である。
図2図2は、図1のコントローラ回路の動作波形図である。
図3図3は、リニアレギュレータの構成例を示す回路図である。
図4図4は、実施形態に係る電源管理回路を備える電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係るコントローラ回路は、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータを制御する。コントローラ回路は、外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、イネーブル状態においてDC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、電源ラインと接続され、電流監視回路の出力に応じて、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、を備える。DC/DCコンバータがパルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)モードで動作中、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、電流監視回路がディセーブル状態となり、リニアレギュレータが第2モードで動作する。
【0013】
一実施形態に係る電源管理回路は、複数の電源回路を制御する。複数の電源回路のひとつは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むDC/DCコンバータである。電源管理回路は、外付けの出力キャパシタが接続されない電源ラインと、電源ラインに電源電圧を出力するとともに、能力が高い第1モードと消費電力が低い第2モードとが切りかえ可能なリニアレギュレータと、電源ラインと接続され、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能であり、イネーブル状態においてDC/DCコンバータの所定経路に流れる電流を監視可能な電流監視回路と、電源ラインと接続され、電流監視回路の出力に応じて、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するフィードバックコントローラと、を備える。DC/DCコンバータがパルス周波数変調モードで動作中、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタが同時にオフであるハイインピーダンス区間中、電流監視回路がディセーブル状態となり、リニアレギュレータが第2モードで動作する。
【0014】
DC/DCコンバータは、PFMモードにおいて、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの一方がオン、他方がオフである第1状態、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの一方がオフ、他方がオンである第2状態、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタが同時にオフである第3状態(ハイインピーダンス区間)を繰り返す。第1状態と第2状態のスイッチングにより、DC/DCコンバータの出力電圧が上昇し、第3状態では、負荷電流によって、DC/DCコンバータの出力キャパシタが放電され、出力電圧が緩やかに低下していく。ハイインピーダンス区間では、DC/DCコンバータの内部には電流が流れないため、電流監視回路による電流監視が不要となるため、電流監視回路の動作を停止することで、消費電力を削減できる。電流監視回路が動作しない期間は、リニアレギュレータを第2モードで動作させて、消費電力をさらに削減することができる。なお、第1モードと第2モードの、「能力」および「消費電力」は相対的なものであり、第1モードは第2モードに比べて能力が高く、消費電力が大きく、第2モードは第1モードに比べて低消費電力であり、能力が低い関係が成り立っている。
【0015】
一実施形態において、電流監視回路は、ゼロ電流検出回路、ピーク電流検出回路、過電流検出回路の少なくともひとつを含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、リニアレギュレータは、差動アンプと、差動アンプの出力電流を増幅するカレントミラー回路と、を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、カレントミラー回路は、ミラー比(電流増幅率)が可変に構成され、第2モードにおいて、ミラー比が小さくなってもよい。
【0018】
一実施形態において、差動アンプの基準電流が可変であり、第2モードにおいて基準電流が減少してもよい。
【0019】
一実施形態において、電源管理回路は、ひとつの半導体基板に集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0020】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るコントローラ回路100を備える電源回路400のブロック図である。電源回路400は、主回路410およびコントローラ回路100を備える。主回路410は、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、昇降圧コンバータなどのDC/DCコンバータであり、ハイサイドトランジスタM1とローサイドトランジスタM2を含む同期整流型である。本実施形態では、主回路410は、同期整流型の降圧(Buck)コンバータのトポロジーを有しており、ハイサイドトランジスタ(スイッチングトランジスタ)M1、ローサイドトランジスタ(同期整流トランジスタ)M2、インダクタL1、出力キャパシタC1を含む。
【0024】
コントローラ回路100は、電源ライン102、リニアレギュレータ110、フィードバックコントローラ120、電流監視回路130、ドライバ150を備え、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。本実施形態では、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2は、コントローラ回路100に集積化されているが、それらは外付けのディスクリート部品であってもよい。またハイサイドトランジスタM1は、NMOSトランジスタであってもよく、その場合、主回路410にはブートストラップ回路が追加される。
【0025】
コントローラ回路100の電源ピンVCCには、外部電源電圧VCCが供給される。またコントローラ回路100の入力ピンVINには、入力電圧VINが供給される。入力電圧VINが、コントローラ回路100の電源電圧VCCとして利用される場合、電源ピンVCCと入力ピンVINは同一のピンであってもよい。
【0026】
リニアレギュレータ110は、外部電源電圧VCCを受け、電源ライン102に内部電源電圧VDDを出力する。電源ライン102には、外付けの出力キャパシタ(平滑用キャパシタ)が接続されない。出力に平滑化用の外付けキャパシタが接続されないリニアレギュレータを、キャパレスLDOと称する。なお、リニアレギュレータ110の出力には、容量が小さく、コントローラ回路100に集積化される平滑化コンデンサが接続されてもよい。電源ライン102は、フィードバックコントローラ120および電流監視回路130と接続されており、フィードバックコントローラ120および電流監視回路130には、内部電源電圧VDDが供給される。なお、フィードバックコントローラ120および電流監視回路130には、内部電源電圧VDDに加えて、入力電圧VINが供給されてもよい。
【0027】
電源回路400は定電圧出力であり、フィードバックコントローラ120は、出力電圧VOUTに応じたフィードバック信号VFBが目標電圧VREFに近づくように、パルス変調信号SPMを生成する。パルス変調信号SPMは、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2それぞれのオン、オフを規定する信号を含む。ドライバ150は、パルス変調信号SPMにもとづいて、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2を駆動する。
【0028】
フィードバックコントローラ120の制御方式は特に限定されず、電圧モード、ピーク電流モード、平均電流モードの変調器を含んでもよい。あるいはフィードバックコントローラ120は、ヒステリシス制御(Bang-Bang制御)、ボトム検出オン時間固定制御、ピーク検出オフ時間固定制御などの、リップル制御の変調器を含んでもよい。
【0029】
電流監視回路130は、電源ライン102と接続されており、内部電源電圧VDDが供給される。電流監視回路130は、DC/DCコンバータの主回路410の所定経路に流れる電流を監視可能に構成されている。電流監視回路130は、ゼロ電流検出回路132、ピーク電流検出回路134、過電流検出回路136の少なくともひとつを含む。
【0030】
たとえばゼロ電流検出回路132は、ローサイドトランジスタM2がオンである第2状態φ2において、主回路410の所定経路(たとえばローサイドトランジスタM2)に流れる電流IM2がゼロとなったこと、つまり逆流電流を検出する。ゼロ電流検出回路132は、電流IM2に応じた検出信号を、ゼロ電流IZEROに対応するしきい値と比較するコンパレータを含む。
【0031】
ピーク電流検出回路134は、ハイサイドトランジスタM1がオンである第1状態φ1において、主回路410の所定経路(たとえばハイサイドトランジスタM1)に流れる電流IM1が、ピーク電流IPEAKを超えたことを検出する。ピーク電流検出回路134は、電流IM1に応じた検出信号を、ピーク電流IPEAKに対応するしきい値と比較するコンパレータを含む。ピーク電流検出回路134の出力は、IM1>IPEAKとなるとアサート(たとえばハイレベル)される。
【0032】
ピーク電流検出回路134の出力の利用方法は特に限定されない。たとえばフィードバックコントローラ120は、フィードバック信号VFBを基準電圧VREFと比較するヒステリシスコンパレータを含む。フィードバックコントローラ120は、ヒステリシスコンパレータの出力に応じて、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2を制御する。そしてハイサイドトランジスタM1がオンの期間において、ピーク電流検出回路134の出力がアサートされると、ハイサイドトランジスタM1をターンオフする。
【0033】
過電流検出回路136は、ハイサイドトランジスタM1がオンである第1状態φ1、ローサイドトランジスタM2がオンである第2状態φ2のいずれかあるいは両方において、主回路410の所定経路(ハイサイドトランジスタM1、ローサイドトランジスタM2もしくはインダクタL1)に流れる監視対象の電流IMONが、過電流しきい値IOCPを越えたことを検出する。過電流検出回路136も、監視対象の電流IMONに応じた検出信号を、過電流しきい値IOCPに対応するしきい値と比較するコンパレータを含む。
【0034】
フィードバックコントローラ120は、重負荷状態においてPWM(パルス幅変調)モードで動作し、軽負荷状態において、PFM(パルス周波数変調モード)で動作する。PFMモードでは、ハイサイドトランジスタM1がオン、ローサイドトランジスタM2がオフである第1状態φ1、ハイサイドトランジスタM1がオフ、ローサイドトランジスタM2がオンである第2状態φ2、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2が同時にオフである第3状態φ3を順に繰り返す。第3状態φ3をハイインピーダンス区間Hizとも称する。
【0035】
電流監視回路130は、イネーブル端子ENを有し、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENに応じて、イネーブル状態とディセーブル状態が切り換え可能に構成される。電流監視回路130は、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがアサートされるとき、イネーブル状態となって、電流検出を行う。電流監視回路130は、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがネゲート(デアサート)されるとき、ディセーブル状態となって、動作を停止する。たとえばディセーブル状態では、電流監視回路130を構成するコンパレータやオペアンプへの基準電流やバイアス電流の供給が遮断される。
【0036】
フィードバックコントローラ120は、PFMモードであるとき、ハイサイドトランジスタM1およびローサイドトランジスタM2が同時にオフであるハイインピーダンス区間Hiz中、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENをネゲートし、電流監視回路130をディセーブル状態とする。
【0037】
本実施形態において、リニアレギュレータ110は、モード制御信号LDO_MODEに応じて、第1モードと第2モードが切りかえ可能に構成される。モード制御信号LDO_MODEが第1レベル(たとえばハイ)のとき、リニアレギュレータ110は第1モードで動作し、モード制御信号LDO_MODEが第2レベル(たとえばロー)のとき、リニアレギュレータ110は第2モードで動作する。
【0038】
リニアレギュレータ110は、第1モードにおいて、消費電力が大きいが、能力が高い。リニアレギュレータ110の能力が高いとは、周波数応答性が高く、および/または、電流供給能力が大きい(出力インピーダンスが低い)ことをいう。第1モードにおけるリニアレギュレータ110の能力は、電流監視回路130に最大の動作電流が流れる状況において、内部電源電圧VDDを目標電圧に維持できる程度に高く設計される。
【0039】
反対にリニアレギュレータ110は、第2モードにおいて、能力は低いが、消費電力が小さい。第2モードにおけるリニアレギュレータ110の能力は、電流監視回路130がディセーブル状態となる状況において、言い換えると、DC/DCコンバータがPFMモードのハイインピーダンス区間Hiz中に、内部電源電圧VDDを目標電圧に維持できる範囲でなるべく低く設計される。リニアレギュレータ110の能力と消費電力はトレードオフの関係が成り立つため、第2モードでは、能力の低下と引き換えに、消費電力が削減される。
【0040】
リニアレギュレータ110のモード制御端子MODEには、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENと連動したモード制御信号LDO_MODEが供給される。
【0041】
以上がコントローラ回路100の構成である。続いてその動作を説明する。図2は、図1のコントローラ回路100の動作波形図である。
【0042】
時刻tより前は、PWMモードの動作を、時刻tより後は、PFMモードの動作を示す。
【0043】
PWMモードの間、ハイサイドトランジスタM1とローサイドトランジスタM2が交互にオン状態となり、フィードバック信号VFBが目標電圧VREFに近づくように、ハイサイドトランジスタM1がオンである時間、すなわちデューティサイクルがフィードバック制御される。
【0044】
PWMモードの間は、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENはアサートされ、電流監視回路130によって電流が常時監視される。またモード制御信号MODEは第1レベル(ハイ)であり、リニアレギュレータ110は能力が高い第1モードで動作する。
【0045】
PFMモードでは、第1状態φ1においてハイサイドトランジスタM1がオンとなる。ハイサイドトランジスタM1がオンとなると、インダクタL1に流れるコイル電流Iが増加する。続いて、ローサイドトランジスタM2がオンとなると、コイル電流Iが減少する。そしてコイル電流Iがゼロとなると、第3状態φ3(ハイインピーダンス区間Hiz)となる。ハイインピーダンス区間Hizにおいて、フィードバック信号VFBが基準電圧VREFにもとづく電圧レベルまで低下すると、第1状態φ1に戻る。
【0046】
PFMモードの間は、ハイインピーダンス区間Hizの間、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがネゲートされ、電流監視回路130による電流監視が停止する。またモード制御信号MODEは第2レベル(ロー)となり、リニアレギュレータ110は能力が低く、消費電力が小さい第2モードで動作する。
【0047】
なお、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがネゲートされると、リニアレギュレータ110の負荷電流が減少する。したがって、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがネゲートされた直後に、直ちにリニアレギュレータ110を第2モードに切り換えると、リニアレギュレータ110の出力電圧VDDがオーバーシュートする可能性がある。そこで、電流比較イネーブル信号ICOMP_ENがネゲートされた直後は、リニアレギュレータ110を第1モードで動作させ、出力電圧VDDのオーバーシュートのおそれが無くなった後に、モード制御信号LDO_MODEを第2レベルに遷移させて、リニアレギュレータ110を、第2モードに移行させるとよい。これにより、リニアレギュレータ110の動作電流ILDOは、時刻t~tに比べて減少し、消費電力が削減される。
【0048】
以上がコントローラ回路100の動作である。このコントローラ回路100によれば、リニアレギュレータ110を、キャパレスLDOで構成することにより、電源ライン102に外付けのキャパシタを接続する必要がなくなり、またキャパシタを接続するためのピン(パッド、端子)が不要となるため、コストを下げることができる。
【0049】
またリニアレギュレータ110を、2つの動作モードで切り換え可能に構成し、電流監視回路130の動作状態と連動して、リニアレギュレータ110の動作モードを制御することとした。PFMモードのハイインピーダンス区間Hiz中は、電流監視回路130によって監視すべき電流がいずれも流れないため、電流監視回路130の動作電流を削減でき、消費電力を低減できる。電流監視回路130の動作電流が小さいハイインピーダンス区間Hizの間は、リニアレギュレータ110の能力も低くてよいため、リニアレギュレータ110を第2モードとすることで、リニアレギュレータ110の消費電力を下げることができ、コントローラ回路100全体の消費電力も下げることができる。
【0050】
図3は、リニアレギュレータ110の構成例を示す回路図である。リニアレギュレータ110は、差動アンプ112、カレントミラー回路114、出力キャパシタ116、分圧抵抗R21,R22を含む。差動アンプ112は、電流出力型のトランスコンダクタンスアンプである。カレントミラー回路114は、差動アンプ112の出力電流を増幅する。
【0051】
カレントミラー回路114の出力ノードには、出力キャパシタ116が接続される。出力キャパシタ116は、チップ部品ではなく、半導体基板上に集積化された容量である。
【0052】
リニアレギュレータ110の出力電圧VDDは、VREF×(R21+R22)/R22である目標レベルに安定化される。
【0053】
リニアレギュレータ110のモード切替の例を説明する。一実施例において、カレントミラー回路114を、ミラー比(電流増幅率を)が可変となるように構成し、第2モードにおいてミラー比を小さくしてもよい。
【0054】
一実施例において、差動アンプ112に基準電流IBIASを供給する電流源113を可変電流源で構成し、第2モードにおいて、基準電流IBIASを小さくしてもよい。
【0055】
なおリニアレギュレータ110の構成は、図3のそれに限定されない。
【0056】
続いて、コントローラ回路100の用途を説明する。
【0057】
図4は、実施形態に係る電源管理回路(PMIC:Power Management IC)200を備える電子機器300のブロック図である。電子機器300は、民生機器であってもよいし、車載機器であってもよいし、産業機器であってもよい。
【0058】
PMIC200は、複数n個(n≧2)の負荷302_1~302_nを有する電子機器300に搭載され、複数の負荷302_1~302_nに適切な電源電圧VOUT1~VOUTnを供給する。負荷302の種類や個数は特に限定されない。たとえば複数の負荷302_1~302_nは、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、オーディオ回路、ディスプレイドライバなどが例示される。1個の負荷302に対応する構成や機能の単位を、チャンネルCHと表記する。nをチャンネル数と称する。
【0059】
電子機器300は、マイクロコントローラ310を備える。負荷302のいくつかは、マイクロコントローラ310の内部に設けられる複数のブロック(CPUブロック、メモリブロック)であってもよい。あるいは複数の負荷302_1~302_nは、別々のデバイスであってもよい。
【0060】
電子機器300を正常に動作させるためには、複数の負荷302を所定の順序で起動する必要があり、したがってそれらの部品に対する電源電圧のオン、オフのシーケンスは、数μsのオーダーで正しく制御する必要がある。たとえばRAMに対する電源供給は、CPUがRAMにアクセスする前に完了していなければならない。
【0061】
PMIC200は、主として、制御ロジック210、複数の電源回路220_1~220_n、インタフェース回路230、複数のキャパレスLDO240,242,244、オシレータ250を備え、ひとつの半導体基板に一体集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。
【0062】
複数の電源回路220_1~220_nは、複数の負荷302_1~302_nに対応する。複数の電源回路220_1~220_nは、個別にオン、オフが切りかえ可能に構成される。電源回路220は、昇圧型、降圧型、昇降圧型のDC/DCコンバータであってもよいし、LDO(Low Drop Output)などのリニアレギュレータであってもよいし、あるいはチャージポンプ回路などであってもよい。当業者であれば電源回路220を構成する部品の一部、たとえばインダクタやトランス、平滑キャパシタ、フィードバック用の抵抗、スイッチング素子などが、チップ部品やディスクリート部品で構成され、PMIC200のIC外部に外付けされることが理解される。
【0063】
制御ロジック210は、PMIC200を統合的に制御する。制御ロジック210の主たる機能のひとつはシーケンサである。制御ロジック210は、電子機器300の動作モードの変更に関連するイベントを検出すると、電源回路220_1~220_nの状態を変化させる。ここでの動作モードは、通常動作、休止、スタンバイ、シャットダウンなどが例示される。どのような動作モードをサポートするかは、電子機器300の種類などに応じており、本開示において限定されない。
【0064】
たとえば制御ロジック210は、起動イベントを検出すると、複数の電源回路220_1~220_nを、所定の順序および所定の時間間隔で起動する。
【0065】
また制御ロジック210は、シャットダウンイベントを検出すると、複数の電源回路220_1~220_nを、所定の順序および所定の時間間隔で停止する。
【0066】
また制御ロジック210は、スタンバイイベントを検出すると、複数の電源回路220_1~220_nのうちのいくつかを停止状態に遷移させる。反対に制御ロジック210は、スタンバイ復帰イベントを検出すると、複数の電源回路220_1~220_nのうちのいくつかを停止状態から動作状態に遷移させる。
【0067】
オシレータ250は、クロック信号CLKを生成する。制御ロジック210は、このクロック信号CLKと同期して、信号処理を実行する。またクロック信号CLKは、複数の電源回路220_1~220_nのうち、昇圧コンバータ、降圧コンバータや昇降圧コンバータなどのスイッチング電源(DC/DCコンバータ)に供給される。図4の例では、電源回路220_nがDC/DCコンバータである。DC/DCコンバータは、重負荷状態において、クロック信号CLKを分周して周期信号を生成し、この周期信号にもとづいて、PWM(パルス幅変調)モードで動作する。またDC/DCコンバータは、軽負荷状態において、PFM(パルス周波数変調)モードで動作する。
【0068】
キャパレスLDO240は、電源ライン202を介して、制御ロジック210およびインタフェース回路230に、内部電源電圧VDDを供給する。電源ライン202には、外付けのキャパシタは接続されない。キャパレスLDO242_1~242_nはそれぞれ、対応する電源回路220に内部電源電圧VDDを供給する。キャパレスLDO244は、オシレータ250に内部電源電圧VDDを供給する。キャパレスLDO242、244の出力にも、外付けのキャパシタは接続されない。
【0069】
図4の電源回路220_nは、図1のフィードバックコントローラ120、電流監視回路130、ドライバ150、ハイサイドトランジスタM1、ローサイドトランジスタM2に対応する。また図4のキャパレスLDO242_nは、図1のリニアレギュレータ110に対応する。
【0070】
以上がPMIC200の構成である。このPMIC200によれば、キャパレスLDOを利用することにより、平滑キャパシタを接続するためのピンを削減できる。またDC/DCコンバータである電源回路220_nが、PFMモードで動作する際に、ハイインピーダンス区間中、電源回路220_nの内部の電流監視回路130を停止するとともに、キャパレスLDO242_nを第2モードに切り換えることで、PMIC200の消費電力を削減できる。
【0071】
(変形例)
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0072】
(変形例1)
実施形態では、電流監視回路130が、ゼロ電流検出回路132、ピーク電流検出回路134、過電流検出回路136を含む場合を説明したがその限りでない。フィードバックコントローラ120が、電圧モードの変調器の場合、ピーク電流検出回路134を省略することができる。
【0073】
(変形例2)
実施形態では、降圧コンバータを例としたが、本開示の適用はそれに限定されず、昇圧コンバータや昇降圧コンバータにも本開示は適用可能である。
【0074】
(変形例3)
本開示の用途はPMICには限定されず、1チャンネルの電源回路のコントローラ回路にも適用できる。あるいはDC/DCコンバータを内蔵するFPGA(Field Programable Gate Array)や、さまざまなASICの内蔵電源のコントローラ回路にも適用可能である。
【0075】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
100 コントローラ回路
102 電源ライン
110 リニアレギュレータ
112 差動アンプ
114 カレントミラー回路
116 出力段
120 フィードバックコントローラ
130 電流監視回路
132 ゼロ電流検出回路
134 ピーク電流検出回路
136 過電流検出回路
150 ドライバ
200 PMIC
210 制御ロジック
220 電源回路
230 インタフェース回路
240 キャパレスLDO
242 キャパレスLDO
244 キャパレスLDO
250 オシレータ
300 電子機器
400 電源回路
410 主回路
M1 ハイサイドトランジスタ
M2 ローサイドトランジスタ
L1 インダクタ
C1 出力キャパシタ
図1
図2
図3
図4