(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146481
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】仕込み作業支援システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20231004BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20231004BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053678
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中田 洋平
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA29
3K273QA37
3K273QA39
3K273RA04
3K273SA17
3K273SA21
3K273SA34
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA80
3K273UA02
3K273UA05
3K273UA12
3K273UA13
3K273UA14
3K273UA18
3K273UA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】照明器具の仕込み作業の効率を向上できる仕込み作業支援システムを提供する。
【解決手段】仕込み作業支援システム1は、照明器具14と、照明器具14が接続可能な照明バトン12と、照明バトン12の第1位置座標に関連付けられた配置枠、及び照明器具14の器具情報が関連付けられた器具アイコンを表示可能な表示部を含む支援装置10と、を備える。支援装置10は、表示部の表示画面上において、配置枠に器具アイコンが重ね合わされることにより、配置枠の第2位置情報と、第2位置情報に関連付けられた照明器具14の第3位置情報及び器具情報と、を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具と;
前記照明器具が接続可能な照明バトンと;
前記照明バトン、前記照明バトンの第1位置座標に関連付けられた配置枠、及び前記照明器具の器具情報が関連付けられた器具アイコンを表示可能な表示部を含む支援装置と;
を備え、
前記支援装置は、前記表示部の表示画面上において、前記配置枠に前記器具アイコンが重ね合わされることにより、前記配置枠の第2位置情報と、前記第2位置情報に関連付けられた前記照明器具の第3位置情報及び前記器具情報と、を出力する、
仕込み作業支援システム。
【請求項2】
前記支援装置は、前記照明器具と双方向の通信が可能であり、前記第2位置情報と前記第3位置情報とに基づいて、前記照明バトンと前記照明器具との接続位置を確認する、
請求項1に記載の仕込み作業支援システム。
【請求項3】
前記支援装置は、前記表示画面上において、前記配置枠の枠外に、前記配置枠に重ねて配置された前記器具アイコンに関連付けられた前記器具情報を表示する、
請求項1または2に記載の仕込み作業支援システム。
【請求項4】
前記支援装置は、前記接続位置を確認した結果を前記表示画面上に表示する、
請求項2に記載の仕込み作業支援システム。
【請求項5】
前記器具アイコンは、前記配置枠内に1つ配置される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仕込み作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明バトンへの照明器具の仕込み作業を支援する仕込み作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレビスタジオまたは劇場等の場所では、照明バトン(以下、単に「バトン」とも表記する)への照明器具の取り付け作業(以下、「仕込み作業」とも表記する)が行われる。仕込み作業では、まず、三次元CAD(Computer Aided Design)ソフトウェア等の照明器具のレイアウト設計プログラムを用いて照明器具の仕込み図(配置図)が作成される。作業者は、紙面として印刷された仕込み図を参照しながら、照明バトンへの照明器具の仕込み作業を行う。この場合、照明器具の取り付け位置の確認は、作業者の手作業により行われる。また、例えば、三次元CADソフトウェアには、照明器具の位置情報(XYZ座標データ)を出力する機能を有するものがある。但し、照明器具の位置情報には、照明器具のXYZ座標データが、どの照明バトンのどの接続部に対応しているといった情報は含まれない。このため、三次元CADソフトウェア上の照明器具の位置情報と、実際に照明バトンに接続された照明器具の取り付け位置とを比較することは困難となっている。このような点を鑑みて、照明器具の仕込み作業の効率を向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、照明器具の仕込み作業の効率を向上できる仕込み作業支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、仕込み作業支援システムは、照明器具と、照明器具が接続可能な照明バトンと、照明バトン、照明バトンの第1位置座標に関連付けられた配置枠、及び照明器具の器具情報を有する器具アイコンを表示可能な表示部を含む支援装置と、を備える。支援装置は、表示部の表示画面上において、配置枠に器具アイコンが重ね合わされることにより、配置枠の第2位置情報と、第2位置情報に関連付けられた照明器具の第3位置情報及び器具情報と、を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、照明器具の仕込み作業の効率を向上できる仕込み作業支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムに含まれる支援装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおける仕込み作業のフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおけるレイアウト設計プログラム実行時の表示画面の一例である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおけるレイアウト設計プログラム実行時の表示画面の一例である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおけるレイアウト設計プログラム実行時の表示画面の一例である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおけるレイアウトデータに含まれる接続部と、配置枠と、照明器具との関係の一例を示すテーブルである。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおける仕込み支援プログラム実行時の表示画面の一例である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る仕込み作業支援システムにおける仕込み支援プログラム実行時の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る仕込み作業支援システムは、照明バトンの位置情報に関連付けられた配置枠を用いて照明器具のレイアウト設計を行うことができる。また、仕込み作業支援システムは、配置枠の位置情報とこれに関連付けられた照明器具の位置情報とを用いることにより、仕込み作業時の照明器具の取り付け位置及び器具情報、並びに照明器具の接続状況の確認を行うことができる。
【0009】
実施形態の仕込み作業支援システム(1)は、照明器具(14)と、照明器具が接続可能な照明バトン(12)と、照明バトン(12)、照明バトン(12)の第1位置座標に関連付けられた配置枠(FL)、及び照明器具の器具情報を有する器具アイコン(I-14)を表示可能な表示部(104)を含む支援装置(10)とを備える。支援装置(10)は、表示部(104)の表示画面(1000)上において、配置枠(FL)に器具アイコン(I-14)が重ね合わされることにより、配置枠(FL)の第2位置情報と、第2位置情報に関連付けられた照明器具(14)の第3位置情報及び器具情報と、を出力する。これにより、支援装置(10)を用いて照明器具(14)のレイアウト設計を行った結果として、照明バトン(12)に関連付けられた配置枠(FL)の位置情報と、配置枠(FL)に関連付けられた照明器具(14)の位置情報及び器具情報が得られる。よって、仕込み作業において、照明バトンに接続する照明器具(14)の位置情報の確認が容易となり、仕込み作業の効率が向上できる。
【0010】
実施形態の仕込み作業支援システム(1)が備える支援装置(10)は、照明器具(14)と双方向の通信が可能であり、第2位置情報と第3位置情報とに基づいて、照明バトン(12)と照明器具(14)との接続位置を確認する。これにより、従来は、作業者が仕込み図を参照しながら行っていた照明バトン(12)と照明器具(14)との接続位置の確認を、支援装置(10)が行うことができる。作業者は、支援装置(10)の表示画面上で、照明器具(14)が正しい取り付け位置に取り付けられているか確認できる。このため、人的ミスの可能性が低減され、仕込み作業の効率が向上できる。
【0011】
実施形態の仕込み作業支援システム(1)が備える支援装置(10)は、表示画面(1000)上において、配置枠(FL)の枠外に、配置枠(FL)に重ねて配置された器具アイコン(I-14)が有する器具情報を表示する。これにより、作業者は、多数の種類がある照明器具(14)の中から、適切な照明器具(14)を選択できる。よって、レイアウト設計における人的ミスの可能性が低減される。
【0012】
実施形態の仕込み作業支援システム(1)が備える支援装置(10)は、接続位置を確認した結果を表示画面上に表示する。これにより、作業者は、表示画面を参照することにより、照明器具(14)が照明バトンの接続部に正しく接続されているか確認できる。よって、仕込み作業における確認作業の効率が向上できる。
【0013】
実施形態の仕込み作業支援システム(1)では、器具アイコン(I-14)は、配置枠(FL)内に1つ配置される。これにより、1つの接続部に1つの照明器具(14)が割り当てられる。よって、レイアウト設計において、照明器具の配置ミスを低減できる。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
1.仕込み作業支援システムの構成
まず、
図1を参照して、仕込み作業支援システム1の全体構成の一例について説明する。
図1は、仕込み作業支援システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、仕込み作業支援システム1は、支援装置10、ハブ11、複数の照明バトン12、複数のノード13、及び複数の照明器具14を含む。
【0017】
支援装置10は、仕込み作業支援システム1全体を制御する。例えば、支援装置10は、パーソナルコンピュータである。作業者(ユーザ)は、支援装置10を用いて、照明器具14のレイアウト設計及び設計データに基づく照明器具14の仕込み作業を実行する。なお、レイアウト設計及び仕込み作業は、それぞれ別の装置により実行されてもよい。また、支援装置10は、照明器具14の調光卓としての機能を有していてもよい。
【0018】
ハブ11は、支援装置10と複数のノード13とを接続する集線装置である。支援装置10と複数のノード13とは、ハブ11を介して、双方向に通信可能である。例えば、ハブ11は、支援装置10及び複数のノード13と、イーサネット(登録商標)等の有線または無線によるネットワーク(以下、「イーサネット通信」と表記する)を通じて接続される。
図1に示す例では、ハブ11は、LANケーブルCA1を介して、支援装置10に接続される。また、ハブ11は、複数のLANケーブルCA2を介して、複数のノード13にそれぞれ接続される。ハブ11は、LANケーブルCA1に対応する差込口と、複数のLANケーブルCA2に対応する複数の差込口を有する。
【0019】
照明バトン12は、例えば、テレビスタジオまたは劇場等の設置場所の天井側に昇降可能に設置される。照明バトン12は、設置場所の規模に応じて、1つ以上設置され得る。例えば、複数の照明バトン12が設置される場合、各照明バトン12には、個別の識別情報が付与される。照明バトン12には、複数の照明器具14が取り付け可能である。照明バトン12は、照明器具14が接続される1つ以上の接続部を含む。例えば、照明バトン12における接続部の位置は、固定である。接続部は、例えば、ノード13のポートPに接続されるDMXケーブルCA3の差込口、及び照明器具に接続されるDMXケーブルCA4の差込口を含む。例えば、各接続部には、個別の識別情報が付与されている。支援装置10は、照明バトン12の接続部の識別情報に基づいて、どの接続部にどの照明器具14が接続されているかを認識し得る。なお、接続部には、後述するDMXアドレスを表示するための表示器が設けられてもよい。
図1に示す例では、2つの照明バトン12a及び12bが設けられている。例えば、照明バトン12a及び12bには、それぞれ識別番号としてL1及びL2が付与されている。照明バトン12a(L1)には、5つの接続部が設けられている。5つの接続部には、それぞれ識別番号としてL1-1~L1-5が付与されている。同様に、照明バトン12b(L2)には、5つの接続部が設けられている。5つの接続部には、それぞれ識別番号としてL2-1~L2-5が付与されている。
【0020】
ノード13は、支援装置10と照明器具14とが通信を行う際の中継器として機能する。ノード13は、1つの照明バトン12に1つ設けられる。
図1に示す例では、照明バトン12aに対応してノード13aが設けられている。照明バトン12bに対応してノード13bが設けられている。
【0021】
例えば、ノード13は、イーサネット通信と、RDM(Remote Device Management)規格のプロトコルに基づく通信(以下、「RDM通信」とも表記する)との変換器として機能する。例えば、ノード13は、ハブ11を介して、支援装置10とイーサネット通信を行う。また、ノード13は、照明バトン12の接続部を介して、照明器具14とRDM通信を行う。RDM規格は、照明器具14を制御する通信規格の1つであるDMX(Digital Multiplex)規格を拡張した双方向の通信規格である。DMX規格のプロトコルに基づく通信(以下、「DMX通信」とも表記する)では、1つのDMXケーブルを介して、512チャネルの信号の送信が可能である。より具体的には、チャネルは8ビットで構成されている。そして、このチャネルが512チャネルまで多重化された構成が、DMX通信及びRDM通信における1フレームのデジタル信号として扱われる。各チャネルには、DMXアドレスが割り振られている。照明器具14は、種類毎に、使用するチャネル数が異なる(以下、「スロット数」と表記する)。このため、1つまたは複数のチャネルが1つの照明器具14に割り当てられる。照明器具14は、対応するDMXアドレスのチャネルの信号に基づいて制御される。
【0022】
ノード13は、対応する照明バトン12に設けられた複数の接続部に対応する複数のポートPを含む。例えば、各ポートPは、DMXケーブルCA3を介して、対応する接続部に接続される。ノード13は、ポートP及び接続部を介して、接続部に接続された照明器具14と、RDM通信を行う。
図1に示す例では、ノード13aは、ポートP1~P5を含む。ノード13aのポートP1~P5は、照明バトン12aの接続部L1-1~L1-5にそれぞれ接続される。同様に、ノード13bは、ポートP1~P5を含む。ノード13bのポートP1~P5は、照明バトン12bの接続部L2-1~L2-5にそれぞれ接続される。
【0023】
各照明器具14は、DMXケーブルCA4を介して、いずれかの照明バトン12のいずれかの接続部に接続される。例えば、1つの接続部に1つの照明器具14が接続される。
図1に示す例では、4つの照明器具14が、接続部L1-1~L1-3及びL2-1にそれぞれ接続されている。
【0024】
照明器具14は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を光源として用いる。照明器具14は、例えば、支援装置10により、明るさ、光照射範囲、色彩、光照射角度等を調整され得る。照明器具14は、RDM規格に対応している。例えば、照明器具14は、支援装置10に、照明器具14の情報(以下、「器具情報」とも表記する)を送信し得る。器具情報には、DMXアドレス、スロット数、器具の種類、メーカー、製品名、型式、及び製造番号の少なくとも1つの情報が含まれる。
【0025】
2.支援装置の構成
次に、
図2を参照して、支援装置10の構成について説明する。
図2は、支援装置10のブロック図である。
【0026】
図2に示すように、支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、表示部104、入出力部105、及びストレージ106を含む。
【0027】
CPU101は、支援装置10の全体を制御する。CPU101は、ROM102及びストレージ106等に記憶された各種プログラム(ファームウェア及びソフトウェア)を実行する。なお、以下の説明では、CPU101が各種プログラムを実行することにより各機能が実現される場合について説明するが、各機能に対応する専用回路が設けられてもよい。
【0028】
ROM102は、ファームウェア等が記憶された非一時的記憶媒体である。
【0029】
RAM103は、CPU101の作業領域として使用される。
【0030】
表示部104は、ユーザによる情報の入力支援、あるいはCPU101による処理の結果をユーザに伝えるために使用される。例えば、表示部104は、ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)ディスプレイ、またはブラウン管等)を含む。例えば、表示部104には、レイアウト設計プログラムまたは仕込み支援プログラムに対応した表示画面が表示される。
【0031】
入出力部105は、ノード13(すなわち、照明器具14)との通信を司る。入出力部105とノード13との間で、イーサネット通信が行われる。
【0032】
入出力部105は、ユーザが使用するキーボード及びマウス等を含む。
【0033】
また、入出力部105は、レイアウトデータあるいは照明器具14の仕込み図等を、外部機器(外部データベース、プリンタ、または各種記憶媒体等)に出力する機能を有する。例えば、無線通信により外部機器にデータを出力する場合、入出力部105は、通信機能を有する。
【0034】
ストレージ106は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。例えば、ストレージ106には、レイアウト設計プログラム及び仕込み支援プログラムが記憶される。ストレージ106は、レイアウト設計プログラム及び仕込み支援プログラムが記憶される非一時的記憶媒体として機能し得る。なお、レイアウト設計プログラム及び仕込み支援プログラムは、ROM102に記憶されてもよい。また、ストレージ106には、配置枠設定情報及びレイアウトデータが記憶される。
【0035】
レイアウト設計プログラムは、テレビスタジオまたは劇場等の設置場所における照明器具14のレイアウト設計、すなわち、仕込み図作成のためのプログラム(ソフトウェア)である。例えば、レイアウト設計プログラムは、三次元CADソフトウェアである。支援装置10は、レイアウト設計プログラムを実行することにより、照明器具14のレイアウト設計装置として機能する。
【0036】
配置枠設定情報は、レイアウト設計プログラムを実行する際に用いられる初期設定のための情報である。なお、配置枠設定情報は、仕込み支援プログラムを実行する際に用いられてもよい。例えば、配置枠設定情報は、照明バトン12の位置情報(XYZ座標データ)、照明バトン12に設けられている接続部の位置情報(XYZ座標データ)、及び配置枠の位置情報(XYZ座標データ)を含む。配置枠は、照明バトン12の接続部に対応して設けられた四角枠である。このため、配置枠は、照明器具14を配置可能な位置を示す。配置枠の位置情報は、照明バトン12及び接続部の位置情報に関連付けられている。例えば、ユーザは、表示部104の表示画面上で、配置枠の上に照明器具14のアイコン(以下、「器具アイコン」と表記する)を配置する(重ねる)ことにより、レイアウト設計を行う。配置枠設定情報は、照明バトン12及び接続部の設置状況によって異なる。例えば、配置枠設定情報は、テレビスタジオまたは劇場等の設置場所において照明バトン12等の設置工事を行ったメーカーから予め提供される情報である。
【0037】
レイアウトデータは、レイアウト設計の結果として出力されるデータである。レイアウトデータは、照明器具14の器具情報、照明器具14の位置情報、及び配置枠の位置情報を含む。照明器具14の位置情報は、配置枠の位置情報に関連付けられている。
【0038】
仕込み支援プログラムは、テレビスタジオまたは劇場等における照明器具14の仕込み作業を支援するためのプログラム(ソフトウェア)である。支援装置10は、仕込み支援プログラムを実行することにより、照明器具14の仕込み作業支援装置として機能する。例えば、支援装置10は、仕込み支援プログラムを実行する際に、レイアウトデータを読み込む。支援装置10は、読み込んだレイアウトデータに基づいて、表示部104の表示画面上に、照明バトン12の各接続部に接続する照明器具14の情報を表示する。例えば、支援装置10は、照明バトン12に接続された照明器具14と双方向通信を行う。支援装置10は、双方向通信の結果とレイアウトデータとに基づいて、表示部104の表示画面上に、照明器具14が正常な取り付け位置(接続部)に接続されているか否かを表示する。ユーザは、表示部104の表示画面を参照して、照明器具14が正常に接続されたか否かを確認する。
【0039】
3.仕込み作業の全体の流れ
次に、
図3~
図9を参照して、仕込み作業の全体の流れについて説明する。
図3は、仕込み作業のフローチャートである。
図4~
図6は、レイアウト設計プログラム実行時の表示部104の表示画面の一例を示す図である。
図7は、レイアウトデータに含まれる接続部と、配置枠と、照明器具との関係の一例を示すテーブルである。
図8及び
図9は、仕込み支援プログラム実行時の表示部104の表示画面の一例を示す図である。なお、
図4~
図9に示す例では、照明バトン12の延伸方向をX方向と定義する。X方向と交差する平面方向をY方向と定義する。X方向及びY方向と交差する垂直方向をZ方向と定義する。
【0040】
図3に示すように、まず、ユーザは、支援装置10において、ストレージ106に記憶されているレイアウト設計プログラムを起動させる(S1)。
【0041】
このとき、CPU101は、レイアウト設計プログラムの初期設定のため、ストレージ106から配置枠設定情報を読み出す(S2)。例えば、配置枠設定情報には、照明バトン12、接続部、及び配置枠の位置情報が含まれる。例えば、レイアウト設計プログラム上において、配置枠は、立方体として処理される。このため、配置枠の位置情報には、起点となる1つの角のXYZ座標と、X方向の長さ、Y方向の長さ、及びZ方向の長さの情報が含まれる。配置枠の大きさは、任意である。例えば、隣接する配置枠が互いに重なっていてもよい。配置枠設定情報に基づいて、表示部104の表示画面には、照明バトン12及び配置枠が表示される。
図4に示すように、例えば、レイアウト設計プログラムに対応する表示画面1000に、照明バトン12aに対応する配置枠FL1-1~FL1-5と、照明バトン12bに対応する5つの配置枠FL2-1~FL2-5とが表示されている。例えば、配置枠FL1-1~FL1-5は、
図1を用いて説明した照明バトン12aの接続部L1-1~L1-5にそれぞれ対応する。同様に、配置枠FL2-1~FL2-5は、
図1を用いて説明した照明バトン12bの接続部L2-1~L2-5にそれぞれ対応する。CPU101は、配置枠FLの識別番号により、各配置枠FLがいずれの照明バトン12のいずれの接続部に対応するか特定し得る。例えば、各配置枠FL内には、X方向における中心軸を示す破線と、Y方向における中心軸を示す破線とが表示されている。X方向の中心軸とY方向の中心軸との交点が、配置枠FLの中心点CTとして設定される。なお、中心点CTは、接続部と同じ位置であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
次に、
図3に示すように、ユーザは、表示画面1000に表示された配置枠FL上に、照明器具14を配置する(重ねる)(S3)。
図5に示すように、例えば、表示画面1000上において、照明バトン12aの配置枠FL1-1~FL1-3及び照明バトン12bの配置枠FL2-1の上に器具アイコンI-14が配置されている。より具体的には、レイアウト設計プログラムには、ライブラリとして、複数の種類の照明装置の器具情報(器具の種類、メーカー、製品名、型式、及びスロット数等)が含まれている。例えば、表示画面1000の図示せぬサブウィンドウ上に、照明器具14の種類に対応した複数の形状の器具アイコンI-14のリストが表示されている。器具アイコンI-14には、器具の種類、メーカー、製品名、型式、及びスロット数等の器具情報が関連づけられている。換言すれば、器具アイコンI-14は、器具情報を有する。例えば、ユーザは、サブウィンドウ上において、取り付ける照明器具14に対応した器具アイコンI-14を選択し、配置枠FL上に器具アイコンI-14を移動させる(重ねる)。配置枠FL内に配置された器具アイコンI-14は、配置枠FLの中心点CTを基準にしてその位置が自動的に設定される。これにより、器具アイコンI-14は、配置枠FLに関連付けられる。すなわち、照明器具14が接続部に対応した位置に配置される。例えば、照明バトン12aの配置枠FL1-1に配置された器具アイコンI-14と、配置枠FL1-2に配置された器具アイコンI-14とは、形状が異なっており、それぞれが異なる種類の照明器具14であることを示している。例えば、器具アイコンI-14をクリックすることにより、配置枠FLの枠外に器具情報が表示される。
【0043】
次に、
図3に示すように、ユーザは、配置した器具アイコンI-14にDMXアドレス等を割り当てる(S4)。
図6に示すように、例えば、表示画面1000上において、配置枠FLの枠外に器具アイコンI-14毎にウィンドウW1~W3が表示される。ユーザは、ウィンドウW1~W3に情報を入力する。例えば、ウィンドウW1には、カラーフィルタの情報が表示される。例えば、ウィンドウW1内の“#22”、“#33”、及び“L196”は、カラーフィルタのメーカー及び型番を示している。ウィンドウW2には、DMXアドレスが表示される。ウィンドウW2には、DMXアドレスに対応して、1から512までのDMXアドレスが割り当てられる。ウィンドウW3には、ユニバースとDMXアドレスが表示される。ユニバースは、DMXアドレスの上位概念である。例えば、ユニバースは、DMX通信において512チャネルを1つのフレームとした場合のフレーム数を示している。例えば、制御する照明器具14の個数が増加すると、チャネル数が512チャネル以上必要となる場合がある。このような場合、ユニバース数を増やすことにより、チャネル数を増加させることができる。例えば、配置枠FL1-1におけるウィンドウW3に入力されている“1/49”は、ユニバース数“1”及びDMXアドレス“49”を示している。
【0044】
次に、
図3に示すように、CPU101は、レイアウト設計の結果として、レイアウトデータを出力する(S5)。出力されたレイアウトデータは、ストレージ106に記憶される。例えば、レイアウトデータには、照明バトン12の接続部に関連付けられた配置枠FL及び照明器具14の位置情報、並びに器具情報として、照明器具14の種類、メーカー、製品名、及び型式、カラーフィルタ、DMXアドレス及びユニバーサル等の情報が含まれる。
図7に示すように、レイアウトデータでは、照明バトン12の接続部に対して配置枠FL及び照明器具14が関連付けられている。より具体的には、例えば、レイアウトデータを示すテーブルの各エントリには、接続部の識別番号と、配置枠FLの角(起点)のX座標及びY座標データと、照明器具14の中心位置のX座標及びY座標データと、照明器具14の器具情報とが記憶される。例えば、接続部L1-1に対応する配置枠FL(FL1-1)のX座標は“0”であり、Y座標は“250”である。更に、照明器具14のX座標は“250”であり、Y座標は“0”である。照明器具14が接続された他の接続部L1-2、L1-3、L2-1も同様である。なお、
図7に示す例では、テーブルに配置枠FL及び照明器具14のZ座標データが含まれていないが、Z座標データが含まれていてもよい。
【0045】
次に、
図3に示すように、ユーザは、支援装置10において、レイアウト設計プログラムを終了させた後、ストレージ106に記憶されている仕込み支援プログラムを起動させる(S6)。
【0046】
このとき、CPU101は、仕込み支援プログラムの初期設定のため、ストレージ106からレイアウトデータを読み出す(S7)。レイアウトデータに基づいて、表示部104の表示画面には、例えば、各照明バトン12の接続部の識別番号と接続部の状態を示すボックスとが表示される。ボックスは、接続部すなわち配置枠FLに対応する。なお、仕込み支援プログラムに対応した表示画面では、平面レイアウトが表示される。このため、支援仕込みプログラムでは、レイアウトデータに含まれる照明器具14及び配置枠FLの位置情報のうち、Z座標のデータが用いられなくてもよい。
【0047】
ユーザは、表示画面で取り付ける照明器具14を確認しながら、仕込み作業を実施する(S8)。例えば、支援装置10は、任意のタイミング(ユーザの指示、あるいは定期的なタイミング等)で、照明器具14との双方向の通信を行い、照明器具14の接続状況を確認する。支援装置10は、接続状況の確認結果をボックスの色分けで表示画面に表示する。ユーザは、表示画面において、ボックスの色を確認することにより、直感的に仕込み作業の状況を確認できる。
図8に示すように、例えば、仕込み支援プログラムに対応した表示画面2000に、照明バトン12aの接続部L1-1~L1-5及び照明バトン12bの接続部L2-1~L2-5における照明器具14の接続状況が表示されている。各接続部のボックスは、接続状況により色分けされている。例えば、接続部のボックスは、照明器具14の仕込み対象外(器具無し)、仕込み対象であるが照明器具14が未接続(器具未接続)、対象外の照明器具14が接続(器具不一致)、照明器具14が正常に接続(器具接続)の4つの状態に応じて、4つの色で表示される。例えば、ユーザは、確認したい接続部のボックスをクリックすることにより、接続させる照明器具14の詳細な情報を表示させることができる。
図9に示すように、例えば、ボックスをクリックすると、ボックスが拡大表示されて、ボックス内に接続される照明器具14の外観が表示される。更に、ボックスをクリックすると、ボックスが更に拡大表示されて、照明器具14の外観の周辺(枠外)に器具情報が表示される。なお、表示される器具情報は、照明器具14の種類であってもよいし、カラーフィルタの情報であってもよいし、DMXアドレスであってもよい。ユーザは、表示させたい器具情報の個数、表示位置、及び情報の種類等を選択し得る。例えば、ボックスをもう1回クリックすると、ボックスは元のサイズに戻る。
【0048】
ユーザは、全ての照明器具14が正常に接続されると、仕込み作業を終了させる。
【0049】
4.本実施形態に係る効果
本実施形態に係る仕込み作業支援システムであれば、支援装置10は、照明バトン12の接続部の位置情報に対応した配置枠FLを用いて照明器具14のレイアウト設計を実行できる。レイアウト設計では、表示画面上において、配置枠FL上に器具情報を有する器具アイコンI-14を重ねることにより、配置枠FLと器具アイコンI-14とが関連付けられる。支援装置10は、レイアウト設計プログラムを実行した結果として、照明バトン12の接続部に関連付けられた配置枠FL及び照明器具14の位置情報、並びに器具情報を含むレイアウトデータを出力できる。支援装置10は、レイアウトデータに基づいて、照明バトン12の接続部とこれに対応する照明器具14の情報とを表示できる。また、支援装置10は、照明器具14と双方向の通信を行い、照明器具14の接続状況を確認できる。
【0050】
これにより、支援装置10は、レイアウトデータとして、照明バトン12の接続部に対応した配置枠及び照明器具14の位置情報を出力できる。更に、支援装置10は、接続部に接続する照明器具の情報を表示できる。従って、ユーザは、仕込み作業において、支援装置10の表示画面上で、接続部に取り付ける照明器具14の情報を正しく把握できる。よって、照明器具14の取り違え等の人的ミスの可能性を低減でき、仕込み作業の作業効率を向上できる。
【0051】
更に、ユーザは、仕込み作業において、支援装置10の表示画面上で、照明器具14が、正しく取り付けられているか確認できる。よって、人的ミスの可能性を低減でき、仕込み作業の作業効率を向上できる。
【0052】
更に、本実施形態に係る仕込み作業支援システムであれば、照明器具14のレイアウト設計時に、配置枠FLの枠外に、器具情報を表示できる。これにより、配置枠FLに正しい照明器具14が配置されたか確認できる。よって、照明器具14のレイアウト設計における照明器具14の選択ミスを低減できる。
【0053】
更に、本実施形態に係る仕込み作業支援システムであれば、照明器具14のレイアウト設計時に、配置枠FL内に、1つの器具アイコンI-14を配置できる。すなわち、1つの接続部に1つの照明器具14を対応させることができる。よって、照明器具14のレイアウト設計における照明器具14の配置ミスを低減できる。
【0054】
更に、本実施形態に係る仕込み作業支援システムであれば、照明器具14のレイアウト設計時に、配置枠FL内に配置された器具アイコンI-14は、中心点CTを基準に、その位置が自動的に調整される。これにより、レイアウト設計における照明器具14の配置作業が簡略化される。よって、仕込み作業の作業効率を向上できる。
【0055】
5.変形例等
例えば、上記実施形態では、1つの支援装置10において、レイアウト設計プログラムと仕込み支援プログラムが実行される場合について説明したが、レイアウト設計プログラムが実行される装置と、仕込み支援プログラムが実行される装置とは、別であってもよい。この場合、レイアウト設計プログラムが実行された装置では、レイアウトデータが外部出力される。そして、出力されたレイアウトデータが仕込み支援プログラムが実行される装置に入力される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…仕込み作業支援システム、10…支援装置、11…ハブ、12、12a、12b…照明バトン、13、13a、13b…ノード、14…照明器具、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…表示部、105…入出力部、106…ストレージ、1000…表示画面、2000…表示画面。