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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146506
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】建具枠の構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053712
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】井上 英久
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 弘幸
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KB02
2E011KC02
2E011KC04
2E011KD12
2E011KJ00
(57)【要約】
【課題】三方枠や四方枠等の枠体に対し、製造から建物躯体への取り付け直前までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材を、無火気化によって取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる建具枠の構造を提供する。
【解決手段】建物躯体13の開口部15の内周縁23に取り付けられる枠体17を有する建具枠11の構造であって、枠体17は、左右一対の縦枠25と、これら縦枠25の上端に架け渡され固定される上枠27と、を少なくとも有するとともに、左右一対の縦枠25の下端に架け渡される支持枠部材19と、を備え、支持枠部材19は、両端が左右一対の縦枠25の各下端に対して締結部材にて固定され、枠体17の開口部15への取り付け時には締結部材21を取り除き、縦枠25から取り外される仮設材である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部の内周縁に取り付けられる枠体を有する建具枠の構造であって、
前記枠体は、左右一対の縦枠と、これら縦枠の上端に架け渡され固定される上枠と、を少なくとも有するとともに、前記左右一対の縦枠の下端に架け渡される支持枠部材と、を備え、
前記支持枠部材は、両端が前記左右一対の縦枠の各下端に対して締結部材にて固定され、前記枠体の前記開口部への取り付け時には前記締結部材を取り除き、前記縦枠から取り外される仮設材であることを特徴とする建具枠の構造。
【請求項2】
前記締結部材が締結する前記縦枠の取付穴位置は、前記枠体を前記建物躯体に固定した後、床が形成された際に床面の下に埋まる位置であることを特徴とする請求項1に記載の建具枠の構造。
【請求項3】
建物躯体の開口部の内周縁に取り付けられる枠体を有する建具枠の構造であって、
前記枠体は、前記左右一対の縦枠と、これら縦枠の上端に架け渡され固定される上枠と、を少なくとも有するとともに、前記左右一対の縦枠の下端に架け渡される支持枠部材と、を備え、
前記縦枠には、前記開口部の前記内周縁に対向する面に、前記縦枠を建物躯体側へ固定するためのアンカー部材が設けられ、
前記支持枠部材は、両端が前記左右一対の縦枠の各下端に配設される各アンカー部材に対して締結部材にて固定され、前記枠体の前記開口部への取り付け時には前記締結部材を取り除き、前記縦枠から取り外される仮設材であることを特徴とする建具枠の構造。
【請求項4】
前記アンカー部材には、前記縦枠の内方に向かって突出し、表裏面が水平面に沿うように延設された支持片が設けられ、前記左右一対の縦枠の各下端に配設される各アンカー部材の前記支持片に支持枠部材の両端が締結部材にて固定されることを特徴とする請求項3に記載の建具枠の構造。
【請求項5】
前記支持片は、前記アンカー部材に1曲げ追加加工することで形成されることを特徴とする請求項4に記載の建具枠の構造。
【請求項6】
前記枠体は、上枠と、この上枠の両端から垂下して固定される前記左右一対の縦枠と、で構成される三方枠であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の建具枠の構造。
【請求項7】
前記左右一対の縦枠の下端には、前記開口部を挟む内外方向の幅を前記縦枠の同方向の幅よりも狭い細幅で形成したくつずりとなる下枠が連結固定され、この下枠に沿って前記支持枠部材が前記左右一対の縦枠の下端に取り付けられることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の建具枠の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物躯体の開口部に、ドアや引戸などの開閉体を組み付けるには、開口部に枠組み体(以下、単に「枠体」と称す。)が構築される(特許文献1等参照)。枠体は、建物躯体に固定される構成で、上枠と左右一対の縦枠とでいわゆる三方枠とされる。三方枠は、予め工場内で、上枠と縦枠上端とが連結固定される。この固定状態で出荷され、施工現場にて建物躯体に組み付ける作業となるが、縦枠の下端が連結されておらず矩形に枠組みされていないことから、三方枠は強度的に不安定な構造となっている。このため、縦枠の下端間には、捨て枠が工場内で取り付けられる。捨て枠は、工場内での製造完了から保管、運搬、建物躯体への取り付け直前まで枠体の下部に固定されていて、施工時には取り除かれる。この捨て枠を仮設材として取り付けた建具枠の構造によれば、保管時や運搬時等に作用する外力で変形や破損を生じさせることなく、枠体を建物躯体へ取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-147121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、この捨て枠と縦枠との連結固定には、一般的に溶接固定が行われていた。近年、溶接作業は、防塵マスク着用の義務付け等、作業環境管理の厳格化が進み、益々煩雑な作業となってきている。また、溶接は、火気使用であることから、火災防止などの観点からも、無火気化が望まれている。これに加え、建具枠は、現場にて、捨て枠を縦枠から取り除く作業が必要となるが、サンダー(ディスクグラインダー)にて溶接箇所を切断、仕上げする作業となるため、その作業が煩雑であり、さらに、このサンダーの使用も火気扱いとなることから、この点でも無火気化が望まれている。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、三方枠や四方枠等の枠体に対し、製造から建物躯体への取り付け直前までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材を、無火気化によって取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる建具枠の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の建具枠の構造は、建物躯体13の開口部15の内周縁23に取り付けられる枠体17を有する建具枠の構造であって、
前記枠体17は、左右一対の縦枠25(99)と、これら縦枠25(99)の上端に架け渡され固定される上枠27と、を少なくとも有するとともに、前記左右一対の縦枠25(99)の下端に架け渡される支持枠部材19と、を備え、
前記支持枠部材19は、両端が前記左右一対の縦枠25(99)の各下端に対して締結部材21にて固定され、前記枠体17の前記開口部15への取り付け時には前記締結部材21を取り除き、前記縦枠25(99)から取り外される仮設材であることを特徴とする。
【0007】
この建具枠の構造では、枠体17における左右一対の縦枠25(99)の下端同士に、長尺の支持枠部材19が架け渡され、支持枠部材19の両端は締結部材21により各縦枠25(99)の下端に締結される。これにより、三方枠や四方枠は、開放または脆弱部となる縦枠25(99)の下端同士の間が、支持枠部材19により連結固定され、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、三方枠や四方枠は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
そして、枠体17における左右一対の縦枠25(99)の下端同士を連結する支持枠部材19は、両端が締結部材21により締結されるので、製造現場、建物躯体取り付け現場において溶接を使用せず、すなわち無火気となり、締結部材21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。特に、建物躯体取り付け現場では、ドライバー1本で簡単に外すことが可能となる。このため、両端が溶接された支持枠部材19を、現場にて、サンダーやグラインダーを使って外す必要がなくなる。また、支持枠部材19をサンダーで外した後、グラインダーかけして錆止め補修を行うといった煩雑な手間もなくなり、施工の大幅な効率化が図れるようになる。
【0008】
本発明の請求項2記載の建具枠の構造は、請求項1に記載の建具枠の構造であって、前記締結部材21が締結する前記縦枠25(99)の取付穴位置は、前記枠体17を前記建物躯体13に固定した後、床31が形成された際に床面35の下に埋まる位置であることを特徴とする。
【0009】
この建具枠の構造では、締結部材21により支持枠部材19を縦枠25(99)の下端に締結する取付穴位置が、床面35の下に埋まる位置となる。例えばドア枠は、床31から15mmくらいが、床面35よりも下となって埋まる。このため、縦枠25(99)の下端から上側へ15mmくらいの範囲は、縦枠25(99)の側面に取付穴位置が設けられても見えなくなる。この場合、縦枠側面の下端には、例えば雌ねじを形成しておき、支持枠部材19の両端には、透孔59を開けておく。これにより、支持枠部材19を、取り付け、取り外しのしやすい縦枠25(99)の側方より行うことが可能となる。また、この建具枠の構造によれば、支持枠部材19を固定するための特別な被固定部(例えばアンカー部材39)が不要となり、支持枠部材19を直接縦枠25(99)に固定することができる。
【0010】
本発明の請求項3記載の建具枠の構造は、建物躯体13の開口部15の内周縁23に取り付けられる枠体17を有する建具枠の構造であって、
前記枠体17は、前記左右一対の縦枠25と、これら縦枠25の上端に架け渡され固定される上枠27と、を少なくとも有するとともに、前記左右一対の縦枠25の下端に架け渡される支持枠部材19と、を備え、
前記縦枠25には、前記開口部15の前記内周縁23に対向する面に、前記縦枠25を建物躯体側へ固定するためのアンカー部材37が設けられ、
前記支持枠部材19は、両端が前記左右一対の縦枠25の各下端に配設される各アンカー部材39に対して締結部材21にて固定され、前記枠体17の前記開口部15への取り付け時には前記締結部材21を取り除き、前記縦枠25から取り外される仮設材であることを特徴とする。
【0011】
この建具枠の構造では、枠体17における左右一対の縦枠25の下端に設けられたアンカー部材39同士に、長尺の支持枠部材19が架け渡され、支持枠部材19の両端は締結部材21により各アンカー部材39に締結される。これにより、三方枠や四方枠は、開放または脆弱部となる縦枠25の下端同士の間が、支持枠部材19により連結固定され、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、三方枠や四方枠は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
そして、枠体17における左右一対の縦枠25の下端同士を連結する支持枠部材19は、両端が締結部材21によりアンカー部材39に締結されるので、製造現場、建物躯体取り付け現場において溶接を使用せず、すなわち無火気となり、締結部材21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。特に、建物躯体取り付け現場では、ドライバー1本で簡単に外すことが可能となる。このため、両端が溶接された支持枠部材19を、現場にて、サンダーやグラインダーを使って外す必要がなくなる。また、支持枠部材19をサンダーで外した後、グラインダーかけして錆止め補修を行うといった煩雑な手間もなくなり、施工の大幅な効率化が図れるようになる。
支持枠部材19の締結されるアンカー部材39は、枠体17と建物躯体側とを接続するための介在部材である。アンカー部材37は、縦枠25の建物躯体13に対向する外側面に、縦枠25に沿って連続ではなく、所定ピッチごとに複数が配設されている。支持枠部材19の固定されるアンカー部材39は、このうち、最下端のアンカー部材39のみが利用される。
アンカー部材39には、穴は無く、つまり下穴61を設けず、締結部材21をタッピングねじとしてもよい。或いは下穴61を開けておいて、この下穴61にタッピングねじをねじ込んでもよい。
支持枠部材19を、枠体17のアンカー部材39に固定する建具枠の構造では、枠体17に必ず必要となる補強材としての高強度のアンカー部材39に、支持枠部材19を締結部材21にて取り付け、例えばビス止めすることとなり、支持枠部材19の長さ(寸法)を枠体17の外寸法で設定することができ、支持枠部材19の加工の煩雑さがなくなる。
【0012】
本発明の請求項4記載の建具枠の構造は、請求項3に記載の建具枠の構造であって、前記アンカー部材39には、前記縦枠25の内方に向かって突出し、表裏面が水平面に沿うように延設された支持片41が設けられ、前記左右一対の縦枠25の各下端に配設される各アンカー部材39の前記支持片41に支持枠部材19の両端が締結部材21にて固定されることを特徴とする。
【0013】
この建具枠の構造では、支持枠部材19の固定される最下端のアンカー部材39には、表裏面が水平面に沿うように延設された支持片41が、縦枠25の内方に向かって突出して設けられる。このアンカー部材39は、1曲げ(ひとまげ)加工してL字に形成されている。アンカー部材39は、その曲げた部分が取り付けのための受け部分、例えばねじ受けとなり、下方より支持枠部材19を貫通した締結部材21が締結される。アンカー部材39には、穴は無く、つまり下穴61を設けず、締結部材21をタッピングねじとしてもよい。或いは下穴61を開けておいて、タッピングねじをねじ込んでもよい。
この支持枠部材19をアンカー部材39に固定する建具枠の構造では、枠体17に必ず必要となる補強材としての高強度のアンカー部材39に、1曲げ追加し、その曲げた箇所に支持枠部材19をビス止めすることとなり、支持枠部材19の長さ(寸法)を枠体17の外寸法で設定することができ、支持枠部材19の加工の煩雑さがなくなる。また、アンカー部材39の締結部分は、縦枠25の下端面側となるので、枠体17の建物躯体13への取り付け後には、見えなくなる。
【0014】
本発明の請求項5記載の建具枠の構造は、請求項4に記載の建具枠の構造であって、前記支持片41は、前記アンカー部材39に1曲げ追加加工することで形成されることを特徴とする。
【0015】
この建具枠の構造では、支持枠部材19の固定される最下端のアンカー部材39は、1曲げ(ひとまげ)加工してL字に形成することで、支持片41が、縦枠25の内方に向かって突出して設けられる。アンカー部材39は、その曲げた部分がねじ受けとなり、下方より支持枠部材19を貫通した締結部材21が締結される。アンカー部材39には、穴は無く、つまり下穴61を設けず、締結部材21をタッピングねじとしてもよい。或いは下穴61を開けておいて、タッピングねじをねじ込んでもよい。
この支持枠部材19をアンカー部材39に固定する建具枠の構造では、枠体17に必ず必要となる補強材としての高強度のアンカー部材39に、1曲げ追加し、その曲げた箇所に支持枠部材19をビス止めすることとなり、支持枠部材19の長さ(寸法)を枠体17の外寸法で設定することができ、支持枠部材19の加工の煩雑さがなくなる。また、アンカー部材39の締結部分は、縦枠25の下端面側となるので、枠体17の建物躯体13への取り付け後には、見えなくなる。
【0016】
本発明の請求項6記載の建具枠の構造は、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の建具枠の構造であって、前記枠体17は、上枠27と、この上枠27の両端から垂下して固定される前記左右一対の縦枠25と、で構成される三方枠であることを特徴とする。
【0017】
この建具枠の構造では、枠体17が、下辺部に枠の存在しない三方枠となる。建具枠の構造では、この三方枠が、各縦枠25の下端に締結された支持枠部材19により、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、枠体17は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
そして、上述同様、支持枠部材19は、両端が締結部材21により縦枠25の下端に締結されるので、締結部材21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。このため、溶接を行った場合の煩雑な手間もなくなる。
【0018】
本発明の請求項7記載の建具枠の構造は、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の建具枠の構造であって、前記左右一対の縦枠25の下端には、前記開口部15を挟む内外方向の幅を前記縦枠25の同方向の幅よりも狭い細幅で形成したくつずりとなる下枠が連結固定され、この下枠に沿って前記支持枠部材19が前記左右一対の縦枠25の下端に取り付けられることを特徴とする。
【0019】
この建具枠11の構造では、枠体17が、下辺部にくつずりとなる下枠の設けられた四方枠となる。くつずりは、開口部15を挟む内外方向の幅を、縦枠25の同方向の幅よりも狭い細幅で形成した部材となる。上枠27は縦枠25とほぼ同じ断面形状であるが、くつずりとなる下枠は細く、建物側への固定が上枠27や縦枠25とは異なる構造であり、四方枠であっても強固な固定構造とは言えない。
そこで、この建具枠11の構造では、補強として、細い下枠(くつずり)に沿って、縦枠25の下端同士に渡って支持枠部材19が取り付けられている。これにより、下辺部に脆弱な下枠を有した四方枠であっても、高強度な矩形に枠組みされる。そのため、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
そして、上述同様、支持枠部材19は、両端が締結部材21により縦枠25の下端に締結されるので、締結部材21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。このため、溶接を行った場合の煩雑な手間もなくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る請求項1記載の建具枠の構造によれば、三方枠や四方枠等の枠体に対し、製造から建物躯体への取り付け直前までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材を、無火気にて取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる。
【0021】
本発明に係る請求項2記載の建具枠の構造によれば、支持枠部材を縦枠に締結部材にて取り付ける取付穴位置が、床が形成された際に床面の下に埋まる縦枠の下端なので、締結部材の取り付け、取り外しを容易にしつつ、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0022】
本発明に係る請求項3記載の建具枠の構造によれば、三方枠や四方枠等の枠体に対し、製造から設置までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材を、無火気にて取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる。これに加え、支持枠部材は、枠体を建物躯体に固定するためのアンカー部材に締結部材を用いるので、締結部材の取り付け、取り外しを容易にしつつ、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0023】
本発明に係る請求項4記載の建具枠の構造によれば、アンカー部材が、縦枠の上下の方向に沿って、所定のピッチで存在し、そのうち最下端のものが、1曲げ(L字に曲げ)加工した水平な支持片を備え、この支持片に下方より支持枠部材の端が締結部材にて取り付けできるので、支持枠部材の長さ(寸法)を枠体の外寸法、すなわち左右縦枠の各外側からの寸法で設定することができ、支持枠部材を左右縦枠の間に納めなければならない従来の構成を不要とし、支持枠部材の加工の煩雑さがなくなる。また、支持枠部材を枠体の荷重を支持しやすい縦枠の下端に容易に固定でき、枠体として組まれた状態の強度を向上できる。さらに、最下端のアンカー部材における支持片が取付穴位置となるので、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0024】
本発明に係る請求項5記載の建具枠の構造によれば、アンカー部材が、縦枠の上下の方向に沿って、所定のピッチで存在し、そのうち最下端のものが、1曲げ(L字に曲げ)加工した水平な支持片を備え、この支持片に下方より支持枠部材の端が締結部材にて取り付けできるので、支持枠部材のアンカー部材への固定を容易なものとすることができるとともに、支持枠部材の長さ(寸法)を枠体の外寸法、すなわち左右縦枠の各外側からの寸法で設定することができ、支持枠部材を左右縦枠の間に納めなければならない従来の構成を不要とし、支持枠部材の加工の煩雑さがなくなる。また、支持枠部材を枠体の荷重を支持しやすい縦枠の下端に容易に固定でき、枠体として組まれた状態の強度を向上できる。さらに、最下端のアンカー部材における支持片が取付穴位置となるので、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0025】
本発明に係る請求項6記載の建具枠の構造によれば、製造直後から、保管時、運搬時、現場搬入、設置までの間に変形の生じやすい三方枠において、枠の存在しない下辺部に、左右の縦枠の下端に渡って支持枠部材を固定するので、枠の無い一辺を補強して、枠体全体の変形を防止できる。また、支持枠部材は、締結部材の締結・締結解除のみで取り付け、取り外しが可能となるので、煩雑な手間をなくし、施工を大幅に効率化できる。
【0026】
本発明に係る請求項7記載の建具枠の構造によれば、製造直後から、保管時、運搬時、現場搬入、設置までの間に変形の生じやすい四方枠において、強度の低い下枠の存在する下辺部に、左右の縦枠の下端に渡って下枠に沿わして支持枠部材を固定するので、低強度の下枠を補強して、枠体全体の変形を防止できる。また、支持枠部材は、締結部材の締結・締結解除のみで取り付け、取り外しが可能となるので、煩雑な手間をなくし、施工を大幅に効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る建具枠の構造を備えた建具枠と、この建具枠が取り付けられる建物躯体の開口部の概略を表した分解斜視図である。
図2図1に示した建具枠の下部を、開口部の外部側より見た一部切欠正面図である。
図3図2に示した建具枠における下部の平断面図である。
図4】縦枠、アンカー部材及び支持枠部材の分解斜視図である。
図5】縦枠の形状が異なる第1実施形態の変形例1に係る建具枠の構造を表す要部平断面図である。
図6】縦枠の形状が異なる第1実施形態の変形例2に係る建具枠の構造を表す要部平断面図である。
図7】同変形例2に係る建具枠の構造を表す要部分解斜視図である。
図8】第2実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠の要部平断面図である。
図9】同第2実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠の要部分解斜視図である。
図10】第2実施形態の変形例1に係る建具枠の構造の要部平断面図である。
図11】第3実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠の要部平断面図である。
図12図11に示した建具枠の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る建具枠の構造を備えた建具枠11と、この建具枠11が取り付けられる建物躯体13の開口部15の概略を表した分解斜視図である。
第1実施形態に係る建具枠の構造は、建具枠11が、枠体17と、支持枠部材19と、締結部材としてのビス21(図2参照)と、からなる。建具枠11は、枠体17が、建物躯体13の開口部15の内周縁23に取り付けられる。枠体17は、左右一対の縦枠25と、これら縦枠25の上端に架け渡されて固定される上枠27と、を少なくとも有する。「少なくとも」とは、枠体17が、後述の下枠を備えてもよい意である。
【0029】
建物躯体13は、例えば壁部29に開口部15が形成される。第1実施形態において、建物躯体13は、床31が施工されていてもよく、床31が施工される前の例えばスラブ33であってもよい。すなわち、建具枠11は、下端が、床31の上に載って施工されてもよく、床面35よりも下に埋まって施工されてもよい。
【0030】
建具枠11は、開口部15の内周縁23に対向する縦枠25の面に、縦枠25を建物躯体側へ固定するためのアンカー部材37が設けられている。アンカー部材37は、縦枠25の建物躯体13に対向する外側面に、縦枠25に沿って連続ではなく、所定ピッチごと、例えば500mmごとなどに複数が配設されている。第1実施形態において、枠体17は、上枠27と、この上枠27の両端から垂下して固定される左右一対の縦枠25とで構成される三方枠である。
【0031】
図2は、図1に示した建具枠11の下部を、開口部15の外部側より見た一部切欠正面図である。
建具枠11は、左右一対の縦枠25の下端に架け渡される支持枠部材19を備える。支持枠部材19は、両端が左右一対の縦枠25の各下端に配設される最下端の各アンカー部材39に対してビス21にて固定される。支持枠部材19は、枠体17の開口部15への取り付け時には、ビス21を取り除き、縦枠25から取り外される仮設材である。
【0032】
アンカー部材39には、縦枠25の内方に向かって突出し、表裏面が水平面に沿うように延設された支持片41が形成される。支持枠部材19は、左右一対の縦枠25の各下端に配設される各アンカー部材39の支持片41に両端がビス21にて固定される。
【0033】
図3は、図2に示した建具枠11における下部の平断面図である。
縦枠25は、上下に長い略角筒状に形成され、開口部15の内周縁23に対向する外側面が、上下に連続して形成された開放部43により開放されている。縦枠25は、開放部43を挟む両側が、壁部29の壁厚方向と平行な開放端縁45となる。縦枠25は、一方の開放端縁45が、壁部29の壁厚方向に垂直な大縁47に直角に曲がって接続する。また、縦枠25は、他方の開放端縁45が、壁部29の壁厚方向に垂直な小縁49に直角に曲がって接続する。大縁47と小縁49とは、それぞれ接近する方向で直角に折り曲げられた大縁側内板51と、小縁側内板53とに接続する。大縁側内板51と小縁側内板53とは、直交段部55により接続される。直交段部55は、枠体17に取り付けられる扉の戸当たりとなる。
【0034】
左右一対の縦枠25は、左右対称な平断面形状で形成される。上枠27は、これら左右の縦枠25のいずれか一方と同一の断面形状で形成される。
【0035】
アンカー部材37は、縦枠25の一方の開放端縁45から他方の開放端縁45に渡る長さを有する。最下端のものを除くアンカー部材37は、開放端縁45と平行な短冊板で形成され、一方の開放端縁45と他方の一方の開放端縁45とに渡って、縦枠25の内面側に板面を垂直に固定される。一方、最下端のアンカー部材39は、長手方向に直交する断面形状がL字形となる。すなわち、山形鋼材となる。最下端のアンカー部材39は、表裏面が水平面に沿うように延設されたL字形の一方の片である支持片41を有する。この最下端のアンカー部材39は、L字形の他方の片が、支持片41に直交する垂直固定片57となる。アンカー部材37は、全てのもの(アンカー部材39を含む)が、垂直固定片57を開放端縁45に固定することで、縦枠25の開放部43を横断して固定される。
【0036】
最下端のアンカー部材39には、下方より支持枠部材19を貫通したビス21が支持片41にねじ込まれる。各縦枠25は、大縁側内板51が、アンカー部材39の支持片41に固定された支持枠部材19に載置された状態となる。すなわち、各縦枠25は、荷重を支持枠部材19に支持することができる。支持枠部材19は、真直で長尺な鋼材などからなるが、その長さ(寸法)を枠体17の外寸法、すなわち左右縦枠25の各外側からの寸法と同等となるよう設定することができ、支持枠部材19を左右縦枠25の間に納め左右縦枠25の内側に溶接固定しなければならない従来の構成を不要とし、支持枠部材19の長さ加工の煩雑さがなく、つまり長手方向両端の精度を軽減している。
【0037】
図4は、縦枠25、アンカー部材39及び支持枠部材19の分解斜視図である。
縦枠25は、開放部43を挟んで開放端縁45同士に、アンカー部材39の垂直固定片57が溶接により固定されている。支持枠部材19は、縦枠25の最下端に固定されているアンカー部材39に、下方より支持枠部材19の透孔59を貫通させたビス21を、下穴61にねじ込んで固定される。従って、支持枠部材19は、アンカー部材39にねじ込まれたビス21を螺合解除すれば、枠体17から容易に取り外しが可能となる。
【0038】
なお、支持枠部材19は、本実施形態において、一対の平行な折り曲げ片を有する断面C字形の鋼材が使用されるが、これに限定されず、L字形の鋼材であってもよい。また、支持枠部材19は、開口部15への取り付け時にはビス21を取り除き、縦枠25から取り外される仮設材であるので、取り外した後に、新たな枠体17に、建具枠11の構成部材として再利用してもよい。特にビス固定のみであることで、従来のような切断による取り外しではないことから、支持枠部材19は長さが変わってしまうことがなく、再利用を可能としている。
【0039】
図5は、縦枠63の形状が異なる第1実施形態の変形例1に係る建具枠の構造を表す要部平断面図である。
建具枠65における枠体67の縦枠63は、開放部43を挟む両側の開放端縁45が、それぞれ小縁49に接続するものであってもよい。それぞれの小縁49には、相互に接近する方向の小縁側内板53が接続される。それぞれの小縁側内板53は、2つの直交段部55を介して凸部69に接続する。凸部69は、小縁側内板53よりも枠体17の中央側に突出する。凸部69は、枠体67に取り付けられる扉の戸当たりとなる。
【0040】
この変形例1に係る建具枠の構造では、アンカー部材39の支持片41に、支持枠部材19がビス21により固定される。枠体67は、凸部69の端が、アンカー部材37の支持片41に固定された支持枠部材19に載置された状態となる。すなわち、各縦枠63は、荷重を支持枠部材19に支持することができる。
【0041】
図6は、縦枠71の形状が異なる第1実施形態の変形例2に係る建具枠の構造を表す要部平断面図である。
建具枠73における枠体75の縦枠71は、開放部43を挟む両側の開放端縁45が、開口部15の内周縁23に対して異なる距離で配置されてもよい。つまり、一方の開放端縁45は、他方の開放端縁45に対して枠体75の中央側にオフセットしていてもよい。この縦枠71は、双方の開放端縁45が、同幅の各小縁49に直角に曲がって接続する。枠体75の中央側にオフセットした一方の小縁49は、オフセット小縁側内板77に直角に曲がって接続する。他方の小縁49は、小縁側内板53に直角に曲がって接続する。オフセット小縁側内板77と小縁側内板53とは、直交段部55により接続される。直交段部55は、枠体17に取り付けられる扉の戸当たりとなる。
【0042】
オフセットした一方の開放端縁45と、他方の開放端縁45とには、アンカー部材79の垂直固定片57が固定される。この変形例2におけるアンカー部材79は、オフセット小縁側内板77に近接する側の端に、上述の支持片41を切り欠いた小片の支持片81を有する。支持片81は、縦枠71の内方において、開放端縁45とオフセット小縁側内板77との間に収まる大きさで形成されている。支持片81には、上述と同様の下穴61が形成されていてもよい。
【0043】
図7は、同変形例2に係る建具枠の構造を表す要部分解斜視図である。
枠体75は、下端に固定されたアンカー部材79の支持片81に、下方より支持枠部材19の透孔59を貫通したビス21がねじ込まれる。縦枠71は、オフセット小縁側内板77が、アンカー部材79の支持片81に固定された支持枠部材19に載置された状態となる。すなわち、各縦枠71は、荷重を支持枠部材19に支持することができる。支持枠部材19は、真直な鋼材などからなり、その長さ(寸法)を枠体75の外寸法と同等となるよう設定することができる。図6に示す例では、オフセット小縁側内板77側の開放端縁45における枠体75の左右幅寸法とされる。この建具枠の構造によれば、アンカー部材79の支持片81を小片で形成したので、図6に示すように、枠体75のオフセットした一対の開放端縁45に、直交段部55の内側面と支持片41とが干渉しないようにしてアンカー部材79を取り付けることができる。なお、支持片81の位置は、垂直固定片57に対して一方の端部側に限らず、やや内寄りの位置など垂直固定片57の長手方向に対しいずれの位置で設けられることとしてもよい。
【0044】
なお、上述した各例での枠体17、67、75は、三方枠である場合を説明したが、建具枠の構造は、枠体が四方枠であってもよい。この場合、四方枠は、左右一対の縦枠25の下端に、開口部15を挟む内外方向の幅を縦枠25の同方向の幅よりも狭い細幅で形成したくつずりとなる下枠(不図示)が連結固定される。建具枠の構造では、この下枠に沿って支持枠部材19が左右一対の縦枠25の下端に取り付けられる。このように、建具枠の構造によれば、細い下枠(くつずり)に沿って、縦枠25の下端同士に渡って支持枠部材19が取り付けられることにより、下辺部に強度が十分ではない下枠を有した四方枠であっても、高強度な矩形に枠組みすることができる。
【0045】
次に、第2実施形態に係る建具枠の構造を説明する。
【0046】
図8は、第2実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠83の要部平断面図である。なお、第2実施形態においては図1図7に示した部材・部位と同等の部材・部位に同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第2実施形態に係る建具枠の構造は、第1実施形態の変形例2とほぼ同じ縦枠71が用いられる。異なる点は、建具枠83における枠体85の縦枠71に固定される最下端のアンカー部材37である。第2実施形態に係る建具枠の構造では、最下端のアンカー部材37を含めて全てが同一の短冊板に形成したアンカー部材37となる。すなわち、最下端のアンカー部材37は、垂直固定片57のみで水平な支持片41(図4参照)を一体に有していない。
【0047】
図9は、同第2実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠83の要部分解斜視図である。
一方、建具枠83における支持枠部材87は、長手方向の両端に、起立片89と水平固定片91とからなるL字金具93が固定される。L字金具93は、水平固定片91が支持枠部材87の端に固定されることで、支持枠部材87の両端から起立片89が起立する。この起立片89には、ビス21の貫通する透孔59が穿設される。また、最下端のアンカー部材37には、ビス21のねじ込まれる下穴61が穿設されていてもよい。
【0048】
この第2実施形態に係る建具枠の構造では、支持枠部材87の両端で起立した起立片89が、外方より透孔59に貫通したビス21により、最下端のアンカー部材37の下穴61に螺着される。これにより、この建具枠の構造では、三方枠が、各縦枠71の下端に螺着された支持枠部材87により、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。アンカー部材37の下穴61は、ビス21の螺合が解除されて、支持枠部材87が外された後、枠体75を建物躯体13に固定すれば、開口部15の内周縁23に覆われるので、縦枠71の下端が床面35に載る場合であっても露出することがなく、見栄えを低下させることがない。また、ビス21は、縦枠71の外側面で横方向から螺合解除できるので、縦枠71の下端面にねじ込まれたビス21を外すのに比べ、支持枠部材87の取り外し作業を容易にすることができる。
【0049】
なお、L字金具93は、支持枠部材87に対して、溶接による固定でも良く、ビスによる固定やリベットによる固定などとしてもよい。ビス固定とすれば、アンカー部材37との固定のためのビス21とは別構成となり部品点数が増えるものの、L字金具93の傾きなどを調整でき、またL字金具93をアンカー部材37に固定したまま、L字金具93から支持枠部材87を取り外すことも可能となる。
【0050】
図10は、第2実施形態の変形例1に係る建具枠の構造の要部平断面図である。
第2実施形態の変形例1に係る建具枠の構造は、建具枠95における枠体85が、縦枠71を有する。縦枠71の最下端のアンカー部材37には、2つの支持枠部材87が固定される。2つの支持枠部材87は、壁部29の壁厚方向に離間して平行に配置される。縦枠71は、開放部43を挟む一対の開放端縁45の一方が、左右の縦枠71で接近する方向にオフセットしている。このため、2つの支持枠部材87は、オフセット側に取り付けられるものが短く、オフセットしていない側に取り付けられるものが長くなっている。この建具枠の構造によれば、壁部29の壁厚方向の寸法が大きい縦枠71を有する枠体85の場合に強度を高めることができる。なお、さらに壁厚方向の寸法が大きい縦枠71である場合には、支持枠部材87を3本など強度を得られる本数で設定し取り付けることとしてもよい。
【0051】
なお、この図10に示すような、支持枠部材87を複数本で構成する例においては、上述した各実施形態、各変形例においても適用可能であり、縦枠等など枠体17、67、75、85の寸法や形状に合わせて、支持枠部材19、87を増減させ、枠体としての強度を得られるように構成しても良い。
【0052】
次に、第3実施形態に係る建具枠の構造を説明する。
【0053】
図11は、第3実施形態に係る建具枠の構造を有する建具枠97の要部平断面図である。なお、第3実施形態においては図1図10に示した部材・部位と同等の部材・部位に同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第3実施形態に係る建具枠の構造は、床31が施工される前の例えばスラブ33を有する建物躯体13に適用される。すなわち、建具枠97は、下端が、床面35(図12参照)よりも下に埋まって施工される。建具枠97は、支持枠部材19の両端が左右一対の縦枠99の各下端である一方の小縁49に対して直接、ビス21にて固定される。なお、縦枠99は、最下端にアンカー部材37やアンカー部材39、アンカー部材79を必須に設ける必要がない点が、他の縦枠と異なる。このため、建具枠97は、製造コストを安価にできる。
【0054】
図12は、図11に示した建具枠97の要部側面図である。
第3実施形態に係る建具枠の構造は、ビス21がねじ込まれる縦枠25の取付穴(ねじ穴)位置が、枠体75を建物躯体13に固定した後、床31が形成された際に床面35の下に埋まる位置である。建具枠97は、枠体75の開口部15への取り付け時に、ビス21が取り除かれ、縦枠71から支持枠部材87が取り外される。
【0055】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0056】
本実施形態に係る建具枠の構造では、枠体17における左右一対の縦枠25の下端同士に、真直で長尺な支持枠部材19が架け渡され、支持枠部材19の両端はビス21により各縦枠25の下端に螺着される。これにより、三方枠や四方枠は、開放または脆弱部となる縦枠25の下端同士の間が、支持枠部材19により連結固定され、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、三方枠や四方枠は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
【0057】
そして、枠体17における左右一対の縦枠25の下端同士を連結する支持枠部材19は、両端がビス21により螺着されるので、製造現場、建物躯体取り付け現場において溶接を使用せず、すなわち無火気となり、ビス21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。特に、建物躯体取り付け現場では、ドライバー1本で簡単に外すことが可能となる。このため、両端が溶接された支持枠部材19を、現場にて、サンダーやグラインダーを使って外す必要がなくなる。また、支持枠部材19をサンダーで外した後、グラインダーかけして錆止め補修を行うといった煩雑な手間もなくなり、施工の大幅な効率化が図れるようになる。
【0058】
また、この建具枠の構造では、ビス21により支持枠部材19を縦枠25の下端に螺着する取付穴位置が、床面35の下に埋まる位置となる。例えばドア枠は、床31から15mmくらいが、床面35よりも下となって埋まる。このため、縦枠25の下端から上側へ15mmくらいの範囲は、縦枠25の側面に取付穴位置が設けられても見えなくなる。この場合、縦枠側面の下端には、雌ねじを形成しておき、支持枠部材19の両端には、透孔59を開けておく。これにより、支持枠部材19を、取り付け、取り外しのしやすい縦枠25の側方より行うことが可能となる。この建具枠の構造では、支持枠部材19を固定するための特別な被固定部、例えばアンカー部材39が不要となり、支持枠部材19を直接縦枠に固定することができる。その結果、支持枠部材19を縦枠25にビス止めする取付穴位置が、床31が形成された際に床面35の下に埋まる縦枠25の下端であることで、ビス21の取り付け、取り外しを容易にしつつ、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0059】
また、この建具枠の構造では、枠体17における左右一対の縦枠25の下端に設けられたアンカー部材同士に、真直で長尺な支持枠部材19が架け渡され、支持枠部材19の両端はビス21により各アンカー部材39に螺着される。これにより、三方枠や四方枠は、開放または脆弱部となる縦枠25の下端同士の間が、支持枠部材19により連結固定され、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、三方枠や四方枠は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
【0060】
そして、枠体17における左右一対の縦枠25の下端同士を連結する支持枠部材19は、両端がビス21によりアンカー部材39に螺着されるので、製造現場、建物躯体取り付け現場において溶接を使用せず、すなわち無火気となり、ビス21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。特に、建物躯体取り付け現場では、ドライバー1本で簡単に外すことが可能となる。このため、両端が溶接された支持枠部材19を、現場にて、サンダーやグラインダーを使って外す必要がなくなる。また、支持枠部材19をサンダーで外した後、グラインダーかけして錆止め補修を行うといった煩雑な手間もなくなり、施工の大幅な効率化が図れるようになる。
【0061】
支持枠部材19の螺着されるアンカー部材39は、枠体17と建物躯体側とを接続するための介在部材である。アンカー部材39は、縦枠25の建物躯体13に対向する外側面に、縦枠25に沿って連続ではなく、所定ピッチごとに複数が配設されている。支持枠部材19の固定されるアンカー部材37は、このうち、最下端のアンカー部材39のみが利用される。
【0062】
アンカー部材39には、穴は無く、つまり下穴61を設けず、ビス21をタッピングねじとしてもよい。或いは下穴61を開けておいて、この下穴61にタッピングねじをねじ込んでもよい。
【0063】
支持枠部材19を、枠体17のアンカー部材39に固定する建具枠の構造では、枠体17に必ず必要となる補強材としての高強度のアンカー部材39に、支持枠部材19をビス止めすることとなり、支持枠部材19の長さ(寸法)を枠体17の外寸法で設定することができ、支持枠部材19の加工の煩雑さがなくなる。その結果、三方枠や四方枠等の枠体17に対し、製造から設置までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材19を、無火気となって取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる。これに加え、支持枠部材19は、枠体17を建物躯体13に固定するためのアンカー部材39にビス止めされるので、ビス21の取り付け、取り外しを容易にしつつ、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0064】
また、この建具枠の構造では、支持枠部材19の固定される最下端のアンカー部材39には、表裏面が水平面に沿うように延設された支持片41が、縦枠25の内方に向かって突出して設けられる。このアンカー部材39は、1曲げ(ひとまげ)加工してL字に形成されている。アンカー部材39は、その曲げた部分がねじ受けとなり、下方より支持枠部材19を貫通したビス21が締結される。アンカー部材39には、穴は無く、つまり下穴61を設けず、ビス21をタッピングねじとしてもよい。或いは下穴61を開けておいて、タッピングねじをねじ込んでもよい。
【0065】
この支持枠部材19をアンカー部材39に固定する建具枠の構造では、枠体17に必ず必要となる補強材としての高強度のアンカー部材39に、1曲げ追加し、その曲げた箇所に支持枠部材19をビス止めすることとなり、支持枠部材19の長さ(寸法)を枠体17の外寸法で設定することができ、支持枠部材19の加工の煩雑さがなくなる。また、アンカー部材39の螺着部分は、縦枠25の下端面側となるので、枠体17の建物躯体13への取り付け後には、見えなくなる。その結果、アンカー部材37が、縦枠25の上下の方向に沿って、所定のピッチで存在し、そのうち最下端のものが、1曲げ(L字に曲げ)加工した水平な支持片41となり、この支持片41に下方より支持枠部材19の端がビス止めできるので、枠体17の荷重を支持しやすい縦枠25の下端に、支持枠部材19を容易に固定できる。また、最下端のアンカー部材39における支持片41が取付穴位置となるので、施工後の見栄えを低下させることがない。
【0066】
また、この建具枠の構造では、枠体17が、下辺部に枠の存在しない三方枠となる。建具枠の構造では、この三方枠が、各縦枠25の下端に螺着された支持枠部材19により、高強度な閉じた矩形に枠組みされる。そのため、枠体17は、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
【0067】
そして、上述同様、支持枠部材19は、両端がビス21により縦枠25の下端に螺着されるので、ビス21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。このため、溶接を行った場合の煩雑な手間もなくなる。その結果、製造直後から現場搬入、設置までの間に変形の生じやすい三方枠において、枠の存在しない下辺部に、左右の縦枠25の下端に渡って支持枠部材19を固定するので、枠の無い一辺を補強して、枠体全体の変形を防止できる。また、ビス21の締結・締結解除のみで取り付け、取り外しが可能となるので、煩雑な手間をなくし、施工を大幅に効率化できる。
【0068】
さらに、この建具枠の構造では、枠体17が、下辺部にくつずりの設けられた四方枠となる。くつずりは、開口部15を挟む内外方向の幅を、縦枠25の同方向の幅よりも狭い細幅で形成した部材となる。上枠27は縦枠25とほぼ同じ断面形状であるが、くつずりとなる下枠は細く、しっかりした構造ではないので、四方枠であっても強固な固定構造になってない。
【0069】
そこで、この建具枠の構造では、補強として、細い下枠(くつずり)に沿って、縦枠25の下端同士に渡って支持枠部材19が取り付けられている。これにより、下辺部に強度が十分ではない下枠を有した四方枠であっても、高強度な矩形に枠組みされる。そのため、保管時や運搬時に作用する外力で変形や破損が生じない状態で、建物躯体13へ取り付けできるようになる。
【0070】
そして、上述同様、支持枠部材19は、両端がビス21により縦枠25の下端に螺着されるので、ビス21の締結・締結解除工具のみの使用で取り付け、取り外しが可能となる。このため、溶接を行った場合の煩雑な手間もなくなる。その結果、製造直後から現場搬入、設置までの間に変形の生じやすい四方枠において、強度の低い下枠の存在する下辺部に、左右の縦枠25の下端に渡って下枠に沿わして支持枠部材19を固定するので、低強度の下枠を補強して、枠体全体の変形を防止できる。
【0071】
従って、本実施形態に係る建具枠の構造によれば、三方枠や四方枠等の枠体17に対し、製造から建物躯体13への取り付け直前までの間、補強のために取り付けておく支持枠部材19や支持枠部材87を、無火気化によって取り付け・取り外しでき、もって、作業性の向上、安全性の向上及び所要時間の短縮化を図ることができる。
【符号の説明】
【0072】
11,65,73,83,95,97…建具枠
13…建物躯体
15…開口部
17,67,75,85…枠体
19,87…支持枠部材
21…締結部材(ビス)
23…内周縁
25,63,71,99…縦枠
27…上枠
31…床
35…床面
37,39,79…アンカー部材
41…支持片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12