(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146510
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20231004BHJP
B65H 9/14 20060101ALI20231004BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231004BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B65H9/00 A
B65H9/00 B
B65H9/14
G03G15/00 445
B65H5/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053718
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康伸
(72)【発明者】
【氏名】小池 克典
(72)【発明者】
【氏名】中田 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】廣江 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕丈
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
(72)【発明者】
【氏名】出口 宏治
(72)【発明者】
【氏名】松崎 好樹
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA03
2H072AA09
2H072AA13
2H072AA24
2H072AA29
2H072CA01
2H072CB03
2H072CB09
3F049AA02
3F049DA12
3F049DB04
3F049DB11
3F049EA24
3F049LA01
3F049LB01
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F102CA03
3F102CB02
3F102DA08
3F102DA14
3F102EA02
3F102FA02
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】シート搬送装置において、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制する。
【解決手段】シート搬送装置は、2組の移動搬送ロール対と、2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置される第二搬送ロール対と、上流側の移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に配置される複数の第三搬送ロール対と、シートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対とを備え、前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるとき、搬送中のシート部分の少なくとも一部を挟持しないように分離する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組の移動搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対の前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第一搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対と前記複数の第一搬送ロール対との間および前記複数の第一搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第一搬送ロール対の少なくとも一部は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、前記移動搬送ロール対よりも上流側に存在する搬送中のシート部分の少なくとも一部を挟持しないように分離するシート搬送装置。
【請求項2】
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能であって前記搬送方向に間隔をあけて配置される2組の移動搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置され、シートを挟持して搬送する単数または複数の第二搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対のうち前記搬送方向の上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対よりも前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第三搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間および前記複数の第三搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、前記上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在する搬送中のシート部分の少なくとも一部を挟持しないように分離するシート搬送装置。
【請求項3】
前記分離する第一搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している全ての第一搬送ロール対である請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記分離する第三搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している全ての第三搬送ロール対である請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記分離する第一搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している第一搬送ロール対のうち最下流の第一搬送ロール対を含む一部の第一搬送ロール対であり、
前記分離する第一搬送ロール対よりも上流側に存在して前記シート部分を挟持して分離しない複数の第一搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて前記シート部分を前記搬送空間内で湾曲させた状態にして搬送する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記分離する第三搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している第三搬送ロール対のうち最下流の第三搬送ロール対を含む一部の第三搬送ロール対であり、
前記分離する第三搬送ロール対よりも上流側に存在して前記シート部分を挟持して分離しない複数の第三搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて前記シート部分を前記搬送空間内で湾曲させた状態にして搬送する請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記分離する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対が移動しないときと前記移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、平常時の接触した状態にある請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記分離する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対が移動しないときと当該移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、平常時の接触した状態にある請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記複数の第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、少なくとも一部が湾曲している湾曲区間を有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路は、湾曲している請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記複数の第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、前記上流側の移動搬送ロール対から一定の区間が直線状に延びる直線区間で構成されている請求項10に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
シートが搬送される元になる搬送元部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、
を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が請求項1、3、5、7または9に記載のシート搬送装置で構成されている画像形成装置。
【請求項13】
シートが搬送される元になる搬送元部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、
を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が請求項2、4、6、8、10または11に記載のシート搬送装置で構成されている画像形成装置。
【請求項14】
前記搬送元部が、前記画像形成部を通過した後のシートの表裏面を反転させるシート反転部であり、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が、前記シート反転部から搬送されるシートを前記画像形成部に再送する再送路を含む請求項12または13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートを搬送しながら旋回させることによりシートの斜行を補正する斜行補正部と、斜行補正部の下流側においてシート搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、シート搬送方向と直交する方向のシートの位置を補正する横レジ補正部と、斜行補正部の上流側に設けられ、シート搬送方向と直交する方向に移動可能なシート搬送補助部と、を有するシート搬送装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、そのシート搬送装置が、斜行補正部によるシートの斜行補正を行った後に、横レジ補正部がシート搬送方向と直交する方向にシートを移動して位置補正を行うときに、シート搬送補助部が、横レジ補正部と同期して該横レジ補正部と同一の方向に移動することが記載されている。
さらに、特許文献1には、上記シート斜行補正部は、シート搬送方向に直交した線上に独立して配置された2つのシート搬送回転体対であって、各搬送回転体対のシート搬送速度の差によりシートの斜行を補正し、その各シート搬送回転体対は、シートの斜行の補正後に圧接が解除されることも記載されている。
【0004】
特許文献2には、シートを挟んでの搬送と、搬送方向に直交する幅方向への移動とが可能な挟持搬送部材対を二組備えるシート搬送装置が記載されている。
また、特許文献2には、そのシート搬送装置において、一枚の前記シートを二組の挟持搬送部材対で挟んだ状態で幅方向への移動を行い、幅方向への移動の後、二組の挟持搬送部材対のうちの搬送方向の上流側に位置する上流側挟持搬送部材対を形成する二つの挟持搬送部材を離間し、二組の挟持搬送部材対のうちの搬送方向の下流側に位置する下流側挟持搬送部材対で前記シートを搬送することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-1473号公報(請求項1,2、
図2)
【特許文献2】特開2019-147663号公報(請求項1、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、その複数の搬送ロール対が搬送中のシート部分を挟持して搬送速度の変更もなく搬送している場合に比べて、抑制できるシート搬送装置と画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組の移動搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対の前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第一搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対と前記複数の第一搬送ロール対との間および前記複数の第一搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第一搬送ロール対の少なくとも一部は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、前記移動搬送ロール対よりも上流側に存在する搬送中のシート部分の少なくとも一部を挟持しないように分離するシート搬送装置である。
【0008】
本発明(2)は、
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能であって前記搬送方向に間隔をあけて配置される2組の移動搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置され、シートを挟持して搬送する単数または複数の第二搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対のうち前記搬送方向の上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対よりも前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第三搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間および前記複数の第三搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、前記上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在する搬送中のシート部分の少なくとも一部を挟持しないように分離するシート搬送装置である。
【0009】
本発明(3)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記分離する第一搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している全ての第一搬送ロール対であるシート搬送装置である。
【0010】
本発明(4)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記分離する第三搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している全ての第三搬送ロール対であるシート搬送装置である。
【0011】
本発明(5)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記分離する第一搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している第一搬送ロール対のうち最下流の第一搬送ロール対を含む一部の第一搬送ロール対であり、
前記分離する第一搬送ロール対よりも上流側に存在して前記シート部分を挟持して分離しない複数の第一搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて前記シート部分を前記搬送空間内で湾曲させた状態にして搬送するシート搬送装置である。
【0012】
本発明(6)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記分離する第三搬送ロール対は、前記搬送中のシート部分を挟持している第三搬送ロール対のうち最下流の第三搬送ロール対を含む一部の第三搬送ロール対であり、
前記分離する第三搬送ロール対よりも上流側に存在して前記シート部分を挟持して分離しない複数の第三搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて前記シート部分を前記搬送空間内で湾曲させた状態にして搬送するシート搬送装置である。
【0013】
本発明(7)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記分離する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対が移動しないときと前記移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、平常時の接触した状態にあるシート搬送装置である。
【0014】
本発明(8)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記分離する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対が移動しないときと当該移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、平常時の接触した状態にあるシート搬送装置である。
【0015】
本発明(9)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記複数の第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、少なくとも一部が湾曲している湾曲区間を有しているシート搬送装置である。
【0016】
本発明(10)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路は、湾曲しているシート搬送装置である。
【0017】
本発明(11)は、上記発明(10)のシート搬送装置において、
前記複数の第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、前記上流側の移動搬送ロール対から一定の区間が直線状に延びる直線区間で構成されているシート搬送装置である。
【0018】
また、本発明(12)は、
シートが搬送される元になる搬送元部と、シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が上記発明(1)、(3)、(5)、(7)または(9)のシート搬送装置で構成されている画像形成装置である。
【0019】
本発明(13)は、
シートが搬送される元になる搬送元部と、シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送元部から前記画像形成にシートを搬送するシート搬送装置と、を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が上記発明(2)、(4)、(6)、(8)、(10)または(11)のシート搬送装置で構成されている画像形成装置である。
【0020】
本発明(14)は、上記発明(12)または(13)の画像形成装置において、
前記搬送元部が、前記画像形成部を通過した後のシートの表裏面を反転させるシート反転部であり、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が、前記シート反転部から搬送されるシートを前記画像形成部に再送する再送路を含む画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
上記発明(1)および(2)のシート搬送装置によれば、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、その複数の搬送ロール対が搬送中のシート部分を挟持して搬送速度の変更もなく搬送している場合に比べて、抑制できる。
【0022】
上記発明(3)によれば、分離する第一搬送ロール対が移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持している一部の第一搬送ロール対である場合に比べて、移動搬送ロール対の上流側を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを容易に抑制できる。
【0023】
上記発明(4)によれば、分離する第三搬送ロール対が上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持している一部の第三搬送ロール対である場合に比べて、分離する第三搬送ロール対の数を必要最小限にしたうえで、上流側の移動搬送ロール対の上流側を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを容易に抑制できる。
【0024】
上記発明(5)によれば、複数の第一搬送ロール対のうち分離する第一搬送ロール対の上流側でシート部分を挟持して分離しない複数の第一搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせないでシートを搬送するかまたはシートを引っ張り合って搬送する場合に比べて、移動搬送ロール対の上流側を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制できる。
【0025】
上記発明(6)によれば、複数の第三搬送ロール対のうち分離する第三搬送ロール対の上流側でシート部分を挟持して分離しない複数の第三搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせないでシートを搬送するかまたはシートを引っ張り合って搬送する場合に比べて、上流側の移動搬送ロール対の上流側を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制できる。
【0026】
上記発明(7)によれば、分離する第一搬送ロール対が移動搬送ロール対の移動しないときと移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに分離している場合に比べて、平常時におけるシートの安定した搬送が確保されやすくなる。
【0027】
上記発明(8)によれば、分離する第三搬送ロール対が2組の移動搬送ロール対の移動しないときと2組の移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに分離している場合に比べて、平常時におけるシートの安定した搬送が確保されやすくなる。
【0028】
上記発明(9)によれば、複数の第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路が湾曲区間を有していない場合に比べて、湾曲区間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが発生しやすい傾向があるが、その発生を抑制するこができる。
【0029】
上記発明(10)によれば、シート搬送装置における2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路が湾曲していない場合に比べて、2組の移動搬送ロール対どうし間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが発生しやすい傾向があるが、その発生を抑制するこができる。
【0030】
上記発明(11)によれば、第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路が上流側の移動搬送ロール対から一定の区間が直線区間で構成されていない場合に比べて、その一定の区間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制しやすくなる。
【0031】
また、上記発明(12)の画像形成装置によれば、シート搬送装置における1組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の第一搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、その複数の第一搬送ロール対が搬送中のシート部分を挟持して搬送速度の変更もなく搬送している場合に比べて抑制でき、そのシートへの画像の形成を正常に行いやすくなる。
【0032】
また、上記発明(13)の画像形成装置によれば、シート搬送装置における2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、上流側の移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の第三搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、その複数の第三搬送ロール対が搬送中のシート部分を挟持して搬送速度の変更もなく搬送している場合に比べて抑制でき、そのシートへの画像の形成を正常に行いやすくなる。
【0033】
上記発明(14)によれば、シート搬送装置の少なくとも一部として再送路を含めない場合に比べて、シート反転部から搬送されるシートの裏面への画像形成部での画像の形成位置を、シートの表面への画像形成部での画像の形成位置と整合させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施の形態1に係るシート搬送装置および画像形成装置の概要図である。
【
図2】
図1の画像形成装置に適用したシート搬送装置の概要図である。
【
図3】(A)は1組目の移動搬送ロール対の概要図、(B)は第一搬送ロール対等の概要図である。
【
図4】(A)は2組目の移動搬送ロール対の概要図、(B)は第三搬送ロール対の概要図である。
【
図5】(A)は分離可能な搬送ロール対の概要図、(B)は(A)の搬送ロール対の側方概要図である。
【
図6】シート搬送装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】(A)は軸方向にずれて搬送されたシートの搬送状態を示す説明図、(B)は1組の移動搬送ロール対を移動させたときのシートの状態を示す説明図である。
【
図8】反転搬送がないときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図9】1組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図10】(A)は
図9の搬送動作が行われたときのシートの搬送状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流の第一搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図11】反転搬送のときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図12】2組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図13】(A)は
図12の搬送動作が行われたときのシートの状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流の第三搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図14】実施の形態2における反転搬送がないときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図15】1組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図16】(A)は
図15の搬送動作が行われたときのシートの状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流から2番目の第一搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図17】反転搬送があるときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図18】実施の形態2において2組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図19】(A)は
図18の搬送動作が行われたときのシートの状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流から3番目の第三搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図20】(A)は1組の移動搬送ロール対を移動させただけで搬送を続行させたときの搬送不良の状態例を示す説明図、(B)は2組の移動搬送ロール対を移動させただけで搬送動作を続行させたときの搬送不良の状態例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
実施の形態1.
図1には、第1の実施の形態に係るシート搬送装置5および画像形成装置1の概要が示されている。
図2には、画像形成装置1に適用したシート搬送装置5の概要が示されている。
【0037】
(画像形成装置)
画像形成装置1は、
図1に示されるように、シート9が搬送される元になる搬送元部3と、シート9に画像を形成する画像形成部2と、搬送元部3から画像形成部2にシートを搬送するシート搬送装置5とを備えている。
シート9は、シート状の形態からなる媒体であって、シート搬送装置5により搬送することと画像形成部2において画像を形成することが可能な媒体である。
【0038】
また、画像形成装置1は、より具体的には、
図1に示されるように本体部10と、増設部15とで構成されている。
【0039】
本体部10は、所要の形状からなる筐体を有している。本体部10は、その筐体の内部に、画像形成部2と、搬送元部3の一例である第一供給部3Aと、シート搬送装置5を構成する最終搬送路51、排出路52、第一搬送路53、反転路54、再送路55、および第二搬送路56の一部、制御装置12等が配置されている。また、本体部10は、その筐体の側部に、排出されるシート9を収容する排出部11が配置されており、その筐体の上部または正面部に、図示しない操作部等が配置されている。
【0040】
増設部15は、所要の形状からなる筐体を有しており、本体部10の横に連結されている。増設部15は、その筐体の上部に、搬送元部3の別の一例である第二供給部3Bが配置されている。また、増設部15は、その筐体の内部に、搬送元部3のさらに別の一例である第三供給部3Cと、シート搬送装置5を構成する第二搬送路56および第三搬送路57等が配置されている。
【0041】
画像形成部2は、シート9に所望の画像を形成する機能を有する部分である。画像は、シート9に形成することが可能なものであれば種類、材質等について何ら限定されるものでなく、例えば、シート9に面状に形成される種類の像も含まれる。
実施の形態1では、例えば、電子写真方式等により現像剤で構成される画像を形成する画像形成部2が適用されている。
【0042】
電子写真方式等が適用される画像形成部2は、図示していないが、感光体等の像保持体、像保持体を帯電する帯電装置、帯電した像保持体を露光して静電潜像を形成する像露光装置等が配置されている。また、画像形成部2は、図示していないが、像保持体上の静電潜像を現像剤で現像して未定着の現像剤像を形成する現像装置、像保持体上の現像剤像をシート9に直接または間接的に転写する転写装置、シート9に転写された未定着の現像剤像をシート9に定着する定着装置等が配置されている。
【0043】
また、画像形成部2は、画像形成部2で形成された画像がシート9に転移させられる像転移部21を備えている。さらに、画像形成部2は、
図2に示されるように、シート9を像転移部21に導入させて通過させる搬送支持ロール25や図示しない搬送ガイド等が配置されている。
画像形成装置1では、シート搬送装置5により搬送されるシート9が像転移部21を通過するときに画像が転移される。
【0044】
搬送元部3は、搬送すべきシート9を収容して送り出す部分である。
実施の形態1では、搬送元部3の一例として、上記した第一供給部3A、第二供給部3B、第三供給部3C等が適用されている。なお、搬送元部3としては、後述する反転路54で構成されるシート反転部3Dも含まれる。
【0045】
第一供給部3Aは、所要の種類およびサイズからなるシート9Aを積載して収容する収容体、収容体からシート9Aを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。第二供給部3Bは、所要の種類およびサイズからなるシート9Bを積載して載せ置く載置部、載置部からシート9Bを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。第三供給部3Cは、所要の種類およびサイズからなるシート9Cを積載して収容する収容体、収容体からシート9Cを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。
シート9A,9B,9Cは、種類やサイズが互いに異なるものであるが、その一部または全部が互いに同じものであっても構わない。
【0046】
(シート搬送装置)
シート搬送装置5は、
図1や
図2に示されるように、画像形成部2で使用する種類、サイズ等からなるシート9を搬送元部3から繰り出して画像形成部2や他の所要の場所に搬送する機能を有した装置である。
実施の形態1に係るシート搬送装置5は、最終搬送路51、排出路52、第一搬送路53、反転路54、再送路55、第二搬送路56、第三搬送路57等を備えている。
【0047】
最終搬送路51は、シート9を画像形成部2に送り込むときの時期の調整や搬送姿勢の矯正を行いながら最終的に画像形成部2に送り込むよう搬送する経路である。
最終搬送路51は、1組の移動搬送ロール対61、複数の第一搬送ロール対711,712、複数の搬送ガイド対811,812等を備えている。ロール対は、シート9を挟持して搬送する接触し合う部分を形成して回転する一対のロールである。実施の形態1における最終搬送路51は、ほぼ直線状に延びる搬送路として設けられている。
【0048】
移動搬送ロール対61は、シート9を挟持して搬送することと搬送方向Cと交差する軸方向Dへ移動することが可能な一対の搬送ロールである。
移動搬送ロール対61は、
図3(A)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール61aおよび従動ロール61bと、駆動装置616と移動装置617を有している。
【0049】
駆動ロール61aは、所要の複数個に分割して構成されており、回転軸611に所要の間隔をあけて固定されている。従動ロール61bは、所要の複数個に分割して構成されており、回転軸612に所要の間隔をあけて固定または回転可能に取り付けられている。
実施の形態1では、駆動ロール711a,712aと従動ロール711b,712bのいずれも4個に分割しているが、その分割する数はこれに限定されない。この分割する数については、移動搬送ロール対61以外の他の搬送ロール対の場合も同様である。
回転軸611、612は、軸受613,614を介して支持フレーム67に回転可能に取り付けられている。
【0050】
また、従動ロール61bは、コイルスプリング等の付勢部材615による駆動ロール61aに向く付勢力を、支持フレーム67に変位可能に取り付けられた軸受614を介して受けている。これにより、従動ロール61bは、駆動ロール61aに所要の圧力で接触している。
【0051】
駆動装置616は、駆動モータ616Mからの回転動力を、回転軸611の一端部に取り付けたギア616aに伝達用ギア616bを介して伝達している。これにより、駆動装置616は、駆動ロール61aを所要の方向に回転させる。
【0052】
移動装置617は、支持フレーム67に取り付けたラック617aと、ラック617aに噛み合うピニオン617bと、ピニオン617bを回転させる回転動力を伝える駆動モータ617Mとを備えている。
移動装置617は、ピニオン617bを所要の方向に所要の量だけ回転させることにより、ラック617aを介して支持フレーム67を軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに所要の距離だけ移動させる。支持フレーム67は、シート搬送装置5の図示しない本体フレーム等に軸方向Dに移動可能に取り付けられている。
なお移動装置617は、実施の形態1における構成に限定されない。
【0053】
第一搬送ロール対711,712は、移動搬送ロール対61の搬送方向Cの上流側にシート搬送路を形成するよう間隔をあけて配置されて、シート9を挟持して搬送する複数の一対の搬送ロールである。
このうち第一搬送ロール対711は、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に最初に配置された最下流の第一搬送ロール対になる。
第一搬送ロール対711,712は、
図3(B)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール711a,712aおよび従動ロール711b,712bと、駆動装置706を有している。
ちなみに、第一搬送ロール対は、画像形成装置1に使用される搬送可能な最大長さのシート9が搬送されて移動搬送ロール対61に挟持されたとき、そのシート9のうち移動搬送ロール61よりも搬送方向Cの上流側に存在する部分9t(
図9(A)等を参照)を挟持することになる位置に配置されている複数の搬送ロール対を総称するものである。
【0054】
駆動ロール711a,712aは、複数個に分割して構成されており、回転軸701に所要の間隔をあけて固定されている。従動ロール711b,712bは、複数個に分割して構成されており、回転軸702に所要の間隔をあけて固定または回転可能に取り付けられている。実施の形態1では、駆動ロール711a,712aと従動ロール711b,712bのいずれも4個に分割しているが、その分割する数はこれに限定されない。
回転軸701、702は、軸受703,704を介して支持フレーム77に回転可能に取り付けられている。
【0055】
従動ロール711b,712bは、コイルスプリング等の付勢部材705による駆動ロール711a,712aに向く付勢力を、支持フレーム77に変位可能に取り付けられた軸受703,704を介してそれぞれ受けている。これにより、従動ロール711b,712bは、駆動ロール711a,712aに所要の圧力でそれぞれ接触している。
【0056】
駆動装置706は、駆動モータ707M1,707M2からの回転動力を、回転軸701、702の一端部に取り付けたギア706aに伝達用ギア706bを介して伝達する。これにより、駆動装置706は、駆動ロール61aを所要の方向に回転させる。
ちなみに、駆動装置706は、複数の搬送ロール対が間隔をあけて連続した状態で配置される場合、その各搬送ロール対に1つずつ配置する必要がある場合を除いて、複数の搬送ロール対をまとめて駆動する1つの共用の駆動装置として構成されたものでもよい。この点は、これ以降の他の複数配置される搬送ロール対の駆動装置についても同様である。
【0057】
搬送ガイド対811,812は、移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対711,712との間および複数の第一搬送ロール対711,712どうしの間にシート9の搬送空間50を形成するよう配置される複数の一対の案内部材である。
【0058】
搬送ガイド対811,812は、
図2に示されるように、移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対711,712との間および複数の第一搬送ロール対711,712どうしの間において、所要の間隔をあけて向き合うように配置されている。これにより、搬送ガイド対811,812は、その各間において所要の高さの空間からなる搬送空間50を形成している。
なお、搬送ガイド対811,812は、上記各間で同じ側に配置されている搬送ガイドどうしを一体にした案内部材で構成してもよい。また、搬送ガイド対811,812の一部は、専用の案内部材ではなく、最終搬送路51に接近して配置される他の部品の一部を案内面として利用するよう構成したものであってもよい。このように構成する点は、他の搬送ガイド対についても同様である。
【0059】
排出路52は、画像形成部2を通過したシート9を排出部11にむけて搬送する経路である。
排出路52は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対721~724と、複数の搬送ガイド対820等を備えている。搬送ロール対721~724は、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対820は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。
【0060】
第一搬送路53は、第一供給部3Aから送り出されるシート9Aを最終搬送路51まで搬送する経路である。
第一搬送路53は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対731~734と、搬送ガイド対830等を備えている。実施の形態1における第一搬送路53は、
図9に示されるように、一定の区間の一例である中間区間がほぼ直線状に延びる直線区間53Sからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である上流側の区間と下流側の区間が湾曲している湾曲区間53Cからなる搬送路として、設けられている。
【0061】
搬送ロール対731~734は、第一搬送路53を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。
搬送ガイド対830は、最終搬送路51側に配置される複数の搬送ガイド対831,832等で構成されており、また搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対830は、搬送方向Cの下流端部において搬送ガイド対831を介して最終搬送路51の搬送方向Cの上流端部に合流するよう接続されている。
【0062】
第二搬送路56は、第二供給部3Bから送り出されるシート9Bを最終搬送路51まで搬送する経路である。
第二搬送路56は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対761~764と、搬送ガイド対860等を備えている。実施の形態1における第二搬送路56は、一定の区間の一例である上流側の区間が湾曲している湾曲区間56Cからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である中間区間と下流側の区間がほぼ直線状に延びる直線区間56Sからなる搬送路として、設けられている。
【0063】
搬送ロール対761~764は、第二搬送路56を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。
搬送ガイド対860は、複数の搬送ガイド対で構成されており、また搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対860は、搬送方向Cの下流端部において最終搬送路51の搬送方向Cの上流端部に合流するよう接続されている。
【0064】
第三搬送路57は、第二供給部3Bから送り出されるシート9Cを最終搬送路51にむけて搬送する経路である。
第三搬送路57は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対771~773と、1つの搬送ガイド対871を除いて図示しない搬送ガイド対等を備えている。実施の形態1における第三搬送路57は、全区間が湾曲した搬送路として設けられている。
【0065】
搬送ロール対771~773は、第三搬送路57を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対871を含む図示しない搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対は、搬送方向Cの下流端部において第二搬送路56の途中の部分に合流するよう接続されている。
【0066】
反転路54は、画像形成部2を通過した後のシート9の表裏面を反転させるために搬送する経路である。
実施の形態1における反転路54は、反転させるシート9を反転路54に引き込むよう搬送する引き込み路54aと、引き込み路54aで引き込んだシート6を反転させて送り出すよう搬送する反転送り出し路54bとで構成されている。反転送り出し路54bでは、シート9を一時的に停止させて収容した状態になる。
【0067】
反転路54の引き込み路54aは、複数の搬送ロール対741~743と、図示しない複数の搬送ガイド対と、搬送先切替え材58a等を備えている。
搬送ロール対741~743は、搬送方向Cに沿って間隔をあけて引き込み路を形成するよう配置されており、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。図示しない搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対は、排出路52の途中の部分から分岐して本体部10の下方に延びる搬送空間を形成している。
【0068】
搬送先切替え材58aは、排出路52から引き込み路54aに分岐する部分に配置され、排出路52と反転路54の双方に一部が入り込んでシート9の搬送先を切り替えることが可能な部材である。
搬送先切替え材58aは、シート9を排出路52に搬送するよう誘導する排出切り替え位置と、シート9を反転路54に搬送するよう誘導する反転切り替え位置とのいずれかの位置に移動して停止するよう作動する。
【0069】
反転路54の反転送り出し路54bは、搬送ロール対744と、図示しない複数の搬送ガイド対と、搬送先切替え材58b等を備えている。
搬送ロール対744は、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっているとともに、回転方向を正逆の方向に切り替えられるようになっている。図示しない搬送ガイド対は、シート9の全長分を引き込み路54aからに引き込んで一旦収容した後に、そのシート9を引き込み時の搬送方向の後端から再送路55に送り出すから長さおよび形状からなる搬送空間を形成するようになっている。また、この搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。さらに、搬送ガイド対は、搬送方向Cの上流端側で再送路55に接続する分岐接続部を形成している。
【0070】
搬送先切替え材58bは、反転送り出し路54bの再送路55に接続するよう分岐する部分に配置され、引き込み路54aに一部が入り込んでシート9の搬送先を再送路55に切り替えることが可能な部材である。搬送先切替え材58bは、シート9を反転送り出し路54bに搬送するよう誘導する反転切り替え位置と、シート9を再送路55に搬送するよう誘導する再送切り替え位置とのいずれかの位置に移動して停止するよう作動する。
【0071】
再送路55は、反転路54で表裏面が反転されたシート6を最終搬送路51にむけて再び搬送する経路である。
【0072】
再送路55は、1組の移動搬送ロール対63、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される複数の第二搬送ロール対711,712,731、移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置される複数の第三搬送ロール対751~758、複数の搬送ガイド対811,812,831,832,851~858等を備えている。
実施の形態1における再送路55は、
図12等に示されるように、一定の区間の一例である上流側の区間が湾曲している湾曲区間55Cからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である中間区間と下流側の区間がほぼ直線状に延びる直線区間55Sからなる搬送路として、設けられている。再送路55の湾曲区間55Cは、第一搬送路53の湾曲区間55Cに合流して重複している。
【0073】
移動搬送ロール対63は、シート9を挟持して搬送することと搬送方向Cと交差する軸方向Dへ移動することが可能な一対の搬送ロールである。また、移動搬送ロール対63は、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対でもある。
【0074】
移動搬送ロール対63は、
図4(A)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール63aおよび従動ロール63bと、駆動装置636と移動装置637を有している。
【0075】
駆動ロール63aと従動ロール63bは、移動搬送ロール対61における駆動ロール61aと従動ロール63bと同様の構成になっている。
図4(A)における符号631、632は駆動ロール63aと従動ロール63bの各回転軸、符号635は付勢部材、符号67は支持フレームである。
【0076】
駆動装置636は、駆動モータ636Mからの回転動力を、回転軸613の一端部に取り付けたギア636aに伝達用ギア636bを介して伝達することにより、駆動ロール63aを所要の方向に回転させるようになっている。
【0077】
移動装置637は、支持フレーム67に取り付けたラック637aに、駆動モータ637Mからの回転動力を受けるピニオン637bが所要の方向に所要の量だけ回転することにより、支持フレーム67を軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに所要の距離だけ移動するようになっている。なお移動装置637は、実施の形態1における構成に限定されない。
【0078】
第二搬送ロール対711,712,731は、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される搬送ロール対である。
この第二搬送ロール対711,712,731は、上記した通りの構成(
図3(B)を参照)になっている。
【0079】
第三搬送ロール対751~758は、上流側の移動搬送ロール対63の搬送方向Cの上流側にシート搬送路を形成するよう間隔をあけて配置されて、シート9を挟持して搬送する複数の一対の搬送ロールである。このうち第三搬送ロール対751は、移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に最初に配置された最下流の第三搬送ロール対になる。
第三搬送ロール対751~758は、
図4(B)に第三搬送ロール対751~754が代表して示されるように、一対の関係になる駆動ロール751a,752a,753a,754aおよび従動ロール751b,752b,753b,754bと、駆動装置706を有している。
ちなみに、第三搬送ロール対は、画像形成装置1に使用される搬送可能な最大長さのシート9が搬送されて2組の移動搬送ロール対61,63に挟持されたとき、そのシート9のうち上流側の移動搬送ロール63よりも搬送方向Cの上流側に存在する部分9t(
図13(A)等を参照)を挟持することになる位置に配置されている複数の搬送ロール対を総称するものである。
【0080】
駆動ロール751a,752a,753a,754aおよび従動ロール751b,752b,753b,754bは、第一搬送ロール対711,712や第二搬送ロール711,712,713における駆動ロール711a,712a,713aと従動ロール711b,712b,731bと同様の構成(
図3(B)を参照)になっている。
駆動装置706は、第一搬送ロール対711,712や第二搬送ロール711,712,713における駆動装置706と同様の構成(
図3(B)を参照)になっている。
【0081】
また、シート搬送装置5においては、
図5に示されるように、第一搬送ロール対および第二搬送ロール対の双方に該当する搬送ロール対711,712,731と最下流の第三搬送ロール対751,752等が、平常時の接触し合う状態から分離することが可能な分離搬送ロール対としても構成されている。
これらの分離する搬送ロール対711,712,731,751,752等は、分離装置708を備えている。
【0082】
分離装置708は、回転軸708aに固定して取り付けられた押付けバー708bが偏心カム708eにより矢印P1で示す方向に下降するよう移動することで、従動ロール711b,712b,731b,751b,752b等の回転軸702を付勢部材705の付勢力に抗して回転軸701から遠ざかる方向に押し付ける。これにより、従動ロール711b,712b,731b,751b,752b等が、駆動ロール711a,712a,731a,751a,752a等から分離させられる。
揺動バー708cは、回転軸708aに固定して取り付けられている。揺動バー708cの自由端側には、カム受部708gが設けられている。偏心カム708eは、回動軸708fに固定して設けられている。回動軸708fは、ギア708hを介して駆動モータ709M1~M3,709M5の回転動力が伝達されて所要の方向に所要の角度だけ回動する。偏心カム708eは、回動軸708fより回動させられると、その大径部と小径部がカム受部708gに接触する。
【0083】
この分離装置708は、揺動バー708cが偏心カム708eにより矢印S1で示す方向に図示しない付勢部材の付勢力に抗して揺動させられると、押付けバー708bが矢印P1で示す方向に下降するよう移動させられる。これにより、回転軸702を回転軸701から遠ざかる方向に移動させる。
また、分離装置708は、揺動バー708cが偏心カム708eにより矢印S2で示す方向に揺動させられると、押付けバー708bが矢印P2で示す方向に上昇するよう移動させられる。これにより、回転軸702が回転軸701に近づける方向に移動させられて平常時の接触位置に戻る。
ちなみに、分離装置708は、複数の分離可能な搬送ロール対が間隔をあけて連続した状態で配置される場合、その各搬送ロール対に1つずつ配置する必要がある場合を除いて、複数の搬送ロール対をまとめて分離する1つの共用の分離装置として構成されたものでもよい。
【0084】
また、シート搬送装置5は、
図2に示されるように、第一通過センサ59a、第二通過センサ59b、第三通過センサ59cおよび位置ずれ検出器65が配置されている。
【0085】
第一通過センサ59は、最終搬送路51を搬送されるシート9の先端9sおよび後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことを検出する検出器である。この第一通過センサ59は、最終搬送路51のうち移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側でかつ画像形成部2の手前側になる位置に配置される。
第二通過センサ59bは、再送路55を搬送されるシート9の後端9eが移動搬送ロール対63を通過し終わったことを検出する検出器である。この第二通過センサ59bは、再送路55のうち移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの下流側の近傍の位置に配置される。
第三通過センサ59cは、反転路54を搬送されるシート9の後端9eが搬送先切替え材58bを通過し終わったことを検出する検出器である。この第三通過センサ59cは、反転路54のうち搬送先切替え材58bよりも搬送方向Cの下流側の近傍の位置に配置される。
第一通過センサ59、第二通過センサ59bおよび第三通過センサ59cとしては、例えば、光学式の検出センサが適用される。
【0086】
位置ずれ検出器65は、最終搬送路51を搬送されるシート9の軸方向(幅方向)Dの搬送基準線CPからのずれを検出する検出器である。この位置ずれ検出器65は、最終搬送路51のうち移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対のうち移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側で最初に配置された最下流の第一搬送ロール対711との間になる位置に配置される。
位置ずれ検出器65としては、例えば、画像読取センサ、画像処理装置等で構成される機器等が適用される。
【0087】
さらに、シート搬送装置5は、
図6に示されるように、制御部13を備えている。
【0088】
制御部13は、演算処理装置、記憶部、入出力装置等で構成されるマイクロコンピュータ等の機器で構成される。また、制御部13は、独立した制御装置として構成してもよいが、
図1に示されるように、画像形成装置1の全体の動作等を総括的に制御する制御装置12の一部の制御機能を担う部分として構成してもよい。
【0089】
制御部13は、
図6に示されるように、搬送駆動制御部501,ロール対移動駆動制御部502、ロール対分離駆動制御部503等が、情報の通信が可能に接続されている。
【0090】
搬送駆動制御部501は、各搬送路における搬送動作を制御する部分である。
この搬送駆動制御部501には、その制御対象として、最終搬送路駆動部510,第一搬送路駆動部530,第二搬送路駆動部560,第三搬送路駆動部570,排出路駆動部520,反転路駆動部540,再送路駆動部550,搬送路切替え駆動部580等が接続されている。
【0091】
最終搬送路駆動部510は、最終搬送路51の搬送動作に関する駆動部である。最終搬送路駆動部510は、例えば、移動搬送ロール対61の駆動モータ616Mや、第一搬送ロール対711,712等の駆動モータ707M1,707M2等で構成される。
第一搬送路駆動部530は、第一搬送路53の搬送動作に関する駆動部である。第二搬送路駆動部560は、第二搬送路56の搬送動作に関する駆動部である。第三搬送路駆動部570は、第三搬送路57の搬送動作に関する駆動部である。
【0092】
排出路駆動部520は、排出路52の搬送動作に関する駆動部である。反転路駆動部540は、反転路54の搬送動作に関する駆動部である。再送路駆動部550は、再送路55の搬送動作に関する駆動部である。
搬送路切替え駆動部580は、搬送先切替え材58a,58bの切り替え動作に関する駆動部である。
【0093】
ロール対移動駆動制御部502は、2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作に関する駆動部である。ロール対移動駆動制御部502は、駆動モータ617M,637M等で構成される。
【0094】
ロール対分離駆動制御部503は、分離可能な搬送ロール対711,712,713,751,752等の分離動作に関する駆動部である。ロール対分離駆動制御部503は、駆動モータ709M1,709M2,709M3,709M5,709M6等で構成される。
【0095】
また、制御部13は、
図6に示されるように、シートサイズ検出部14,第一通過センサ59a,第二通過センサ59b、第三通過センサ59c、位置ずれ検出器65、その他各種センサ16等が、情報の通信が可能に接続されている。
【0096】
シートサイズ検出器14は、画像形成装置1が入力される画像形成動作の指令情報に含まれるシート9のサイズ情報を取得する取得部として構成するか、あるいは、供給部3A,3B,3Cにおいて収容されるシート9A,9B,9Cのサイズを計測する計測器として構成される。
その他各種センサ16は、シート9の搬送動作等に必要な各種の情報をそれぞれ検出する各種のセンサ群である。
【0097】
(シートの搬送時における軸方向のずれを修正する動作)
ここで、シート搬送装置5においては、
図7(A)に例示されるように、最終搬送路51を搬送されるときのシート9(9A,9B,9C)が軸方向Dにおける位置が搬送基準線CLに対してずれて搬送されることがある。
【0098】
図7(A)に示されるシート搬送装置5は、例えば、最終搬送路51の軸方向Dにおける中央位置を搬送基準線CLにして、シート9の幅方向における中心位置を搬送基準線CLに合致させて搬送動作を行うセンタレジ方式を採用して場合を想定している。また、
図7(A)では、第一供給部3Aから送り出されるシート9が第一搬送路53を経由して最終搬送路51まで搬送された場合を想定している。
図7(A)等における符号Scを付した一点鎖線は、シート9の搬送時における幅方向の中央地点を結んだ中央線を示す。
【0099】
これに対して、シート搬送装置5では、位置ずれ検出器65で検出されたときの軸方向Dにおけるずれ量αがあれば、そのずれ量αを修正するよう移動搬送ロール対61がシート9を挟持したままで軸方向Dの所要の方向Da,Dbに所要の距離αだけ移動するように構成されている。
図7(B)では、移動搬送ロール対61が軸方向Dにおける所要の方向Dbに移動した場合が例示されている。
【0100】
また、シート搬送装置5では、再送路55から最終搬送路51に再送されたシート9の軸方向Dにおけるずれ量αが所定値M以上になると、
図13(A)や
図20(B)に示されるように、そのずれ量αを修正するよう2組の移動搬送ロール対61,63がシート9を挟持したままで軸方向Dの所要の方向Da,Dbに所要の距離αだけ移動するように構成されている。
図20(B)においても、2組の移動搬送ロール対61,63が軸方向Dにおける所要の方向Dbに移動した場合が例示されている。
【0101】
ところが、この移動の動作を行うシート搬送装置5では、1組の移動搬送ロール対61を軸方向Dに所要の距離αだけ移動したままで搬送動作を続行した場合、
図20(A)に例示されるようにシート9が搬送不良の状態になることがある。
すなわち、このときのシート9は、移動搬送ロール対61が移動したときに移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置された複数の第一搬送ロール対711,712,713の一部を通過中のシート部分(搬送時における後方の部分)が、斜行することや歪曲することがある。
【0102】
また、シート搬送装置5では、2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに所要の距離αだけ移動したままで搬送動作を続行した場合も、
図20(B)に例示されるようにシート9が搬送不良の状態になることがある。
この場合における搬送不良は、移動搬送ロール対61,63が移動したときに上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置された複数の第三搬送ロール対751,752,753の一部を通過中のシート部分が、斜行することや歪曲することがある。
【0103】
そして、これらの場合、そのシート9の後方の部分は、斜行や歪曲した状態で移動搬送ロール対61を通り抜けた後、画像形成部2の像転移部21に導入されて通過してしまう。この結果、画像形成装置1においては、そのシート9への画像の形成が所要の位置に正常に行われなくなる。
【0104】
(移動搬送ロール対を移動させるときの搬送動作に関する構成)
そこで、実施の形態1に係るシート搬送装置5は、
図8から
図10に示されるように、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置されている第一搬送ロール対711,712,731~734の少なくとも一部が、移動搬送ロール対61を軸方向Dに移動させるとき、移動搬送ロール対61よりも上流側に存在する搬送中のシート部分9tの少なくとも一部を挟持しないように分離するよう構成されている。
【0105】
また、このシート搬送装置5は、
図11から
図13に示されるように、上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置されている第三搬送ロール対751~757の少なくとも一部が、2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるとき、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在する搬送中のシート部分9tの少なくとも一部を挟持しないように分離するよう構成されている。
【0106】
上記分離する第一搬送ロール対は、移動搬送ロール対61よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持することになる位置に配置されている第一搬送ロール対になる。
ここでは、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側になる搬送区間を搬送中であるシート部分9tは、
図10に示すように、第一搬送ロール対711,712に挟持される予定になっている場合を想定して説明する。
このため、
図10に示す想定内容の場合であれば、搬送中のシート部分9tを挟持しないように分離する第一搬送ロール対は、第一搬送ロール対711,712の全て(双方)が該当する。
【0107】
また、上記分離する第三搬送ロール対は、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持することになる位置に配置されている第一搬送ロール対になる。
またここでは、上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側になる搬送区間を搬送中であるシート部分9tは、
図13に示すように、第三搬送ロール対751,752に挟持される予定になっている場合を想定して説明する。
このため、
図13に示す想定内容の場合であれば、搬送中のシート部分9tを挟持しないように分離する第三搬送ロール対は、第三搬送ロール対751,752の全て(双方)が該当する。
【0108】
シート搬送装置5においては、移動搬送ロール対61が軸方向Dに移動する場合、制御部13が、シート9のサイズ、移動搬送ロール対61から各第一搬送ロール対までの距離等に関する情報から、移動搬送ロール対61よりも上流側で搬送中のシート部分9tを挟持することになる対象の第一搬送ロール対を算出して把握する。
また、シート搬送装置5においては、2組の移動搬送ロール対61,63が軸方向Dに移動する場合、制御部13が、シート9のサイズ、移動搬送ロール対61から移動搬送ロール対63までの距離、移動搬送ロール対61から各第三搬送ロール対までの距離等に関する情報から、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側で搬送中のシート部分9tを挟持することになる対象の第三搬送ロール対を算出して把握する。
【0109】
ちなみに、分離する第一または第三の搬送ロール対における駆動ロールと従動ロールとが相対的に分離する度合いは、その搬送ロール対による挟持する力が搬送中のシート9に及ぶことがなく、シート9が軸方向に任意に移動し得る程度の隙間を形成できる程度であればよい。
【0110】
(シート搬送装置の搬送動作)
次に、シート搬送装置5における主な搬送動作について説明する。
【0111】
シート搬送装置5では、画像形成装置1による画像形成が行わると、その画像形成に使用される種類やサイズのシート9が収容されている搬送元部3のシート収容部から送り出される(
図8:ステップS110)。実施の形態1では、図面に第一供給部3Aからシート9(9A)が送り出される場合を示しているが、これは便宜的なものであって送り出されるシート9は第一供給部3Aから送り出されるシート9Aに限定されない。
この第一供給部3Aから送り出されたシート9(9A)は、第一搬送路53を経由して最終搬送路51まで搬送される。なお、
図7以降の図面において示されるシート9は、シート9A,9B,9Cのいずれかであるとする。
【0112】
続いて、制御部13において、シート9のサイズ情報が取得され(ステップS111)、またシート9が最終搬送路51内を通過するときに位置ずれ検出器65によるシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS112)。
【0113】
このときのずれ量αの検出は、シート9の先端9sが位置ずれ検出器65の測定域を通過するときに行われる。位置ずれ検出器65が検出した情報は制御部13に送られる。このずれ量αの検出が行われる間は、第一搬送路53および最終搬送路51の搬送動作は一時的に停止する。
【0114】
また、最終搬送路51に搬送されたシート9は、その先端9sが移動搬送ロール対61のロール間に突き当たって軸方向Dとほぼ平行になるよう矯正された後、移動搬送ロール対61のロール間に挟持されるよう少し搬送される。
【0115】
ステップS112のずれ量αの検出とほぼ同時に、制御部13において、分離する対象になる第一搬送ロール対についての算出が行われる(ステップS113)。
実施の形態1では、上記したようにシート部分9tを挟持することになる位置に配置された第一搬送ロール対711,712が算出される。
【0116】
そして、テップS112においてずれ量αが検出された場合は、1組の移動搬送ロール対61を軸方向Dに所要の距離αだけ移動させる(ステップS114)。この移動搬送ロール対61の移動動作は、制御部13がロール対移動駆動制御部502を介して駆動モータ617Mの駆動を制御することにより行わる。
【0117】
また、この移動搬送ロール対61の移動動作と同時または直前に、分離の対象になった第一搬送ロール対711,712の分離が行われる(ステップS115)。この分離は、制御部13がロール対分離駆動制御部503を介して分離装置708における駆動モータ709M1,709M2の駆動を制御することにより行われる。
【0118】
この移動搬送ロール対61の移動動作と第一搬送ロール対711,712の分離とが行われると、シート9は、
図10(A)に示されるように、移動搬送ロール対61に挟持された状態で軸方向Dに移動させられる。
この際、シート9の搬送中の部分9tは、第一搬送ロール対711,712により挟持されておらず開放された移動しやすい状態にある。これにより、シート9は、
図10(A)に示されるように、その全体が、移動搬送ロール対61と同期して軸方向Dに同じ距離だけ移動させられる。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、その中央線Scが搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。
【0119】
また、このときの移動搬送ロール対61の移動動作が終了すると、第一搬送路53、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作が再開される。
これにより、シート9は、軸方向Dにおけるずれが修正された状態で移動搬送ロール対61のみに挟持された状態で送り出され、画像形成部2に送り込まれるよう搬送される。
【0120】
続いて、第一搬送路53、最終搬送路51等の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9Aの後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS116)。
この際、シート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことは、その後端9eが第一通過センサ59aにより検出されることで確認される。
【0121】
ステップS116においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、移動搬送ロール対61が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻されるとともに、分離した第一搬送ロール対711,712が平常時の接触した状態に戻される(ステップS117)。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0122】
続いて、制御部13において、シート9に対する反転搬送がないか否かの判断が行われる(ステップ118)。
【0123】
ステップ118においてシート9に対する反転搬送がないと判断された場合は、シート9に対する搬送動作が終了する。
この場合は、片面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0124】
(反転搬送があるときの搬送動作)
一方、ステップ119においてシート9に対する反転搬送があると判断された場合は、その反転搬送が継続して行われる。
【0125】
反転搬送では、まず画像形成部2を通過して片面に画像が形成されたシート9が、排出路52の途中から搬送先切替え材58aにより反転路54に誘導される。
【0126】
この際、シート9は、反転路54の引き込み路54aを経て反転送り出し路54bまで矢印Cfで示す順方向(
図2,
図12を参照)に搬送されて送り込まれる。またこの際、シート9は、その後端9eが第三通過センサ59cで検出された段階で、反転送り出し路54b内で一時停止させられる。
【0127】
続いて、反転路54に搬送されたシート9は、反転送り出し路54bにおける搬送ロール対744が逆回転して、その後端9eから矢印Crで示す逆方向(
図2,
図12を参照)に搬送されるよう送り出される(
図11:ステップS120)。この場合、反転路54(の反転送り出し路54b)は、シート9の搬送元部になる。
これにより、シート9は、その表裏面が反転された状態で再送路55に送り込まれる。しかる後、その反転されたシート9は、再送路55を経由して最終搬送路51まで搬送される。
【0128】
続いて、制御部13において、その反転されたシート9が最終搬送路51内を通過するときに位置ずれ検出器65によるシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS121)。
【0129】
続いて、制御部13においてシート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであるか否かの判断が行われる(ステップS122)。
【0130】
このステップS122においてシート9は下流側の移動搬送ロール対61には挟持されるが上流側の移動搬送ロール対63で挟持されない長さであると判断された場合は、
図11に示されるように、上記したステップS114(
図8を参照)に移行する。
この場合、シート9は、
図8に示されるステップS114からS118の搬送動作を受けることになる。
【0131】
一方、ステップS122においてシート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであると判断された場合は、制御部13においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分(搬送時の後方の部分)9tがあるか否かの判断が行われる(ステップS123)。
【0132】
このステップS123においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分9tがあると判断された場合は、搬送速度を増速する対象になる第三搬送ロール対について算出する(ステップS124)。このときのシート9は、2組の移動搬送ロール対61,63の双方に挟持されたうえで、第三搬送ロール対751から757の一部にも挟持される程に比較的長いシート、いわゆる長尺なシートになる。
実施の形態1では、上記した想定の場合のようにシート部分9tを挟持することになる位置に配置された第三搬送ロール対751,752が算出される。
【0133】
ステップS124における算出が終了した後は、2組の移動搬送ロール対61,63の双方を軸方向Dに所要の距離αだけそれぞれ移動させるとともに、2組の移動搬送ロール対61,63間に配置された第二搬送ロール対711,712,731を分離させる(ステップS125)。
2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作は、制御部13がロール対移動駆動制御部502を介して移動装置637における駆動モータ617M,637Mの各駆動を制御することにより行わる。また、第二搬送ロール対711,712,731の分離動作は、制御部13がロール対分離駆動制御部503を介して分離装置708における駆動モータ709M1,709M2,709M3の各駆動を制御することにより行わる。
【0134】
2組の移動搬送ロール対61,63の移動時には、第二搬送ロール対711,712,731が分離される。
これにより、シート9は、2組の移動搬送ロール対61,63に挟持されていた部分が、第二搬送ロール対711,712,731による挟持がなくなり、2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作に伴って軸方向Dに円滑に移動させられる。
【0135】
また、この2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作と同時または直前に、分離の対象になった第三搬送ロール対751,752の分離が行われる(ステップS126)。この分離は、制御部13がロール対分離駆動制御部503を介して分離装置708における駆動モータ709M5,709M6の駆動を制御することにより行われる。
【0136】
この移動搬送ロール対61,63の移動動作と第二搬送ロール対711,712,731の分離と第一搬送ロール対711,712の分離とが行われると、シート9は、2組の移動搬送ロール対61,63に挟持された状態で軸方向Dに移動させられる。
この際、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側にあるシート9の搬送中のシート部分9tも、第三搬送ロール対751,752により挟持されておらず開放された移動しやすい状態にある。これにより、シート9は、
図13(A)に示されるように、その全体が、移動搬送ロール対61,63と同期して軸方向Dに同じ距離だけ移動させられる。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、その中央線Scが搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。
【0137】
また、このときの移動搬送ロール対61,63の移動動作が終了すると、再送路55、第一搬送路53、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作が再開される。
これにより、シート9は、軸方向Dにおけるずれが修正された状態で移動搬送ロール対61,63に挟持されて搬送され、最後に移動搬送ロール対61にのみ挟持された状態で最終搬送路51から送り出され、画像形成部2に送り込まれるよう搬送される。
【0138】
続いて、再送路55、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS127)。
この際、シート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことは、その後端9eが第一通過センサ59aにより検出されることで確認される。
【0139】
ここで、ステップS123においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分がないと判断された場合は、
図11に示されるように、ステップS124の動作に移行せず、ステップS125の動作に移行する。
また、この場合、ステップS125の動作を終了した後は、
図11に示されるように、ステップS126の動作に移行せず、ステップS127の動作に移行する。
【0140】
ステップS127においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、2組の移動搬送ロール対61,63が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻されるとともに、第二搬送ロール対711,712,731と第三搬送ロール対751,752の分離が解除されて平常時の接触した状態に戻される(ステップS128)。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0141】
以上により、反転搬送されたシート9は、その反転された反対面の裏面に画像形成部2において画像が形成される。また、反対面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0142】
以上説明したように、このシート搬送装置5では、シート9を1組の移動搬送ロール対61または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、移動搬送ロール対61,63よりも上流側に配置される複数の第一搬送ロール対711,712等または第三搬送ロール対751,752等の一部または全部を通過中のシート部分9tが斜行することや歪曲することが抑制される。
詳しくは、シート搬送装置5では、その複数の第一搬送ロール対または第三搬送ロール対が搬送中のシート部分9tを挟持して搬送速度の変更もなく搬送する場合に比べると、上記した通過中のシート部分9tが斜行することや歪曲することが抑制される。
【0143】
また、このシート搬送装置5では、分離する第一搬送ロール対について、移動搬送ロール対61よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している全ての第一搬送ロール対(711,712)を対象にしている。また、分離する第三搬送ロール対については、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している全ての第三搬送ロール対(751,752)を対象にしている。
これにより、分離する第一搬送ロール対が移動搬送ロール対61よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している一部の第一搬送ロール対(例えば第一搬送ロール対711のみ)である場合や、分離する第三搬送ロール対が上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している一部の第三搬送ロール対(例えば第三搬送ロール対751のみ)である場合に比べると、シート部分9tが斜行することや歪曲することが容易に抑制される。
【0144】
さらに、このシート搬送装置5を適用した画像形成装置1では、シート搬送装置5において1組の移動搬送ロール対61または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、シート9のうち複数の第一搬送ロール対711,712等または第三搬送ロール対751~758の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが上記の通り抑制できる。これにより、画像形成装置1では、そのシート9への画像の形成を画像形成部2において正常に行いやすくなる。
【0145】
また、画像形成装置1では、シート搬送装置5が再送路55を含めて構成している。このため、シート搬送装置5が再送路55を含めていない場合に比べると、シート反転部である反転路64から搬送されるシート6の裏面への画像形成部2での画像の形成位置を、シート6の表面への画像形成部2での画像の形成位置と整合させやすくなる。
【0146】
実施の形態2.
図14から
図19には、実施の形態2に係るシート搬送装置5等が示されている。
【0147】
第2の実施の形態に係るシート搬送装置5は、第1の実施の形態に係るシート搬送装置5と対比した場合、以下に説明するように搬送動作の一部を変更した点で相違し、その点以外の部分は同じ構成になっている。
このため以下の説明と図面では、共通する同じ構成部分については第1の実施の形態で用いた符号を同様に付し、その説明を必要な場合を除いて省略する。
【0148】
実施の形態2に係るシート搬送装置5では、分離する第一搬送ロール対について、移動搬送ロール対61よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している第一搬送ロール711,712,・・・等のうち最下流に配置されている最下流の第一搬送ロール対711を含む一部の第一搬送ロールにするよう構成している。しかも、この場合、シート搬送装置5では、その分離する第一搬送ロール対よりも上流側に存在してシート部分9tを挟持して分離しない複数の第一搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて当該第一搬送ロール対どうしの間でシート部分9tを搬送空間50内で湾曲させた状態にして搬送するよう構成している。
実施の形態2では、
図14および
図15に示されるように、上記分離する第一搬送ロール対が最上流の第一搬送ロール対711のみとなり、かつ、上記分離しない複数の第一搬送ロール対が最上流から2番目および3番目の第一搬送ロール対712,731になる場合を想定して説明する。
【0149】
また、このシート搬送装置5では、分離する第三搬送ロール対について、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持している第三搬送ロールのうち最下流に配置されている最下流の第三搬送ロール対751を含む一部の第三搬送ロールにするよう構成している。しかも、この場合、シート搬送装置5では、その分離する第三搬送ロール対よりも上流側に存在してシート部分9tを挟持して分離しない複数の第三搬送ロール対どうしが、搬送速度の差を生じさせて当該第一搬送ロール対どうしの間でシート部分9tを搬送空間50内で湾曲させた状態にして搬送するよう構成している。
実施の形態2では、
図18および
図19に示されるように、上記分離する第三搬送ロール対が最上流の第三搬送ロール対751と最上流から2番目の第三搬送ロール対752とになり、かつ、上記分離しない複数の第三搬送ロール対が最上流から3番目および4番目の第三搬送ロール対753,754になる場合を想定して説明する。
【0150】
さらに、シート搬送装置5では、上記分離しない第一搬送ロール対712,731どうし間における搬送速度の差について、搬送駆動制御部501において、最下流の第一搬送ロール対711の搬送速度を平常時の搬送速度V1に保ったうえで、最下流から2番目の第一搬送ロール対712の搬送速度を平常時の搬送速度V1よりも増速させた高速の搬送速度V2(>V1)に変更するという制御を行うことで生じさせるよう予め設定される。
また、シート搬送装置5では、上記分離しない第三搬送ロール対753,754どうし間における搬送速度の差について、搬送駆動制御部501において、最下流から3番目の第三搬送ロール対753の搬送速度を平常時の搬送速度V1に保ったうえで、最下流から4番目の第三搬送ロール対754の搬送速度を平常時の搬送速度V1よりも増速させた高速の搬送速度V2(>V1)に変更するという制御を行うことで生じさせるよう予め設定される。
【0151】
このときの最下流から2番目の第一搬送ロール対712の高速の搬送速度V2は、湾曲した状態になるシート部分が、第一搬送ロール対712,731の間に存在する搬送ガイド対831に接触しないようにする速度か、あるいは軽く接触する程度になる速度に設定される。また、最下流から4番目の第三搬送ロール対754の高速の搬送速度V4についても、第三搬送ロール対753,754の間に存在する搬送ガイド855を基準にした同様の観点から設定される。
第一搬送ロール対712の高速の搬送速度V2と第三搬送ロール対754の高速の搬送速度V4は、同じ速度に設定されるが、異なる速度に設定してもよい。
【0152】
(シート搬送装置の搬送動作)
次に、実施の形態2に係るシート搬送装置5における主な搬送動作について説明する。
【0153】
シート搬送装置5では、画像形成装置1による画像形成が行わると、その画像形成に使用される種類やサイズのシート9が収容されている搬送元部3のシート収容部から送り出される(
図14:ステップS130)。実施の形態2では、実施の形態1の場合と同様に、便宜上図面に第一供給部3Aからシート9(9A)が送り出される場合を示している。
この第一供給部3Aから送り出されたシート9(9A)は、第一搬送路53を経由して最終搬送路51まで搬送される。なお、
図15以降の図面において示されるシート9は、シート9A,9B,9Cのいずれかであるとする。
【0154】
続いて、制御部13において、シート9のサイズ情報が取得され(ステップS131)、またシート9が最終搬送路51内を通過するときに位置ずれ検出器65によるシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS132)。
上記ずれ量αの検出が行われる間は、第一搬送路53および最終搬送路51の搬送動作は一時的に停止する。
【0155】
続いて、制御部13において、シート部分9tを挟持する第一搬送ロール対は3つ以上であるか否かの判断が行われる(ステップS133)。
【0156】
ステップS133において挟持する第一搬送ロール対は3つ以上であると判断された場合は、制御部13において、分離する対象および分離しない対象になる第一搬送ロール対について算出するとともに、搬送速度を増速する対象の第一搬送ロール対について算出する(ステップS134)。
【0157】
実施の形態2では、シート部分9tを挟持する第一搬送ロール対は、上記した想定した内容から第一搬送ロール対711,712,731の3つになる。
また、実施の形態2では、上記した想定した場合のように分離する対象として第一搬送ロール対711が算出され、分離しない対象として第一搬送ロール対712,731が算出される。さらに、実施の形態2では、増速の対象として第一搬送ロール対731が算出される。
【0158】
続いて、1組の移動搬送ロール対61を軸方向Dに所要の距離αだけ移動させる(ステップS135)。
また、移動搬送ロール対61の移動動作と同時または直前に、分離対象になった第一搬送ロール対711を分離し(ステップS136)、また増速対象になった第一搬送ロール対712の搬送速度を増速するよう変更する(ステップS137)。
【0159】
第一搬送ロール対711の分離動作は、制御部13がロール対分離駆動制御部503を介して駆動モータ709M1の駆動を制御することにより行われる。
第一搬送ロール対712の増速動作は、制御部13が搬送駆動制御部501を介して駆動モータ709M2の駆動を制御することにより行われる。
これらの動作が終了した後には、第一搬送路53、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作を再開する。
【0160】
この移動搬送ロール対61の移動動作と第一搬送ロール対711の分離と第一搬送ロール対731の増速が行われてシート9が搬送されると、シート9は、
図15(A)や
図16(A)に示されるように、第一搬送ロール対712よりも上流側の搬送空間50内において移動搬送ロール対61に挟持された状態で軸方向Dに移動させられるとともに、第一搬送ロール対712、731どうしの間の搬送空間50内で湾曲した状態で搬送される。
【0161】
この際、搬送中のシート部分9tは、第一搬送ロール対711により挟持されておらず開放された移動しやすい状態にある。また、シート部分9tは、第一搬送ロール対712、731どうしの間の搬送空間50内で湾曲した状態で動きやすい状態にある。
これにより、搬送中のシート部分9tは、
図16(A)に示されるように、その第一搬送ロール対712よりも搬送方向Cの下流側に存在する部分が、移動搬送ロール対61の移動にほぼ追従するように軸方向Dに移動し始める。
また、搬送中のシート部分9tは、その第一搬送ロール対712よりも搬送方向Cの上流側に存在する部分が、分離させない第一搬送ロール対712,731どうし間で搬送速度の差を生じさせないでシート9を搬送するかまたはシート9を引っ張り合って搬送する場合に比べると、その第一搬送ロール対712,731どうし間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが抑制されるようになる。
【0162】
そして、搬送中のシート部分9tは、第一搬送ロール対712の挟持から解放されて通過するとき、
図16(B)に示されるように、その後端9eが同図に実線で例示するように軸方向Dに対して少し傾いた状態から同図に二点鎖線で示されるように軸方向Dのずれが解消された状態になって移動搬送ロール対61に移動する。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、その中央線Scが搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。その後、シート9は、移動搬送ロール対61により最後に搬送され、もって画像形成部2に送り込まれる。
【0163】
ステップS133において挟持する第一搬送ロール対は3つより少ないと判断された場合は、ステップS134以後の搬送動作に移行することができないため、
図8に示されるステップS113に移行した搬送動作が行われる。
【0164】
続いて、第一搬送路53、最終搬送路51等の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9Aの後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS138)。
【0165】
ステップS139においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、移動搬送ロール対61が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻され、また最下流の第一搬送ロール対711の分離を解除して平常時の接触した状態に戻され、さらに最下流から3番目の第一搬送ロール対731の搬送速度が平常時の速度(V1)に戻される(ステップS139)。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0166】
続いて、制御部13において、シート9に対する反転搬送がないか否かの判断が行われる(ステップ140)。
【0167】
ステップ140においてシート9に対する反転搬送がないと判断された場合は、シート9に対する搬送動作が終了する。
この場合は、画像形成部2において片面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0168】
(反転搬送があるときの搬送動作)
一方、ステップ140においてシート9に対する反転搬送があると判断された場合は、その反転搬送が継続して行われる。
反転搬送では、まず画像形成部2を通過して片面に画像が形成されたシート9が、排出路52の途中から搬送先切替え材58aにより反転路54に誘導される。
【0169】
続いて、反転路54に搬送されたシート9は、反転送り出し路54bにおける搬送ロール対744が逆回転して、その後端9eから矢印Crで示す逆方向(
図2,
図12を参照)に搬送されるよう送り出される(
図17:ステップS160)。この場合、反転路54(の反転送り出し路54b)は、シート9の搬送元部になる。
これにより、シート9は、その表裏面が反転された状態で再送路55に送り込まれる。しかる後、その反転されたシート9は、再送路55を経由して最終搬送路51まで搬送される。
【0170】
続いて、制御部13において、その反転されたシート9が最終搬送路51内を通過するときにシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS161)。
【0171】
続いて、制御部13において、シート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであるか否かの判断が行われる(ステップS162)。
【0172】
このステップS162においてシート9は下流側の移動搬送ロール対61には挟持されるが上流側の移動搬送ロール対63で挟持されない長さであると判断された場合は、
図17に示されるように、上記したステップS133(
図14を参照)に移行する。
この場合は、シート9は、
図14に示されるステップS133からS140の搬送動作を受けることになる。
【0173】
一方、ステップS162においてシート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであると判断された場合は、制御部13においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分9tがあるか否かの判断が行われる(ステップS163)。
このときのシート9も、上記したような長尺なシートになる。
【0174】
このステップS163においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分9tがあると判断された場合は、そのシート部分9tを挟持する第三搬送ロール対は3つ以上あるか否かの判断が行われる(ステップS164)。
【0175】
ステップS165においてシート部分9tを挟持する第三搬送ロール対は3つ以上あると判断された場合は、分離する対象および分離しない対象になる第三搬送ロール対について算出するとともに、搬送速度を増速する対象になる第三搬送ロール対について算出する(ステップS166)。
【0176】
実施の形態2では、このときのシート部分9tを挟持する第一搬送ロール対は、上記した想定の場合のように第三搬送ロール対751~754の4つになる。
また、実施の形態2では、上記した想定の場合のように分離する対象として第三搬送ロール対751,752が算出され、分離しない対象として第三搬送ロール対753,754が算出される。さらに、実施の形態2では、増速の対象として第三搬送ロール対754が算出される。
【0177】
ステップS166における算出が終了した後は、2組の移動搬送ロール対61,63の双方を軸方向Dに所要の距離αだけそれぞれ移動させるとともに、2組の移動搬送ロール対61,63間に配置された第二搬送ロール対711,712,731を分離させる(ステップS166)。
【0178】
また、この2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作と同時または直前に、分離対象になった第三搬送ロール対751,752を分離し(ステップS167)、増速対象になった最下流から4番目の第三搬送ロール対754の搬送速度を増速するよう変更する(ステップS168)。
これらの動作の後には、再送路55、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作を再開する。
【0179】
この2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作と第二搬送ロール対711,712,731の分離動作と第三搬送ロール対751,752の分離動作と第三搬送ロール対754の増速動作が行われてシート9が搬送されると、その搬送中のシート部分9tは、次のように搬送される。
すなわち、このときのシート部分9tは、
図18や
図19(A)に示されるように、上流側の移動搬送ロール対63から第三搬送ロール対752までの間の搬送空間50内において移動搬送ロール対61に挟持された状態で軸方向Dに移動させられるとともに、第三搬送ロール対753、754どうしの間の搬送空間50内で湾曲した状態で搬送される。
【0180】
この際、搬送中のシート部分9tは、第三搬送ロール対751,752により挟持されておらず開放された移動しやすい状態にある。また、シート部分9tは、第三搬送ロール対753、754どうしの間の搬送空間50内で湾曲した状態で動きやすい状態にある。
これにより、搬送中のシート部分9tは、
図19(A)に示されるように、第三搬送ロール対753よりも搬送方向Cの下流側に存在する部分が、移動搬送ロール対61,63の移動にほぼ追従するように軸方向Dに移動し始める。
また、搬送中のシート部分9tは、第三搬送ロール対753よりも搬送方向Cの上流側に存在する部分が、分離させない第三搬送ロール対753,754どうし間で搬送速度の差を生じさせないでシート9を搬送するかまたはシート9を引っ張り合って搬送する場合に比べると、その第三搬送ロール対753,754どうし間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが抑制されるようになる。
【0181】
そして、搬送中のシート部分9tは、第三搬送ロール対753の挟持から解放されて通過するとき、
図19(B)に示されるように、その後端9eが同図に実線で例示するように軸方向Dに対して少し傾いた状態から同図に二点鎖線で示されるように軸方向Dのずれが解消された状態になって上流側の移動搬送ロール対63にむけて移動する。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、その中央線Scが搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。その後、シート9は、移動搬送ロール対61により最後に搬送され、もって画像形成部2に送り込まれる。
【0182】
また、ステップS164において挟持する第三搬送ロール対は3つより少ないと判断された場合は、ステップS165の搬送動作に移行することができないため、ステップ166の動作に移行する。
また、この場合は、ステップ167の動作が終了した後または直前に、
図16に示されるように、シート部分9tを挟持する第三搬送ロール対751,752が分離される(ステップ167)。これにより、シート9は、実施の形態1における
図11で示す搬送動作が行われた場合とほぼ同様にして、軸方向Dにおけるずれが修正される。
【0183】
ステップS167の動作の後には、再送路55、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作を再開する。その後、シート9は、移動搬送ロール対61により最後に搬送され、もって画像形成部2に送り込まれる。
【0184】
続いて、再送路55、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS169)。
【0185】
ここで、ステップS163においてシート9は第三搬送ロール対751から757に挟持されるシート部分がないと判断された場合は、
図17に示されるように、ステップS164の動作に移行せず、ステップS167の動作に移行する。
また、この場合、ステップS166の動作を終了した後は、
図17に示されるように、ステップS167、S168の動作に移行せず、ステップS169の動作に移行する。
【0186】
ステップS169においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、移動搬送ロール対61が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻され、また第二搬送ロール対711,712,731の分離と第三搬送ロール対751,752の分離を解除して接触させられ、さらに第三搬送ロール対754の搬送速度が平常時の速度(V1)に戻される(ステップS170)。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0187】
以上の動作により、反転搬送されたシート9は、その反転された反対面の裏面に画像形成部2において画像が形成される。また、反対面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0188】
以上説明したように、このシート搬送装置5では、シート9を1組の移動搬送ロール対61または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、移動搬送ロール対61,63よりも上流側に配置される複数の第一搬送ロール対711,712等または第三搬送ロール対751,752等の一部または全部を通過中のシート部分9tが斜行することや歪曲することが抑制される。
【0189】
このため、このシート搬送装置5では、最下流の第一搬送ロール対711が分離しないロール対であり、一部の区間Eaが上記第二区間Ea2以外の区間である場合に比べると、搬送されるシート9のうち第一搬送ロール対711,712等の少なくとも一部を通過中のシート部分が、斜行することや歪曲することが抑制される。
【0190】
また、このシート搬送装置5では、分離する第一搬送ロール対または第三搬送ロール対よりも上流側に配置されている分離しない複数の第一搬送ロール対または第三搬送ロール対どうし間でシート9の部分を湾曲させた状態で搬送するようにしている。このため、その分離しない複数の第一搬送ロール対または第三搬送ロール対どうし間を通過中のシート部分が、斜行することや歪曲することが抑制される。
【0191】
変形例.
本発明は、上記各実施の形態で例示した構成例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を変更しない限りにおいて必要な変更や組み合わせをしてもよい。本発明は、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0192】
シート搬送装置5は、移動搬送ロール対として、上流側の移動搬送ロール対63がなく、1組の移動搬送ロール対61だけを備えるものであってよい。具体的には、例えば、再送路を備えないシート搬送装置であってもよい。
【0193】
シート搬送路の数や形態等の構成については、実施の形態1,2で例示した構成以外の構成であってもよい。
実施の形態1,2では、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される第一搬送ロール対として3つの搬送ロール対711,712,731が配置されている場合を例示した。しかし、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される第一搬送ロール対の数は、1つ(単数)であっても、3つ以外の複数であってもよい。
また、シートの搬送基準については、実施の形態1,2で例示したセンタレジ方式ではなく、例えば、いわゆるサイドレジ方式を採用してもよい。サイドレジ方式の搬送は、最終搬送路51の軸方向Dにおける左右端のいずれか一方の一端を端部搬送基準線に設定したうえで、シート9の幅方向における左右端を端部搬送基準線に合致させて搬送動作を行うものである。
【0194】
また、実施の形態2では、搬送中のシート部分9tを挟持する予定の第一搬送ロールのうち分離する第一搬送ロール対として最下流の第一搬送ロール対711を例示した。しかし、その分離する第一ロール対としては、シート部分9tの長さ等の条件に応じて最下流の第一搬送ロール対711に加えて他の第一搬送ロール対を含めてもよい。
また、実施の形態2では、搬送中のシート部分9tを挟持する予定の第三搬送ロールのうち分離する第三搬送ロール対として第三搬送ロール対751,752を例示した、しかし、その分離する第三ロール対としては、シート部分9tの長さ等の条件に応じて他の第三搬送ロール対を対象にしてもよい。
【0195】
なお、搬送中のシート部分9tを挟持する予定の第一搬送ロールまたは第三搬送ロール対のうち分離しない第一搬送ロールまたは第三搬送ロール対は、シート部分9tの長さ等の条件に応じて異なるが、2つ以上存在する場合がある。この場合には、分離しない該当する複数の第一搬送ロールまたは第三搬送ロール対どうし間において、通過中のシート部分を湾曲させた状態で搬送するようにすればよい。
また、実施の形態1では、ステップS123(
図11)の判断は、画像形成動作の指令を受け付けた際に制御部13において予め判断しておくように構成してもよく、この場合はステップS123の判断を省略することができる。
また、実施の形態2では、ステップS133の判断(
図14)やステップS162、S163の判断(
図17)は、画像形成動作の指令を受け付けた際に制御部13において予め判断しておくように構成してもよく、この場合はステップS133の判断やステップS162、S163の判断を省略することができる。
【0196】
また、シート搬送装置5においては、2組の移動搬送ロール対61,63を配置する場合、その上流側の移動搬送ロール対63を再搬送路55以外の搬送路に配置してもよい。実施の形態1,2であれば、上流側の移動搬送ロール対63は第二搬送路56や第三搬送路57に配置することも可能である。
【0197】
さらに、シート搬送装置5においては、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置される第一搬送ロール対は、最終搬送路51と第一搬送路53に配置される搬送ロール対である場合に限らない。具体的には、第一搬送ロール対は、最終搬送路51と第二搬送路56に配置される搬送ロール対である場合や、最終搬送路51と第二搬送路56に配置される搬送ロール対である場合であってもよい。
【0198】
また、シート搬送装置5においては、シート9を湾曲した状態で搬送させるために搬送速度の差を生じさせる場合、搬送速度を増速させる対象になる搬送ロール対の駆動モータの制御(回転速度の調整)を行うことに代えて、例えば駆動モータからの回転動力を増速対象の搬送ロール対に伝達する駆動伝達機構の段階で搬送速度の変更を行うように構成してもよい。
また、この場合の搬送速度の差は、搬送方向Cの上流側に配置されている上流側の搬送ロール対の搬送速度を当該搬送ロール対よりも下流側に最初に配置されている下流側の搬送ロール対の搬送速度よりも高速の搬送速度になるよう変更することで生じさせる構成に限られない。シート搬送全体に障害がなければ、下流側の搬送ロール対の搬送速度を上流側の搬送ロール対の搬送速度より低速の搬送速度になるよう変更することで搬送速度の差を生じさせるように構成してもよい。
【0199】
画像形成装置1における画像形成部2は、シート9に画像を形成することができるものであればよく、その形式等については特に限定されるものでない。
このため、画像形成部2は、例えば、画像を構成するインクをシート9に噴射または転移させる方式のものであってもよい。また、画像についても、その種類について特に制約されるものではない。画像としては、例えば、シート9の片面または両面に全面的に形成される種類の画像であってもよい。
【符号の説明】
【0200】
1 …画像形成装置
2 …画像形成部
3 …搬送元部
3A…第一収容部(搬送元部の一例)
3B…第二収容部(搬送元部の一例)
3C…第三収容部(搬送元部の一例)
5 …シート搬送装置
9 …シート
9t…搬送中のシート部分
51…最終搬送路(第一搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
53…第二終搬送路(第一搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
55…再送路(第三搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
61…移動搬送ロール対
63…上流側の移動搬送ロール対
711…最下流の第一搬送ロール対または第二搬送ロール対(の一例)
711,712,731…分離する第一搬送ロール対または第二搬送ロール対(の一例)
712,731…分離しない第一搬送ロール対(の一例)
751,752…分離する第三搬送ロール対(の一例)
753,754…分離しない第三搬送ロール対(の一例)
C …搬出方向
D …軸方向