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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146522
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A61B5/022 300G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053736
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB02
4C017AD01
4C017AD12
4C017FF08
(57)【要約】
【課題】装着時のバンドの生体の周方向に沿う長さを無段階で調整でき、かつ、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置を提供すること。
【解決手段】血圧測定装置1は装置本体3と、手首200の動脈210が存する領域に配置され、流体により膨張するカフ構造体10と、バネ棒35と、帯状に形成されて装置本体3に設けられ、バネ棒35回りに折り返されるバンド本体21、及び、バンド本体21に設けられ、バンド本体21のバネ棒35で折り返されて積層する部位を、積層方向の吸着力により固定する固定部22を備えるバンド4と、積層する部位の周方向の移動を防止する摩擦力を、バンド本体21との間に生じさせる抵抗部7と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
生体の動脈が存する領域に配置され、流体により膨張するカフと、
前記生体の周方向に直交し、前記生体の外周面に沿う軸部と、
前記装置本体に設けられて前記生体に巻き付けられる帯状であり、内側に配置された前記カフを前記生体に押圧する、前記軸部回りに折り返されるバンド本体、及び、前記バンド本体に設けられ、前記バンド本体の前記軸部で折り返されて積層する部位を吸着力で固定する固定部を備えるバンドと、
前記積層する部位の周方向の移動を防止する摩擦力を、前記バンド本体との間に生じさせる抵抗部と、
を備える血圧測定装置。
【請求項2】
前記抵抗部は、前記積層する部位を内側に配置する環状であり、内部に配置された前記積層する部位を互いに近接する方向に押圧する環部材である、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記バンド本体に設けられる磁石を備え、
前記環部材は、前記磁石により前記バンド本体に固定される被固定部を備える、
請求項2に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記抵抗部は、前記軸部の外周部に設けられる、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項5】
前記抵抗部は、前記軸部が内部に配置される筒部、及び、前記筒部に一体に形成され、前記積層する部位間に狭持される帯部を備える、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記抵抗部は、前記積層される部位の少なくとも一方の他方側に設けられる、
請求項1に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に装着されて血圧を測定する血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
このような血圧測定装置として、カフとカフに流体を供給する装置本体とが一体に構成された所謂一体型と呼ばれるものが知られている。さらに、一体型の血圧測定装置では、手首等の生体に装着する技術として、装置本体に設けられたバンドを、カフをバンドの内側に配置した状態で生体に締め付けて固定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の血圧測定装置では、バンドの一端を装置本体に固定し、装置本体にバンドを折り返す軸部を設け、軸部で折り返されて積層される部位を面ファスナで固定する技術が知られている。バンドの軸部で折り返す位置を調整することで、生体に装着した状態のバンドの周方向の長さを無段階に調整できる。
【0005】
また、生体の周方向に沿う長さを無段階で調整できるバンドでは、軸部で折り返されて積層する部位を磁石で固定する技術も知られており、この技術を血圧測定装置に用いることも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-102868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した、生体の周方向に沿う長さを無段階で調整できるバンドを備える血圧測定装置では、以下の問題がある。すなわち、血圧測定時にカフが膨張することで、バンドの積層される部位の生体側の一方、及び、生体側とは反対側の一方に、生体の周方向で互いに逆向きの引張力が作用する。そして、面ファスナは、バンドの積層される部位に生じる引張力に対して抗う力の一部を生じさせている。
【0008】
ウェアラブルデバイスの態様を有する血圧測定装置は小型化が求められており、面ファスナの面積が小さくなることで、バンドの積層される部位に生じる引張力に対して抗う力が小さくなる虞がある。
【0009】
磁石を用いてバンドの積層される部位を固定する技術を血圧測定装置に用いた構成では、磁石が、この抗う力の一部を生じさせるが、ウェアラブルデバイスの小型化に伴い磁石が小さくなると、この抗う力が小さくなる虞がある。
【0010】
このように、バンドの積層される部位の一方及び他方に作用する生体の周方向で互いに逆向きの引張力に対して抗う力が小さくなると、血圧測定時のカフの膨張により、バンドの積層される部位が生体の周方向に移動する虞がある。バンドの積層される部位が生体の周方向に移動すると、バンドがゆるみ、結果、精度のよい血圧測定が行えなくなる。
【0011】
そこで本発明は、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様によれば、血圧測定装置は、装置本体と、生体の動脈が存する領域に配置され、流体により膨張するカフと、前記生体の周方向に直交し、前記生体の外周面に沿う軸部と、前記装置本体に設けられて前記生体に巻き付けられる帯状であり、内側に配置された前記カフを前記生体に押圧する、前記軸部回りに折り返されるバンド本体、及び、前記バンド本体に設けられ、前記バンド本体の前記軸部で折り返されて積層する部位を吸着力で固定する固定部を備えるバンドと、前記積層する部位の周方向の移動を防止する摩擦力を、前記バンド本体との間に生じさせる抵抗部と、を備える血圧測定装置が提供される。
【0013】
カフは、流体が供給されることで膨張するものであり、空気袋等の袋状構造体を含む。
【0014】
この態様によれば、バンドを軸部で折り返すことで、生体に取り付けた状態のバンドの生体の周方向に沿う長さを無段階で調整できる。
【0015】
さらに、抵抗部及びバンドの間に生じる摩擦力により、バンドの積層する部位の生体の周方向に沿う移動を規制できる。
【0016】
この為、バンドがゆるむことを防止できる。ここで、バンドがゆるむとは、バンドが生体に締め付けられた状態から、バンドの積層する部位が相対的に移動することで、すなわち、バンドの積層する部位の生体側の一方に対して、反対側の一方が、相対的に、生体の周方向に沿って移動することで、バンドの生体の周方向に沿う長さが長くなることである。バンドがゆるむことを規制できることから、カフを動脈に押圧させる押圧力の低下を防止できる。結果、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置を提供できる。
【0017】
このように、装着時のバンドの生体の周方向に沿う長さを無段階で調整でき、かつ、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置を提供することができる。
【0018】
上記一態様の血圧測定装置において、前記抵抗部は、前記積層する部位を内側に配置する環状であり、内部に配置された前記積層する部位を互いに近接する方向に押圧する環部材である、血圧測定装置が提供される。
【0019】
この態様によれば、環部材によりバンドの積層する部位を近接する方向に押圧することで、環部材及び積層する部位間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、バンドの積層する部位の移動に抗う摩擦力を大きくできる。
【0020】
上記一態様の血圧測定装置において、前記バンド本体に設けられる磁石を備え、前記環部材は、前記磁石により前記バンド本体に固定される被固定部を備える、血圧測定装置が提供される。
【0021】
この態様によれば、血圧測定装置を生体から取り外した際に、環部をバンドに固定できるので、環部材の紛失を防止できる。
【0022】
上記一態様の血圧測定装置において、前記抵抗部は、前記軸部の外周部に設けられる、血圧測定装置が提供される。
【0023】
この態様によれば、軸部及びバンド間の摩擦力を利用することが可能となる。
【0024】
上記一態様の血圧測定装置において、前記抵抗部は、前記軸部が内部に配置される筒部、及び、前記筒部に一体に形成され、前記積層する部位間に狭持される帯部を備える、血圧測定装置が提供される。
【0025】
この態様によれば、軸部とバンド部との間の摩擦、及び、バンドの積層する部位間の摩擦を利用することが可能となる。
【0026】
上記一態様の血圧測定装置において、前記抵抗部は、前記積層される部位の少なくとも一方の他方側に設けられる、血圧測定装置が提供される。
【0027】
この態様によれば、バンド本体の積層さえる部位間の摩擦力を利用できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、装着時のバンドの生体の周方向に沿う長さを無段階で調整でき、かつ、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を、手首に取り付けた状態で示す説明図。
図3】同血圧測定装置に用いられる装置本体、及び、同血圧測定装置に用いられるバンドの構成を示す斜視図。
図4】同装置本体、及び、同バンドの構成を示す斜視図。
図5】同装置本体、及び、同バンドの構成を示す平面図。
図6】同装置本体、同血圧測定装置に用いられるカーラ、及び、同血圧測定装置に用いられるカフ構造体の構成を示す斜視図。
図7】同カフ構造体の構成を示す平面図。
図8】同血圧測定装置に用いられる固定部材の構成を示す斜視図。
図9】同装置本体、及び、同血圧測定装置に用いられる滑り止めシートの構成を示す斜視図。
図10】同血圧測定装置の装着の一例を示す説明図。
図11】血圧測定時の同血圧測定装置の要部の構成を示す説明図。
図12】変形例に係る抵抗部の構成を示す斜視図。
図13】変形例に係る環部材の構成を示す斜視図。
図14】変形例に係る血圧測定装置を、手首に取り付けた状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図11を用いて以下例示する。
図1は、血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を、手首200に取り付けた状態で示す説明図である。図3は、血圧測定装置1に用いられる装置本体3、及び、血圧測定装置1に用いられるバンド4の構成を示す斜視図。図4は、装置本体3、及び、バンド4の構成を示す斜視図である。図4は、バンド4の他端側が、装置本体3から外れた状態を示している。図5は、装置本体3、及び、バンド4の構成を、手首200側から見た状態を示す平面図である。図6は、装置本体3、カーラ9及びカフ構造体10の構成を示す斜視図である。図7は、カフ構造体10の構成を示す平面図である。図8は、環部材51の構成を示す斜視図である。図9は、装置本体3、及び、滑り止めシート61の構成を示す斜視図である。図10は、血圧測定装置1の装着の一例を示す説明図である。図11は、血圧測定時の血圧測定装置1の要部の構成を示す説明図である。図11は、具体的には、バネ棒35の近傍を切断して示す。
【0031】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、一例として手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
【0032】
図1乃至図6及び図9に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首200に装置本体3を固定するバンド4と、磁石6と、抵抗部7と、バンド4及び手首200の間に配置されるカーラ9と、押圧カフ71及びセンシングカフ73を有するカフ構造体10と、を備えている。
【0033】
装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、を備えている。また、装置本体3は、ケース11内に、カフ構造体10を膨張させる為のポンプ14、ポンプ14及びカフ構造体10を流体的に接続する流路部、並びに、制御基板を備えている。
【0034】
ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の手首200側とは反対側の開口を覆う風防32と、を備えている。
【0035】
外郭ケース31は、例えば、筒状に形成されるケース本体33と、ケース本体33の一端に設けられる底壁部34と、2つのバネ棒35と、を備えている。
【0036】
ケース本体33は、例えば円筒状に形成される。ケース本体33は、外周面の周方向で対称位置のそれぞれに、一対のラグ37が設けられる。一対のラグ37は、外周面から外方向の突出する形状に構成される。ここで、一方の一対のラグ37を第1のラグ37Aとし、他方の一対のラグ37を第2のラグ37Bとする。
【0037】
1つのバネ棒35は、一対の第1のラグ37A間に着脱可能に取り付けられる。バネ棒35は、バンド4の一端部が取り付けられる。他方のバネ棒35は、一対の第2のラグ37B間に設けられる。他方のバネ棒35は、バンド本体21を折り返す軸部の一例である。
【0038】
底壁部34は、ケース本体33の手首200側の開口に設けられて、当該開口を覆う。ここで、手首200側とは、血圧測定装置1を手首200に装着した状態での手首200側である。
【0039】
図2及び図5に示すように、底壁部34には、被接続部38が形成される。被接続部38は、ポンプ14と流体的に連続する。例えば、ケース11内に、ポンプ14と連続する流路が形成されており、被接続部38は、この流路の一部を構成する。被接続部38は、カフ構造体10の後述する接続部84、93が接続可能に構成される。
【0040】
被接続部38は、カフ構造体10の接続部84、93と同数が形成される。本実施形態では、カフ構造体10は、一例として、2つの接続部84、93を備えることから、被接続部38は、2つ形成される。一方の被接続部38を、第1の被接続部38Aとし、他方の被接続部38を、第2の被接続部38Bとする。
【0041】
風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0042】
表示部12は、風防32と対向する位置に配置される。図1に示すように、表示部12は、電気的に制御基板に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0043】
操作部13は、ユーザからの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、図1に示すように、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、を備える。複数の釦41は、例えば3つ設けられる。
【0044】
図1乃至図5に示すように、バンド4は、バンド本体21と、固定部22と、を備える。
【0045】
バンド本体21は、装置本体3を手首200に固定可能な、一方向に長い帯状に構成される。バンド4は、例えば、伸縮性はなく、可撓性を有する。バンド本体21は、例えば、メタリックメッシュバンドである。バンド本体21の一端部は、一対の第1のラグ37A間に設けられるバネ棒35に、バネ棒35回りに回動可能に固定される。例えばバンド4の一端部には、バネ棒35を回動可能に配置する孔部が設けられる。
【0046】
バンド本体21は、他端側が、他方のバネ棒35で折り返されることで積層される部位を有する。ここで、バンド本体21の積層された部位のうち、手首200とは反対側の部位を第1の対向部23とし、手首200側の部位を第2の対向部24とする。
【0047】
第2の対向部24の手首200側の面、及び、第1の対向部23の第2の対向部24側とは反対側の面間の距離は、第1の対向部23及び第2の対向部24とが連続する端部側、すなわちバネ棒35側が、他端側に比較して離れている。例えば、本実施形態では、バンド本体21がメタリックメッシュバンドであることから、バンド4の剛性により、第1の対向部23及び第2の対向部24は、バネ棒35の近傍では、互いに離間する。
【0048】
固定部22は、例えばバンド本体21の端部に設けられる。固定部22はバンド本体21がバネ棒35で折り返された状態で、第1の対向部23を第2の対向部24を吸着力で固定する。固定部22は、吸着力により、第1の対向部23及び第2の対向部24が、積層方向で互いに離れる方向の移動することを規制する。固定部22は、例えば磁石である。
【0049】
固定部22の吸着力は、ユーザにより、第1の対向部23を第2の対向部24から、積層方向で離れる方向に移動できる吸着力である。
【0050】
固定部22の吸着力により生じる、第1の対向部23及び第2の対向部24の間の摩擦力は、第1の対向部23及び第2の対向部24の互いに対向する面に沿う移動を規制する力の一部を構成する。
【0051】
この摩擦力は、血圧測定の為の押圧カフ71及びセンシングカフ73の膨張により生じる、第1の対向部23及び第2の対向部24を互いに対向する面に沿って移動させようとする力よりも小さくなる場合がある。
【0052】
磁石6は、バンド4に設けられて、環部材51をバンド4に着脱可能に構成される。磁石6は、例えば、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、バンド本体21の、バンド本体21がバネ棒35で折り返された第1の対向部23と対向しない部位に設けられる。
【0053】
抵抗部7は、バンド本体21と接触して、バンド本体21との間に摩擦力を生じさせる。抵抗部7により生じる摩擦力は、血圧測定時のカフ構造体10が膨張した状態にあるときに、第1の対向部23及び第2の対向部24が手首200の周方向に沿って相対的に移動することを防止できる摩擦力である。ここで、第1の対向部23及び第2の対向部24の相対的な移動は、バンド本体21の手首200の周方向に沿う長さが長くなる方向の移動を含む。
【0054】
例えば、本実施形態では、血圧測定時のカフ構造体10が膨張した状態にあるときに、第1の対向部23及び第2の対向部24が手首200の周方向に沿って相対的に移動することに抗う力は、固定部22の磁力、第1の対向部23及び第2の対向部24間に生じる摩擦力等、複数ある。抵抗部7により生じされる摩擦力は、上述の複数の抗う力と合わせて、第1の対向部23及び第2の対向部24の手首200の周方向に沿う相対的に移動を防止する。
【0055】
抵抗部7は、例えば、環部材51と、滑り止めシート61と、を含む。
【0056】
環部材51は、第1の対向部23及び第2の対向部24を内部に配置する環状に構成される。環部材51は、第1の対向部23及び第2の対向部24に当接することで、第1の対向部23及び第2の対向部24の間に、摩擦力を生じさせる。
【0057】
環部材51は、磁石6の吸着力により磁石6に固定可能に構成される。環部材51は、例えば、磁石6の吸着力により磁石6に固定可能な材料で形成されるか、または、磁石6の吸着力により磁石6に固定可能な部位を備える。本実施形態では、一例として、環部材51は、例えば、磁石6が吸着可能な材料である金属で形成される。この為、環部材51は、その全ての部位が、磁石6によりバンド本体に固定される被固定部となる。磁石6の吸着力により磁石6に固定可能な部位を備える構成としては、例えば、環部材51が樹脂等の磁石6に吸着されない材料で形成され、鉄や磁石等の磁石6に吸着される部材を備える構成であってもよい。
【0058】
環部材51は、例えば、矩形の筒状に構成される。環部材51の外面の角部は、例えば、面取りが施されている。環部材51の内面は、バンド4の主面と対向する第1の内面52及び第2の内面53、並びに、バンド4の側面と対向する第3の内面54及び第4の内面55を有する。
【0059】
第1の内面52は、第1の対向部23に対向する。第2の内面53は、第2の対向部24に対向する。第1の内面52及び第2の内面53の少なくとも一方には、滑り止め部材56が設けられる。本実施形態では、例えば、第1の内面52及び第2の内面53の双方に、滑り止め部材56が設けられる。滑り止め部材56は、バンド4との間に、抵抗部7により生じされる摩擦力の一部を生じさせる。
【0060】
第1の内面52に設けられる滑り止め部材56、及び、第2の内面53に設けられる滑り止め部材56間の幅の寸法は、密着した状態の第1の対向部23及び第2の対向部24の積層方向の幅よりも大きく、かつ、バネ棒35の近傍での第2の対向部24の手首200側の面、及び、第1の対向部23の第2の対向部24側とは反対側の面間の距離より小さい。
【0061】
この為、環部材51をバネ棒35の近傍に移動すると、環部材51の内面52、53の滑り止め部材56が、第1の対向部23及び第2の対向部24に当接し、第1の対向部23及び第2の対向部24を、互いに近接する方向に押圧する。この押圧により、第1の対向部23及び第2の対向部24の積層方向の幅が小さくなり、バネ棒35の近傍の第1の対向部23及び第2の対向部24が環部材51内に配置される。
【0062】
図9及び図11に示すように、滑り止めシート61は、筒部62と、帯部63と、を備えている。
【0063】
筒部62は、バネ棒35の外周面に設けられる。筒部62は、例えば内部にバネ棒35が嵌合するように設けられる。筒部62は、バンド4が回し掛けられる。筒部62は、バンド4との間に、抵抗部7により生じされる摩擦力の一部を生じさせる。
【0064】
帯部63は、筒部62に一体に形成される。帯部63は、筒部62から突出する形状に構成される。帯部63は、第1の対向部23及び第2の対向部24間に配置される。帯部63は、帯状に形成される。帯部63の一方の主面は、第1の対向部23の主面に対向して当該面に面接触する。帯部63の他方の主面は、第2の対向部24の主面に対向し、当該面に面接触する。
【0065】
帯部63は、可撓性を有するため、バンド4を手首200に締め付けたときに、手首200の周方向に倣って撓むことが可能である。帯部63の幅は、例えば、バンド4の幅と同じに設定される。帯部63は、バンド4との間に、抵抗部7により生じされる摩擦力の一部を生じさせる。
【0066】
また、帯部63の厚みは、第1の対向部23及び第2の対向部24の厚みと合わせて、環部材51の内面52,53間の長さ以上となる厚みに設定される。この為、環部材51がバネ棒35の近傍に移動されると、帯部63は、第1の対向部23及び第2の対向部24間に狭持されて、環部材51内に配置される。
【0067】
図1及び図6に示すように、カーラ9は、一端及び他端が離間する、手首200の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。カーラ9は、内周面にカフ構造体10が配置される。カーラ9は、カーラ9の内周面の形状に沿ってカフ構造体10の一部を保持する。
【0068】
例えば、カーラ9は、カーラ9及びカフ構造体10の間に設けられる接合層により、カフ構造体10が固定されることで、カフ構造体10を保持する。カーラ9は、接続部83を配置する孔、及び接続部94を配置する孔が形成される。
【0069】
また、カーラ9は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ9にバンド4による外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、バンド4によってカーラ9が押圧されたときに、手首200に近接するか、手首200の形状に沿うか、又は、手首200の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラが予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ9の形状が手首200の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0070】
図1図6及び図7に示すように、カフ構造体10は、カーラ9の内周面に固定される。カフ構造体10は、少なくとも、動脈210と対向する長さを有する。カフ構造体10は、例えば、押圧カフ71と、背板72と、センシングカフ73と、を備えている。
【0071】
カフ構造体10は、押圧カフ71の上に背板72が配置され、背板72の上にセンシングカフ73が配置される。カフ構造体10は、隣接配置される各構成同士が、例えば接合層により固定される。接合層は、例えば、接着剤や両面テープにより構成される。
【0072】
押圧カフ71は、一方向に延びる帯状に構成される。押圧カフ71は、例えば複数の空気袋81と、装置本体3の第1の被接続部38Aに接続される接続部84と、を備えている。押圧カフ71は、接続部84が第1の被接続部38Aに接続されることで、ポンプ14に流体的に接続される。
【0073】
複数の空気袋81は、例えば2つの空気袋81である。このような押圧カフ71は、複数のシート部材86を一体に溶着することで構成される。
【0074】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプにより空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0075】
空気袋81は、一方向に長い矩形状の袋形状に形成される。空気袋81は、例えば、二枚のシート部材86を組み合わせ、図7に溶着部81aを示すように、一方向に長い矩形枠状に、熱により溶着することで構成される。
【0076】
接続部84は、例えば空気袋81から外側に突出する形状に構成される。接続部84は、具体的には、カーラ9を介してケース11の底壁部34に対向する空気袋81に設けられる。接続部84の先端は、空気袋81を構成する二枚のシート部材86のうち、装置本体3側のシート部材86から露出する。接続部84は、例えばニップルである。
【0077】
接続部84は、カーラ9を介して第1の被接続部38Aに挿入されることで第1の被接続部38Aに接続されて固定される。接続部84が第1の被接続部38Aに接続されることで、押圧カフ71はポンプ14と流体的に接続される。
【0078】
背板72は、一方向に長い板状に形成される。背板72は、接合層により押圧カフ71の第1シート部材86aの外面に貼付される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、押圧カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0079】
背板72は、形状追従性を有する。ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0080】
例えば、背板72は、背板72の両主面に背板72の長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。両主面に設けられた複数の溝72aは、例えば、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首200の周方向に延在する形状追従性を有する。
【0081】
センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に接合層により固定される。センシングカフ73の長手方向の長さは、手首200の動脈210である橈骨動脈211及び尺骨動脈212の少なくとも一方が存する領域に接触する長さに設定される。
【0082】
センシングカフ73は、例えば、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した押圧カフ71により、背板72を介して手首200側に押圧される。
【0083】
センシングカフ73は、接続部93を備え、接続部94が第2の被接続部38Bに接続されることで、ポンプ14に流体的に接続される。
【0084】
センシングカフ73は、例えば、一つの空気袋91と、空気袋91と連通する流路体92と、流路体92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が、接合層によって背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の手首200側の主面に接合層により接合される。このようなセンシングカフ73は、二枚のシート部材96を一体に溶着することで構成される。
【0085】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプにより空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。
【0086】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、図8に溶着部91aを示すように、一方向に長い矩形枠状に熱により溶着することで構成される。
【0087】
流路体92は、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。具体例として、流路体92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成され、先端が円形状に形成される。流路体92は、先端に接続部93を有する。流路体92は、接続部93を介して流路部に接続され、装置本体3の流路部と空気袋91との間の流路を構成する。
【0088】
流路体92は、二枚のシート部材96間に接続部93を配置した状態で、シート部材96の空気袋91を構成する領域に隣接するシート部材96の一部を一方向に長い枠状に熱により溶着することで構成される。なお、空気袋91は、二枚のシート部材96を矩形枠状に溶着する溶着部91aの一部を非溶着とし、流路体92を構成する溶着部92aと連続する構成とすることで、空気袋91及び流路体92を流体的に連通する。
【0089】
接続部93は、例えば空気袋91から外側に突出する形状に構成される。接続部93は、流路体92の先端に設けられる。また、接続部93の先端は、流路体92を構成する二枚のシート部材96のうち、背板72と対向するシート部材96から外部に露出する。接続部93は、例えばニップルである。
【0090】
接続部93は、カーラ9を介して第2の被接続部38Bに挿入されることで第2の被接続部38Bに固定される。接続部84が第2の被接続部38Bに接続されることで、センシングカフ73はポンプ14と流体的に接続される。
【0091】
このように構成されたカフ構造体10は、センシングカフ73の接続部93を、カフ構造体10の厚み方向で押圧カフ71の接続部84側に配置する構成が設けられている。この構成の一例として、図7に示すように、押圧カフ71は、押圧カフ71の長手方向で例えば中腹部に、センシングカフ73の一部を配置する挿通部71aを有する。挿通部71aは、例えば、押圧カフ71の長手方向に沿う縁部の一部を、押圧カフ71の短手方向にくぼませた形状に構成される。挿通部71aは、センシングカフ73の流路体92を、押圧カフ71の内周面側から装置本体3側へ通すことが可能に構成される。なお、挿通部71aは、押圧カフ71の長手方向に沿う縁部の一部を、押圧カフ71の短手方向にくぼませた形状に限定されない。他の例では、挿通部71aは、接続部93を配置可能な孔であっても良い。または、流路体92が押圧カフ71の長手方向に沿う縁を越えて接続部84側に延びる形状に構成されてもよい。
【0092】
次に、ユーザが手首200に血圧測定装置1を装着する一例を、図10を用いて説明する。なお、図4に示すように、血圧測定装置1が手首200から取り外された状態では、環部材51は、磁石6に固定されており、内部に、第1の対向部23は配置されていない。
【0093】
先ず、ユーザは、バネ棒35で折り返されて積層された第1の対向部23を、積層方向で第2の対向部24から離間する方向に移動して固定部22による固定を解除し、カーラ9内に手首200を挿入する。
【0094】
次に、ユーザは、装置本体3が手首200の甲側に位置し、センシングカフ73が手首200の動脈210が存する領域に対向する位置に配置されるよう、血圧測定装置1の位置を調整する。
【0095】
次に、ユーザは、バンド4の他端部を引っ張ることでバンド4を締め付けてカーラ9を介してセンシングカフ73を手首200の動脈が存する領域に押し付け、バンド4の第1の対向部23を、固定部22によって、第2の対向部24に固定する。
【0096】
次に、ユーザは、図2及び図10に示すように、環部材51を、磁石6に固定された位置から一対の第1のラグ37A間のバネ棒35の近傍まで、バンド4に沿って移動する。具体的には、ユーザは、環部材51内にバンド4の固定部22が設けられた端部を通すことで、第1の対向部23及び第2の対向部24を環部材51内に配置する。そして、ユーザは、環部材51をバンド4に沿ってバネ棒35に隣接する位置まで移動する。
【0097】
環部材51がバネ棒35に隣接する位置まで移動される過程で、環部材51の第1の内面52及び第2の内面53の送付に設けられた滑り止め部材56がバンド本体21の第1の対向部23及び第2の対向部24に当接し、第1の対向部23及び第2の対向部24を互いに近接する方向に押圧する。
【0098】
この為、第1の内面52に設けられる滑り止め部材56及びバンド4間に生じる摩擦力が大きくなる。第2の内面53に設けられる滑り止め部材56及びバンド4間に生じる摩擦力が大きくなる。これら摩擦力により、環部材51は、バンド4に沿う移動が規制されることで、バネ棒35の近傍の位置に固定される。
【0099】
このような手順により、血圧測定装置1が手首200に装着される。
【0100】
次に、血圧測定装置1を手首200から取り外す作業の一例を説明する。例えば血圧の測定が完了し、押圧カフ71及びセンシングカフ73の排気が完了すると、ユーザは、環部材51を、バネ棒35から離れる側に移動する。
【0101】
次に、ユーザは、環部材51を、バネ棒35の近傍の位置から磁石6まで移動し、環部材51を磁石6によりバンド本体21に固定する。環部材51が磁石6まで移動されることで、第1の対向部23が環部材51から出る。
【0102】
次に、ユーザは、第1の対向部23を第2の対向部24から離してバンド本体21をゆるめる。ここで、バンド本体21をゆるめるとは、手首200の周方向に沿うバンド本体21の長さを長くすることである。
【0103】
次に、ユーザは、カーラ9から手首200を引き抜く。このような手順により、血圧測定装置1が手首200から取り外される。
【0104】
次に、血圧測定の際に押圧カフ71及びセンシングカフ73が膨張した状態でのバンド4について、説明する。なお、血圧測定装置1が手首200に装着されており、環部材51がバネ棒35の近傍に移動されている。
【0105】
ポンプ14等が駆動されることで押圧カフ71及びセンシングカフ73が膨張すると、バンド本体21及び環部材51は、カーラ9を介して、手首200から離れる方向に押圧される。ここで、手首200から離れる方向は、第1の対向部23及び第2の対向部24の積層方向である。
【0106】
バンド本体21及び環部材51が手首200から離れる方向に押圧されることで、環部材51の第2の内面53に設けられる滑り止め部材56、及び、バンド本体21の第2の対向部24の間に生じる押し付け力が大きくなる。結果、第2の内面53及び滑り止め部材56間に生じる摩擦力が大きくなる。第2の対向部24、及び、滑り止めシート61の帯部63間に生じる摩擦力が大きくなる。第1の対向部23、及び、帯部63間に生じる摩擦力が大きくなる。第1の対向部23、及び、環部材51の第1の内面52に設けられる滑り止め部材56の間に生じる摩擦力が大きくなる。
【0107】
また、バンド4が広がる方向に引っ張られる。ここで、バンド4が広がるとは、バンド4の手首200の周方向に沿う長さが長くなることである。バンド4が広がる方向に引っ張られることで、第1の対向部23及び第2の対向部24を連続するバンド4の屈曲部の、バネ棒35に対して押し付けられる力が大きくなる。この為、バンド4及び滑り止めシート61の筒部62間に生じる摩擦力が大きくなる。
【0108】
このように、抵抗部7及びバンド4間に生じる摩擦力、並びに、固定部22の磁力や、第1の対向部23及び第2の対向部24間に摩擦力等により、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動が防止される。
【0109】
このように構成される血圧測定装置1によれば、バネ棒35でバンド4を折り返して固定部22により固定する構成であるので、バンド4の手首200の周方向に沿う長さを無段階で調整できる。
【0110】
さらに、固定部22による、バンド4の第1の対向部23及び第2の対向部24の互いに対向する面に沿う移動を規制する力のみでは、第1の対向部23及び第2の対向部24の対向する面に沿う移動を規制に不足する場合であっても、抵抗部7及びバンド4の間に生じる摩擦力により、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動を規制できる。
【0111】
この為、血圧測定時にバンド4がゆるむことを防止できるので、精度よく血圧測定を行うことができる。このように、血圧測定装置1は、装着時のバンドの手首200の周方向に沿う長さを無段階で調整でき、かつ、バンド4がゆるむことを防止できるので、精度よく血圧を測定できる。
【0112】
さらに、環部材51により、押圧カフ71及びセンシングカフ73が膨張された際に生じる、バンド4及び環部材51を押圧する力により、環部材51及びバンド4の間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、第1の対向部23及び第2の対向部24の、対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。
【0113】
さらに、抵抗部7を有することで、固定部22の吸着力を、第1の対向部23及び第2の対向部24が積層方向に離間することを防止する程度の吸着力とすることも可能である。この場合、バンド4の着脱の作業性を向上できる。さらに、固定部22を小さくすることも可能であることから、血圧測定装置1を小型化することが可能となる。
【0114】
さらに、バンド4または環部材51に磁石6が設けられることで、血圧測定装置1を手首200から取り外した状態にあるときに、環部材51をバンド4に取り付けることが可能となる。結果、環部材51の紛失を防止できる。
【0115】
さらに、抵抗部7として、滑り止めシート61が設けられることで、筒部62によりバネ棒35及びバンド4間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。
【0116】
さらに、第1の対向部23及び第2の対向部24間に、帯部63が配置されることで、第1の対向部23及び第2の対向部24間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、第1の対向部23及び第2の対向部24の、対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。
【0117】
さらに、環部材51の第1の内面52及び第2の内面53の少なくとも一方に滑り止め部材56が設けられることで、バンド4及び環部材51間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。
【0118】
さらに、第1の内面52及び第2の内面53の双方に滑り止め部材56が設けられることで、バンド4及び環部材51間に生じる摩擦力を大きくできる。この為、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。
【0119】
さらに、滑り止めシート61は、筒部62及び帯部63を有する。この為、筒部62をバネ棒35に装着するだけで、帯部63を第1の対向部23及び第2の対向部24間に設けることができる。この為、抵抗部7の設置作業の効率を向上できる。
【0120】
上述したように本実施形態に係る血圧測定装置1によれば、装着時のバンド本体21の周方向に沿う長さを無段階で調整でき、精度よく血圧を測定できる血圧測定装置1を提供することができる。
【0121】
なお、上述の例では、血圧測定装置1は、抵抗部7として、環部材51、バネ棒35に設けられる滑り止めシート61の筒部62、第1の対向部23及び第2の対向部24間に設けられる滑り止めシート61の帯部63、環部材51の第1の内面52に設けられる滑り止め部材56、並びに、環部材51の第2の内面53に設けられる滑り止め部材56を用いる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、これらの少なくとも1つが設けられればよい。
【0122】
例えば、抵抗部7は、図12に示す変形例のように、環部材51のみを備える構成であってもよい。
【0123】
他の例では、抵抗部7として、筒部62のみを有する構成であってもよい。他の例では、抵抗部7として、帯部63のみを有する構成であってもよい。この構成の場合、帯部63は、バンド4と一体に構成されてもよい。
【0124】
また、上述の例では、血圧測定装置1は、手首200に装着される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、血圧測定装置1は、ユーザの上腕に巻き付けられて使用される構成であってもよい。
【0125】
また、上述の例では、バンド本体21は、一例として、金属製のバンドであり、第1の対向部23を第2の対向部24に固定する固定部22は、一例として磁石が用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、バンド本体21は、例えば樹脂や布で形成され、固定部22は面ファスナが用いられてもよい。面ファスナは、第1の対向部23及び第2の対向部24を、吸着力で固定し、第1の対向部23及び第2の対向部24の積層方向で離間する移動を規制する固定部の一例である。
【0126】
固定部22が面ファスナである構成の場合、面ファスナの面積が小さくすることで面ファスナの吸着力が小さくなる場合であっても、抵抗部7により、第1の対向部23及び第2の対向部24の、互いに対向する面に沿う移動を規制する力を大きくできる。この為、血圧測定装置1の小型化にも対応できる。
【0127】
また、上述の例では、環部材51は、バンド4に設けられた磁石6に着脱可能に取り付けられる金属材料で形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、図13に示す変形例のように、環部材51が樹脂で形成され、環部材51に磁石6に固定される磁石104が設けられてもよい。
【0128】
また、上述の例では、バンド4は、帯状の1つの部材であり、一端が装置本体3に固定され、他端側が装置本体3に設けられたバネ棒35で折り返される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、図14に示す変形例のように、バンド4は、装置本体3の外周面の周方向で対称位置の一方に設けられる第1のバンド101及び他方に設けられる第2のバンド102を備え、第1のバンド101の他端部に、第2のバンド102を折り返す軸部103が設けられる構成であってもよい。そして、環部材51は、第2のバンド102に設けられる。そして、磁石6は、例えば、第2のバンド102の装置本体3側に設けられる。
【0129】
また、上述の例では、抵抗部7の一例である、筒部62は、バンド本体21とは別体に構成され、バネ棒35に取り付けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、バネ棒35に一体に構成されてもよい。または、バネ棒35が、摩擦係数の大きな材料で形成される構成であってもよい。
【0130】
また、上述の例では、帯部63は、第1の対向部23及び第2の対向部24の間に配置される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、帯部63は、バンド本体21と一体に形成されてもよい。換言すると、第1の対向部23及び第2の対向部24の少なくとも一方の他方側に、帯部63が一体に構成されてもよい。
【0131】
また、上述の例では、環部材51の内面に滑り止め部材56が設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、環部材51の内面が、摩擦係数の大きな材料で形成されてもよい。
【0132】
また、上述の例では、カーラ9が用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、カーラ9は用いられなくてもよい。カーラ9が用いられない構成の場合、カフ構造体10は、バンド4と一体に構成されてもよい。換言すると、カフ構造体10は、バンド4に固定されてもよい。
【0133】
また、上述の例では、環部材51は、装置本体3とは別体に構成されたが、これに限定されない。他の例では、環部材51は、装置本体3に固定される構成であってもよい。この構成の一例として、環部材51は、一対のラグ37に固定されてもよい。
【0134】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0135】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…バンド
6…磁石
7…抵抗部
9…カーラ
10…カフ構造体
11…ケース
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
21…バンド本体
22…固定部
23…第1の対向部
24…第2の対向部
31…外郭ケース
32…風防
33…ケース本体
34…底壁部
35…バネ棒
37…ラグ
37A…第1のラグ
37B…第2のラグ
38…被接続部
38A…第1の被接続部
38B…第2の被接続部
41…釦
51…環部材
52…第1の内面
53…第2の内面
54…第3の内面
55…第4の内面
56…滑り止め部材
61…滑り止めシート
62…筒部
63…帯部
71…押圧カフ
71a…挿通部
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
81…空気袋
81a…溶着部
83…接続部
84…接続部
86…シート部材
86a…第1シート部材
91…空気袋
91a…溶着部
92…流路体
92a…溶着部
93…接続部
94…接続部
96…シート部材
101…第1のバンド
102…第2のバンド
103…軸部
104…磁石
200…手首
210…動脈
211…橈骨動脈
212…尺骨動脈
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14