(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146529
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
A63F5/04 611B
A63F5/04 650
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053751
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 健二
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CB01
2C182CB02
2C182CB03
2C518EA01
2C518EA08
2C518EB05
2C518EB07
2C518EC15
2C518EC17
2C518EC22
2C518EC27
(57)【要約】
【課題】本開示は、単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させることができる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機は、遊技を進行する第1処理および第2処理を実行可能であり、各遊技で前記第1処理よりも先に前記第2処理を実行する制御部を備え、前記制御部は、前記第1処理の実行中に前記第2処理を実行するための操作を受付けた場合、実行中の遊技の次遊技以降における前記第2処理の実行を予約可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を進行する第1処理および第2処理を実行可能であり、各遊技で前記第1処理よりも先に前記第2処理を実行する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第1処理の実行中に前記第2処理を実行するための操作を受付けた場合、実行中の遊技の次遊技以降における前記第2処理の実行を予約可能とする遊技機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2処理の実行を予約する場合、前記第1処理の実行中に前記第2処理を実行するための操作を受付けてから、前記第1処理が実行されている遊技の次遊技が開始可能となるまでの間に、前記第2処理の実行を予約する予約フラグを成立させ、
前記予約フラグを成立させた場合、前記第2処理を実行することで前記予約フラグを消去する、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
複数の回転リールの回転を停止させる前記第1処理としての停止処理を実行するための操作を受付け可能なストップスイッチと、
遊技に用いる遊技価値を設定する前記第2処理としてのベット処理を実行するための操作を受付け可能なベットスイッチ、および複数の前記回転リールの回転を開始させる前記第2処理としての始動処理を実行するための操作を受付け可能なスタートスイッチの少なくとも1つと、
を備える、
請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記ストップスイッチ、前記ベットスイッチ、および前記スタートスイッチの表面上に遊技者の指を滑らせる操作であるスライド操作が可能なように、スライド操作の方向であるスライド方向の上流側から下流側に向かって、前記ストップスイッチ、前記ベットスイッチ、前記スタートスイッチの順に配置されている、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御部は、
複数の役の少なくとも何れか1つに当選するか否かの内部抽せんにより、遊技者が前記遊技価値を設定することなく次遊技を行うことが可能となる役であるリプレイに当せんした場合、前記ベット処理の実行を予約する予約フラグを成立させず、前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させる、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記ストップスイッチの操作に基づく前記停止処理の実行中に前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチが操作された場合に、前記遊技価値のクレジット数が前記ベット処理の実行により前記クレジット数から減少させる規定数より少なくても、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させる、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記規定数に対する前記クレジット数の不足分が補充されることなく予め定めた時間が経過した場合、予約した前記ベット処理および前記始動処理に対応する予約フラグを消去する、
請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記ストップスイッチの操作に基づく前記停止処理の実行中に前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチが操作された場合に、前記遊技価値のクレジット数が前記ベット処理の実行により前記クレジット数から減少させる規定数より少ないときには、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させない、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項9】
前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチの少なくとも1つは、遊技の進行に関しない第3処理を実行するための操作を受付け可能であり、
前記制御部は、
前記停止処理の実行中における前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチの操作に基づいて、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグとともに前記第3処理の実行を予約する予約フラグを成立させることが可能である、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2処理の実行を予約する予約フラグを成立させた場合、前記予約フラグを成立させた遊技の次遊技で、前記予約フラグの成立に基づく前記第2処理を実行する、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2処理の実行を予約する予約フラグが成立したことを報知部から報知させる、
請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、1回の遊技に必要な遊技媒体をベットするための通常ベット操作または複数回の遊技に必要な遊技媒体をベットするための特別ベット操作を受け付けるベット処理手段が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、特別ベット操作が行われた場合には複数回の遊技に必要な遊技媒体がベットされるため、通常ベット操作で当該複数回の遊技に必要な遊技媒体をベットする場合に比べて、ベットにかかる時間が短縮される。これにより、特許文献1では、特別ベット操作を行うことで、通常ベット操作を行う場合に比べて、単位時間あたりの消化ゲーム数の増加が見込まれる。遊技機では、消化ゲーム数に応じて特典を付与することがあるため、遊技者は単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させる行動を取ることがあるが、単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させる構成については改善の余地がある。
【0005】
本開示は、単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させることができる遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、遊技を進行する第1処理および第2処理を実行可能であり、各遊技で前記第1処理よりも先に前記第2処理を実行する制御部を備え、前記制御部は、前記第1処理の実行中に前記第2処理を実行するための操作を受付けた場合、実行中の遊技の次遊技以降における前記第2処理の実行を予約可能とする遊技機である。
【0007】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記第2処理の実行を予約する場合、前記第1処理の実行中に前記第2処理を実行するための操作を受付けてから、前記第1処理が実行されている遊技の次遊技が開始可能となるまでの間に、前記第2処理の実行を予約する予約フラグを成立させ、前記予約フラグを成立させた場合、前記第2処理を実行することで前記予約フラグを消去する遊技機である。
【0008】
また、第1の側面では、複数の回転リールの回転を停止させる前記第1処理としての停止処理を実行するための操作を受付け可能なストップスイッチと、遊技に用いる遊技価値を設定する前記第2処理としてのベット処理を実行するための操作を受付け可能なベットスイッチ、および複数の前記回転リールの回転を開始させる前記第2処理としての始動処理を実行するための操作を受付け可能なスタートスイッチの少なくとも1つと、を備える遊技機である。
【0009】
また、第1の側面では、前記ストップスイッチ、前記ベットスイッチ、および前記スタートスイッチの表面上に遊技者の指を滑らせる操作であるスライド操作が可能なように、スライド操作の方向であるスライド方向の上流側から下流側に向かって、前記ストップスイッチ、前記ベットスイッチ、前記スタートスイッチの順に配置されている遊技機である。
【0010】
また、第1の側面では、前記制御部は、複数の役の少なくとも何れか1つに当選するか否かの内部抽せんにより、遊技者が前記遊技価値を設定することなく次遊技を行うことが可能となる役であるリプレイに当せんした場合、前記ベット処理の実行を予約する予約フラグを成立させず、前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させる遊技機である。
【0011】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記ストップスイッチの操作に基づく前記停止処理の実行中に前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチが操作された場合に、前記遊技価値のクレジット数が前記ベット処理の実行により前記クレジット数から減少させる規定数より少なくても、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させる遊技機である。
【0012】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記規定数に対する前記クレジット数の不足分が補充されることなく予め定めた時間が経過した場合、予約した前記ベット処理および前記始動処理に対応する予約フラグを消去する遊技機である。
【0013】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記ストップスイッチの操作に基づく前記停止処理の実行中に前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチが操作された場合に、前記遊技価値のクレジット数が前記ベット処理の実行により前記クレジット数から減少させる規定数より少ないときには、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させない遊技機である。
【0014】
また、第1の側面では、前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチの少なくとも1つは、遊技の進行に関しない第3処理を実行するための操作を受付け可能であり、前記制御部は、前記停止処理の実行中における前記ベットスイッチおよび前記スタートスイッチの操作に基づいて、前記ベット処理および前記始動処理の実行を予約する予約フラグとともに前記第3処理の実行を予約する予約フラグを成立させることが可能である遊技機である。
【0015】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記第2処理の実行を予約する予約フラグを成立させた場合、前記予約フラグを成立させた遊技の次遊技で、前記予約フラグの成立に基づく前記第2処理を実行する遊技機である。
【0016】
また、第1の側面では、前記制御部は、前記第2処理の実行を予約する予約フラグが成立したことを報知部から報知させる遊技機である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図6】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図7】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図9】予約フラグの成立から消滅までの流れを説明する説明図である。
【
図10】予約フラグ処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図11】予約フラグ処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。
【0020】
[実施形態]
本開示の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、スロットマシン1の正面を向いて位置している遊技者から見て、スロットマシン1から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向および「上」や「下」等の上下方向も、遊技者から見た場合の左方向や右方向、または上方向や下方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、スロットマシン1の所定位置に固定した場合における遊技者から見た方向を意味する。
【0021】
[第1の実施形態]
まず、本実施形態にかかるスロットマシン1の第1の実施形態について説明する。
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0022】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。第1の実施形態では、複数の回転リール20として、筐体10に向かって左から順に配置された、左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20Cを備える。
【0023】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、およびスピーカ102が設けられている。
【0024】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0025】
リール窓200の右側方と左側方には、前面扉100の枠上に沿って、電飾部103が設けられている。電飾部103は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。液晶画面3、スピーカ102および電飾部103は、報知部に相当する。
【0026】
リール窓200の下方には、遊技に用いる遊技価値としてのメダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される媒体表示部44が設けられている。媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知される。
【0027】
筐体10の前面上であって、リール窓200の下方には、前面扉100の前方に向けて突出する操作部4が設けられている。操作部4には、メダル投入部41、ベットスイッチ42、スタートスイッチ43、ストップスイッチ40、演出スイッチ46、精算スイッチ45および鍵穴47が設けられている。
【0028】
メダル投入部41は、操作部4の上面4Aの右側に設けられ、メダルを投入するためのものである。メダル投入部41の投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を後述する制御部6(
図4参照)に出力する。
【0029】
ベットスイッチ42は、メダルを設定(ベット)するための操作を受け付けるスイッチである。ベットスイッチ42が操作されると、貯留されたクレジットメダルからメダルがベットされる。第1の実施形態では、ベットスイッチ42は、クレジットメダルから最大投入枚数である「3枚」がベットされるマックスベットスイッチである。
【0030】
また、第1の実施形態では、ベットスイッチ42として、第1ベットスイッチ42Aと第2ベットスイッチ42Bとが設けられる。第1ベットスイッチ42Aは、操作部4の上面4Aの左側に設けられる。また、第2ベットスイッチ42Bは、後述する右ストップスイッチ40Cの右側に設けられる。第2ベットスイッチ42Bは「ベットスイッチ」の一例である。
【0031】
また、第1の実施形態では、第1ベットスイッチ42Aと第2ベットスイッチ42Bとは、楕円筒形状に形成されている。
第1ベットスイッチ42Aは、操作部4の上面4Aから上方に所定量突出し、遊技者の操作によって、下方側に押下可能に形成されている。
また、第2ベットスイッチ42Bは、操作部4の前面4Bから前方に所定量突出し、遊技者の操作によって、後方側に押下可能に形成されている。
【0032】
スタートスイッチ43は、メダルの投入またはベットスイッチ42の操作を条件に回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスイッチである。第1の実施形態では、スタートスイッチ43として、第1スタートスイッチ43Aと第2スタートスイッチ43Bとが設けられる。第1スタートスイッチ43Aは、前方に突出したレバー状に形成され、第1ベットスイッチ42Aの下方に設けられる。また、第2スタートスイッチ43Bは、楕円筒形状に形成され、第2ベットスイッチ42Bの右側に設けられる。第2スタートスイッチ43Bは「スタートスイッチ」の一例である。
【0033】
第1スタートスイッチ43Aは、操作部4の前面4Bから前方に突出し、遊技者の操作によって、操作部4側を支点に先端側を下方側に移動可能に形成されている。
第2スタートスイッチ43Bは、操作部4の前面4Bから前方に所定量突出し、遊技者の操作によって、後方側に押下可能に形成されている。
【0034】
ストップスイッチ40は、回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付けるスイッチである。ストップスイッチ40は、楕円筒形状に形成され、操作部4の左右方向中央に設けられる。また、操作により対応する回転リール20の回転を停止させるため、3個の回転リール20のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ40が設けられている。
【0035】
このストップスイッチ40は、左回転リール20Aを停止させるための左ストップスイッチ40Aと、中回転リール20Bを停止させるための中ストップスイッチ40Bと、右回転リール20Cを停止させるための右ストップスイッチ40Cと、を有している。
【0036】
各ストップスイッチ40は、操作部4の前面4Bから前方に所定量突出し、遊技者の操作によって、後方側に押下可能に形成されている。
すなわち、操作部4の前面4Bには、筐体10に向かって左から、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、第2スタートスイッチ43Bの順に配置される。
【0037】
また、第2ベットスイッチ42B、第2スタートスイッチ43Bおよびストップスイッチ40は、後述するスライド操作が可能なように、筐体10の前面4Bに一直線上に配置される。
【0038】
また、第2ベットスイッチ42B、第2スタートスイッチ43Bおよび隣り合うストップスイッチ40の間の間隔は、略等間隔に配置される。
また、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bは、
図2に示すように、略同じ形状に形成されている。デザイン上の統一を図ることができる。
【0039】
また、
図3に示すように、第2ベットスイッチ42Bの表面に設けられた操作面部42Fと、第2スタートスイッチ43Bの表面に設けられた操作面部43Fと、ストップスイッチ40の表面に設けられた操作面部40Fとが、略面一に構成される。
【0040】
また、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bは、
図3に示すように、後述するスライド操作の際に、遊技者の指が引っかからず、スライド操作がし易いように、操作部4側の底面の面積よりも表面側の面積の方が小さくなるように、表面側の先端部の角Gを曲線で形成している。
【0041】
図1に戻って、演出スイッチ46は、第1ベットスイッチ42Aの右側に設けられ、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、および遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出スイッチ46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出スイッチ46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0042】
演出スイッチ46は、操作部4の上面4Aから上方に所定量突出し、遊技者の操作によって、下方側に押下可能に形成されている。
精算スイッチ45は、クレジット機能によりクレジットしたメダルの全てを払い出すためのものである。精算スイッチ45は、操作部4の前面4Bから前方に所定量突出し、遊技者の操作によって、後方側に押下可能に形成されている。
【0043】
精算スイッチ45は、ストップスイッチ40よりも、スライド操作の方向であるスライド方向Y(
図2参照)の下流側以外の位置、第1の実施形態では、第1スタートスイッチ43Aの左側に配置する。スライド操作によって、遊技者が意図せず精算してしまうことを防止することができる。
【0044】
鍵穴47は、前面扉100を筐体10に施錠する施錠装置(図示せず)の鍵が挿入される穴である。鍵穴47は、スライド操作の邪魔にならないように、第2スタートスイッチ43Bよりも右側に配置される。
【0045】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図4参照)。
【0046】
図4に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0047】
回転リールユニット2は、
図1および
図4に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、
図5に示すように、複数の図柄が、当該回転リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0048】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0049】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0050】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率、を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。なお、リプレイとは、遊技者がメダルをベットすることなく次遊技を行うこと(再遊技)が可能となる役である。
【0051】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出スイッチ46を押下してスピーカ102から出力される音量調整処理、および液晶画面3の光量調整処理等を行う。
【0052】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする(遊技価値の設定)。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、スタートスイッチ43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0053】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。第1の実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0054】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0055】
第1の実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、スタートスイッチ43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0056】
具体的には、遊技開始可能な状態でスタートスイッチ43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0057】
すなわち、遊技者は、ベットスイッチ42、スタートスイッチ43、およびストップスイッチ40の順にスイッチを操作することによりゲームを行う。しかし、第1ベットスイッチ42Aは、他のスイッチ(スタートスイッチ43、およびストップスイッチ40)と離れた場所である操作部4の上面4Aに配置される。また、第1スタートスイッチ43Aは、ストップスイッチ40と並んで配置されているがストップスイッチ40と異なる方向へ操作することになる。したがって、遊技者は操作する手を大きく動かすと共に、操作するスイッチに応じて異なる動作をする必要があり、スピード感のある操作ができない。
【0058】
そのため、第1の実施形態では、スライド操作を可能にするため、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bを、ストップスイッチ40よりもスライド方向Yの下流側にストップスイッチ40と並んで配置している。上記のスライド操作とは、複数のストップスイッチ40の少なくとも1つ、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bの表面上に遊技者の指を滑らせる操作である。
【0059】
スライド方向Yは、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bの押下方向である後方側と直交する右方向である。
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0060】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、
図6および
図7に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0061】
第1遊技状態は、
図6に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0062】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0063】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0064】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。二種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置であって、例えば2枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0065】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0066】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0067】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。
【0068】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、
図7に示すように、一般遊技状態およびAT状態を含む。一般遊技状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0069】
一般遊技状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0070】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からAT状態へと移行する。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからのメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合に、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0071】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。
図8に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0072】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0073】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0074】
<制御部の構成>
図4に戻って、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。遊技を進行させるための制御には、後述するベット処理、始動処理、および停止処理が少なくとも含まれる。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出スイッチ46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。第1の実施形態では、メイン制御部61は「制御部」の一例である。
【0075】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0076】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614、区間制御部615、および遊技状態制御部616として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0077】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、スタートスイッチ43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役の少なくとも何れか1つに当選するか否かを決定する。具体的に、内部抽せん部610は、スタートスイッチ43が操作された時の第1遊技状態と遊技区間とに基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびスタートスイッチ43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技進行制御部614などに送信される。
【0078】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、スタートスイッチ43操作時のRT状態、特定役(ボーナス)中か否か、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役が含まれる。
【0079】
AT状態で遊技が行われる場合には、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0080】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんしている。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされないため、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。
【0081】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、スタートスイッチ43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0082】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、スタートスイッチ43が操作された場合、回転リール制御部611は始動処理を実行し、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は停止処理を実行し、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0083】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、内部抽せんで当せんした役(当せん役)に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0084】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せん役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール20の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せん役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0085】
更に、回転リール制御部611は、停止処理の実行中に、始動処理を実行するための操作として第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けた場合、実行中の遊技の次遊技以降における始動処理の実行を予約可能とする。具体的には、回転リール制御部611は、始動処理の実行を予約する場合、停止処理の実行中に第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けてから、停止処理が実行されている遊技の次遊技が開始可能となるまでの間に、始動処理の実行を予約する始動フラグを成立させる。なお、始動フラグが成立するまでの流れについては後述する。
【0086】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せん役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0087】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0088】
具体的に、媒体管理部613は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0089】
当せん役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0090】
具体的に、当せん役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0091】
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および/または差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)は、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)をリセットする。
【0092】
更に、媒体管理部613は、停止処理の実行中に、ベット処理を実行するための操作として第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けた場合、ベット処理の実行を予約可能とする。具体的には、媒体管理部613は、ベット処理の実行を予約する場合、停止処理の実行中に第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けてから、停止処理が実行されている遊技の次遊技が開始可能となるまでの間に、ベット処理の実行を予約するベットフラグを成立させる。なお、ベットフラグが成立するまでの流れについては後述する。
【0093】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0094】
また、遊技進行制御部614は、RAMクリアボタン671が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部614は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更する。
【0095】
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0096】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0097】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定度に応じて異なっている。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる、区間移行抽せんの当せん確率が異なっている。
【0098】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行したか否かを判定する。一般遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0099】
また、区間制御部615は、有利区間の状態での消化ゲーム数が3000ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0100】
また、区間制御部615は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
なお、区間制御部615は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0101】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態またはAT状態に設定する。
【0102】
一例として、
図6に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0103】
また、
図7に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させる。
【0104】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0105】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。
【0106】
また、遊技中に、設定値を示唆する演出の報知条件が満たされた場合、演出制御部630は、当該演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、レア役当せん時、ボーナスゲームの終了時、AT終了時、などが挙げられる。
【0107】
<予約フラグについて>
予約フラグとは、処理の実行を予約するためのフラグである。第1の実施形態では、予約フラグとして、実行中の遊技の次遊技におけるベット処理の実行を予約するベットフラグおよび始動処理の実行を予約する始動フラグが設けられている。
【0108】
ここで、第1の実施形態では、上述したように、ベットスイッチ42として、第1ベットスイッチ42Aと第2ベットスイッチ42Bとが設けられ、スタートスイッチ43として、第1スタートスイッチ43Aと第2スタートスイッチ43Bとが設けられている。そして、遊技者は、メダルをベットするために、第1ベットスイッチ42Aまたは第2ベットスイッチ42Bのいずれを操作することもできる。また、遊技者は、回転リール20の回転を開始させるために、第1スタートスイッチ43Aまたは第2スタートスイッチ43Bのいずれを操作することもできる。
【0109】
このとき、遊技者は、着席後の最初のゲームにおいては、第1ベットスイッチ42Aおよび第1スタートスイッチ43Aを操作することが想定される。これは、第1ベットスイッチ42Aおよび第1スタートスイッチ43Aの配置が他の多くのスロットマシンと同様の遊技者にとって慣れた位置にあるので、自然に操作を行えるためである。
【0110】
また、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bは、ストップスイッチ40の右方向にストップスイッチ40と並んで配置されている。この配置のため、一直線上に並んだ複数のスイッチの中から第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bを探して操作することは煩わしく、着席後の最初のゲームにおける操作は想定しにくい。したがって、第1の実施形態では、着席後の最初のゲームを遊技者にとって慣れた操作で開始させるために、第1ベットスイッチ42Aおよび第1スタートスイッチ43Aが設けられている。
【0111】
次に、遊技者は、着席後の2ゲーム目以降における時間効率を重視する場合、ストップスイッチ40に対するスライド操作の延長で、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bに対してもスライド操作を行えばよい。これにより、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bをスライド操作しない場合に比べて、単位時間あたりの消化ゲーム数の増加が見込まれる。なお、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bをスライド操作した場合は、次のゲームで第1ベットスイッチ42Aおよび第1スタートスイッチ43Aを操作する必要はない。
【0112】
さらに、第1の実施形態では、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bをスライド操作することで、上記の予約フラグを成立させることができる。第1の実施形態では、予約フラグが成立した場合、遊技者がベットスイッチ42およびスタートスイッチ43を操作することなくベット処理および始動処理が実行されるため、さらなる単位時間あたりの消化ゲーム数の増加が見込まれる。
【0113】
以下、
図9を用いて、予約フラグの成立から消滅までの流れについて説明する。なお、
図9に示す契機T1から契機T10は、N遊技における契機を示し、契機T11および契機T12は、N遊技の次遊技であるN+1遊技における契機を示す。
【0114】
図9に示す契機T1において、遊技者により第1ベットスイッチ42Aが操作された場合、媒体管理部613はベット処理を実行し、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させる。なお、契機T1においては、左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20Cの回転は停止している。
【0115】
契機T2において、遊技者により第1スタートスイッチ43Aが操作された場合、回転リール制御部611は始動処理を実行し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御を行う。第1の実施形態では、一例として、回転リール制御部611は、左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20Cの順に時間差で回転を開始させる。また、契機T2において、第1スタートスイッチ43Aの操作に基づいて、内部抽せん部610は、N遊技の当せん役を決定するための内部抽せんを行う。ここでは、内部抽せんでリプレイ以外の役に当せんしたものとする。
【0116】
契機T3において、遊技者により左ストップスイッチ40Aが操作された場合、回転リール制御部611は停止処理を実行し、左回転リール20Aの回転を停止させる回転停止制御を行う。なお、各回転リール20はいずれも、契機T2から契機T3までの間に、各ストップスイッチ40の操作が可能となる定常回転となる。そして、回転リール制御部611による左回転リール20Aに対する停止処理は、契機T3から契機T8まで継続する。つまり、左回転リール20Aの回転は、契機T8で停止する。
【0117】
契機T4において、遊技者により中ストップスイッチ40Bが操作された場合、回転リール制御部611は停止処理を実行し、中回転リール20Bの回転を停止させる回転停止制御を行う。そして、回転リール制御部611による中回転リール20Bに対する停止処理は、契機T4から契機T9まで継続する。つまり、中回転リール20Bの回転は、契機T9で停止する。
【0118】
契機T5において、遊技者により右ストップスイッチ40Cが操作された場合、回転リール制御部611は停止処理を実行し、右回転リール20Cの回転を停止させる回転停止制御を行う。そして、回転リール制御部611による右回転リール20Cに対する停止処理は、契機T5から契機T10まで継続する。つまり、右回転リール20Cの回転は、契機T10で停止する。
【0119】
左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20C全ての停止処理が終了する契機T10の前の契機T6において、遊技者により第2ベットスイッチ42Bが操作された場合に停止処理が実行中であるため、媒体管理部613はベットフラグを成立させる。
【0120】
左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20C全ての停止処理が終了する契機T10の前の契機T7において、遊技者により第2スタートスイッチ43Bが操作された場合に停止処理が実行中であるため、回転リール制御部611は始動フラグを成立させる。
上記の契機T6におけるベットフラグおよび契機T7における始動フラグは、N遊技において、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bがスライド操作されたがゆえに成立する。
【0121】
契機T8において、左回転リール20Aの回転が停止する。
契機T9において、中回転リール20Bの回転が停止する。
契機T10において、右回転リール20Cの回転が停止する。そして、回転リール制御部611による停止処理が終了する。
【0122】
契機T11において、媒体管理部613は、契機T10で停止処理が停止してN遊技が消化されたあと、当該N遊技の消化完了前におけるベットフラグの成立に基づくベット処理を実行し、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させる。媒体管理部613は、契機T11でベット処理を実行したことに基づいてベットフラグを消去する。なお、契機T11において、クレジット数が規定数より少ない場合、媒体管理部613は、メダル投入部41からメダルが投入されてクレジットされるまで、N遊技で第2ベットスイッチ42Bが操作されてから一定時間待機する。そして、一定時間内にクレジット数が規定数より多くなった場合、媒体管理部613は、ベットフラグの成立に基づくベット処理を実行する。一方、一定時間経過してもクレジット数が規定数より少ない場合、媒体管理部613はベットフラグを消去し、回転リール制御部611は始動フラグを消去する。
【0123】
契機T12において、回転リール制御部611は、契機T11でベット処理が実行されたあと、当該N遊技の消化完了前における始動フラグの成立に基づく始動処理を実行し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御を行う。回転リール制御部611は、契機T12で始動処理を実行したことに基づいて始動フラグを消去する。また、契機T12において、始動処理の実行に基づいて、内部抽せん部610は、N+1遊技の当せん役を決定するための内部抽せんを行う。
【0124】
なお、N+1遊技以降は、各回転リール20が定常回転となったあと、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bをスライド操作することで、現在の遊技における回転リール20の停止処理が実行され、当該遊技の次遊技のベット処理および始動処理の実行が予約可能となる。
【0125】
ここで、契機T2において、内部抽せん部610により行われたN遊技の当せん役を決定するための内部抽せんでリプレイに当せんした場合は、以下の流れとなる。なお、上記の説明と重複する部分について省略しつつ説明する。
【0126】
契機T2において、遊技者により第1スタートスイッチ43Aが操作された場合、回転リール制御部611は始動処理を実行し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御を行う。また、契機T2において、第1スタートスイッチ43Aの操作に基づいて、内部抽せん部610は、N遊技の当せん役を決定するための内部抽せんを行う。ここでは、内部抽せんでリプレイに当せんしたため、内部抽せん部610はリプレイフラグを成立させる。なお、リプレイ成立による再遊技は、全回転リール20の回転の停止時に付与されるものであるが、第1の実施形態では、全回転リール20の回転の停止時に付与される再遊技によるベットを前借りしてリプレイフラグを成立させている。
【0127】
契機T2で行われた内部抽せんでリプレイに当せんしたため、契機T6において、遊技者により第2ベットスイッチ42Bが操作されても、媒体管理部613はベットフラグを成立させない。
契機T7において、遊技者により第2スタートスイッチ43Bが操作された場合に停止処理が実行中であるため、回転リール制御部611は始動フラグを成立させる。
契機T11では、ベットフラグが成立していないため、ベット処理は実行されない。
【0128】
契機T12において、回転リール制御部611は、契機T2で行われた内部抽せんでリプレイに当せんしたため、リプレイフラグの成立に基づく始動処理を実行し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御を行う。回転リール制御部611は、契機T12で始動処理を実行したことに基づいて始動フラグを消去する。また、内部抽せん部610は、始動処理の実行に基づいてリプレイフラグを消去する。
【0129】
<スロットマシン1の予約フラグ処理の流れ>
図10および
図11は、予約フラグの成立から消滅までの流れを示す予約フラグ処理のフローチャートである。一例として、予約フラグ処理は、遊技者によりN遊技における各ストップスイッチ40の操作が終了した場合に実行される。
図10に示すステップS10において、メイン制御部61は、N遊技における各回転リール20の回転を停止させる停止処理を実行する。そして、ステップS11に進む。
【0130】
ステップS11において、メイン制御部61は、第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けたか否かを判定し、第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けたと判定した場合(ステップS11:YES)はステップS12に進む。一方、メイン制御部61により第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けていないと判定された場合(ステップS11:NO)はステップS14に進む。
【0131】
ステップS12において、メイン制御部61は、N遊技の当せん役はリプレイであるか否かを判定し、リプレイであると判定した場合(ステップS12:YES)はステップS14に進む。一方、メイン制御部61によりN遊技の当せん役はリプレイでないと判定された場合(ステップS12:NO)はステップS13に進む。
【0132】
ステップS13において、メイン制御部61は、ベットフラグを成立させる。そして、ステップS14に進む。
ステップS14において、メイン制御部61は、第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けたか否かを判定し、第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けたと判定した場合(ステップS14:YES)はステップS15に進む。一方、メイン制御部61により第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けていないと判定された場合(ステップS14:NO)はステップS16に進む。
【0133】
ステップS15において、メイン制御部61は、始動フラグを成立させる。そして、ステップS16に進む。
ステップS16において、メイン制御部61は、停止処理を終了する。そして、
図11に示すステップS20に進む。
【0134】
図11に示すステップS20において、メイン制御部61は、N+1遊技が開始可能であるか否かを判定し、開始可能であると判定した場合(ステップS20:YES)はステップS22に進む。一方、メイン制御部61によりN+1遊技が開始可能でないと判定された場合(ステップS20:NO)はステップS21に進む。一例として、メイン制御部61は、クレジット数が規定数より多くウェイトが経過している場合にN+1遊技が開始可能であると判定し、クレジット数が規定数より少ない場合またはウェイトが経過していない場合にN+1遊技が開始可能でないと判定する。第1の実施形態では、規定数を「3」とする。上記のウェイトとは、前遊技(N遊技)のスタートスイッチ43の操作から次遊技(N+1遊技)の回転リール20の回転が開始するまでの予め定めた時間を意味し、第1の実施形態では、一例として「4.1秒」である。
【0135】
ステップS21において、メイン制御部61は、N遊技で第2ベットスイッチ42Bの操作を受付けてから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS21:YES)はステップS25に進む。一方、メイン制御部61により一定時間が経過していないと判定された場合(ステップS21:NO)はステップS20に戻る。
【0136】
ステップS22において、メイン制御部61は、N遊技の内部抽せんにてリプレイフラグが成立していないか否かを判定し、リプレイフラグが成立していないと判定した場合(ステップS22:YES)はステップS23に進む。一方、メイン制御部61によりN遊技の内部抽せんにてリプレイフラグが成立していると判定された場合(ステップS22:NO)はステップS24に進む。
【0137】
ステップS23において、メイン制御部61は、ステップS13で成立したベットフラグに基づくベット処理を実行する。そして、ステップS24に進む。
ステップS24において、メイン制御部61は、ステップS15で成立した始動フラグに基づく始動処理を実行する。そして、ステップS25に進む。
ステップS25において、メイン制御部61は、成立している予約フラグを消去する。そして、予約フラグ処理を終了する。
【0138】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、遊技を進行するための停止処理(第1処理)ならびにベット処理および始動処理(第2処理)を実行可能であり、各遊技で停止処理(第1処理)よりも先にベット処理および始動処理(第2処理)を実行するメイン制御部61(制御部)を備え、メイン制御部61(制御部)は、停止処理(第1処理)の実行中にベット処理および始動処理(第2処理)を実行するための操作を受付けた場合、実行中の遊技の次遊技以降におけるベット処理および始動処理(第2処理)の実行を予約可能とするものである。
【0139】
<発明の効果>
第1の実施形態では、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bは、スライド操作が可能なようにスライド方向Yの上流側から下流側に向かって、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bの順に配置されている。これにより、第1の実施形態によれば、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bに対してスライド操作を行うことで、停止処理の実行中に第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bを容易に操作できる。したがって、第1の実施形態によれば、ストップスイッチ40、第2ベットスイッチ42B、および第2スタートスイッチ43Bに対してスライド操作を行うことで、容易にベット処理および始動処理の実行が予約可能となり、単位時間あたりの消化ゲーム数を増加させることができる。
【0140】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、ベット処理および始動処理の実行を予約する場合、停止処理の実行中にベット処理および始動処理を実行するための操作を受付けてから、停止処理が実行されている遊技の次遊技が開始可能となるまでの間に、ベット処理および始動処理の実行を予約する予約フラグを成立させる。そして、メイン制御部61は、予約フラグを成立させた場合、ベット処理および始動処理を実行することで予約フラグを消去する。これにより、第1の実施形態によれば、予約フラグの成立に基づくベット処理および始動処理を実行した遊技以降の当該予約フラグの持ち越しを禁止することができる。
【0141】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、内部抽せんによりリプレイに当せんした場合、ベットフラグを成立させず、始動フラグを成立させる。これにより、第1の実施形態によれば、リプレイの当せんに基づく再遊技の実行と、ベットフラグの成立に基づくベット処理の実行とが重複することを防止できる。
【0142】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、ストップスイッチ40の操作に基づく停止処理の実行中に第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bが操作された場合にクレジット数が規定数より少なくても、ベットフラグおよび始動フラグを成立させる。これにより、第1の実施形態によれば、クレジット数の不足分が補充された場合にベットフラグの成立に基づくベット処理および始動フラグの成立に基づく始動処理を速やかに実行することができる。
【0143】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、規定数に対するクレジット数の不足分が補充されることなく予め定めた時間が経過した場合、成立させたベットフラグおよび始動フラグを消去する。これにより、第1の実施形態によれば、使用されない予約フラグが長期間成立していることを防止できる。
【0144】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、ベットフラグおよび始動フラグを成立させた場合、ベットフラグおよび始動フラグを成立させた遊技の次遊技で、ベットフラグの成立に基づくベット処理および始動フラグの成立に基づく始動処理を実行する。これにより、第1の実施形態によれば、ベットフラグおよび始動フラグを成立させた遊技の次遊技を速やかに開始することができる。
【0145】
また、第1の実施形態によれば、メイン制御部61は、ベットフラグおよび始動フラグが成立したことを液晶画面3、スピーカ102および電飾部103から報知させる。これにより、第1の実施形態によれば、遊技者にベットフラグおよび始動フラグが成立しているか否かを把握させることができる。
【0146】
[第2の実施形態]
次に、本実施形態にかかるスロットマシン1の第2の実施形態について、他の実施形態との重複部分を省略または簡略しつつ説明する。
【0147】
第2の実施形態では、メイン制御部61は、ストップスイッチ40の操作に基づく停止処理の実行中に第2ベットスイッチ42Bおよび第2スタートスイッチ43Bが操作された場合にクレジット数が規定数より少ないときには、ベットフラグおよび始動フラグを成立させない。これにより、第2の実施形態によれば、ベット処理および始動処理を実行できない状態でベットフラグおよび始動フラグが成立することを防止できる。
【0148】
[第3の実施形態]
次に、本実施形態にかかるスロットマシン1の第3の実施形態について、他の実施形態との重複部分を省略または簡略しつつ説明する。
【0149】
第3の実施形態では、第2スタートスイッチ43Bは、遊技の進行に関しない特定処理を実行するための操作を受付け可能である。そして、制御部6は、停止処理の実行中における第2スタートスイッチ43Bの操作に基づいて、始動フラグとともに特定処理の実行を予約する特定フラグを成立させることが可能である。第3の実施形態では、特定処理はサブ制御部63が行う処理とする。一例として、特定処理には、演出処理、音量調整処理、光量調整処理、楽曲変更処理、および遊技履歴表示処理等が含まれる。第3の実施形態では、特定処理は「第3処理」の一例であり、制御部6は「制御部」の一例である。
【0150】
ここで、第3の実施形態では、予約フラグとして、ベットフラグおよび始動フラグに加えて、遊技の進行に関しない特定処理の実行を予約する特定フラグが設けられている。そして、第3の実施形態では、停止処理の実行中に第2スタートスイッチ43Bが操作された場合、制御部6のうち、メイン制御部61が始動フラグを成立させることが可能であり、サブ制御部63が特定フラグを成立させることが可能である。
【0151】
以上の構成により、第3の実施形態によれば、停止処理の実行中における第2スタートスイッチ43Bの操作に基づいて、遊技を進行する処理および遊技の進行に関しない処理の実行を予約することができる。また、特定処理は、特定フラグの成立に基づいて実行されるほか、演出スイッチ46の操作に基づいて実行することができる。これにより、第3の実施形態によれば、例えば、特定処理を演出処理とした場合、遊技者による演出スイッチ46の押下操作を伴うことなく、演出スイッチ46を押下操作した場合と同様の演出効果を発揮できる。
【0152】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0153】
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、所定役が当せんしたが入賞していない状態の下でATでの遊技が行われるものであり、その状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、所定役が持ち越されていない状態の下では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
【0154】
前記実施形態の一般遊技状態には、CZが含まれてもよい。また、前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0155】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大3000ゲームに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0156】
設定値を示唆する演出には、画像によるものの他、回転リール20の回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、更に含まれてもよい。
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。
【0157】
前記実施形態では、物理媒体であるメダルの投入および払い出しを行うタイプのスロットマシン1を例示したが、メダルの投入および払い出しは行わずに、メダル数に対応する遊技価値の数をデータ上で管理するタイプのスロットマシン(メダルレス機)に適用してもよい。メダルレス機では、メダルの投入が不要になるため、遊技者の手間が減り、単位時間あたりの消化ゲーム数の増加が見込まれる。したがって、メダルレス機にスライド操作を可能とした前記実施形態を採用することで、さらなる単位時間あたりの消化ゲーム数の増加を見込むことが可能となる。すなわち、スライド操作を可能とした前記実施形態は、メダルレス機との相性がよい実施形態であると言える。また、このようなメダルレス機では、所有中の遊技価値数が遊技者ごとに管理されており、ベットスイッチ42が押されればその所有中のメダル数からベットされる。そのため、ホッパーユニット50を含まずともよい。なお、遊技者の所有する遊技価値は、スロットマシン上で管理されてもよいし、スロットマシンと電気的に接続された遊技価値貸出機上で管理されてもよい。
【0158】
前記実施形態では、ベット処理および始動処理の双方を「第2処理」の一例としたが、これに限らず、ベット処理または始動処理のいずれか一方を「第2処理」の一例としてもよい。
【0159】
前記実施形態では、ベットフラグおよび始動フラグが成立したことを液晶画面3、スピーカ102および電飾部103から報知させていたが、これに限らず、ベットフラグおよび始動フラグの成立を遊技者に対して報知しなくてもよい。また、ベットフラグおよび始動フラグの成立を報知するか否かを遊技者または店舗スタッフが選択可能であってもよい。
【0160】
前記実施形態では、始動フラグの成立に基づく始動処理を実行したことに基づいて、当該始動処理を実行した遊技の当せん役を決定するための内部抽せんを実行した(
図9に示す契機T12)。しかし、これに限らず、始動フラグを成立させた遊技において、当該遊技の次遊技の当せん役を決定するための内部抽せんを実行してもよい(
図9に示す契機T7から契機T10)。
【0161】
前記実施形態において、特定フラグの成立に基づく特定処理を実行する遊技は特に限定されない。例えば、特定処理は、特定フラグが成立した遊技および当該遊技の次遊技以降で実行してもよい。また、特定フラグの成立に基づいて実行される特定処理は、常に同じ処理であってもよいし、状況に応じて異なる処理であってもよい。さらに、特定処理として実行する処理を遊技者が選択可能であってもよい。
【0162】
前記実施形態において、第2スタートスイッチ43Bは、始動処理および特定処理を実行するための操作を受付け可能とした。この場合、制御部6は、第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けた場面に応じて、始動フラグまたは特定フラグの成立を可能としてもよい。例えば、制御部6は、遊技中に第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けた場合は始動フラグの成立を可能とし、非遊技中に第2スタートスイッチ43Bの操作を受付けた場合は特定フラグの成立を可能としてもよい。非遊技中としては、例えば、スロットマシン1が遊技されていない状態であって、且つ、デモンストレーションが液晶画面3に表示されている状態(待機状態、アトラクト状態)、などが挙げられる。
【0163】
前記実施形態では、第2スタートスイッチ43Bが始動処理および特定処理を実行するための操作を受付け可能であったが、これに代えてまたは加えて、第2ベットスイッチ42Bがベット処理および特定処理を実行するための操作を受付け可能であってもよい。また、ストップスイッチ40が停止処理および特定処理を実行するための操作を受付け可能であってもよい。さらに、第1ベットスイッチ42Aまたは第1スタートスイッチ43Aが特定処理を実行するための操作を受付け可能であってもよい。なお、当該構成を採用する場合は、各スイッチを1回操作することで、複数の指示信号(ベット指示、始動指示、特定処理実施指示)が出力される。
【0164】
前記実施形態では、ベットスイッチ42のうち、第2ベットスイッチ42Bがベットフラグに基づくベット処理を実行するための操作を受付け可能であったが、これに加えて、第1ベットスイッチ42Aもベットフラグに基づくベット処理を実行するための操作を受付け可能であってもよい。
【0165】
前記実施形態では、スタートスイッチ43のうち、第2スタートスイッチ43Bが始動フラグに基づく始動処理を実行するための操作を受付け可能であったが、これに加えて、第1スタートスイッチ43Aも始動フラグに基づく始動処理を実行するための操作を受付け可能であってもよい。
【0166】
前記実施形態では、ベットスイッチ42として、第1ベットスイッチ42Aと第2ベットスイッチ42Bとの2つのスイッチを設けたが、これに限定されず、第1ベットスイッチ42Aは設けなくてもよい。
【0167】
前記実施形態では、スタートスイッチ43として、第1スタートスイッチ43Aと第2スタートスイッチ43Bとの2つのスイッチを設けたが、これに限定されず、第1スタートスイッチ43Aは設けなくてもよい。
前記実施形態では、複数の回転リール20の数を「3」としたが、これに限らず、「4以上」としてもよい。この場合、複数のストップスイッチ40の数は、複数の回転リール20の数と同数となる。
【0168】
前記実施形態では、内部抽せんでリプレイに当せんしてリプレイフラグが成立した場合は、リプレイに対応する図柄が有効ラインL上に必ず揃うこととしたが、これに限らず、リプレイフラグが成立した場合にリプレイに対応する図柄が有効ラインL上に揃わないことがあってもよい。つまり、リプレイの取りこぼしが発生してもよい。
【0169】
上記の場合、例えば、
図9に示す契機T2で行われた内部抽せんでリプレイに当せんした際に成立させたリプレイフラグを、契機T10で全回転リール20の回転が停止してリプレイの取りこぼしが発生したときに消去してもよい。また、前記実施形態と異なり、リプレイフラグおよびベットフラグの共存を許可し、リプレイに対応する図柄が有効ラインL上に揃った場合にはリプレイフラグを使用し、リプレイが取りこぼされた場合にはベットフラグを使用してもよい。なお、リプレイフラグおよびベットフラグは、各遊技におけるスタートスイッチ43の操作から全回転リール20の回転の停止時までの任意のタイミングで成立および消去してもよい。
【0170】
前記実施形態において、スロットマシン1に対して、メダルの差枚数が予め定めた枚数(例:2万枚)以上になった場合、店舗スタッフによる設定変更またはリセット操作を受け付けるまで遊技不能になるような仕様、いわゆる打ち止め仕様を設けてもよい。この場合、打ち止めに到達したときには、成立している予約フラグの消去、および新たな予約フラグの成立を受け付けないようにしてもよい。
【0171】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。さらに、本実施形態の複数の実施形態のうち、1つの実施形態単体でも実施可能である。なお、本実施形態にかかるスロットマシン1は、特許請求の範囲において請求項1に記載した内容のみでも実施可能であり、請求項1と他請求項とを組み合わせた内容でも実施可能である。
【符号の説明】
【0172】
1 スロットマシン(遊技機)
3 液晶画面(報知部)
6 制御部
20 回転リール
42B 第2ベットスイッチ(ベットスイッチ)
43B 第2スタートスイッチ(スタートスイッチ)
40 ストップスイッチ
61 メイン制御部(制御部)
102 スピーカ(報知部)
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転リールの回転を停止させる停止処理を実行するための操作を受付け可能なストップスイッチと、
遊技に用いる遊技価値を設定するベット処理を実行するための操作を受付け可能なベットスイッチ、および複数の前記回転リールの回転を開始させる始動処理を実行するための操作を受付け可能なスタートスイッチの少なくとも1つと、
前記停止処理、前記ベット処理および前記始動処理を実行可能であり、各遊技で前記停止処理よりも先に前記ベット処理および前記始動処理の少なくとも1つを実行可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記停止処理の実行中に前記ベット処理および前記始動処理の少なくとも1つを実行するための操作を受付けた場合、実行するための操作を受付けた前記ベット処理および前記始動処理の少なくとも1つの、実行中の遊技の次遊技以降における実行を予約可能とする遊技機。