(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146532
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231004BHJP
G06T 17/00 20060101ALI20231004BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20231004BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T17/00
G06F3/04815
G06F3/14 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053754
(22)【出願日】2022-03-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物への掲載による公開、掲載日:2021年12月22日、雑誌名:土木施工 2022年1月号 VOL.63 No.1 P82~P85
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森 真吾
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 知己
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 知英
(72)【発明者】
【氏名】山中 孝文
【テーマコード(参考)】
5B050
5B069
5B080
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
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5E555EA08
5E555EA10
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することが可能な情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得する三次元情報取得部と、建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する第1取得部と、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、建設現場が再現された仮想空間上に第1オブジェクトを示す情報を対応付けて、表示部に表示させる表示処理部と、を備える情報処理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得する三次元情報取得部と、
前記建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する第1取得部と、
前記三次元情報の座標情報と、前記第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、前記第1オブジェクトを示す情報を前記建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、前記表示部に表示させる表示処理部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記建設現場を仮想空間に再現する現場情報に、所定のシステムから取得される前記建設現場の現実の空間の座標を示す座標情報を対応付けて、前記三次元情報を生成する座標設定部をさらに備え、
前記三次元情報取得部は、前記生成される三次元情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1取得部は、現実の空間の座標を示す座標情報を含む前記第1オブジェクト情報を取得し、
前記表示処理部は、前記三次元情報における現実の空間の座標を示す座標情報と、前記第1オブジェクト情報における現実の空間の座標を示す座標情報と、に基づいて、前記第1オブジェクトを示す情報を前記建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部に表示させる
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記三次元情報に含まれる座標情報および前記第1オブジェクト情報に含まれる座標情報は、現実の空間における三次元の座標を示す座標情報である、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1取得部は、前記第1オブジェクトを示す情報を前記表示部に表示させる要求をユーザ端末から取得したことに応じて、前記第1オブジェクト情報を取得する、請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記建設現場に存在する第2オブジェクトに関する、座標情報を含む第2オブジェクト情報を、前記第2オブジェクトを示す情報を前記表示部に表示させる前記ユーザ端末からの要求にかかわらず、所定のタイミングで取得する第2取得部をさらに備え、
前記表示処理部は、前記仮想空間に対応付けられた座標情報と、前記第1オブジェクト情報の座標情報と、前記第2オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、前記第1オブジェクトを示す情報及び前記第2オブジェクトを示す情報を前記建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、前記表示部に表示させる、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第1オブジェクト情報の座標情報に基づいて、前記表示部に表示される前記第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部において所定の範囲内に含まれると判定される場合、ユーザ端末に対し警告を送信する警告送信部と、
をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記建設現場は、線路の工事の建設現場であり、
前記第1オブジェクトは、工事車両である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
外部の情報処理システムから取得される前記線路の状況に関する線路情報及び前記第1オブジェクト情報の座標情報に基づいて、前記表示部に表示される前記第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部において所定の範囲内に含まれると判定される場合、ユーザ端末に対し警告を送信する警告送信部と、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記三次元情報取得部は、BIMモデルまたはCIMモデルで生成された前記三次元情報を取得する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータが、
建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得し、
前記建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得し、
前記三次元情報の座標情報と、前記第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、前記建設現場が再現された仮想空間上に前記第1オブジェクトを示す情報を対応付けて、表示部に表示させる、
情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得する三次元情報取得部と、
前記建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する第1取得部と、
前記三次元情報の座標情報と、前記第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、前記建設現場が再現された仮想空間上に前記第1オブジェクトを示す情報を対応付けて、表示部に表示させる表示処理部と、
を実現させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル技術を活用して、建設現場の状況を把握する手法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているシステムでは、地図上の施工現場領域に施工計画図を貼り合わせるように、地図の情報及び施工計画図の情報を結合して複合地図を形成し、施工現場における作業員、重機、及び運搬機のそれぞれの状態に応じて、複合地図上に付する作業員、重機、及び運搬機のそれぞれの表示を異ならせて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているシステムでは、位置情報に基づき、作業員、重機、及び運搬機を、地図と施工計画図とを結合した複合地図上に表示している。しかし、当該システムでは、平面的な地図上に作業員、重機、及び運搬機を表示させているにすぎず、施工現場内における重機などと建物などとの位置関係を正確に把握することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することが可能な情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得する三次元情報取得部と、建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する第1取得部と、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部に表示させる表示処理部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得し、建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得し、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部に表示させる。
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、建設現場を仮想空間に再現して表示部に三次元表示させるための情報である、座標情報を含む三次元情報を取得する三次元情報取得部と、建設現場に存在する第1オブジェクトに関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する第1取得部と、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部に表示させる表示処理部と、を実現させる。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することが可能な情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である表示システム10の構成を示す図である。
【
図2】設定座標記憶部113に記憶される情報の例を示す図である。
【
図3】オブジェクト記憶部123に記憶される情報の例を示す図である。
【
図4】表示処理部131によって表示部210に表示される画面の例を示す。
【
図5】表示システム10における表示処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】表示システム10における判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】コンピュータ700のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である表示システム10の構成を示す図である。表示システム10は、例えば、現場表示システム100、ユーザ端末200、中継システム310、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330を含む。
【0014】
現場表示システム100は、ユーザ端末200、中継システム310、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330とインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されるシステムである。
【0015】
現場表示システム100は、建設現場を仮想空間に再現してユーザ端末200の表示部(例えば、後述する表示部210)に三次元表示させるシステムである。すなわち、現場表示システム100は、建設現場を仮想空間に再現したデジタルツインを、ユーザ端末200の表示部210に表示することができる。建設現場の作業員や建設工事の管理者(建設現場にいない作業員や管理者を含む。)は、現場表示システム100による表示を参照して、現場の作業状況を把握したり、現場へ必要な指示を与えたりすることができる。現場表示システム100の詳細については、後述する。
【0016】
ユーザ端末200は、現場表示システム100を利用するユーザの情報端末であり、現場表示システム100の処理に基づいて、仮想空間に再現される建設現場を三次元表示する情報端末である。ここで、ユーザは、例えば、建設現場の作業員や建設工事の管理者である。ユーザ端末200は、例えば、ユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0017】
ユーザ端末200は、表示部210を備える。表示部210は、現場表示システム100の処理によって三次元表示される、仮想空間に再現される建設現場を表示する。なお、
図1では、ユーザ端末200が1つしか示されていないが、複数のユーザに対応して複数のユーザ端末200が設けられてもよい。
【0018】
中継システム310は、第1オブジェクト320に関する情報を現場表示システム100に送信する情報処理システムである。なお、中継システム310は、第1オブジェクト320から取得する情報を、加工や圧縮等の処理をせずに現場表示システム100に送信してもよく、また、第1オブジェクト320から取得する情報を適宜処理して、現場表示システム100に送信してもよい。中継システム310を設けることによって、中継システム310が第1オブジェクト320から送信される各種情報を格納できるため、現場表示システム100の処理量を減らすことができる。また、中継システム310において、第1オブジェクト320から取得される情報を加工処理することによって、現場表示システム100との間の通信量を減らすことができる。
【0019】
第1オブジェクト320は、建設現場に存在するオブジェクトである。ここで、建設現場に存在するオブジェクトは、当該オブジェクトが各種機能を発揮するために必要な装置を備えていてもよい。すなわち、例えば、第1オブジェクト320は、建設現場が線路の工事の建設現場である場合、建設現場に存在する軌陸車であってもよく、また、当該軌陸車は、当該軌陸車の座標(位置)を特定するための装置(例えば、GPS(Global Positioning System)装置)を備えていてもよい。なお、第1オブジェクト320は、軌陸車に限られず、建設現場に存在する工事車両(例えば、重機やトラック)であってもよい。
【0020】
第1オブジェクト320は、座標情報を含む、第1オブジェクト320に関する第1オブジェクト情報を、中継システム310に提供する。第1オブジェクト情報は、例えば、第1オブジェクト320が各種機能を発揮するために備える装置(例えば、GPS装置)から取得される情報を含んでもよい。
【0021】
座標情報を含む第1オブジェクト情報とは、座標情報に、第1オブジェクトを識別可能なテキストデータを付加した情報であってもよい。すなわち、第1オブジェクト情報は、第1オブジェクトの点群データやデジタルツインを含まないデータであって、例えば座標情報とテキスト情報のみのデータであってもよい。すなわち、表示システム10では、少なくとも第1オブジェクト320の座標(例えば、現実の空間の座標)を示す情報に基づき、表示部210に表示される建設現場のデジタルツイン上に第1オブジェクトを示す情報を表示させることができる。言い換えると、表示システム10では、少ない通信量によりリアルタイムに、第1オブジェクトを示す情報をデジタルツイン上に表示させることができる。
【0022】
座標情報は、例えば、第1オブジェクト320の緯度・経度の二次元の位置を示す情報であってもよいし、緯度・経度・高さの三次元の位置を示す情報であってもよいし、建設現場を再現したデジタルツインに設定された座標に対して相対的な位置を示す情報であってもよい。すなわち、座標情報は、例えば、デジタルツインや後述するBIM/CIMモデルを作成又は表示するソフトウェアで設定される座標に対して相対的な位置を示す情報であってもよい。言い換えると、座標情報は、例えば、現実の空間の座標(例えば、GPS装置によって定まる三次元の緯度・経度・高さや、二次元の緯度・経度を示す座標)と異なる位置を示す情報を含み得る。
【0023】
なお、第1オブジェクト320は、中継システム310を通じて第1オブジェクト情報を現場表示システム100に送信してもよく、また、現場表示システム100に直接、第1オブジェクト情報を送信してもよい。
【0024】
第2オブジェクト330は、建設現場に存在するオブジェクトである。第2オブジェクト330は、例えば、建設現場に存在する作業員や重機であってもよく、また、作業員や重機は、それぞれの座標(位置)を特定するために必要な装置(例えば、GPS装置)を備えていてもよい。
【0025】
第2オブジェクト330は、座標情報を含む、第2オブジェクト330に関する第2オブジェクト情報を現場表示システム100に提供する。第2オブジェクト情報は、例えば、第2オブジェクト330が各種機能を発揮するために備える装置(例えば、GPS装置)から取得される情報を含んでもよい。
【0026】
なお、
図1では、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330がそれぞれ1つずつしか示されていないが、複数の第1オブジェクト320及び複数の第2オブジェクト330が設けられてもよい。
【0027】
また、表示システム10において、例えば、現場表示システム100は、ユーザ端末200、中継システム310、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330の全部または一部の機能を備えていてもよい。また、ユーザ端末200、中継システム310、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330の少なくともいずれかが、現場表示システム100の一部の機能を備えていてもよい。すなわち、以下で説明する各機能部は、現場表示システム100、ユーザ端末200、中継システム310、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330のいずれかで実現されていればよい。
【0028】
続いて、現場表示システム100の詳細について説明する。現場表示システム100は、現場情報取得部111、座標設定部112、設定座標記憶部113、三次元情報取得部114、第1取得部121、第2取得部122、オブジェクト記憶部123、表示処理部131、判定部132、警告送信部133を備える。現場表示システム100を構成するコンピュータは、プロセッサ及び記憶領域を備える。
図1に示す各機能部は、例えば、記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0029】
現場情報取得部111は、建設現場を仮想空間に再現する現場情報を取得する。現場情報取得部111は、例えば、ユーザ端末200から、現場情報を取得してもよい。
【0030】
現場情報は、建設現場を仮想空間に再現するための情報である。現場情報は、例えば、建設現場の点群データであってもよいし、建設現場の点群データに基づき生成されるデジタルツインであってもよいし、建設現場のデジタルツインに属性情報を付加したBIM(Building Information Modeling)モデルまたはCIM(Construction Information Modeling)モデル(以下、「BIM/CIMモデル」という。)であってもよい。
【0031】
ここで、点群データとは、例えば、三次元座標のそれぞれに対応付けられた点の集合を示すデータである。また、デジタルツインとは、例えば、物理空間から取得した情報をもとに、デジタル空間に物理空間のコピーを再現したデータである。また、BIM/CIMモデルとは、建築物や建設工事現場に関する三次元モデルである。ユーザは、BIM/CIMモデルを通じて、例えば、建設や施工、維持管理等の工事の段階に関する情報を連携することができる。なお、本実施形態において、以下の説明において単に「デジタルツイン」というときには、「点群データ」または「BIM/CIMモデル」と読み替えてもよい。
【0032】
すなわち、現場情報は、例えば、建設工事の対象となっている土地や建造物、又は、建設工事によって建設予定の建造物を、仮想空間に三次元表示させるための情報であってもよい。
【0033】
座標設定部112は、現場情報に、所定のシステムから取得される建設現場の座標情報を対応付けて三次元情報を生成する。すなわち、三次元情報は、点群データ、デジタルツインまたはBIM/CIMモデルに座標情報を付加したデータである。三次元情報は、例えば、現実の空間における二次元の座標(例えば、緯度・経度)を示す座標情報を対応付けて生成されてもよいし、現実の空間における三次元の座標(例えば、緯度・経度・高さ)を示す座標情報を対応付けて生成されてもよい。座標設定部112は、三次元情報を設定座標記憶部113に格納する。以下、一例として、座標設定部112は、現実の空間における三次元の座標を示す座標情報を対応付けて三次元情報を生成することとして説明する。以下において、便宜上、現実の空間における三次元の座標を示す座標情報を「現実座標情報」として説明する。
【0034】
具体的には、座標設定部112は、例えば、現場情報に、所定のシステムから取得される建設現場の現実座標情報を対応付ける。座標設定部112は、例えば、仮想空間上に三次元表示される建設現場の現場情報と、所定のシステムから取得される建設現場の現実座標情報とを重ね合わせる。
【0035】
ここで、座標設定部112は、例えば、ユーザによるユーザ端末200に対する操作入力に基づいて、現場情報と現実座標情報とを重ね合わせてもよい。具体的には、座標設定部112は、表示部210に表示された建設現場の現場情報に対して、ユーザの操作入力を受け付けたことを示す操作情報をユーザ端末200から取得する。座標設定部112は、現場情報が示す画像上のユーザによって選択された領域を特定する。座標設定部112は、例えば、選択された領域に対して、ユーザよって現実座標情報を重ね合わせられた結果をユーザ端末200から取得する。座標設定部112は、当該結果に基づいて、現実の空間の座標に変換した結果に関する変換情報を生成し、変換情報を設定座標記憶部113に格納する。
【0036】
また、座標設定部112は、例えば、現場情報が示す表示上のユーザによって選択された少なくとも2地点(例えば、同一平面の2地点)を特定することによって変換情報を生成してもよい。具体的には、座標設定部112は、ユーザによって当該2地点に対して現実座標情報を対応付けられた結果を、ユーザ端末200から取得する。座標設定部112は、当該結果に基づいて、現実の空間の座標に変換した結果に関する変換情報を生成し、変換情報を設定座標記憶部113に格納する。これにより、座標設定部112は、現場情報に対して簡易に現実座標情報を対応付けることができる。
【0037】
また、座標設定部112は、例えば、現場情報が示す画像上のユーザによって選択された3地点(例えば、同一平面の2地点と、同一平面に対して高さ成分を有する1地点)を特定することによって変換情報を生成してもよい。これにより、座標設定部112は、現場情報に対して三次元の現実座標情報を対応付けることができるため、より正確に第1オブジェクト320の位置を三次元情報に反映できる。
【0038】
図2は、設定座標記憶部113に記憶される情報の例を示す図である。設定座標記憶部113に記憶される情報は、例えば、現場情報ID、変換情報を含む。
【0039】
現場情報IDは、座標設定部112が座標情報を対応付ける現場情報を識別する情報である。変換情報は、現場情報の座標情報を現実の座標に変換するための情報であり、例えば座標を変換するための行列を示す情報であってもよい。
【0040】
なお、設定座標記憶部113は、変換情報を記憶する代わりに、座標設定部112が座標情報を対応付ける前の座標情報を示す設定前座標情報及び座標設定部112が座標情報を対応付けた後の座標情報を示す設定後座標情報を記憶してもよい。
【0041】
三次元情報取得部114は、建設現場を仮想空間に再現してユーザ端末200の表示部210に三次元表示させるための三次元情報を取得する。三次元情報取得部114は、例えば、座標設定部112によって生成される三次元情報を取得する。なお、三次元情報取得部114は、例えば、外部の情報処理システムから三次元情報を取得してもよい。
【0042】
第1取得部121は、建設現場に存在する第1オブジェクト320に関する情報である、座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得する。第1取得部121は、第1オブジェクト320から、中継システム310を介して、第1オブジェクト情報を取得してもよい。第1取得部121は、第1オブジェクト情報を、オブジェクト記憶部123に格納する。
【0043】
第1取得部121は、ユーザ端末200から第1オブジェクトを示す情報を表示部210に表示させる表示要求を取得したことに応じて、第1オブジェクト情報を取得してもよい。この場合、現場表示システム100は、例えば、表示要求に応じて、第1オブジェクト情報の送信要求を中継システム310に送信する。中継システム310は、送信要求に応じて、第1オブジェクト320から受信した第1オブジェクト情報を現場表示システム100に送信する。
【0044】
なお、第1オブジェクトが複数のオブジェクト(例えば、複数の軌陸車)を含む場合、ユーザ端末200による表示要求は、当該複数のオブジェクトのそれぞれについての要求であってもよい。
【0045】
また、第1取得部121が取得する第1オブジェクト情報は、中継システム310が第1オブジェクト320から取得する情報であってもよく、また、中継システム310が第1オブジェクト320から取得する情報に基づいて、中継システム310が適宜処理(例えば、データ量を削減する処理)を施した情報であってもよい。また、現場表示システム100は、例えば、中継システム310を介さずに直接、第1オブジェクト320に送信要求を送信してもよい。
【0046】
第2取得部122は、建設現場に存在する第2オブジェクト330に関する、座標情報を含む第2オブジェクト情報を取得する。第2取得部122は、例えば、ユーザ端末200から第2オブジェクトを示す情報を表示部210に表示させるための表示要求にかかわらず、所定のタイミングで第2オブジェクト330から第2オブジェクト情報を取得する。第2取得部122は、第2オブジェクト情報をオブジェクト記憶部123に格納する。
【0047】
このように、現場表示システム100は、第1取得部121によって、第1オブジェクト320(例えば、軌陸車)に関する第1オブジェクト情報をユーザ端末200から取得する表示要求に応じて取得し、第2取得部122によって、第2オブジェクト330(例えば、作業員や重機)に関する第2オブジェクト情報をユーザ端末200からの表示要求にかかわらず取得する。
【0048】
図3は、オブジェクト記憶部123に記憶される情報の例を示す図である。オブジェクト記憶部123に記憶される情報は、例えば、オブジェクトID、オブジェクト名情報、種別情報、現実座標情報、オブジェクト表示情報を含む。
【0049】
オブジェクトIDは、現場表示システム100において処理されるオブジェクトを識別する情報である。オブジェクト名情報は、オブジェクトの名称を示す情報である。種別情報は、オブジェクトの種別(例えば、第1オブジェクト又は第2オブジェクトのいずれか)を示す情報である。現実座標情報は、建設現場において存在するオブジェクトの、三次元情報における現実の空間の座標を示す情報である。
【0050】
オブジェクト表示情報は、例えば、第1オブジェクト320(例えば、軌陸車)及び第2オブジェクト330に含まれるオブジェクトを、表示部210に表示される二次元のオブジェクトまたは三次元のオブジェクトとして表示するための情報である。オブジェクト表示情報は、オブジェクトが点群データによって仮想的に三次元表示されるものであってもよいし、所定のアイコン(例えば、オブジェクトが軌陸車である場合、軌陸車を擬似的に示すアイコン)によって仮想的に三次元表示されるものであってもよい。
【0051】
表示処理部131は、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部210に表示させる。具体的には、ユーザ端末200は、例えば、デジタルツインのデータを所定の記憶部または外部のシステムから取得して表示部210に表示する。表示処理部131は、例えば、ユーザ端末200から第1取得部121で第1オブジェクト情報の表示要求を受け付けた場合、オブジェクト記憶部123を参照して、第1オブジェクトに対応する現実座標情報およびオブジェクト表示情報を特定する。表示処理部131は、例えば、表示要求に含まれ得る三次元情報の座標情報に、現実座標情報を関連付けて、オブジェクト表示情報とともに、ユーザ端末200に送信してもよい。なお、表示処理部131は、例えば、第1オブジェクトに対応する現実座標情報及びオブジェクト表示情報を、ユーザ端末200に送信してもよい。
【0052】
また、表示処理部131は、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、第2オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報及び第2オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部210に表示させることができる。すなわち、表示処理部131による表示処理により、表示部210に、建設現場と、建設現場に存在する第1オブジェクト320と、必要に応じて第2オブジェクト330と、が仮想的に三次元表示される。
【0053】
ここで、デジタルツイン上にオブジェクトを表示させるシステムでは、例えば、オブジェクトが表示される三次元情報をリアルタイムに表示させる場合、オブジェクトを示す情報のデータ量が大きい状況において、データ通信量が膨大となり得る。このため、システムの表示処理が遅れ、リアルタイムでの表示ができない事態や、ユーザが快適と感じる速度での表示ができない事態が起こりうる。
【0054】
上述したように、表示システム10では、少ない通信量で、リアルタイムに第1オブジェクト320を建設現場のデジタルツイン上に表示させることが可能な構成を提供する。現場表示システム100は、建設現場の三次元情報に対して、座標情報を含む第1オブジェクト情報を当該座標情報に基づき付加する。すなわち、表示システム10は、変化が少ない建設現場の三次元情報に対して、リアルタイムに位置が変化しうる第1オブジェクト320又はリアルタイムに位置を把握すべき第1オブジェクト320を、三次元表示されるデジタルツイン上にデータ容量が小さい第1オブジェクト320の座標情報に基づいて表示することができる。
【0055】
また、表示システム10において、現場表示システム100は、ユーザ端末200から取得する表示要求に応じて第1オブジェクト情報を取得する。すなわち、現場表示システム100では、ユーザが要求するタイミングにおいてのみ第1オブジェクト情報を表示させる処理を実行する。これにより、現場表示システム100によって処理されるデータ量が削減され、現場表示システム100の表示処理を高速化することができる。また、これにより、ユーザは、現場表示システム100によるスムーズな表示処理の提供を受けることができ、リアルタイムで、建設現場の状況を把握することができる。
【0056】
図4は、表示処理部131によって表示部210に表示される画面の例を示す。
図4に示す画面は、例として、線路工事の現場が示されている。
図4に示す画面は、例えば、点群データにより示される線路401及び建物402、軌陸車を擬似的に示すアイコン421、作業員を擬似的に示すアイコン430(430a、430b)、重機を擬似的に示すアイコン431、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330に関する情報を表示する領域440を含む。さらに、
図4に示す画面は、例えば、アイコン421及びアイコン431のそれぞれの表示位置を強調するアイコン422及びアイコン432を含んでもよい。
【0057】
なお、点群データにより示される線路401及び建物402の少なくとも一方は、点群データの代わりに、線路401及び建物402のそれぞれを擬似的に示すアイコンによって示されてもよい。また、
図4に示す画面には、さらに、例えば、第1オブジェクト320及び第2オブジェクト330から取得される情報(例えば、映像)を表示する領域(不図示)、また、後述する判定部132及び警告送信部133による処理結果が表示される領域(不図示)が設けられてもよい。
【0058】
続いて、表示システム10によって、三次元情報に表示される第1オブジェクト情報が所定の条件を充たす場合、ユーザに対して警告を発する仕組みについて説明する。以下では、一例として、軌陸車が線路上に残置されることによって、軌陸車と鉄道が衝突するおそれがある線路工事について説明する。
【0059】
判定部132は、第1オブジェクト情報の現実座標情報に基づいて、表示部210に表示される第1オブジェクトを示す情報がデジタルツイン上の所定の範囲内に含まれるか否かを判定する。
【0060】
また、判定部132は、例えば、建設現場が線路の工事の建設現場であり、第1オブジェクト320が工事車両(例えば、軌陸車、重機、トラック)である場合、工事車両に対応する現実座標情報に基づいて、工事車両が線路から所定の距離に含まれるか否かを判定することができる。すなわち、判定部132は、建設現場において、工事車両が線路上又は線路付近に位置しているか否かを判定することができる。具体的には、判定部132は、工事車両に関する第1オブジェクト情報の現実座標情報が示す座標と、線路を示すデジタルツインの座標との距離が所定の値以下である場合に、工事車両が線路上又は線路付近に位置していると判定することができる。
【0061】
また、判定部132は、例えば、建設現場が線路の工事の建設現場であり、第1オブジェクト320が軌陸車である場合、外部の情報処理システムから提供される線路の状況に関する線路情報に基づいて、表示部210に表示される第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれるか否かを判定してもよい。具体的には、判定部132は、外部の情報処理システムから提供される線路情報が示すデジタルツイン上の線路の少なくとも一部が軌陸車と重なり合っていることを示し、かつ、軌陸車に対応する現実座標情報が示す位置につき線路情報が示す位置の付近を示す場合、軌陸車が線路上に位置していると判定することができる。ここで、表示システム10に線路情報を提供する外部の情報処理システムは、例えば、線路や鉄道を管理する管理事業者の情報処理システムであってもよい。
【0062】
警告送信部133は、判定部132において第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれると判定される場合、ユーザ端末200に対し警告を送信する。
【0063】
警告送信部133は、例えば、建設現場が線路の工事の建設現場であり、第1オブジェクト320が工事車両である場合、工事車両が線路上又は線路付近に位置している旨の警告をユーザ端末200に対し送信することができる。
【0064】
また、警告送信部133は、判定部132が線路情報に基づいて、軌陸車が線路上に位置していると判定した場合、軌陸車が線路上に位置している旨の警告をユーザ端末200に対し送信することができる。
【0065】
なお、警告送信部133は、判定部132において第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれていないと判定される場合、その旨の通知をユーザ端末200に対し送信してもよい。これにより、ユーザは、建設現場において、第1オブジェクト320に対応する危険な状況がないことを確認することができる。
【0066】
このように、判定部132は軌陸車が線路上に位置しているか否かを判定し、警告送信部133は、軌陸車が線路上に位置している場合、ユーザ端末200に警告を送信する。これにより、軌陸車が線路上に残置されている危険な状況を可及的に防ぐことができる。
【0067】
ここで、表示処理部131は、判定部132において第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれると判定される場合、対応する第1オブジェクトを示す情報に関する表示を変更してもよい。すなわち、表示処理部131は、例えば、所定の範囲内に含まれると判定された第1オブジェクトを示す情報を強調して表示してもよい。ここで、強調して表示する方法は、例えば、第1オブジェクトを示す情報の色や大きさ、形状を変更する方法であってもよく、表示部210の表示画面を、第1オブジェクトを示す情報を中心に拡大する方法であってもよく、また、その他の方法であってもよい。これにより、ユーザは、事故の危険がある所定の範囲内に、第1オブジェクト320(例えば、軌陸車)が存在することを容易に把握することができる。
【0068】
また、表示処理部131は、例えば、所定の範囲内に含まれると判定された第1オブジェクト320から取得される情報(例えば、第1オブジェクトに備わるカメラの映像)や、当該所定の範囲内に関する情報(例えば、当該所定の範囲内に設置されるカメラの映像)を、表示部210に表示してもよい。これにより、ユーザは、所定の範囲内に含まれると判定された第1オブジェクトの状況を容易に把握することができる。
【0069】
図5は、表示システム10における表示処理の例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、表示システム10に含まれる現場表示システム100は、現場情報を、例えば、ユーザ端末200から、取得する(S501)。現場表示システム100は、現場情報に、所定のシステムから取得される建設現場の三次元の座標情報を対応付けて設定して(S502)、三次元情報を生成し取得する(S503)。
【0071】
続いて、現場表示システム100は、ユーザ端末200から取得する、第1オブジェクトを示す情報を表示部210に表示させる表示要求に応じて、中継システム310から第1オブジェクト情報を取得する(S504)。また、現場表示システム100は、ユーザ端末200からの表示要求にかかわらず、第2オブジェクト330から第2オブジェクト情報を取得する(S505)。なお、第1オブジェクト情報及び第2オブジェクト情報の取得の順序は問わない。
【0072】
現場表示システム100は、現実座標情報に基づいて、第1オブジェクトを示す情報及び第2オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部210に表示させる(S506)。
【0073】
図6は、表示システム10における判定処理の例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、現場表示システム100を、建設現場が線路工事であり、第1オブジェクト320が軌陸車である形態に適用した場合の判定処理におけるフローチャートである。
【0074】
まず、表示システム10に含まれる現場表示システム100は、表示部210に表示される軌陸車を示す情報が、線路から所定の範囲内に位置するか否かを判定する(S601)。表示部210に表示される軌陸車を示す情報が線路から所定の範囲内に位置すると判定される場合(S601:YES)、現場表示システム100は、例えば、外部の情報処理システムから取得される線路情報に基づいて、軌陸車が線路上に位置しているか否かを判定する(S602)。軌陸車が線路上に位置していると判定される場合(S602:YES)、現場表示システム100は、ユーザ端末200に対し警告を送信する(S603)。
【0075】
表示部210に表示される軌陸車を示す情報が線路から所定の範囲内に位置していないと判定される場合(S601:NO)及び、軌陸車が線路上に位置していないと判定される場合(S602:NO)、現場表示システム100は、その旨の通知をユーザ端末200に送信する(S604)。
【0076】
次に、
図7を参照して、現場表示システム100をコンピュータ700により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。
図7は、コンピュータ700のハードウェア構成の例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、コンピュータ700は、例えば、プロセッサ701、メモリ702、記憶装置703、入力I/F部704、データI/F部705、通信I/F部706、及び表示装置707を含む。
【0078】
コンピュータ700は、例えば、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、メディアコンピュータプラットフォーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ等)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアント等)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットフォームであってもよい。
【0079】
プロセッサ701は、メモリ702に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ700における各種の処理を制御する制御部である。
【0080】
メモリ702は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ702は、プロセッサ701によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0081】
記憶装置703は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置703は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0082】
入力I/F部704は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部704は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部704は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介してコンピュータ700に接続されてもよい。
【0083】
データI/F部705は、コンピュータ700の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部705は、例えば、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等である。データI/F部705は、コンピュータ700の外部に設けられてもよい。データI/F部705がコンピュータ700の外部に設けられる場合、データI/F部705は、例えば、USB等のインターフェースを介してコンピュータ700に接続される。
【0084】
通信I/F部706は、コンピュータ700の外部の装置と有線又は無線により、インターネット等のネットワークを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部706は、コンピュータ700の外部に設けられてもよい。通信I/F部706がコンピュータ700の外部に設けられる場合、通信I/F部706は、例えば、USB等のインターフェースを介してコンピュータ700に接続される。
【0085】
表示装置707は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置707は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等である。表示装置707は、コンピュータ700の外部に設けられてもよい。表示装置707がコンピュータ700の外部に設けられる場合、表示装置707は、例えば、ディスプレイケーブル等を介してコンピュータ700に接続される。また、表示装置707は、ユーザ端末200の表示部210であってもよい。この場合、表示部210は、コンピュータ700とインターネット等のネットワークを介して接続されればよい。また、入力I/F部704としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置707は、入力I/F部704と一体化して構成されてもよい。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明した。表示システム10は、三次元情報の座標情報と、第1オブジェクト情報の座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、ユーザ端末200の表示部210に表示させることができる。これにより、ユーザは、建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することができる。また、座標情報に基づいて三次元表示させることで、表示システム10が処理するデータを軽量化することができる。
【0087】
また、表示システム10は、現場情報に、所定のシステムから取得される建設現場の三次元の座標情報を対応付けて、三次元情報を生成することができる。これにより、ユーザは、所定のシステムから取得される建設現場の三次元の座標情報に基づいて、建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することができる。
【0088】
また、表示システム10は、現実の空間の座標を示す座標情報を含む第1オブジェクト情報を取得し、三次元情報における現実の空間の座標を示す座標情報と、第1オブジェクト情報における現実の空間の座標を示す座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部210に表示させることができる。これにより、ユーザは、現実の空間の座標を示す座標情報に基づいて、建設現場におけるオブジェクトの位置を正確に把握することができる。
【0089】
また、表示システム10は、三次元情報における現実の空間における三次元の座標を示す座標情報と、第1オブジェクト情報における現実の空間における三次元の座標を示す座標情報と、に基づいて、第1オブジェクトを示す情報を建設現場が再現された仮想空間上に対応付けて、表示部210に表示させることができる。
【0090】
また、表示システム10は、ユーザ端末200から取得する、第1オブジェクトを示す情報を表示部210に表示させる表示要求に応じて、第1オブジェクト情報を取得することができる。これにより、表示システム10は、ユーザが要求する表示に対応する第1オブジェクト情報のみを処理することができ、表示システム10によって処理されるデータが削減され、表示システム10の表示処理を高速化することができる。また、これにより、ユーザは、円滑に表示システム10の表示処理の提供を受けることができる。
【0091】
また、表示システム10は、ユーザ端末200から取得する表示要求にかかわらず、第2オブジェクト情報を取得し、第2オブジェクトを示す情報を表示部210に三次元表示することができる。これにより、建設現場に存在するオブジェクトを第1オブジェクトと第2オブジェクトに分類して、効率的な表示システム10の処理を実現することができる。
【0092】
また、表示システム10は、第1オブジェクトを示す情報が所定の範囲内に含まれているか否かを判定し、所定の範囲内に含まれていると判定される場合、ユーザ端末200に対し警告を送信することができる。これにより、ユーザは、第1オブジェクトが所定の範囲内に存在している状況を容易に把握することができる。
【0093】
また、表示システム10は、線路工事の建設現場において、外部の情報処理システムから取得される線路情報に基づいて、第1オブジェクトに対応する軌陸車を示す情報が所定の範囲内に含まれるか否かを判定し、所定の範囲内に含まれると判定される場合、ユーザ端末200に警告を送信することができる。これにより、ユーザは、線路工事において軌陸車が線路上に依然留まっている状況を容易に把握することができる。
【0094】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10 表示システム、100 現場表示システム、111 現場情報取得部、112 座標設定部、113 設定座標記憶部、114 三次元情報取得部、121 第1取得部、122 第2取得部、123 オブジェクト記憶部、131 表示処理部、132 判定部、133 警告送信部、200 ユーザ端末、210 表示部、310 中継システム、320 第1オブジェクト、330 第2オブジェクト、700 コンピュータ、701 プロセッサ、702 メモリ、703 記憶装置、704 入力I/F部、705 データI/F部、706 通信I/F部、707 表示装置