(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146557
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20231004BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20231004BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231004BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H9/00 A
G03G15/00 445
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053787
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康伸
(72)【発明者】
【氏名】松崎 好樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 克典
(72)【発明者】
【氏名】中田 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】廣江 伸弘
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕丈
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
(72)【発明者】
【氏名】出口 宏治
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA03
2H072AA09
2H072AA13
2H072AA16
2H072AA29
2H072CA01
2H072CB09
3F048AA01
3F048AB01
3F048AC02
3F048BA20
3F048BA22
3F048BB02
3F048CC05
3F048DC12
3F048EA15
3F048EB22
3F048EB30
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F102CA03
3F102DA08
3F102EA03
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】シート搬送装置において、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制する。
【解決手段】シート搬送装置は、2組の移動搬送ロール対と、2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置される第二搬送ロール対と、上流側の移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に配置される複数の第三搬送ロール対と、シートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対とを備え、前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるとき、搬送中のシートの一部を把持したまま軸方向に変位する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組の移動搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対の前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第一搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対と前記複数の第一搬送ロール対との間および前記複数の第一搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第一搬送ロール対の少なくとも一部は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、搬送中のシートの一部を把持したまま前記軸方向に変位するシート搬送装置。
【請求項2】
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能であって前記搬送方向に間隔をあけて配置される2組の移動搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置され、シートを挟持して搬送する単数または複数の第二搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対のうち前記搬送方向の上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対よりも前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第三搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間および前記複数の第三搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、搬送中のシートの一部を把持したまま前記軸方向に変位するシート搬送装置。
【請求項3】
前記変位する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、当該移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持することになる位置に配置された第一搬送ロール対である請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記変位する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、前記上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持することになる位置に配置された第三搬送ロール対である請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記変位する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対が移動しないときと前記移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、変位しないときの平常時の位置に存在する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記変位する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対が移動しないときと当該移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、移動しないときの平常時の位置に存在する請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記複数の第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、少なくとも一部が湾曲している湾曲区間を有している請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路は、湾曲している請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記複数の第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、前記上流側の移動搬送ロール対から一定の区間が直線状に延びる直線区間で構成されている請求項8に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
シートが搬送される元になる搬送元部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、
を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が請求項1、3、5または7に記載のシート搬送装置で構成されている画像形成装置。
【請求項11】
シートが搬送される元になる搬送元部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、
を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が請求項2、4、6、8または9に記載のシート搬送装置で構成されている画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送元部が、前記画像形成部を通過した後のシートの表裏面を反転させるシート反転部であり、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が、前記シート反転部から搬送されるシートを前記画像形成部に再送する再送路を含む請求項10または11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートを搬送しながら旋回させることによりシートの斜行を補正する斜行補正部と、斜行補正部の下流側においてシート搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、シート搬送方向と直交する方向のシートの位置を補正する横レジ補正部と、斜行補正部の上流側に設けられ、シート搬送方向と直交する方向に移動可能なシート搬送補助部と、を有するシート搬送装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、そのシート搬送装置が、斜行補正部によるシートの斜行補正を行った後に、横レジ補正部がシート搬送方向と直交する方向にシートを移動して位置補正を行うときに、シート搬送補助部が、横レジ補正部と同期して該横レジ補正部と同一の方向に移動することが記載されている。
さらに、特許文献1には、上記シート斜行補正部は、シート搬送方向に直交した線上に独立して配置された2つのシート搬送回転体対であって、各搬送回転体対のシート搬送速度の差によりシートの斜行を補正し、その各シート搬送回転体対は、シートの斜行の補正後に圧接が解除されることも記載されている。
【0004】
特許文献2には、シートを挟んでの搬送と、搬送方向に直交する幅方向への移動とが可能な挟持搬送部材対を二組備えるシート搬送装置が記載されている。
また、特許文献2には、そのシート搬送装置において、一枚の前記シートを二組の挟持搬送部材対で挟んだ状態で幅方向への移動を行い、幅方向への移動の後、二組の挟持搬送部材対のうちの搬送方向の上流側に位置する上流側挟持搬送部材対を形成する二つの挟持搬送部材を離間し、二組の挟持搬送部材対のうちの搬送方向の下流側に位置する下流側挟持搬送部材対で前記シートを搬送することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-1473号公報(請求項1,2、
図2)
【特許文献2】特開2019-147663号公報(請求項1、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、複数の搬送ロール対の少なくとも一部が、1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに軸方向に変位しないよう固定されている場合に比べて、抑制できるシート搬送装置と画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組の移動搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対の前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第一搬送ロール対と、
前記移動搬送ロール対と前記複数の第一搬送ロール対との間および前記複数の第一搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第一搬送ロール対の少なくとも一部は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、搬送中のシートの一部を把持したまま前記軸方向に変位するシート搬送装置である。
【0008】
本発明(2)は、
シートを挟持して搬送することと搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能であって前記搬送方向に間隔をあけて配置される2組の移動搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間に配置され、シートを挟持して搬送する単数または複数の第二搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対のうち前記搬送方向の上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対よりも前記搬送方向の上流側に間隔をあけて配置され、シートを挟持して搬送する複数の第三搬送ロール対と、
前記2組の移動搬送ロール対どうしの間および前記複数の第三搬送ロール対どうしの間にシートの搬送空間を形成するよう配置される複数の搬送ガイド対と、
を備え、
前記複数の第三搬送ロール対の少なくとも一部は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるとき、搬送中のシートの一部を把持したまま前記軸方向に変位するシート搬送装置である。
【0009】
本発明(3)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記変位する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、当該移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持することになる位置に配置された第一搬送ロール対であるシート搬送装置である。
【0010】
本発明(4)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記変位する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対を前記軸方向に移動させるときに、前記上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持することになる位置に配置された第三搬送ロール対であるシート搬送装置である。
【0011】
本発明(5)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記変位する第一搬送ロール対は、前記移動搬送ロール対が移動しないときと前記移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、変位しないときの平常時の位置に存在するシート搬送装置である。
【0012】
本発明(6)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記変位する第三搬送ロール対は、前記2組の移動搬送ロール対が移動しないときと当該移動搬送ロール対が移動してからシートを搬送し終えたときに、変位しないときの平常時の位置に存在するシート搬送装置である。
【0013】
本発明(7)は、上記発明(1)のシート搬送装置において、
前記複数の第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、少なくとも一部が湾曲している湾曲区間を有しているシート搬送装置である。
【0014】
本発明(8)は、上記発明(2)のシート搬送装置において、
前記2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路は、湾曲しているシート搬送装置である。
【0015】
本発明(9)は、上記発明(8)のシート搬送装置において、
前記複数の第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路は、前記上流側の移動搬送ロール対から一定の区間が直線状に延びる直線区間で構成されているシート搬送装置である。
【0016】
本発明(10)は、
シートが搬送される元になる搬送元部と、シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が上記発明(1)、(3)、(5)または(7)のシート搬送装置で構成されている画像形成装置である。
【0017】
本発明(11)は、
シートが搬送される元になる搬送元部と、シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送元部から前記画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、を備え、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が上記発明(2)、(4)、(6)、(8)または(9)のシート搬送装置で構成されている画像形成装置である。
【0018】
本発明(12)は、上記発明(10)または(11)の画像形成装置において、
前記搬送元部が、前記画像形成部を通過した後のシートの表裏面を反転させるシート反転部であり、
前記シート搬送装置の少なくとも一部が、前記シート反転部から搬送されるシートを前記画像形成部に再送する再送路を含む画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
上記発明(1)または(2)のシート搬送装置によれば、シートの搬送方向と交差する軸方向へ移動することが可能な1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、複数の搬送ロール対の少なくとも一部が、1組または2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに軸方向に変位しないよう固定されている場合に比べて、抑制できる。
【0020】
上記発明(3)によれば、変位する第一搬送ロール対が、移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持しない第一搬送ロール対も含む場合に比べて、変位する第一搬送ロール対の数を必要最小限にしたうえで、第一搬送ロール対の少なくとも一部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制できる。
【0021】
上記発明(4)によれば、変位する第三搬送ロール対が、上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持しない第三搬送ロール対も含む場合に比べて、変位する第三搬送ロール対の数を必要最小限にしたうえで、第三搬送ロール対の少なくとも一部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制することができる。
【0022】
上記発明(5)によれば、変位する第一搬送ロール対が、移動搬送ロール対が移動しないときと移動搬送ロール対が移動してシートの搬送し終えたときに軸方向に変位した位置に留まる場合に比べて、平常時におけるシートの安定した搬送が確保される。
【0023】
上記発明(6)によれば、変位する第三搬送ロール対が、2組の移動搬送ロール対が移動しないときと2組の移動搬送ロール対が移動してシートの搬送し終えたときに軸方向に変位した位置に留まる場合に比べて、平常時におけるシートの安定した搬送が確保される。
【0024】
上記発明(7)によれば、第一搬送ロール対が配置されたシートの搬送路が湾曲区間を有していない場合に比べて、湾曲区間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが発生しやすい傾向にあるが、その発生を抑制することができる。
【0025】
上記発明(8)によれば、2組の移動搬送ロール対どうし間におけるシートの搬送路が湾曲していない場合に比べて、2組の移動搬送ロール対どうし間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが発生しやすい傾向にあるが、その発生を抑制することができる。
【0026】
上記発明(9)によれば、第三搬送ロール対が配置されたシートの搬送路が上流側の移動搬送ロール対から上流側の一定の区間が直線区間で構成されていない場合に比べて、その一定の区間を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを抑制しやすくなる。
【0027】
上記発明(10)の画像形成装置によれば、シート搬送装置における1組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の第一搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、複数の第一搬送ロール対の少なくとも一部が、1組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに軸方向に移動しないよう固定されている場合に比べて抑制でき、そのシートへの画像の形成を正常に行いやすくなる。
【0028】
また、上記発明(11)の画像形成装置によれば、シート搬送装置における2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに、上流側の移動搬送ロール対よりも搬送方向の上流側に間隔をあけて配置される複数の第三搬送ロール対の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することを、2組の移動搬送ロール対を軸方向に移動させるときに軸方向に移動しないよう固定されている場合に比べて抑制でき、そのシートへの画像の形成を正常に行いやすくなる。
【0029】
上記発明(12)によれば、シート搬送装置の少なくとも一部として再送路を含めない場合に比べて、シート反転部から搬送されるシートの裏面への画像形成部での画像の形成位置を、シートの表面への画像形成部での画像の形成位置と整合させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施の形態1に係るシート搬送装置および画像形成装置の概要図である。
【
図2】
図1の画像形成装置に適用したシート搬送装置の概要図である。
【
図3】(A)は1組目の移動搬送ロール対の概要図、(B)は第一搬送ロール対等の概要図である。
【
図4】(A)は2組目の移動搬送ロール対の概要図、(B)は第三搬送ロール対の概要図である。
【
図5】(A)は分離可能な搬送ロール対の概要図、(B)は(A)の搬送ロール対の側方概要図である。
【
図6】シート搬送装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】(A)は軸方向にずれて搬送されたシートの搬送状態を示す説明図、(B)は1組の移動搬送ロール対を移動させたときのシートの状態を示す説明図である。
【
図8】反転搬送がないときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図9】1組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図10】(A)は
図9の搬送動作が行われたときのシートの搬送状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流の第一搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図11】反転搬送のときの搬送動作を示すフローチャート図である。
【
図12】2組の移動搬送ロール対を移動させたときに行われる搬送動作に対応したシートの搬送状態を示す要部概要図である。
【
図13】(A)は
図12の搬送動作が行われたときのシートの状態を示す説明図、(B)は(A)のシートの後端が最下流の第三搬送ロール対を抜けるときの状態を示す説明図である。
【
図14】(A)は1組の移動搬送ロール対を移動させただけで搬送を続行させたときの搬送不良の状態例を示す説明図、(B)は2組の移動搬送ロール対を移動させただけで搬送動作を続行させたときの搬送不良の状態例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
実施の形態1.
図1には、第1の実施の形態に係るシート搬送装置5および画像形成装置1の概要が示されている。
図2には、画像形成装置1に適用したシート搬送装置5の概要が示されている。
【0033】
(画像形成装置)
画像形成装置1は、
図1に示されるように、シート9が搬送される元になる搬送元部3と、シート9に画像を形成する画像形成部2と、搬送元部3から画像形成部2にシートを搬送するシート搬送装置5とを備えている。
シート9は、シート状の形態からなる媒体であって、シート搬送装置5により搬送することと画像形成部2において画像を形成することが可能な媒体である。
【0034】
また、画像形成装置1は、より具体的には、
図1に示されるように本体部10と、増設部15とで構成されている。
【0035】
本体部10は、所要の形状からなる筐体を有している。本体部10は、その筐体の内部に、画像形成部2と、搬送元部3の一例である第一供給部3Aと、シート搬送装置5を構成する最終搬送路51、排出路52、第一搬送路53、反転路54、再送路55、および第二搬送路56の一部、制御装置12等が配置されている。また、本体部10は、その筐体の側部に、排出されるシート9を収容する排出部11が配置されており、その筐体の上部または正面部に、図示しない操作部等が配置されている。
【0036】
増設部15は、所要の形状からなる筐体を有しており、本体部10の横に連結されている。増設部15は、その筐体の上部に、搬送元部3の別の一例である第二供給部3Bが配置されている。また、増設部15は、その筐体の内部に、搬送元部3のさらに別の一例である第三供給部3Cと、シート搬送装置5を構成する第二搬送路56および第三搬送路57等が配置されている。
【0037】
画像形成部2は、シート9に所望の画像を形成する機能を有する部分である。画像は、シート9に形成することが可能なものであれば種類、材質等について何ら限定されるものでなく、例えば、シート9に面状に形成される種類の像も含まれる。
実施の形態1では、例えば、電子写真方式等により現像剤で構成される画像を形成する画像形成部2が適用されている。
【0038】
電子写真方式等が適用される画像形成部2は、図示していないが、感光体等の像保持体、像保持体を帯電する帯電装置、帯電した像保持体を露光して静電潜像を形成する像露光装置等が配置されている。また、画像形成部2は、図示していないが、像保持体上の静電潜像を現像剤で現像して未定着の現像剤像を形成する現像装置、像保持体上の現像剤像をシート9に直接または間接的に転写する転写装置、シート9に転写された未定着の現像剤像をシート9に定着する定着装置等が配置されている。
【0039】
また、画像形成部2は、画像形成部2で形成された画像がシート9に転移させられる像転移部21を備えている。さらに、画像形成部2は、
図2に示されるように、シート9を像転移部21に導入させて通過させる搬送支持ロール25や図示しない搬送ガイド等が配置されている。
画像形成装置1では、シート搬送装置5により搬送されるシート9が像転移部21を通過するときに画像が転移される。
【0040】
搬送元部3は、搬送すべきシート9を収容して送り出す部分である。
実施の形態1では、搬送元部3の一例として、上記した第一供給部3A、第二供給部3B、第三供給部3C等が適用されている。なお、搬送元部3としては、後述する反転路54で構成されるシート反転部3Dも含まれる。
【0041】
第一供給部3Aは、所要の種類およびサイズからなるシート9Aを積載して収容する収容体、収容体からシート9Aを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。第二供給部3Bは、所要の種類およびサイズからなるシート9Bを積載して載せ置く載置部、載置部からシート9Bを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。第三供給部3Cは、所要の種類およびサイズからなるシート9Cを積載して収容する収容体、収容体からシート9Cを1枚ずつ送り出す送出し装置等で構成されている。
シート9A,9B,9Cは、種類やサイズが互いに異なるものであるが、その一部または全部が互いに同じものであっても構わない。
【0042】
(シート搬送装置)
シート搬送装置5は、
図1や
図2に示されるように、画像形成部2で使用する種類、サイズ等からなるシート9を搬送元部3から繰り出して画像形成部2や他の所要の場所に搬送する機能を有した装置である。
実施の形態1に係るシート搬送装置5は、最終搬送路51、排出路52、第一搬送路53、反転路54、再送路55、第二搬送路56、第三搬送路57等を備えている。
【0043】
最終搬送路51は、シート9を画像形成部2に送り込むときの時期の調整や搬送姿勢の矯正を行いながら最終的に画像形成部2に送り込むよう搬送する経路である。
最終搬送路51は、1組の移動搬送ロール対61、複数の第一搬送ロール対711,712、複数の搬送ガイド対811,812等を備えている。ロール対は、シート9を挟持して搬送する接触し合う部分を形成して回転する一対のロールである。実施の形態1における最終搬送路51は、ほぼ直線状に延びる搬送路として設けられている。
【0044】
移動搬送ロール対61は、シート9を挟持して搬送することと搬送方向Cと交差する軸方向Dへ移動することが可能な一対の搬送ロールである。
移動搬送ロール対61は、
図3(A)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール61aおよび従動ロール61bと、駆動装置616と移動装置617を有している。
【0045】
駆動ロール61aは、所要の複数個に分割して構成されており、回転軸611に所要の間隔をあけて固定されている。従動ロール61bは、所要の複数個に分割して構成されており、回転軸612に所要の間隔をあけて固定または回転可能に取り付けられている。
実施の形態1では、駆動ロール711a,712aと従動ロール711b,712bのいずれも4個に分割しているが、その分割する数はこれに限定されない。この分割する数については、移動搬送ロール対61以外の他の搬送ロール対の場合も同様である。
回転軸611、612は、軸受613,614を介して支持フレーム67に回転可能に取り付けられている。
【0046】
また、従動ロール61bは、コイルスプリング等の付勢部材615による駆動ロール61aに向く付勢力を、支持フレーム67に変位可能に取り付けられた軸受614を介して受けている。これにより、従動ロール61bは、駆動ロール61aに所要の圧力で接触している。
【0047】
駆動装置616は、駆動モータ616Mからの回転動力を、回転軸611の一端部に取り付けたギア616aに伝達用ギア616bを介して伝達している。これにより、駆動装置616は、駆動ロール61aを所要の方向に回転させる。
【0048】
移動装置617は、支持フレーム67に取り付けたラック617aと、ラック617aに噛み合うピニオン617bと、ピニオン617bを回転させる回転動力を伝える駆動モータ617Mとを備えている。
移動装置617は、ピニオン617bを所要の方向に所要の量だけ回転させることにより、ラック617aを介して支持フレーム67を軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに所要の距離だけ移動させる。支持フレーム67は、シート搬送装置5の図示しない本体フレーム等に軸方向Dに移動可能に取り付けられている。
なお移動装置617は、実施の形態1における構成に限定されない。
【0049】
第一搬送ロール対711,712は、移動搬送ロール対61の搬送方向Cの上流側にシート搬送路を形成するよう間隔をあけて配置されて、シート9を挟持して搬送する複数の一対の搬送ロールである。このうち第一搬送ロール対711は、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に最初に配置された最下流の第一搬送ロール対になる。
第一搬送ロール対711,712は、
図3(B)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール711a,712aおよび従動ロール711b,712bと、駆動装置706を有している。
ちなみに、第一搬送ロール対は、画像形成装置1に使用される搬送可能な最大長さのシート9が搬送されて移動搬送ロール対61に挟持されたとき、そのシート9のうち移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に存在するシート部分9t(
図9(A)を参照)を挟持することになる位置に配置されている複数の搬送ロール対を総称するものである。
【0050】
駆動ロール711a,712aは、複数個に分割して構成されており、回転軸701に所要の間隔をあけて固定されている。従動ロール711b,712bは、複数個に分割して構成されており、回転軸702に所要の間隔をあけて固定または回転可能に取り付けられている。実施の形態1では、駆動ロール711a,712aと従動ロール711b,712bのいずれも4個に分割しているが、その分割する数はこれに限定されない。
回転軸701、702は、軸受703,704を介して支持フレーム77に回転可能に取り付けられている。
【0051】
従動ロール711b,712bは、コイルスプリング等の付勢部材705による駆動ロール711a,712aに向く付勢力を、支持フレーム77に変位可能に取り付けられた軸受703,704を介してそれぞれ受けている。これにより、従動ロール711b,712bは、駆動ロール711a,712aに所要の圧力でそれぞれ接触している。
ちなみに、駆動装置706は、複数の搬送ロール対が間隔をあけて連続した状態で配置される場合、その各搬送ロール対に1つずつ配置する必要がある場合を除いて、複数の搬送ロール対をまとめて駆動する1つの共用の駆動装置として構成されたものでもよい。この点は、これ以降の他の複数配置される搬送ロール対の駆動装置についても同様である。
【0052】
駆動装置706は、駆動モータ707M1,707M2からの回転動力を、回転軸701、702の一端部に取り付けたギア706aに伝達用ギア706bを介して伝達する。これにより、駆動装置706は、駆動ロール61aを所要の方向に回転させる。
【0053】
搬送ガイド対811,812は、移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対711,712との間および複数の第一搬送ロール対711,712どうしの間にシート9の搬送空間50を形成するよう配置される複数の一対の案内部材である。
【0054】
搬送ガイド対811,812は、
図2に示されるように、移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対711,712との間および複数の第一搬送ロール対711,712どうしの間において、所要の間隔をあけて向き合うように配置されている。これにより、搬送ガイド対811,812は、その各間において所要の高さの空間からなる搬送空間50を形成している。
なお、搬送ガイド対811,812は、上記各間で同じ側に配置されている搬送ガイドどうしを一体にした案内部材で構成してもよい。また、搬送ガイド対811,812の一部は、専用の案内部材ではなく、最終搬送路51に接近して配置される他の部品の一部を案内面として利用するよう構成したものであってもよい。このように構成する点は、他の搬送ガイド対についても同様である。
【0055】
排出路52は、画像形成部2を通過したシート9を排出部11にむけて搬送する経路である。
排出路52は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対721~724と、複数の搬送ガイド対820等を備えている。搬送ロール対721~724は、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対820は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。
【0056】
第一搬送路53は、第一供給部3Aから送り出されるシート9Aを最終搬送路51まで搬送する経路である。
第一搬送路53は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対731~734と、搬送ガイド対830等を備えている。実施の形態1における第一搬送路53は、
図9に示されるように、一定の区間の一例である中間区間がほぼ直線状に延びる直線区間53Sからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である上流側の区間と下流側の区間が湾曲している湾曲区間53Cからなる搬送路として、設けられている。
【0057】
搬送ロール対731~734は、第一搬送路53を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。
搬送ガイド対830は、最終搬送路51側に配置される複数の搬送ガイド対831,832等で構成されており、また搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対830は、搬送方向Cの下流端部において搬送ガイド対831を介して最終搬送路51の搬送方向Cの上流端部に合流するよう接続されている。
【0058】
第二搬送路56は、第二供給部3Bから送り出されるシート9Bを最終搬送路51まで搬送する経路である。
第二搬送路56は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対761~764と、搬送ガイド対860等を備えている。実施の形態1における第二搬送路56は、一定の区間の一例である上流側の区間が湾曲している湾曲区間56Cからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である中間区間と下流側の区間がほぼ直線状に延びる直線区間56Sからなる搬送路として、設けられている。
【0059】
搬送ロール対761~764は、第二搬送路56を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。
搬送ガイド対860は、複数の搬送ガイド対で構成されており、また搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対860は、搬送方向Cの下流端部において最終搬送路51の搬送方向Cの上流端部に合流するよう接続されている。
【0060】
第三搬送路57は、第二供給部3Bから送り出されるシート9Cを最終搬送路51にむけて搬送する経路である。
第三搬送路57は、
図2に示されるように、複数の搬送ロール対771~773と、1つの搬送ガイド対871を除いて図示しない搬送ガイド対等を備えている。実施の形態1における第三搬送路57は、全区間が湾曲した搬送路として設けられている。
【0061】
搬送ロール対771~773は、第三搬送路57を形成するよう搬送方向Cに間隔をあけて配置されており、また第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対871を含む図示しない搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対は、搬送方向Cの下流端部において第二搬送路56の途中の部分に合流するよう接続されている。
【0062】
反転路54は、画像形成部2を通過した後のシート9の表裏面を反転させるために搬送する経路である。
実施の形態1における反転路54は、反転させるシート9を反転路54に引き込むよう搬送する引き込み路54aと、引き込み路54aで引き込んだシート6を反転させて送り出すよう搬送する反転送り出し路54bとで構成されている。反転送り出し路54bでは、シート9を一時的に停止させて収容した状態になる。
【0063】
反転路54の引き込み路54aは、複数の搬送ロール対741~743と、図示しない複数の搬送ガイド対と、搬送先切替え材58a等を備えている。
搬送ロール対741~743は、搬送方向Cに沿って間隔をあけて引き込み路を形成するよう配置されており、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっている。図示しない搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。搬送ガイド対は、排出路52の途中の部分から分岐して本体部10の下方に延びる搬送空間を形成している。
【0064】
搬送先切替え材58aは、排出路52から引き込み路54aに分岐する部分に配置され、排出路52と反転路54の双方に一部が入り込んでシート9の搬送先を切り替えることが可能な部材である。
搬送先切替え材58aは、シート9を排出路52に搬送するよう誘導する排出切り替え位置と、シート9を反転路54に搬送するよう誘導する反転切り替え位置とのいずれかの位置に移動して停止するよう作動する。
【0065】
反転路54の反転送り出し路54bは、搬送ロール対744と、図示しない複数の搬送ガイド対と、搬送先切替え材58b等を備えている。
搬送ロール対744は、第一搬送ロール対711,712とほぼ同じ構成になっているとともに、回転方向を正逆の方向に切り替えられるようになっている。図示しない搬送ガイド対は、シート9の全長分を引き込み路54aからに引き込んで一旦収容した後に、そのシート9を引き込み時の搬送方向の後端から再送路55に送り出すから長さおよび形状からなる搬送空間を形成するようになっている。また、この搬送ガイド対は、搬送ガイド対811,812とほぼ同じ構成になっている。さらに、搬送ガイド対は、搬送方向Cの上流端側で再送路55に接続する分岐接続部を形成している。
【0066】
搬送先切替え材58bは、反転送り出し路54bの再送路55に接続するよう分岐する部分に配置され、引き込み路54aに一部が入り込んでシート9の搬送先を再送路55に切り替えることが可能な部材である。搬送先切替え材58bは、シート9を反転送り出し路54bに搬送するよう誘導する反転切り替え位置と、シート9を再送路55に搬送するよう誘導する再送切り替え位置とのいずれかの位置に移動して停止するよう作動する。
【0067】
再送路55は、反転路54で表裏面が反転されたシート6を最終搬送路51にむけて再び搬送する経路である。
【0068】
再送路55は、1組の移動搬送ロール対63、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される複数の第二搬送ロール対711,712,731、移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置される複数の第三搬送ロール対751~758、複数の搬送ガイド対811,812,831,832,851~858等を備えている。
実施の形態1における再送路55は、
図13等に示されるように、一定の区間の一例である上流側の区間が湾曲している湾曲区間55Cからなる搬送路として、一定の区間の他の一例である中間区間と下流側の区間がほぼ直線状に延びる直線区間55Sからなる搬送路として、設けられている。再送路55の湾曲区間55Cは、第一搬送路53の湾曲区間55Cに合流して重複している。
【0069】
移動搬送ロール対63は、シート9を挟持して搬送することと搬送方向Cと交差する軸方向Dへ移動することが可能な一対の搬送ロールである。また、移動搬送ロール対63は、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置された上流側の移動搬送ロール対でもある。
【0070】
移動搬送ロール対63は、
図4(A)に示されるように、一対の関係になる駆動ロール63aおよび従動ロール63bと、駆動装置636と移動装置637を有している。
【0071】
駆動ロール63aと従動ロール63bは、移動搬送ロール対61における駆動ロール61aと従動ロール63bと同様の構成になっている。
図4(A)における符号631、632は駆動ロール63aと従動ロール63bの各回転軸、符号635は付勢部材、符号67は支持フレームである。
【0072】
駆動装置636は、駆動モータ636Mからの回転動力を、回転軸613の一端部に取り付けたギア636aに伝達用ギア636bを介して伝達することにより、駆動ロール63aを所要の方向に回転させるようになっている。
【0073】
移動装置637は、支持フレーム67に取り付けたラック637aに、駆動モータ637Mからの回転動力を受けるピニオン637bが所要の方向に所要の量だけ回転することにより、支持フレーム67を軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに所要の距離だけ移動するようになっている。なお移動装置637は、実施の形態1における構成に限定されない。
【0074】
第二搬送ロール対711,712,731は、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される搬送ロール対である。
この第二搬送ロール対711,712,731は、上記した通りの構成(
図3(B)を参照)になっている。
ちなみに、第三搬送ロール対は、画像形成装置1に使用される搬送可能な最大長さのシート9が搬送されて2組の移動搬送ロール対61,63に挟持されたとき、そのシート9のうち上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に存在するシート部分9t(
図13(A)を参照)を挟持することになる位置に配置されている複数の搬送ロール対を総称するものである。
【0075】
第三搬送ロール対751~758は、上流側の移動搬送ロール対63の搬送方向Cの上流側にシート搬送路を形成するよう間隔をあけて配置されて、シート9を挟持して搬送する複数の一対の搬送ロールである。このうち第三搬送ロール対751は、移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に最初に配置された最下流の第三搬送ロール対になる。
第三搬送ロール対751~758は、
図4(B)に第三搬送ロール対751~753が代表して示されるように、一対の関係になる駆動ロール751a,752a,753aおよび従動ロール751b,752b,753bと、駆動装置706を有している。
【0076】
駆動ロール751a,752a,753aおよび従動ロール751b,752b,753bは、第一搬送ロール対711,712や第二搬送ロール711,712,713における駆動ロール711a,712a,713aと従動ロール711b,712b,71bと同様の構成(
図3(B)を参照)になっている。
駆動装置706は、第一搬送ロール対711,712や第二搬送ロール711,712,713における駆動装置706と同様の構成(
図3(B)を参照)になっている。
【0077】
また、シート搬送装置5においては、
図5に示されるように、第一搬送ロール対および第二搬送ロール対の双方に該当する搬送ロール対711,712,731が分離することが可能な分離搬送ロール対としても構成されている。
これらの搬送ロール対711,712,731は、分離装置708を備えている。
【0078】
分離装置708は、回転軸708aに固定して取り付けられた押付けバー708bが偏心カム708eにより矢印P1で示す方向に下降するよう移動することで、従動ロール711b,712b,731bの回転軸702を付勢部材705の付勢力に抗して回転軸701から遠ざかる方向に押し付ける。これにより、従動ロール711b,712b,731bが、駆動ロール711a,712a,731aから分離させられる。
揺動バー708cは、回転軸708aに固定して取り付けられている。揺動バー708cの自由端側には、カム受部708gが設けられている。偏心カム708eは、回動軸708fに固定して設けられている。回動軸708fは、ギア708hを介して駆動モータ709M1~M3,709M5の回転動力が伝達されて所要の方向に所要の角度だけ回動する。偏心カム708eは、回動軸708fより回動させられると、その大径部と小径部がカム受部708gに接触する。
【0079】
この分離装置708は、揺動バー708cが偏心カム708eにより矢印S1で示す方向に図示しない付勢部材の付勢力に抗して揺動させられると、押付けバー708bが矢印P1で示す方向に下降するよう移動させられる。これにより、回転軸702を回転軸701から遠ざかる方向に移動させる。
また、分離装置708は、揺動バー708cが偏心カム708eにより矢印S2で示す方向に揺動させられると、押付けバー708bが矢印P2で示す方向に上昇するよう移動させられる。これにより、回転軸702が回転軸701に近づける方向に移動させられて平常時の接触位置に戻る。
【0080】
また、シート搬送装置5は、
図2に示されるように、第一通過センサ59a、第二通過センサ59b、第三通過センサ59cおよび位置ずれ検出器65が配置されている。
【0081】
第一通過センサ59は、最終搬送路51を搬送されるシート9の先端9sおよび後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことを検出する検出器である。この第一通過センサ59は、最終搬送路51のうち移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側でかつ画像形成部2の手前側になる位置に配置される。
第二通過センサ59bは、再送路55を搬送されるシート9の後端9eが移動搬送ロール対63を通過し終わったことを検出する検出器である。この第二通過センサ59bは、再送路55のうち移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの下流側の近傍の位置に配置される。
第三通過センサ59cは、反転路54を搬送されるシート9の後端9eが搬送先切替え材58bを通過し終わったことを検出する検出器である。この第三通過センサ59cは、反転路54のうち搬送先切替え材58bよりも搬送方向Cの下流側の近傍の位置に配置される。
第一通過センサ59、第二通過センサ59bおよび第三通過センサ59cとしては、例えば、光学式の検出センサが適用される。
【0082】
位置ずれ検出器65は、最終搬送路51を搬送されるシート9の軸方向(幅方向)Dの搬送基準線CPからのずれを検出する検出器である。この位置ずれ検出器65は、最終搬送路51のうち移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対のうち移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側で最初に配置された最下流の第一搬送ロール対711との間になる位置に配置される。
位置ずれ検出器65としては、例えば、画像読取センサ、画像処理装置等で構成される機器等が適用される。
【0083】
さらに、シート搬送装置5は、
図6に示されるように、制御部13を備えている。
【0084】
制御部13は、演算処理装置、記憶部、入出力装置等で構成されるマイクロコンピュータ等の機器で構成される。また、制御部13は、独立した制御装置として構成してもよいが、
図1に示されるように、画像形成装置1の全体の動作等を総括的に制御する制御装置12の一部の制御機能を担う部分として構成してもよい。
【0085】
制御部13は、
図6に示されるように、搬送駆動制御部501,ロール対移動駆動制御部502等が、情報の通信が可能に接続されている。
【0086】
搬送駆動制御部501は、各搬送路における搬送動作を制御する部分である。
この搬送駆動制御部501には、その制御対象として、ロール対駆動部510,搬送路切替え駆動部580等が接続されている。
ロール対駆動部510は、各搬送ロール対を回転駆動させる駆動モータ等からなる駆動部である。搬送路切替え駆動部580は、搬送先切替え材58a,58bの切り替え動作に関する駆動部である。
【0087】
ロール対移動駆動制御部502は、2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作に関する駆動部である。ロール対移動駆動制御部502は、駆動モータ617M,637M等で構成される。
【0088】
また、制御部13は、
図6に示されるように、シートサイズ検出部14,第一通過センサ59a,第二通過センサ59b、第三通過センサ59c、位置ずれ検出器65、その他各種センサ16等が、情報の通信が可能に接続されている。
【0089】
シートサイズ検出器14は、画像形成装置1が入力される画像形成動作の指令情報に含まれるシート9のサイズ情報を取得する取得部として構成するか、あるいは、供給部3A,3B,3Cにおいて収容されるシート9A,9B,9Cのサイズを計測する計測器として構成される。
その他各種センサ16は、シート9の搬送動作等に必要な各種の情報をそれぞれ検出する各種のセンサ群である。
【0090】
(シートの搬送時における軸方向のずれを修正する動作)
ここで、シート搬送装置5においては、
図7(A)に例示されるように、最終搬送路51を搬送されるときのシート9(9A,9B,9C)が軸方向Dにおける位置が搬送基準線CLに対してずれて搬送されることがある。
【0091】
図7(A)に示されるシート搬送装置5は、例えば、最終搬送路51の軸方向Dにおける中央位置を搬送基準線CLにして、シート9の幅方向における中心位置を搬送基準線CLに合致させて搬送動作を行うセンタレジ方式を採用して場合を想定している。また、
図7(A)では、第一供給部3Aから送り出されるシート9が第一搬送路53を経由して最終搬送路51まで搬送された場合を想定している。
図7(A)等における符号Scを付した一点鎖線は、シート9の搬送時における幅方向の中央地点を結んだ中央線を示す。
【0092】
これに対して、シート搬送装置5では、
図7(B)や
図7の一部に例示されるように、位置ずれ検出器65で検出されたとき軸方向Dにおけるずれ量αが所定値(閾値:M)以上になると、そのずれ量αを修正するよう移動搬送ロール対61がシート9を挟持したままで軸方向Dの所要の方向Da,Dbに所要の距離αだけ移動するように構成されている。
図7(B)では、移動搬送ロール対61が軸方向Dにおける所要の方向Dbに移動した場合が例示されている。
【0093】
また、シート搬送装置5では、再送路55から最終搬送路51に再送されたシート9の軸方向Dにおけるずれ量αが所定値M以上になると、
図13(A)や
図14(B)に示されるように、そのずれ量αを修正するよう2組の移動搬送ロール対61,63がシート9を挟持したままで軸方向Dの所要の方向Da,Dbに所要の距離αだけ移動するように構成されている。
図14(B)においても、2組の移動搬送ロール対61,63が軸方向Dにおける所要の方向Dbに移動した場合が例示されている。
【0094】
ところが、この移動の動作を行うシート搬送装置5では、1組の移動搬送ロール対61を軸方向Dに所要の距離αだけ移動したままで搬送動作を続行した場合、
図14(A)に例示されるようにシート9が搬送不良の状態になることがある。
すなわち、このときのシート9は、移動搬送ロール対61が移動したときに移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置された複数の第一搬送ロール対711,712,713の一部を通過中のシート部分(搬送時における後方の部分)が、斜行することや歪曲することがある。
【0095】
また、シート搬送装置5では、2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに所要の距離αだけ移動したままで搬送動作を続行した場合も、
図14(B)に例示されるようにシート9が搬送不良の状態になることがある。
この場合における搬送不良は、移動搬送ロール対61,63が移動したときに上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置された複数の第三搬送ロール対751,752,753の一部を通過中のシート部分が、斜行することや歪曲することがある。
【0096】
そして、これらの場合、そのシート9の後方の部分は、斜行や歪曲した状態で移動搬送ロール対61を通り抜けた後、画像形成部2の像転移部21に導入されて通過してしまう。この結果、画像形成装置1においては、そのシート9への画像の形成が所要の位置に正常に行われなくなる。
【0097】
(移動搬送ロール対を移動させるときの搬送動作に関する構成)
そこで、実施の形態1に係るシート搬送装置5は、
図8から
図10に示されるように、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置されている第一搬送ロール対711,712,731~734の少なくとも一部が、移動搬送ロール対61を軸方向Dに移動させるとき、搬送中のシート9の一部を挟持したまま軸方向Dに変位するよう構成されている。
【0098】
また、このシート搬送装置5は、
図11から
図13に示されるように、上流側の移動搬送ロール対63よりも搬送方向Cの上流側に配置されている第三搬送ロール対751~757の少なくとも一部が、2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるとき、搬送中のシート9の一部を挟持したまま軸方向Dに変位するよう構成されている。
【0099】
実施の形態1では、変位する第一搬送ロール対が、
図9に示されるように、移動搬送ロール対61を軸方向に移動させるときに、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に存在するシート部分9tを挟持することになる位置に配置された第一搬送ロール対711,712であることを想定して説明する。
また実施の形態1では、変位する第三搬送ロール対が、
図12に示されるように、2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、上流側の移動搬送ロール対63よりも上流側に存在するシート部分9tを挟持することになる位置に配置された第三搬送ロール対751,752,753であることを想定して説明する。
【0100】
この関係で、変位する第一搬送ロール対711,712は、
図3(B)に示されるように、その支持フレーム77が軸方向Dに移動するように支持する移動支持機構78を介してシート搬送装置5または画像形成装置1の図示しない本体フレームに取り付けられている。
【0101】
移動支持機構78は、スライドレール等で構成されるものである。移動支持機構78は、シート9が移動搬送ロール対61に挟持されて軸方向Dに移動させられるとき、その搬送中のシート部分9tを挟持する第一搬送ロール対711,712が移動搬送ロール対61に挟持されて軸方向Dに追従して移動するシート9の有するこしの力を受けて軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに移動させられるように支持する。
また、移動支持機構78は、第一搬送ロール対711,712が軸方向Dにおける所要の方向Da,Dbに移動させられた後、搬送中のシート部分9tが通過した後には、
図3(B)に示されるように、変位しない平常時の位置(搬送基準線CPで規定されるホームポジション)に戻る復帰力Fa,Fbを受けるよう構成されている。また、移動支持機構78は、移動搬送ロール対61が移動しないときも、第一搬送ロール対711,712変位しない平常時の位置に存在させるように支持する。
さらに、変位可能な第一搬送ロール対にする場合は、例えば、その駆動ロール711a等の回転軸701におけるギア706aが駆動装置706側の伝達用ギア706bに対して噛み合ったままで軸方向Dに変位する分だけスライドできるように構成されている。
【0102】
また、変位する第三搬送ロール対751,752,753についても、
図4(B)に示されるように、その支持フレーム77が軸方向Dに移動するように支持する移動支持機構78を介してシート搬送装置5または画像形成装置1の図示しない本体フレームに取り付けられている。
【0103】
第三搬送ロール対751,752,753に適用される移動支持機構78は、変位する第一搬送ロール対711,712に適用される移動支持機構78と同じものである。
【0104】
また、第三搬送ロール対751,752,753における移動支持機構78は、シート9が2組の移動搬送ロール対61,63に保持されて軸方向Dに移動させられるとき、その搬送中のシート部分9tを挟持する第三搬送ロール対751,752,753が移動搬送ロール対61に挟持されて軸方向Dに追従して移動するシート9の有するこしの力を受けて軸方向Dのいずれかの方向Da,Dbに移動させられるように支持する。
また、この移動支持機構78も、2組の移動搬送ロール対61,63が移動しないときと、その移動搬送ロール対61,63が移動してからシートを搬送し終えたときには、変位しない平常時の位置に存在するように支持する。
さらに、変位可能な第三搬送ロール対にする場合は、例えば、その駆動装置706や分離装置708における駆動モータ等の駆動系の部品も支持フレーム77に搭載する。
【0105】
(シート搬送装置の搬送動作)
次に、シート搬送装置5における主な搬送動作について説明する。
【0106】
シート搬送装置5では、画像形成装置1による画像形成が行わると、その画像形成に使用される種類やサイズのシート9が収容されている搬送元部3のシート収容部から送り出される(
図8:ステップS110)。実施の形態1では、図面に第一供給部3Aからシート9(9A)が送り出される場合を示しているが、これは便宜的なものであって送り出されるシート9は第一供給部3Aから送り出されるシート9Aに限定されない。
この第一供給部3Aから送り出されたシート9(9A)は、第一搬送路53を経由して最終搬送路51まで搬送される。なお、
図7以降の図面において示されるシート9は、シート9A,9B,9Cのいずれかであるとする。
【0107】
続いて、制御部13において、シート9のサイズ情報が取得され(ステップS111)、またシート9が最終搬送路51内を通過するときに位置ずれ検出器65によるシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS112)。
【0108】
このときのずれ量αの検出は、シート9の先端9sが位置ずれ検出器65の測定域を通過するときに行われる。位置ずれ検出器65が検出した情報は制御部13に送られる。
また、最終搬送路51に搬送されたシート9は、その先端9sが移動搬送ロール対61のロール間に突き当たって軸方向Dとほぼ平行になるよう矯正された後、移動搬送ロール対61のロール間に挟持されるよう少し搬送される。上記ずれ量αの検出の結果が出るまでの間は、第一搬送路53および最終搬送路51の搬送動作は一時的に停止する。
【0109】
続いて、制御部13において、1組の移動搬送ロール対61を軸方向Dに所要の距離αだけ移動させる(ステップS113)。
この移動搬送ロール対61の移動動作は、制御部13がロール対移動駆動制御部502を介して駆動モータ617Mの駆動を制御することにより行わる。
【0110】
そして、このときのシート9は、移動搬送ロール対61と第一搬送ロール対711,712とに挟持された状態において、その先端9s側の部分が移動搬送ロール対61により軸方向Dに移動させられる。
【0111】
この際、第一搬送ロール対711,712は、
図10(A)に示されるように、移動搬送ロール対61に挟持されて軸方向Dに移動させられるシート部分9tからの力を受けて軸方向D(実施の形態1では方向Dbへ)に変位する(ステップS114)。
【0112】
これにより、シート9は、
図10(A)に示されるように、その全体が、移動搬送ロール対61に順次追従するようにして軸方向Dに同じ距離だけ移動させられる。このため、シート9は、例えば、移動搬送ロール対61が移動したときに、その移動搬送ロール対61と変位せずに固定された第一搬送ロール対711との間のときのように撓んで歪むように変形することがない(
図7(B)を参照)。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、
図10(B)に示されるように、その中央線Sc(
図7を参照)が搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。
【0113】
また、上記移動搬送ロール対61の軸方向Dへの移動動作が終了すると、第一搬送路53、最終搬送路51等の必要な搬送路の搬送動作が再開される。
これにより、シート9は、軸方向Dに移動した状態にある移動搬送ロール対61により最終的に送り出されるよう搬送され、もって画像形成部2に送り込まれる。
【0114】
続いて、第一搬送路53、最終搬送路51等の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9Aの後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS115)。
この際、シート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことは、その後端9eが第一通過センサ59aにより検出されることで確認される。
【0115】
ステップS115においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、移動搬送ロール対61が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻される(ステップS116)。またこの際、上記変位した第一搬送ロール対711,712は、シート9が通過すると、
図10(B)に示されるように移動支持機構78により平常時の位置に戻される。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0116】
続いて、制御部13において、シート9に対する反転搬送がないか否かの判断が行われる(ステップ117)。
【0117】
ステップ117においてシート9に対する反転搬送がないと判断された場合は、シート9に対する搬送動作が終了する。
この場合は、片面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0118】
(反転搬送があるときの搬送動作)
一方、ステップ117においてシート9に対する反転搬送があると判断された場合は、その反転搬送が継続して行われる。
【0119】
反転搬送では、まず画像形成部2を通過して片面に画像が形成されたシート9が、排出路52の途中から搬送先切替え材58aにより反転路54に誘導される。
【0120】
この際、シート9は、反転路54の引き込み路54aを経て反転送り出し路54bまで矢印Cfで示す順方向(
図2,
図12を参照)に搬送されて送り込まれる。またこの際、シート9は、その後端9eが第三通過センサ59cで検出された段階で、反転送り出し路54b内で一時停止させられる。
【0121】
続いて、反転路54に搬送されたシート9は、反転送り出し路54bにおける搬送ロール対744が逆回転して、その後端9eから矢印Crで示す逆方向(
図2,
図13を参照)に搬送されるよう送り出される(
図11:ステップS120)。この場合、反転路54(の反転送り出し路54b)は、シート9の搬送元部になる。
これにより、シート9は、その表裏面が反転された状態で再送路55に送り込まれる。しかる後、その反転されたシート9は、再送路55を経由して最終搬送路51まで搬送される。
【0122】
続いて、制御部13において、その反転されたシート9が最終搬送路51内を通過するときに位置ずれ検出器65によるシート9の軸方向Dにおけるずれ量αの検出が行われる(ステップS121)。
【0123】
続いて、制御部13において、シート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであるか否かの判断が行われる(ステップS122)。
【0124】
このステップS122においてシート9は下流側の移動搬送ロール対61には挟持されるが上流側の移動搬送ロール対63で挟持されない長さであると判断された場合は、
図11に示されるように、上記したステップS113(
図8を参照)に移行する。
この場合、シート9は、
図8に示されるステップS113からS117の搬送動作を受けることになる。
【0125】
一方、ステップS122においてシート9は上流側の移動搬送ロール対63で挟持される長さであると判断された場合は、2組の移動搬送ロール対61,63の双方を軸方向Dに所要の距離αだけそれぞれ移動させるとともに、2組の移動搬送ロール対61,63間に配置された第二搬送ロール対711,712,731を分離させる(ステップS123)。
【0126】
2組の移動搬送ロール対61,63の移動動作は、制御部13がロール対移動駆動制御部502を介して移動装置637における駆動モータ617M,637Mの各駆動を制御することにより行わる。また、第二搬送ロール対711,712,731の分離動作は、制御部13がロール対分離駆動制御部503を介して分離装置708における駆動モータ709M1,709M2,709M3の各駆動を制御することにより行わる。
【0127】
そして、このときのシート9は、2組の移動搬送ロール対61,63と第三搬送ロール対751,752,753とに挟持された状態において、その先端9s側の部分が2組の移動搬送ロール対61,63により軸方向Dに移動させられる。
この際、第三搬送ロール対751,752,753は、
図13(A)に示されるように、移動搬送ロール対61,63に挟持されて軸方向Dに移動させられるシート部分9tからの力を受けて軸方向D(実施の形態1では方向Dbへ)に変位する(ステップS124)。
【0128】
これにより、シート9は、
図13(A)に示されるように、その全体が、移動搬送ロール対61,63に順次追従するようにして軸方向Dに同じ距離だけ移動させられる。このため、シート9は、例えば、移動する移動搬送ロール対63と変位しない第三搬送ロール対751との間のときのように撓んで歪むように変形することがない。
この結果、軸方向Dにずれて搬送されていたシート9は、
図13(B)に示されるように、その中央線Scが搬送基準線CLにほぼ一致した状態になり、その軸方向Dにおけるずれが修正される。
【0129】
また、上記2組の移動搬送ロール対61,63の軸方向Dへの移動動作が終了すると、再送路55、最終搬送路51等の必要な搬送路の搬送動作が再開される。
これにより、表裏面が反転されたシート9は、軸方向Dに移動した状態にある移動搬送ロール対61により最終的に送り出されるよう搬送され、もって画像形成部2に送り込まれる。
【0130】
続いて、再送路55、最終搬送路51等の必要なシート搬送路の搬送動作が再開された後は、制御部13においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したか否かの判断が行われる(ステップS125)。
この際、シート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことは、その後端9eが第一通過センサ59aにより検出されることで確認される。
【0131】
ステップS125においてシート9の後端9eが移動搬送ロール対61を通過したことが確認された場合は、制御部13の制御により、2組の移動搬送ロール対61,63が移動前の元の位置(平常時の基準位置)に戻される(ステップS126)。またこの際、上記変位した第三搬送ロール対751,752,753は、シート9が通過すると、
図13(B)に示されるように移動支持機構78により平常時の位置に戻される。
これにより、次の搬送動作に備える。
【0132】
以上の動作により、反転搬送されたシート9は、その反転された反対面の裏面に画像形成部2において画像が形成される。また、反対面に画像が形成されたシート9は、排出路52を経由して搬送され、最後に排出部11に収容される。
【0133】
以上説明したように、このシート搬送装置5では、シート9を1組の移動搬送ロール対61または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、移動搬送ロール対61,63よりも上流側に配置される複数の第一搬送ロール対711,712等又は第三搬送ロール対751,752等の一部または全部を通過中のシート部分9tが斜行することや歪曲することが抑制される。
【0134】
詳しくは、シート搬送装置5では、通過中のシート部分9tを保持することになる複数の第一搬送ロール対711,712等又は第三搬送ロール対751,752等が1組または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに軸方向に移動しないよう固定されている場合に比べると、上記した通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが抑制される。
【0135】
また、このシート搬送装置5では、変位する第一搬送ロール対として、移動搬送ロール対よりも上流側に存在する搬送中のシート部分9tを挟持することになる第一搬送ロール711,712を採用し、また、変位する第三搬送ロール対として、上流側の移動搬送ロール対よりも上流側に存在するシート部分を挟持することになる第三搬送ロール751,752,753を採用している。
【0136】
このため、シート搬送装置5では、変位する第一搬送ロール対または第三搬送ロール対として、搬送中のシート部分9tを挟持しない第一搬送ロールまたは第三搬送ロール対も含む場合に比べると、変位する第一搬送ロール対の数を必要最小限にしたうえで、第一搬送ロール対または第三搬送ロール対の少なくとも一部を通過中のシート部分9tが斜行することや歪曲することを適切に抑制できる。
【0137】
さらに、このシート搬送装置5を適用した画像形成装置1では、シート搬送装置5において1組の移動搬送ロール対61または2組の移動搬送ロール対61,63を軸方向Dに移動させるときに、シート9のうち複数の第一搬送ロール対711,712等または第三搬送ロール対751~758の一部または全部を通過中のシート部分が斜行することや歪曲することが上記の通り抑制できる。これにより、画像形成装置1では、そのシート9への画像の形成を画像形成部2において正常に行いやすくなる。
【0138】
また、画像形成装置1では、シート搬送装置5が再送路55を含めて構成している。このため、シート搬送装置5が再送路55を含めていない場合に比べると、シート反転部である反転路64から搬送されるシート6の裏面への画像形成部2での画像の形成位置を、シート6の表面への画像形成部2での画像の形成位置と整合させやすくなる。
【0139】
変形例.
本発明は、上記各実施の形態で例示した構成例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を変更しない限りにおいて必要な変更や組み合わせをしてもよい。本発明は、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0140】
シート搬送装置5は、移動搬送ロール対として、上流側の移動搬送ロール対63がなく、1組の移動搬送ロール対61だけを備えるものであってよい。具体的には、例えば、再送路を備えないシート搬送装置であってもよい。
【0141】
シート搬送路の数や形態等の構成については、実施の形態1で例示した構成以外の構成であってもよい。
実施の形態1では、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される第一搬送ロール対として3つの搬送ロール対711,712,731が配置されている場合を例示した。しかし、2組の移動搬送ロール対61,63の間に配置される第一搬送ロール対の数は、1つ(単数)であっても、3つ以外の複数であってもよい。
また、シートの搬送基準については、実施の形態1,2で例示したセンタレジ方式ではなく、例えば、いわゆるサイドレジ方式を採用してもよい。サイドレジ方式の搬送は、最終搬送路51の軸方向Dにおける左右端のいずれか一方の一端を端部搬送基準線に設定したうえで、シート9の幅方向における左右端を端部搬送基準線に合致させて搬送動作を行うものである。
【0142】
変位する第一搬送ロール対は、画像形成装置1またはシート搬送装置5で使用可能な最長のシート9における搬送中のシート部分9tを把持することになる位置に配置される第一搬送ロール対をその対象にすればよい。
変位する第三搬送ロール対は、画像形成装置1またはシート搬送装置5で使用可能な最長のシート9における搬送中のシート部分9tを把持することになる位置に配置される第三搬送ロール対をその対象にすればよい。
【0143】
また、シート搬送装置5においては、2組の移動搬送ロール対61,63を配置する場合、その上流側の移動搬送ロール対63を再送路55以外の搬送路に配置してもよい。実施の形態1,2であれば、上流側の移動搬送ロール対63は第二搬送路56や第三搬送路57に配置することも可能である。
【0144】
さらに、シート搬送装置5においては、移動搬送ロール対61よりも搬送方向Cの上流側に配置される第一搬送ロール対は、最終搬送路51と第一搬送路53に配置される搬送ロール対である場合に限らない。具体的には、第一搬送ロール対は、最終搬送路51と第二搬送路56に配置される搬送ロール対である場合や、最終搬送路51と第二搬送路56に配置される搬送ロール対である場合であってもよい。
【0145】
また、実施の形態1では、ステップS122(
図11)の判断について、画像形成動作の指令を受け付けた際に制御部13において予め判断しておくように構成してもよく、この場合はステップS122の判断を省略することができる。
【0146】
画像形成装置1における画像形成部2は、シート9に画像を形成することができるものであればよく、その形式等については特に限定されるものでない。
このため、画像形成部2は、例えば、画像を構成するインクをシート9に噴射または転移させる方式のものであってもよい。また、画像についても、その種類について特に制約されるものではない。画像としては、例えば、シート9の片面または両面に全面的に形成される種類の画像であってもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 …画像形成装置
2 …画像形成部
3 …搬送元部
3A…第一収容部(搬送元部の一例)
3B…第二収容部(搬送元部の一例)
3C…第三収容部(搬送元部の一例)
5 …シート搬送装置
9 …シート
9t…搬送中のシート部分
51…最終搬送路(第一搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
53…第二終搬送路(第一搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
55…再送路(第三搬送ロール対が配置された搬送路の一例)
61…移動搬送ロール対
63…上流側の移動搬送ロール対
711,712…変位する第一搬送ロール対(の一例)
751,752,753…変位する第三搬送ロール対(の一例)
C …搬出方向
D …軸方向