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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146560
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/02 20060101AFI20231004BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20231004BHJP
   F25D 19/00 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
E04H3/02 C
E04B1/76 200A
E04B1/76 300
E04B1/76 500F
F25D19/00 552D
F25D19/00 552C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053791
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB05
2E001DD01
2E001DD04
2E001FA07
2E001GA12
2E001GA42
2E001GA44
2E001GA82
2E001HA03
2E001HF11
2E001LA04
(57)【要約】
【課題】開放型冷却ショーケースの開口から漏れ出る冷気が床面に滞留することを抑制し、その冷気を屋内空間において有効活用することが可能な建物を提供すること。
【解決手段】建物(1)は、屋内空間(20)の空気を空調する空調機(8)と、前面(31)が開口しており、商品を冷却保管することが可能な開放型冷却ショーケース(3)と、ショーケース(30)の開口(30)から屋内空間(20)に漏れ出た冷気を天井(10)側に送り出し、空調機(8)によって空調された空気とショーケース(30)から漏れ出た冷気をミキシングさせる送風機(4)とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井と側壁と床面とで屋内空間が形成される建物であって、
前記屋内空間の空気を空調する空調機と、
前面が開口しており、商品を冷却保管することが可能な開放型冷却ショーケースと、
前記ショーケースの開口から前記屋内空間に漏れ出た冷気を前記天井側に送り出し、前記空調機によって空調された空気と前記ショーケースから漏れ出た冷気をミキシングさせる送風機とを備えた、建物。
【請求項2】
前記ショーケースは、その背面と前記側壁との間に第1隙間が設けられ、その底面および前記床面との間に第2隙間が設けられており、
前記第1隙間および前記第2隙間には、前記空調機によって空調された空気を前記床面側に導く空気流路が形成されており、
前記送風機は、前記第1隙間または前記第2隙間に設けられている、請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記ショーケースの前面に対向して設けられる商品棚をさらに備え、
前記送風機は、前記商品棚の下部に設けられ、前記ショーケース側に向かって風を送り出している、請求項1に記載の建物。
【請求項4】
前記ショーケースの送風方向に対して延在する複数の商品棚をさらに備え、
前記商品棚の間には、通路が設けられ、
前記送風機は、前記通路に向かって風を送り出している、請求項1に記載の建物。
【請求項5】
前記空調機は、複数設けられ、
前記屋内空間には、外気を取り入れる給気口と、前記給気口から離れて設けられ、前記屋内空間の空気を排出する排気口とが設けられ、
前記ショーケースは、前記排気口側に設けられ、
前記複数の空調機は、前記給気口から前記排気口に向かって、前記給気口から順に第1空調機群と、前記第1空調機群から離れて設けられる第2空調機群とを含み、
前記第1空調機群に属する空調機の台数は、前記第2空調機群に属する空調機の台数よりも多い、請求項1~4のいずれかに記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物に関し、特に、天井と側壁と床面とで形成された屋内空間に開放型冷却ショーケースを設置した建物に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの店舗(建物)には、冷蔵商品または冷凍商品などを冷却しながら陳列するために、前面開口型のショーケースが用いられている。開放型冷却ショーケースは、商品を手に取りやすいという利点があるものの、屋内空間とショーケース内部の温度差により、屋内空間側にショーケースの冷気が漏れてしまう。
【0003】
そのような問題点を解決するための技術として、たとえば特開2011-242104号公報(特許文献1)などが知られている。特許文献1には、ショーケースの背面および底面に設けられるエアダクトに空気の流れを発生させる送風機を取り付けて、ショーケースの開口から漏れ出る冷気が床面に滞留することを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-242104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空調システムでは、床面に冷気が溜まることを抑制することができるだけで、その冷気を屋内空間において有効活用しきれていない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、開放型冷却ショーケースの開口から漏れ出る冷気が床面に滞留することを抑制し、その冷気を屋内空間において有効活用することが可能な建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面による建物は、天井と側壁と床面とで屋内空間が形成される建物であって、屋内空間の空気を空調する空調機と、前面が開口しており、商品を冷却保管することが可能な開放型冷却ショーケースと、ショーケースの開口から屋内空間に漏れ出た冷気を天井側に送り出し、空調機によって空調された空気とショーケースから漏れ出た冷気をミキシングさせる送風機とを備えている。
【0008】
好ましくは、ショーケースは、その背面と側壁との間に第1隙間が設けられ、その底面および床面との間に第2隙間が設けられており、第1隙間および第2隙間には、空調機によって空調された空気を床面側に導く空気流路が形成されており、送風機は、第1隙間または第2隙間に設けられている。
【0009】
好ましくは、ショーケースの前面に対向して設けられる商品棚をさらに備え、送風機は、商品棚の下部に設けられ、ショーケース側に向かって風を送り出している。
【0010】
好ましくは、ショーケースの送風方向に対して延在する複数の商品棚をさらに備え、商品棚の間には、通路が設けられ、送風機は、通路に向かって風を送り出している。
【0011】
好ましくは、空調機は、複数設けられ、屋内空間には、外気を取り入れる給気口と、給気口から離れて設けられ、屋内空間の空気を排出する排気口とが設けられ、ショーケースは、排気口側に設けられ、複数の空調機は、給気口から排気口に向かって、給気口から順に第1空調機群と、第1空調機群から離れて設けられる第2空調機群とを含み、第1空調機群に属する空調機の台数は、第2空調機群に属する空調機の台数よりも多い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建物によれば、開放型冷却ショーケースの開口から漏れ出る冷気が床面に滞留することを抑制し、その冷気を屋内空間において有効活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態1に係る建物を模式的に示す模式断面図である。
図2】送風機の送風方向を逆にした状態を示す模式断面図である。
図3】本実施の形態2に係る建物を模式的に示す模式断面図である。
図4】本実施の形態3に係る建物を模式的に示す模式断面図である。
図5】本実施の形態3に係る建物の一部分を模式的に示す模式間取り図である。
図6】本実施の形態4に係る建物を模式的に示す間取り図である。
図7】従来の開放型冷却ショーケースが配置される建物を模式的に示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
はじめに、本実施の形態に係る建物の説明に先立ち、一般的なスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの店舗の屋内環境について、図7を参照しながら簡単に説明する。
【0016】
図7を参照して、建物100の屋内空間120には、側壁111を境界として売場121とバックヤードなどの隣室122設けられている。売場121には、商品を冷却保管して、さらに陳列することが可能なショーケース3が配置されている。ショーケース3は、前面31に開口30を有しているため、ショーケース3の冷気が屋内空間120に漏れ出て、床面112付近に冷気溜まりCとなって冷気が滞留する。そのため、床面112付近は温度が低く、それより上方は温度が高くなり、足元のみが極端に冷えた不快な環境となる。
【0017】
また、ショーケース3を側壁111付近に設置することで、ショーケース3の背面32からの冷気により側壁111が冷却され、側壁111の内部で結露M1が生じ、さらに、側壁111の隣室122側の表面で結露M2が生じてしまう。その結果、側壁111にカビが発生するおそれがあった。
【0018】
このような建物100内の環境を改善するべく、本実施の形態では、前面開口型のショーケース3の開口から漏れ出る冷気が、床面112に滞留することを抑制し、その冷気を屋内空間120において有効活用させている。以下に、このような建物について詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態に係る建物1について説明する。建物1は、たとえばスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどのショーケース3が設置される店舗である。
【0020】
図1を参照して、建物1は、天井10と、天井10を下方から支える側壁11と、側壁11の内方に位置する床面12とで屋内空間20が形成される。本実施の形態の建物1が店舗である場合、本実施の形態の屋内空間20内には、売場21と、バックヤード22とが設けられる。売場21とバックヤード22とは、側壁11によって区画されている。
【0021】
図1に示すように、建物1の屋内空間20には、概略として、空調機8と、ショーケース3と、商品棚5と、送風機4とが設けられる。
【0022】
空調機8は、屋内空間20の空気を空調するものである。図1においては、空調機8として、たとえば天井10に埋め込められる天井埋め込みタイプが設置されているが、たとえば床置きタイプ、壁掛けタイプなどであってもよく、空調機8の設置形態については限定されない。空調機8は、たとえば窓や給気口などから取り入れた外気の冷房および除湿を行い、一次冷却を行うものである。空調機8の冷却および除湿の効率は、後述するショーケース3と比べて高いものの、冷却および除湿の能力は低い。
【0023】
ショーケース3は、商品を冷却保管することが可能であり、具体的には、冷蔵商品を冷蔵保管し、冷凍商品を冷凍保管して、それらの商品を陳列するケースである。ショーケース3は、その内部において、図示しない冷却器、冷気循環ファンなどが設けられている。ショーケース3は、その前面31が開口する「開放型冷却ショーケース」である。ショーケース3は、空調機8で空調された空気の冷却および除湿を行い、二次冷却を行うものである。ショーケース3の冷却および除湿の効率は、上述した空調機8に比べて低いものの、その能力は高い。ショーケース3は、前面31と、側壁11を向いて配置される背面32と、床面12上に設置される底面33とを含む。
【0024】
前面31は、冷気が漏れ出る開口30を有する。そのため、ショーケース3は、商品を取り出す際に扉の開閉が不要であるため、商品を手に取りやすい一方で、前面31の開口30からショーケース3の冷気が床面12付近に漏れ出て滞留する。ショーケース3から漏れ出た空気は、低温であるとともに低湿な空気である。
【0025】
ショーケース3の背面32と側壁11との間には、隙間S1が設けられている。この隙間S1は、床面12から天井10の間を上下方向に延びている。隙間S1の幅寸法(ショーケース3の背面32と側壁11との距離)は、3cm以上10cm以下であることが好ましい。
【0026】
ショーケース3の底面33は、床面12と密接しておらず、空気が流れるだけの隙間S2が設けられる。隙間S2は、ショーケース3の背面32と前面31との間を奥行方向に延びている。また、空気が流れる隙間S2は、ショーケース3の内部に設けられるものであってもよい。なお、図示は省略するが、ショーケース3の底面33と床面12との間には、台座が設けられることで隙間S2が形成されてもよい。
【0027】
商品棚5は、ショーケース3の前面31に対向して設けられる。商品棚5は、商品を陳列するための棚である。具体的には、商品棚5は、ショーケース3の延在方向に沿って延びていることが好ましい。また、商品棚5の底部は、床面12上に隙間なく設置されて、ショーケース3側からの風が通過しないように設けられていることが好ましい。
【0028】
送風機4は、ショーケース3の背面32と側壁11との間の隙間S1の上端部に設けられていることが好ましい。本実施の形態の送風機4は、天井10側から床面12側に向かって空気を送り出すものである。送風機4は、ファンと、ファンを回転可能なモーターとにより形成され、モーターでファンを回転させることにより、図1の矢印で示す空気の流れを発生させるものである。
【0029】
送風機4を稼働させることにより、隙間S1,S2を通って、ショーケース3の前面31の下部から空気が送り出され、ショーケース3の開口30から屋内空間20に漏れ出た冷気が商品棚5に当たって商品棚5に沿って上昇し、空調機8によって空調された空気とミキシングされる。さらに、ミキシングされた空気は送風機4に誘引されて、隙間S1,S2に送り出される。このように、ショーケース3の背面32と商品棚5の前面とを結ぶ循環経路が形成され、床面12付近に滞留した冷気と空調機8によって空調された空気とを効率よくミキシングすることができる。
【0030】
本実施の形態の建物1は、送風機4によりショーケース3の開口から屋内空間20に漏れ出た冷気を、天井10側に送り出すようにしたため、ショーケース3から漏れ出た冷気を床面12付近に滞留しないようにすることができるとともに、空調機8によって空調された空気と混合することができるため、屋内空間20の空調の負荷を低減することができる。さらに、隙間S1には、常に屋内空間20の空気が流れるため、側壁11は低温になりにくく結露が発生しにくい。このように、本実施の形態の建物1は、開放型冷却ショーケース3の開口から漏れ出る冷気が床面12に滞留することを抑制し、その冷気を屋内空間20において有効活用することができる。
【0031】
図1の送風機4は、天井10側から床面12側に向かって空気を送り出すものであったが、逆であってもよい。図2は、送風機4の送風方向を逆にした状態を示す模式断面図である。図2に示すように、送風機4は、床面12側から天井10側に向かって空気を送り出すものである。
【0032】
送風機4を稼働させることにより、空調機8によって屋内空間20に漏れ出た冷気が隙間S2,S1を通って天井10側に送り出され、空調機8によって空調された空気とミキシングされる。さらに、ミキシングされた空気は、商品棚5に送り出され、商品棚5に当たって商品棚5に沿って下降し、空調機8に誘引されて、屋内空間20に漏れ出た冷気ととともに、隙間S1,S2を通って、天井10側に送り出される。
【0033】
このように、送風機4の送風方向を逆にした場合であっても、屋内空間20に漏れ出た冷気を、隙間S1,S2を通って天井10側に送り出すようにしたため、ショーケース3から漏れ出た冷気を床面12付近に滞留しないようにすることができるとともに、空調機8によって空調された空気と混合することができるため、屋内空間の空調の負荷を低減することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る建物1Aを模式的に示す模式断面図である。実施の形態2の建物1Aは、ショーケース3の背面32に隙間S1が設けられていない点、および、送風機4Aの設置箇所において、上述した実施の形態1の建物1と異なる。空調機8、ショーケース3、および商品棚5については、実施の形態1と同様であってよい。
【0035】
本実施の形態のショーケース3の背面32は、側壁11に沿って配置されており、ショーケース3の背面32と側壁11との間には、隙間が設けられていない。さらに、本実施の形態の送風機4Aは、商品棚5の下部に設けられている。送風機4Aは、ショーケース3側に向かって風を送り出している。
【0036】
送風機4Aを稼働させることにより、屋内空間20に漏れ出た冷気がショーケース3に当たってショーケース3に沿って天井10側に向かって上昇し、空調機8によって空調された空気とミキシングする。さらに、ミキシングされた空気は、空調機8に誘引されて、ショーケース3に向かって送り出される。このように、商品棚5の前面とショーケース3の前面31とを結ぶ循環経路が形成され、床面12付近に滞留した冷気と空調機8によって空調された空気とを効率よくミキシングすることができる。なお、この場合においても、小風紀4Aの送風方向を逆にしてもよい。
【0037】
(実施の形態3)
図4および図5は、実施の形態3に係る建物1Bを模式的に示す模式断面図である。実施の形態3の建物1Bは、商品棚5Bの配置、および、送風機4Bの設置箇所において、上述した実施の形態1の建物1と異なる。空調機8およびショーケース3Bについては、実施の形態1と同様であってよい。なお、図5は、図4の一部分を模式的に示す模式間取り図であり、送風機4Bの設置箇所を理解するためだけの模式的な図である。
【0038】
本実施の形態の送風機4Bは、ショーケース3の底部であり、前面31側に設けられることが好ましい。送風機4Bは、ショーケース3から外方に向かって空気を送り出すものである。
【0039】
特に図5を参照して、本実施の形態の商品棚5Bは、複数設けられ、ショーケース3の延在方向に対して直行する方向に延在するように配置されている。具体的には、商品棚5Bは、送風機4Bの送風方向に対して延在している。商品棚5Bの間には、通路51が設けられる。送風機4Bは、通路51に向かって風を送り出している。通路51がダクトのような役割を果たすため、送風機4Bからの空気を遠くに送り出すことができる。
【0040】
図4に示すように、送風機4Bを稼働させると、空調機8により空調された空気が隙間S1,S2を通って、ショーケース3の前面31側から送り出され、ショーケース3の開口30から漏れ出た冷気とともに、通路51に向かって送り出される。これにより、床面12付近に冷気溜まりを形成しないようにすることができるとともに、ミキシングされた空気を遠くまで送り出すことができる。
【0041】
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4に係る建物1Cの間取りを模式的に示す模式間取り図である。実施の形態4に係る建物1Cは、実施の形態1,3の空調機8、ショーケース3,3B、および商品棚5,5Bを組み合わせたものであり、同一の符号を付して示している。それらの具体的な構造については、各実施の形態と同様であってよい。
【0042】
図6を参照して、建物1Cは、複数の側壁11により仕切られている。側壁11は、第1側壁11a、第2側壁11b、第3側壁11c、第4側壁11d、および第5側壁11eを含む。第1側壁11a、第2側壁11b、第3側壁11c、および第4側壁11dによって、屋内空間20と屋外空間とは区切られている。
【0043】
屋内空間20は、第5側壁11eによって売場21とバックヤード22とに区切られている。つまり、第5側壁11eは、売場21とバックヤード22とを仕切る隔壁である。第5側壁11eには、売場21の空気をバックヤード22に排出するためのパス(ガラリ)などが設けられることが好ましい。第1側壁11aの延在方向に沿って実施の形態1のショーケース3が配置され、間隔をあけて送風機4が設けられている。さらに、第5側壁11eの延在方向に沿って、実施の形態3のショーケース3Bが配置され、間隔をあけて送風機4Bが設けられている。
【0044】
売場21には、出入り口としての玄関フード(風除室)23が設けられる。玄関フード23は、たとえば開閉可能な自動扉であるため、人が通るたびに開閉し、外気が屋内空間20内に取り入れられる。
【0045】
売場21の天井には、外気を取り入れる給気口91と、給気口91から離れて設けられ、屋内空間20の空気を排出する排気口92とが設けられる。具体的には、玄関フード23側において、第2側壁11bに沿って3つの給気口91が設けられる。バックヤード22側において、第3側壁11cに沿って3つの排気口92が設けられる。このように、給気口91が配置される紙面上の左側がいわゆる風上側であり、排気口92が配置される紙面上の右側がいわゆる風下側となる。なお、図6において、屋内空間20における空気の流れを太矢印で示している。
【0046】
玄関フード23近傍において、第2側壁11bに沿って、たとえば野菜などを陳列する陳列棚が配置されている。売場21の奥に向かうにつれ、第1側壁11aに沿って、ショーケース3が配置され、間隔をあけて送風機4が設けられる。これにより、図1に示すように、送風機4を駆動させることにより、ショーケース3から漏れ出た冷気を商品棚5に当てて、商品棚5に沿って上昇させ、空調機8によって空調された空気とミキシングすることができる。
【0047】
さらに、売場21とバックヤード22とを区切る第5側壁11eに沿ってショーケース3Bが配置され、間隔をあけて送風機4Bが設けられる。送風機4Bは、商品棚5B,5B・・・の間に設けられる通路51に対向して配置される。これにより、図4に示すように、送風機4Bを駆動させることにより、空調機8によって空調された空気を、ショーケース3から漏れ出た冷気をとミキシングさせて通路51に送り出すことができる。
【0048】
空調機8は、複数設けられる。具体的には、空調機8は、給気口91側から排気口92側に向かって、給気口91側から順に第1空調機群G1と、第1空調機群G1から離れて設けられる第2空調機群G2と、第2空調機群G2からさらに離れて設けられる第3空調機群G3とを含む。第1空調機群G1に属する空調機8の台数が最も多く、次に第2空調機群G2、第3空調機群G3の順に空調機8の台数が少なくなる。つまり、風上から風下に向かって、空調機8の設置台数が少なくなるように設定されている。
【0049】
上述のように、空調機8は、たとえば窓や給気口などから取り入れた外気の冷房および除湿を行い、一次冷却を行うものである。空調機8の冷却および除湿の効率は高いものの、ショーケース3と比べてその能力は低い。一方で、ショーケース3は、空調機8で空調された空気の冷却および除湿を行い、二次冷却を行うものである。ショーケース3の冷却および除湿の効率は、空調機8に比べて低いものの、その能力は高い。
【0050】
そのため、風上である給気口91の近傍は、空調機8の設置台数を多くして、効率よく空気を冷却し除湿する。さらに、風下である排気口92に向かうにつれて空調機8の設置台数を少なくするとともに、ショーケース3の設置台数を多くして、空調機8で空調され除湿された冷気をショーケース3内に取り入れて、効率よくショーケース3内の冷却を行う。ショーケース3を設置することで、開口30から冷気が漏れるが、その漏れ出た冷気を、空調機8により空調された空気とミキシングするため、床面12付近に冷気溜まりが形成されることを抑制することができ、その冷気を屋内空間20において有効活用することができる。
【0051】
このように、本実施の形態の建物1Cは、外気が取り入れられる給気口91など(風上)から屋内空間20の空気が排出される排気口92など(風下)に向かって、空調機8を配置し、次に送風機4が設けられたショーケース3を配置することで、給気口91から取り入れた外気を効率よく冷却および除湿することができるため、省エネ性を向上させることができる。
【0052】
なお、実施の形態4の建物1Cでは、実施の形態1,3の構成を組み合わせた間取りについて例示したが、建物の構成や形状に合わせて、上記実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【0053】
また、実施の形態4の建物1Cでは空調機群が3つ設けられたが、その数に限定されるものではなく2つ以上設けられていればよい。
【0054】
送風機4の設置箇所については、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえばショーケース3の背面32と側壁11との間の隙間S1の上端部、ショーケース3の正面31側の底部、背面32側の底部、または商品棚5の下部など、適宜選択されればよい。
【0055】
今回開示した上記各実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した各実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B,1C 建物、3,3B,3E ショーケース、4,4A,4B 送風機、5,5B 商品棚、8 空調機、10 天井、11 側壁、12 床面、20 屋内空間、30 開口、31 前面、32 背面、33 底面、51 通路、91 給気口、92 排気口、100 建物、111 側壁、112 床面、120 屋内空間、G1 第1空調機群、G2 第2空調機群、G3 第3空調機群。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7