IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特開2023-146563媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146563
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/08 20060101AFI20231004BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B65H3/08 310B
B65H3/08 310C
B65H3/08 348
B65H3/48 310Z
B65H3/48 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053794
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 政仁
(72)【発明者】
【氏名】蝶名林 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 達也
(72)【発明者】
【氏名】風間 純樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 恵
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD04
3F343JB02
3F343JB03
3F343JB20
3F343JD04
3F343JD27
3F343JD28
3F343KB03
3F343KB05
3F343KB17
3F343KB19
3F343LA02
3F343LA03
3F343LA14
3F343LB08
3F343LC08
3F343LC20
3F343LC27
3F343MB02
3F343MB03
3F343MB09
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC08
3F343MC19
(57)【要約】
【課題】媒体を浮揚させて一枚ずつ吸着して供給する方式を採用するに当たって、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、媒体の供給不良を低減する。
【解決手段】収容手段1に収容された媒体Sをエア吸着して送出手段2に受け渡す受渡し手段3と、媒体Sの側方端面の上側領域にエアを吹き付けて媒体Sの上側部分を分離した状態で浮揚させる浮揚手段4と、収容手段1の上方で受渡し手段3のうち媒体Sの搬送方向とは反対側に設けられ、収容手段1に収容された媒体Sをエア吸着する補助吸着手段5と、を備え、補助吸着手段5は、収容手段1に収容された媒体Sの送出手段2とは反対側に位置する端部位置よりも受渡し手段3に近接して配置されている。特に、補助吸着手段5が、受渡し手段3よりも先に収容手段1に収容された媒体Sをエア吸着する態様、あるいは、媒体基準高さFCよりも下方の位置で媒体Sをエア吸着する態様が好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉の媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容された媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、
前記収容手段の上方で前記送出手段寄りに設けられ、前記収容手段に収容された媒体をエア吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、
前記収容手段に収容された媒体の側方に設けられ、前記媒体の側方端面の上側領域にエアを吹き付けて前記媒体の上側部分を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、
前記収容手段の上方で前記受渡し手段のうち前記媒体の搬送方向とは反対側に設けられ、前記収容手段に収容された媒体をエア吸着する補助吸着手段と、
を備え、
前記補助吸着手段は、前記収容手段に収容された前記媒体の前記送出手段とは反対側に位置する端部よりも前記受渡し手段に近接して配置されていることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先に前記収容手段に収容された媒体をエア吸着することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記収容手段に均一厚の媒体が略水平姿勢で収容されている条件で、媒体の最上位の位置が前記受渡し手段によるエア吸着動作が可能となるように設定された位置を媒体基準高さと定義したときに、
前記補助吸着手段は、前記媒体基準高さよりも下方の位置で媒体をエア吸着することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作よりも先にエア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先にエア吸着動作を開始し、前記受渡し手段がエア吸着動作を開始した以降にエア吸着動作を終了することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先にエア吸着動作を開始し、前記受渡し手段がエア吸着動作を開始する時点よりも後にエア吸着動作を終了することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、流路形成手段を介してエア吸引手段に連通して接続され、前記流路形成手段にて形成された流路を開放遮断する開度調整手段が配置されていることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体供給装置において、
前記エア吸引手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作に用いられるエア吸引手段とは別に設けられることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項9】
請求項7に記載の媒体供給装置において、
前記エア吸引手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作に用いられるエア吸引手段を共用していることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の媒体供給装置において、
前記流路形成手段は、前記エア吸引手段と前記受渡し手段とを接続する第1の流路形成部と、前記第1の流路形成部の途中から分岐して前記補助吸着手段に接続される第2の流路形成部とを有し、
前記開度調整手段は、前記第1の流路形成部のうち前記第2の流路形成部との分岐部よりも前記受渡し手段側に設けられて開度を調整する第1の開度調整部と、前記第2の流路形成部に設けられて開度を調整する第2の開度調整部とを有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項11】
請求項9に記載の媒体供給装置において、
前記エア吸引手段が共用型である態様において、
前記流路形成手段は、前記エア吸引手段と前記受渡し手段とを接続する第1の流路形成部と、前記第1の流路形成部の途中から分岐して前記補助吸着手段に接続される第2の流路形成部とを有し、
前記開度調整手段は、前記第1の流路形成部と前記第2の両路形成部との分岐部に設けられ、前記補助吸着手段及び前記受渡し手段に対する吸引エアの配分を振り分ける共用開度調整部を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項12】
請求項7に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段によるエア吸着動作は、前記開度調整手段にて前記補助吸着手段によるエア吸着動作のみを可能とする第1の開度モードに切り替えた後に開始され、前記補助吸着手段によるエア吸着動作の開始から一定時間経過後に、前記開度調整手段にて前記補助吸着手段に加えて前記受渡し手段によるエア吸着動作を可能とする第2の開度モードに切り替えて前記受渡し手段によるエア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項13】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、予め決められた下方の目標位置に前記可動ダクトを移動させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項14】
請求項13に記載の媒体供給装置において、
前記目標位置は、前記媒体基準高さよりも下方に設定されていることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項15】
請求項13に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、上下方向に伸縮可能な可動ダクトを有し、前記可動ダクトを自重で前記目標位置まで伸長させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項16】
請求項13に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、上下方向に移動可能な可動ダクトと、前記可動ダクトを上下動させる駆動手段とを有し、前記可動ダクトを前記目標位置に移動させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項17】
請求項13に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、前記可動ダクトには下端位置の行き過ぎ量を吸収する吸収部を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項18】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は前記受渡し手段のエア吸着領域よりも狭いエア吸着領域を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項19】
請求項18に記載の媒体供給装置において、
前記補助吸着手段は前記媒体の送出方向に交差する幅方向の略中央に設けられることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項20】
請求項1乃至3のいずれかに記載の媒体供給装置と、
前記媒体供給装置から供給された媒体に対して予め決められた処理を施す処理手段と、
を備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の媒体を一枚ずつ供給する媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の媒体供給装置としては、例えば特許文献1、2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、積層状態で用紙を収容する用紙積載台と、用紙積載台の最上部の用紙の給紙方向の後端側を吸着する後端吸着部と、用紙を給紙方向に送り出す送出部と、を備え、後端吸着部は、用紙積載台に収容された用紙の用紙面に対して垂直な上下方向に移動可能な可動部と、用紙を可動部に吸着させるための吸着力を発生させる第2ファンと、を備え、可動部は、用紙を吸着していない場合に、下方に移動して用紙積載台の最上部の用紙に接触し、当該用紙を吸着した場合に、上方に移動して当該用紙の後端を他の用紙から離間させるように構成されている給紙装置が開示されている。
特許文献2には、少なくとも封筒を含む多数の被印刷物を装填する給紙トレイ及びこの給紙トレイの左右に配した一対のサイドプレートを有する給紙ガイド機構、被印刷物の正規位置からの乱れを規制する規制ガイド部を設けた印刷装置の給紙機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-119560号公報(発明を実施するための形態,図3図6
【特許文献2】特開2003-89435号公報(実施例,図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、媒体を浮揚させて一枚ずつ吸着して供給する方式を採用するに当たって、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、媒体の供給不良を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、枚葉の媒体が収容される収容手段と、前記収容手段に収容された媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、前記収容手段の上方で前記送出手段寄りに設けられ、前記収容手段に収容された媒体をエア吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、前記収容手段に収容された媒体の側方に設けられ、前記媒体の側方端面の上側領域にエアを吹き付けて前記媒体の上側部分を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、前記収容手段の上方で前記受渡し手段のうち前記媒体の搬送方向とは反対側に設けられ、前記収容手段に収容された媒体をエア吸着する補助吸着手段と、を備え、前記補助吸着手段は、前記収容手段に収容された前記媒体の前記送出手段とは反対側に位置する端部よりも前記受渡し手段に近接して配置されていることを特徴とする媒体供給装置である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先に前記収容手段に収容された媒体をエア吸着することを特徴とする媒体供給装置である。
【0007】
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記収容手段に均一厚の媒体が略水平姿勢で収容されている条件で、媒体の最上位の位置が前記受渡し手段によるエア吸着動作が可能となるように設定された位置を媒体基準高さと定義したときに、前記補助吸着手段は、前記媒体基準高さよりも下方の位置で媒体をエア吸着することを特徴とする媒体供給装置である。
【0008】
本発明の第4の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作よりも先にエア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先にエア吸着動作を開始し、前記受渡し手段がエア吸着動作を開始した以降にエア吸着動作を終了することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、前記受渡し手段よりも先にエア吸着動作を開始し、前記受渡し手段がエア吸着動作を開始する時点よりも後にエア吸着動作を終了することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、流路形成手段を介してエア吸引手段に連通して接続され、前記流路形成手段にて形成された流路を開放遮断する開度調整手段が配置されていることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第8の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記エア吸引手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作に用いられるエア吸引手段とは別に設けられることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第9の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記エア吸引手段は、前記受渡し手段のエア吸着動作に用いられるエア吸引手段を共用していることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記流路形成手段は、前記エア吸引手段と前記受渡し手段とを接続する第1の流路形成部と、前記第1の流路形成部の途中から分岐して前記補助吸着手段に接続される第2の流路形成部とを有し、前記開度調整手段は、前記第1の流路形成部のうち前記第2の流路形成部との分岐部よりも前記受渡し手段側に設けられて開度を調整する第1の開度調整部と、前記第2の流路形成部に設けられて開度を調整する第2の開度調整部とを有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第11の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記流路形成手段は、前記エア吸引手段と前記受渡し手段とを接続する第1の流路形成部と、前記第1の流路形成部の途中から分岐して前記補助吸着手段に接続される第2の流路形成部とを有し、前記開度調整手段は、前記第1の流路形成部と前記第2の両路形成部との分岐部に設けられ、前記補助吸着手段及び前記受渡し手段に対する吸引エアの配分を振り分ける共用開度調整部を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第12の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段によるエア吸着動作は、前記開度調整手段にて前記補助吸着手段によるエア吸着動作のみを可能とする第1の開度モードに切り替えた後に開始され、前記補助吸着手段によるエア吸着動作の開始から一定時間経過後に、前記開度調整手段にて前記補助吸着手段に加えて前記受渡し手段によるエア吸着動作を可能とする第2の開度モードに切り替えて前記受渡し手段によるエア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第13の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、予め決められた下方の目標位置に前記可動ダクトを移動させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第14の技術的特徴は、第13の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記目標位置は、前記媒体基準高さよりも下方に設定されていることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第15の技術的特徴は、第13の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、上下方向に伸縮可能な可動ダクトを有し、前記可動ダクトを自重で前記目標位置まで伸長させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第16の技術的特徴は、第13の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、上下方向に移動可能な可動ダクトと、前記可動ダクトを上下動させる駆動手段とを有し、前記可動ダクトを前記目標位置に移動させ、前記エア吸着動作を開始することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第17の技術的特徴は、第13の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、前記可動ダクトには下端位置の行き過ぎ量を吸収する吸収部を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第18の技術的特徴は、第1乃至第3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は前記受渡し手段のエア吸着領域よりも狭いエア吸着領域を有することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第19の技術的特徴は、第18の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記補助吸着手段は前記媒体の送出方向に交差する幅方向の略中央に設けられることを特徴とする媒体供給装置である。
【0009】
本発明の第20の技術的特徴は、第1乃至多声3のいずれかの技術的特徴を備えた媒体供給装置と、前記媒体供給装置から供給された媒体に対して予め決められた処理を施す処理手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の技術的特徴によれば、媒体を浮揚させて一枚ずつ吸着して供給する方式を採用するに当たって、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、媒体の供給不良を低減することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、補助吸着手段にて媒体をエア吸着して保持し、受渡し手段による媒体のエア吸着をし易くすることができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、傾きにより媒体基準高さよりも離れている媒体を効率的に吸着することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、受渡し手段よりも先に補助吸着手段による媒体のエア吸着を容易に実現することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、受渡し手段による媒体のエア吸着を行うに当たり、補助吸着手段によりエア吸着された媒体を降下させずに受渡し手段に向けて引き渡すことができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、受渡し手段による媒体のエア吸着を行うに当たり、補助吸着手段によりエア吸着されたままの媒体を受渡し手段に向けて引き渡すことができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、補助吸着手段によるエア吸着動作を簡単に具現化することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、補助吸着手段によるエア吸着動作を受渡し手段によるエア吸着動作と切り離して独自に実現することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、受渡し手段で用いられるエア吸引手段を利用し、補助吸着手段によるエア吸着動作を実現することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、受渡し手段で用いられるエア吸引手段を利用し、流路形成手段、開度調整手段を工夫することで、補助吸着手段及び受渡し手段によるエア吸着動作を容易に実現することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、受渡し手段で用いられるエア吸引手段を利用し、分岐構成の流路形成手段、分岐部に配置される開度調整手段を工夫することで、補助吸着手段及び受渡し手段によるエア吸着動作を容易に実現することができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、開度調整手段の切り替えを適切に行うことで、補助吸着手段及び受渡し手段によるエア吸着動作を容易に実現することができる。
本発明の第13の技術的特徴によれば、下端位置が上下方向に移動可能な可動型の補助吸着手段を簡単に構築することができる。
本発明の第14の技術的特徴によれば、下端位置が上下方向に移動可能な可動型の補助吸着手段を用い、傾きにより媒体基準高さよりも離れている媒体を吸着することができる。
本発明の第15の技術的特徴によれば、上下方向に伸縮可能な可動型の補助吸着手段を簡単に構築することができる。
本発明の第16の技術的特徴によれば、駆動手段を設けない場合に比べて、高速で可動ダクトを目標位置に移動させることができる。
本発明の第17の技術的特徴によれば、補助吸着手段の先端位置が行き過ぎて媒体に強く当接したとしても、補助吸着手段によるエア吸着動作を安定的に行うことができる。
本発明の第18の技術的特徴によれば、受渡し手段よりも簡易な構成で構築することができる。
本発明の第19の技術的特徴によれば、媒体の送出方向に交差する幅方向に沿って媒体が凹状に変形して収容されたとしても、当該媒体に対して補助吸着手段によるエア吸着動作を実現することができる。
本発明の第20の技術的特徴によれば、媒体を浮揚させて一枚ずつ吸着して供給する方式を採用するに当たって、媒体の送出方向に沿って媒体の収容姿勢に傾きが生ずる場合でも、媒体の供給不良を低減することが可能な媒体処理手段を含む媒体処理装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は本発明が適用された媒体供給装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す媒体供給装置の動作例を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係る媒体処理装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1に係る媒体処理装置に用いられる媒体供給装置の一例を示す説明図である。
図4】実施の形態1に係る媒体供給装置の駆動制御系を示す説明図である。
図5】実施の形態1に係る媒体供給装置の媒体収容部の構成例を示す斜視説明図である。
図6】(a)は図4に示す昇降機構の構成例を示す説明図、(b)は(a)に示す昇降機構の要部を示す斜視説明図である。
図7】実施の形態1に係る媒体供給装置の主要部を示す説明図である。
図8】実施の形態1に係る受渡し手段としてのバキュームヘッドの詳細を示す説明図である。
図9図8中IX方向から見たバキュームヘッドの進退機構を示す説明図である。
図10】バキュームヘッドの吸引機構を示す説明図であり、(a)は吸引オフの状態を示す説明図、(b)は吸引オンの状態を示す説明図である。
図11図4に示す浮揚機構の構成例を示す説明図である。
図12】浮揚機構に用いられるシャッタ機構の構成例を示し、(a)はシャッタ機構の吹出口を閉じた状態を示す説明図、(b)はシャッタ機構の吹出口を開放した状態を示す説明図である。
図13】(a)は図7に示すエア捌き機構を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見たエア吹出し時の状態を示す説明図、(c)はエア非吹出し時の状態を示す説明図である。
図14】本実施の形態で用いられる補助吸着具の構成例を示し、(a)は補助吸着具の伸長状態を示す説明図、(b)は補助吸着具による媒体のエア吸着時の状態を示す説明図、(c)は補助吸着具の他の構成例を示す説明図である。
図15】(a)は実施の形態1に係る補助吸着具の吸引機構を示す説明図、(b)はバキュームヘッド及び補助吸着具のエア吸着動作のタイミングチャートを示す説明図である。
図16】(a)~(e)は実施の形態1に係る媒体供給装置による媒体の基本的な供給動作過程を示す説明図である。
図17図16に示す媒体供給装置による媒体の基本的な供給動作のタイミングチャートを示す説明図である。
図18】(a)は補助吸着具による媒体のエア吸着動作過程を示す説明図、(b)はバキュームヘッドによる媒体の吸着動作過程を示す説明図である。
図19】(a)は補助吸着具による媒体のエア吸着動作過程の最初のステップを示す説明図、(b)は同エア吸着動作過程の次のステップを示す説明図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。
図20】(a)は比較の形態1に係る媒体供給装置を示す説明図、(b)はその媒体の供給動作過程を示す説明図、(c)はバキュームベルト及び後端吸着具のエア吸着動作のタイミングチャートを示す説明図である。
図21】(a)は実施の形態1に係る補助吸着具の変形の形態1を示す説明図、(b)は(a)で用いられる伸縮可能な可動ダクト例を示す説明図、(c)は変形の形態1に係る補助吸着具の使用例を示す説明図である。
図22】(a)は実施の形態1で用いられる補助吸着具の変形の形態2を示す説明図、(b)は補助吸着具の動作例を示す説明図である。
図23】(a)は実施の形態2に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はその吸着動作過程を示す説明図、(c)はバキュームヘッド及び補助吸着具のエア吸着動作のタイミングチャートを示す説明図である。
図24】(a)は実施の形態3に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はエア吸引を制御するバルブの構成例及びその動作例を示す説明図である。
図25】(a)は変形の形態3-1に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はエア吸引を制御するバルブの構成例及びその動作例を示す説明図である。
図26】(a)は変形の形態3-2に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はエア吸引を制御するバルブの構成例及びその動作例を示す説明図である。
図27】(a)は変形の形態3-3に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はエア吸引を制御するバルブの構成例及びその動作例を示す説明図である。
図28】(a)は実施の形態4に係る媒体供給装置の要部を示す説明図、(b)はバキュームヘッド及び補助吸着具のエア吸着動作のタイミングチャートを示す説明図である。
図29】(a)は実施の形態4に係る媒体供給装置の補助吸着具による媒体のエア吸着動作過程を示す説明図、(b)は同媒体供給装置のバキュームヘッドによる媒体のエア吸着動作過程を示す説明図である。
図30】実施の形態5に係る媒体供給装置の要部を示す説明図である。
図31】(a)は実施の形態5に係る媒体供給装置の補助吸着具による媒体のエア吸着動作過程を示す説明図、(b)は同媒体供給装置のバキュームヘッドによる媒体のエア吸着動作過程を示す説明図、(c)はバキュームヘッド及び補助吸着具のエア吸着動作のタイミングチャートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された媒体供給装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、媒体供給装置は、枚葉の媒体Sが収容される収容手段1と、収容手段1に収容された媒体Sの送出方向側に設けられ、媒体Sを一枚ずつ送出する送出手段2と、収容手段1の上方で送出手段2寄りに設けられ、収容手段1に収容された媒体Sをエア吸着して送出手段2に受け渡す受渡し手段3と、収容手段1に収容された媒体Sの側方に設けられ、媒体Sの側方端面の上側領域にエアを吹き付けて媒体Sの上側部分を分離した状態で浮揚させる浮揚手段4と、収容手段1の上方で受渡し手段3のうち媒体Sの搬送方向とは反対側に設けられ、収容手段1に収容された媒体Sをエア吸着する補助吸着手段5と、を備え、補助吸着手段5が、収容手段1に収容された媒体Sの送出手段2とは反対側に位置する端部位置よりも受渡し手段3に近接して配置されているものである。
【0013】
そして、この種の媒体供給装置は、媒体Sに対して予め決められた処理を施す図示外の処理手段を備えた媒体処理装置に組み込まれ、処理手段に対して媒体Sを供給する機能を具現化する装置として用いられる。
尚、ここでいう処理手段には、媒体Sに対して画像を形成する作像手段のほか、媒体に対して孔開け処理、裁断処理、仕分け処理、折り処理等の各種処理を施すものを広く含む。
【0014】
このような技術的手段において、収容手段1は一般に媒体Sを積載する積載部を有し、この積載部は昇降機構により昇降可能に支持されることが多い。また、各種サイズの媒体Sを収容する態様では、側方案内部や後方案内部を有する態様が採用される。
また、送出手段2としては媒体Sを送出するものを広く含み、対構成の送出ロールや送出ロールと送出ベルトとの組合せが代表的である。
更に、受渡し手段3としては、媒体Sを一枚ずつ吸着して送出手段2に受渡し、かつ、初期位置に戻るものであれば、搬送シャトル(バキュームヘッド)や搬送ベルト等適宜選定して差し支えない。
更にまた、浮揚手段4としては、収容されている媒体Sの上側領域に対し、収容手段1の側方(媒体の搬送方向に交差する幅方向側方に限らず、搬送方向の前側方、後側方も含む)からエアを吹き付けるものであればよい。
【0015】
また、補助吸着手段5としては、受渡し手段3に対し媒体Sの送出方向の反対側に設けられていればよく、エア吸着口は一箇所でもよいし、複数に分かれていてもよい。
特に、本例では、補助吸着手段5は、収容手段1に収容された媒体Sの送出手段2とは反対側に位置する端部よりも受渡し手段3に近接して配置されていることを要する。
ここでいう「近接」とはすぐ近くにあることを意味し、受渡し手段3に接触したものに限らず、非接触のものも含む。このため、補助吸着手段5としては、受渡し手段3の媒体Sの受渡し動作時に受渡し手段3とは切り離して固定的に設置されていてもよいし、あるいは、受渡し手段3と共に移動するように設置してもよい。また、受渡し手段3と非接触に配置される態様については、収容手段1に収容された媒体Sの送出手段2とは反対側に位置する端部と、受渡し手段3とを比べたときに受渡し手段3側に近い位置関係にあればよい。
このように、受渡し手段3に補助吸着手段5を近接して配置することで、収容手段1内の媒体Sの収容姿勢に仮に傾きが生じたとしても、補助吸着手段5による媒体S(具体的には最上位に位置する媒体S1)の補助吸着時には、近接する位置関係にある補助吸着手段5と受渡し手段3との間の媒体Sの傾きが小さくなり、受渡し手段3による媒体Sのエア吸着を安定させる上で有効である。
また、補助吸着手段5のエア吸着力については適宜選定して差し支えないが、受渡し手段3による媒体のエア吸着動作を補助する上で必要なエア吸着力を有することが必要である。
【0016】
次に、本実施の形態に係る媒体供給装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、補助吸着手段5の代表的態様としては、図1(a)に示すように、受渡し手段3よりも先に収容手段1に収容された媒体S(具体的にはS1)をエア吸着する態様が挙げられる。本例は、補助吸着手段5にて媒体Sを先にエア吸着して保持することから、受渡し手段3の近くに媒体Sが配置されることになり、その分、受渡し手段3による媒体Sのエア吸着をし易くする上で好ましい。
また、補助吸着手段5の別の代表的態様としては、図1(a)に示すように、収容手段1に均一厚の媒体Sが略水平姿勢で収容されている条件で、媒体S1の最上位の位置が受渡し手段3によるエア吸着動作が可能となるように設定された位置を媒体基準高さFCと定義したときに、補助吸着手段5が、媒体基準高さFCよりも下方の位置で媒体Sをエア吸着する態様が挙げられる。本例は、例えば収容手段1内の媒体Sの収容姿勢が傾いた場合に、仮に、受渡し手段3の吸着面に対向する媒体Sの最上位の媒体S1が媒体基準高さFCよりも低い位置に配置されることが生じたものとすると、浮揚手段4により媒体Sの上部が分離浮揚したとしても、受渡し手段3により浮揚した最上位の媒体S1をエア吸着することは困難になる可能性がある。しかしながら、本例では、受渡し手段3に近接して配置されている補助吸着手段5は媒体基準高さFCよりも低い位置の媒体S1をエア吸着することから、この補助吸着手段5より、媒体基準高さFC付近まで媒体S1を持ち上げるようにすれば、受渡し手段3による媒体S1のエア吸着を補助する上で有効である。
【0017】
更に、補助吸着手段5の好ましい態様としては、受渡し手段3のエア吸着動作よりも先にエア吸着動作を開始する態様が挙げられる。例えば第1の態様では、補助吸着手段5によるエア吸着動作の開始タイミングをこのようにすれば、補助吸着手段5による媒体Sのエア吸着が受渡し手段3よりも先に行われる。また、第2,第3の態様は、補助吸着手段5のエア吸着動作の開始タイミングは受渡し手段3と同時の場合も含むものであるが、受渡し手段3よりも先に行なわれると、受渡し手段3に媒体Sをエア吸着する際に、補助吸着手段5で媒体Sをエア吸着して保持するため、受渡し手段3による媒体Sのエア吸着がし易い点で好ましい。
【0018】
また、補助吸着手段5によるエア吸着動作の終了タイミングの代表的態様としては、補助吸着手段5は、受渡し手段3よりも先にエア吸着動作を開始し、受渡し手段3がエア吸着動作を開始した以降にエア吸着動作を終了する態様が挙げられる。本例では、補助吸着手段5による媒体Sのエア吸着動作の終了タイミングは受渡し手段3によるエア吸着動作の開始時点と同時でもよく、この場合、補助吸着手段5によりエア吸着されていた媒体Sは、補助吸着手段5から受渡し手段3に切り替わってエア吸着される。但し、補助吸着手段5から受渡し手段3にエア吸着動作をスムーズに移行するという観点から、補助吸着手段5は、受渡し手段3よりも先にエア吸着動作を開始し、受渡し手段3がエア吸着動作を開始する時点よりも後にエア吸着動作を終了し、補助吸着手段5から受渡し手段3へエア吸着動作を移行する際に、両者によるエア吸着動作を所定期間経由するのが好ましい。
【0019】
また、補助吸着手段5によるエア吸着動作を具現化する代表的態様としては、図1(a)(b)に示すように、流路形成手段7を介してエア吸引手段6に連通して接続され、流路形成手段7にて形成された流路を開放遮断する開度調整手段8が配置されている態様がある。
本例においては、エア吸引手段6としては、受渡し手段3のエア吸着動作に用いられるエア吸引手段とは別に設けられてもよいし、共用するようにしてもよい。
ここで、共用型のエア吸引手段6を用いた代表的態様としては、例えば流路形成手段7は、エア吸引手段6と受渡し手段3とを接続する第1の流路形成部と、第1の流路形成部の途中から分岐して補助吸着手段5に接続される第2の流路形成部とを有し、開度調整手段8は、第1の流路形成部のうち第2の流路形成部との分岐部よりも受渡し手段3側に設けられて開度を調整する第1の開度調整部と、第2の流路形成部に設けられて開度を調整する第2の開度調整部とを有する態様が挙げられる(実施の形態3参照)。
また、共用型のエア吸引手段6を用いた別の代表的態様としては、流路形成手段7は、エア吸引手段6と受渡し手段3とを接続する第1の流路形成部と、第1の流路形成部の途中から分岐して補助吸着手段5に接続される第2の流路形成部とを有し、開度調整手段8は、第1の流路形成部と第2の両路形成部との分岐部に設けられ、補助吸着手段5及び受渡し手段3に対する吸引エアの配分を振り分ける共用開度調整部を有する態様が挙げられる(変形の形態3-1~3-3参照)。
【0020】
また、媒体吸着手段5によるエア吸着動作の代表的な制御方式としては、補助吸着手段5によるエア吸着動作は、開度調整手段8にて補助吸着手段5によるエア吸着動作のみを可能とする第1の開度モードに切り替えた後に開始され、補助吸着手段5によるエア吸着動作の開始から一定時間経過後に、開度調整手段8にて補助吸着手段5に加えて受渡し手段3によるエア吸着動作を可能とする第2の開度モードに切り替えて受渡し手段3によるエア吸着動作を開始する態様が挙げられる。
【0021】
更に、補助吸着手段5の代表的態様としては、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、予め決められた下方の目標位置に可動ダクトを移動させ、エア吸着動作を開始する態様がある。
ここで、目標位置としては、媒体基準高さFCよりも下方に設定されていることが好ましい。例えば収容手段1に収容される媒体Sが封筒のように開封口側と封筒底側とで厚さの異なる態様であると仮定する。このとき、収容手段1にこれらの封筒からなる媒体Sを積層して収容すると、図1(a)に示すように、収容手段1内で媒体Sが傾いた状態で配置されることが起こり得る。
この状態において、媒体Sの最上位に位置するものをS1で表記すると、傾いた姿勢の媒体S1の低い部分は媒体基準高さFCよりも下方に位置することになり、特に、傾いた姿勢の媒体S1のうち媒体基準高さFCよりも低い部分が受渡し手段3に対向する側に配置されたような状態に至ると、浮揚手段4によって最上位の媒体S1が浮揚したとしても、傾いた姿勢の媒体S1の低い部分が媒体基準高さFCに至るという保障はなく、例えば受渡し手段3のみによるエア吸着動作を行ったとしても、媒体S1をエア吸着することが不安定になってしまう。
【0022】
このような状況において、本実施の形態では、受渡し手段3のうち媒体Sの搬送方向とは反対側の近接した部位に補助吸着手段5が設けられている。このとき、最上位の媒体S1が受渡し手段3側を低くした傾いた姿勢で配置されていたとしても、傾いた媒体S1のうち補助吸着手段5に対向した部位の方が受渡し手段3に対向した部位よりも上方に位置することになるため、受渡し手段3に比べて、補助吸着手段5の方が媒体S1との距離が短くなり、その分、受渡し手段3よりも先に補助吸着手段5で媒体S1をエア吸着して保持し、受渡し手段3による媒体S1のエア吸着を補助するようにしたものである。
【0023】
ここで、補助吸着手段5の可動ダクト方式の好ましい態様としては、上下方向に伸縮可能な可動ダクトを有し、可動ダクトを自重で目標位置まで伸長させ、エア吸着動作を開始する態様が挙げられる。
また、別の態様としては、上下方向に移動可能な可動ダクトと、可動ダクトを上下動させる駆動手段とを有し、可動ダクトを目標位置に移動させ、エア吸着動作を開始する態様が挙げられる。
更に、補助吸着手段5の好ましい態様としては、下端位置が上下方向に移動可能な可動ダクトを有し、可動ダクトには下端位置の行き過ぎ量を吸収する吸収部を有する態様が挙げられる。本例において、吸収部としては、弾性バネや伸縮可能な分割ダクト構成などが含まれる。このような吸収部を付加するようにすれば、補助吸着手段5が媒体S1に強く当接したとしても、媒体S1が損傷することはなく、安定的にエア吸着動作を行う上で有効である。
【0024】
また、補助吸着手段5のエア吸着領域については適宜選定して使えないが、簡易な構成で提供するという観点からすれば、受渡し手段3のエア吸着領域よりも狭いエア吸着領域を有するようにすればよい。
更に、補助吸着手段5の設置場所として、例えば媒体Sの送出方向に交差する幅方向に沿って媒体Sが凹状に変形して収容されるような場合には、媒体Sが送出方向に交差する幅方向の略中央に設けるようにすることが好ましい。
【0025】
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
図2は実施の形態1に係る媒体処理装置の全体構成を示す。
-媒体処理装置の全体構成-
同図において、媒体処理装置10は、枚葉の媒体を一枚ずつ供給する媒体供給装置11と、媒体供給装置11から供給された媒体に対して予め決められた処理を施す処理手段としての処理ユニット20とを備えている。
本例において、処理ユニット20は、媒体に対して画像を形成する作像部21を備えており、作像部21は、例えば電子写真方式、インクジェット記録方式等の各種作像方式を採用したものが用いられる。そして、処理ユニット20内には、媒体供給装置11から供給される媒体を作像部21に搬入する搬入搬送路22と、作像部21にて作像された媒体を処理ユニット20外に搬出する搬出搬送路23とが設けられ、更に、本例では、処理ユニット20内の作像部21の下方には内蔵の媒体供給部24が別途設けられ、媒体供給部24からの媒体も供給搬送路25を経由して作像部21へと供給されるようになっている。尚、符号26は搬入搬送路22の入口に設けられた搬入ロール26であり、搬入搬送路22,搬出搬入路23及び供給搬送路25には適宜数の搬送部材が設けられている。
【0026】
-媒体供給装置の全体構成-
本例において、媒体供給装置11は、図2及び図3に示すように、媒体を収容する筐体12を有し、この筐体12には二段構成の引出型の上段ドロワ13、下段ドロワ14を引出可能に配設すると共に、筐体12の上部には手差しで媒体が供給可能な手差し供給部15を配設したものである。そして、筐体12の処理ユニット20側には上段ドロワ13、下段ドロワ14及び手差し供給部15から供給される媒体を処理ユニット20側に中継して搬出する中継ユニット16を配設したものである。
本例において、上段ドロワ13及び下段ドロワ14はいずれも大容量の媒体を収容して一枚ずつ供給する構成を備えている。また、中継ユニット16は、上段ドロワ13から供給される媒体を搬出する第1搬出路17a、下段ドロワ14から供給される媒体を搬出する第2搬出路17b及び手差し供給部15から供給される媒体を搬出する第3搬出路17cを有しており、これら第1~第3搬出路17a~17cには適宜数の搬送ロール18を設けると共に、第1~第3搬出路17a~17cの出口側に処理ユニット20への排出口17eにつながる合流搬送路17dを形成し、この合流搬送路17dに排出ロール19を設けたものである。尚、上段ドロワ13、下段ドロワ14には夫々把手13a,14aが設けられ、手前側に引出可能になっている。
【0027】
-上段ドロワ(下段ドロワ)の構成例-
本例において、上段ドロワ13及び下段ドロワ14は略同様に構成されており、以下、上段ドロワ13を例に挙げて説明する。
本例において、上段ドロワ13は、例えば図4に示すように、枚葉の媒体を収容する収容手段としての収容部30と、収容部30に収容された媒体の送出方向側に設けられ、媒体を一枚ずつ送出する送出手段としての送出ロール40と、収容部30の上方に設けられ、収容部30に収容された媒体をエア吸着して送出ロール40に受け渡す受渡し手段としてのバキュームヘッド50と、収容部30に収容された媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、媒体の側方にエアを吹き付けて媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段としての浮揚機構70と、収容部30に収容される媒体の送出方向側に設けられ、浮揚機構70にて浮揚された上側の媒体とその下方側に位置する媒体との間にエアを吹き付けて浮揚された媒体を捌くエア捌き機構80と、を備えている。
【0028】
-収容部-
本例において、収容部30は、図4及び図5に示すように、各種サイズの媒体が積載される積載底板31を有し、この積載底板31に積載される各種サイズの媒体の送出方向に交差する幅方向の側方に設けられ、媒体の側方位置を位置決め案内する側方案内手段としてのサイドガイド32(具体的には32a,32b)と、積載底板31に積載される媒体の送出方向と反対側の後側方に設けられ、媒体の後方位置を位置決め案内する後方案内手段としてのエンドガイド33と、積載底板31に積載される媒体の送出方向側位置を仕切る仕切りプレート34と、を備えている。
本例では、使用対象とする媒体のサイズに合わせて収容部30を設計すればよいが、汎用性を持たせるという観点からすれば、通常サイズの媒体を主として使用対象にすることが好ましい。ここでいう通常サイズの媒体としては、例えば長手方向の長さが488mmまでの媒体が使用され、このようなサイズの媒体の一例としては、JIS規格のA3版サイズ以下の媒体が該当する。
また、本例では、媒体としては均一厚のものは勿論であるが、送出方向に厚さの異なる封筒等の非均一厚のものも含まれる。
【0029】
そして、本例では、サイドガイド32は、積載底板31の幅方向に沿って移動可能に設けられ、予め決められた位置決め位置で位置決めされるようになっており、また、エンドガイド33は、積載底板31の媒体の送出方向に沿って移動可能に設けられ、予め決められた位置決め位置に位置決めされるようになっている。また、本例では、仕切りプレート34には当該仕切りプレート34の上縁から上方に向かって突出する分離プレート35(図7参照)が設けられており、分離プレート35はバキュームヘッド50にエア吸着された媒体よりも下方に位置する媒体群の上方領域がせき止められるストッパ壁として機能するようになっている。
【0030】
<昇降機構>
更に、積載底板31は、図4に示すように、後述する昇降機構90(図6参照)により昇降可能に支持されている。
本例において、昇降機構90は、図4及び図6(a)(b)に示すように、積載底板31のうち媒体の送出方向に交差する幅方向両側の四箇所に吊り下げ部91を具備させ、夫々の吊り下げ部91に終端が夫々振り分けて連結される四本のワイヤ92~95を具備させ、各ワイヤ92~95を一若しくは複数の案内プーリ96に掛け渡した後に、各ワイヤ92~95の一端側を同軸で連結された巻取りプーリ97(本例では97a,97b)に固着すると共に、巻取りプーリ97を正逆回転可能な駆動モータ98で回転させ、各ワイヤ92~95を所定量移動させることで、積載底板31を平行な姿勢を保ちつつ昇降させるようにしたものである。
そして、符号99は積載底板31に積載される媒体のうち媒体の表面を予め決められた媒体基準高さFC(図18(a)参照)に設定するための高さセンサを示す。
ここでいう媒体基準高さFCは、収容部30に例えば普通紙等の均一厚の媒体Sが略水平姿勢で収容されている条件で、媒体の最上位の位置がバキュームヘッド50によるエア吸着動作が可能となるように設定された位置を指す。
【0031】
-送出ロール-
本例において、送出ロール40は、図4及び図7に示すように、駆動回転する駆動ロール41と、駆動ロール41の回転に追従して従動回転する従動ロール42とを備え、駆動ロール41と従動ロール42との接触部に媒体を挟持して搬送するようになっている。
-位置センサ-
また、本実施の形態では、図4に示すように、送出ロール40よりも媒体の搬送方向下流側には位置センサ45が設置されている。この位置センサ45は、媒体が送出ロール40のニップ域を通過したことを検出するものであって、媒体の通過領域内に一つ設けられている。この位置センサ45からの検出信号によって先に送出された媒体Sの供給動作が終了したことが認識されることになり、連続供給モードの次の媒体Sの供給動作のトリガーになっている。
【0032】
-バキュームヘッド-
本例において、バキュームヘッド50は、図4図7及び図8に示すように、収容部30の上方にて筐体12に固定されるヘッドフレーム60に対し案内機構58(例えば案内ロッドを使用)を介して支持され、媒体の送出方向に沿って進退移動可能に設けられている。
本例において、バキュームヘッド50は、中空ボックス状のヘッド本体51を有し、ヘッド本体51のうち収容部30に収容された媒体に対向する面には多数のバキューム孔52を開設し、更に、ヘッド本体51のバキューム孔52側の周囲には媒体をエア吸着するときに密封状態を保つためのスカート部51aを有している。
そして、ヘッド本体51には吸引機構53が接続されている。ここで、吸引機構53としては、図10(a)(b)に示すように、吸引用のブロワ54とヘッド本体51との間を接続ダクト55で接続し、接続ダクト55の途中には流路を開放遮断する開閉バルブ56を介在させ、開閉バルブ56をバルブモータ57にて開閉するようにしたものが採用されている。
【0033】
そして、ヘッドフレーム60にはバキュームヘッド50を進退移動させる進退機構61が設けられている。本例において、進退機構61は、図8及び図9に示すように、ヘッドフレーム60にステッピングモータ62を固定し、このステッピングモータ62には駆動プーリ63を連結し、更に、ヘッドフレーム60には適宜数の伝達プーリ64を適宜箇所に設け、駆動プーリ63及び伝達プーリ64にはワイヤ65を掛け渡すと共に、ワイヤ65の一部をバキュームヘッド50に固着するようにしたものである。本例では、ステッピングモータ62の正逆回転に伴って駆動プーリ63が回転し、これに伴ってワイヤ65が所定量移動し、バキュームヘッド50が媒体の送出方向において進退移動するようになっている。
【0034】
-浮揚機構-
本例において、浮揚機構70は、図4図5図7及び図11に示すように、例えばサイドガイド32(32a,32b)を中空ボックス状に構成し、サイドガイド32の媒体の側方に面した箇所の上方には複数のエア吹出口71を開設し、サイドガイド32の中空部にはエア吹出口71に一端が連通するエアダクト72を配設し、エアダクト72の他端を吹出用のブロワ73に連通させるようにしたものである。ここで、ブロワ73はサイドガイド32に内蔵設置してもよいし、サイドガイド32に対して外付け設置してもよい。
尚、本例では、サイドガイド32のエア吹出口71の近くには媒体規制部品100が設けられている。本例の媒体規制部品100は、積載底板31に積載された媒体の側方に設けられ、媒体の収容領域に突出して、浮揚機構70使用時に浮揚する媒体の浮上がり過多を規制するように機能するものである。
【0035】
更に、本例では、エア吹出口71を開閉するシャッタ機構75が設けられている。シャッタ機構75は、図11及び図12(a)(b)に示すように、エア吹出口71を覆う板状のシャッタ76と、このシャッタ76を上下方向で往復動させるシャッタ駆動機構77とを備えている。ここで、シャッタ駆動機構77としては、例えばステッピングモータからなる駆動モータ771の駆動軸と同軸に駆動伝達ギア772を設ける一方、シャッタ76の下部を支持するシャッタ持部材773を設けると共に、このシャッタ支持部材773の一側縁には上下方向に延びるラック774を設け、このラック774と駆動伝達ギア772との間には駆動伝達ギア列775を介して駆動伝達可能に噛合させ、制御装置200からの駆動信号に基づいて駆動される駆動モータ771からの駆動力をシャッタ76に伝達するようになっている。
このように、本例では、エア吹出口71は、シャッタ機構75によって開閉動作が繰り返されることにより、エア吹出口71から吹き出されるエアはゆらぎパターンをもって媒体Sの上側部分を浮揚させ易くするようになっている。
【0036】
-エア捌き機構-
本例において、エア捌き機構80は、図4図7及び図13(a)~(c)に示すように、浮揚機構70により浮揚する媒体の送出方向側端部に向けて下方から斜め後方に向けてナイフ状のエアを吹き付けるエアノズル81を有し、バキュームヘッド50の送出ロール40寄りにはエア案内板82を突出させ、エアノズル81から吹き出したエアをエア案内板82で方向転換させ、浮揚機構70にて浮揚された上側の媒体とその下方側に位置する媒体との間にエアを吹き付けて媒体を捌くものである。
そして、本例では、エアノズル81にはエアダクト83が連通され、このエアダクト83にはエア吹出し用のブロワ84が接続されている。そして、エアダクト83の途中には流路を開放遮断する開閉バルブ85が設けられ、この開閉バルブ85はバルブモータ86にて開閉するようになっている。このように、本例では、ブロワ84は駆動を継続しながら、開閉バルブ85の開閉によりエアノズル81からエアが切替可能に吹出されるようになっている。
【0037】
-補助吸着具-
特に、本実施の形態では、バキュームヘッド50による媒体のエア吸着動作を補助する補助吸着具120が設けられている。
<補助吸着具のレイアウト>
本例において、補助吸着具120は、図4図7及び図8に示すように、バキュームヘッド50のうち媒体Sの搬送方向とは反対側に近接して設けられている。本例では、補助吸着具120は、バキュームヘッド50を支持するヘッドフレーム60のうち媒体Sの搬送方向と反対側の側壁の外面にホルダブラケット121を介して取り付けられている。
本例において、補助吸着具120は、バキュームヘッド50とは非接触な状態でヘッドフレーム60に保持されているが、バキュームヘッド50に接触した状態でヘッドフレーム60に保持されても差し支えない。つまり、本例において、補助吸着具120は、バキュームヘッド50に対して接触、非接触を問わず、バキュームヘッド50の媒体Sの搬送方向と反対側に近接していればよい。
ここで、「近接」について補足しておくと、本例では、例えば収容部30で収容可能な最大サイズの媒体Sを収容したときのエンドガイド33の初期位置と、バキュームヘッド50の媒体Sの搬送方向とは反対側に位置する側壁部との位置関係に関し、エンドガイド33に比べて、補助吸着具120がバキュームヘッド50の側壁部寄りに配置されていれば「近接」して配置されているものとする。
【0038】
より具体的には、例えば非均一厚の封筒のような媒体を収容部30に収容すると、図15(a)に示すように、収容部30内で媒体Sが傾いた状態で配置されることが起こり得る。この状態においては、媒体Sの最上位に位置する媒体S1のうちバキュームヘッド50に対向する部位が媒体基準高さFCよりも低い位置に配置される懸念があり、バキュームヘッド50のみでは傾斜した媒体S1をエア吸着することが困難になり易いという技術的課題がある。そこで、このような技術的課題を解決するには、バキュームヘッド50の媒体の搬送方向とは反対側であっても、バキュームヘッド50から離れた箇所ではバキュームヘッド50による媒体のエア吸着を補助する機能を具現化できないので、最大使用サイズの媒体を基準として補助吸着具120の適切なレイアウトを見出すようにしたものである。
特に、このような技術的課題は、使用頻度の高い「角2」、「角3」、「長3」、「長4」の封筒で多く見られることを踏まえると、これらの封筒を使用する場合のエンドガイド33の位置(これらの封筒の搬送方向とは反対側の後端位置)に比べて、バキュームヘッド50寄りに配置されていることが好ましい。
このような封筒において、長4(横90×縦205mm)がこの中でも一番小さいサイズであり、これを踏まえると、封筒の先端から102.5mmまでに配置されていることが望ましい。
【0039】
<補助吸着具の構成例>
本例において、補助吸着具120は、図7及び図14に示すように、自重で伸縮可能な可動ダクト122を有している。
本例において、可動ダクト122は、図14(a)に示すように、複数段(本例では二段)に分割された略円筒状の分割ダクト131,132からなり、第1の分割ダクト131の内部に第2の分割ダクト132を自重で摺動可能に嵌め込み、かつ、第1の分割ダクト131の下端内縁に内側鍔部133を形成すると共に、第2の分割タクト132の上端外縁に外側鍔部134を形成し、第1の分割ダクト131の内側鍔部133に第2の分割ダクト132の外側鍔部134を引っ掛け可能として抜け止めしたものである。そして、第2の分割ダクト132の外側鍔部134と第1の分割ダクト131の内周面との間には環状の封止材135を介して気密性が確保されるようになっている。更に、第2の分割ダクト132の下端外縁には径方向に突出するストッパ片136が第1の分割ダクト131に対して第2の分割ダクト132が嵌め込まれた状態後に後付けで設けられ、このストッパ片136が第2の分割ダクト132が第1の分割ダクト131内に入り込まないようになっている。
【0040】
本例において、補助吸着具120は、図14(a)に示すように、可動ダクト122の第1の分割ダクト131をホルダブラケット121(図7参照)で保持するようにすれば、第1の分割ダクト131に嵌め込まれている第2の分割ダクト132が自重で下方に落下し、可動ダクト122が伸長して収容部30の媒体Sの最上位に位置する媒体S1に到達する。このとき、第2の分割ダクト132は、第1の分割ダクト131に対して最大限外側鍔部134が内側鍔部133に突き当たるまで下方に伸長可能であるが、収容部30の媒体Sの最上位に位置する媒体S1に突き当たった段階で停止する。
ここで、可動ダクト122が自重で最大限伸長した下端位置FC1は、図15(a)に示すように、媒体基準高さFCよりも低い位置に選定されており、収容部30に傾いて積載された封筒などの媒体Sの最上位に位置する媒体S1と接触可能な範囲で適宜選定される。
この状態において、補助吸着具120が後述する吸引機構により吸引されると、図14(b)に示すように、可動ダクト122の先端が媒体S1をエア吸着し、可動ダクト122の先端が媒体S1で塞がれるため、エア吸引力によって第2の分割ダクト132が第1の分割ダクト131内に引き込まれ、可動ダクト122が伸長状態から短縮状態に至る。
【0041】
<補助吸着具の他の構成例>
本例では、補助吸着具120は、伸縮可能な複数段の分割ダクト131,132からなる可動ダクト122有しているが、これに限られるものではなく、例えば図14(c)に示すように、例えば樹脂製のダクト本体141の途中に弾性変形可能な蛇腹部142を形成し、この蛇腹部142の弾性変形を利用し、ダクト本体141が自重で伸長するように構成してもよい。
【0042】
<補助吸着具の吸引機構>
本例において、補助吸着具120は、可動ダクト122の上端部が吸引機構に接続されている。ここで、吸引機構としては、補助吸着具120に専用のものを使用しても差し支えないが、本例では、図15(a)に示すように、バキュームヘッド50の吸引機構53が共用されている。
本例では、補助吸着具120の吸引機構53は、吸引用のブロワ54とバキュームヘッド50との接続ダクト55の途中から分岐接続ダクト150を分岐させ、この分岐接続ダクト150と補助吸着具120の可動ダクト122の上端部とを接続し、更に、分岐接続ダクト150の途中には流路を開放遮断する開閉バルブ151を介在させ、開閉バルブ151をバルブモータ152にて開閉するようにしたものが採用されている。
【0043】
<補助吸着具及びバキュームヘッドのエア吸引動作>
本例において、補助吸着具120は、図15(b)に示すように、バキュームヘッド50よりも早いタイミングt0で開閉バルブ151を開放してエア吸引動作を開始する。その後、バキュームヘッド50は、t0から所定時間経過したタイミングt1で開閉バルブ56を開放してエア休診動作を開始しも、しかる後、補助吸着具120は、t1から所定時間経過したタイミングt2で開閉バルブ151を遮断してエア吸引動作を終了する。
【0044】
-制御系-
本例においては、図4に示すように、媒体供給装置11を制御する制御装置200が設けられている。この制御装置200は、各種プロセッサを含むマイクロコンピュータにて構成されている。ここでいう「プロセッサ」とは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
この制御装置200は、プロセッサに、ジョブ指定等に伴う各種情報や、各種センサ(例えば位置センサ45、高さセンサ99等)からの信号を取り込み、図示外のメモリに予めインストールした各種プログラムを実行し、各制御対象に所定の制御信号を送出するようにしたものである。
本例では、制御対象としては、送出ロール40、バキュームヘッド50(吸引機構53、進退機構61)、浮揚機構70、エア捌き機構80及び昇降機構90、補助吸着具120等が挙げられ、また、制御装置200には、媒体の供給ジョブの進行状態や、媒体の供給状態の異常警告などを表示する表示器210が設けられている。
【0045】
-媒体の供給動作過程-
先ず、本実施の形態に係る媒体供給装置の基本的な媒体の供給動作過程を図16に基づいて説明する。
先ず、図16(a)に示すように、媒体束の側面から浮揚機構70による浮揚用のエアが吹き出され、媒体束の上部の数枚をバキュームヘッド50でエア吸着可能な位置まで浮揚させる。
この状態において、図16(b)に示すように、補助吸着具120によりバキュームヘッド50の吸引機構53の開閉バルブ56を開放し、バキュームヘッド50に負圧を形成させ、これにより、バキュームヘッド50に浮揚した最上位に位置する媒体S1をエア吸着する。このとき、バキュームヘッド50は周囲のスカート部51aとヘッド本体51のバキューム孔52面との間に凹所を有することから、媒体S1がその凹所に沿って変形すると共に、負圧領域を密閉するためのスカート部51aも媒体S1と一緒に持ち上げられる。
特に、本例では、補助吸着具120による媒体のエア吸着により、バキュームヘッド50による媒体S1のエア吸着を補助する作用を奏するが、これについての詳細は後述する。
【0046】
この後、図16(c)に示すように、エア捌き機構80の開閉バルブ85を開放し、バキュームヘッド50の搬送方向側のエア案内板82にエアを宛てて、バキュームヘッド50にエア吸着された最上位の媒体S1とその下に位置する2枚目以降の媒体Sとの間に捌き用のエアを挿入し、最上位の媒体Sに付いてきた2枚目以降の媒体Sをエアで下方側に叩き落とす。
しかる後、図16(d)に示すように、最上位の媒体S1を保持したバキュームヘッド50は送出ロール40側に前進し、送出ロール40に媒体S1を受け渡した後、バキュームヘッド50の開閉バルブ56及びエア捌き機構80の開閉バルブ85を閉じる。
その後、図16(e)に示すように、バキュームヘッド50を元の初期位置に戻し、次の媒体の供給動作に備える。
【0047】
<各デバイスのタイミングチャート>
このような媒体の供給動作過程における各デバイスのタイミングチャートを図17に示す。
同図において、「バキュームヘッド用ブロワ」は吸引機構53の「ブロワ54」(図10参照)に相当し、また、「エア捌き用ブロワ」はエア捌き機構80の「ブロワ84」(図13)に相当し、更に、「浮揚用ブロワ」は浮揚機構70の「ブロワ73」(図11参照)に相当する。
また、「バキュームバルブ用モータ」はバルブモータ57に相当し、「エア捌き用バルブモータ」はバルブモータ86に相当し、「バキュームヘッド用モータ」は進退機構61のステッピングモータ62に相当する。
本例において、媒体の供給ジョブ中は、「バキュームヘッド用ブロワ」、「エア捌き用ブロワ」、「浮揚用ブロワ」は媒体の供給ジョブ中常時ONであり、「バキュームバルブ用モータ」、「エア捌き用バルブモータ」、「バキュームヘッド用モータ」は各枚葉の媒体毎にオンオフ制御を繰り返し、バキュームヘッド50の吸引動作、進退動作及びエア捌き機構80による捌き用エアの供給、停止が繰り返される。
【0048】
-補助吸着具の作用-
本例において、補助吸着具120は、構成上以下の3つの特徴点を有している。
第1の特徴点は、補助吸着具120がバキュームヘッド50の媒体の搬送方向とは反対側に近接して配置されていることである。
第2の特徴点は、補助吸着具120がバキュームヘッド50よりも先に媒体Sをエア吸着することである。
第3の特徴点は、補助吸着具120が媒体基準高さFCよりも低い位置にて媒体Sをエア吸着することである。
【0049】
このため、本実施の形態では、補助吸着具120は以下のような作用を奏する。
本例では、補助吸着具120は、エア吸引動作開始前には、図15(a)に示すように、可動ダクト122が自重で下方に伸長した状態になっている。
特に、本例では、補助吸着具120の可動ダクト122の下端位置は、図19(a)に示すように、媒体基準高さFCよりも低い位置FC1になるように選定されている。このため、仮に、収容部30に収容されている媒体Sが非均一厚の封筒等の媒体であって、収容部30に対して媒体Sの搬送方向側が低い傾きをもって配置されていたとしても、補助吸着具120の下端開口部は、媒体S群の最上位に位置する媒体S1の表面に接触又は接近して配置されている。
この状態において、浮揚機構70により媒体Sの上部の数枚が浮揚すると、補助吸着具120の下端開口部は浮揚する最上位の媒体S1に接触した状態になる。
【0050】
このとき、本例では、図18(a)に示すように、補助吸着具120がバキュームヘッド50よりも先にエア吸引動作を開始するため、補助吸着具120は、下端開口部に媒体S1をエア吸着し、かつ、可動ダクト122の第2の分割ダクト132を短縮しながら、媒体S1をエア吸着した状態で上方位置へと搬送する。
この状態において、補助吸着具120によって吸着保持された媒体S1は、図19(b)に示すように、媒体基準高さFCよりも上方に持ち上げられており、バキュームヘッド50の吸着面に接近した状態に至る。
この後、図18(b)に示すように、バキュームヘッド50がエア吸引動作を開始すると、媒体S1はバキュームヘッド50にエア吸着され、図18(b)に示すように、媒体S1のエア吸着動作が補助吸着具120からバキュームヘッド50へと移行する。
この間、図15(b)に示すように、補助吸着具120とバキュームヘッド50とは同時にエア吸引動作を所定時間継続するため、媒体Sのエア吸着動作は安定的にバキュームヘッド50側に移行する。
この後、補助吸着具120のエア吸引動作が終了すると、バキュームヘッド50は媒体Sをエア吸着した状態で、送出ロール40側へ移動し、媒体S1を送出ロール40へと受け渡す。この間、補助吸着具120による媒体S1のエア吸着動作は解消することになるため、バキュームヘッド50による媒体Sの搬送動作に対して補助吸着具120が邪魔になる懸念はない。
【0051】
また、本例では、補助吸着具120は、図19(c)に示すように、ヘッドフレーム60の幅方向略中央に設置され、媒体基準位置FCよりも低い位置FC1まで伸長した状態で配置されている。このため、収容部30に収容されている媒体Sが媒体Sの搬送方向に交差する幅方向前後(Front,Rear)に沿って凹状に変形したり、あるいは、媒体S’に示すように、傾きをもって収容されたとしても、本例の補助吸着具120であれば、最上位に位置する媒体S1,S1’を確実にエア吸着することが可能である。
【0052】
◎比較の形態1
本実施の形態に係る媒体供給装置11の性能を評価する上で、比較の形態1に係る媒体供給装置について説明する。
比較の形態1に係る媒体供給装置11’は、図20(a)に示すように、積層状態で媒体Sを収容する収容部300と、媒体Sを一枚ずつ送り出す送出ロール301と、収容部300の上方のうち送出ロール301寄りに設けられ、媒体Sの搬送方向の前端側を吸着して搬送するバキュームベルト302と、収容部300の上方のうち送出ロール301とは反対側の後端部に設けられ、媒体Sの搬送方向の後端側を吸着する後端吸着部303と、収容部300の側方から媒体Sにエアを当てて媒体Sの上部を浮揚させるエア送風部(図示せず)と、を備えている。
特に、本例において、後端吸着部303は、収容部300に収容された媒体Sの再上面に対して垂直な上下方向に移動可能な可動部と、最上部の媒体S1を可動部に吸着させるための吸着力を発生させるブロワとを備え、可動部は、媒体Sを吸着していない場合に、下方に移動して最上部の媒体S1に接触し、当該媒体S1を吸着した場合に上方に移動して当該媒体S1の後端を他の媒体Sから離間させるように構成されている。
更に、後端吸着部303は、収容部300に収容された媒体Sの後端位置を規制する後端規制部材の上部に固定されており、媒体Sの後端位置に対応して配置されている。
尚、図20(a)中、Pは後端吸着部303の下端移動位置を示し、収容部300内で最上部に位置する予め決められた媒体Sの位置に相当する。
そして、本例では、バキュームベルト302及び後端吸着部303は、図20(c)に示すように、同時にエア吸着動作を開始するようになっている。
【0053】
本例では、バキュームベルト302は、図20(b)に示すように、図示外のエア送風部から吹き出されたエアで浮揚した媒体Sのうち最上部の媒体S1の前端部をエア吸着し、また、後端吸着部303は、所定の下端移動位置Pまで降下して最上部の媒体S1の後端部をエア吸着し、その後、上方位置に移動する。この状態において、バキュームベルト302及び後端吸着部303は最上部の媒体S1を吸着保持することになり、その後、バキュームベルト302が吸着保持した媒体S1を送出ロール301側へと搬送する。
このとき、媒体S1が送出ロール301側へ搬送されると、後端吸着部303による媒体S1の吸着面から媒体S1が外れることから、後端吸着部303は下方に移動して次の最上部の媒体Sに接触する。
このように、本例では、バキュームベルト302及び後端吸着部303は、媒体S1の搬送方向前端部及び後端部を吸着保持して送出ロール301側に受け渡すようになっているため、長尺紙のように、搬送方向に長い媒体Sを供給する場合、エア送風部による分離エアが媒体S1の後端まで届かないことがあるとしても、長尺な媒体S1を吸着保持して送出ロール301側へ受け渡すことが可能である。
つまり、本例では、収容部300に媒体Sが略水平姿勢を保ちながら収容されていれば、バキュームベルト302及び後端吸着部303による媒体S1の吸着保持は可能であり、媒体の供給動作は有効に行われる。しかしながら、本実施の形態のように、非均一厚の封筒等の媒体Sを収容する場合には、媒体Sが傾きをもって配置される事態が起こり、最上部の媒体S1が所定の下端移動位置Pよりも低い位置になってしまい、バキュームベルト302又は後端吸着部303のいずれかで媒体S1をエア吸着できない虞れがある。
本例は、このような媒体Sが傾きをもって配置されることを想定しておらず、これに伴う媒体の供給不良を改善することは困難である。
【0054】
また、本実施の形態では、補助吸着具120は、自重で下方に伸長する伸縮可能な可動ダクト122を備えたものであるが、実施の形態1で示す構成例(図14)に限られるものではなく、例えば変形の形態1-1又は変形の形態1-2に示すようなものを採用しても差し支えない。
◎変形の形態1-1
図21(a)は変形の形態1に係る補助吸着具120を示す。
同図において、補助吸着具120は、伸縮可能な可動ダクト122を有しており、例えば図20(b)に示すように、複数段(本例では三段)に分割された大中小の略円筒状の分割ダクト161~163を伸縮可能に且つ抜け止めされた状態で嵌め込み、自重でダクト長を伸長するようにしたものである。
そして、本例では、可動ダクト122の大径の分割ダクト161がホルダブラケット164を介してヘッドフレーム60の一部に保持されている。また、可動ダクト122の小径の分割ダクト163の下端側の周面の一部には径方向に突出する突出片165が設けられ、この突出片165はストッパ機構166によって所定位置にせき止められ、可動ダクト122が短縮した短縮初期状態を保つようになっている。尚、中径の分割ダクト162の下端外縁には径方向に突出するストッパ片162aが設けられ、可動ダクト122の短縮時における中径の分割ダクト162の短縮動作が規制されている。
【0055】
このようなストッパ機構166を設けた理由は、収容部30に収容される媒体Sのサイズが小さく、補助吸着具120に対向した箇所に媒体Sが存在しない状況では、補助吸着具120を未使用状態に保持し、補助吸着具120が邪魔にならないようにするためである。
本例において、ストッパ機構166は、軸受ホルダ167に回転可能に保持された回転軸168の下端にストッパ片169を径方向に突出させ、回転軸168には伝達ギア170を同軸に設ける共に、図示外の駆動モータ軸に連結された駆動ギア171と伝達ギア170との間に駆動伝達ベルト172を掛け渡し、回転軸168を例えば所定の角度範囲で揺動させることで、突出片165をせき止めるストップ位置と、突出片165をせき止めないストップ解除位置との間でストッパ片169を揺動させるものである。
このストッパ機構166は、補助吸着具120を未使用のときに、図21(c)に示すように、ストップ位置に突出片165をせき止めて可動ダクト122を短縮初期状態に保持し、補助吸着具120を使用するときに、突出片165との引っ掛かりを解除して可動ダクト122を自重で下方に伸長するようにしたものである。
【0056】
◎変形の形態1-2
図22(a)は変形の形態1-2に係る補助吸着具120を示す。
同図において、補助吸着具120は、実施の形態1と同様に可動ダクト122を有するものであるが、実施の形態1や変形の形態1-1と異なり、自重で伸縮可能な構成ではなく、駆動機構190によって上下動する可動ダクト180を有するものである。
本例において、可動ダクト180は、分岐接続ダクト150に接続される第1のダクト要素181に中間ダクト要素183を介して第2のダクト182要素を連結したものである。ここで、第1のダクト要素181は案内レール185に沿って上下動可能に保持されており、第1のダクト要素181と第2のダクト要素182との間には弾性バネ184が介在され、第1のダクト要素181と中間ダクト要素183とは相対移動可能に連結され、第2のダクト要素182と中間ダクト要素183とは固定的に連結されている。
【0057】
また、駆動機構190は、案内レール185に沿って延びるウォームギア191を配設し、このウォームギア191を駆動モータ192の駆動軸と同軸に固定された駆動ギア193とウォームギア191とを噛合させ、ウォームギア191の回転によって第1のダクト要素181を上下動させるようにしたものである。
本例によれば、補助吸着具120は、未使用時には、図22(a)に示すように、可動ダクト180を媒体Sから離れた上方位置に退避させ、使用時には、図22(b)に示すように、下方に移動した状態で可動ダクト180の下端開口部を最上位の媒体S1に接触させ、しかる後、エア吸引動作を開始しながら、上方位置へと移動させるようにすればよい。
また、本例では、可動ダクト180は、弾性バネ184によって第1のダクト要素181と第2のダクト要素182とが弾性変形可能な構成になっているため、仮に、図22(b)に示すように、第2のダクト要素182の先端部が媒体S1に強く接触したとしても、その行き過ぎ量は弾性バネ184によって吸収される。
【0058】
◎実施の形態2
図23(a)は実施の形態2に係る媒体供給装置の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11は、実施の形態1と略同様に、収容部30、送出ロール40、バキュームヘッド50、図示外の浮揚機構及び補助吸着具120を備え、補助吸着具120は、上下動可能に構成され、媒体基準高さFCよりも低い位置FC1にて媒体Sをエア吸着し、図23(b)に示すように、上方位置へと移動するものである。
しかしながら、本実施の形態では、補助吸着具120は、図23(c)に示すように、実施の形態1と異なり、バキュームヘッド50と同時(t0のタイミング)にエア吸引動作を開始するようになっており、その後、所定時間経過したt1のタイミングでエア吸着動作を終了する。バキュームヘッド50は、補助吸着具120がエア吸引動作を終了した後もエア急進動作を継続し、媒体S1を吸着保持した状態で送出ロール40側へ移動し、送出ロール40へと媒体S1を受け渡す。
本例では、補助吸着具120は、バキュームヘッド50と同時にエア吸引動作を開始しているが、補助吸着具120は、バキュームヘッド50よりも最上位の媒体S1に接近した状態で当該媒体S1をエア吸着した後に上方位置に媒体S1を持ち上げるため、バキュームヘッド50がエア吸引動作を開始後で、媒体S1がバキュームヘッド50の吸着面に接近した状態に至った段階で媒体S1をエア吸着する。
【0059】
◎実施の形態3
図24(a)は実施の形態3に係る媒体供給装置の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、バキュームヘッド50及び補助吸着具120を共用の吸引機構53にてエア吸引動作を行うものであるが、開閉バルブ56,151の構成が実施の形態1と異なるものになっている。
本例では、バキュームヘッド50及び補助吸着具120の開閉バルブとして、図24(a)(b)に示すように、開度調整可能なシャッタバルブ221,222を用いるようにしたものである。このシャッタバルブ221,222は、カメラのシャッタ形状に相当する構造を有するもので、流路開口223をシャッタ部材224で全閉状態、全開状態に加えて略同程度の半開状態を形成するようにしたものである。
【0060】
本例では、補助吸着具120は、図24(b)に示すように、バキュームヘッド50よりも先にシャッタバルブ222全開状態でプレ吸引し、その後、プレ吸引からバキュームヘッド50へ移行する際にシャッタバルブ222半開状態でエア吸引した後に、シャッタバルブ222全閉状態でエア吸引動作を終了する。
これに対し、バキュームヘッド50は、図24(b)に示すように、補助吸着具120によるプレ吸引時にはシャッタバルブ221全閉状態でエア吸引動作を開始せず、その後、補助吸着具120によるプレ吸引からバキュームヘッド50へ移行する際にシャッタバルブ221半開状態でエア吸引を開始し、しかる後、シャッタバルブ221全開状態でエア吸引動作を継続する。
このように、本例では、補助吸着具120によるプレ吸引からバキュームヘッド50に移行する際に、両方同程度の半開状態でエア吸引し、補助吸着具120からバキュームヘッド50へエア吸引動作を引き継いだら、プレ吸引を終了し、バキュームヘッド50のエア吸引を全開にするため、エア吸引による吸着力が低下する懸念は回避される。
【0061】
本実施の形態では、バキュームヘッド50、補助吸着具120の夫々にシャッタバルブ221,222を用いるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば変形の形態3-1~3-3に示すように、バキュームヘッド50、補助吸着具120を一つの共用バルブ230(図25図27参照)でエア吸引を制御するようにすることも可能である。
◎変形の形態3-1
図25(a)は変形の形態3-1に係る媒体供給装置の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、実施の形態3と略同様であるが、実施の形態3と異なり、接続ダクト55と分岐接続ダクト150との分岐箇所に共用バルブ230を設置したものである。
本例において、分岐接続ダクト150は、接続ダクト55に対して略T字状に分岐したT字状空間部231を確保するように分岐しており、共用バルブ230は、T字状空間部231の交差部分に楕円状のバルブ板232を揺動支点233を介して揺動可能に支持したものである。
ここで、共用バルブ230は、図25(b)に示すように、補助吸着具120によるプレ吸引時にはバルブ板232でバキュームヘッド50につながる接続ダクト55の流路を閉じ、また、バキュームヘッド50による吸引時にはバルブ板232で分岐接続ダクト150の流路を閉じる。更に、共用バルブ230は、プレ吸引からバキュームヘッド50への移行時には、バルブ板232を中立位置に配置することで、補助吸着具120及びバキュームヘッド50にて同時に吸引できるようにし、同時吸引時はトータルの吸引力を低下させないようにしたものである。
【0062】
◎変形の形態3-2
図26(a)は変形の形態3-2に係る媒体供給装置の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、変形の形態3-1と略同様に、T字状空間部231、共用バルブ230を備えているが、共用バルブ230の構成が変形の形態3-1と異なる。
本例において、共用バルブ230は、T字状空間部231の交差部分を含む水平空間部231aに球体状のバルブ球体240をスライド可能に配置するようにしたものである。
ここで、共用バルブ230は、図26(b)に示すように、補助吸着具120によるプレ吸引時にはバルブ球体240でバキュームヘッド50につながる接続ダクト55の流路を閉じ、また、バキュームヘッド50による吸引時にはバルブ球体240で分岐接続ダクト150の流路を閉じる。更に、共用バルブ230は、プレ吸引からバキュームヘッド50への移行時には、バルブ球体240を中立位置に配置することで、補助吸着具120及びバキュームヘッド50にて同時に吸引できるようにし、同時吸引時はトータルの吸引力を低下させないようにしたものである。
【0063】
◎変形の形態3-3
図27(a)は変形の形態3-3に係る媒体供給装置の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、変形の形態3-1、3-2と略同様に、T字状空間部231、共用バルブ230を備えているが、共用バルブ230の構成が変形の形態3-1、3-2と異なる。
本例において、共用バルブ230は、T字状空間部231の交差部分に球体状のバルブ本体250を回転可能に設置し、このバルブ本体250内にはT字状のエア通路251を形成したものである。
ここで、共用バルブ230は、図27(b)に示すように、補助吸着具120によるプレ吸引時には、バルブ本体250でバキュームヘッド50につながる接続ダクト55を閉じ、かつ、バルブ本体250を第1の回転位置A1に回転させ、分岐接続ダクト150とT字状空間部231の交差部分を含む鉛直空間部231bとの間にエア通路251を連通させる。また、共用バルブ230は、バキュームヘッド50による吸引時には、バルブ本体250で分岐接続ダクト150を閉じ、かつ、バルブ本体250を第2の回転位置A2に回転させ、バキュームヘッド50につながる接続ダクト55とT字状空間部231の交差部分を含む鉛直空間部231bとの間にエア通路251を連通させるようにしたものである。
更に、共用バルブ230は、プレ吸引からバキュームヘッド50への移行時には、バルブ本体250を第3の回転位置A3に回転させ、T字状空間部231が相互に連通する位置関係になるようにエア通路251を配置するようにしたものである。この場合、補助吸着具120及びバキュームヘッド50は同時に吸引でき、同時吸引時はトータルの吸引力は低下せずに保たれる。
【0064】
◎実施の形態4
図28(a)は実施の形態4に係る媒体供給装置の概要を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、実施の形態3の各変形の形態3-1~3-3と略同様に、共用バルブ230を用いてバキュームヘッド50及び補助吸着具120によるエア吸引動作を制御するものであるが、補助吸着具120のエア吸引動作が実施の形態3の各変形の形態3-1~3-3と異なっている。尚、補助吸着具120やその他の構成要素については実施の形態1と略同様である。
つまり、本例では、共用バルブ230は、接続ダクト55と分岐接続ダクト150との分岐箇所よりもバキュームヘッド50側に位置する接続ダクト55の流路と、分岐接続ダクト150の流路とを選択的に切り替えるバルブ切替体310を有している。
そして、補助吸着具120は、図28(b)に示すように、バキュームヘッド50よりも先にt0のタイミングでエア吸引動作を開始するが、その後、バキュームヘッド50がt1のタイミングでエア吸引動作を開始するときに、同時に、エア吸引動作を終了するようになっている。
【0065】
本実施の形態では、図29(a)に示すように、補助吸着具120がプレ吸引すると、補助吸着具120は自重で媒体基準高さFCよりも低い位置FC1に向かって下方位置へと伸長し、最上位に位置する媒体S1に接触する。すると、補助吸着具120は、媒体S1を吸着保持して上方位置へと持ち上げる。
この状態において、補助吸着具120に吸着保持された媒体S1はバキュームヘッド50の吸着面に近い位置に配置されている。
この後、共用バルブ230のバルブ切替体310の切替動作に伴って、図29(b)に示すように、バキュームヘッド50がエア吸引動作を開始すると、同時に、補助吸着具120のエア吸引動作が終了する。
このとき、補助吸着具120のエア吸引動作が終了すると、補助吸着具120による媒体S1のエア吸着力が作用しなくなるが、直ちにバキュームヘッド50がエア吸引動作を開始し、バキュームヘッド50による媒体S1のエア吸着力が作用する。このため、補助吸着具120により吸着保持されていた媒体S1は、補助吸着具120からバキュームヘッド50に切り替わって直ちに吸着保持される。よって、本例のように、補助吸着具120からバキュームヘッド50にエア吸引動画が選択的に切り替わったとしても、補助吸着具120は、バキュームヘッド50による媒体S1のエア吸着動作を補助するものである。
【0066】
◎実施の形態5
図30は実施の形態5に係る媒体供給装置の要部を示す説明図である。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、実施の形態1~4と略同様であるが、実施の形態1~4とは異なり、補助吸着具120がバキュームヘッド50のヘッド本体51の一部に設けられ、バキュームヘッド50と共に進退移動するようになっている。
そして、本例では、補助吸着具120の基本的構成は、例えば実施の形態1と略同様であるが、補助吸着具120のエア吸引動作が実施の形態1とは異なっている。
つまり、本例では、補助吸着具120は、図31(c)に示すように、バキュームヘッド50よりも先にt0のタイミングでエア吸引動作を開始し、その後、バキュームヘッド50がt1のタイミングでエア吸引動作を開始してもエア吸引動作を継続し、バキュームヘッド50のエア吸引動作が終了したt2のタイミングで同時に終了する。
【0067】
本実施の形態によれば、図31(c)に示すように、補助吸着具120がプレ吸引すると、補助吸着具120は、図31(a)に示すように、自重で媒体基準高さFCよりも低い位置FC1に向かって下方位置へと伸長し、最上位に位置する媒体S1に接触する。すると、補助吸着具120は、媒体S1を吸着保持して上方位置へと持ち上げる。
この状態において、補助吸着具120に吸着保持された媒体S1はバキュームヘッド50の吸着面に近い位置に配置されている。
この後、図31(c)に示すように、バキュームヘッド50がエア吸引動作を開始すると、図31(b)に示すように、補助吸着具120に吸着保持されていた媒体S1は、バキュームヘッド50によってもエア吸着される。このため、バキュームヘッド50及び補助吸着具120の両方でエア吸着された媒体S1は、バキュームヘッド50の送出ロール40側への移動に伴って送出ロール40へと受け渡される。
このとき、送出ロール40への媒体S1の受渡しが終了すると、バキュームヘッド50及び補助吸着具120によるエア吸引動作が終了し、元の初期位置に戻る。
【符号の説明】
【0068】
1…収容手段,2…送出手段,3…受渡し手段,4…浮揚手段,5…補助吸着手段,6…エア吸引手段,7…流路形成手段,8…開度調整手段,FC…媒体基準高さ,S…媒体,S1…供給対象としての媒体(最上位に位置する媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31