(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146566
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成方法及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231004BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20231004BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231004BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J2/525
B41J2/01 451
H04N1/407 780
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053797
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐香
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2C262
5C077
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EB13
2C056EB27
2C056EB45
2C056EB47
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK07
2C061HN04
2C061HN15
2C262AA02
2C262AA24
2C262AB11
2C262AC02
2C262BA02
2C262EA11
5C077LL11
5C077PP43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不明となっている画像形成媒体が画像形成装置に登録されている画像形成媒体のいずれであるかを特定する。
【解決手段】画像形成システムは、特定対象媒体上に形成された媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析部と、複数の登録色情報と計測1次色情報とを比較するとともに、複数の登録滲み情報と計測滲み情報とを比較して複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、特定対象媒体上にトーン再現カーブ設定用チャートを画像形成部に形成させる媒体特定支援部とを備える。媒体特定支援部は、登録色情報と2次色情報とを比較して少なくとも1つの候補媒体から特定対象媒体を特定するための情報を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて格納され、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとが格納されている記憶部と、
前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成部と、
前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成部に形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析部と、
前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成部に形成させる媒体特定支援部と、
を備え、
前記画像解析部は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得し、
前記媒体特定支援部は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記媒体特性取得用チャートは、孤立ドットと細線の少なくとも一方を含み、
前記登録滲み情報は、前記孤立ドットのサイズの拡大量と前記細線の幅の拡大量の少なくとも一方を含み、
前記画像解析部は、前記孤立ドットのサイズの拡大量と前記細線の幅の拡大量の少なくとも一方を前記計測滲み情報として取得する画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成システムであって、
前記媒体特性取得用チャートは、相互に隣接する複数の隣接パッチを含み、
前記登録滲み情報は、前記複数の隣接パッチの間の隙間の縮小量を含み、
前記画像解析部は、前記複数の隣接パッチの間の隙間の縮小量を前記計測滲み情報として取得する画像形成システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記媒体特性取得用チャートは、一方の面にも他方の面にも画像が形成されてないエリアである第1の紙白計測エリアと第2の紙白計測エリアとを有し、
前記画像解析部は、前記第1の紙白計測エリアと前記第2の紙白計測エリアの各色の最大彩度になる箇所の明度値を特定し、高彩度かつ高明度となる側を表面として特定し、
前記媒体特定支援部は、両面印刷モードにおいて、前記特定対象媒体の前記表面に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成部に形成させる画像形成システム。
【請求項5】
予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて記憶部に格納し、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとを前記記憶部に格納する工程と、
前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成工程と、
前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成工程で形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析工程と、
前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成工程で形成させる媒体特定支援工程と、
を備え、
前記画像解析工程は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得する工程を含み、
前記媒体特定支援工程は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する工程を含む画像形成方法。
【請求項6】
予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて格納され、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとが格納されている記憶部、
前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成部、
前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成部に形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析部、及び
前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成部に形成させる媒体特定支援部として画像形成システムを機能させる画像形成プログラムであって、
前記画像解析部は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得し、
前記媒体特定支援部は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成方法及び画像形成プログラムに関し、特に印刷画像を再現するための印刷用紙の種類を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、非常に様々な印刷媒体に画像を形成することが求められている。一方、高精度の色再現は、一般に画像形成装置の機種と印刷媒体の種類の組み合わせ毎にプロファイルを設定することによって実現されている。このため、ユーザーには、非常に多くのプロファイルの設定及び管理が負担となっている。このような問題に対し、特許文献1は、色再現特性が未知の印刷用紙を画像形成装置にセットしてカラー画像を形成する場合に、ユーザーインターフェースで受け付けたユーザー指示に応じて、登録リストに登録されている複数の印刷用紙のうち、画像形成装置にセットされた印刷用紙の色再現特性を近似可能な印刷用紙を抽出する技術を提案している。この技術では、分光反射特性から算出される特徴量に基づいて、登録リストに登録された複数の印刷用紙のうち、使用媒体との間の特徴量の差分評価値が閾値以下の印刷用紙を、使用媒体の色再現特性を近似可能な印刷用紙として抽出するとともに、色再現特性の差を媒体対応補正手段で補正するための階調補正パラメータを生成することも提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本願発明者は、印刷用紙が未知である状態は、上述のように画像形成装置において未登録である場合に限られない点に着目した。具体的には、画像形成装置の運用上の都合で、たとえば印刷用紙としての印刷用紙を画像形成装置のカセットに入れて、印刷用紙の種類を画像形成装置に登録したにも拘わらず、その後に画像形成装置のカセット外に保管したことにより、印刷用紙がどの登録情報のものかがわかならなくなることがある。一方、従来技術は、分光反射特性の近似性に着目し、分光反射特性が近似している印刷用紙用のプロファイルを補正して使用しているが、本願発明者は、分光反射特性の近似性に基づく判断では、類似性の判断はできても一致性、すなわち印刷用紙の特定までは必ずしもできないことがある点に着目した。印刷用紙は、本明細書では、画像形成媒体とも呼ばれる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、不明となっている画像形成媒体が画像形成装置に登録されている画像形成媒体のいずれであるかを特定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成システムは、予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて格納され、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとが格納されている記憶部と、前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成部と、前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成部に形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析部と、前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成部に形成させる媒体特定支援部と、を備え、前記画像解析部は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得し、前記媒体特定支援部は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する。
【0007】
本発明の画像形成方法は、予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて記憶部に格納し、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとを前記記憶部に格納する工程と、前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成工程と、前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成工程で形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析工程と、前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成工程で形成させる媒体特定支援工程と、を備え、前記画像解析工程は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得する工程を含み、前記媒体特定支援工程は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する工程を含む。
【0008】
本発明の画像形成プログラムは、予め複数の画像形成媒体が登録媒体として登録され、トーン再現カーブと、登録色情報と、登録滲み情報とが前記登録媒体に紐づけて格納され、前記トーン再現カーブを設定するためのトーン再現カーブ設定用チャートを表す画像データと、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体の特性を取得するための媒体特性取得用チャートを表す画像データとが格納されている記憶部、前記登録媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記登録媒体上に画像を形成することが可能な画像形成部、前記トーン再現カーブを適用することなく、特定対象である画像形成媒体である特定対象媒体に前記媒体特性取得用チャートを前記画像形成部に形成させ、前記特定対象媒体上に形成された前記媒体特性取得用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の計測1次色情報と計測滲み情報とを取得する画像解析部、及び前記複数の登録色情報と前記計測1次色情報とを比較するとともに、前記複数の登録滲み情報と前記計測滲み情報とを比較して前記複数の登録媒体から一致又は類似する少なくとも1つの候補媒体を抽出し、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられているトーン再現カーブを適用して、前記特定対象媒体上に前記トーン再現カーブ設定用チャートを前記画像形成部に形成させる媒体特定支援部として画像形成システムを機能させ、前記画像解析部は、前記特定対象媒体上に形成された前記トーン再現カーブ設定用チャートの測色情報を使用して、前記特定対象媒体の2次色情報を取得し、前記媒体特定支援部は、前記少なくとも1つの候補媒体に紐づけられている登録色情報と前記2次色情報とを比較して前記少なくとも1つの候補媒体から前記特定対象媒体を特定するための情報を生成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不明となっている画像形成媒体が画像形成装置に登録されている画像形成媒体のいずれであるかを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係る媒体特定支援処理の概要を示す説明図である。
【
図3】一実施形態に係る媒体特定支援処理の内容を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る計測用チャートの内容を示す説明図である。
【
図5】一実施形態に係る滲み分析処理の内容を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態に係る1次色査定処理の内容を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る判定基準値及びLab色空間内における1次色データの一例を示す説明図である。
【
図8】一実施形態に係る2次色査定処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム10の全体構成を示す概略構成図である。画像形成システム10は、画像形成装置100と、パーソナルコンピュータ200と、これらを接続するローカルエリアネットワーク(単にLANとも呼ばれる。)500とを備えている。
【0013】
画像形成装置100は、制御部110と、画像形成部120と、画像読取部130と、記憶部140と、通信インターフェース部150(通信I/Fとも呼ばれる。)とを備えている。画像形成部120は、色変換処理部121と、ハーフトーン処理部122とを備えている。画像読取部130は、ラインセンサ(図示略)を走査し、原稿から画像を読み取ってRGB画像データである画像データIDを生成し、画像形成部120に送信する。RGB画像データは、デバイス依存(画像読取部130に依存)の画像データである。
【0014】
画像読取部130は、入力プロファイルで定義された特性を有している。入力プロファイルを使用すれば、デバイス依存のRGB画像データである画像データIDをLab色空間の画像データであるLab画像データに変換することができる。これにより、画像形成装置100は、Lab色空間を経由して、たとえばsRGB画像データ等に変換してスキャン画像を表すスキャンデータとして出力することができる。
【0015】
画像形成部120は、出力プロファイルで定義された特性を有している。出力プロファイルを使用すれば、Lab画像データをCMYK色空間の画像データであるCMYK画像データに変換することができる。画像形成装置100は、入力プロファイルと出力プロファイルとを組み合わせたデバイスリンクプロファイルを有している。デバイスリンクプロファイルは、複写処理において、色変換処理の負担を軽減させて印刷速度を向上させることができる。
【0016】
色変換処理部121は、複写時にはデバイスリンクプロファイルを使用してRGB画像データを変換してCMYK画像データを生成する。CMYK画像データは、画像形成部120で利用可能なCMYKの色材で画像を再現するためのデバイス依存(画像形成部120に依存)の画像データである。画像形成部120は、ハーフトーン処理部122でCMYK画像データに対してRIP処理を実行してビットマップデータであるドットデータを生成する。ドットデータは、CMYKのインクで形成されるドットの形成状態を表すデータである。なお、色材は、CMYKに限定されず、他の複数の色材(たとえばCMYKlclmやCMYK+Orange+Green等)でもよい。
【0017】
画像形成部120は、ドットデータに基づいて印刷用紙(図示せず)に画像を形成して排出する。この例では、パーソナルコンピュータ200から受信した印刷ジョブに基づいて印刷用紙(図示せず)に画像を形成して排出するものとする。ドットデータは、印刷用紙上のドットの形成状態を表すビットマップデータである。印刷用紙は、画像形成媒体とも呼ばれる。
【0018】
パーソナルコンピュータ200は、制御部210と、操作表示部230と、記憶部240とを備えている。制御部210は、画像解析部211と、媒体特定支援部212とを有している。操作表示部230は、モニタープロファイルで定義される特性を有し、タッチパネルとして機能するディスプレイ(図示せず)や各種ボタンやスイッチ(図示せず)からユーザーの操作入力(単にユーザー入力とも呼ばれる。)を受け付ける。
【0019】
制御部110,210は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部110,210は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェースに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置100及びパーソナルコンピュータ200の全体を制御する。
【0020】
記憶部140,240は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部110等が実行する画像形成プログラムやデータを記憶する。記憶部140は、画像形成媒体データベース141と、トーン再現カーブデータベース142とを格納している。記憶部240は、操作表示部230のディスプレイ用のICCプロファイル(モニタープロファイル)を格納している。画像形成媒体データベース141には、複数の印刷用紙が登録され、各印刷用紙に紐づけされて印刷面の色情報(本実施形態では、Lab値)と、各印刷用紙に関する情報と、滲みレベルに関する情報とが格納されている。トーン再現カーブデータベース142には、CMYKの各インクのインク階調値とインク吐出量の関係が登録されている。各印刷用紙に関する情報は、各印刷用紙の制御パラメータやICCプロファイルが含まれている。
【0021】
図2は、一実施形態に係る媒体特定支援処理の概要を示す説明図である。
図2(a)は、印刷用紙の管理方法の内容を示している。画像形成装置100の色再現は、印刷媒体の種類毎にプロファイルを設定することによって実現されている。プロファイルの設定では、ユーザーは、ユーザーが望む画像を再現するために、各印刷用紙に対してICCプロファイルとしてトーン再現カーブ(TRC:Tone Reproduction Curve)を設定する。
【0022】
プロファイルの設定では、ユーザーは、最初に未登録(データ未設定)の印刷用紙群の1つ(この例では、印刷用紙A)に複数のカラーパッチを含むトーン再現カーブ設定用チャート(図示略)を印刷する。ユーザーは、次に印刷用紙A上に形成されたトーン再現カーブ設定用チャートの測色を測色器(図示略)や画像読取部130で実行する。ユーザーは、未調整のCMYKの測色データに基づいてTRCの調整を実行して印刷用紙A用のICCプロファイルを設定する。ICCプロファイルは、トーン再現カーブ設定用チャートの未調整のCMYKの測色データとともにトーン再現カーブデータベース142に格納される。
【0023】
図2(b)は、媒体特定支援処理の概要を示している。媒体特定支援処理は、大きく分けて2つの段階で実行される。第1の段階は、トーン再現カーブ(TRC)を使用することなく印刷を実行して印刷用紙の滲み量等の特性を取得し、印刷用紙の候補を絞り込む。第1の段階は、候補となっている複数の印刷用紙に設定されている複数のトーン再現カーブを使用して印刷を実行し、想定される再現色との色差を使用して印刷用紙の特定を試みる。
【0024】
図3は、一実施形態に係る媒体特定支援処理の内容を示すフローチャートである。媒体特定支援処理は、たとえば印刷用紙としての印刷用紙を画像形成装置のカセットに入れて、印刷用紙の種類を画像形成装置に登録したにも拘わらず、その後に画像形成装置のカセット外に保管したことにより、印刷用紙がどの登録情報のものかがわかならなくなることがある。このような場合に、印刷用紙の種類の特定を支援するための処理である。
【0025】
パーソナルコンピュータ200の制御部210は、媒体特定支援処理を起動するためのユーザー入力を受け付ける画面(図示略)を操作表示部230に表示することができる。操作表示部230は、たとえば媒体を指定する際の画面に選択肢の1つとして「媒体特定」のアイコン(図示略)を表示する。
【0026】
ステップS100では、画像解析部211は、未TRCチャート印刷処理を実行する。未TRCチャート印刷処理では、画像解析部211は、不明の状態の印刷用紙上にトーン再現カーブ(Tone Reproduction Curve)を使用することなく、複数のカラーパッチを含むカラーチャートを計測用チャートとして印刷用紙の両面において画像形成部120に印刷させる。計測用チャートは、媒体特性取得用チャートとも呼ばれる。不明の状態の印刷用紙は、特定対象媒体とも呼ばれる。
【0027】
図4は、一実施形態に係る計測用チャートの内容を示す説明図である。
図4(a)は、計測用チャートの印刷画像の一例を示している。印刷画像は、両面印刷において、表面印刷画像PFと、裏面印刷画像PRとを含んでいる。表面印刷画像PF及び裏面印刷画像PRは、同一の画像チャートとして構成され、画像形成位置と裏写りが発生する位置とが重ならないように構成されている。この例では、用紙サイズはA4サイズとしている。
【0028】
表面印刷画像PFは、12×13の第1の表面パッチ群FPA1と、12×13の第2の表面パッチ群FPA2と、細線パターンと孤立ドットを形成するための表面細線領域FLDとを含んでいる。裏面印刷画像PRは、12×13の第1の裏面パッチ群RPA1と、12×13の第2の裏面パッチ群RPA2と、細線パターンと孤立ドットを形成するための裏面細線領域RLDとを含んでいる。
【0029】
第1の表面パッチ群FPA1、第2の表面パッチ群FPA2、第1の裏面パッチ群RPA1及び第2の裏面パッチ群RPA2は、いずれも12×13個の同一のパッチPを含むパッチ群として形成されている。
図4(b)に示されるように、パッチ群では、高さ方向に相互に隣接する2つの隣接パッチPは高さ方向隙間dHの間隔を開けて形成され、幅方向に相互に隣接する2つの隣接パッチPは幅方向隙間dWの間隔を開けて形成されている。この例では、パッチPは7mm角の正方形であり、高さ方向隙間dH及び幅方向隙間dWは0.8mmである。
【0030】
ステップS200では、ユーザーは、計測用チャートのスキャン処理を実行する。スキャン処理では、ユーザーは、印刷された計測用チャートを画像読取部130でスキャンし、色計測を実行する。
【0031】
図4(c)は、計測用チャートの色計測状態の一例として表面スキャン画像PFsと、裏面スキャン画像PRsとを示している。表面スキャン画像PFsは、表面印刷画像PFを画像読取部130で読み取って生成されたスキャンデータが表す画像である。裏面スキャン画像PRsは、裏面印刷画像PRを画像読取部130で読み取って生成されたスキャンデータが表す画像である。
【0032】
表面スキャン画像PFsは、第1の表面パッチ群スキャン画像FPA1sと、第2の表面パッチ群スキャン画像FPA2sと、第1の裏写りスキャン画像RPA1rと、第2の裏写りスキャン画像RPA2rと、表面細線領域FLDに形成されている細線パターンと孤立ドットを表す表面細線画像FLDsとを含んでいる。第1の表面パッチ群スキャン画像FPA1sは、第1の表面パッチ群FPA1のスキャン画像である。第2の表面パッチ群スキャン画像FPA2sは、第2の表面パッチ群FPA2のスキャン画像である。第1の裏写りスキャン画像RPA1rは、第1の裏面パッチ群RPA1の裏写りのスキャン画像である。第2の裏写りスキャン画像RPA2rは、第2の裏面パッチ群RPA2の裏写りのスキャン画像である。
【0033】
裏面スキャン画像PRsは、第1の裏面パッチ群スキャン画像RPA1sと、第2の裏面パッチ群スキャン画像RPA2sと、第1の裏写りスキャン画像FPA1rと、第2の裏写りスキャン画像FPA2rと、裏面細線領域RLDに形成されている細線パターンと孤立ドットを表す裏面細線画像RLDsとを含んでいる。第1の裏面パッチ群スキャン画像FPA1sは、第1の裏面パッチ群RPA1のスキャン画像である。第2の裏面パッチ群スキャン画像RPA2sは、第2の裏面パッチ群RPA2のスキャン画像である。第1の裏写りスキャン画像FPA1rは、第1の表面パッチ群FPA1の裏写りのスキャン画像である。第2の裏写りスキャン画像FPA2rは、第2の表面パッチ群FPA2の裏写りのスキャン画像である。
【0034】
表面スキャン画像PFsは、第1の表面パッチ群スキャン画像FPA1sと第1の裏写りスキャン画像RPA1rとの間と、第2の裏写りスキャン画像RPA2rと第2の表面パッチ群スキャン画像FPA2sとの間に紙白計測エリアFW1を有している。裏面スキャン画像PRsは、第1の裏面パッチ群スキャン画像RPA1sと第1の裏写りスキャン画像FPA1rとの間と、第2の裏写りスキャン画像FPA2rと第2の表面パッチ群スキャン画像FPA2sとの間に紙白計測エリアRW1を有している。紙白計測エリアRW1は、両面(一方の面及び他方の面)のいずれにも画像が形成されてないエリアである。
【0035】
なお、画像読取部130は、走査速度を遅くして低速度スキャンで裏写りのスキャン画像の濃度を高める走査モードを有するようにしてもよい。
【0036】
ステップS300では、制御部210の画像解析部211は、スキャン画像の取得に応じて裏写りレベル確認処理を実行する。裏写りレベル確認処理では、画像解析部211は、表面スキャン画像PFsにおいて紙白計測エリアFW1のRGB画像データを基準にして第1の裏写りスキャン画像RPA1r及び第2の裏写りスキャン画像FPA1rの各パッチのRGB階調値を取得してRGB画像データを生成し、裏面スキャン画像PRsにおいて紙白計測エリアRW1のRGB画像データを基準にして第1の裏写りスキャン画像FPA1r及び第2の裏写りスキャン画像FPA2rの各パッチのRGB階調値を取得してRGB画像データを生成する。
【0037】
ステップS400では、画像解析部211は、色変換処理を実行する。色変換処理では、デバイス依存(画像読取部130に依存)のRGB画像データをデバイス依存非依存のLab画像データに変換する。
【0038】
ステップS500では、画像解析部211は、表裏確認処理を実行する。表裏確認処理では、紙白計測エリアFW1のLab画像データと紙白計測エリアRW1のLab画像データとを比較し、各色の最大彩度になる箇所の明度値を特定し、高彩度かつ高明度となる面を裏でなく表面として特定する。この例では、紙白計測エリアFW1(第1の紙白計測エリアとも呼ばれる。)は、紙白計測エリアRW1(第2の紙白計測エリアとも呼ばれる。)よりも高彩度かつ高明度となる側の面、すなわち表面に存在するものとする。
【0039】
ステップS600では、画像解析部211は、紙白領域解析処理を実行する。紙白領域解析処理では、画像解析部211は、表面である印刷面のトーン再現カーブ設定時の測色値の情報(本実施形態では、Lab値であり、登録色情報とも呼ばれる。)を画像形成媒体データベース141から読み出して紙白計測エリアFW1の測色情報(Lab値)と比較する。
【0040】
図5は、一実施形態に係る滲み分析処理(ステップS700)の内容を示すフローチャートである。本願発明者は、印刷画像を正確に再現するという印刷用紙の典型的な特徴ではなく、敢えてインク吐出の際のインクの滲みに着目して印刷用紙の特定に活用している。
【0041】
ステップS710では、画像解析部211は、細線領域画像取得処理を実行する。細線領域画像取得処理では、画像解析部211は、表面細線領域FLDから表面細線画像FLDsの細線パターンを表す細線画像と孤立ドットを表す孤立ドット画像を取得する。
【0042】
ステップS720では、画像解析部211は、線分幅分析処理を実行する。画像解析部211は、細線画像を解析して線分幅の拡大量を取得する。ステップS730では、画像解析部211は、孤立ドットサイズ分析を実行する。孤立ドットサイズ分析では、画像解析部211は、孤立ドット画像を解析してドットサイズの拡大量を計測する。本実施例では、画像解析部211は、線分幅の拡大量及びドットサイズの拡大量を計測しているが、少なくとも一方を計測すればよい。
【0043】
ステップS740では、画像解析部211は、パッチ間隔分析を実行する。パッチ間隔分析では、画像解析部211は、高さ方向隙間dH(
図4(b)参照)及び幅方向隙間dWの縮小量で滲み量を確認する。
【0044】
ステップS750では、画像解析部211は、滲みレベル分析を実行する。滲みレベル分析では、画像解析部211は、線分幅の拡大量(ステップS720)と、ドットサイズの拡大量(ステップS730)と、高さ方向隙間dH(
図2(b)参照)及び幅方向隙間dWの縮小量(ステップS740)とに基づいて滲み量を分析し、滲みレベルに関する情報(計測滲み情報とも呼ばれる。)を生成する。
【0045】
ステップS760では、媒体特定支援部212は、画像形成装置100の画像形成媒体データベース141に登録されている登録済み印刷用紙(登録媒体とも呼ばれる。)のそれぞれの滲みレベルに関する情報(登録滲み情報とも呼ばれる。)を画像形成媒体データベース141から読み出して滲みレベル分析の結果と順に比較する。
【0046】
ステップS770では、媒体特定支援部212は、特定対象の印刷用紙との類似度に基づいて登録済み印刷用紙を並び替える。このような処理(ステップS760及びステップS770)は、すべての登録済み印刷用紙について実行される(ステップS780)。
【0047】
図6は、一実施形態に係る1次色査定処理(ステップS800)の内容を示すフローチャートである。1次色査定処理は、トーン再現カーブを使用せずに印刷し、スキャン(ステップS200)された計測用チャートの表面スキャン画像PFsと、裏面スキャン画像PRsとを使用する。1次色査定処理は、1次色に着目して色再現性の観点から特定対象の印刷用紙を査定する。
【0048】
ステップS810では、媒体特定支援部212は、登録済み印刷用紙を順に着目用紙として選択する。ステップS820では、媒体特定支援部212は、登録済み印刷用紙の紙白の色(目標値)と特定対象の印刷用紙の紙白の色が不一致であるか否かを判断する。
【0049】
図7は、一実施形態に係る判定基準値及びLab色空間内における1次色データの一例を示す説明図である。
図7(a)は、判定基準値の変更可能な初期値の一例を示している。dE00(delta E00)は、色差CIEDE2000を意味し、ヒトの視覚特性に近い色差を示している。
【0050】
媒体特定支援部212は、着目用紙と不一致であるか否かを判断する。この例では、媒体特定支援部212は、不一致である場合(dE00≧3.5)には処理をステップS810に戻し、不一致でない場合、すなわち一致(dE00<3.5)又は類似(dE00<1.5)である場合には処理をステップS830に進める。
【0051】
ステップS830では、媒体特定支援部212は、1次色データ取得処理を実行する。1次色データ取得処理では、媒体特定支援部212は、トーン再現カーブを使用しないで着目用紙に印刷(ステップS100)したカラーチャートのCMYKの測色データを取得する。
【0052】
ステップS840では、媒体特定支援部212は、CMYKの各色の測色データに基づいて近似曲線を生成する。
図7(b)は、Lab色空間内における1次色データの一例を示している。W点は紙白の色値を示している。CMYKの各インクのインク吐出量が増加するにしたがってW点からCMYKの各点に色値が遷移する。
【0053】
ステップS850では、媒体特定支援部212は、最近傍点色差計算処理を実行する。最近傍点色差計算処理では、媒体特定支援部212は、スキャン(ステップS200)された計測用チャートの表面スキャン画像PFsと、裏面スキャン画像PRsの各測定値と最近傍となる各点との間の各色差dE00を計算する。
【0054】
ステップS860では、媒体特定支援部212は、1次色類似度査定処理を実行する。1次色類似度査定処理では、媒体特定支援部212は、各色差dE00の95パーセンタイル値を利用して類似度を決定する。このような処理(ステップS810乃至ステップS860)は、全ての登録済み印刷用紙に対して実行される(ステップS870)。これにより、紙白の色が不一致の登録用紙が候補から排除されるとともに、紙白の色が一致又は類似の候補が類似度に基づいて並べられる。
【0055】
図8は、一実施形態に係る2次色査定処理(ステップS900)の内容を示すフローチャートである。2次色査定処理は、候補用紙のトーン再現カーブを使用して改めて印刷し、改めてスキャン(後述)された計測用チャートの表面スキャン画像PFsと、裏面スキャン画像PRsとを使用する。2次色査定処理は、2次色以上にも着目して色再現性の観点から特定対象の印刷用紙を査定する。候補用紙は、候補媒体とも呼ばれる。
【0056】
ステップS910では、媒体特定支援部212は、紙白の色が一致又は類似の候補用紙を順に着目用紙として選択する。ステップS920では、媒体特定支援部212は、登録済み印刷用紙の紙白の1次色(目標値)と特定対象の印刷用紙の1次色の色(1次色情報とも呼ばれる。)が一致又は類似しているか否かを判断する。
【0057】
この例では、媒体特定支援部212は、不一致である場合(95パーセンタイルdE00≧3.5)には処理をステップS995に進め、不一致でない場合、すなわち一致(95パーセンタイルdE00<3.5)又は類似(95パーセンタイルdE00<1.5)である場合には処理をステップS930に進める(
図7(a))。これにより、候補用紙が抽出されて絞り込まれる。
【0058】
ステップS930では、媒体特定支援部212は、候補TRC取得処理を実行する。候補TRC取得処理では、媒体特定支援部212は、候補となっている着目用紙のトーン再現カーブ(TRC)をトーン再現カーブデータベース142から取得する。
【0059】
ステップS940では、画像解析部211は、取得した着目用紙のトーン再現カーブを適用して、たとえばプロファイルの設定で使用されるトーン再現カーブ設定用チャート(図示略)を特定対象用紙において画像形成部120に印刷させる。媒体特定支援部212は、両面印刷モードにおいて、表裏確認処理(ステップS500)で表面であると特定された面にトーン再現カーブ設定用チャートを画像形成部120に形成させる。
【0060】
ステップS950では、媒体特定支援部212は、目標色取得処理を実行する。目標色取得処理では、媒体特定支援部212は、着目用紙上にトーン再現カーブ設定用チャート(図示略)を印刷した場合の登録色情報(目標値)を画像形成媒体データベース141から読み出す。
【0061】
ステップS960では、媒体特定支援部212は、トーン再現カーブ設定用チャート(図示略)のスキャン処理を実行する。スキャン処理では、ユーザーは、印刷されたトーン再現カーブ設定用チャートを画像読取部130でスキャンし、色計測を実行する。
【0062】
ステップS970では、画像解析部211は、色変換処理を実行する。色変換処理では、デバイス依存(画像読取部130に依存)のRGB画像データをデバイス依存非依存のLab画像データに変換する。これにより、画像解析部211は、特定対象用紙に候補用紙のトーン再現カーブを適用したトーン再現カーブ設定用チャート(図示略)の測色情報(Lab値)を取得することができる。
【0063】
ステップS980では、画像解析部211は、色差検証処理を実行する。色差検証処理では、ステップS980では、媒体特定支援部212は、登録済み印刷用紙の紙白の2次色(目標値)と特定対象の印刷用紙の2次色の色(2次色情報とも呼ばれる。)が一致又は類似しているか否かを判断する。このような処理(ステップS910乃至ステップS980)は、全ての候補用紙に対して実行される(ステップS990)。
【0064】
この例では、媒体特定支援部212は、不一致である場合(95パーセンタイルdE00≧6.5)には処理をステップS910に戻し、不一致でない場合、すなわち一致(95パーセンタイルdE00<6.5)又は類似(95パーセンタイルdE00<4.5)である場合には処理をステップS995に進める(
図7(a))。
【0065】
ステップS995では、媒体特定支援部212は、着目用紙を類似度に基づいて順に並べる。これにより、媒体特定支援部212は、一致する候補用紙と類似度に基づいて並べられた候補用紙を操作表示部230に表示する。操作表示部230は、特定対象媒体を特定するための情報として、類似度に基づいて並べられた候補用紙とともに紙白の色差、1次色の色差及び2次色以上の色差と、裏写りレベルとを表示する。ステップS1000(
図2参照)では、ユーザーは、操作表示部230上の表示に基づいて適切かつ簡単に用紙の種類を特定することができる。
【0066】
このように、本実施形態に係る画像形成システム10は、たとえば印刷用紙としての印刷用紙を画像形成装置のカセットに入れて、印刷用紙の種類を画像形成装置に登録したにも拘わらず、その後に画像形成装置のカセット外に保管したことにより、印刷用紙がどの登録情報のものかがわかならなくなることがある。このような場合において、画像形成装置に登録されている印刷用紙のいずれであるかの特定を支援することができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0068】
変形例1:上記実施形態では、Lab色空間において色差を算出しているが、色差を算出するための色空間は、Lab色空間に限定されない。色差を算出するための色空間は、色差を比較するための共通の色空間である色差比較用色空間であればよい。ただし、Lab色空間は、デバイス非依存の色空間(CIE L*a*b*色空間)であり、知覚的均等性を重視して人間の視覚を近似するように設計されているので人間の視覚感度に沿った評価が可能となる利点がある。
【0069】
変形例2:上記実施形態では、パーソナルコンピュータが画像形成制御装置として構成され、画像形成装置で入力画像データに基づいて画像形成を実行させているが、画像形成装置が画像形成制御装置として機能するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成システム
100 画像形成装置
110,210 制御部
120 画像形成部
121 色変換処理部
122 ハーフトーン処理部
130 画像読取部
140,240 記憶部
141 画像形成媒体データベース
142 トーン再現カーブデータベース
150 通信インターフェース部
200 パーソナルコンピュータ
210 制御部
230 操作表示部