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▶ 三和テッキ株式会社の特許一覧

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  • 特開-吊架線保護カバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146569
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】吊架線保護カバー
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/22 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B60M1/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053805
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 武弘
(72)【発明者】
【氏名】中島 祐樹
(57)【要約】
【課題】抜け止めピンを不要にし、高所での取り付け、取り外し作業を簡易化した吊架線保護カバーを提供する。
【解決手段】吊架線を上下に挟んで、一対の分割体2を互い違いに延線方向にずらして配置し、半円筒部3同士を摺動させて互いの切欠部5に互いの嵌合部6を嵌合させるように突き合わせる。この間、スナップ部8が弾性係止片82を撓ませながら切欠部5の内側面を摺動し、これを過ぎると弾性的に拡開して係止突部7の条溝71に係合する。これで、分割体2は互いに抜け止めされ、保護カバー1の取り付けは完了する。保護カバー1を取り外すには、両端に突出した弾性係止片82を両手で同時に摘まんで、内側に撓ませながら、一対の分割体2を内方へ押し込めばよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円筒部と、当該半円筒部の一端側に設けられ一部に切欠部を有する鍔部と、他端側において半径方向に突出する嵌合部とをそれぞれ備えた一対の分割体からなり、当該一対の分割体を前記半円筒部の軸線方向に互い違いに係合させることにより、一方の前記分割体の切欠部に他方の前記分割体の嵌合部を嵌合させて糸巻状に組まれる吊架線保護カバーにおいて、
前記各分割体は、前記嵌合部の外方へ延出する支柱と、当該支柱の先端に連続する一対の矢じり型の弾性係止片とからなるスナップ部を具備し、
前記スナップ部の前記一対の弾性係止片は、他方の前記分割体と組み合わされるとき、当該他方の前記分割体の前記切欠部の対向面に摺接しつつ弾性的に内側へ撓み、組み合わせ完了時に拡開して当該他方の分割体の前記切欠部の外縁に係合することによって抜け止めされ、かつ手指操作で内側へ撓ませて離脱可能に設けられることを特徴とする吊架線保護カバー。
【請求項2】
前記各分割体は、前記切欠部の外縁に形成される一対の係止突部を具備し、
前記係止突部は、組み合わされる他方の前記分割体の前記弾性係止片の先端部を嵌合させる条溝を具備することを特徴とする請求項1に記載の吊架線保護カバー。
【請求項3】
前記係止突部の条溝は、前記弾性係止片が弾性的に拡開するときに当該弾性係止片の先端部が衝突して係合確認音を生じる内側壁を具備することを特徴とする請求項2に記載の吊架線保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電車線路における吊架線の保護カバーに関するもので、抜け止めピンを不要にし、高所での取り付け、取り外し作業を簡易化するものである。
【背景技術】
【0002】
吊架線保護カバーについては、例えば特許文献1に基本形が開示されている。半円筒部の一端に鍔を、他端に半径方向に突出する嵌合部を備えた一対の分割体から成り、鍔には互いに他方の分割体の嵌合部をはめ込み可能な切欠部が設けてあって、両分割体を互い違いに摺動係合させることにより、糸巻状とするものである。
上記公知例では、鍔と嵌合部との夫々の一部に両者を貫通するように穿たれたピン孔があり、これへ割ピンを挿入して、分割体相互の抜け止めとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-1634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保護カバーの取り付けは、高所作業である上に、夜間の作業となることが多い。梯子や作業車上の暗所で小さいピン孔へピンを挿入するのは決して容易な作業ではない。誤って割ピンを落とすことも多い。
従って、本発明は、抜け止めピンを不要にし、高所での取り付け、取り外し作業を簡易化した吊架線保護カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の吊架線保護カバー1は、半円筒部3の一端に切欠部5付きの鍔部4を、他端に半径方向に突出する嵌合部6を備えた一対の分割体2からなり、一対の分割体2を半円筒部3の軸線方向に互い違いに係合させることにより、一方の分割体2の切欠部5に他方の分割体2の嵌合部6を嵌合させて糸巻状に組まれる。各分割体2は、嵌合部6の外方へ延出する支柱81と、当該支柱81の先端に連続する一対の矢じり型の弾性係止片82とからなるスナップ部8を具備し、一対の弾性係止片82は、他方の分割体2と組み合わされるとき、当該他方の分割体2の切欠部の対向面に摺接しつつ弾性的に縮閉し、組み合わせ完了時に拡開して当該他方の分割体2の切欠部5の外縁に係合することによって抜け止めされ、かつ手指操作で縮閉させて離脱可能に設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一対の分割体2は両者のスナップ部8の係合のみよって結合されるから、抜け止めピンを省略でき、またスナップ部8の弾性係止片82を手指で摘まんで縮閉操作するだけで係合解除ができるから、高所での取り付け、取り外し作業が簡易化される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の吊架線保護カバーの分解斜視図である。
図2図1の吊架線保護カバーの斜視図である。
図3図2の吊架線保護カバーの正面図である。
図4図2の吊架線保護カバーの平面図である。
図5図4の一部拡大図である。
図6図2の吊架線保護カバーを構成する分割体の正面図である。
図7図2の吊架線保護カバーを構成する分割体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1,2によく示すように、吊架線保護カバー1は、一対の同形同大の分割体2を組み合わせてなる。分割体2は、いずれも合成樹脂製で、半円筒部3と、それの一端側に設けられ一部に切欠部5を有する鍔部4と、他端側において半径方向に突出する嵌合部6とをそれぞれ備える。吊架線Wを挟むように一対の分割体2を対向させ、半円筒部3の軸線方向に互い違いに係合させることにより、図2に示すように、一方の分割体2の切欠部5に他方の分割体2の嵌合部6を嵌合させて糸巻状に組まれ、吊架線保護カバー1が形成される。
【0009】
各分割体2は、切欠部5の対向する両縁部の外側面(鍔部の外側面)に設けられる一対の係止突部7と、嵌合部6の外側面に設けられるスナップ部8とを具備する。
【0010】
スナップ部8は、嵌合部6の外方へ延出する支柱81と、当該支柱81の先端に連続する一対の矢じり型の弾性係止片82とからなる。弾性係止片82の先端部の外側には、指掛け突起83が設けられる。一対の弾性係止片82は、他方の分割体2と組み合わされるとき、先端部外側面が当該他方の分割体2の切欠部5の対向面に摺接しつつ弾性的に縮閉し、組み合わせ完了時に鍔部4の外側へ突出して拡開し、当該他方の分割体2の係止突部7に係合することによって抜け止めされる。
【0011】
保護カバー1を吊架線Wから取り外すときには、鍔部4の外側へ突出した一対の弾性係止片82の先端側を指で摘まんで内側へ撓ませ、切欠部5内へ押し込む操作を行う。この際、作業者は保護手袋を装着していて細かい作業がしにくいが、指掛け突起83に指が掛かるので操作は比較的容易である。
【0012】
係止突部7は、組み合わされる他方の分割体2の弾性係止片82の先端部を嵌合させる条溝71を具備する。条溝71は、断面形状が、弾性係止片82の先端部の外形と相似形に形成され、弾性係止片82が拡開した状態で、それの先端部を保持する。したがって、弾性係止片82は、係止突部7に係合した状態で、予期しない外力によって容易に変形することがない。また、条溝71は、弾性係止片82が弾性的に拡開したとき、それの先端部の外側が衝突して係合確認音を生じる内側壁72を具備する。係合確認音により、一対の分割体2が確実に結合され、吊架線W上に保護カバー1が装着されたことを確認できる。
【0013】
吊架線W上に保護カバー1を取り付ける場合には、吊架線Wを上下に挟むように一対の分割体2を互い違いに延線方向にずらして配置し、半円筒部3同士を摺動させて互いの切欠部5に互いの嵌合部6を嵌合させるように突き合わせる。この過程で、弾性係止片82が撓みながら切欠部5の内側面を摺動し、その端を通過すると、脚部8a,9aが広がって係止突部7に係合する。これで一対の分割体2は互いに抜け止めされ、保護カバー1の取り付けは完了する。
【0014】
このようにして吊架線W上に装着された保護カバー1を取り外すには、両端の鍔部4から突出したスナップ部8の弾性係止片82を指で摘まんで内側へ撓ませることにより、切欠部5から離脱させつつ、一対の分割体2を延線方向にずらせばよい。
【符号の説明】
【0015】
1 吊架線保護カバー
2 分割体
3 半円筒部
4 鍔部
5 切欠部
6 嵌合部
7 係止突部
71 条溝
72 内側壁
8 スナップ部
81 支柱
82 弾性係止片
83 指掛け突起
W 吊架線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7