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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146592
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20231004BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20231004BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20231004BHJP
【FI】
H05K7/12 B
H05K5/00 A
H05K7/12 K
H05K7/12 M
H01R12/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053844
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山田 真義
(72)【発明者】
【氏名】篠田 遼一
【テーマコード(参考)】
4E353
4E360
5E223
【Fターム(参考)】
4E353AA05
4E353BB05
4E353BB13
4E353CC04
4E353CC16
4E353CC18
4E353CC33
4E353DD11
4E353DR06
4E353DR14
4E353DR15
4E353DR23
4E353DR27
4E353DR32
4E353DR36
4E353DR49
4E353EE01
4E353EE13
4E353GG31
4E353GG40
4E360AB12
4E360BA01
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA24
4E360EC05
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED07
4E360ED08
4E360ED23
4E360EE02
4E360EE12
4E360GA22
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5E223AA30
5E223AB76
5E223AC21
5E223AC50
5E223BA27
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB63
5E223CD01
5E223CD15
5E223DB01
5E223DB08
5E223DB09
5E223DB13
5E223EA18
(57)【要約】
【課題】プレスフィット端子を用いた場合に金属異物による不具合を防止できるようにした電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置は、電子部品7、8が実装されると共に電気的接続のためのプレスフィット端子6が挿通されるための穴状電極10が設けられた回路基板4を備える。オスコネクタハウジングがプレスフィット端子6と独立して配設されている。また回路基板4の穴状電極10を少なくとも部分的に覆っているはんだ14を備える。はんだ14が、回路基板4の穴状電極10を少なくとも部分的に覆っているため、金属異物15をトラップできるようになる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装されると共に、電気的接続のためのプレスフィット端子(6、56)が挿通されるための穴状電極(10、60)が設けられた回路基板(4、54)と、
前記回路基板を固定する筐体部品(2、3、52、53)と、
前記プレスフィット端子とは独立して配設されたオスコネクタハウジング(9、59)と、を備え、
前記回路基板の穴状電極を少なくとも部分的に覆っているはんだ(14、64)を備える電子装置。
【請求項2】
前記はんだは、前記回路基板の穴状電極の内部にも印刷されている請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記筐体部品と前記オスコネクタハウジングが一体成型されている請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項4】
前記筐体部品と前記オスコネクタハウジングが別体で構成されており、
前記筐体部品と前記オスコネクタハウジングが固定されている請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項5】
前記筐体部品と前記オスコネクタハウジングが別体で構成されており、
前記オスコネクタハウジングが、前記回路基板に固定されている請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項6】
前記はんだは、前記穴状電極の貫通孔の周囲を部分的に覆っている請求項1から5の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記筐体部品は、樹脂又は金属である請求項1から6の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記プレスフィット端子が上面視で長方形状の場合、
前記はんだを載せる表面電極が前記プレスフィット端子の長方形の長辺に沿って長径を備えた楕円形状により構成されている請求項1から7の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記はんだを載せる表面電極は、前記穴状電極の周囲の根元部のみに構成されている請求項1から7の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項10】
前記はんだを載せる表面電極は、
前記穴状電極の周囲のうち前記プレスフィット端子と前記穴状電極とが点接触する部分に部分的に設けられている請求項1から7の何れか一項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ECUには、数多く配置可能にするコネクタ構造が必要とされており、例えばプレスフィット端子と称される端子を使用している。ECUは、Electronic Control Unitの略である。プレスフィット端子を基板に施された穴状電極へ上部から挿入するときには、当該プレスフィット端子の表面に施されためっきが削られる虞があり、この場合、金属異物が基板の上部に付着してしまうことが考えられる。また、挿入側とは反対側の基板の下部においても、基板の穴状電極内の金属めっきが削られることにより、金属異物が残留することが考えられる。
【0003】
金属異物が不測の故障を招くことは既知の事実である。金属異物による不具合を防止するため、特許文献1のように追加の部品を用意して金属異物をキャッチすることなどが考えられる。特許文献1記載のように、金属異物をキャッチする構造はこれまで提案されてきているが、それは基板の下部に発生するものへの対処に限るものであった。
【0004】
また、部品追加や樹脂モールドによる保護対策を施すことができるものの、高コスト化や実装密度の減少につながるものであった。金属異物による不具合を防止するため、プレスフィット端子ではなく通常の端子を使用する場合、リフロー時に端子を保持することができず、保持のための追加部品が必要になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-63202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、プレスフィット端子を用いた場合に金属異物による不具合を防止できるようにした電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、電子部品が実装されると共に電気的接続のためのプレスフィット端子が挿通されるための穴状電極が設けられた回路基板と、回路基板を固定する筐体部品と、を備える。オスコネクタハウジングがプレスフィット端子と独立して配設されている。また回路基板の穴状電極を少なくとも部分的に覆っているはんだを備える。はんだが、回路基板の穴状電極を少なくとも部分的に覆っているため、金属異物をトラップできるようになり、プレスフィット端子を用いた場合に金属異物による不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態におけるプレスフィット端子の組付構造の拡大図を比較例と比較して示す縦断面図
図2】上方から示す構成部品の分解斜視図
図3】下方から示す構成部品の分解斜視図
図4】組立後構造を上方から示す斜視図
図5】組立後構造の上面図
図6】製造工程の一態様を示す図のその1
図7】製造工程の一態様を示す図のその2
図8】製造工程の一態様を示す図のその3
図9】製造工程の一態様を示す図のその4
図10】製造工程の一態様を示す図のその5
図11】製造工程の一態様を示す図のその6
図12】製造工程の一態様を示す図のその7
図13】製造工程の一態様を示す図のその8
図14】第2実施形態における製造工程の一態様とプレスフィット端子の組付構造を模式的に示す縦断面図
図15】構造を上方から示す斜視図
図16】構成部品の分解斜視図
図17】組立後構造の下面図
図18】製造工程の一態様を示す図のその1
図19】製造工程の一態様を示す図のその2
図20】製造工程の一態様を示す図のその3
図21】製造工程の一態様を示す図のその4
図22】製造工程の一態様を示す図のその5
図23】製造工程の一態様を示す図のその6
図24】製造工程の一態様を示す図のその7
図25】製造工程の一態様を示す図のその8
図26】第3実施形態における構成部品の分解斜視図
図27】第4実施形態においてランドの形成領域を模式的に示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、電子装置の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して、必要に応じて説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図13を参照しながら説明する。図2及び図3に示すように、電子装置1は、筐体部品としてのケース2及びカバー3を備えると共に、これらのケース2及びカバー3の内部に回路基板4を組み付けて構成される。回路基板4には横出しコネクタ5が実装されており、また回路基板4の一部にはプレスフィット端子6が固定されている。回路基板4の第1表面4a及び第2表面4bには、その他、図2には示していないがチップ部品や半導体部品などの電子部品7、8が搭載されている。電子部品7、8は、図1図7図13参照。ケース2及びカバー3は、樹脂又は金属により構成されている。
【0011】
本実施形態において、ケース2は、オスコネクタハウジング9と一体成型された樹脂製であり、カバー3はアースを保持するため導電製材料を平板状に成型して構成される。回路基板4は、所定の材質のプリント基板やセラミック基板により構成される。回路基板4は、絶縁性の基材に、その表面又は内部に形成された配線(図示せず)が施されることで構成されている。
【0012】
図2から図4に示すように、カバー3の上に回路基板4を配設すると共に、回路基板4の上側から覆うようにケース2を配設して組み立てる。このとき、図3から図5に示すように、プレスフィット端子6が回路基板4に組付けられると共に、オスコネクタハウジング9がケース2に構成されている。このため、本実施形態では、プレスフィット端子6とオスコネクタハウジング9は独立して構成される。
【0013】
説明の便宜上、回路基板4のうち、図2中の上側の面を第1表面4aと称し、図3中の上側の面を第2表面4bと称し、図1にその断面を示している。図1に示すように、回路基板4にはその両面間に穴状電極10が設けられている。穴状電極10はスルーホールと称され、回路基板4の貫通孔の内面に導電性部材が形成されることで構成される。なお、穴状電極10の貫通孔は上方から見ると円形状に構成されている。これにより、第1表面4a及び第2表面4bの両面間に亘って電気的に接続でき、両面に電子部品7、8がそれぞれ実装されていた場合に回路接続できる。穴状電極10には圧入端子となるプレスフィット端子6が挿通されている。
【0014】
プレスフィット端子6は、その露出面に導電性の金属めっきが施されている。プレスフィット端子6は線条に構成される端子ピン11と共に、端子ピン11に連結され弾性変形するよう先端に設けられた変形部12を備える。また、プレスフィット端子6は、線条の端子ピン11の中間に位置して横方向に突出した突起部13を端子ピン11に一体に設けている。回路基板4にプレスフィット端子6を組み付けるときには、突起部13を治具により保持して端子ピン11の長手方向に沿って穴状電極10に挿通し圧入する。変形部12は、断面円環状に構成されており当該円環状の内側に円形状又は楕円形状の空洞を備える。変形部12は、その外縁及び内縁共に円形状又は楕円形状に構成されている。変形部12の形状は、本実施形態の形状に限らない。アクションピンやU型、H型、M型に構成されていても良い。
【0015】
変形部12が、穴状電極10に挿通されることで圧入されると、変形部12が穴状電極10に対し内側から反力をかけることで変形部12の内側の空洞が縦長に変形し、空洞がより縦長の断面楕円形状になる。これに伴い、変形部12は、その外縁及び内縁が共に縦長の楕円形状に変形する。
【0016】
変形部12は、穴状電極10の内側から点接触又は面接触にて外方に押圧する。これにより、変形部12は穴状電極10の内側から外方に向けて力をかけ続けることができ、変形部12を穴状電極10内に保持できる。
【0017】
変形部12は、そのリング形状となる部分の外縁高さ寸法が回路基板4の厚さより高く構成される。プレスフィット端子6の変形部12が穴状電極10に挿通され固定されると、当該変形部12の外縁は回路基板4の両面より外方に突出する。
【0018】
また図1に示すように、はんだ14は、回路基板4の穴状電極10を少なくとも部分的に覆っている。ただし、本実施形態において、はんだ14は、回路基板4の穴状電極10の貫通孔の内側には印刷されておらず、回路基板4の第1表面4aより上方、又は、第2表面4bより下方に位置して穴状電極10を覆うように形成されている。つまり、回路基板4の第1表面4aより下方、且つ、第2表面4bより上方にははんだ14が存在していない。
【0019】
プレスフィット端子6の変形部12を穴状電極10の貫通孔に挿入すると、穴状電極10の内側の導電性部材が削られることにより、図1に示すように金属異物15が発生する。金属異物15は、穴状電極10の内外、回路基板4の第1表面4a、第2表面4bに付着する。このため、回路基板4の穴状電極10を少なくとも部分的に覆うようにはんだ14を構成することで金属異物15をトラップでき、回路基板4から落下させないように構成できる。
【0020】
以下、組付工程について図6から図13を参照しながら説明する。まず、図6に示すように、穴状電極10、10bを施した回路基板4を用意し、回路基板4の第2表面4bに構成された表面電極14zにはんだ14aを印刷する。次に、図7に示すように、第2表面4bの表面電極14zにチップ部品などの電子部品8をマウントしリフローして固定する。次に、図8に示すように、回路基板4を表裏反転し第1表面4aを上側に向けて、第1表面4aに構成された表面電極14zにはんだ14aを印刷する。なお、このとき、図8の右部の穴状電極10bに示したように、当該穴状電極10bの貫通孔の内部にもはんだ14bを印刷しても良い。
【0021】
次に、図9に示すように、プレスフィット端子6を穴状電極10の貫通孔の中まで押し込み実装する。このとき、プレスフィット端子6の中間に設けられた突起部13を、図示しない治具で保持して回路基板4の側に押し付けることで穴状電極10の貫通孔の内部に変形部12を圧入できる。このとき変形部12を丁度、穴状電極10の中間位置に保持させる。プレスフィット端子6が穴状電極10の内側に沿って摺動するため、図9に示すように、プレスフィット端子6が摺動している部分から金属異物15が回路基板4の第1表面4aの上方及び第2表面4bの下方にはみ出す。
【0022】
次に、図10に示すように、第1表面4aの上にチップ部品等の電子部品7をマウントすると共に、横出しコネクタ5の端子5aを穴状電極10bの貫通孔に挿通する。穴状電極10bにははんだ14bが印刷されているが、はんだ14bは固定されていないため、穴状電極10bの貫通孔の内側に横出しコネクタ5の端子5aを挿通できる。
【0023】
その後、図11に示すように、リフローすることで回路基板4の第1表面4aに実装された電子部品7と、横出しコネクタ5の端子5bとを回路基板4にはんだ14bで固定する。このとき、金属異物15が穴状電極10の上下にはみ出したとしても、第1表面4aと第2表面4bのはんだ14が溶融、又は再溶融して金属異物15を捕捉してプレスフィット端子6の変形部12の外縁に沿って固まることで金属異物15を固定できる。なお、本実施形態では、片面リフローする形態を説明したが、両面リフローするようにしてもよい。
【0024】
次に図12に示すように、電子部品7、8及び横出しコネクタ5が組付けられた回路基板4のアセンブリをケース2に組み付ける。このとき、プレスフィット端子6の端子ピン11をケース2に予め加工された孔2aに挿通する。このとき、プレスフィット端子6の端子ピン11を、当該端子ピン11の外側に設けられたオスコネクタハウジング9により保護できる。図13参照。また図13に示すように、ケース2に組付けられた回路基板4のアセンブリにカバー3をかぶせて組み付ける。これにより、図4及び図5に示すように電子装置1を構成できる。
【0025】
<本実施形態の構成、製法の意義>
本実施形態によれば、オスコネクタハウジング9とプレスフィット端子6の複数の端子ピン11とを独立して構成できるため、端子間ピッチに影響を与えることなく低コストで構成できる。さらに、従来の製造工程から変更を加える必要がなくなる。端子ピン11が挿通される部分周辺の表面電極14zにはんだ14aを印刷し、プレスフィット端子6の挿入後に電子部品7、8と共にリフローしているため、回路基板4に直接プレスフィット端子6を自立させることができる。また、回路基板4の上下から発生する金属異物15をトラップし、回路基板4に落下させないように構成できる。
【0026】
本実施形態の構造又は製法によれば、プレスフィット端子6の端子ピン11をはんだ14などで固定する必要が無い、又は、はんだ14を用いてもその量を少なくできる。つまりリフロー用のはんだ14aの量は、通常のプレスフィット端子6の端子ピン11の固定用のはんだ14aの量より少なくて済む。したがって、はんだ14aが載る表面電極14zは、通常の端子ピン11をはんだ14で固定するための表面電極と同等程度に大きくする必要がなくなる。本実施形態の構成では、表面電極14zのサイズが回路基板4の上の端子ピン11の間隔の制約になることを抑制できる。本実施形態における穴状電極10の周辺のはんだ14は、電気的接続を目的としていないため、はんだ14が穴状電極10の貫通孔の内部に充填されていなくてもよい。また、リフロー工程にてはんだ14を使用するためローコストで前述構造を実現できる。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態について図14を参照しながら説明する。図14の上段に縦断面図を示すように、はんだ14は回路基板4の穴状電極10の貫通孔の内部に印刷されていても良い。図14の下段に一製造工程を示すように、はんだ14を第1表面4aの表面電極14zに印刷する際に穴状電極10の内部に対して同時に印刷することで穴状電極10の貫通孔の内部にはんだ14aを残留させることができる。その後、図14の上段に示すように、プレスフィット端子6の変形部12を穴状電極10の貫通孔に挿通、圧入する。これにより、図14の上段に示すように、穴状電極10の内部にはんだ14を残留させることができ、前述実施形態と同様に、金属異物15をトラップできる。これにより第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0028】
(第3実施形態)
第3実施形態について図15から図25を参照しながら説明する。なお、第1実施形態の構成要素と同一又は類似の部分には第1実施形態の対応する構成要素の符号番号に50を加算した符号を付して説明する。図15から図17には、横出し自立型のプレスフィット端子56を備えた電子装置51の構造を図示している。図16に示すように、ケース52の中には回路基板54が収納されており、回路基板54の一端には横出し自立のL字型のプレスフィット端子56が固定されている。
【0029】
本実施形態では、ケース52とプレスフィット端子56のオスコネクタハウジング59とは別体で構成されている。ケース52は、開口を備えた矩形箱状に構成されており、ケース52の矩形箱のうち開口側の側面には突起52aがケース52に一体構成されている。ケース52の内奥部にはボス52b(図24図25参照)が設けられており、ボス52bに回路基板4の他端を嵌合することで回路基板4をケース52に固定している。
【0030】
他方、図15から図17に示すように、オスコネクタハウジング59は、断面コ字型に成型された基部53cを主として、この基部53cに矩形枠状のオスコネクタハウジング59が一体成型されている。オスコネクタハウジング59の矩形枠の内側には、プレスフィット端子56の端子ピン61を挿通するための孔53a(図25参照)が整列して成型されている。
【0031】
図16に示すように、オスコネクタハウジング59には、コ字型の上下平坦部分にそれぞれ矩形状の固定孔53bが設けられている。固定孔53bはケース52の側面に設けられた突起52aに嵌合されることにより、コネクタハウジング59をケース52の開口側に固定できるように構成されている。これにより、ケース52とオスコネクタハウジング59を固定できる。このとき、L字型のプレスフィット端子56の端子ピン61の先端を、オスコネクタハウジング59の矩形枠内側の複数の個々の孔53a(図25参照)に挿通することで端子ピン61の先端をオスコネクタハウジング59の開口側に突設させることができる。
【0032】
以下、組付工程について図18から図25を参照しながら説明する。まず、図18に示すように、穴状電極60を施した回路基板54を用意し、回路基板54の第2表面54bに構成された表面電極64zにはんだ64aを印刷する。次に、図19に示すように、第2表面54bの表面電極64zにチップ部品などの電子部品58をマウントしリフローする。次に、図20に示すように、回路基板54を反転し第1表面54aを上に向けて再度表面電極64zにはんだ64aを印刷する。
【0033】
次に、図21に示すように、プレスフィット端子56の変形部62を穴状電極60の貫通孔の中まで押し込み実装する。このとき、プレスフィット端子56の中間に設けられた突出部63を、図示しない治具で保持して回路基板54の側に押し付けることで穴状電極60の内部に変形部62を圧入できる。このとき変形部62を丁度、穴状電極60の中間位置に保持させる。プレスフィット端子56が穴状電極60の内側に沿って摺動するため、図21に示すように、プレスフィット端子56が摺動している部分から金属異物65が穴状電極60の上下にはみ出すことがある。
【0034】
次に、図22に示すように、第1表面54a上にチップ部品等の電子部品57をマウントする。その後、図23に示すように、リフローすることで第1表面54aに実装された電子部品57を回路基板4にはんだ14で固定する。このとき、金属異物65が穴状電極60の上下にはみ出したとしても、第1表面54aと第2表面54bのはんだ64が溶融、再溶融して金属異物65を捕捉してプレスフィット端子56の変形部62の外縁に沿って固まることにより金属異物65を固定できる。図23に示したように、金属異物65を固定することを主目的にしているため、はんだ14が変形部62に接触していなくても良い。このように金属異物65の固定を目的にする場合は、はんだ14の量はプレスフィット端子56も固定することも目的とするよりも少量とすることができる。なお、図23でははんだ64が変形部62に接触しないように図示しているが、接触するようにしても良い。本実施形態では、片面リフローした形態を示したが、両面リフローするようにしてもよい。
【0035】
次に、図24に示すように、電子部品57、58やプレスフィット端子56が組付けられた回路基板54のアセンブリをケース52に組み付ける。このとき、回路基板54をケース52に予め加工されたボス52bに嵌合することで回路基板54を固定する。また図25に示すように、ケース52に組付けられた回路基板54のアセンブリにカバー53をかぶせて組み付ける。このとき、プレスフィット端子56の端子ピン61をオスコネクタハウジング59で囲って保護しながら孔53aに挿通できる。これにより図15から図17に示すように電子装置51を構成できる。本実施形態によっても前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0036】
(第4実施形態)
第4実施形態について図26を参照しながら説明する。本実施形態では、図26に示すように、筐体部品となるケース73とオスコネクタハウジング79が別体で構成されており、オスコネクタハウジング79が回路基板74に固定される例を示す。図26は、上側から見た分解斜視図を示しているが、上側から筐体部品となるカバー72、回路基板74、シール部材100、筐体部品となるケース73、の順に配置されており、カバー72とケース73とは、ねじ101により固定され、ケース73と回路基板74との間もねじ102により固定されるようになっている。
【0037】
回路基板74にはオスコネクタハウジング79が搭載されている。オスコネクタハウジング79は、下側に開口を備えた矩形枠状に構成されている。回路基板74に固定されたオスコネクタハウジング79の内側には線条に成型されたプレスフィット端子6が挿通されており、プレスフィット端子6の端子ピン11が下方に突出して構成されている。本実施形態では、オスコネクタハウジング79の端子ピン11がプレスフィット端子6により構成されている例を例示している。本実施形態に示したように、オスコネクタハウジング79が回路基板74に固定されている形態に適用しても良い。
【0038】
(第5実施形態)
第5実施形態について図27を参照しながら説明する。図27の第1例から第3例において、回路基板4を上面視して示すように、はんだ14は、穴状電極10の貫通孔の周囲を部分的に覆っていれば良い。図27に従来構造を比較例として示すように、プレスフィット端子6の端子ピン11を挿通する穴状電極10の周囲に表面電極14zが構成されていることが通常であり、はんだ14をこの表面電極14zに載せて金属異物15をトラップすることが考えられる。しかし、この例では表面電極14zの形成領域が広くなり、表面電極14zに搭載するはんだ量も多くなる。
【0039】
図27の第1例に示すように、金属異物15をトラップできる領域に合わせて表面電極14zを楕円形状に構成しても良い。プレスフィット端子6の端子ピン11は、上面視で長方形状に構成されている。つまり横断面形状が長方形状であるため、この長方形状の角部に相当する部分が穴状電極10に接触して金属異物15を発生させることが多い。このため、プレスフィット端子6を穴状電極10の貫通孔に挿通する際のプレスフィット端子6の長方形の長辺に沿って長径を備えた楕円形状によりはんだ14を載せる表面電極14zが構成されていると良い。すると、金属異物15の発生地点に集中して表面電極14zを構成できると共に、表面電極14zの形成領域を比較例に比較して狭くできる。
【0040】
金属異物15をトラップできれば良い場合には、図27の第2例に示すように、はんだ14を載せる表面電極14zが、穴状電極10の周囲の根元部のみに構成されていても良い。例えば、プレスフィット端子6の端子ピン11が穴状電極10に接する矩形状の接点の直脇にだけ半円環状にはんだ14を載せる表面電極14zを設けるようにしても良い。すると、表面電極14zの形成領域を比較例に比較して狭くできる。
【0041】
さらに金属異物15をトラップできれば良い場合には、図27の第3例に示すように、はんだ14を載せる表面電極14zが、穴状電極10の周囲のうちプレスフィット端子6と穴状電極10とが点接触する部分に部分的に設けられていると良い。例えば、プレスフィット端子6の端子ピン11の長方形状の接点が接する四点領域を起点として放射状にはんだ14を載せる表面電極14zを設けるようにしても良い。すると、表面電極14zの形成領域を比較例に比較して狭くできる。このような第5実施形態に係る第1例から第3例は低コストで実現できる例であり、はんだ14を載せる表面電極14zの領域を削減することで他の電子部品7、8等の実装面積を大きく確保できる。
【0042】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。電子装置1、51は、例えば車両に搭載される車両用の電子制御装置に構成できる。本開示は、前述した実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0043】
図面中、1、51は電子装置、4、54は回路基板、2、52、72はケース(筐体部品)、3、53、73はカバー(筐体部品)、14ははんだ、6、56はプレスフィット端子、9、59はオスコネクタハウジング、11、61は端子ピン、である。
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