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  • 特開-液体殺菌清浄剤組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146622
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】液体殺菌清浄剤組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20231004BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/41
A61K8/19
A61K8/34
A61Q19/10
A61Q17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053894
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】石川 順子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC561
4C083AC562
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB43
4C083BB48
4C083CC02
4C083DD27
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】液体殺菌清浄剤組成物の製造において、凝集物の発生を抑制し、著しい増粘を抑制する。
【解決手段】(A)成分:カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、(B)成分:第4級アンモニウム化合物と、(C)成分:アルカリ剤と、(E)成分:水と、を含み、かつ(F)成分:炭素数1~3の1価アルコールを含まないか又は炭素数1~3の1価アルコールを含む液体殺菌清浄剤組成物の製造方法であり、第一の水性液と第二の水性液とを混合する工程を有し、第一の水性液は、(A)成分と(E)成分の一部とを含み、かつ(F)成分の含有量が第一の水性液の総質量に対して20質量%未満であり、第二の水性液は、(B)成分と(C)成分と(E)成分とを特定の比率で含み、かつ(B)成分の含有量が第二の水性液の総質量に対して10質量%以下であることよりなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、(B)成分:第4級アンモニウム化合物と、(C)成分:アルカリ剤と、(E)成分:水と、を含み、かつ(F)成分:炭素数1~3の1価アルコールを含まないか又は炭素数1~3の1価アルコール10質量%未満を含む液体殺菌清浄剤組成物の製造方法であり、
第一の水性液と第二の水性液とを混合する工程を有し、
前記第一の水性液は、前記(A)成分と前記(E)成分の一部とを含み、かつ前記(F)成分の含有量が前記第一の水性液の総質量に対して20質量%未満であり、
前記第二の水性液は、前記(B)成分と前記(C)成分の一部又は全部と前記(E)成分の他の一部とを含み、前記(B)成分の含有量が前記第二の水性液の総質量に対して10質量%以下であり、かつ前記(B)成分1質量部に対して前記(C)成分が0.5質量部以上である、液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【請求項2】
前記(A)成分と前記(E)成分の一部とを混合し、前記第一の水性液を調製する工程を有する、請求項1に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【請求項3】
前記(B)成分と前記(C)成分の一部又は全部と前記(E)成分の他の一部とを混合し、前記第二の水性液を調製する工程を有する、請求項1又は2に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【請求項4】
前記液体殺菌清浄剤組成物は、(D)成分:界面活性剤(但し、前記(B)成分を除く)をさらに含み、
前記第二の水性液は、前記(D)成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【請求項5】
前記第一の水性液の総質量に対する前記(A)成分の含有量が0.05質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【請求項6】
前記第一の水性液に前記第二の水性液を添加して、前記第一の水性液と前記第二の水性液とを混合する、請求項1~5のいずれかに記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体殺菌清浄剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手指の消毒等には、液体殺菌清浄剤組成物が用いられる。液体殺菌清浄剤組成物には、殺菌力と、皮膚への刺激の少なさが求められる。
液体殺菌清浄剤組成物としては、エタノールを配合した組成物が知られている。しかし、エタノールを含む液体殺菌清浄剤組成物は、エタノールの臭気、皮膚への刺激、肌の乾燥等の課題がある。
こうした問題に対して、特許文献1には、特定のポリマーと、エタノール25%以上35質量%以下と、特定のポリオキシエチレン硬化油と、特定の第4級アンモニウム化合物と、水酸化カリウムと、を特定の量で含有する液体殺菌清浄剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/130748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液体殺菌清浄剤組成物には、エタノールの含有量のさらなる低減が求められている。単にエタノールの含有量を少なくすると、液体殺菌清浄剤組成物を工業的に製造する際に、凝集物を生じ、又は粘度が著しく高まる。
そこで、本発明は、凝集物の発生を抑制し、著しい増粘を抑制できる液体殺菌清浄剤組成物の製造方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、(B)成分:第4級アンモニウム化合物と、(C)成分:アルカリ剤と、(E)成分:水と、を含み、かつ(F)成分:炭素数1~3の1価アルコールを含まないか又は炭素数1~3の1価アルコール10質量%未満を含む液体殺菌清浄剤組成物の製造方法であり、
第一の水性液と第二の水性液とを混合する工程を有し、
前記第一の水性液は、前記(A)成分と前記(E)成分の一部とを含み、かつ前記(F)成分の含有量が前記第一の水性液の総質量に対して20質量%未満であり、
前記第二の水性液は、前記(B)成分と前記(C)成分の一部又は全部と前記(E)成分の他の一部とを含み、前記(B)成分の含有量が前記第二の水性液の総質量に対して10質量%以下であり、かつ前記(B)成分1質量部に対して前記(C)成分が0.5質量部以上である、液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
<2>
前記(A)成分と前記(E)成分の一部とを混合し、前記第一の水性液を調製する工程を有する、<1>に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
<3>
前記(B)成分と前記(C)成分の一部又は全部と前記(E)成分の他の一部とを混合し、前記第二の水性液を調製する工程を有する、<1>又は<2>に記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
<4>
前記液体殺菌清浄剤組成物は、(D)成分:界面活性剤(但し、前記(B)成分を除く)をさらに含み、
前記第二の水性液は、前記(D)成分を含む、<1>~<3>のいずれかに記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
<5>
前記第一の水性液の総質量に対する前記(A)成分の含有量が0.05質量%以上である、<1>~<4>のいずれかに記載の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
<6>
前記第一の水性液に前記第二の水性液を添加して、前記第一の水性液と前記第二の水性液とを混合する、<1>~<5>のいずれかに液体殺菌清浄剤組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法によれば、凝集物の発生を抑制し、著しい増粘を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の製造方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(液体殺菌清浄剤組成物)
本発明の液体殺菌清浄剤組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(E)成分とを含む、液体組成物である。本発明の液体殺菌清浄組成物は、主に手指等の処理対象に塗布することで、処理対象に付着したウイルス、細菌等を殺菌(減菌)する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーである。液体殺菌清浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、粘度を高めて、処理対象面からこぼれにくくし、皮膚のかさつきを低減する。
【0010】
カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、アクリル酸の重合体等を含む。(A)成分としては、例えば、アクリル酸、及びメタクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数:10以上30以下)の共重合体等を含む。
【0011】
(A)成分の粘度は、処理対象からこぼれにくくし、処理対象のべたつきを軽減する観点から、4,000mPa・s以上32,000mPa・s以下が好ましい。粘度が、上記上限値以上であると、液体殺菌清浄剤組成物の粘度が高まり、処理対象からこぼれにくくなる。粘度が、上記上限値以下であると、処理対象のべたつきを低減し、及び速乾性を高められる。
(A)成分の粘度は、外原規カルボキシビニルポリマーの粘度に記載されている測定方法に準拠して測定される値である。
(A)成分の粘度の測定方法について、説明する。(A)成分を105℃で3時間乾燥し、乾燥した(A)成分0.4gを採取する。採取した0.4gの(A)成分に水200mLを加え、なるべく泡の入らないように分散させる。これに、水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを7.0以上7.5以下にし、その後10時間以上静置して泡を除き、これを20℃として粘度を測定する。上記水酸化ナトリウム溶液は、水酸化ナトリウム9gを精製水に溶かして全量を50mLとしたものである。
【0012】
(A)成分の粘度は、例えば、粘度計(装置名:BM型粘度計、東京計器株式会社製)、粘度計(装置名:BL型粘度計、東京計器株式会社製)、粘度計(装置名:東機産業株式会社、BLII型(アナログ))等を用いて測定することができる。
粘度の測定は、測定対象の粘度に応じて、下記条件で測定される。
・4000mPa・s以下:No.3ローター、30rpm、60秒回転時に読み取る。
・4000mPa・s超10000mPa・s以下:No.3ローター、12rpm、60秒回転時に読み取る。
・10000mPa・s超20000mPa・s以下:No.4ローター、30rpm、60秒回転時に読み取る。
・20000mPa・s超50000mPa・s以下:No.4ローター、12rpm、60秒回転時に読み取る。
【0013】
(A)成分としては、適宜市販品を使用してもよい。
市販品のカルボキシビニルポリマーとしては、例えば、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)981、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:4,000mPa・s以上7,500mPa・s以下)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)ETD2050、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:6,000mPa・s以上14,000mPa・s以下)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)980、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:16,000mPa・s以上28,000mPa・s以下)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)Ultrez10、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:12,000mPa・s以上29,000mPa・s以下)等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0014】
市販品のアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)1382、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:14,000mPa・s以上32,000mPa・s以下)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)ETD2020、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:14,000mPa・s以上32,000mPa・s以下)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、処理対象のべたつきを軽減し、及び低温保存時の安定性を高める観点から、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)980、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:16,000mPa・s以上28,000mPa・s以下)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)1382、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:14,000mPa・s以上32,000mPa・s以下)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール(登録商標)ETD2020、日本ルーブリゾール株式会社製)の0.2質量%水溶液(中和条件:水酸化ナトリウム、pH:7.0以上7.5以下、20℃における粘度:14,000mPa・s以上32,000mPa・s以下)が好ましい。
【0015】
(A)の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して0.05質量%以上1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。(A)成分の含有量が、上記下限値以上であると手からのこぼれにくさが向上する。(A)の含有量が、上記下限値以下であると、塗布後の手肌のべたつきを軽減できる。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、第4級アンモニウム化合物である。液体殺菌清浄剤組成物は、(B)成分を含有することで、殺菌力を高められる。
(B)成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。中でも、殺菌力の観点から、(B)成分としては、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムが好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0017】
(B)の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して、0.005質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.2質量%以下がより好ましい。(B)成分の含有量が、上記下限値以上であると殺菌力をより高められる。(B)の含有量が、上記上限値以下であると、処理対象の刺激をより低減できる。
【0018】
<(C)成分>
(C)成分は、アルカリ剤である。アルカリ剤は、水に溶解してアルカリ性を呈する化合物である。液体殺菌清浄剤組成物は、(C)成分を含有することで、粘度を高め、手からのこぼれにくさを向上させる。
【0019】
(C)成分としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。中でも、(C)成分としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。
これらの(C)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0020】
(C)成分の含有量は、(B)成分の含有量、液体殺菌清浄剤組成物に求めるpHに応じて適宜決定できる。(C)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して、例えば、0.02質量%以上0.8質量%以下で好ましく、0.05質量%以上0.4質量%以下でより好ましい。
【0021】
<(D)成分>
液体殺菌清浄剤組成物は、界面活性剤((D)成分)を含有してもよい。液体殺菌清浄剤組成物は、界面活性剤を含むことで、より容易に所望の粘度となる。
(D)成分としては、ノニオン界面活性剤、両極性界面活性剤、半極性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。(D)成分としては、ノニオン界面活性剤、両極性界面活性剤、半極性界面活性剤が好ましい。(D)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0022】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は、10以上200以下が好ましく、15以上60以下がより好ましい。
ノニオン界面活性剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0023】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-20、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-30、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-40、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-50、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-60、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-80、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC-100、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ブラウノンCW-150、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:150)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ブラウノンCW-200、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:200)等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。
アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
アミドベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
スルホベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等が挙げられる。
両性界面活性剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0025】
半極性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
アルキルジメチルアミンオキシドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
半極性界面活性剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0026】
(D)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して、液体殺菌清浄剤組成物全量に対して、0.05質量%以上1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下がより好ましい。(D)成分の含有量が、上記下限値以上であると、低温保存時の安定性、及び各成分の分散性を高められる。(D)成分の含有量が、上記上限値以下であると、処理対象のべたつきを低減できる。
【0027】
<(E)成分>
(E)成分は、水である。(E)成分としては、純水、精製水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
(E)成分の含有量は、所望する液体殺菌清浄剤組成物の組成、物性等を勘案して適宜決定され、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して、例えば、50~99質量%とされる。
【0028】
<(F)成分>
(F)成分は、炭素数1~3の1価のアルコールである。液体殺菌清浄剤組成物は、(F)成分を含むことで、速乾性を高められる。
(F)成分としては、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
液体殺菌清浄剤組成物は、(F)成分を含まないか、又は少量の(F)成分を含む。
液体殺菌清浄剤組成物が(F)成分を含む場合、(F)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物の総質量に対して、10質量%未満であり、5質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。(F)成分の含有量が上記上限値以下であると、皮膚への刺激をより低減できる。
【0029】
<任意成分>
液体殺菌清浄剤組成物は、(A)~(F)以外の任意成分を含有してもよい。任意成分としては、炭素数1~3以外の1価アルコール、多価アルコール、pH調整剤(但し、(C)成分を除く)、水溶性高分子(但し、(A)成分を除く)、油分、シリコーン類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、ビタミン等の薬剤、前記(D)成分以外の殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料等が挙げられる。
【0030】
多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ジエチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量:200以上2,000以下)等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0031】
<物性>
液体殺菌清浄剤組成物の粘度は、製品形態等を勘案して適宜決定され、例えば、500mPa・s以上6,000mPa・s以下が好ましく、1,000mPa・s以上4,500mPa・s以下がより好ましい。粘度が上記下限値以上であると、使用時に処理対象上に滞留しやすい。粘度が上記上限値以下であると、使用時のべたつきを低減し、速乾性を高められる。
液体殺菌清浄剤組成物の粘度は、例えば、粘度計(装置名:BM型粘度計、東京計器株式会社製)、粘度計(装置名:BL型粘度計、東京計器株式会社製)、粘度計(装置名:東機産業株式会社、BLII型(アナログ))等を用いて測定することができる。
粘度の測定は、測定対象の粘度に応じて、下記条件で測定される。
・500mPa・s以下:No.2ローター、30rpm、60秒回転時に読み取る。
・500mPa・s超4000mPa・s以下:No.3ローター、30rpm、60秒回転時に読み取る。
・4000mPa・s超10000mPa・s以下:No.3ローター、12rpm、60秒回転時に読み取る。
・10000mPa・s超20000mPa・s以下:No.4ローター、30rpm、60秒回転時に読み取る。
・20000mPa・s超50000mPa・s以下:No.4ローター、12rpm、60秒回転時に読み取る。
【0032】
液体殺菌清浄剤組成物のpHは、例えば、6~11が好ましく、7~9がより好ましい。pHが上記範囲内であると、皮膚への刺激をより低減できる。液体殺菌清浄剤組成物のpHは、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(装置名:pHメーター D-71型、株式会社堀場製作所、電極タイプ:9615S)を用いて25℃で測定される値である。
【0033】
(製造方法)
本発明の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法は、(A)成分を含む第一の水性液と、(B)成分及び(C)成分を含む第二の水性液とを混合する工程を有する。即ち、(B)成分と(C)成分とを予め(E)成分に溶解し、これを(A)成分が分散された水分散液と混合する。
【0034】
以下、一実施形態に係る液体殺菌清浄剤組成物の製造方法を説明する。図1に示すように、本実施形態の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法は、第一の水性液を調製する第一の調製工程S10と、第二の水性液を調製する第二の調製工程S12と、第一の水性液と第二の水性液とを混合する混合工程S14と、包装工程S16とを有する。
【0035】
<第一の調製工程>
第一の調製工程S10は、第一の水性液を調製する工程である。本稿において、「水性液」は、水を媒体とする溶液(水溶液)及び分散液(水分散液)を含む概念である。
第一の調製工程S10は、(A)成分を(E)成分に分散して、第一の水性液を得る。
【0036】
第一の水性液における(A)成分の含有量は、第一の水性液の総質量に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。第一の水性液における(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、最終製品(液体殺菌清浄剤組成物)をより容易に所望の粘度に調節できる。第一の水性液における(A)成分の含有量の上限値は、特に限定されないが、第一の水性液の総質量に対して、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。第一の水性液における(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、第一の水性液の粘度を抑制し、各成分の分散性を高められる。
【0037】
第一の水性液における(E)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物における(E)成分の含有量の一部である。第一の水性液における(E)成分の含有量は、(A)成分の含有量等を勘案して適宜決定できる。
【0038】
第一の水性液は、(B)成分及び(C)成分の双方を含まない。第一の水性液が(B)成分及び(C)成分の双方を含まないことで、第一の水性液の粘度が著しく高まるのを抑制し、凝集物の発生を抑制できる。
液体殺菌清浄剤組成物が(F)成分を含む場合、第一の水性液は(F)を含有することが好ましい。第一の水性液中の(F)成分の含有量は、第一の水性液の総質量に対して20質量%未満であり、10質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。
なお、(F)成分は、第二の調製工程で配合されてよいし、混合工程で配合されてもよい。
【0039】
第一の水性液の粘度は、特に限定されず、例えば、3,000mPa・s以下が好ましく、1,500mPa・s以下がより好ましい。第一の水性液の粘度は、液体殺菌清浄剤組成物を同様にして測定できる。第一の水性液の粘度の下限値は、実質的に5mPa・s以上である。
第一の水性液の温度は、特に限定されないが、例えば、10~40℃とされる。
【0040】
第一の調製工程S10における第一の水性液の調製方法は、(E)成分を攪拌しつつ、(E)成分に(A)成分を添加し、混合する方法が挙げられる。混合方法としては、従来公知の混合装置(例えば、攪拌羽根を有する混合装置)を用いた方法が挙げられる。
【0041】
<第二の調製工程>
第二の調製工程S12は、第二の水性液を調製する工程である。
第二の調製工程S12は、(B)成分と(C)成分とを(E)成分に溶解して、第二の水性液を得る。
第二の調製工程S12において、第二の水性液は(A)成分を含まないことが好ましい。第二の水性液が(A)成分を含まないことで、第二の水性液の調製中における、粘度の高まりを抑制し、凝集物の生成を抑制できる。
【0042】
第二の水性液における(B)成分の含有量は、第二の水性液の総質量に対して、10質量%以下であり、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。(B)の含有量が上記上限値以下であると、第一の水性液と第二の水性液とを混合する際に、(B)成分をより良好に溶解できる。第二の水性液における(B)成分の含有量の下限値は、特に限定されないが、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。第二の水性液における(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、第二の水性液における(E)成分の含有量を少なくして、第一の水性液に用いる(E)成分の量を十分に高められる。
【0043】
第二の水性液における(C)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物における(C)成分の全量でもよいし、一部でもよい。
第二の水性液における(C)成分の含有量は、(B)成分1質量部に対して、0.5質量部以上(即ち、0.5倍量以上)であり、1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。第二の水性液における(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、第二の水性液の著しい粘度上昇を抑制し、凝集物の発生を防止できる。
第二の水性液における(C)成分の含有量の上限値は、特に限定されず、例えば、10質量部以下とされる。
【0044】
第二の水性液における(E)成分の含有量は、液体殺菌清浄剤組成物における(E)成分の含有量の一部である。第二の水性液における(E)成分の含有量は、第二の水性液における(A)成分の含有量等を勘案して適宜決定される。
【0045】
液体殺菌清浄剤組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分の一部又は全部を第二の調製工程で第二の水性液に配合してもよい。(D)成分を第二の水性液に配合することで、凝集物の発生をより抑制し、粘度の上昇をより低減できる。
但し、(D)成分は、後述する混合工程で配合されてもよい。なお、(D)成分がアニオン界面活性剤である場合、(D)成分を第二の水性液に配合しないことが好ましい、アニオン界面活性剤を(B)成分を共存させると、(B)成分の機能が低下する。
【0046】
第二の水性液の粘度は、特に限定されず、例えば、500mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下がより好ましい。第二の水性液の粘度は、液体殺菌清浄剤組成物を同様にして測定できる。
第二の水性液の温度は、特に限定されないが、例えば、10~40℃とされる。
【0047】
第二の調製工程S12における第二の水性液の調製方法は、(E)成分を攪拌しつつ、(E)成分に(B)成分及び(C)成分を添加し、混合する方法が挙げられる。混合方法としては、従来公知の混合装置(例えば、攪拌羽根を有する混合装置)を用いた方法が挙げられる。
【0048】
第二の水性液の総量は、特に限定されず、第一の水性液100質量部に対して、例えば、0.4質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0049】
<混合工程>
混合工程S14は、第一の水性液と第二の水性液とを混合し、液体殺菌清浄剤組成物を得る工程である。混合工程S14では、必要に応じて原料の残部を第一の水性液及び第二の水性液と共に混合してもよい。原料の残部としては、多価アルコール、色素、香料、pH調整剤、(E)成分の残部及び(F)成分等が挙げられる。
【0050】
混合工程S14において、混合順序は特に限定されないが、例えば、第一の水性液を攪拌しつつ、第一の水性液に第二の水性液を加えるのが好ましい。この混合順序の場合、多価アルコール、色素、香料、pH調整剤、(E)成分の残部及び(F)成分等は、第二の水性液と共に第一の水性液に混合してもよいし、第二の水性液を第一の水性液に加えた後に第一の水性液に混合してもよい。
【0051】
混合工程S14における混合方法は、従来公知の混合装置(例えば、攪拌羽根を有する混合装置)を用いた方法が挙げられる。
混合工程における温度は、特に限定されないが、例えば、10~40℃とされる。
【0052】
混合工程S14において、第一の水性液と第二の水性液とを混合すると、初期には粘度が高まることがある。その後、攪拌を継続し、又は(D)成分が混合されると、粘度は次第に低くなる。第一の水性液と第二の水性液とを混合した際の最高到達粘度は、15,000mPa・s以下が好ましく、10,000mPa・s以下がより好ましい。最高到達粘度が上記上限値以下であれば、攪拌装置への負担を軽減し、かつ原料をより均一に混合できる。
【0053】
<包装工程>
包装工程S16は、混合工程S14で得られた液体殺菌清浄剤組成物を容器に充填する工程である。包装工程S16は、容器に液体殺菌清浄剤組成物を充填することで、液体殺菌清浄剤組成物製品を得る。充填される容器は、液体殺菌清浄剤組成物の製品形態に応じて適宜決定され、例えば、ポンプディスペンサー容器、スプレー容器等の吐出容器、スタンディングパウチ等の袋体等が挙げられる。
【0054】
なお、本発明の液体殺菌清浄剤組成物製品は、液体殺菌清浄剤組成物が容器に充填された形態に限られない。例えば、液体殺菌清浄剤組成物製品は、液体殺菌清浄剤組成物を不織布に含浸した拭き取りシートでもよい。
【0055】
(使用方法)
液体殺菌清浄剤組成物の使用方法(殺菌方法)は、処理対象に塗布し、その後に水で洗い流すか又は水で洗い流さずに放置する。あるいは、液体殺菌清浄剤組成物の使用方法としては、液体殺菌清浄剤組成物を処理対象に塗布し、塗布した液体殺菌清浄剤組成物の全部一部を拭き取る方法が挙げられる。また、液体殺菌清浄剤組成物の使用方法としては、液体殺菌清浄剤組成物を含浸した不織布で、処理対象を拭く方法が挙げられる。
殺菌対象の処理対象は特に限定されないが、特に手指用として有用である。
【0056】
液体殺菌清浄剤組成物は、手指への使用のみならず、例えば、病院、介護施設、厨房用途及び家庭における機器又は備品に対しても好適に用いられる。
【0057】
以上、本発明の液体殺菌清浄剤組成物の製造方法によれば、第一の水性液と第二の水性液とを各々調製し、これらを混合するため、製造過程において著しい粘度の上昇を抑制し、凝集物の発生を抑制できる。
アニオン性の(A)成分とカチオン性の(B)成分とは、水中で複合体を形成し、凝集物の発生の原因となる。また、(A)成分と(C)成分を混合すると(A)成分が中和膨潤し、増粘の原因となる。
本発明においては、予めカチオン性の(B)成分と(C)成分とを特定の割合で含む第二の水性液を第一の水性液と混合することで、(A)成分と(B)成分とが、急速に複合体を形成するのを抑制して、凝集物の発生を抑制するとともに、粘度の上昇を抑制すると考えられる。
【実施例0058】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
なお、表中で「-」の表記は、配合されていないことを示す。
【0059】
(使用原料)
<(A)~(D)成分>
実施例及び比較例に用いた(A)~(D)成分を表1に示す。
「アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー」における「(C10-30)」は、炭素数10~30のアルキル基を有するポリマーの混合物であることを表す。
(D)成分の名称中の「(〇〇E.O.)」の「〇〇」は、オキシエチレン基の繰り返し数の数を表す。
【0060】
【表1】
【0061】
<(E)成分>
・水:精製水。
【0062】
(評価方法)
<凝集物抑制効果>
混合工程における凝集物の状態を目視で観察し、下記判定基準に従って評価した。
【0063】
≪判定基準≫
◎:混合工程において、凝集物が認められなかった。
〇:混合工程で凝集物が認められたが、攪拌時間が15分間以内に凝集物が消失した。
×:混合工程で凝集物が認められ、攪拌時間が15分間の時点で凝集物が認められた。
【0064】
<粘度抑制効果>
第一の水性液に(C)成分の全量が添加された時点の粘度αと、各例の液体殺菌清浄剤組成物の粘度βとを測定し、粘度βに対する粘度αの比(α/β)である粘度比を求めた。求めた粘度比を下記判定基準に従って評価した。
【0065】
≪評価基準≫
◎:粘度比が1以下である。
〇:粘度比が3未満である。
×:粘度比が3以上である。
【0066】
(実施例1~13、比較例16~18)混合順序1による調製
表2、5の組成に従い、25℃の環境下において、所定量の(E)成分に(A)成分を少量ずつ撹拌しながら加え、第一の分散液を調製した(第一の調製工程)。「所定量」は、第一の水性液中の(A)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。また、(B)成分と(C)成分とを所定量の(E)成分に溶解して、第二の水性液を調製した(第二の調製工程)。「所定量」は、第二の水性液中の(B)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。表中、(B)成分1質量部に対する(C)成分の質量部を「C/B比」と記載した(以降において同じ)。第一の水性液を攪拌しつつ、第一の水性液に第二の水性液を加えた。この時点で粘度αを測定した。次いで(D)成分を第一の水性液に加え、これらを混合して各例の液体殺菌清浄剤組成物を得た。この時点で粘度βを測定した。各例について、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果を評価し、その結果を表中に示す。
なお、(E)成分の総質量(表中の記載を省略)は、液体殺菌清浄剤組成物が100質量%となる量である(以降において同じ)。
液体殺菌清浄剤組成物の調製は、以下の条件で行った(配合順序2~4において同じ)。
・攪拌槽・・・1Lビーカー(液体殺菌清浄剤組成物の総質量1000g)。
・攪拌機・・・スリーワンモーター(HEiDON、BL1200)。
・攪拌条件・・フルゾーン翼、2段、200rpm。
【0067】
(実施例14~23)混合順序2による調製
表3の組成に従い、25℃の環境下において、所定量の(E)成分に(A)成分を少量ずつ撹拌しながら加え、第一の分散液を調製した(第一の調製工程)。「所定量」は、第一の水性液中の(A)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。また、(B)成分と(C)成分と(D)成分とを所定量の(E)成分に溶解して、第二の水性液を調製した(第二の調製工程)。「所定量」は、第二の水性液中の(B)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。第一の水性液を攪拌しつつ、第一の水性液に第二の水性液を加えた。この時点で粘度αを測定した。さらに攪拌を続け、所望の粘度の液体殺菌清浄剤組成物を得た。この時点で粘度βを測定した。各例について、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果を評価し、その結果を表中に示す。
【0068】
(比較例1~9)混合順序3による調製
表4の組成に従い、25℃の環境下において、所定量の(E)成分に(A)成分を少量ずつ撹拌しながら加え、第一の分散液を調製した(第一の調製工程)。「所定量」は、第一の水性液中の(A)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。(B)成分と(D)成分とを所定量の(D)成分に溶解して、第二の水性液とした。「所定量」は、第二の水性液中の(B)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。第一の分散液に(C)成分を溶解した。この時点で粘度αを測定した。次いで第二の水性液を第一の水性液に加え、これらを混合して各例の液体殺菌清浄剤組成物を得た。この時点で粘度βを測定した。各例について、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果を評価し、その結果を表中に示す。
【0069】
(比較例10~13)混合順序4による調製
表5の組成に従い、25℃の環境下において、所定量の(E)成分に(A)成分を少量ずつ撹拌しながら加え、第一の分散液を調製した(第一の調製工程)。「所定量」は、第一の水性液中の(A)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。(B)成分と(D)成分とを所定量の(D)成分に溶解して、第二の水性液とした。第一の水性液に第二の水性液を加えた。次いで(C)成分を加え、これらを混合した。この時点で粘度αを測定した。さらに攪拌を続け、所望の粘度の液体殺菌清浄剤組成物を得た。この時点で粘度βを測定した。各例について、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果を評価し、その結果を表中に示す。
【0070】
(比較例14~15)混合順序5による調製
表5の組成に従い、25℃の環境下において、所定量の(E)成分に(A)成分を少量ずつ撹拌しながら加え、第一の分散液を調製した(第一の調製工程)。「所定量」は、第一の水性液中の(A)成分の含有量が表に記載の含有量となる量である。第一の水性液に(C)成分を溶解した。この時点で粘度αを測定した。次いで、(B)成分と(D)成分とを加え、これらを混合し、所望の粘度の液体殺菌清浄剤組成物を得た。この時点で粘度βを測定した。各例について、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果を評価し、その結果を表中に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
表2~5に示すように、本発明を適用した実施例1~23は、凝集物抑制効果及び増粘抑制効果が「◎」又は「〇」であった。中でも、混合順序2を採用した実施例14~23は、増粘抑制効果が特に優れていた。
第二の水性液中に(C)成分を含まない混合順序3を採用した比較例1~9、混合順序5を採用した比較例14~15はいずれも増粘抑制効果が「×」であった。また、混合順序4を採用した比較例10~13はいずれも凝集物抑制効果が「×」であった。
混合順序1を採用した中でも、第二の水性液中のC/Bが0.1~0.4である比較例16~17、及び第二の水溶液中の(B)成分量が12.9%である比較例18はいずれも凝集物抑制効果が「×」であった。
図1