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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146667
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231004BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20231004BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G06K7/10 128
B41J2/325 A
G06K7/10 268
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】68
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053974
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 有二
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AF01
2C065DA36
2C065DA38
(57)【要約】
【課題】通信部が通信対象の無線タグ以外の無線タグと通信してしまう可能性を低減する。
【解決手段】プリンタは、所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送方向に搬送される搬送路と、所定通信電波を発生させるアンテナを用いてアンテナと対向する位置において通信対象の無線タグである連続体の中の1つの無線タグと無線通信する通信部と、を備え、無線タグは、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能であり、アンテナは、搬送路において通信対象の無線タグと搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ及び通信対象の無線タグと搬送方向の下流側で隣り合う無線タグの少なくとも一方に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送方向に搬送される搬送路と、
前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、
を備え、
前記無線タグは、前記所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの前記所定通信電波では起動不能であり、
前記アンテナは、前記搬送路において前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の上流側で隣り合う前記無線タグ及び前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の下流側で隣り合う前記無線タグの少なくとも一方に対して、前記特定方向に沿う方向に位置する、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記特定方向は、前記搬送路において前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の上流側で隣り合う前記無線タグと前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の下流側で隣り合う前記無線タグとを繋ぐ方向である、
プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
前記アンテナは、前記搬送路において前記通信対象の前記無線タグよりも前記搬送方向の上流側に位置する複数の前記無線タグ及び前記通信対象の前記無線タグよりも前記搬送方向の下流側に位置する複数の前記無線タグの少なくとも一方に対して、前記特定方向に沿う方向に位置する、
プリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記通信対象の前記無線タグは、前記所定通信電波で起動する、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナは、平面状に形成されており、前記通信対象の前記無線タグに対して平行に配置される、
プリンタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナは、前記連続体における前記無線タグが設けられた面とは反対側の面側に設けられる、
プリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナは、前記連続体に近接して設けられる、
プリンタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナを挟んで前記連続体とは反対側に、アンテナ部電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載のプリンタであって、
前記アンテナ部電波吸収体は、前記連続体と平行な平面部を有する、
プリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタであって、
前記アンテナ部電波吸収体は、前記平面部と、前記平面部の周囲に設けられ前記アンテナ側に突出する側壁部と、を有し、容器状に形成される、
プリンタ。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナ部電波吸収体は、前記アンテナから離間して設けられる、
プリンタ。
【請求項12】
請求項11に記載のプリンタであって、
前記アンテナ部電波吸収体は、前記アンテナにおける前記連続体とは反対側の面に取り付けられたスペーサの表面に形成することで前記アンテナから離間して設けられる、
プリンタ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグに印字を行う印字部を有する、
プリンタ。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグに印字を行う印字部と、
前記連続体を前記印字部に向けて搬送する搬送部と、
内部空間を覆う筐体と、
前記通信部を収容する第1空間及び前記第1空間とは別の第2空間を仕切る仕切部材と、
を備える、
プリンタ。
【請求項15】
請求項14に記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、前記通信部が複数の前記無線タグのうち前記アンテナと対向する1つの前記無線タグのみと通信するように前記内部空間を仕切る、
プリンタ。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のプリンタであって、
前記第2空間は、複数の前記無線タグのうち前記第1空間に収容される前記無線タグと前記第1空間に収容される前記無線タグよりも上流側の前記無線タグとを区分けする空間である、
プリンタ。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナの上流側に、上流側金属体が設けられる、
プリンタ。
【請求項18】
請求項17に記載のプリンタであって、
前記上流側金属体は、前記第1空間に設けられる、
プリンタ。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のプリンタであって、
前記上流側金属体は、前記連続体の印字面とは反対の面側に設けられる、
プリンタ。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記上流側金属体の面に沿って上流側電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項21】
請求項17から20のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記上流側金属体の幅方向の長さは、前記無線タグの幅方向の長さ以上である、
プリンタ。
【請求項22】
請求項17から21のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記上流側金属体は、前記仕切部材よりも下流側において、前記アンテナの上流側に隣接して設けられる、
プリンタ。
【請求項23】
請求項14から22のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナの下流側に、下流側金属体が設けられる、
プリンタ。
【請求項24】
請求項23に記載のプリンタであって、
前記下流側金属体の面に沿って下流側電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項25】
請求項14から24のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記筐体は、開閉カバーを有し、
前記開閉カバーには、カバー部電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項26】
請求項25に記載のプリンタであって、
前記開閉カバーの開閉方向は、前記搬送方向に直交する方向である、
プリンタ。
【請求項27】
請求項26に記載のプリンタであって、
前記カバー部電波吸収体は、前記開閉カバーの内面に設けられ、前記開閉カバーを閉じた状態で前記搬送方向に直交する面に延在する第1カバー部電波吸収体と、前記開閉カバーを閉じた状態で前記連続体の幅方向に平行に延在する第2カバー部電波吸収体と、を含む、
プリンタ。
【請求項28】
請求項26に記載のプリンタであって、
前記カバー部電波吸収体は、前記開閉カバーの側面部に設けられる側面部電波吸収体を含む、
プリンタ。
【請求項29】
請求項28に記載のプリンタであって、
前記側面部は、第1側面部と、前記開閉カバーを閉じた状態で前記第1側面部の下側に連なる第2側面部と、を有し、
前記側面部電波吸収体は、前記第2側面部の側面に沿って設けられる、
プリンタ。
【請求項30】
請求項25から29のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記筐体は、前記開閉カバーが開かれた状態で、前記内部空間の1つの側面を開放する、
プリンタ。
【請求項31】
請求項27に記載のプリンタであって、
前記第2カバー部電波吸収体は、前記仕切部材の側部に配置され、前記開閉カバーを閉じた状態で、前記仕切部材と部分的に隣接する、
プリンタ。
【請求項32】
請求項25に記載のプリンタであって、
前記筐体は、前記開閉カバーを支持する筐体本体部を有し、
前記仕切部材は、前記筐体本体部に固定される筐体側仕切部材と、前記開閉カバーに固定される開閉カバー側仕切部材と、を有し、
前記開閉カバーを閉じた状態で、前記開閉カバー側仕切部材は、前記筐体側仕切部材と部分的に隣接する、
プリンタ。
【請求項33】
請求項25に記載のプリンタであって、
前記筐体は、前記開閉カバーを支持する筐体本体部を有し、
前記仕切部材は、前記開閉カバーに固定され、前記筐体本体部には固定されない、
プリンタ。
【請求項34】
請求項25に記載のプリンタであって、
前記筐体は、前記開閉カバーを支持する筐体本体部を有し、
前記仕切部材は、前記筐体本体部に固定される筐体側仕切部材と、前記開閉カバーに固定される開閉カバー側仕切部材と、を有し、
前記開閉カバーを閉じた状態で、前記筐体側仕切部材は前記開閉カバー側仕切部材と組み合わされて前記第1空間及び前記第2空間を仕切る、
プリンタ。
【請求項35】
請求項14から16のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材と前記筐体内の所定の内面との少なくとも一方に、金属体が設けられる、
プリンタ。
【請求項36】
請求項14から16のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材と前記筐体内の所定の内面の少なくとも一方に、電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項37】
請求項14から16のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記筐体の底面に沿って底面部金属体と底面部電波吸収体との少なくとも一方が設けられる、
プリンタ。
【請求項38】
請求項14から37のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材には、前記連続体を挿通するための挿入孔が設けられる、
プリンタ。
【請求項39】
請求項14から38のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記連続体の前記アンテナよりも上流側の上流側部に接触して前記連続体の動きに追従する追従部材を備え、
前記追従部材は、前記連続体の動きに追従して前記連続体に接触する、
プリンタ。
【請求項40】
請求項39に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、印字媒体供給部にセットされた前記連続体のロールの一部を覆う、
プリンタ。
【請求項41】
請求項39に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、印字媒体供給部にセットされた前記連続体のロールの外径変化に対応して揺動する、
プリンタ。
【請求項42】
請求項14から41のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記アンテナは、前記印字部の上流側に設けられる、
プリンタ。
【請求項43】
請求項1から13のいずれか1つに記載のプリンタであって、
内部空間を覆う筐体と、
前記筐体の所定の内面と前記内部空間との少なくとも一方に設けられ、前記無線タグへの電波の影響を低減する機能部材と、
を備える、
プリンタ。
【請求項44】
請求項1から12のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグに印字を行う印字部と、
前記連続体を前記印字部に向けて搬送する搬送部と、
前記通信対象の前記無線タグよりも上流側で前記連続体に接触して当接したまま前記連続体の動きに合わせて継続的に追従する追従部材と、
を備える、
プリンタ。
【請求項45】
請求項44に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記連続体の延伸方向に沿って前記連続体の表面に接触し、複数の前記無線タグに沿って連続的に追従している、
プリンタ。
【請求項46】
請求項44又は45に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、追従部金属体又は追従部電波吸収体を有する、
プリンタ。
【請求項47】
請求項44から46のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材は、重力の作用により前記連続体に追従する、
プリンタ。
【請求項48】
請求項44から46のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材は、付勢部材に付勢されることにより前記連続体に追従する、
プリンタ。
【請求項49】
請求項44から48のいずれか1つに記載のプリンタであって、
最上流側に、前記連続体をロール状にしたロールを保持する印字媒体供給部を備え、
前記追従部材は、前記印字媒体供給部が保持する前記ロールから引き出された前記連続体の一部と、前記印字媒体供給部にセットされた前記ロールの一部と、を覆う、
プリンタ。
【請求項50】
請求項49に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記印字媒体供給部にセットされた前記ロールの外径変化又は前記ロールから引き出された前記連続体の位置変化に対応して揺動する、
プリンタ。
【請求項51】
請求項44から50のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記連続体の印字面に接触する、
プリンタ。
【請求項52】
請求項44から50のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記連続体の印字面とは反対側の面に接触する、
プリンタ。
【請求項53】
請求項51に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記印字部よりも上流側で前記連続体に接触する、
プリンタ。
【請求項54】
請求項52に記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記印字部よりも上流側で前記連続体に接触する、
プリンタ。
【請求項55】
請求項44から54のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材は、前記連続体に張力を付与する、
プリンタ。
【請求項56】
請求項44から55のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材の幅方向の長さは、前記無線タグの幅方向の長さ以上である、
プリンタ。
【請求項57】
請求項44から56のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記追従部材の揺動支点は、前記アンテナよりも上流側に設けられる、
プリンタ。
【請求項58】
請求項57に記載のプリンタであって、
前記追従部材の前記揺動支点とは反対側の他端は、前記揺動支点よりも上流側に設けられる、
プリンタ。
【請求項59】
請求項57に記載のプリンタであって、
前記追従部材の前記揺動支点とは反対側の他端は、前記揺動支点よりも下流側に設けられる、
プリンタ。
【請求項60】
請求項44から56のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記連続体に張力を付与するためのダンパ機構を備え、
前記追従部材の揺動支点は、前記ダンパ機構の上側に設けられる、
プリンタ。
【請求項61】
請求項44から48のいずれか1つに記載のプリンタであって、
最上流側に、前記連続体をロール状にしたロールを保持する印字媒体供給部を備え、
前記印字媒体供給部に、前記印字媒体供給部が保持する前記ロールから引き出された前記連続体に張力を付与するための張力付与機構が設けられる、
プリンタ。
【請求項62】
請求項44から61のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記印字部及び前記通信部を収容する第1空間と、前記第1空間とは別の第2空間と、を仕切る仕切部材を備え、
前記仕切部材は、仕切部金属体を有する、
プリンタ。
【請求項63】
請求項62に記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、仕切部電波吸収体を有する、
プリンタ。
【請求項64】
請求項62に記載のプリンタであって、
前記第1空間には、前記アンテナの上流側に配置される上流側金属体が設けられる、
プリンタ。
【請求項65】
請求項64に記載のプリンタであって、
前記上流側金属体の面に沿って上流側電波吸収体が設けられる、
プリンタ。
【請求項66】
請求項44から65のいずれか1つに記載のプリンタであって、
内部空間を覆う筐体を備え、
前記筐体の底面に沿って底面部金属体と底面部電波吸収体との少なくとも一方が設けられる、
プリンタ。
【請求項67】
請求項13、14、44のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記印字部は、プラテンローラと印字ヘッド部とを有する、
プリンタ。
【請求項68】
請求項1から67のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグは、通信方式がBluetooth(登録商標) Low Energyである、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線タグに記録する機能と印刷する機能とを有する装置として、RFID(Radio Frequency Identification)記録機能付き印刷装置が記載されている。この印刷装置は、複数のRFIDタグ付きラベルを有する連続ラベル紙を搬送する搬送部と、ラベルに画像を印刷する印刷手段と、RFIDタグと通信する通信部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-140548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の印刷装置は、通信対象のRFIDタグ(無線タグ)のみと通信できるように、通信部の通信可能範囲を調整している。しかしながら、この構成では、通信可能範囲のばらつきによっては、通信部が通信対象の無線タグ以外の無線タグと通信してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、通信部が通信対象の無線タグ以外の無線タグと通信してしまう可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送方向に搬送される搬送路と、前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、を備え、前記無線タグは、前記所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの前記所定通信電波では起動不能であり、前記アンテナは、前記搬送路において前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の上流側で隣り合う前記無線タグ及び前記通信対象の前記無線タグと前記搬送方向の下流側で隣り合う前記無線タグの少なくとも一方に対して、前記特定方向に沿う方向に位置する、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、通信部のアンテナは、通信対象の無線タグと搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ及び通信対象の無線タグと搬送方向の下流側で隣り合う無線タグの少なくとも一方に対して、特定方向に沿う方向に位置する。そのため、通信対象の無線タグと上流側で隣り合う無線タグと下流側で隣り合う無線タグとの少なくとも一方は起動不能であり、通信部と通信することはない。よって、通信部が通信対象の無線タグ以外の無線タグと通信してしまう可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2図1のプリンタの開閉カバーの一部を開いた状態を示す側面図である。
図3図1のプリンタの開閉カバー全体を開いた状態を示す側面図である。
図4】裏巻きの連続体を示す模式図である。
図5】連続体を幅方向から見た場合の無線タグの通信特性について説明するための図である。
図6図1のプリンタのアンテナ周辺を示す模式図である。
図7】アンテナ部電波吸収体について説明するための図である。
図8図1のプリンタの仕切部材の側面視の断面を示す模式図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図11】表巻きの連続体を示す模式図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るプリンタの開閉カバーを180°開いた状態を示す側面図である。
図13図12のプリンタの開閉カバーを90°開いた状態を示す側面図である。
図14図12のプリンタの斜視図である。
図15】本発明の第5実施形態に係るプリンタの開閉カバーを90°開いた状態を示す側面図である。
図16図15のプリンタの内部を示す側面図である。
図17】本発明の第6実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図18】第1変形例の追従部材を示す模式図である。
図19】第2変形例の追従部材を示す模式図である。
図20】仕切部材の変形例を示す図である。
図21】仕切部材が開閉カバーに固定された変形例を示す図である。
図22】仕切部材が開閉カバーに固定された他の変形例を示す図である。
図23】印字媒体供給部の変形例を示す斜視図である。
図24図23の印字媒体供給部にロールが未装着の状態を示す図である。
図25図23の印字媒体供給部にロールが装着された状態を示す図である。
図26】前面側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
図27】上流側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
図28】排出口上側電波吸収体を備える変形例を示す側面図である。
図29】排出口下側電波吸収体を備える変形例を示す側面図である。
図30】排出口下側電波吸収体を備える変形例においてカッタ機構が作動する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態及び各変形例について説明する。各実施形態及び各変形例では、同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、重複した説明は適宜省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
[第1実施形態]
以下、図1図8を参照して、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100を説明する。図1は、プリンタ100の斜視図である。図2は、プリンタ100の開閉カバー11の一部を開いた状態を示す側面図である。図3は、プリンタ100の開閉カバー11全体を開いた状態を示す側面図である。開閉カバー11は、開閉カバー11全体を180°開いた状態とすることが可能である。また、開閉カバー11は、第2側面部1122を180°開いた状態にすることが可能である。図4は、裏巻きの連続体Mを示す模式図である。図4では、理解を容易にするために、無線タグ6等の厚みを実際よりも厚く表現している。図5は、連続体Mを幅方向から見た場合の無線タグ6の通信特性について説明するための図である。図6は、プリンタ100のアンテナ42周辺を示す模式図である。図7は、アンテナ部電波吸収体45について説明するための図である。図8は、プリンタ100の仕切部材51の側面視の断面を示す模式図である。
【0012】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向とし、X方向に直交する水平な方向をY方向とし、両者に直交する鉛直方向をZ方向とする。X方向を左右方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。正面から見て左側を「左」と、右側を「右」と、側面から見て左側を「前」と、右側を「後」という。また、前後方向寸法を「長さ」と、左右方向寸法を「幅」ということがある。このような表記はプリンタ100の使用姿勢を制限するものではなく、プリンタ100は、任意の姿勢で使用されうる。
【0013】
図3に示すように、本実施形態のプリンタ100は、複数の無線タグ6が所定間隔で設けられた連続体M(図4参照)における無線タグ6に印字するプリンタであって、無線タグ6に印字する印字部20と、連続体Mが印字部20に向かう方向(以下、搬送方向という。)に搬送される搬送路Pと、連続体Mを搬送方向に搬送する搬送部7と、無線タグ6と無線通信する通信部40と、内部空間を覆う筐体10と、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けられ無線タグ6への電波の影響を低減する機能を有する機能部材50と、を備える。
【0014】
機能部材50は、金属体を有してもよいし、電波吸収体を有してもよい。本実施形態の機能部材50は、仕切部材51、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第2カバー部電波吸収体65、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を含む。
【0015】
通信部40は、アンテナ42を有し、印字部20の上流側に設けられる。通信部40は、アンテナ42を用いて無線タグ6と無線通信する。
【0016】
印字部20は、プラテンローラ24と印字ヘッド部22とを有し、無線タグ6に印字を行う。
【0017】
機能部材50を説明する。プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6と通信するとき、アンテナ42からの電波(所定通信電波)が、通信対象の無線タグ6以外の無線タグ6に届く場合がある。この場合、通信部40の電波が、別の無線タグ6に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6が誤動作する可能性がある。このような誤動作を防止する観点から、別の無線タグ6への電波の影響を低減できることが望ましい。そこで、本実施形態のプリンタ100は、電波の無線タグ6への影響を低減する機能を有する機能部材50を備える。機能部材50は、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けることができる。
【0018】
内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を有する。機能部材50は、第1空間14と第2空間16とを仕切る仕切部材51を含む。
【0019】
特に、内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、複数の無線タグ6のうち第1空間14に収容される無線タグ6と第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6とを区分けする第2空間16と、を有する。
【0020】
一例として、機能部材50は、第1空間14と第2空間16とを仕切る仕切部材51と、通信部40の上流側に配置される上流側金属体53と、を含んでもよい。
【0021】
上流側金属体53は、通信部40の上流側に配置されている金属板であり、通信部40に近接させることで強い電波の影響を抑える。上流側金属体53を設けることにより、通信部40よりも上流側の無線タグ6が起電(エナジャイズ)されないようにしている。上流側金属体53は、通信部40の直ぐ上流側に配置されてもよい。
【0022】
一方、印字媒体供給部30から繰り出された無線タグ6は電波を受けやすいので、電波の影響を受けないように仕切部材51がある。
【0023】
プリンタ100の全体構成を説明する。図1に示すように、プリンタ100は、正面から見て右側の印字ユニット1と、左側の制御ユニット2と、を有する。
【0024】
印字ユニット1は、制御ユニット2の制御に基づいて、タグ印字機能と、タグ通信機能と、を実現する。タグ印字機能は、例えば、連続体Mに仮着された無線タグ6の上紙6B(図4参照)に、文字、記号、図形、又はバーコード等のような情報を印字する機能である。タグ通信機能は、無線タグ6と通信する機能である。
【0025】
筐体10は、印字ユニット1の外殻として機能する。筐体10は、開閉可能な開閉カバー11と、開閉カバー11を開閉可能に支持する筐体本体部12と、を含む。
【0026】
筐体本体部12は、前面部121と、底面部123と、内側側面部124と、背面部125と、を含む。
【0027】
底面部123は、印字ユニット1の底面に沿って前後に延在する板状の部分である。
【0028】
前面部121は、底面部123の前端から上に向かって印字ユニット1の前面に沿って延在する板状の部分である。前面部121は、印字ユニット1の前面の下側を覆い、上部に印字済みの連続体Mを排出する排出口106が設けられている。
【0029】
背面部125は、底面部123の後端から上に向かって印字ユニット1の背面に沿って延在する板状の部分である。
【0030】
内側側面部124は、底面部123の左端から上に向かって印字ユニット1の左側面に沿って延在する板状の部分である。内側側面部124は、図3に示すように、印字部20、印字媒体供給部30、通信部40、インクリボン部34、及び機能部材50が固定され、これらを支持するベースとして機能する。内側側面部124は、開閉カバー11が開かれた状態で露出する。この例では、前面部121、背面部125及び内側側面部124は、底面部123に固定されている。
【0031】
図1に示すように、開閉カバー11は、前面部111と、側面部112と、上面部113とを含む。
【0032】
前面部111は、印字ユニット1の前面に沿って主に上下に延在する板状の部分であり、印字ユニット1の前面の上側を覆う。
【0033】
上面部113は、前面部111の上端から後に向かって印字ユニット1の上面に沿って延在する板状の部分である。
【0034】
側面部112は、上面部113の右端から下に向かって印字ユニット1の右側面に沿って延在する板状の部分である。
【0035】
開閉カバー11は、上面部113の左端に設けられたヒンジ107により開閉可能に設けられている。ヒンジ107の一方側は、上面部113の左端に固定され、他方側は、内側側面部124の上端に固定される。図3に示すように、前面部111及び側面部112は、上面部113に固定される。
【0036】
本実施形態では、側面部112は、第1側面部1121と、開閉カバー11を閉じた状態で第1側面部1121の下側に連なる第2側面部1122と、を有する。この例では、側面部112は、概ね上下に二等分された第1側面部1121と、第2側面部1122とを有する。
【0037】
第1側面部1121と第2側面部1122とは、複数(例えば5個)のヒンジ1123によって連結されている。第2側面部1122は、第1側面部1121に対してヒンジ1123を中心に回動可能に支持される。図2に示すように、開閉カバー11は、一部(第2側面部1122)が開閉可能である。また、図3に示すように、開閉カバー11は、全体が一体的に開閉可能である。
【0038】
図3に示すように、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。具体的には、筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で内部空間の一の側面が開放される。図3に示すように、内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を有する。つまり、筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で第1空間14と第2空間16とが露出するように構成されている。
【0039】
この構成により、第1空間14及び第2空間16の作業者から見て手前側が開放される。開閉カバー11を開くことにより、ロールT(ロール状の連続体M)を支持する支持軸301の開放端側(内側側面部124とは逆側)が開放されるので、インクリボンRや連続体Mの交換とユニット内部のメンテナンスとが可能になる。開閉カバー11の開放方向は、開閉カバー11を開けた際に手前側空間が開放される方向である。
【0040】
プリンタ100の内部を説明する。図3に示すように、プリンタ100の内部には、その後方に配置された印字媒体供給部30と、前方に配置された印字部20及び通信部40と、その上方に配置されたインクリボン部34と、機能部材50と、が設けられている。
【0041】
本実施形態の印字部20は、印字用インクが塗布されたインクリボンRのインクを転写して連続体Mに印字を行う熱転写方式を採用している。印字部20は、感熱発色方式であってもよい。
【0042】
連続体Mは、巻回されてロールTを形成し、印字媒体供給部30に保持され、ロールTから順次繰り出されて搬送方向に搬送される。連続体Mの搬送方向に沿って、印字部20を基準として印字媒体供給部30側を上流側といい、その反対側を下流側という。印字媒体供給部30は、最上流側に位置する。
【0043】
印字部20は、印字ヘッド部22と、その下方に配置されたプラテンローラ24及び下側ガイド部(図示せず)と、それらの後方に配置されたダンパ機構26と、を備える。ダンパ機構26は、印字ヘッド部22及びプラテンローラ24の上流側に配置されている。
【0044】
下側ガイド部は、前後方向に延在し、搬送される連続体Mをガイドする部材である。
【0045】
印字ヘッド部22は、その前方部が後方の回転軸225を中心に上下方向に揺動可能に支持される。印字ヘッド部22は、プラテンローラ24に対して開いた開状態(実線で示す)と、プラテンローラ24に対して閉じた閉状態(破線で示す)と、を有する。つまり、印字ヘッド部22は、揺動することにより開状態と閉状態との間で切り換え可能に構成されている。
【0046】
開状態では、印字ヘッド部22の前方部が持ち上がってプラテンローラ24から離間する。この状態では、連続体M及びインクリボンRのセッティングや交換が可能になる。
【0047】
閉状態では、印字ヘッド部22の前方部が下がり、ヘッド本体221の前方下部に設けられたサーマルヘッド222が、連続体MとインクリボンRとを挟んでプラテンローラ24と対向する。換言すると、連続体Mは、サーマルヘッド222とプラテンローラ24との間に、インクリボンRとともに挟持される。閉状態の場合に、印字ヘッド部22と、プラテンローラ24及び下側ガイド部と、の間に、連続体Mの搬送路Pである通紙ルートが形成される。通紙ルートの下流側に排出口106が設けられている。
【0048】
プラテンローラ24は、印字媒体供給部30から繰り出された連続体Mを通紙ルートに沿って排出口106へ搬送する搬送手段である。プラテンローラ24の表面は硬質ゴム等の弾性材料により被覆されている。プラテンローラ24は、正逆回転可能に、閉状態のサーマルヘッド222と上下に対向するように配設されている。
【0049】
プラテンローラ24は、モータと回転伝達機等とで構成される駆動機構(図示せず)により回転駆動される。印字ヘッド部22が閉状態で、プラテンローラ24が正回転することにより、連続体Mは排出口106に向かって搬送される。つまり、印字ヘッド部22とプラテンローラ24とは、連続体Mを挟持搬送する搬送部7を構成する。
【0050】
連続体Mの通紙ルートにおいてサーマルヘッド222とダンパ機構26との間には、印字媒体位置検出センサ(図示せず)が設けられている。印字媒体位置検出センサは、連続体Mに設けられた位置検出マーク(図示せず)を検出することにより、連続体Mの無線タグ6の位置を検出する。印字媒体位置検出センサは、例えば、光反射型又は光透過型のセンサにより構成できる。
【0051】
ダンパ機構26は、連続体Mに張力を付与する機構である。本実施形態のダンパ機構26は、第1ダンパローラ261と、第1ダンパローラ261よりも上流側に設けられた第2ダンパローラ262と、を有する。第1ダンパローラ261及び第2ダンパローラ262は、印字ヘッド部22の閉状態時に連続体Mに張力を付与するように、揺動可能に支持されている。
【0052】
インクリボン部34は、印字用インクを塗布したインクリボンRを供給し、巻き取る機構である。インクリボン部34は、リボン供給部341と、その前方に配置されたリボン巻取部342とを備える。
【0053】
リボン供給部341は、ロール状に巻回されたインクリボンRを回転自在に支持する機構である。
【0054】
リボン巻取部342は、印字済みのインクリボンRを巻き取り回収する機構である。
【0055】
インクリボンRは、リボン供給部341から引き出され、印字ヘッド部22の下を通り、リボン巻取部342によって巻き取られる。
【0056】
連続体Mを説明する。図4に示すように、連続体Mは、複数の無線タグ6と、複数の無線タグ6を支持する帯状の台紙Sと、を有する。台紙Sには、その長手方向に沿って所定の間隔で複数の無線タグ6が仮着されている。
【0057】
無線タグ6を剥離容易にするため、台紙Sの表面(無線タグ6の粘着面が接触する面)には、シリコーン等の剥離剤がコーティングされている。台紙Sの裏面(無線タグ6が貼り付けられていない面)には、無線タグ6の位置を示す位置検出マーク(図示せず)が設けられている。
【0058】
無線タグ6は、電子回路部6Aと、電子回路部6Aの表側に積層される上紙6Bと、を有し、粘着剤6Cによって台紙Sに貼り付けられている。上紙6Bは、この例では普通紙である。上紙6Bは、感熱紙であってもよい。プリンタ100が感熱発色方式である場合は、上紙6Bは感熱紙とされる。
【0059】
図3に示すように、印字媒体供給部30は、連続体MのロールTを保持し、連続体Mを印字部20に供給する。
【0060】
印字媒体供給部30は、支持軸301と、その一端に設けられたロールガイド部302と、を備える。支持軸301は、連続体MのロールTを回転自在の状態で支持する構成部である。ロールガイド部302は、連続体MのロールTを固定する構成部である。ロールガイド部302は、連続体Mの幅方向の長さに応じて位置を変えられるように、支持軸301の軸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0061】
図4の例では、ロールTは、裏巻きである。裏巻きでは、無線タグ6が連続体Mの内側に位置する状態で巻回される。よって、裏巻きでは、無線タグ6は、ロールTの外周表面に露出しない。裏巻きでは、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも後方位置から下方に向けて繰り出される。
【0062】
なお、ロールTは、表巻きであってもよい。表巻きでは、無線タグ6が連続体Mの外側に位置する状態で巻回される。よって、表巻きでは、無線タグ6は、ロールTの外周表面に露出する。表巻きでは、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される(図10図11参照)。
【0063】
ロールTが表巻きでも裏巻きでも、印字部20の連続体Mの通紙ルートは同じである。また、ロールTが表巻きでも裏巻きでも、連続体Mは無線タグ6が仮着された面を上に向けた状態で搬送される。連続体Mの無線タグ6が仮着された面を印字面という場合がある。
【0064】
プリンタ100は、印字媒体供給部30からシート状に繰り出された連続体Mが、ダンパ機構26を介して、印字ヘッド部22とプラテンローラ24との間の通紙ルートに搬送される。プリンタ100は、連続体Mが搬送される間に、印字媒体位置検出センサにより検出された情報に基づいたタイミングで、サーマルヘッド222の発熱体を所定パターンで発熱させる。この結果、文字、記号、図形、バーコード等が連続体Mの無線タグ6に印字される。印字後、無線タグ6(連続体M)は、排出口106からプリンタ100の外部に排出される。
【0065】
電子回路部6Aは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びタグ側通信回路等を有するICチップ(図示せず)と、通信用のタグ側アンテナ(図示せず)と、を有する。
【0066】
本実施形態の無線タグ6は、Bluetooth(登録商標)の低消費電力の通信モードであるBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式を採用している。この場合、NFC(登録商標)(Near Field Comunication)よりも通信可能距離が長く、Wi-Fi(登録商標)よりも消費電力が小さい。
【0067】
無線タグ6は、通信部40のアンテナ42からの所定通信電波により無線タグ6内で起電した電力が所定電力以上になると起動する(電子回路部6Aが動作する)ように構成されており、バッテリを使用しない。
【0068】
無線タグ6は、起動している状態では、通信部40と通信するための電波を発信する。つまり、無線タグ6は、起動している状態では通信部40と通信可能であり、起動していない状態では通信部40と通信不能である。
【0069】
図5は、連続体Mを幅方向(図3におけるX方向)から見た場合の無線タグ6の通信特性について説明するための図である。具体的には、図5は、無線タグ6がYZ平面上に位置する状態でYZ平面上におけるX軸に直交する各方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合の、各方向毎のRSSI(Received Signal Strength Indicator)を示している。
【0070】
図5では、矢印で示す特定方向から無線タグ6に対して所定通信電波を供給した場合は、RSSIが示されていない。これは、特定方向からの所定通信電波では無線タグ6内で起電した電力が所定電力以上にならず、無線タグ6が起動しないことを意味する。
【0071】
また、図5から分かるように、厳密に特定方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合に限らず、特定方向に沿う方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合も、無線タグ6は起動しない。つまり、本実施形態の無線タグ6は、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能である。なお、特定方向は、図5に示すように、無線タグ6を基準として、一方から他方への方向と、他方から一方への方向と、を含む。また、特定方向自体も特定方向に沿うことから、特定方向に沿う方向には、特定方向自体も含まれる。
【0072】
このように、無線タグ6は、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能に構成されている。
【0073】
通信部40を説明する。通信部40は、所定通信電波を発生させるアンテナ42と、アンテナ42に接続される通信回路44と、を含む。アンテナ42は、下側ガイド部に内包されていてもよい。
【0074】
通信部40は、アンテナ42を用いてアンテナ42と対向する位置において通信対象の無線タグ6である連続体Mの中の1つの無線タグ6と無線通信する。
【0075】
次に、制御ユニット2を説明する。制御ユニット2は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等で構成される。制御ユニット2は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。制御ユニット2には、入出力インターフェースを介して、図示しない外部のコンピュータ等からの印字指示データ、印字媒体位置検出センサの検出信号等が入力される。制御ユニット2は、メモリに格納されているプログラムをCPUによって実行し、サーマルヘッド222、プラテンローラ24を駆動するモータ、通信部40等の動作を制御する。
【0076】
制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信する。制御ユニット2は、無線タグ6に書き込まれている情報を読み取る読み取り装置として機能する。制御ユニット2は、無線タグ6に所定の情報を書き込む書き込み装置として機能する。制御ユニット2は、書き込み装置としての機能を有していなくてもよい。
【0077】
制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信する際は、アンテナ42から所定通信電波を出力させて通信対象の無線タグ6を起動させる。制御ユニット2は、通信対象の無線タグ6が起動して通信部40による通信対象の無線タグ6との通信(読み取り及び/又は書き込み)が成立すると、アンテナ42からの所定通信電波の出力を停止する。
【0078】
また、制御ユニット2は、通信対象の無線タグ6と通信部40との通信が成立しないまま所定時間を経過した場合も、アンテナ42からの所定通信電波の出力を停止する。この場合、制御ユニット2は、通信部40との通信が成立しなかった無線タグ6を不具合品と判定する。所定時間は、例えば、5秒である。
【0079】
図6図7を参照して、アンテナ42について説明する。図6は、アンテナ42周辺を示す模式図である。図6では、通信対象の無線タグ6に「(1)」を付し、通信対象でない別の無線タグ6に「(2)」を付して区分する。図7は、アンテナ部電波吸収体45について説明するための図である。
【0080】
上述したように、プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6(1)と通信するとき、アンテナ42からの電波(所定通信電波)が、通信対象の無線タグ6(1)よりも上流側に位置する別の無線タグ6(2)や下流側に位置する別の無線タグ6(2)に届く場合がある。この場合、アンテナ42からの電波が、別の無線タグ6(2)に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6(2)が誤動作する可能性がある。このような誤動作を防止する観点から、別の無線タグ6(2)への電波の影響を低減できることが望ましい。
【0081】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、アンテナ42を、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置している。
【0082】
詳しく説明すると、本実施形態のプリンタ100は、通信対象の無線タグ6(1)周辺の複数の無線タグ6について、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)と通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)とを繋ぐ方向が特定方向となるように、搬送路Pが形成されている。
【0083】
アンテナ42は、連続体Mにおける無線タグ6が設けられた面とは反対側の面側に設けられる。
【0084】
アンテナ42は、平面状に形成されており、通信対象の無線タグ6(1)と対向する位置において、連続体Mに近接して、通信対象の無線タグ6(1)に対して平行に配置される。アンテナ42を通信対象の無線タグ6(1)に対して平行に配置するのは、アンテナ42の平面に垂直な方向がアンテナ42の電波が最も強く出力される方向だからである。
【0085】
つまり、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)に対しては、無線タグ6(1)が高いRSSIを示す位置(図5における無線タグ6の直下)及び姿勢で配置されている。
【0086】
アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)に対しては、当該無線タグ6(2)が起動しない方向、すなわち、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0087】
また、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対しては、当該無線タグ6(2)が起動しない方向、すなわち、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0088】
つまり、アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0089】
そのため、本実施形態では、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)は起動不能であり、通信部40と通信することはない。よって、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性を低減できる。
【0090】
本実施形態では、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)よりもさらに上流側に位置する少なくとも1つの無線タグ6(2)に対しても、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0091】
また、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)よりもさらに下流側に位置する少なくとも1つの無線タグ6(2)に対しても、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0092】
つまり、アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の上流側に位置する複数の無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の下流側に位置する複数の無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0093】
そのため、本実施形態では、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)以外にも起動しない無線タグ6(2)が存在する。よって、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性をさらに低減できる。
【0094】
なお、アンテナ42が少なくとも1つの無線タグ6(2)に対して特定方向に沿う方向に位置していれば、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性を低減できる。
【0095】
よって、例えば、アンテナ42を、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)のいずれか一方に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置してもよい。
【0096】
また、アンテナ42を、通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の上流側に位置する複数の無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の下流側に位置する複数の無線タグ6(2)のいずれか一方に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置してもよい。
【0097】
アンテナ42を挟んで連続体Mとは反対側には、アンテナ部電波吸収体45が設けられる。
【0098】
アンテナ部電波吸収体45及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロール等の誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料、等で形成される。
【0099】
アンテナ部電波吸収体45によってアンテナ42における連続体Mとは反対側の面(以下、下面という。)から出力される電波を吸収することにより、無線タグ6(2)への当該電波の影響を低減できる。
【0100】
具体的には、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42の下面に取り付けられたスペーサ46の表面に形成することでアンテナ42から離間して設けられる。スペーサ46は、樹脂等の電波への影響が少ない素材で形成される。
【0101】
アンテナ部電波吸収体45をアンテナ42から離間して設けるのは、アンテナ部電波吸収体45とアンテナ42とが近いと、アンテナ42における連続体M側の面(以下、上面という。)から出力される電波がアンテナ部電波吸収体45に吸収されて不安定になる可能性があるからである。そのため、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42から5mm程度離れていることが好ましい。なお、アンテナ部電波吸収体45をアンテナ42から離間して設けることができればよく、スペーサ46は必ずしも設けなくともよい。
【0102】
図6図7に示すように、アンテナ部電波吸収体45は、平面部45aと、平面部45aの周囲に設けられアンテナ42側に突出する側壁部45bと、を有し、容器状に形成されている。
【0103】
図6に示すように、アンテナ部電波吸収体45は、平面部45aが連続体Mと平行になるように配置される。すなわち、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42に対しても平行に配置されている。これにより、アンテナ42の下面から出力された電波を効率よく吸収できるので、アンテナ42の下面から出力された電波の無線タグ6(2)への影響を低減できる。
【0104】
さらに、アンテナ部電波吸収体45は、側壁部45bを有することで、アンテナ42の下面から出力された電波のうち斜め方向に拡散した電波も吸収することができる。つまり、本実施形態のアンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42の下面から出力された電波が漏れにくい構造を有する。これにより、アンテナ42の下面から出力された電波の無線タグ6(2)への影響をさらに低減できる。
【0105】
また、アンテナ42の指向性は、通信対象の無線タグ6(1)の方向で最も強くなるように構成されるので、別の無線タグ6(2)への電波の影響をより低減できる。
【0106】
仕切部材51を説明する。仕切部材51は、通信部40が、複数の無線タグ6のうち通信部40と対向する1つの無線タグ6(図6に示す無線タグ6(1))のみと通信することができるように、内部空間を仕切る部材である。
【0107】
仕切部材51は、電波を効率的にシールドできることが望ましい。本実施形態では、第2空間16は、複数の無線タグ6のうち、第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6を囲む空間である。この場合、仕切部材51によって、上流側の無線タグ6を囲む空間である第2空間16への電波の影響を効率的に低減できる。第2空間16は、複数の無線タグ6のうち、第1空間14に収容される無線タグ6と、第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6と、を区分けするための空間である。
【0108】
図3に示すように、本実施形態の仕切部材51は2分割されており、一方が開閉カバー11に固定され、他方が筐体10の筐体本体部12に固定される。この例では、仕切部材51は、筐体10の筐体本体部12に固定される筐体側仕切部材51Aと、開閉カバー11に固定される開閉カバー側仕切部材51Bと、を含む。
【0109】
開閉カバー11を閉じた状態で、開閉カバー側仕切部材51Bは、筐体側仕切部材51Aと部分的に隣接する。具体的には、筐体側仕切部材51Aは、内側側面部124に固定されている。筐体本体部12は、開閉カバー11を支持する。
【0110】
図3において、開閉カバー11を閉じた状態の開閉カバー側仕切部材51Bを破線で示す。筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとは、互いに当接してもよいし、厚みより小さな隙間を介して対面してもよい。筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとは、機能的に一体化されてもよい。
【0111】
仕切部材51は、3個以上に分割されてもよい。特に、開閉カバー11を閉じた状態で、開閉カバー側仕切部材51Bは、筐体側仕切部材51Aと組み合わされて第1空間14及び第2空間16を仕切る。
【0112】
図3に示すように、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bのそれぞれの先端(固定される側とは反対側の端部)は、幅方向に対して傾斜する形状であってもよい(図示せず)。この場合、傾斜する形状であるため、開閉カバー11を閉じる際に、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとが干渉せずに、開閉カバー11を閉じることができる。
【0113】
また、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bのそれぞれの先端は、鋭角ではなく丸みを帯びた形状であってもよい(図示せず)。丸みを帯びた形状であれば、連続体MやインクリボンRを交換する際に連続体MやインクリボンRが引っかかって損傷することを防止できる。
【0114】
図8は、仕切部材51の側面視の断面を示す模式図である。図8に示すように、本実施形態の仕切部材51は、仕切部金属体52を有する。この場合、電波をシールドすることにより第2空間16にある無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0115】
仕切部金属体52及び本明細書に説明する他の金属体は、鉄系金属やアルミニウム等で形成される。
【0116】
仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、所定の部分がねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0117】
図8に示すように、本実施形態の仕切部材51は、仕切部電波吸収体55を有する。この場合、電波を吸収することにより第2空間16にある無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部金属体52と仕切部電波吸収体55とは積層され一体化されている。
【0118】
仕切部電波吸収体55及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロール等の誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料、等で形成される。
【0119】
仕切部電波吸収体55は、仕切部金属体52の全長及び全幅に亘って設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。図8では、仕切部金属体52が仕切部電波吸収体55の前側に積層される例を示している。しかしながら、仕切部電波吸収体55が仕切部金属体52の前側に積層されてもよい。他の金属体と電波吸収体との積層体についても、積層の前後又は上下は任意に構成できる。
【0120】
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、通信部40の上流側に配置される上流側金属体53が設けられる。この場合、上流側金属体53によって、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0121】
上流側金属体53は、搬送路P上の連続体Mにおける印字面とは反対側の面側に設けられる。上流側金属体53は、仕切部材51よりも下流側において通信部40の上流側に隣接して設けられる。この場合、通信部40の上流側の無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0122】
本実施形態の上流側金属体53は、所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。
【0123】
上流側金属体53及び本明細書に説明する他の金属体は、例えば、鉄系金属やアルミニウム等で形成される。
【0124】
本実施形態では、上流側金属体53の面に沿って上流側電波吸収体54が設けられている。この場合、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0125】
上流側電波吸収体54は、上流側金属体53の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。上流側金属体53を含めて、金属体と電波吸収体の積層体においては、積層の前後又は上下は任意に構成できる。
【0126】
上流側金属体53の幅方向の長さが連続体Mの幅方向の長さよりも小さいとシールド効果が不足する可能性がある。そこで、本実施形態では、上流側金属体53の幅方向の長さは、連続体Mの幅方向の長さに対応する。つまり、上流側金属体53の幅方向の長さと連続体Mの幅方向の長さとは、所定の対応関係を有する。
【0127】
例えば、上流側金属体53の幅方向の長さは、無線タグ6の幅方向の長さ以上であってもよいし、連続体Mの幅方向の長さ以上であってもよい。例えば、この対応関係は、上流側金属体53の幅方向範囲が、連続体Mの幅方向範囲をすべて含む関係であってもよい。この場合、シールド効果不足を小さくできる。
【0128】
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、上流側金属体53の上流側に配置される延伸金属体67が設けられる。この場合、延伸金属体67によって、上流側金属体53よりも上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0129】
延伸金属体67は、搬送路P上で上流側金属体53の上流側に隣接して配置される。延伸金属体67は、上流側金属体53に連続していてもよいし、隙間を挟んで離れていてもよい。延伸金属体67は、搬送路P上の連続体Mにおける印字面とは反対側の面側に設けられる。
【0130】
本実施形態の延伸金属体67は、所定の幅方向の長さを有し、上流側金属体53の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。
【0131】
延伸金属体67の幅方向の長さは、上流側金属体53の幅方向の長さと異なっていてもよい。延伸金属体67の幅方向の長さは、少なくとも無線タグ6の電子回路部6Aの幅方向の長さを有していればよく、好ましくは印字ヘッド部22の幅方向の長さと同じであればよい。
【0132】
延伸金属体67の上流端は、筐体10の底面部123まで延びていてもよいし、底面部123に接してもよいし、底面部123から隙間を介して離れていてもよい。延伸金属体67の上流端は、第2ダンパローラ262の上流側まで延びていてもよい。
【0133】
また、筐体10の底面部123に底面部金属体58及び底面部電波吸収体59のいずれかの底面部材が設けられる場合は、延伸金属体67の上流端は、当該底面部材まで延びていてもよいし、当該底面部材に接してもよいし、当該底面部材から隙間を介して離れていてもよい。
【0134】
本実施形態では、延伸金属体67には、その表面に沿って延伸電波吸収体が設けられている。この場合、延伸金属体67近傍の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。延伸金属体67に設けられた延伸電波吸収体は、延伸金属体67の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0135】
延伸金属体67を備えることにより、搬送路P上で上流側金属体53の上流における無線タグ6が、余計な電波の影響を受けにくくすることができる。特に、無線タグ6の配設ピッチが小さいと、上流側金属体53の上流側の搬送路P上に複数の無線タグ6が位置する場合がある。延伸金属体67を備えることにより、このような場合に、無線タグ6に電波の影響を及ぼさないように電波を吸収させることができる。
【0136】
本実施形態では、通信部40の下流側に、下流側金属体61が設けられる。この場合、下流側金属体61によって、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。本実施形態の下流側金属体61は、所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ前(下流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、前方に向かって延びる帯状の部材である。
【0137】
本実施形態では、下流側金属体61の面に沿って下流側電波吸収体62が設けられる。この場合、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。下流側電波吸収体62は、下流側金属体61の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0138】
筐体10の内面に輻射された電波が反射して無線タグ6に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、筐体10は、閉じた状態で第1空間14を覆う開閉カバー11を有し、開閉カバー11には、第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65を含むカバー部電波吸収体が設けられる。この場合、第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65によって電波を吸収して反射電波の影響を減らせる。第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65は、所定の幅方向の長さを有する帯状の部材である。
【0139】
開閉カバー11の開閉方向は、連続体Mの搬送方向に直交する方向である。この例では、開閉カバー11の開閉方向は上下方向で、連続体Mの搬送方向は前後方向である。
【0140】
開閉カバー11の第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11の内面に設けられる。
【0141】
第1カバー部電波吸収体56は、開閉カバー11を閉じた状態で搬送方向に直交する面に延在する。
【0142】
第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11を閉じた状態で連続体Mの幅方向に平行に延在する。
【0143】
本実施形態では、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の内面に貼り付けられる前面部電波吸収体である。例えば、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲に設けられる。
【0144】
本実施形態では、第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11の側面部112に設けられる側面部電波吸収体である。図3において、開閉カバー11を閉じた状態の第2カバー部電波吸収体65を一点鎖線で示す。
【0145】
本実施形態では、第2カバー部電波吸収体65は、第2側面部1122を前後に2等分したときの前側の部分に貼られている。第2カバー部電波吸収体65は、第2側面部1122に沿った帯状の部材であり、所定の幅方向の長さを有し前後に延在する。
【0146】
第2カバー部電波吸収体65は、図2に示す状態で、横長の矩形を呈し、後方下側(図中で後方上側)が矩形に切り欠かれた形状を有する。
【0147】
第2カバー部電波吸収体65には、第2カバー部電波吸収体65の全長及び全幅に亘って第2カバー部金属体が積層され一体化されてもよいし、第2カバー部電波吸収体65の一部に第2カバー部金属体が積層され一体化されてもよい。本実施形態は、第2カバー部電波吸収体65を備えることにより、側面部112に輻射された電波の影響を低減できる。
【0148】
第2カバー部電波吸収体65は、仕切部材51の側部に配置され、開閉カバー11を閉じた状態で仕切部材51と部分的に隣接する。第2カバー部電波吸収体65と仕切部材51とは、互いに接触していてもよいし、僅かに離れていてもよい。この構成により、電波の漏れを低減できる。
【0149】
本実施形態では、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で第1空間14及び第2空間16が露出する。この場合、容易に連続体Mを着脱でき、容易にインクリボンRを交換できる。インクリボンRや連続体Mの交換とユニット内部のメンテナンスが可能になる。
【0150】
本実施形態では、筐体10の底面(底面部123)に沿って底面部金属体58と底面部電波吸収体59との少なくとも1つが設けられる。この場合、底面部123に輻射された電波の影響を低減できる。
【0151】
底面部金属体58は、所定の幅方向の長さを有し前後に延在する帯状の部材である。底面部金属体58の前端は、上流側金属体53の後端よりも前方に位置し、底面部金属体58の後端は、仕切部材51の前端より後方に位置する。底面部電波吸収体59は、底面部金属体58の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0152】
以上のように構成された本実施形態に係るプリンタ100の主な構成及び作用効果について説明する。
【0153】
プリンタ100は、所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグ6が所定間隔で複数設けられた連続体Mが搬送方向に搬送される搬送路Pと、所定通信電波を発生させるアンテナ42を用いてアンテナ42と対向する位置において通信対象の無線タグ6(1)である連続体Mの中の1つの無線タグ6と無線通信する通信部40と、を備え、無線タグ6は、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能であり、アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)の少なくとも一方に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0154】
これによれば、通信部40のアンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)の少なくとも一方に対して、特定方向に沿う方向に位置する。そのため、通信対象の無線タグ6(1)と上流側で隣り合う無線タグ6(2)と下流側で隣り合う無線タグ6(2)との少なくとも一方は起動不能であり、通信部40と通信することはない。よって、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性を低減できる。
【0155】
特定方向は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)と通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)とを繋ぐ方向である。
【0156】
これによれば、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)に対して、アンテナ42を特定方向に沿う方向に容易に配置できる。
【0157】
アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の上流側に位置する複数の無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の下流側に位置する複数の無線タグ6(2)の少なくとも一方に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0158】
これによれば、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性をさらに低減できる。
【0159】
通信対象の無線タグ6(1)は、所定通信電波で起動する。
【0160】
これにより、通信部40が、通信対象の無線タグ6(1)と通信可能となる。
【0161】
アンテナ42は、平面状に形成されており、通信対象の無線タグ6(1)に対して平行に配置される。
【0162】
これによれば、アンテナ42の電波が最も強く出力される方向に通信対象の無線タグ6(1)が位置するので、通信対象の無線タグ6(1)を起動させ易くなる。よって、プリンタ100の消費電力を抑制できる。
【0163】
アンテナ42は、連続体Mにおける無線タグ6が設けられた面とは反対側の面側に設けられる。
【0164】
これによれば、アンテナ42を容易に配置できる。また、搬送路Pに連続体Mを装填する際にアンテナ42が邪魔になることもない。
【0165】
アンテナ42は、連続体Mに近接して設けられる。
【0166】
これによれば、通信対象の無線タグ6(1)を起動させ易くなる。よって、プリンタ100の消費電力を抑制できる。また、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)の少なくとも一方に対して、アンテナ42を特定方向に沿う方向に容易に配置できる。
【0167】
アンテナ42を挟んで連続体Mとは反対側に、アンテナ部電波吸収体45が設けられる。
【0168】
これによれば、アンテナ部電波吸収体45によってアンテナ42における連続体Mとは反対側の面(本実施形態では下面)から出力される電波を吸収することにより、無線タグ6への当該電波の影響を低減できる。
【0169】
アンテナ部電波吸収体45は、連続体Mと平行な平面部45aを有する。
【0170】
これによれば、アンテナ42における連続体Mとは反対側の面から出力された電波を効率よく吸収できる。
【0171】
アンテナ部電波吸収体45は、平面部45aと、平面部45aの周囲に設けられアンテナ42側に突出する側壁部45bと、を有し、容器状に形成される。
【0172】
これによれば、アンテナ42における連続体Mとは反対側の面から出力された電波のうち斜め方向に拡散した電波も吸収することができる。
【0173】
アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42から離間して設けられる。
【0174】
これによれば、アンテナ42における連続体M側の面(本実施形態では上面)から出力される電波がアンテナ部電波吸収体45に吸収されて不安定になることを抑制できる。
【0175】
アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42における連続体Mとは反対側の面に取り付けられたスペーサ46の表面に形成することでアンテナ42から離間して設けられる。
【0176】
これによれば、アンテナ部電波吸収体45をアンテナ42から離間して設ける構成を容易に実現できる。
【0177】
プリンタ100は、無線タグ6に印字を行う印字部20を有する。
【0178】
これによれば、無線タグ6に、文字、記号、図形、又はバーコード等のような情報を印字することができる。
【0179】
プリンタ100は、無線タグ6に印字する印字部20と、連続体Mを印字部20に向けて搬送する搬送部7と、無線タグ6と無線通信する通信部40と、内部空間を覆う筐体10と、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けられ、無線タグ6への電波の影響を低減する機能を有する機能部材50と、を備える。
【0180】
これによれば、機能部材50を有することにより、電波による無線タグ6への影響を低減できる。
【0181】
本実施形態では、内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14及び第1空間14とは別の第2空間16を有し、機能部材50は、第1空間14と第2空間16とを仕切る仕切部材51を含む。
【0182】
これによれば、仕切部材51を有することにより、第1空間14の通信部40の電波が第2空間16に届きにくくなる。よって、当該電波の第2空間16の無線タグ6への影響を低減できる。
【0183】
以上述べたように、本実施形態によれば、第1空間14における無線タグ6の入り口(仕切部材51の下側の空間)から排出口106までの範囲内においてアンテナ42と対向する無線タグ6以外の無線タグ6に起電させないこと、そして、第1空間以外の場所にある無線タグ6にも起電させないこと、を実現できる。これにより、アンテナ42と対向する1つの無線タグ6だけを起電させることが可能となる。
【0184】
[第2実施形態]
以下、図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るプリンタ100を説明する。第2実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0185】
図9は、第2実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図であり、図3に対応する。
【0186】
第2実施形態のプリンタ100は、第1実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0187】
第2実施形態のプリンタ100は、仕切部材51が一体に形成され、形状が異なる点で第1実施形態と相違する。
【0188】
図9に示すように、仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、前向部分521と、下向部分522と、湾曲部分523と、傾斜部分524と、を含む。
【0189】
前向部分521は、上面部113に近接する位置で前向きに延びる。
【0190】
下向部分522は、前向部分521の前端で屈曲して下向きに延びる。
【0191】
湾曲部分523は、下向部分522の下端から印字媒体供給部30の外周に対応して湾曲しながら下向きに延びる。
【0192】
傾斜部分524は、湾曲部分523の下端で前方に屈曲して斜め下向きに延びる。
【0193】
仕切部金属体52は、前向部分521と傾斜部分524とがねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0194】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態と同様の作用と効果を奏しうる。加えて、本実施形態のプリンタ100は、仕切部金属体52が一体であるため、部品点数が減り、組立が容易で、コスト的に有利である。
【0195】
[第3実施形態]
以下、図10図11を参照して、本発明の第3実施形態に係るプリンタ100を説明する。第3実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0196】
図10は、第3実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図であり、図3に対応する。
【0197】
図11は、表巻きの連続体Mを示す模式図である。図10では、無線タグ6が連続体Mの外側に位置する状態で巻回される表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0198】
第3実施形態のプリンタ100は、第1実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0199】
図10に示すように、本実施形態のプリンタ100は、追従部材64を備える点で第1実施形態と相違する。
【0200】
追従部材64は、連続体Mにおける通信部40よりも上流側の上流側部M2に接触する。特に、追従部材64は、連続体Mの動きに追従して連続体Mに接触する。
【0201】
プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6と通信するとき、アンテナ42からの電波が、通信対象の無線タグ6に後続する別の無線タグ6に届く場合がある。この場合、アンテナ42からの電波が、別の無線タグ6に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6が誤作動する可能性がある。このような誤作動を防止する観点から、別の無線タグ6への電波の影響を低減することが望ましい。そこで、本実施形態のプリンタ100は、連続体Mの通信部40よりも上流側の上流側部M2に接触して追従する追従部材64を備える。
【0202】
追従部材64は、通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の連続体Mに接触し、当接したまま連続体Mの動きに合わせて継続的に追従する。特に、追従部材64は、連続体Mの延伸方向に沿って連続体Mの表面に接触して、複数の無線タグ6に沿って連続的に追従している。
【0203】
追従部材64は、電波吸収体であってもよい。追従部材64は、アンテナ42に対向する無線タグ6の上流側の無線タグ6に当接するように設けられる。特に、追従部材64は、アンテナ42に対向する無線タグ6の上流側かつ隣り合う無線タグ6からそのさらに上流側にある無線タグ6に追従させるのが好ましい。
【0204】
追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされたロールTから解き離された連続体Mの部分に取り付けられている無線タグ6に追従させるのが好ましい。印字媒体供給部30にセットされたロールT自体は、無線タグ6が重なり合っているので実質的には電波には反応しないためである。
【0205】
本実施形態の追従部材64は、所定の幅方向の長さを有し、揺動支点642から揺動端(揺動支点642とは反対側の他端)643に向かって概ね上下に延びる帯状の部材である。追従部材64は、上流側部M2に接触する。この場合、上流側部M2までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。
【0206】
追従部材64の幅方向の長さは、無線タグ6の幅方向の長さ以上であってもよい。
【0207】
追従部材64は、追従部金属体又は追従部電波吸収体を有する。追従部材64及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロールなどの誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料等で形成される。
【0208】
追従部材64の追従機構に制限はない。図10では、追従部材64は、揺動支点642を中心に揺動端643が揺動することにより上流側部M2に追従する。特に、この例の追従部材64は、重力の作用により上流側部M2に追従する。この場合、自重により追従するため、追従機構をシンプルに構成できる。追従部材64は、スプリング等の付勢部材に付勢されることにより上流側部M2に追従するように構成されてもよい。この場合、姿勢の変化に対して追従動作を安定化できる。
【0209】
図10に示すように、追従部材64の揺動端643は、ロールTから離れる方向(この例では前方)に反っている。この場合、揺動端643によるロールTの損傷を抑制できる。
【0210】
図10に示すように、本実施形態の追従部材64は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された連続体Mの一部と、印字媒体供給部30にセットされたロールTの一部と、を覆う形状を有する。この場合、追従部材64に覆われた部分への電波の影響を効果的に低減できる。
【0211】
図10では、外径最大時のロールT1を実線で示し、外径最小時のロールT2を破線で示している。図10に示すように、追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされたロールTの外径変化又はロールTから引き出された連続体Mの位置変化に対応して揺動する。この場合、ロールTの外径変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。追従部材64は、前後方向及び上下方向の位置の変化に対応可能であってもよい。
【0212】
図10に示すように、追従部材64は、連続体Mの印字面に接触する。追従部材64は、プラテンローラ24及び印字ヘッド部22よりも連続体Mの搬送路Pにおける上流側で、連続体Mにおける印字ヘッド部22に対向する印字面に接触している。この場合、追従部材64から無線タグ6までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。
【0213】
追従部材64は、連続体Mの印字面とは反対側の面に接触するように構成されてもよい。特に、追従部材64は、プラテンローラ24及び印字ヘッド部22よりも連続体Mの搬送路Pにおける上流側で連続体Mの印字面とは反対側の面に接触する構成であってもよい。この場合、追従部材64の印字面への影響を低減できる。
【0214】
追従部材64は、連続体Mに張力を付与するように構成されてもよい。この場合、連続体Mの弛みを低減して、搬送動作を安定化できる。
【0215】
図10に示すように、追従部材64の揺動支点642は、通信部40よりも上流側に設けられる。この場合、揺動支点642が通信部40の下流側に設けられる場合に比べて、追従部材64の配置の自由度が高くなり、追従部材64を上流側部M2の近くに配置できる。追従部材64の揺動支点642を、通信部40よりも下流側に設けてもよい。
【0216】
図10に示すように、追従部材64の揺動端643は、揺動支点642よりも上流側に設けられる。この場合、追従部材64を自重で上流側部M2に追従させることができる。
【0217】
図10に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mに張力を付与するためのダンパ機構26の上側に配置される。この場合、揺動支点642とダンパ機構26との干渉を防止できる。追従部材64の揺動支点642は、ダンパ機構26の下側に配置してもよい。この場合、追従部材64を長くして、電波吸収効果を向上できる。
【0218】
図10に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mの幅方向に対応する幅を有する上流側金属体53と対向する。この場合、揺動支点642と上流側金属体53との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。
【0219】
図10では、追従部材64の揺動支点642は、底面部金属体58と対向する。この場合、揺動支点642と底面部金属体58との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。
【0220】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態と同様の作用効果を奏しうる。加えて、本実施形態のプリンタ100は、追従部材64で電波を吸収することによって、上流側部M2の無線タグ6への電波の影響を低減できる。また、追従部材64は、上流側部M2に接触して追従するため、上流側部M2の位置や形状の変化に追従して移動し、位置や形状の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。
【0221】
[第4実施形態]
以下、図12図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るプリンタ100を説明する。第4実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0222】
上記各実施形態の説明では、開閉カバー11の上面部113に機能部材50が設けられない例を示したが、これに限定されない。例えば、機能部材50は、開閉カバー11の上面部113に設けられるカバー部電波吸収体としての第3カバー部電波吸収体57を含んでもよい。
【0223】
図12は、第4実施形態に係るプリンタ100の開閉カバー11を180°開いた状態を示す側面図である。図13は、図12のプリンタ100の開閉カバー11を90°開いた状態を示す側面図である。図14は、図12のプリンタ100の斜視図である。
【0224】
本実施形態のプリンタ100は、開閉カバー11の上面部113に設けられる第3カバー部電波吸収体57を備える。
【0225】
本実施形態では、開閉カバー11は、前面部111と、側面部112と、上面部113とを含む。
【0226】
前面部111は、印字ユニット1の前面に沿って主に上下に延在する板状の部分であり、印字ユニット1の前面の上側を覆う。
【0227】
上面部113は、前面部111の上端から後に向かって印字ユニット1の上面に沿って延在する板状の部分である。
【0228】
側面部112は、上面部113の右端から下に向かって印字ユニット1の右側面に沿って延在する板状の部分である。
【0229】
開閉カバー11は、上面部113の左端に設けられたヒンジ107により開閉可能に設けられている。ヒンジ107の一方側は、上面部113の左端に固定され、他方側は、内側側面部124の上端に固定される。この例では、前面部111及び側面部112は、上面部113に固定され、開閉カバー11は一体的に開閉する。
【0230】
筐体10の内面に輻射された電波が反射して無線タグ6に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、筐体10は、閉じた状態で第1空間14を覆う開閉カバー11を有し、開閉カバー11には、第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57が設けられる。この場合、第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57によって電波を吸収して反射電波の影響を減らせる。第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57は、所定の幅方向の長さを有する帯状の部材である。
【0231】
第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57は、開閉カバー11の内面に設けられる。
【0232】
第1カバー部電波吸収体56は、開閉カバー11を閉じた状態で搬送方向に直交する面に延在する。
【0233】
第3カバー部電波吸収体57は、開閉カバー11を閉じた状態で連続体Mの幅方向に平行に延在する。
【0234】
本実施形態では、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の内面に貼り付けられる前面部電波吸収体である。例えば、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲に設けられる。
【0235】
本実施形態では、第3カバー部電波吸収体57は、上面部113の内面に貼り付けられる上面部電波吸収体である。例えば、第3カバー部電波吸収体57は、上面部113の前端近傍から後方に延在し、実質的に第1空間14の前後範囲に設けられる。
【0236】
第4実施形態に係るプリンタ100は、側面部112が一体(非分割)であり、第2カバー部電波吸収体65を有してない。本実施形態に係るプリンタ100に、図3の第2カバー部電波吸収体65を設けてもよいし、側面部112を複数に分割してもよい。
【0237】
第3カバー部電波吸収体57は、仕切部材51の上部に配置され、開閉カバー11を閉じた状態で仕切部材51と部分的に隣接する。第3カバー部電波吸収体57と仕切部材51とは、互いに接触していてもよいし、僅かに離れていてもよい。この構成により、電波の漏れを低減できる。
【0238】
[第5実施形態]
以下、図15図16を参照しながら本発明の第5実施形態に係るプリンタ100を説明する。第5実施形態の図面及び説明では、第4実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第4実施形態と重複する説明を適宜省略し、第4実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0239】
図15は、第5施形態に係るプリンタ100の開閉カバー11を90°開いた状態を示す側面図である。図16は、図15のプリンタ100の内部を示す側面図である。
【0240】
本実施形態では、表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0241】
本実施形態のプリンタ100は、第4実施形態に対して、仕切部材51を備えてない点と、追従部材64を備える点と、が相違し、他の構成は同様である。
【0242】
本実施形態の機能部材50は、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第3カバー部電波吸収体57、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を含む。
【0243】
本実施形態では、上流側金属体53は、追従部材64よりも下流側において通信部40の上流側に隣接して設けられる。
【0244】
また、底面部金属体58の前端は、上流側金属体53の後端よりも前方に位置し、底面部金属体58の後端は、追従部材64の前端より後方に位置する。
【0245】
以上のように、本実施形態のプリンタ100は、通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の無線タグ6に接触し、当接したまま連続体Mの動きに合わせて継続的に追従する追従部材64を備える。
【0246】
この構成によれば、追従部材64で電波を吸収することによって、上流側部M2の無線タグ6への電波の影響を低減できる。また、追従部材64は、上流側部M2に接触して追従するため、上流側部M2の位置や形状の変化に追従して移動し、位置や形状の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。
【0247】
[第6実施形態]
以下、図17を参照しながら本発明の第6実施形態に係るプリンタ100を説明する。第6実施形態の図面及び説明では、第5実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第5実施形態と重複する説明を適宜省略し、第5実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0248】
図17は、第6実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図である。
【0249】
本実施形態では、表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0250】
本実施形態のプリンタ100は、第5実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0251】
図17に示すように、本実施形態のプリンタ100は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を仕切る仕切部材51を備える点で第5実施形態と相違する。この例では、仕切部材51は、筐体本体部12の内側側面部124に固定される。
【0252】
本実施形態では、第2空間16は、複数の無線タグ6のうち第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6を囲む空間である。この場合、仕切部材51によって、上流側の無線タグ6を囲む空間への電波の影響を効率的に低減できる。
【0253】
本実施形態の仕切部材51は、仕切部金属体52と、仕切部電波吸収体55と、を有する。この場合、仕切部金属体52で電波をシールドすることにより、第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部電波吸収体55で電波を吸収することにより、第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部金属体52と仕切部電波吸収体55とは積層され一体化されている。
【0254】
図17に示すように、仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、前向部分521と、下向部分522と、湾曲部分523と、傾斜部分524と、を含む。
【0255】
前向部分521は、上面部113に近接する位置で前向きに延びる。
【0256】
下向部分522は、前向部分521の前端で屈曲して下向きに延びる。
【0257】
湾曲部分523は、下向部分522の下端から印字媒体供給部30の外周に対応して湾曲しながら下向きに延びる。
【0258】
傾斜部分524は、湾曲部分523の下端で前方に屈曲して斜め下向きに延びる。
【0259】
仕切部金属体52は、前向部分521と傾斜部分524とがねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0260】
仕切部電波吸収体55は、仕切部金属体52の全長及び全幅に亘って設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。
【0261】
本実施形態のプリンタ100は、第5実施形態と同様の作用と効果を奏しうる。加えて、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を仕切る仕切部材51を備えることにより、第1空間14にあるアンテナ42からの電波が第2空間16に届きにくくなる。よって、当該電波の第2空間16の無線タグ6への影響を低減できる。
【0262】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した各実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。各実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではばく、構成要素の変更、追加、削除等の多くの変更が可能である。
【0263】
以下、変形例について説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0264】
[第1変形例、第2変形例]
図18図19を参照して、第1変形例、第2変形例を説明する。図18は、第1変形例の追従部材64を示す模式図である。図17は、第2変形例の追従部材64を示す模式図である。これらの図は、理解を容易にするため、連続体M及び追従部材64を主に示し、説明に重要でない部材の記載を省略している。
【0265】
通信部40のアンテナ42の上流側直後からロールTの下流側の範囲に追従部材64を配置すると電波の影響低減効果が高いことが示唆されている。この観点から、図18図19の追従部材64は、アンテナ42の上流側直後に配置される。
【0266】
第1変形例では、追従部材64は、アンテナ42の上流側直後からロールTの下端よりも低い位置までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲している。
【0267】
追従部材64は、下向きの凸状に湾曲しており、左右逆の略J字形状を呈する。無線タグ6は、ロールTの部分では重なっているので、電波の影響を受けにくい。このため、追従部材64は、ロールTを覆う部分を有していない。
【0268】
第2変形例では、追従部材64は、アンテナ42の上流側直後からロールTの上端よりも上流側までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲しており、ロールTを覆う部分を有する。
【0269】
追従部材64は、下向きの凸状の湾曲と上向きの凸状の湾曲とが連続しており、傾斜した略S字形状を呈する。
【0270】
図18図19は、連続体Mが表巻である例を示しているが、連続体Mは裏巻きであってもよい。
【0271】
[その他の変形例]
追従部材64に、追従部金属体が一体的に設けられてもよい。この場合の追従部金属体は、追従部材64の全長及び全幅に亘って積層されてもよいし、一部に積層されてもよい。また、追従部材64の表面側と裏面側のいずれかの面に追従部金属体が設けられてもよい。
【0272】
実施形態の説明では、機能部材50が、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第2カバー部電波吸収体65、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を全て含む例を示したが、これに限定されない。機能部材50は、これらを含むことは必須ではない。機能部材50は、これらの一部又は全部を含まなくてもよい。
【0273】
実施形態の説明では、仕切部材51で全部を仕切る例を示したが、これに限定されない。空間を全て仕切部材51で仕切るのが前提である。しかしながら、仕切部材51の幅方向両サイドの隙間からの電波の漏れだしを食い止めることができるように仕切部材51を形成してもよい。
【0274】
図20は、仕切部材51の変形例を示す図である。図20に示すように、仕切部材51には、連続体Mを挿通するための挿入孔516が設けられてもよい。挿入孔516を有することにより、仕切部材51の設計の自由度が高まる。また、両サイドからの漏れだしも防止できる。
【0275】
第2実施形態の説明では、仕切部材51が、筐体本体部12に固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、仕切部材51は、開閉カバー11に固定されてもよい。
【0276】
図21は、仕切部材51が開閉カバー11に固定された変形例を示す図である。図22は、仕切部材51が開閉カバー11に固定された他の変形例を示す図である。これらの図は、開閉カバー11を180°開いた状態を示す側面図である。このように、仕切部材51を開閉カバー11に固定することにより、開閉カバー11を開いた状態で、印字媒体供給部30の周囲が広くなるので、ロールTの交換が容易になる。
【0277】
図21では、仕切部材51は、第1側面部1121に固定される第1仕切部材51Cと、第2側面部1122に固定される第2仕切部材51Dと、に分割されている。第1仕切部材51Cと第2仕切部材51Dとは、合わさって1つの仕切部材51となる。
【0278】
図21では、仕切部材51が全て開閉カバー11に固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、仕切部材51は、一部が筐体本体部12に固定され、かつ、他の一部が開閉カバー11に固定されるように、分割して設けられた構成であってもよい。また、開閉カバー11を閉じた状態で、その両方が合わさって1つの仕切部材51となってもよい。
【0279】
実施形態の説明では、印字媒体供給部30が連続体Mに張力(テンション)を付与する機能を有しない例を示したが、これに限定されない。連続体Mの張力が弱い場合、連続体Mが過剰に繰り出されて、搬送路Pの途中で弛むことが考えられる。連続体Mが弛むと、機能部材50との位置関係が変化して、無線タグ6への電波の影響を低減する効果が低くなる可能性がある。このため、印字媒体供給部30に張力付与機構31を設けてもよい。
【0280】
図23は、印字媒体供給部30の変形例を示す斜視図である。図24は、図23の印字媒体供給部30にロールTが未装着の状態を示す図である。図25は、図23の印字媒体供給部30にロールTが装着された状態を示す図である。
【0281】
本変形例の印字媒体供給部30は、張力付与機構31を備える。張力付与機構31は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された連続体Mに張力を付与するための機構である。
【0282】
張力付与機構31は、支持軸301と、ロールガイド部302と、テンションプレート312と、ばね押さえプレート314と、付勢部材316と、を含む。
【0283】
テンションプレート312は、装着されたロールTの中心部に接する中空円板状部材である。テンションプレート312は、中空部に支持軸301が挿通されている。
【0284】
ばね押さえプレート314は、テンションプレート312のロールTとは反対側に隣接して配置される中空円板状部材である。ばね押さえプレート314は、中空部に支持軸301が挿通されており、テンションプレート312に対して相対回転自在に接する。
【0285】
付勢部材316は、ばね押さえプレート314のテンションプレート312とは反対側に配置される。付勢部材316は、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312にロールTに向かう付勢力を付与する。本変形例の付勢部材316は、中心に支持軸301が挿通されるコイルスプリングである。
【0286】
図24に示すように、印字媒体供給部30にロールTが未装着の状態では、テンションプレート312に付与される付勢力は殆どなく、テンションプレート312は自由に回転できる。
【0287】
図25に示すように、印字媒体供給部30にロールTが装着された状態では、ロールガイド部302が支持軸301に沿ってロールTをテンションプレート312側に押さえるので、ばね押さえプレート314を介して付勢部材316が強く圧縮される。そのため、付勢部材316は、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312に大きな付勢力を付与する。この場合、ばね押さえプレート314は、テンションプレート312に強く押し付けられ、これらの間の摩擦力が増大する。
【0288】
この状態で連続体Mが繰り出されてロールTが回転すると、テンションプレート312とばね押さえプレート314との間の摩擦力により、テンションプレート312及びロールTの回転にブレーキが掛かる。このように、張力付与機構31は、テンションプレート312がロールTの端部に当接することで、ロールTの回転にブレーキをかけることができる。その結果、連続体Mに張力が付与され、連続体Mが過剰に繰り出されて弛みが発生する可能性が低くなる。
【0289】
無線タグ6を起電(エナジャイズ)するための所定通信電波の出力(以下、「エナジャイズ出力」又は「起電出力」という)の制御方法は、上記実施形態の例に限定されない。
【0290】
例えば、通信対象の無線タグ6からデータを読み取る第1期間には、エナジャイズ出力(起電出力)を高くして、データを読み取るとき以外の第2期間には、第1期間よりもエナジャイズ出力(起電出力)を低くしてもよい。第2期間には、エナジャイズ出力(起電出力)を最小にしてもよいし、エナジャイズ出力(起電出力)を停止してもよい。
【0291】
このように、エナジャイズ出力(起電出力)を制御することにより、第2期間における、通信対象の無線タグ6よりも上流側の無線タグ6の誤検知を抑制できる。
【0292】
第2期間は、待機状態の期間を含む。待機状態とは、モジュールの電源はON(つまり、プリンタ100はON)であるが、通信部40は実質的に起電出力を含む電波を出していない状態をいう。通信部40は、印字しているときだけ電波を出す構成であってもよい。
【0293】
筐体10の個体差によって、無線タグ6への電波の影響度合いが変化して誤差が生じることがある。このため、筐体10の個体差の影響を低減できるように、筐体10の個体差に応じて電波の出力を調整してもよい。
【0294】
例えば、電波出力の調整は、プリンタ100の製造工程に調整工程を設けて行うことができる。また、筐体10の個体差に応じた情報を検知する検知部と、当該検知部の検知結果に応じて電波出力を増減する出力調整部と、を備え、出力を自動的に調整する構成であってもよい。
【0295】
図26を参照して、前面側電波吸収プレート69を備える変形例を説明する。図26は、前面側電波吸収プレート69を備える変形例を示す側面図である。
【0296】
実施形態の説明では、筐体本体部12の前面部121に電波吸収プレートが設けられない例を示したが、これに限定されない。図26に示すように、プリンタ100には、筐体本体部12の前面部121に前面側電波吸収プレート69が設けられてもよい。この場合、前面側電波吸収プレート69によって、筐体10の前側への電波漏れの影響を減らすことができる。前面側電波吸収プレート69は、電波吸収体と金属体の一方又は両方を含んでもよい。
【0297】
図26では、前面側電波吸収プレート69は、前面部121の内面に貼り付けられる。本変形例では、前面側電波吸収プレート69は、第1部分692及び第2部分694を有する。
【0298】
第1部分692は、前面部121の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲の部分である。第2部分694は、排出口106の下部近傍から前面部121の下端近傍に至る上下範囲の部分である。
【0299】
前面側電波吸収プレート69が第1部分692及び第2部分694を有することは必須ではなく、一方を有しなくてもよい。前面側電波吸収プレート69の各部分の上端位置及び下端位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。
【0300】
図27を参照して、延伸金属体67の上流側に配置された上流側電波吸収プレート68を備える変形例を説明する。図27は、上流側電波吸収プレート68を備える変形例を示す側面図である。
【0301】
実施形態の説明では、延伸金属体67よりも上流側には、電波吸収体や金属体が設けられていない例を示したが、これに限定されない。無線タグ6の感度が高い場合、微弱な電波でもその影響を受ける可能性がある。そこで、図27に示すように、プリンタ100には、搬送路P上での延伸金属体67の上流側に、上流側電波吸収プレート68が設けられてもよい。この場合、上流側電波吸収プレート68によって、延伸金属体67よりも上流側の無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0302】
上流側電波吸収プレート68は、電波吸収体と金属体の一方又は両方を含んでもよい。上流側電波吸収プレート68を連続体Mに沿わせることで、電波を受けて欲しくない無線タグ6に対して電波の影響を減らすことができる。上流側電波吸収プレート68は、連続体Mに接していなくてもよいし、連続体Mに接していてもよい。
【0303】
電波の影響を低減する観点では、上流側電波吸収プレート68は、連続体Mの印字面側に設けてもよいし、連続体Mの印字面とは反対側の面側に設けてもよい。図27では、上流側電波吸収プレート68は、連続体Mの印字面とは反対側の面側に設けられている。この場合、印字面の傷つきを減らせる。
【0304】
上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67とは別体の部材として形成してもよいし、延伸金属体67と一体の部材として形成してもよい。
【0305】
図27の例では、上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67の上流端からプリンタ100の後方に向かって延在している。具体的には、上流側電波吸収プレート68は、ダンパ機構26を越えて印字媒体供給部30の近傍まで前後に延在している。
【0306】
上流側電波吸収プレート68の上流端の位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。上流側電波吸収プレート68の幅方向の長さは、延伸金属体67の幅方向の長さと同じであってもよい。
【0307】
図28を参照して、排出口106の外側に配置された排出口上側電波吸収体70を備える変形例を説明する。図28は、排出口上側電波吸収体70を備える変形例を示す側面図である。
【0308】
図28に示すように、プリンタ100には、排出口106を外側から覆うように、排出口上側電波吸収体70が設けられてもよい。
【0309】
排出口上側電波吸収体70は、上端側が筐体本体部12の前面部121における排出口106の上側に貼付されている。排出口上側電波吸収体70の下端側は自由端である。そのため、排出口106から排出された連続体Mは、排出口上側電波吸収体70を押し退けつつ下方に向けて排出される。この場合、排出口上側電波吸収体70によって、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0310】
排出口上側電波吸収体70の下端位置及び幅は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。
【0311】
図29図30を参照して、排出口106の外側に配置された排出口下側電波吸収体71を備える変形例を説明する。図29は、排出口下側電波吸収体71を備える変形例を示す側面図である。図30は、排出口下側電波吸収体71を備える変形例においてカッタ機構80が作動する様子を示す図である。
【0312】
図29に示すように、プリンタ100には、排出口106から排出された連続体Mを下側から支持するように、排出口下側電波吸収体71が設けられてもよい。
【0313】
排出口下側電波吸収体71は、筐体本体部12の前面部121における排出口106の下側に取り付けられた揺動機構72によって支持されている。排出口106から排出された連続体Mは、自重により排出口下側電波吸収体71に接する。この場合、排出口下側電波吸収体71によって、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0314】
排出口下側電波吸収体71は、一端側がプラテンローラ24の近傍まで延伸している。そのため、カッタ機構80を作動させる際は、図30に示すように、揺動機構72によって、他端側が下がった状態となるように排出口下側電波吸収体71を揺動させる。これにより、排出口下側電波吸収体71の一端側がカッタ機構80の可動刃81と干渉することを回避できる。
【0315】
排出口下側電波吸収体71に代えて排出口下側金属体を設けてもよい。この場合も、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0316】
排出口上側電波吸収体70と排出口下側電波吸収体71とを両方設けてもよい。この場合は、排出口106から排出された無線タグ6を排出口上側電波吸収体70と排出口下側電波吸収体71とで上下に挟むことになるので、無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0317】
実施形態の説明では、無線タグ6の起電と、無線タグ6に対する情報の書き込みとを別々に示したが、これらは一体の書き込みサイクルとして繰り返し実行される。書き込みサイクルにおける起電時間の割合と読込み時間との割合は、一定であってもよい。例えば、書き込みサイクルの周期を100%としたとき、起電時間の割合は20%、読込み時間の割合は80%のように設定されてもよい。
【0318】
起電時間が一定である場合、無線タグ6の個体差や筐体10の個体差等に起因して、1サイクルでは十分に起電できずに、リトライを数サイクル繰り返してトータルの時間が長くなることがある。そこで、書き込みサイクルにおける起電時間の割合は変更可能にされてもよい。例えば、書き込みサイクルにおける起電時間の割合を20%から60%に変更し、読込み時間の割合を80%から40%に変更してもよい。この場合、リトライ回数が減りトータルの時間を短縮できる。
【0319】
また、起電時間の割合を変更するために、起電時間の割合を設定する工程を設けてもよい。当該設定工程は、プリンタ100の製造工程に設けてもよいし、プリンタ100を設置する工程に設けてもよいし、プリンタ100をメンテナンスする工程に設けてもよい。
【0320】
実施形態の説明では、印字部20が、熱を用いて印字を行なう構成である例を示したが、これに限定されない。印字部20は、インクジェット方式等の公知の印字方式を採用できる。
【0321】
プリンタ100は、機能部材50を備えていなくともよい。
【0322】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用、効果を奏する。
【0323】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0324】
1 印字ユニット
2 制御ユニット
6 無線タグ
6A 電子回路部
6B 上紙
6C 粘着剤
7 搬送部
10 筐体
11 開閉カバー
12 筐体本体部
14 第1空間
16 第2空間
20 印字部
22 印字ヘッド部
24 プラテンローラ
26 ダンパ機構
30 印字媒体供給部
31 張力付与機構
34 インクリボン部
40 通信部
42 アンテナ
44 通信回路
45 アンテナ部電波吸収体
45a 平面部
45b 側壁部
46 スペーサ
50 機能部材
51 仕切部材
51A 筐体側仕切部材
51B 開閉カバー側仕切部材
51C 第1仕切部材
51D 第2仕切部材
52 仕切部金属体
53 上流側金属体
54 上流側電波吸収体
55 仕切部電波吸収体
56 第1カバー部電波吸収体
57 第3カバー部電波吸収体
58 底面部金属体
59 底面部電波吸収体
61 下流側金属体
62 下流側電波吸収体
64 追従部材
65 第2カバー部電波吸収体(側面部電波吸収体)
67 延伸金属体
68 上流側電波吸収プレート
69 前面側電波吸収プレート
70 排出口上側電波吸収体
71 排出口下側電波吸収体
72 揺動機構
80 カッタ機構
81 可動刃
100 プリンタ
106 排出口
107 ヒンジ
111 前面部
112 側面部
113 上面部
121 前面部
123 底面部(底面)
124 内側側面部
125 背面部
221 ヘッド本体
222 サーマルヘッド
225 回転軸
261 第1ダンパローラ
262 第2ダンパローラ
301 支持軸
302 ロールガイド部
312 テンションプレート
314 ばね押さえプレート
316 付勢部材
341 リボン供給部
342 リボン巻取部
516 挿入孔
521 前向部分
522 下向部分
523 湾曲部分
524 傾斜部分
642 揺動支点
643 揺動端(揺動支点とは反対側の他端)
692 第1部分
694 第2部分
1121 第1側面部
1122 第2側面部
1123 ヒンジ
M 連続体
M2 上流側部
P 搬送路
R インクリボン
S 台紙
T ロール
T1 ロール
T2 ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30