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特開2023-146671プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146671
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231004BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231004BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20231004BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B41J29/38 601
B41J29/00 E
G06K17/00 025
G06K7/10 268
G06K7/10 184
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053980
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 有二
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS06
2C061AS11
2C061AS14
2C061CG01
2C061CG15
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】通信部のアンテナから出力される所定通信電波を適切に調整できるようにする。
【解決手段】プリンタのコントローラは、無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、無線タグが起動しなかった電波出力サイクルよりも大きくする電波調整処理を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送される搬送路と、
前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、
前記通信部の動作を制御して所定サイクルタイムで前記アンテナから前記所定通信電波を繰り返し出力させるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力と前記所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルよりも大きくする電波調整処理を実行する、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記コントローラは、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力が所定上限値でない場合は、前記後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力を大きくする、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記コントローラは、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力が前記所定上限値でない場合は、前記後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波のデューティ比を大きくしない、
プリンタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のプリンタであって、
前記コントローラは、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力が前記所定上限値である場合は、前記後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波のデューティ比を大きくする、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記コントローラは、複数の前記無線タグそれぞれに対して前記電波調整処理を実行する、
プリンタ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記コントローラは、前記連続体における先頭の前記無線タグに対して前記電波調整処理を実行し、前記先頭の無線タグが起動した前記電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力及び前記所定通信電波のデューティ比の設定値を、後続する複数の前記無線タグそれぞれに対して出力する前記所定通信電波の設定値として用いる、
プリンタ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記コントローラは、前記連続体における先頭の前記無線タグから数えて所定数の前記無線タグに対して前記電波調整処理を実行し、前記所定数の無線タグのうち起動するまでの時間が最も長かった前記無線タグが起動した前記電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力及び前記所定通信電波のデューティ比の設定値を、後続する複数の前記無線タグそれぞれに対して出力する前記所定通信電波の設定値として用いる、
プリンタ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプリンタであって、
前記先頭の無線タグは、前記プリンタに前記連続体を装填した後に最初に前記通信部が無線通信する前記通信対象の無線タグである、
プリンタ。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のプリンタであって、
前記先頭の無線タグは、前記プリンタの電源をONにした後に最初に前記通信部が無線通信する前記通信対象の無線タグである、
プリンタ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記通信部は、前記無線タグから情報を読み取り、前記無線タグに対する情報の書き込みを行わない、
プリンタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグに印字を行う印字部を有する、
プリンタ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載のプリンタであって、
内部空間を覆う筐体と、
前記筐体の所定の内面と前記内部空間との少なくとも一方に設けられ、前記無線タグへの電波の影響を低減する機能部材と、
を備える、
プリンタ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記無線タグは、通信方式がBluetooth(登録商標) Low Energyである、
プリンタ。
【請求項14】
所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送される搬送路と、
前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、
前記通信部の動作を制御して所定サイクルタイムで前記アンテナから前記所定通信電波を繰り返し出力させるコントローラと、
を備えるプリンタの制御方法であって、
前記無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力と前記所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルよりも大きくする、
プリンタの制御方法。
【請求項15】
所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送される搬送路と、
前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、
を備えるプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記通信部の動作を制御して所定サイクルタイムで前記アンテナから前記所定通信電波を繰り返し出力させる手順と、
前記無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力と前記所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルよりも大きくする手順と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線タグに記録する機能と印刷する機能とを有する装置として、RFID(Radio Frequency Identification)記録機能付き印刷装置が記載されている。この印刷装置は、複数のRFIDタグ付きラベルを有する連続ラベル紙を搬送する搬送部と、ラベルに画像を印刷する印刷手段と、RFIDタグと通信する通信部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-140548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグ(無線タグ)は通信電波により起電した電力で作動するところ、個々の起電性能は一定ではなくばらつきがある。そのため、起電性能が低い無線タグとも通信ができるように、通信部のアンテナから出力される通信電波を適切に調整することが求められる。しかしながら、上記の印刷装置は、通信電波の調整については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、通信部のアンテナから出力される通信電波を適切に調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグが所定間隔で複数設けられた連続体が搬送される搬送路と、前記所定通信電波を発生させるアンテナを用いて前記アンテナと対向する位置において通信対象の前記無線タグである前記連続体の中の1つの前記無線タグと無線通信する通信部と、前記通信部の動作を制御して所定サイクルタイムで前記アンテナから前記所定通信電波を繰り返し出力させるコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける前記所定通信電波の出力と前記所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、前記無線タグが起動しなかった前記電波出力サイクルよりも大きくする電波調整処理を実行する、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、コントローラは、無線タグが起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルおける所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を大きくする。よって、起電性能が低い無線タグでも速やかに起動するように、通信部のアンテナから出力される所定通信電波を適切に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2図1のプリンタの開閉カバーの一部を開いた状態を示す側面図である。
図3図1のプリンタの開閉カバー全体を開いた状態を示す側面図である。
図4】裏巻きの連続体を示す模式図である。
図5】連続体を幅方向から見た場合の無線タグの通信特性について説明するための図である。
図6図6は、制御ユニットが実行する第1通信処理の内容を示すフローチャートである。
図7図7は、制御ユニットが実行する第2通信処理の内容を示すフローチャートである。
図8図8は、制御ユニットが実行する連続通信処理の内容を示すフローチャートである。
図9図1のプリンタのアンテナ周辺を示す模式図である。
図10】アンテナ部電波吸収体について説明するための図である。
図11図1のプリンタの仕切部材の側面視の断面を示す模式図である。
図12】本発明の第2実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図14】表巻きの連続体を示す模式図である。
図15】本発明の第4実施形態に係るプリンタの開閉カバーを180°開いた状態を示す側面図である。
図16図15のプリンタの開閉カバーを90°開いた状態を示す側面図である。
図17図15のプリンタの斜視図である。
図18】本発明の第5実施形態に係るプリンタの開閉カバーを90°開いた状態を示す側面図である。
図19図18のプリンタの内部を示す側面図である。
図20】本発明の第6実施形態に係るプリンタの内部を示す側面図である。
図21】第1変形例の追従部材を示す模式図である。
図22】第2変形例の追従部材を示す模式図である。
図23】仕切部材の変形例を示す図である。
図24】仕切部材が開閉カバーに固定された変形例を示す図である。
図25】仕切部材が開閉カバーに固定された他の変形例を示す図である。
図26】印字媒体供給部の変形例を示す斜視図である。
図27図26の印字媒体供給部にロールが未装着の状態を示す図である。
図28図26の印字媒体供給部にロールが装着された状態を示す図である。
図29】前面側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
図30】上流側電波吸収プレートを備える変形例を示す側面図である。
図31】排出口上側電波吸収体を備える変形例を示す側面図である。
図32】排出口下側電波吸収体を備える変形例を示す側面図である。
図33】排出口下側電波吸収体を備える変形例においてカッタ機構が作動する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態及び各変形例について説明する。各実施形態及び各変形例では、同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、重複した説明は適宜省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
[第1実施形態]
以下、図1図11を参照して、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100を説明する。図1は、プリンタ100の斜視図である。図2は、プリンタ100の開閉カバー11の一部を開いた状態を示す側面図である。図3は、プリンタ100の開閉カバー11全体を開いた状態を示す側面図である。開閉カバー11は、開閉カバー11全体を180°開いた状態とすることが可能である。また、開閉カバー11は、第2側面部1122を180°開いた状態にすることが可能である。図4は、裏巻きの連続体Mを示す模式図である。図4では、理解を容易にするために、無線タグ6等の厚みを実際よりも厚く表現している。図5は、連続体Mを幅方向から見た場合の無線タグ6の通信特性について説明するための図である。図6は、制御ユニット2が実行する第1通信処理の内容を示すフローチャートである。図7は、制御ユニット2が実行する第2通信処理の内容を示すフローチャートである。図8は、制御ユニット2が実行する連続通信処理の内容を示すフローチャートである。図9は、プリンタ100のアンテナ42周辺を示す模式図である。図10は、アンテナ部電波吸収体45について説明するための図である。図11は、プリンタ100の仕切部材51の側面視の断面を示す模式図である。
【0012】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向とし、X方向に直交する水平な方向をY方向とし、両者に直交する鉛直方向をZ方向とする。X方向を左右方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。正面から見て左側を「左」と、右側を「右」と、側面から見て左側を「前」と、右側を「後」という。また、前後方向寸法を「長さ」と、左右方向寸法を「幅」ということがある。このような表記はプリンタ100の使用姿勢を制限するものではなく、プリンタ100は、任意の姿勢で使用されうる。
【0013】
図3に示すように、本実施形態のプリンタ100は、複数の無線タグ6が所定間隔で設けられた連続体M(図4参照)における無線タグ6に印字するプリンタであって、無線タグ6に印字する印字部20と、連続体Mが印字部20に向かう方向(以下、搬送方向という。)に搬送される搬送路Pと、連続体Mを搬送方向に搬送する搬送部7と、無線タグ6と無線通信する通信部40と、内部空間を覆う筐体10と、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けられ無線タグ6への電波の影響を低減する機能を有する機能部材50と、を備える。
【0014】
機能部材50は、金属体を有してもよいし、電波吸収体を有してもよい。本実施形態の機能部材50は、仕切部材51、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第2カバー部電波吸収体65、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を含む。
【0015】
通信部40は、アンテナ42を有し、印字部20の上流側に設けられる。通信部40は、アンテナ42を用いて無線タグ6と無線通信する。
【0016】
印字部20は、プラテンローラ24と印字ヘッド部22とを有し、無線タグ6に印字を行う。
【0017】
機能部材50を説明する。プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6と通信するとき、アンテナ42からの電波(所定通信電波)が、通信対象の無線タグ6以外の無線タグ6に届く場合がある。この場合、通信部40の電波が、別の無線タグ6に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6が誤動作する可能性がある。このような誤動作を防止する観点から、別の無線タグ6への電波の影響を低減できることが望ましい。そこで、本実施形態のプリンタ100は、電波の無線タグ6への影響を低減する機能を有する機能部材50を備える。機能部材50は、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けることができる。
【0018】
内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を有する。機能部材50は、第1空間14と第2空間16とを仕切る仕切部材51を含む。
【0019】
特に、内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、複数の無線タグ6のうち第1空間14に収容される無線タグ6と第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6とを区分けする第2空間16と、を有する。
【0020】
一例として、機能部材50は、第1空間14と第2空間16とを仕切る仕切部材51と、通信部40の上流側に配置される上流側金属体53と、を含んでもよい。
【0021】
上流側金属体53は、通信部40の上流側に配置されている金属板であり、通信部40に近接させることで強い電波の影響を抑える。上流側金属体53を設けることにより、通信部40よりも上流側の無線タグ6が起電(エナジャイズ)されないようにしている。上流側金属体53は、通信部40の直ぐ上流側に配置されてもよい。
【0022】
一方、印字媒体供給部30から繰り出された無線タグ6は電波を受けやすいので、電波の影響を受けないように仕切部材51がある。
【0023】
プリンタ100の全体構成を説明する。図1に示すように、プリンタ100は、正面から見て右側の印字ユニット1と、左側の制御ユニット(コントローラ、コンピュータ)2と、を有する。
【0024】
印字ユニット1は、制御ユニット2の制御に基づいて、タグ印字機能と、タグ通信機能と、を実現する。タグ印字機能は、例えば、連続体Mに仮着された無線タグ6の上紙6B(図4参照)に、文字、記号、図形、又はバーコード等のような情報を印字する機能である。タグ通信機能は、無線タグ6と通信する機能である。
【0025】
筐体10は、印字ユニット1の外殻として機能する。筐体10は、開閉可能な開閉カバー11と、開閉カバー11を開閉可能に支持する筐体本体部12と、を含む。
【0026】
筐体本体部12は、前面部121と、底面部123と、内側側面部124と、背面部125と、を含む。
【0027】
底面部123は、印字ユニット1の底面に沿って前後に延在する板状の部分である。
【0028】
前面部121は、底面部123の前端から上に向かって印字ユニット1の前面に沿って延在する板状の部分である。前面部121は、印字ユニット1の前面の下側を覆い、上部に印字済みの連続体Mを排出する排出口106が設けられている。
【0029】
背面部125は、底面部123の後端から上に向かって印字ユニット1の背面に沿って延在する板状の部分である。
【0030】
内側側面部124は、底面部123の左端から上に向かって印字ユニット1の左側面に沿って延在する板状の部分である。内側側面部124は、図3に示すように、印字部20、印字媒体供給部30、通信部40、インクリボン部34、及び機能部材50が固定され、これらを支持するベースとして機能する。内側側面部124は、開閉カバー11が開かれた状態で露出する。この例では、前面部121、背面部125及び内側側面部124は、底面部123に固定されている。
【0031】
図1に示すように、開閉カバー11は、前面部111と、側面部112と、上面部113とを含む。
【0032】
前面部111は、印字ユニット1の前面に沿って主に上下に延在する板状の部分であり、印字ユニット1の前面の上側を覆う。
【0033】
上面部113は、前面部111の上端から後に向かって印字ユニット1の上面に沿って延在する板状の部分である。
【0034】
側面部112は、上面部113の右端から下に向かって印字ユニット1の右側面に沿って延在する板状の部分である。
【0035】
開閉カバー11は、上面部113の左端に設けられたヒンジ107により開閉可能に設けられている。ヒンジ107の一方側は、上面部113の左端に固定され、他方側は、内側側面部124の上端に固定される。図3に示すように、前面部111及び側面部112は、上面部113に固定される。
【0036】
本実施形態では、側面部112は、第1側面部1121と、開閉カバー11を閉じた状態で第1側面部1121の下側に連なる第2側面部1122と、を有する。この例では、側面部112は、概ね上下に二等分された第1側面部1121と、第2側面部1122とを有する。
【0037】
第1側面部1121と第2側面部1122とは、複数(例えば5個)のヒンジ1123によって連結されている。第2側面部1122は、第1側面部1121に対してヒンジ1123を中心に回動可能に支持される。図2に示すように、開閉カバー11は、一部(第2側面部1122)が開閉可能である。また、図3に示すように、開閉カバー11は、全体が一体的に開閉可能である。
【0038】
図3に示すように、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。具体的には、筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で内部空間の一の側面が開放される。図3に示すように、内部空間は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を有する。つまり、筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で第1空間14と第2空間16とが露出するように構成されている。
【0039】
この構成により、第1空間14及び第2空間16の作業者から見て手前側が開放される。開閉カバー11を開くことにより、ロールT(ロール状の連続体M)を支持する支持軸301の開放端側(内側側面部124とは逆側)が開放されるので、インクリボンRや連続体Mの交換とユニット内部のメンテナンスとが可能になる。開閉カバー11の開放方向は、開閉カバー11を開けた際に手前側空間が開放される方向である。
【0040】
プリンタ100の内部を説明する。図3に示すように、プリンタ100の内部には、その後方に配置された印字媒体供給部30と、前方に配置された印字部20及び通信部40と、その上方に配置されたインクリボン部34と、機能部材50と、が設けられている。
【0041】
本実施形態の印字部20は、印字用インクが塗布されたインクリボンRのインクを転写して連続体Mに印字を行う熱転写方式を採用している。印字部20は、感熱発色方式であってもよい。
【0042】
連続体Mは、巻回されてロールTを形成し、印字媒体供給部30に保持され、ロールTから順次繰り出されて搬送方向に搬送される。連続体Mの搬送方向に沿って、印字部20を基準として印字媒体供給部30側を上流側といい、その反対側を下流側という。印字媒体供給部30は、最上流側に位置する。
【0043】
印字部20は、印字ヘッド部22と、その下方に配置されたプラテンローラ24及び下側ガイド部(図示せず)と、それらの後方に配置されたダンパ機構26と、を備える。ダンパ機構26は、印字ヘッド部22及びプラテンローラ24の上流側に配置されている。
【0044】
下側ガイド部は、前後方向に延在し、搬送される連続体Mをガイドする部材である。
【0045】
印字ヘッド部22は、その前方部が後方の回転軸225を中心に上下方向に揺動可能に支持される。印字ヘッド部22は、プラテンローラ24に対して開いた開状態(実線で示す)と、プラテンローラ24に対して閉じた閉状態(破線で示す)と、を有する。つまり、印字ヘッド部22は、揺動することにより開状態と閉状態との間で切り換え可能に構成されている。
【0046】
印字ヘッド部22の近傍には、印字ヘッド部22が閉状態であることを検出する印字ヘッド部位置検出センサ(図示せず)が設けられている。
【0047】
開状態では、印字ヘッド部22の前方部が持ち上がってプラテンローラ24から離間する。この状態では、連続体M及びインクリボンRのセッティングや交換が可能になる。
【0048】
閉状態では、印字ヘッド部22の前方部が下がり、ヘッド本体221の前方下部に設けられたサーマルヘッド222が、連続体MとインクリボンRとを挟んでプラテンローラ24と対向する。換言すると、連続体Mは、サーマルヘッド222とプラテンローラ24との間に、インクリボンRとともに挟持される。閉状態の場合に、印字ヘッド部22と、プラテンローラ24及び下側ガイド部と、の間に、連続体Mの搬送路Pである通紙ルートが形成される。通紙ルートの下流側に排出口106が設けられている。
【0049】
プラテンローラ24は、印字媒体供給部30から繰り出された連続体Mを通紙ルートに沿って排出口106へ搬送する搬送手段である。プラテンローラ24の表面は硬質ゴム等の弾性材料により被覆されている。プラテンローラ24は、正逆回転可能に、閉状態のサーマルヘッド222と上下に対向するように配設されている。
【0050】
プラテンローラ24は、モータと回転伝達機等とで構成される駆動機構(図示せず)により回転駆動される。印字ヘッド部22が閉状態で、プラテンローラ24が正回転することにより、連続体Mは排出口106に向かって搬送される。つまり、印字ヘッド部22とプラテンローラ24とは、連続体Mを挟持搬送する搬送部7を構成する。
【0051】
連続体Mの通紙ルートにおいてサーマルヘッド222とダンパ機構26との間には、印字媒体位置検出センサ(図示せず)が設けられている。印字媒体位置検出センサは、連続体Mに設けられた位置検出マーク(図示せず)を検出することにより、連続体Mの無線タグ6の位置を検出する。印字媒体位置検出センサは、例えば、光反射型又は光透過型のセンサにより構成できる。
【0052】
ダンパ機構26は、連続体Mに張力を付与する機構である。本実施形態のダンパ機構26は、第1ダンパローラ261と、第1ダンパローラ261よりも上流側に設けられた第2ダンパローラ262と、を有する。第1ダンパローラ261及び第2ダンパローラ262は、印字ヘッド部22の閉状態時に連続体Mに張力を付与するように、揺動可能に支持されている。
【0053】
インクリボン部34は、印字用インクを塗布したインクリボンRを供給し、巻き取る機構である。インクリボン部34は、リボン供給部341と、その前方に配置されたリボン巻取部342とを備える。
【0054】
リボン供給部341は、ロール状に巻回されたインクリボンRを回転自在に支持する機構である。
【0055】
リボン巻取部342は、印字済みのインクリボンRを巻き取り回収する機構である。
【0056】
インクリボンRは、リボン供給部341から引き出され、印字ヘッド部22の下を通り、リボン巻取部342によって巻き取られる。
【0057】
連続体Mを説明する。図4に示すように、連続体Mは、複数の無線タグ6と、複数の無線タグ6を支持する帯状の台紙Sと、を有する。台紙Sには、その長手方向に沿って所定の間隔で複数の無線タグ6が仮着されている。
【0058】
無線タグ6を剥離容易にするため、台紙Sの表面(無線タグ6の粘着面が接触する面)には、シリコーン等の剥離剤がコーティングされている。台紙Sの裏面(無線タグ6が貼り付けられていない面)には、無線タグ6の位置を示す位置検出マーク(図示せず)が設けられている。
【0059】
無線タグ6は、電子回路部6Aと、電子回路部6Aの表側に積層される上紙6Bと、を有し、粘着剤6Cによって台紙Sに貼り付けられている。上紙6Bは、この例では普通紙である。上紙6Bは、感熱紙であってもよい。プリンタ100が感熱発色方式である場合は、上紙6Bは感熱紙とされる。
【0060】
図3に示すように、印字媒体供給部30は、連続体MのロールTを保持し、連続体Mを印字部20に供給する。
【0061】
印字媒体供給部30は、支持軸301と、その一端に設けられたロールガイド部302と、を備える。支持軸301は、連続体MのロールTを回転自在の状態で支持する構成部である。ロールガイド部302は、連続体MのロールTを固定する構成部である。ロールガイド部302は、連続体Mの幅方向の長さに応じて位置を変えられるように、支持軸301の軸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0062】
図4の例では、ロールTは、裏巻きである。裏巻きでは、無線タグ6が連続体Mの内側に位置する状態で巻回される。よって、裏巻きでは、無線タグ6は、ロールTの外周表面に露出しない。裏巻きでは、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも後方位置から下方に向けて繰り出される。
【0063】
なお、ロールTは、表巻きであってもよい。表巻きでは、無線タグ6が連続体Mの外側に位置する状態で巻回される。よって、表巻きでは、無線タグ6は、ロールTの外周表面に露出する。表巻きでは、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される(図13図14参照)。
【0064】
ロールTが表巻きでも裏巻きでも、印字部20の連続体Mの通紙ルートは同じである。また、ロールTが表巻きでも裏巻きでも、連続体Mは無線タグ6が仮着された面を上に向けた状態で搬送される。連続体Mの無線タグ6が仮着された面を印字面という場合がある。
【0065】
プリンタ100は、印字媒体供給部30からシート状に繰り出された連続体Mが、ダンパ機構26を介して、印字ヘッド部22とプラテンローラ24との間の通紙ルートに搬送される。プリンタ100は、連続体Mが搬送される間に、印字媒体位置検出センサにより検出された情報に基づいたタイミングで、サーマルヘッド222の発熱体を所定パターンで発熱させる。この結果、文字、記号、図形、バーコード等が連続体Mの無線タグ6に印字される。印字後、無線タグ6(連続体M)は、排出口106からプリンタ100の外部に排出される。
【0066】
電子回路部6Aは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びタグ側通信回路等を有するICチップ(図示せず)と、通信用のタグ側アンテナ(図示せず)と、を有する。
【0067】
本実施形態の無線タグ6は、Bluetooth(登録商標)の低消費電力の通信モードであるBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式を採用している。この場合、NFC(登録商標)(Near Field Comunication)よりも通信可能距離が長く、Wi-Fi(登録商標)よりも消費電力が小さい。
【0068】
無線タグ6は、通信部40のアンテナ42からの所定通信電波により無線タグ6内で起電した電力が所定電力以上になると起動する(電子回路部6Aが動作する)ように構成されており、バッテリを使用しない。
【0069】
無線タグ6は、起動している状態では、通信部40と通信するための電波を発信する。つまり、無線タグ6は、起動している状態では通信部40と通信可能であり、起動していない状態では通信部40と通信不能である。
【0070】
図5は、連続体Mを幅方向(図3におけるX方向)から見た場合の無線タグ6の通信特性について説明するための図である。具体的には、図5は、無線タグ6がYZ平面上に位置する状態でYZ平面上におけるX軸に直交する各方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合の、各方向毎のRSSI(Received Signal Strength Indicator)を示している。
【0071】
図5では、矢印で示す特定方向から無線タグ6に対して所定通信電波を供給した場合は、RSSIが示されていない。これは、特定方向からの所定通信電波では無線タグ6内で起電した電力が所定電力以上にならず、無線タグ6が起動しないことを意味する。
【0072】
また、図5から分かるように、厳密に特定方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合に限らず、特定方向に沿う方向から無線タグ6に所定通信電波を供給した場合も、無線タグ6は起動しない。つまり、本実施形態の無線タグ6は、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能である。なお、特定方向は、図5に示すように、無線タグ6を基準として、一方から他方への方向と、他方から一方への方向と、を含む。また、特定方向自体も特定方向に沿うことから、特定方向に沿う方向には、特定方向自体も含まれる。
【0073】
このように、無線タグ6は、所定通信電波が届く範囲内であっても、特定方向に沿う方向からの所定通信電波では起動不能に構成されている。
【0074】
通信部40を説明する。通信部40は、所定通信電波を発生させるアンテナ42と、アンテナ42に接続される通信回路44と、を含む。アンテナ42は、下側ガイド部に内包されていてもよい。
【0075】
通信部40は、アンテナ42を用いてアンテナ42と対向する位置において通信対象の無線タグ6である連続体Mの中の1つの無線タグ6と無線通信する。
【0076】
次に、制御ユニット2を説明する。制御ユニット2は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等で構成される。制御ユニット2は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。制御ユニット2には、入出力インターフェースを介して、図示しない外部のコンピュータ等からの印字指示データ(発行指示データ)、印字媒体位置検出センサの検出信号、印字ヘッド部位置検出センサの検出信号、等が入力される。制御ユニット2は、メモリに格納されているプログラムをCPUによって実行し、サーマルヘッド222、プラテンローラ24を駆動するモータ、通信部40等の動作を制御する。制御ユニット2が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0077】
制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信する。制御ユニット2は、無線タグ6に書き込まれている情報を読み取る読み取り装置として機能する。制御ユニット2は、無線タグ6に所定の情報を書き込む書き込み装置として機能する。制御ユニット2は、書き込み装置としての機能を有していなくてもよい。例えば、無線タグ6が読み取り専用である場合は、制御ユニット2は、読み取り装置としての機能のみを有していればよい。
【0078】
制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信する際は、所定サイクルタイムでアンテナ42から所定通信電波を繰り返し出力させて通信対象の無線タグ6を起動させる。
【0079】
所定サイクルタイムは、例えば、15[msec]程度である。制御ユニット2は、例えば、所定サイクルタイムのうち最初の10[msec]は所定通信電波を出力し、残りの時間は、所定通信電波を出力せずに無線タグ6からの電波(ファーストパケット及びRSSI)の返送を待機する。所定サイクルタイムは、プリンタ100の諸元、無線タグ6の諸元、実験結果、等に基づいて予め設定される。また、所定サイクルタイムは適宜変更可能である。
【0080】
無線タグ6からの電波の返送を待機する待機時間を設けるのは、無線タグ6を起電させて起動した無線タグ6が電波を出力するまでの時間がある程度必要であるのに対して、仮に、所定通信電波を出力し続けると、結果的に所定通信電波が過剰に出力されて別の無線タグ6に影響を及ぼす可能性があるからである。
【0081】
制御ユニット2は、通信対象の無線タグ6と通信部40との通信が成立しないまま所定時間を経過した場合は、アンテナ42からの所定通信電波の出力を停止する。この場合、制御ユニット2は、通信部40との通信が成立しなかった無線タグ6を不具合品と判定する。所定時間は、例えば、5[sec]である。
【0082】
ところで、無線タグ6は、個々の起電性能は一定ではなくばらつきがある。具体的には、起電性能が低く、起動するまでに比較的時間を要する無線タグ6が存在する。そのため、制御ユニット2は、起電性能が低い無線タグ6とも速やかに通信ができるように、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を調整する電波調整機能を有する。
【0083】
また、プリンタ100は、複数の無線タグ6を連続して発行する場合に、発行速度(スループット)、消費電力、無線タグ6の品質、等を考慮して、電波調整機能を適宜使い分けることができるようになっている。
【0084】
具体的には、本実施形態のプリンタ100は、4つの連続発行モード(第1モードから第4モード)を有する。制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードに従って、複数の無線タグ6と連続的に通信を行う連続通信処理を実行する。
【0085】
以下、制御ユニット2が実行する各種処理について、図6図8を参照しながら説明する。
【0086】
図6は、制御ユニット2が実行する第1通信処理の内容を示すフローチャートである。図7は、制御ユニット2が実行する第2通信処理の内容を示すフローチャートである。図8は、制御ユニット2が実行する連続通信処理の内容を示すフローチャートである。なお、無線タグ6に印字を行う場合は、制御ユニット2は、これらの処理と平行して適宜印字処理を実行する。
【0087】
まず、図6を参照しながら第1通信処理について説明する。第1通信処理は、1つの無線タグ6と通信を行うための処理である。第1通信処理には、電波調整機能を実現するための電波調整処理が含まれる。
【0088】
ステップS101では、制御ユニット2は、メモリに記憶されている第1設定値に基づいて、通信部40を用いてアンテナ42から所定通信電波を出力する。
【0089】
第1通信処理を開始して最初の電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力(電力の大きさ)及び所定通信電波のデューティ比(所定通信電波を出力する時間/所定サイクルタイム)は、第1設定値の初期値として制御ユニット2のメモリに記憶されている。初期値は、プリンタ100の諸元、無線タグ6の諸元、実験結果、等に基づいて予め設定される。また、初期値は適宜変更可能である。
【0090】
ステップS102では、制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波(ファーストパケット及びRSSI)を受信したか判定する。
【0091】
制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波を受信したと判定すると、処理をステップS103に進める。また、制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波を受信していないと判定すると、処理をステップS106に進める。
【0092】
ステップS103では、制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低いか判定する。
【0093】
制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低いと判定すると、処理をステップS105に進める。また、制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低くないと判定すると、処理をステップS104に進める。
【0094】
ステップS105では、制御ユニット2は、無線タグ6を不具合品と判定する。
【0095】
この場合は、例えば、印字部20によって、不具合品であることを示す情報を無線タグ6に印字してもよい。また、プリンタ100をエラー状態にして停止させてもよい。
【0096】
ステップS104では、制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信(読み取り及び/又は書き込み)する。
【0097】
S104では、制御ユニット2は、無線タグ6に書き込まれている情報の読み取りのみを行う場合は、電波を出力しない。また、制御ユニット2は、無線タグ6に所定の情報を書き込む場合は、通信部40を用いてアンテナ42から書き込み用通信電波を出力する。
【0098】
ステップS106では、制御ユニット2は、第1通信処理を開始してから所定時間が経過したか判定する。所定時間は、例えば、5[sec]である。また、所定時間は適宜変更可能である。第1通信処理を開始してから経過した時間は、例えば、CPUの計時機能を用いて計測される。
【0099】
制御ユニット2は、第1通信処理を開始してから所定時間が経過したと判定すると、処理をステップS105に進める。また、制御ユニット2は、第1通信処理を開始してから所定時間が経過していないと判定すると、処理をステップS107に進める。
【0100】
ステップS107では、制御ユニット2は、所定通信電波の出力が所定上限値か判定する。所定通信電波の出力の所定上限値は、プリンタ100の諸元、無線タグ6の諸元、実験結果、法律や規制、等に基づいて予め設定される。また、所定通信電波の出力の所定上限値は適宜変更可能である。
【0101】
制御ユニット2は、所定通信電波の出力が所定上限値であると判定すると、処理をステップS108に進める。また、制御ユニット2は、所定通信電波の出力が所定上限値でないと判定すると、処理をステップS110に進める。
【0102】
ステップS110では、制御ユニット2は、所定通信電波の出力が大きくなるように第1設定値を変更し、処理をステップS101に進める。ステップS110で所定通信電波の出力を大きくする量は、実験等により予め設定される。例えば、出力が1[dbm]大きくなるように第1設定値を変更してもよいし、数[dbm]大きくなるように第1設定値を変更してもよい。また、所定通信電波の出力を大きくする量は適宜変更可能である。
【0103】
ステップS108では、制御ユニット2は、所定通信電波のデューティ比が所定上限値か判定する。所定通信電波のデューティ比の所定上限値は、プリンタ100の諸元、無線タグ6の諸元、実験結果、等に基づいて予め設定される。また、所定通信電波のデューティ比の所定上限値は適宜変更可能である。
【0104】
制御ユニット2は、所定通信電波のデューティ比が所定上限値であると判定すると、処理をステップS101に進める。また、制御ユニット2は、所定通信電波の出力が所定上限値でないと判定すると、処理をステップS109に進める。
【0105】
ステップS109では、制御ユニット2は、所定通信電波のデューティ比が大きくなるように第1設定値を変更し、処理をステップS101に進める。ステップS109で所定通信電波のデューティ比を大きくする量は、実験等により予め設定される。また、所定通信電波のデューティ比を大きくする量は適宜変更可能である。
【0106】
図6に示す例では、所定通信電波の出力を大きくする余地がある場合は、所定通信電波の出力を優先して大きくし、所定通信電波の出力が所定上限値である場合は、所定通信電波のデューティ比を大きくするようになっている。
【0107】
しかしながら、所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との両方を同時に大きくするようにしてもよいし、所定通信電波のデューティ比を優先して大きくするようにしてもよい。所定通信電波の出力を大きくする余地がある場合は、所定通信電波のデューティ比よりも所定通信電波の出力を優先して大きくすることで、無線タグ6の発行速度を効率よく高めることができる。
【0108】
このように、第1通信処理では、制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルに続く電波出力サイクル(後続電波出力サイクル)おける所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を大きくする。これによれば、起電性能が低い無線タグ6でも速やかに起動するように、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整することができる。
【0109】
続いて、図7を参照しながら第2通信処理について説明する。第2通信処理は、1つの無線タグ6と通信を行うための処理である。第2通信処理は、電波調整機能を実現するための電波調整処理が含まれない点が第1通信処理と相違する。
【0110】
ステップS201では、制御ユニット2は、メモリに記憶されている第2設定値に基づいて、通信部40を用いてアンテナ42から所定通信電波を出力する。第2設定値は固定値である。
【0111】
第2通信処理における所定通信電波の出力及び所定通信電波のデューティ比は、第2設定値として制御ユニット2のメモリに記憶されている。第2設定値は、プリンタ100の諸元、無線タグ6の諸元、実験結果、等に基づいて予め設定される。また、第2設定値は適宜変更可能である。
【0112】
また、図8に示す連続通信処理では、制御ユニット2は、複数の無線タグ6を連続して発行する途中で、第2設定値を自動的に設定する。これについては後で詳しく説明する。
【0113】
ステップS202では、制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波(ファーストパケット及びRSSI)を受信したか判定する。
【0114】
制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波を受信したと判定すると、処理をステップS203に進める。また、制御ユニット2は、所定サイクルタイム内に通信部40が無線タグ6から電波を受信していないと判定すると、処理をステップS206に進める。
【0115】
ステップS203では、制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低いか判定する。
【0116】
制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低いと判定すると、処理をステップS205に進める。また、制御ユニット2は、通信部40が無線タグ6から受信したRSSIが所定下限値よりも低くないと判定すると、処理をステップS204に進める。
【0117】
ステップS205では、制御ユニット2は、無線タグ6を不具合品と判定する。
【0118】
この場合は、例えば、印字部20によって、不具合品であることを示す情報を無線タグ6に印字してもよい。また、プリンタ100をエラー状態にして停止させてもよい。
【0119】
ステップS204では、制御ユニット2は、通信部40を用いて無線タグ6と通信(読み取り及び/又は書き込み)する。
【0120】
S204では、制御ユニット2は、無線タグ6に書き込まれている情報の読み取りのみを行う場合は、電波を出力しない。また、制御ユニット2は、無線タグ6に所定の情報を書き込む場合は、通信部40を用いてアンテナ42から書き込み用通信電波を出力する。
【0121】
ステップS206では、制御ユニット2は、第2通信処理を開始してから所定時間が経過したか判定する。所定時間は、例えば、5[sec]である。また、所定時間は適宜変更可能である。第2通信処理を開始してから経過した時間は、例えば、CPUの計時機能を用いて計測される。
【0122】
制御ユニット2は、第2通信処理を開始してから所定時間が経過したと判定すると、処理をステップS205に進める。また、制御ユニット2は、第2通信処理を開始してから所定時間が経過していないと判定すると、処理をステップS201に進める。
【0123】
このように、第2通信処理では、制御ユニット2は、固定値である第2設定値に基づいて、通信部40を用いてアンテナ42から所定通信電波を出力する。これによれば、第1通信処理と比べて、CPUの処理コストを低減できる。
【0124】
続いて、図8を参照しながら連続通信処理について説明する。連続通信処理は、プリンタ100が連続発行モードに設定されている場合において、プリンタ100の電源がONになった場合及び/又はプリンタ100に連続体Mが装填された場合に開始される。
【0125】
制御ユニット2は、例えば、印字ヘッド部22が開状態から閉状態になった場合に、プリンタ100に連続体Mが装填されたと判定する。なお、プリンタ100に連続体Mを装填する場合としては、新しい連続体Mに交換する場合と、連続体Mを交換することなく装填し直す場合と、がある。
【0126】
連続発行モードは、複数の無線タグ6と連続的に通信を行うモードである。つまり、連続通信処理は、複数の無線タグ6を連続して発行する場合に用いられる。プリンタ100は、連続発行モードとして、第1モードから第4モードを有する。
【0127】
ステップS301では、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモード(プリンタ100の現在のモード)が第1モードか判定する。
【0128】
制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第1モードであると判定すると、処理をステップS302に進める。また、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第1モードでないと判定すると、処理をステップS303に進める。
【0129】
ステップS302では、制御ユニット2は、外部のコンピュータ等からの発行指示データに従って発行される全ての無線タグ6に対して第1通信処理を実行する。つまり、第1モードでは、制御ユニット2は、複数の無線タグ6それぞれに対して電波調整処理を実行する。
【0130】
これによれば、発行する全ての無線タグ6に対して、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整できる。よって、起電性能が低い無線タグ6が存在していても、発行速度の低下を抑制できる。また、歩留まりの向上を図ることができる。
【0131】
ステップS303では、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第2モードか判定する。
【0132】
制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第2モードであると判定すると、処理をステップS304に進める。また、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第2モードでないと判定すると、処理をステップS305に進める。
【0133】
ステップS304では、制御ユニット2は、外部のコンピュータ等からの発行指示データに従って発行される全ての無線タグ6に対して第2通信処理を実行する。つまり、第2モードでは、制御ユニット2は、複数の無線タグ6それぞれに対して、固定値である第2設定値に基づいて、通信部40を用いてアンテナ42から所定通信電波を出力する。
【0134】
第2モードは、所定通信電波の調整を行わなくとも安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高い場合、すなわち、連続体Mが有する複数の無線タグ6の品質が高い場合に好適である。
【0135】
ステップS305では、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第3モードか判定する。
【0136】
制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第3モードであると判定すると、処理をステップS306に進める。また、制御ユニット2は、プリンタ100に設定されているモードが第3モードでないと判定すると、処理をステップS309に進める。プリンタ100に設定されているモードが第3モードでないと判定された場合のプリンタ100のモードは、第4モードである。
【0137】
ステップS306では、制御ユニット2は、外部のコンピュータ等からの発行指示データに従って発行される複数の無線タグ6のうち、連続体Mにおける先頭の無線タグ6から数えて所定数の無線タグ6に対して第1通信処理を実行する。所定数は、予め設定される任意の数である。また、所定数は適宜変更可能である。
【0138】
プリンタ100に連続体Mが装填されたことにより連続通信処理が開始された場合は、連続体Mにおける先頭の無線タグ6は、プリンタ100に連続体Mを装填した後に最初に通信部40が無線通信する通信対象の無線タグ6である。この場合は、通常は、連続体Mの先端(最下流側)に位置する無線タグ6が先頭の無線タグ6となる。
【0139】
プリンタ100の電源がONになったことにより連続通信処理が開始された場合は、連続体Mにおける先頭の無線タグ6は、プリンタ100の電源をONにした後に最初に通信部40が無線通信する通信対象の無線タグ6である。
【0140】
ステップS307では、制御ユニット2は、所定数の無線タグ6のうち起動するまでの時間が最も長かった無線タグ6が起動した電波出力サイクルにおける第1設定値(以下、最終設定値という。)を、第2通信処理における第2設定値として採用する。なお、「起動するまでの時間が最も長い」とは、電波(ファーストパケット及びRSSI)を受信するまでの時間が最も長いことを意味する。
【0141】
ステップS308では、制御ユニット2は、残りの無線タグ6に対して第2通信処理を実行する。
【0142】
このように、第3モードでは、連続体Mにおける先頭の無線タグ6から数えて所定数の無線タグ6のうち最も起電性能が低い無線タグ6に対する所定通信電波の調整結果である最終設定値が、残りの無線タグ6に対して実行される第2通信処理の第2設定値として用いられる。
【0143】
これによれば、残りの無線タグ6に対しては、所定通信電波の調整を行わなくとも安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高まる。
【0144】
ステップS309では、制御ユニット2は、外部のコンピュータ等からの発行指示データに従って発行される複数の無線タグ6のうち、連続体Mにおける先頭の無線タグ6に対して第1通信処理を実行する。
【0145】
ステップS310では、制御ユニット2は、先頭の無線タグ6の最終設定値を、第2通信処理における第2設定値として採用する。
【0146】
ステップS311では、制御ユニット2は、残りの無線タグ6に対して第2通信処理を実行する。
【0147】
このように、第4モードでは、連続体Mにおける先頭の無線タグ6に対する所定通信電波の調整結果である最終設定値が、残りの無線タグ6に対して実行される第2通信処理の第2設定値として用いられる。
【0148】
これによれば、残りの無線タグ6に対しては、所定通信電波の調整を行わなくとも安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高まる。
【0149】
第3モードと第4モードとを比較すると、第3モードのほうが、残りの無線タグ6について安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高い。そのため、第3モードと第4モードとは、連続体Mが有する複数の無線タグ6の品質に応じて使い分けることが考えられる。
【0150】
図8に示す例では、第3モードのステップS307において、所定数の無線タグ6のうち起動するまでの時間が最も長かった無線タグ6の最終設定値を、第2通信処理における第2設定値として採用している。しかしながら、例えば、所定数の無線タグ6それぞれの最終設定値の平均値を、第2通信処理における第2設定値として採用してもよい。
【0151】
図9図10を参照して、アンテナ42について説明する。図9は、アンテナ42周辺を示す模式図である。図9では、通信対象の無線タグ6に「(1)」を付し、通信対象でない別の無線タグ6に「(2)」を付して区分する。図10は、アンテナ部電波吸収体45について説明するための図である。
【0152】
上述したように、プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6(1)と通信するとき、アンテナ42からの電波(所定通信電波)が、通信対象の無線タグ6(1)よりも上流側に位置する別の無線タグ6(2)や下流側に位置する別の無線タグ6(2)に届く場合がある。この場合、アンテナ42からの電波が、別の無線タグ6(2)に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6(2)が誤動作する可能性がある。このような誤動作を防止する観点から、別の無線タグ6(2)への電波の影響を低減できることが望ましい。
【0153】
そこで、本実施形態では、図9に示すように、アンテナ42を、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置している。
【0154】
詳しく説明すると、本実施形態のプリンタ100は、通信対象の無線タグ6(1)周辺の複数の無線タグ6について、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)と通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)とを繋ぐ方向が特定方向となるように、搬送路Pが形成されている。
【0155】
アンテナ42は、連続体Mにおける無線タグ6が設けられた面とは反対側の面側に設けられる。
【0156】
アンテナ42は、平面状に形成されており、通信対象の無線タグ6(1)と対向する位置において、連続体Mに近接して、通信対象の無線タグ6(1)に対して平行に配置される。アンテナ42を通信対象の無線タグ6(1)に対して平行に配置するのは、アンテナ42の平面に垂直な方向がアンテナ42の電波が最も強く出力される方向だからである。
【0157】
つまり、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)に対しては、無線タグ6(1)が高いRSSIを示す位置(図5における無線タグ6の直下)及び姿勢で配置されている。
【0158】
アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)に対しては、当該無線タグ6(2)が起動しない方向、すなわち、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0159】
また、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対しては、当該無線タグ6(2)が起動しない方向、すなわち、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0160】
つまり、アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0161】
そのため、本実施形態では、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)は起動不能であり、通信部40と通信することはない。よって、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性を低減できる。
【0162】
本実施形態では、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)よりもさらに上流側に位置する少なくとも1つの無線タグ6(2)に対しても、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0163】
また、アンテナ42は、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)よりもさらに下流側に位置する少なくとも1つの無線タグ6(2)に対しても、特定方向に沿う方向に配置されている。
【0164】
つまり、アンテナ42は、搬送路Pにおいて通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の上流側に位置する複数の無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の下流側に位置する複数の無線タグ6(2)に対して、特定方向に沿う方向に位置する。
【0165】
そのため、本実施形態では、通信対象の無線タグ6(1)と隣り合う2つの無線タグ6(2)以外にも起動しない無線タグ6(2)が存在する。よって、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性をさらに低減できる。
【0166】
なお、アンテナ42が少なくとも1つの無線タグ6(2)に対して特定方向に沿う方向に位置していれば、通信部40が通信対象の無線タグ6(1)以外の無線タグ6(2)と通信してしまう可能性を低減できる。
【0167】
よって、例えば、アンテナ42を、通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の上流側で隣り合う無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)と搬送方向の下流側で隣り合う無線タグ6(2)のいずれか一方に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置してもよい。
【0168】
また、アンテナ42を、通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の上流側に位置する複数の無線タグ6(2)及び通信対象の無線タグ6(1)よりも搬送方向の下流側に位置する複数の無線タグ6(2)のいずれか一方に対して、特定方向に沿う方向に位置するように配置してもよい。
【0169】
アンテナ42を挟んで連続体Mとは反対側には、アンテナ部電波吸収体45が設けられる。
【0170】
アンテナ部電波吸収体45及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロール等の誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料、等で形成される。
【0171】
アンテナ部電波吸収体45によってアンテナ42における連続体Mとは反対側の面(以下、下面という。)から出力される電波を吸収することにより、無線タグ6(2)への当該電波の影響を低減できる。
【0172】
具体的には、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42の下面に取り付けられたスペーサ46の表面に形成することでアンテナ42から離間して設けられる。スペーサ46は、樹脂等の電波への影響が少ない素材で形成される。
【0173】
アンテナ部電波吸収体45をアンテナ42から離間して設けるのは、アンテナ部電波吸収体45とアンテナ42とが近いと、アンテナ42における連続体M側の面(以下、上面という。)から出力される電波がアンテナ部電波吸収体45に吸収されて不安定になる可能性があるからである。そのため、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42から5mm程度離れていることが好ましい。なお、アンテナ部電波吸収体45をアンテナ42から離間して設けることができればよく、スペーサ46は必ずしも設けなくともよい。
【0174】
図9図10に示すように、アンテナ部電波吸収体45は、平面部45aと、平面部45aの周囲に設けられアンテナ42側に突出する側壁部45bと、を有し、容器状に形成されている。
【0175】
図9に示すように、アンテナ部電波吸収体45は、平面部45aが連続体Mと平行になるように配置される。すなわち、アンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42に対しても平行に配置されている。これにより、アンテナ42の下面から出力された電波を効率よく吸収できるので、アンテナ42の下面から出力された電波の無線タグ6(2)への影響を低減できる。
【0176】
さらに、アンテナ部電波吸収体45は、側壁部45bを有することで、アンテナ42の下面から出力された電波のうち斜め方向に拡散した電波も吸収することができる。つまり、本実施形態のアンテナ部電波吸収体45は、アンテナ42の下面から出力された電波が漏れにくい構造を有する。これにより、アンテナ42の下面から出力された電波の無線タグ6(2)への影響をさらに低減できる。
【0177】
また、アンテナ42の指向性は、通信対象の無線タグ6(1)の方向で最も強くなるように構成されるので、別の無線タグ6(2)への電波の影響をより低減できる。
【0178】
仕切部材51を説明する。仕切部材51は、通信部40が、複数の無線タグ6のうち通信部40と対向する1つの無線タグ6(図9に示す無線タグ6(1))のみと通信することができるように、内部空間を仕切る部材である。
【0179】
仕切部材51は、電波を効率的にシールドできることが望ましい。本実施形態では、第2空間16は、複数の無線タグ6のうち、第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6を囲む空間である。この場合、仕切部材51によって、上流側の無線タグ6を囲む空間である第2空間16への電波の影響を効率的に低減できる。第2空間16は、複数の無線タグ6のうち、第1空間14に収容される無線タグ6と、第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6と、を区分けするための空間である。
【0180】
図3に示すように、本実施形態の仕切部材51は2分割されており、一方が開閉カバー11に固定され、他方が筐体10の筐体本体部12に固定される。この例では、仕切部材51は、筐体10の筐体本体部12に固定される筐体側仕切部材51Aと、開閉カバー11に固定される開閉カバー側仕切部材51Bと、を含む。
【0181】
開閉カバー11を閉じた状態で、開閉カバー側仕切部材51Bは、筐体側仕切部材51Aと部分的に隣接する。具体的には、筐体側仕切部材51Aは、内側側面部124に固定されている。筐体本体部12は、開閉カバー11を支持する。
【0182】
図3において、開閉カバー11を閉じた状態の開閉カバー側仕切部材51Bを破線で示す。筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとは、互いに当接してもよいし、厚みより小さな隙間を介して対面してもよい。筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとは、機能的に一体化されてもよい。
【0183】
仕切部材51は、3個以上に分割されてもよい。特に、開閉カバー11を閉じた状態で、開閉カバー側仕切部材51Bは、筐体側仕切部材51Aと組み合わされて第1空間14及び第2空間16を仕切る。
【0184】
図3に示すように、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bのそれぞれの先端(固定される側とは反対側の端部)は、幅方向に対して傾斜する形状であってもよい(図示せず)。この場合、傾斜する形状であるため、開閉カバー11を閉じる際に、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bとが干渉せずに、開閉カバー11を閉じることができる。
【0185】
また、筐体側仕切部材51Aと開閉カバー側仕切部材51Bのそれぞれの先端は、鋭角ではなく丸みを帯びた形状であってもよい(図示せず)。丸みを帯びた形状であれば、連続体MやインクリボンRを交換する際に連続体MやインクリボンRが引っかかって損傷することを防止できる。
【0186】
図11は、仕切部材51の側面視の断面を示す模式図である。図11に示すように、本実施形態の仕切部材51は、仕切部金属体52を有する。この場合、電波をシールドすることにより第2空間16にある無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0187】
仕切部金属体52及び本明細書に説明する他の金属体は、鉄系金属やアルミニウム等で形成される。
【0188】
仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、所定の部分がねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0189】
図11に示すように、本実施形態の仕切部材51は、仕切部電波吸収体55を有する。この場合、電波を吸収することにより第2空間16にある無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部金属体52と仕切部電波吸収体55とは積層され一体化されている。
【0190】
仕切部電波吸収体55及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロール等の誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料、等で形成される。
【0191】
仕切部電波吸収体55は、仕切部金属体52の全長及び全幅に亘って設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。図11では、仕切部金属体52が仕切部電波吸収体55の前側に積層される例を示している。しかしながら、仕切部電波吸収体55が仕切部金属体52の前側に積層されてもよい。他の金属体と電波吸収体との積層体についても、積層の前後又は上下は任意に構成できる。
【0192】
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、通信部40の上流側に配置される上流側金属体53が設けられる。この場合、上流側金属体53によって、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0193】
上流側金属体53は、搬送路P上の連続体Mにおける印字面とは反対側の面側に設けられる。上流側金属体53は、仕切部材51よりも下流側において通信部40の上流側に隣接して設けられる。この場合、通信部40の上流側の無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0194】
本実施形態の上流側金属体53は、所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。
【0195】
上流側金属体53及び本明細書に説明する他の金属体は、例えば、鉄系金属やアルミニウム等で形成される。
【0196】
本実施形態では、上流側金属体53の面に沿って上流側電波吸収体54が設けられている。この場合、上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0197】
上流側電波吸収体54は、上流側金属体53の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。上流側金属体53を含めて、金属体と電波吸収体の積層体においては、積層の前後又は上下は任意に構成できる。
【0198】
上流側金属体53の幅方向の長さが連続体Mの幅方向の長さよりも小さいとシールド効果が不足する可能性がある。そこで、本実施形態では、上流側金属体53の幅方向の長さは、連続体Mの幅方向の長さに対応する。つまり、上流側金属体53の幅方向の長さと連続体Mの幅方向の長さとは、所定の対応関係を有する。
【0199】
例えば、上流側金属体53の幅方向の長さは、無線タグ6の幅方向の長さ以上であってもよいし、連続体Mの幅方向の長さ以上であってもよい。例えば、この対応関係は、上流側金属体53の幅方向範囲が、連続体Mの幅方向範囲をすべて含む関係であってもよい。この場合、シールド効果不足を小さくできる。
【0200】
図3に示すように、本実施形態では、第1空間14には、上流側金属体53の上流側に配置される延伸金属体67が設けられる。この場合、延伸金属体67によって、上流側金属体53よりも上流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0201】
延伸金属体67は、搬送路P上で上流側金属体53の上流側に隣接して配置される。延伸金属体67は、上流側金属体53に連続していてもよいし、隙間を挟んで離れていてもよい。延伸金属体67は、搬送路P上の連続体Mにおける印字面とは反対側の面側に設けられる。
【0202】
本実施形態の延伸金属体67は、所定の幅方向の長さを有し、上流側金属体53の直ぐ後(上流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、後方に向かって斜め下向きに延びる帯状の部材である。
【0203】
延伸金属体67の幅方向の長さは、上流側金属体53の幅方向の長さと異なっていてもよい。延伸金属体67の幅方向の長さは、少なくとも無線タグ6の電子回路部6Aの幅方向の長さを有していればよく、好ましくは印字ヘッド部22の幅方向の長さと同じであればよい。
【0204】
延伸金属体67の上流端は、筐体10の底面部123まで延びていてもよいし、底面部123に接してもよいし、底面部123から隙間を介して離れていてもよい。延伸金属体67の上流端は、第2ダンパローラ262の上流側まで延びていてもよい。
【0205】
また、筐体10の底面部123に底面部金属体58及び底面部電波吸収体59のいずれかの底面部材が設けられる場合は、延伸金属体67の上流端は、当該底面部材まで延びていてもよいし、当該底面部材に接してもよいし、当該底面部材から隙間を介して離れていてもよい。
【0206】
本実施形態では、延伸金属体67には、その表面に沿って延伸電波吸収体が設けられている。この場合、延伸金属体67近傍の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。延伸金属体67に設けられた延伸電波吸収体は、延伸金属体67の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0207】
延伸金属体67を備えることにより、搬送路P上で上流側金属体53の上流における無線タグ6が、余計な電波の影響を受けにくくすることができる。特に、無線タグ6の配設ピッチが小さいと、上流側金属体53の上流側の搬送路P上に複数の無線タグ6が位置する場合がある。延伸金属体67を備えることにより、このような場合に、無線タグ6に電波の影響を及ぼさないように電波を吸収させることができる。
【0208】
本実施形態では、通信部40の下流側に、下流側金属体61が設けられる。この場合、下流側金属体61によって、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。本実施形態の下流側金属体61は、所定の幅方向の長さを有し、通信部40の直ぐ前(下流側)から連続体Mの搬送路Pに沿って、前方に向かって延びる帯状の部材である。
【0209】
本実施形態では、下流側金属体61の面に沿って下流側電波吸収体62が設けられる。この場合、下流側の無線タグ6への電波の影響をより低減できる。下流側電波吸収体62は、下流側金属体61の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0210】
筐体10の内面に輻射された電波が反射して無線タグ6に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、筐体10は、閉じた状態で第1空間14を覆う開閉カバー11を有し、開閉カバー11には、第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65を含むカバー部電波吸収体が設けられる。この場合、第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65によって電波を吸収して反射電波の影響を減らせる。第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65は、所定の幅方向の長さを有する帯状の部材である。
【0211】
開閉カバー11の開閉方向は、連続体Mの搬送方向に直交する方向である。この例では、開閉カバー11の開閉方向は上下方向で、連続体Mの搬送方向は前後方向である。
【0212】
開閉カバー11の第1カバー部電波吸収体56及び第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11の内面に設けられる。
【0213】
第1カバー部電波吸収体56は、開閉カバー11を閉じた状態で搬送方向に直交する面に延在する。
【0214】
第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11を閉じた状態で連続体Mの幅方向に平行に延在する。
【0215】
本実施形態では、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の内面に貼り付けられる前面部電波吸収体である。例えば、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲に設けられる。
【0216】
本実施形態では、第2カバー部電波吸収体65は、開閉カバー11の側面部112に設けられる側面部電波吸収体である。図3において、開閉カバー11を閉じた状態の第2カバー部電波吸収体65を一点鎖線で示す。
【0217】
本実施形態では、第2カバー部電波吸収体65は、第2側面部1122を前後に2等分したときの前側の部分に貼られている。第2カバー部電波吸収体65は、第2側面部1122に沿った帯状の部材であり、所定の幅方向の長さを有し前後に延在する。
【0218】
第2カバー部電波吸収体65は、図2に示す状態で、横長の矩形を呈し、後方下側(図中で後方上側)が矩形に切り欠かれた形状を有する。
【0219】
第2カバー部電波吸収体65には、第2カバー部電波吸収体65の全長及び全幅に亘って第2カバー部金属体が積層され一体化されてもよいし、第2カバー部電波吸収体65の一部に第2カバー部金属体が積層され一体化されてもよい。本実施形態は、第2カバー部電波吸収体65を備えることにより、側面部112に輻射された電波の影響を低減できる。
【0220】
第2カバー部電波吸収体65は、仕切部材51の側部に配置され、開閉カバー11を閉じた状態で仕切部材51と部分的に隣接する。第2カバー部電波吸収体65と仕切部材51とは、互いに接触していてもよいし、僅かに離れていてもよい。この構成により、電波の漏れを低減できる。
【0221】
本実施形態では、筐体10の側面は、開閉カバー11が開かれた状態で開放される。筐体10は、開閉カバー11が開かれた状態で第1空間14及び第2空間16が露出する。この場合、容易に連続体Mを着脱でき、容易にインクリボンRを交換できる。インクリボンRや連続体Mの交換とユニット内部のメンテナンスが可能になる。
【0222】
本実施形態では、筐体10の底面(底面部123)に沿って底面部金属体58と底面部電波吸収体59との少なくとも1つが設けられる。この場合、底面部123に輻射された電波の影響を低減できる。
【0223】
底面部金属体58は、所定の幅方向の長さを有し前後に延在する帯状の部材である。底面部金属体58の前端は、上流側金属体53の後端よりも前方に位置し、底面部金属体58の後端は、仕切部材51の前端より後方に位置する。底面部電波吸収体59は、底面部金属体58の全長及び全幅に亘って積層され一体化されてもよいし、一部に積層され一体化されてもよい。
【0224】
以上のように構成された本実施形態に係るプリンタ100の主な構成及び作用効果について説明する。
【0225】
プリンタ100は、所定通信電波により起電した電力が所定電力以上になると起動する無線タグ6が所定間隔で複数設けられた連続体Mが搬送される搬送路Pと、所定通信電波を発生させるアンテナ42を用いてアンテナ42と対向する位置において通信対象の無線タグ6(1)である連続体Mの中の1つの無線タグ6と無線通信する通信部40と、通信部40の動作を制御して所定サイクルタイムでアンテナ42から所定通信電波を繰り返し出力させる制御ユニット2と、を備え、制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルよりも大きくする電波調整処理を実行する。
【0226】
これによれば、制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルに続く後続電波出力サイクルおける所定通信電波の出力と所定通信電波のデューティ比との少なくとも一方を大きくする。よって、起電性能が低い無線タグ6でも速やかに起動するように、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整できる。
【0227】
制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力が所定上限値でない場合は、後続電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力を大きくする。
【0228】
これによれば、無線タグ6の発行速度を効率よく高めることができる。
【0229】
制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力が所定上限値でない場合は、後続電波出力サイクルにおける所定通信電波のデューティ比を大きくしない。
【0230】
所定通信電波の出力を大きくする余地がある場合は、所定通信電波のデューティ比よりも所定通信電波の出力を優先して大きくすることで、無線タグ6の発行速度を効率よく高めることができる。
【0231】
制御ユニット2は、無線タグ6が起動しなかった電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力が所定上限値である場合は、後続電波出力サイクルにおける所定通信電波のデューティ比を大きくする。
【0232】
これによれば、所定通信電波の出力を大きくすることができない場合でも、無線タグ6の発行速度を効率よく高めることができる。
【0233】
制御ユニット2は、複数の無線タグ6それぞれに対して電波調整処理を実行する(第1モード)。
【0234】
これによれば、発行する全ての無線タグ6に対して、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整できる。よって、起電性能が低い無線タグ6が存在していても、発行速度の低下を抑制できる。また、歩留まりの向上を図ることができる。
【0235】
制御ユニット2は、連続体Mにおける先頭の無線タグ6に対して電波調整処理を実行し、先頭の無線タグ6が起動した電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力及び所定通信電波のデューティ比の最終設定値を、後続する複数の無線タグ6それぞれに対して出力する所定通信電波の第2設定値として用いる(第4モード)。
【0236】
これによれば、先頭の無線タグ6に後続する複数の無線タグ6、すなわち、残りの無線タグ6に対しては、所定通信電波の調整を行わなくとも安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高まる。
【0237】
制御ユニット2は、連続体Mにおける先頭の無線タグ6から数えて所定数の無線タグ6に対して電波調整処理を実行し、所定数の無線タグ6のうち起動するまでの時間が最も長かった無線タグ6が起動した電波出力サイクルにおける所定通信電波の出力及び所定通信電波のデューティ比の最終設定値を、後続する複数の無線タグ6それぞれに対して出力する所定通信電波の第2設定値として用いる(第3モード)。
【0238】
これによれば、連続体Mにおける先頭の無線タグ6から数えて所定数の無線タグ6に後続する複数の無線タグ6、すなわち、残りの無線タグ6に対しては、所定通信電波の調整を行わなくとも安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高まる。また、先頭の無線タグ6の最終設定値を第2設定値として用いる場合(第4モード)と比べて、安定した発行速度、歩留まりが得られる可能性が高い。
【0239】
先頭の無線タグ6は、プリンタ100に連続体Mを装填した後に最初に通信部40が無線通信する通信対象の無線タグ6(1)である。
【0240】
これによれば、プリンタ100に連続体Mを装填した場合に、装填された連続体Mが有する複数の無線タグ6の起電性能に合わせて、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整できる。
【0241】
先頭の無線タグ6は、プリンタ100の電源をONにした後に最初に通信部40が無線通信する通信対象の無線タグ6(1)である。
【0242】
これによれば、プリンタ100の電源がOFFの間にプリンタ100に連続体Mを装填した場合や、プリンタ100の電源がOFFの間にプリンタ100のメンテナンス等を行った場合に、装填された連続体Mが有する複数の無線タグ6の起電性能に合わせて、通信部40のアンテナ42から出力される所定通信電波を適切に調整できる。
【0243】
通信部40は、無線タグ6から情報を読み取り、無線タグ6に対する情報の書き込みを行わない。
【0244】
この場合は、プリンタ100は、無線タグ6に情報を書き込む書き込み装置としての機能を備えなくてもよい。よって、プリンタ100のコストを低減できる。
【0245】
プリンタ100は、無線タグ6に印字を行う印字部20を有する。
【0246】
これによれば、無線タグ6に、文字、記号、図形、又はバーコード等のような情報を印字することができる。
【0247】
プリンタ100は、内部空間を覆う筐体10と、筐体10の所定の内面と内部空間との少なくとも一方に設けられ、無線タグ6への電波の影響を低減する機能部材50と、を備える。
【0248】
これによれば、機能部材50を有することにより、電波による無線タグ6への影響を低減できる。
【0249】
無線タグ6は、通信方式がBluetooth(登録商標) Low Energyである。
【0250】
この場合、NFC(登録商標)(Near Field Comunication)よりも通信可能距離が長く、Wi-Fi(登録商標)よりも消費電力が小さい。
【0251】
[第2実施形態]
以下、図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るプリンタ100を説明する。第2実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0252】
図12は、第2実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図であり、図3に対応する。
【0253】
第2実施形態のプリンタ100は、第1実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0254】
第2実施形態のプリンタ100は、仕切部材51が一体に形成され、形状が異なる点で第1実施形態と相違する。
【0255】
図12に示すように、仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、前向部分521と、下向部分522と、湾曲部分523と、傾斜部分524と、を含む。
【0256】
前向部分521は、上面部113に近接する位置で前向きに延びる。
【0257】
下向部分522は、前向部分521の前端で屈曲して下向きに延びる。
【0258】
湾曲部分523は、下向部分522の下端から印字媒体供給部30の外周に対応して湾曲しながら下向きに延びる。
【0259】
傾斜部分524は、湾曲部分523の下端で前方に屈曲して斜め下向きに延びる。
【0260】
仕切部金属体52は、前向部分521と傾斜部分524とがねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0261】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態と同様の作用と効果を奏しうる。加えて、本実施形態のプリンタ100は、仕切部金属体52が一体であるため、部品点数が減り、組立が容易で、コスト的に有利である。
【0262】
[第3実施形態]
以下、図13図14を参照して、本発明の第3実施形態に係るプリンタ100を説明する。第3実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0263】
図13は、第3実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図であり、図3に対応する。
【0264】
図14は、表巻きの連続体Mを示す模式図である。図13では、無線タグ6が連続体Mの外側に位置する状態で巻回される表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは、印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0265】
第3実施形態のプリンタ100は、第1実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0266】
図13に示すように、本実施形態のプリンタ100は、追従部材64を備える点で第1実施形態と相違する。
【0267】
追従部材64は、連続体Mにおける通信部40よりも上流側の上流側部M2に接触する。特に、追従部材64は、連続体Mの動きに追従して連続体Mに接触する。
【0268】
プリンタ100の通信部40が通信対象の無線タグ6と通信するとき、アンテナ42からの電波が、通信対象の無線タグ6に後続する別の無線タグ6に届く場合がある。この場合、アンテナ42からの電波が、別の無線タグ6に影響を及ぼし、プリンタ100や別の無線タグ6が誤作動する可能性がある。このような誤作動を防止する観点から、別の無線タグ6への電波の影響を低減することが望ましい。そこで、本実施形態のプリンタ100は、連続体Mの通信部40よりも上流側の上流側部M2に接触して追従する追従部材64を備える。
【0269】
追従部材64は、通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の連続体Mに接触し、当接したまま連続体Mの動きに合わせて継続的に追従する。特に、追従部材64は、連続体Mの延伸方向に沿って連続体Mの表面に接触して、複数の無線タグ6に沿って連続的に追従している。
【0270】
追従部材64は、電波吸収体であってもよい。追従部材64は、アンテナ42に対向する無線タグ6の上流側の無線タグ6に当接するように設けられる。特に、追従部材64は、アンテナ42に対向する無線タグ6の上流側かつ隣り合う無線タグ6からそのさらに上流側にある無線タグ6に追従させるのが好ましい。
【0271】
追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされたロールTから解き離された連続体Mの部分に取り付けられている無線タグ6に追従させるのが好ましい。印字媒体供給部30にセットされたロールT自体は、無線タグ6が重なり合っているので実質的には電波には反応しないためである。
【0272】
本実施形態の追従部材64は、所定の幅方向の長さを有し、揺動支点642から揺動端(揺動支点642とは反対側の他端)643に向かって概ね上下に延びる帯状の部材である。追従部材64は、上流側部M2に接触する。この場合、上流側部M2までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。
【0273】
追従部材64の幅方向の長さは、無線タグ6の幅方向の長さ以上であってもよい。
【0274】
追従部材64は、追従部金属体又は追従部電波吸収体を有する。追従部材64及び本明細書に説明する他の電波吸収体は、例えば、導電性繊維の織物等の導電性電波吸収材料、カーボン粉等をゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロールなどの誘電体に混合した誘電性電波吸収材料、鉄、ニッケル、フェライト等の磁性材料からなる磁性電波吸収材料等で形成される。
【0275】
追従部材64の追従機構に制限はない。図13では、追従部材64は、揺動支点642を中心に揺動端643が揺動することにより上流側部M2に追従する。特に、この例の追従部材64は、重力の作用により上流側部M2に追従する。この場合、自重により追従するため、追従機構をシンプルに構成できる。追従部材64は、スプリング等の付勢部材に付勢されることにより上流側部M2に追従するように構成されてもよい。この場合、姿勢の変化に対して追従動作を安定化できる。
【0276】
図13に示すように、追従部材64の揺動端643は、ロールTから離れる方向(この例では前方)に反っている。この場合、揺動端643によるロールTの損傷を抑制できる。
【0277】
図13に示すように、本実施形態の追従部材64は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された連続体Mの一部と、印字媒体供給部30にセットされたロールTの一部と、を覆う形状を有する。この場合、追従部材64に覆われた部分への電波の影響を効果的に低減できる。
【0278】
図13では、外径最大時のロールT1を実線で示し、外径最小時のロールT2を破線で示している。図13に示すように、追従部材64は、印字媒体供給部30にセットされたロールTの外径変化又はロールTから引き出された連続体Mの位置変化に対応して揺動する。この場合、ロールTの外径変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。追従部材64は、前後方向及び上下方向の位置の変化に対応可能であってもよい。
【0279】
図13に示すように、追従部材64は、連続体Mの印字面に接触する。追従部材64は、プラテンローラ24及び印字ヘッド部22よりも連続体Mの搬送路Pにおける上流側で、連続体Mにおける印字ヘッド部22に対向する印字面に接触している。この場合、追従部材64から無線タグ6までの距離を最小化できるため、影響低減効果を向上できる。
【0280】
追従部材64は、連続体Mの印字面とは反対側の面に接触するように構成されてもよい。特に、追従部材64は、プラテンローラ24及び印字ヘッド部22よりも連続体Mの搬送路Pにおける上流側で連続体Mの印字面とは反対側の面に接触する構成であってもよい。この場合、追従部材64の印字面への影響を低減できる。
【0281】
追従部材64は、連続体Mに張力を付与するように構成されてもよい。この場合、連続体Mの弛みを低減して、搬送動作を安定化できる。
【0282】
図13に示すように、追従部材64の揺動支点642は、通信部40よりも上流側に設けられる。この場合、揺動支点642が通信部40の下流側に設けられる場合に比べて、追従部材64の配置の自由度が高くなり、追従部材64を上流側部M2の近くに配置できる。追従部材64の揺動支点642を、通信部40よりも下流側に設けてもよい。
【0283】
図13に示すように、追従部材64の揺動端643は、揺動支点642よりも上流側に設けられる。この場合、追従部材64を自重で上流側部M2に追従させることができる。
【0284】
図13に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mに張力を付与するためのダンパ機構26の上側に配置される。この場合、揺動支点642とダンパ機構26との干渉を防止できる。追従部材64の揺動支点642は、ダンパ機構26の下側に配置してもよい。この場合、追従部材64を長くして、電波吸収効果を向上できる。
【0285】
図13に示すように、追従部材64の揺動支点642は、連続体Mの幅方向に対応する幅を有する上流側金属体53と対向する。この場合、揺動支点642と上流側金属体53との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。
【0286】
図13では、追従部材64の揺動支点642は、底面部金属体58と対向する。この場合、揺動支点642と底面部金属体58との対向隙間を狭くして、この隙間から漏れる電波を抑制できる。
【0287】
本実施形態のプリンタ100は、第1実施形態と同様の作用効果を奏しうる。加えて、本実施形態のプリンタ100は、追従部材64で電波を吸収することによって、上流側部M2の無線タグ6への電波の影響を低減できる。また、追従部材64は、上流側部M2に接触して追従するため、上流側部M2の位置や形状の変化に追従して移動し、位置や形状の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。
【0288】
[第4実施形態]
以下、図15図17を参照して、本発明の第4実施形態に係るプリンタ100を説明する。第4実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0289】
上記各実施形態の説明では、開閉カバー11の上面部113に機能部材50が設けられない例を示したが、これに限定されない。例えば、機能部材50は、開閉カバー11の上面部113に設けられるカバー部電波吸収体としての第3カバー部電波吸収体57を含んでもよい。
【0290】
図15は、第4実施形態に係るプリンタ100の開閉カバー11を180°開いた状態を示す側面図である。図16は、図15のプリンタ100の開閉カバー11を90°開いた状態を示す側面図である。図17は、図15のプリンタ100の斜視図である。
【0291】
本実施形態のプリンタ100は、開閉カバー11の上面部113に設けられる第3カバー部電波吸収体57を備える。
【0292】
本実施形態では、開閉カバー11は、前面部111と、側面部112と、上面部113とを含む。
【0293】
前面部111は、印字ユニット1の前面に沿って主に上下に延在する板状の部分であり、印字ユニット1の前面の上側を覆う。
【0294】
上面部113は、前面部111の上端から後に向かって印字ユニット1の上面に沿って延在する板状の部分である。
【0295】
側面部112は、上面部113の右端から下に向かって印字ユニット1の右側面に沿って延在する板状の部分である。
【0296】
開閉カバー11は、上面部113の左端に設けられたヒンジ107により開閉可能に設けられている。ヒンジ107の一方側は、上面部113の左端に固定され、他方側は、内側側面部124の上端に固定される。この例では、前面部111及び側面部112は、上面部113に固定され、開閉カバー11は一体的に開閉する。
【0297】
筐体10の内面に輻射された電波が反射して無線タグ6に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、筐体10は、閉じた状態で第1空間14を覆う開閉カバー11を有し、開閉カバー11には、第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57が設けられる。この場合、第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57によって電波を吸収して反射電波の影響を減らせる。第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57は、所定の幅方向の長さを有する帯状の部材である。
【0298】
第1カバー部電波吸収体56及び第3カバー部電波吸収体57は、開閉カバー11の内面に設けられる。
【0299】
第1カバー部電波吸収体56は、開閉カバー11を閉じた状態で搬送方向に直交する面に延在する。
【0300】
第3カバー部電波吸収体57は、開閉カバー11を閉じた状態で連続体Mの幅方向に平行に延在する。
【0301】
本実施形態では、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の内面に貼り付けられる前面部電波吸収体である。例えば、第1カバー部電波吸収体56は、前面部111の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲に設けられる。
【0302】
本実施形態では、第3カバー部電波吸収体57は、上面部113の内面に貼り付けられる上面部電波吸収体である。例えば、第3カバー部電波吸収体57は、上面部113の前端近傍から後方に延在し、実質的に第1空間14の前後範囲に設けられる。
【0303】
第4実施形態に係るプリンタ100は、側面部112が一体(非分割)であり、第2カバー部電波吸収体65を有してない。本実施形態に係るプリンタ100に、図3の第2カバー部電波吸収体65を設けてもよいし、側面部112を複数に分割してもよい。
【0304】
第3カバー部電波吸収体57は、仕切部材51の上部に配置され、開閉カバー11を閉じた状態で仕切部材51と部分的に隣接する。第3カバー部電波吸収体57と仕切部材51とは、互いに接触していてもよいし、僅かに離れていてもよい。この構成により、電波の漏れを低減できる。
【0305】
[第5実施形態]
以下、図18図19を参照しながら本発明の第5実施形態に係るプリンタ100を説明する。第5実施形態の図面及び説明では、第4実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第4実施形態と重複する説明を適宜省略し、第4実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0306】
図18は、第5施形態に係るプリンタ100の開閉カバー11を90°開いた状態を示す側面図である。図19は、図18のプリンタ100の内部を示す側面図である。
【0307】
本実施形態では、表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0308】
本実施形態のプリンタ100は、第4実施形態に対して、仕切部材51を備えてない点と、追従部材64を備える点と、が相違し、他の構成は同様である。
【0309】
本実施形態の機能部材50は、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第3カバー部電波吸収体57、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を含む。
【0310】
本実施形態では、上流側金属体53は、追従部材64よりも下流側において通信部40の上流側に隣接して設けられる。
【0311】
また、底面部金属体58の前端は、上流側金属体53の後端よりも前方に位置し、底面部金属体58の後端は、追従部材64の前端より後方に位置する。
【0312】
以上のように、本実施形態のプリンタ100は、通信部40にて通信している無線タグ6よりも上流側の無線タグ6に接触し、当接したまま連続体Mの動きに合わせて継続的に追従する追従部材64を備える。
【0313】
この構成によれば、追従部材64で電波を吸収することによって、上流側部M2の無線タグ6への電波の影響を低減できる。また、追従部材64は、上流側部M2に接触して追従するため、上流側部M2の位置や形状の変化に追従して移動し、位置や形状の変化に対して電波の影響低減効果を安定化できる。
【0314】
[第6実施形態]
以下、図20を参照しながら本発明の第6実施形態に係るプリンタ100を説明する。第6実施形態の図面及び説明では、第5実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第5実施形態と重複する説明を適宜省略し、第5実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0315】
図20は、第6実施形態に係るプリンタ100の内部を示す側面図である。
【0316】
本実施形態では、表巻きのロールTが用いられている。この例では、連続体Mは印字媒体供給部30の中心よりも前方位置から下方に向けて繰り出される。
【0317】
本実施形態のプリンタ100は、第5実施形態に対して、機能部材50の構成が異なる点で相違し、他の構成は同様である。
【0318】
図20に示すように、本実施形態のプリンタ100は、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を仕切る仕切部材51を備える点で第5実施形態と相違する。この例では、仕切部材51は、筐体本体部12の内側側面部124に固定される。
【0319】
本実施形態では、第2空間16は、複数の無線タグ6のうち第1空間14に収容される無線タグ6よりも上流側の無線タグ6を囲む空間である。この場合、仕切部材51によって、上流側の無線タグ6を囲む空間への電波の影響を効率的に低減できる。
【0320】
本実施形態の仕切部材51は、仕切部金属体52と、仕切部電波吸収体55と、を有する。この場合、仕切部金属体52で電波をシールドすることにより、第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部電波吸収体55で電波を吸収することにより、第2空間16の無線タグ6への電波の影響を低減できる。仕切部金属体52と仕切部電波吸収体55とは積層され一体化されている。
【0321】
図20に示すように、仕切部金属体52は、所定の幅方向の長さを有し、概ね上下に延びる帯状の部材である。仕切部金属体52は、前向部分521と、下向部分522と、湾曲部分523と、傾斜部分524と、を含む。
【0322】
前向部分521は、上面部113に近接する位置で前向きに延びる。
【0323】
下向部分522は、前向部分521の前端で屈曲して下向きに延びる。
【0324】
湾曲部分523は、下向部分522の下端から印字媒体供給部30の外周に対応して湾曲しながら下向きに延びる。
【0325】
傾斜部分524は、湾曲部分523の下端で前方に屈曲して斜め下向きに延びる。
【0326】
仕切部金属体52は、前向部分521と傾斜部分524とがねじ等で内側側面部124に固定されてもよい。
【0327】
仕切部電波吸収体55は、仕切部金属体52の全長及び全幅に亘って設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。
【0328】
本実施形態のプリンタ100は、第5実施形態と同様の作用と効果を奏しうる。加えて、印字部20及び通信部40を収容する第1空間14と、第1空間14とは別の第2空間16と、を仕切る仕切部材51を備えることにより、第1空間14にあるアンテナ42からの電波が第2空間16に届きにくくなる。よって、当該電波の第2空間16の無線タグ6への影響を低減できる。
【0329】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した各実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。各実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではばく、構成要素の変更、追加、削除等の多くの変更が可能である。
【0330】
以下、変形例について説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0331】
[第1変形例、第2変形例]
図21図22を参照して、第1変形例、第2変形例を説明する。図21は、第1変形例の追従部材64を示す模式図である。図20は、第2変形例の追従部材64を示す模式図である。これらの図は、理解を容易にするため、連続体M及び追従部材64を主に示し、説明に重要でない部材の記載を省略している。
【0332】
通信部40のアンテナ42の上流側直後からロールTの下流側の範囲に追従部材64を配置すると電波の影響低減効果が高いことが示唆されている。この観点から、図21図22の追従部材64は、アンテナ42の上流側直後に配置される。
【0333】
第1変形例では、追従部材64は、アンテナ42の上流側直後からロールTの下端よりも低い位置までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲している。
【0334】
追従部材64は、下向きの凸状に湾曲しており、左右逆の略J字形状を呈する。無線タグ6は、ロールTの部分では重なっているので、電波の影響を受けにくい。このため、追従部材64は、ロールTを覆う部分を有していない。
【0335】
第2変形例では、追従部材64は、アンテナ42の上流側直後からロールTの上端よりも上流側までの範囲で連続体Mの上面に沿って延在している。この例では、追従部材64は、連続体Mの湾曲に追従して湾曲しており、ロールTを覆う部分を有する。
【0336】
追従部材64は、下向きの凸状の湾曲と上向きの凸状の湾曲とが連続しており、傾斜した略S字形状を呈する。
【0337】
図21図22は、連続体Mが表巻である例を示しているが、連続体Mは裏巻きであってもよい。
【0338】
[その他の変形例]
追従部材64に、追従部金属体が一体的に設けられてもよい。この場合の追従部金属体は、追従部材64の全長及び全幅に亘って積層されてもよいし、一部に積層されてもよい。また、追従部材64の表面側と裏面側のいずれかの面に追従部金属体が設けられてもよい。
【0339】
実施形態の説明では、機能部材50が、上流側金属体53、上流側電波吸収体54、第1カバー部電波吸収体56、第2カバー部電波吸収体65、底面部電波吸収体59、下流側電波吸収体62、底面部金属体58、下流側金属体61、及び延伸金属体67を全て含む例を示したが、これに限定されない。機能部材50は、これらを含むことは必須ではない。機能部材50は、これらの一部又は全部を含まなくてもよい。
【0340】
実施形態の説明では、仕切部材51で全部を仕切る例を示したが、これに限定されない。空間を全て仕切部材51で仕切るのが前提である。しかしながら、仕切部材51の幅方向両サイドの隙間からの電波の漏れだしを食い止めることができるように仕切部材51を形成してもよい。
【0341】
図23は、仕切部材51の変形例を示す図である。図23に示すように、仕切部材51には、連続体Mを挿通するための挿入孔516が設けられてもよい。挿入孔516を有することにより、仕切部材51の設計の自由度が高まる。また、両サイドからの漏れだしも防止できる。
【0342】
第2実施形態の説明では、仕切部材51が、筐体本体部12に固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、仕切部材51は、開閉カバー11に固定されてもよい。
【0343】
図24は、仕切部材51が開閉カバー11に固定された変形例を示す図である。図25は、仕切部材51が開閉カバー11に固定された他の変形例を示す図である。これらの図は、開閉カバー11を180°開いた状態を示す側面図である。このように、仕切部材51を開閉カバー11に固定することにより、開閉カバー11を開いた状態で、印字媒体供給部30の周囲が広くなるので、ロールTの交換が容易になる。
【0344】
図24では、仕切部材51は、第1側面部1121に固定される第1仕切部材51Cと、第2側面部1122に固定される第2仕切部材51Dと、に分割されている。第1仕切部材51Cと第2仕切部材51Dとは、合わさって1つの仕切部材51となる。
【0345】
図24では、仕切部材51が全て開閉カバー11に固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、仕切部材51は、一部が筐体本体部12に固定され、かつ、他の一部が開閉カバー11に固定されるように、分割して設けられた構成であってもよい。また、開閉カバー11を閉じた状態で、その両方が合わさって1つの仕切部材51となってもよい。
【0346】
実施形態の説明では、印字媒体供給部30が連続体Mに張力(テンション)を付与する機能を有しない例を示したが、これに限定されない。連続体Mの張力が弱い場合、連続体Mが過剰に繰り出されて、搬送路Pの途中で弛むことが考えられる。連続体Mが弛むと、機能部材50との位置関係が変化して、無線タグ6への電波の影響を低減する効果が低くなる可能性がある。このため、印字媒体供給部30に張力付与機構31を設けてもよい。
【0347】
図26は、印字媒体供給部30の変形例を示す斜視図である。図27は、図26の印字媒体供給部30にロールTが未装着の状態を示す図である。図28は、図26の印字媒体供給部30にロールTが装着された状態を示す図である。
【0348】
本変形例の印字媒体供給部30は、張力付与機構31を備える。張力付与機構31は、印字媒体供給部30のロールTから引き出された連続体Mに張力を付与するための機構である。
【0349】
張力付与機構31は、支持軸301と、ロールガイド部302と、テンションプレート312と、ばね押さえプレート314と、付勢部材316と、を含む。
【0350】
テンションプレート312は、装着されたロールTの中心部に接する中空円板状部材である。テンションプレート312は、中空部に支持軸301が挿通されている。
【0351】
ばね押さえプレート314は、テンションプレート312のロールTとは反対側に隣接して配置される中空円板状部材である。ばね押さえプレート314は、中空部に支持軸301が挿通されており、テンションプレート312に対して相対回転自在に接する。
【0352】
付勢部材316は、ばね押さえプレート314のテンションプレート312とは反対側に配置される。付勢部材316は、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312にロールTに向かう付勢力を付与する。本変形例の付勢部材316は、中心に支持軸301が挿通されるコイルスプリングである。
【0353】
図27に示すように、印字媒体供給部30にロールTが未装着の状態では、テンションプレート312に付与される付勢力は殆どなく、テンションプレート312は自由に回転できる。
【0354】
図28に示すように、印字媒体供給部30にロールTが装着された状態では、ロールガイド部302が支持軸301に沿ってロールTをテンションプレート312側に押さえるので、ばね押さえプレート314を介して付勢部材316が強く圧縮される。そのため、付勢部材316は、ばね押さえプレート314を介してテンションプレート312に大きな付勢力を付与する。この場合、ばね押さえプレート314は、テンションプレート312に強く押し付けられ、これらの間の摩擦力が増大する。
【0355】
この状態で連続体Mが繰り出されてロールTが回転すると、テンションプレート312とばね押さえプレート314との間の摩擦力により、テンションプレート312及びロールTの回転にブレーキが掛かる。このように、張力付与機構31は、テンションプレート312がロールTの端部に当接することで、ロールTの回転にブレーキをかけることができる。その結果、連続体Mに張力が付与され、連続体Mが過剰に繰り出されて弛みが発生する可能性が低くなる。
【0356】
無線タグ6を起電(エナジャイズ)するための所定通信電波の出力(以下、「エナジャイズ出力」又は「起電出力」という)の制御方法は、上記実施形態の例に限定されない。
【0357】
例えば、通信対象の無線タグ6からデータを読み取る第1期間には、エナジャイズ出力(起電出力)を高くして、データを読み取るとき以外の第2期間には、第1期間よりもエナジャイズ出力(起電出力)を低くしてもよい。第2期間には、エナジャイズ出力(起電出力)を最小にしてもよいし、エナジャイズ出力(起電出力)を停止してもよい。
【0358】
このように、エナジャイズ出力(起電出力)を制御することにより、第2期間における、通信対象の無線タグ6よりも上流側の無線タグ6の誤検知を抑制できる。
【0359】
第2期間は、待機状態の期間を含む。待機状態とは、モジュールの電源はON(つまり、プリンタ100はON)であるが、通信部40は実質的に起電出力を含む電波を出していない状態をいう。通信部40は、印字しているときだけ電波を出す構成であってもよい。
【0360】
筐体10の個体差によって、無線タグ6への電波の影響度合いが変化して誤差が生じることがある。このため、筐体10の個体差の影響を低減できるように、筐体10の個体差に応じて電波の出力を調整してもよい。
【0361】
例えば、電波出力の調整は、プリンタ100の製造工程に調整工程を設けて行うことができる。また、筐体10の個体差に応じた情報を検知する検知部と、当該検知部の検知結果に応じて電波出力を増減する出力調整部と、を備え、出力を自動的に調整する構成であってもよい。
【0362】
図29を参照して、前面側電波吸収プレート69を備える変形例を説明する。図29は、前面側電波吸収プレート69を備える変形例を示す側面図である。
【0363】
実施形態の説明では、筐体本体部12の前面部121に電波吸収プレートが設けられない例を示したが、これに限定されない。図29に示すように、プリンタ100には、筐体本体部12の前面部121に前面側電波吸収プレート69が設けられてもよい。この場合、前面側電波吸収プレート69によって、筐体10の前側への電波漏れの影響を減らすことができる。前面側電波吸収プレート69は、電波吸収体と金属体の一方又は両方を含んでもよい。
【0364】
図29では、前面側電波吸収プレート69は、前面部121の内面に貼り付けられる。本変形例では、前面側電波吸収プレート69は、第1部分692及び第2部分694を有する。
【0365】
第1部分692は、前面部121の上端近傍から排出口106の上部近傍に至る上下範囲の部分である。第2部分694は、排出口106の下部近傍から前面部121の下端近傍に至る上下範囲の部分である。
【0366】
前面側電波吸収プレート69が第1部分692及び第2部分694を有することは必須ではなく、一方を有しなくてもよい。前面側電波吸収プレート69の各部分の上端位置及び下端位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。
【0367】
図30を参照して、延伸金属体67の上流側に配置された上流側電波吸収プレート68を備える変形例を説明する。図30は、上流側電波吸収プレート68を備える変形例を示す側面図である。
【0368】
実施形態の説明では、延伸金属体67よりも上流側には、電波吸収体や金属体が設けられていない例を示したが、これに限定されない。無線タグ6の感度が高い場合、微弱な電波でもその影響を受ける可能性がある。そこで、図30に示すように、プリンタ100には、搬送路P上での延伸金属体67の上流側に、上流側電波吸収プレート68が設けられてもよい。この場合、上流側電波吸収プレート68によって、延伸金属体67よりも上流側の無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0369】
上流側電波吸収プレート68は、電波吸収体と金属体の一方又は両方を含んでもよい。上流側電波吸収プレート68を連続体Mに沿わせることで、電波を受けて欲しくない無線タグ6に対して電波の影響を減らすことができる。上流側電波吸収プレート68は、連続体Mに接していなくてもよいし、連続体Mに接していてもよい。
【0370】
電波の影響を低減する観点では、上流側電波吸収プレート68は、連続体Mの印字面側に設けてもよいし、連続体Mの印字面とは反対側の面側に設けてもよい。図30では、上流側電波吸収プレート68は、連続体Mの印字面とは反対側の面側に設けられている。この場合、印字面の傷つきを減らせる。
【0371】
上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67とは別体の部材として形成してもよいし、延伸金属体67と一体の部材として形成してもよい。
【0372】
図30の例では、上流側電波吸収プレート68は、延伸金属体67の上流端からプリンタ100の後方に向かって延在している。具体的には、上流側電波吸収プレート68は、ダンパ機構26を越えて印字媒体供給部30の近傍まで前後に延在している。
【0373】
上流側電波吸収プレート68の上流端の位置は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。上流側電波吸収プレート68の幅方向の長さは、延伸金属体67の幅方向の長さと同じであってもよい。
【0374】
図31を参照して、排出口106の外側に配置された排出口上側電波吸収体70を備える変形例を説明する。図31は、排出口上側電波吸収体70を備える変形例を示す側面図である。
【0375】
図31に示すように、プリンタ100には、排出口106を外側から覆うように、排出口上側電波吸収体70が設けられてもよい。
【0376】
排出口上側電波吸収体70は、上端側が筐体本体部12の前面部121における排出口106の上側に貼付されている。排出口上側電波吸収体70の下端側は自由端である。そのため、排出口106から排出された連続体Mは、排出口上側電波吸収体70を押し退けつつ下方に向けて排出される。この場合、排出口上側電波吸収体70によって、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0377】
排出口上側電波吸収体70の下端位置及び幅は、電波の影響に関する所望の低減レベルに応じて実験により設定できる。
【0378】
図32図33を参照して、排出口106の外側に配置された排出口下側電波吸収体71を備える変形例を説明する。図32は、排出口下側電波吸収体71を備える変形例を示す側面図である。図33は、排出口下側電波吸収体71を備える変形例においてカッタ機構80が作動する様子を示す図である。
【0379】
図32に示すように、プリンタ100には、排出口106から排出された連続体Mを下側から支持するように、排出口下側電波吸収体71が設けられてもよい。
【0380】
排出口下側電波吸収体71は、筐体本体部12の前面部121における排出口106の下側に取り付けられた揺動機構72によって支持されている。排出口106から排出された連続体Mは、自重により排出口下側電波吸収体71に接する。この場合、排出口下側電波吸収体71によって、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0381】
排出口下側電波吸収体71は、一端側がプラテンローラ24の近傍まで延伸している。そのため、カッタ機構80を作動させる際は、図33に示すように、揺動機構72によって、他端側が下がった状態となるように排出口下側電波吸収体71を揺動させる。これにより、排出口下側電波吸収体71の一端側がカッタ機構80の可動刃81と干渉することを回避できる。
【0382】
排出口下側電波吸収体71に代えて排出口下側金属体を設けてもよい。この場合も、排出口106から排出された無線タグ6への電波の影響を低減できる。
【0383】
排出口上側電波吸収体70と排出口下側電波吸収体71とを両方設けてもよい。この場合は、排出口106から排出された無線タグ6を排出口上側電波吸収体70と排出口下側電波吸収体71とで上下に挟むことになるので、無線タグ6への電波の影響をより低減できる。
【0384】
実施形態の説明では、印字部20が、熱を用いて印字を行なう構成である例を示したが、これに限定されない。印字部20は、インクジェット方式等の公知の印字方式を採用できる。
【0385】
プリンタ100は、機能部材50を備えていなくともよい。
【0386】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用、効果を奏する。
【0387】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0388】
1 印字ユニット
2 制御ユニット(コントローラ、コンピュータ)
6 無線タグ
6A 電子回路部
6B 上紙
6C 粘着剤
7 搬送部
10 筐体
11 開閉カバー
12 筐体本体部
14 第1空間
16 第2空間
20 印字部
22 印字ヘッド部
24 プラテンローラ
26 ダンパ機構
30 印字媒体供給部
31 張力付与機構
34 インクリボン部
40 通信部
42 アンテナ
44 通信回路
45 アンテナ部電波吸収体
45a 平面部
45b 側壁部
46 スペーサ
50 機能部材
51 仕切部材
51A 筐体側仕切部材
51B 開閉カバー側仕切部材
51C 第1仕切部材
51D 第2仕切部材
52 仕切部金属体
53 上流側金属体
54 上流側電波吸収体
55 仕切部電波吸収体
56 第1カバー部電波吸収体
57 第3カバー部電波吸収体
58 底面部金属体
59 底面部電波吸収体
61 下流側金属体
62 下流側電波吸収体
64 追従部材
65 第2カバー部電波吸収体(側面部電波吸収体)
67 延伸金属体
68 上流側電波吸収プレート
69 前面側電波吸収プレート
70 排出口上側電波吸収体
71 排出口下側電波吸収体
72 揺動機構
80 カッタ機構
81 可動刃
100 プリンタ
106 排出口
107 ヒンジ
111 前面部
112 側面部
113 上面部
121 前面部
123 底面部(底面)
124 内側側面部
125 背面部
221 ヘッド本体
222 サーマルヘッド
225 回転軸
261 第1ダンパローラ
262 第2ダンパローラ
301 支持軸
302 ロールガイド部
312 テンションプレート
314 ばね押さえプレート
316 付勢部材
341 リボン供給部
342 リボン巻取部
516 挿入孔
521 前向部分
522 下向部分
523 湾曲部分
524 傾斜部分
642 揺動支点
643 揺動端(揺動支点とは反対側の他端)
692 第1部分
694 第2部分
1121 第1側面部
1122 第2側面部
1123 ヒンジ
M 連続体
M2 上流側部
P 搬送路
R インクリボン
S 台紙
T ロール
T1 ロール
T2 ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33