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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146691
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20231004BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054018
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】野尻 佳佑
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060DA12
(57)【要約】
【課題】胴部の角部を増やしながらも容易に製函することが可能な包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、筒状の胴部10、および胴部10の2つの開放端10aのいずれか一方を閉塞する閉塞部20を有し、胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および一対の第1側板11に胴部折目線aを介して連接されることで一対の第1側板11を繋ぐ一対の第2側板12を有し、閉塞部20は、フラップ折目線b1で内方に折り曲げられる一対のフラップ21を有し、一対の第1側板11の少なくとも一方には、胴部折目線aと同方向に延びる追加折目線cが設けられ、一対のフラップ21は、フラップ折目線b1から先端21aまでの距離の合計が第2側板12における2つの胴部折目線aの間の距離よりも大きく構成され、追加折目線cは、一対のフラップ21をフラップ折目線b1で内方に折り曲げてその先端21a同士を突き合わせることによって折り曲げられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端のいずれか一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、
前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板に胴部折目線を介して連接されることで前記一対の第1側板を繋ぐ一対の第2側板を有し、
前記閉塞部は、フラップ折目線を介して前記第1側板に連接されると共に前記フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対のフラップを有し、
前記一対の第1側板の少なくとも一方には、前記胴部折目線と同方向に延びる追加折目線が設けられ、
前記一対のフラップは、前記フラップ折目線から先端までの距離の合計が前記第2側板における2つの前記胴部折目線の間の距離よりも大きく構成され、
前記追加折目線は、前記一対のフラップを前記フラップ折目線で内方に折り曲げてその先端同士を突き合わせることによって折り曲げられることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記追加折目線は、前記胴部折目線と平行でない部分を有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装箱において、
前記追加折目線は、屈曲または湾曲した部分を有することを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の包装箱において、
前記追加折目線は、前記第1側板の中央側に向けて凸となる線に沿って設けられることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の包装箱において、
前記追加折目線は、前記フラップ折目線の両端よりも前記第1側板の中央側に位置する部分を有することを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項5に記載の包装箱において、
前記フラップは、前記追加折目線と前記フラップ折目線の前記追加折目線に近い方の一端との間における前記フラップ折目線側の領域に、他の部分よりも変形し易い易変形部を有することを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項2から6までのいずれか1項に記載の包装箱において、
前記追加折目線は、前記第1側板の裏面に設けられた半切線から構成されることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品を収容する包装箱として、端部から切り込まれた複数の溝(スリット)を備える一枚のブランクシートを折り曲げて製函される(組み立てられる)溝切り形の包装箱が普及している。この溝切り形は、ブランクシートの溝が形成されていない端部に設けられた継ぎ代を反対側の端部に接着することで筒状の胴部を形成し、溝切りによって形成されたフラップを折り曲げることで、胴部の軸方向両端の開口の少なくとも一方を閉塞するように構成されている。
【0003】
このような溝切り形の包装箱は、一般に4か所で折り曲げられた四角筒状(直方体状)の胴部を備えているが、八角筒状や六角筒状の胴部を備えるものも存在している(例えば、特許文献1参照)。このように、胴部を八角筒状等に構成して角部(折り曲げ部)を増やすことで、軸方向の座屈に対する抵抗性を高めることができる。
【0004】
また、胴部の角部を増やすことで、物品の収納効率を同等に確保しながらも胴部の周長を短縮することが可能となる。例えば、四角筒状の胴部に面取りを施すようにして八角筒状に構成することで、角部近傍のデッドスペースを削減しつつ、胴部の周長を短縮することが可能となる。これにより、収納効率が同等の包装箱でありながらも、ブランクシートの面積が低減されるため、材料費を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-61341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、胴部の角部を増やして八角筒状等に構成した場合、製函が困難になるという問題があった。具体的には、胴部が一般的な四角筒状の場合、胴部の4つの側壁のうち互いに対向する側壁同士が略平行に維持されるため、4つの角部を略直角に折り曲げた適切な状態を保持するのが容易であるところ、角部を増やした場合には各側壁の姿勢の自由度が増すことから、各角部を適切な角度(直角以外の角度)に折り曲げた上で、その状態を保持する必要があり、製函に手間と時間を要するものとなっていた。
【0007】
この点、上記特許文献1に記載の包装箱では、内フラップの側縁部で支持することによって、製函後の胴部の形状が八角筒状等に保持されるようにしている。しかしながら、製函時に内フラップを折り曲げる際には、内フラップが胴部の内側に入り込んで側縁部が内面に接するように、胴部を適切な八角筒状等に保持する必要があり、製函を容易にするものとはなっていなかった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑み、胴部の角部を増やしながらも容易に製函することが可能な包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の包装箱は、筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端のいずれか一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板に胴部折目線を介して連接されることで前記一対の第1側板を繋ぐ一対の第2側板を有し、前記閉塞部は、フラップ折目線を介して前記第1側板に連接されると共に前記フラップ折目線で内方に折り曲げられる一対のフラップを有し、前記一対の第1側板の少なくとも一方には、前記胴部折目線と同方向に延びる追加折目線が設けられ、前記一対のフラップは、前記フラップ折目線から先端までの距離の合計が前記第2側板における2つの前記胴部折目線の間の距離よりも大きく構成され、前記追加折目線は、前記一対のフラップを前記フラップ折目線で内方に折り曲げてその先端同士を突き合わせることによって折り曲げられることを特徴とする。
【0010】
本発明の包装箱によれば、胴部を胴部折目線のみを折り曲げた安定的な四角筒状にした状態で一対のフラップをフラップ折目線で折り曲げて閉塞部を形成することができる。そして、この閉塞部の形成の際に、先端同士を突き合わせた状態で一対のフラップを折り曲げることで、一対の第1側板を互いに離隔する方向に押しやり、これにより追加折目線を山折りに折り曲げて胴部の角部を増やすことができる。すなわち、本発明の包装箱によれば、胴部の角部を増やしながらも、従来と略同様の手順で容易に製函することができる。
【0011】
また、本発明の包装箱において、前記追加折目線は、前記胴部折目線と平行でない部分を有することが好ましい。これによれば、胴部折目線よりも折れ曲がり難い追加折目線を簡便に構成し、胴部折目線を折り曲げる際の不用意な追加折目線の折れ曲がりを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の包装箱において、前記追加折目線は、屈曲または湾曲した部分を有することが好ましい。これによれば、胴部折目線よりも折れ曲がり難い追加折目線を簡便に構成し、胴部折目線を折り曲げる際の不用意な追加折目線の折れ曲がりを抑制することができる。
【0013】
また、本発明の包装箱において、前記追加折目線は、前記第1側板の中央側に向けて凸となる線に沿って設けられることが好ましい。
【0014】
従来、胴部の4つの角部に面取りを施したような傾斜面を設けることで胴部を八角筒状に構成した包装箱では、上下に積み重ねられる等して軸方向の圧縮力が加えられた際に、傾斜面の間の側壁が内側に向けて窪むように座屈しやすいという問題があったが、追加折目線を第1側板の中央側に向けて凸となる線に沿って設けることで、追加折目線が折り曲げられた場合に第1側板における追加折目線の間の領域を僅かに外側に膨出させると共に、当該領域の表面側に軸方向の引張応力を生じさせることができる。すなわち、当該構成によれば、軸方向の圧縮力によって第1側壁が内側に向けて窪むように座屈した状態とは正反対の状態を予め作っておくことが可能であるため、第1側壁の当該座屈を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の包装箱において、前記追加折目線は、前記フラップ折目線の両端よりも前記第1側板の中央側に位置する部分を有することが好ましい。これによれば、フラップによって追加折目線が折れ曲がり難いように第1側板11を支持することが可能となるため、胴部折目線よりも折れ曲がり難い追加折目線を簡便に構成し、胴部折目線を折り曲げる際の不用意な追加折目線の折れ曲がりを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の包装箱において、前記フラップは、前記追加折目線と前記フラップ折目線の前記追加折目線に近い方の一端との間における前記フラップ折目線側の領域に、他の部分よりも変形し易い易変形部を有することが好ましい。
【0017】
これによれば、追加折目線がフラップ折目線の両端よりも第1側板の中央側に位置する部分を有する場合にも、フラップの折り曲げに伴う追加折目線の折れ曲がりを容易化することが可能となるため、製函を容易化することができる。また、追加折目線の折れ曲がりに合わせてフラップを適切な形状に変形させることが可能となるため、包装箱の最終的な形状を安定化することができる。
【0018】
また、本発明の包装箱において、前記追加折目線は、前記第1側板の裏面に設けられた半切線から構成されることが好ましい。これによれば、追加折目線の折れ曲がり難さを適宜に調整し、胴部折目線を折り曲げる際の不用意な追加折目線の折れ曲がりを抑制しながらも、フラップの折り曲げに伴う追加折目線の折れ曲がりを容易化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装箱によれば、胴部の角部を増やしながらも容易に製函することが可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の概略斜視図である。
図2】包装箱の展開図である。
図3】A~Cは、包装箱を製函する手順を示した概略斜視図である。
図4】A~Cは、包装箱を製函する手順を示した概略斜視図である。
図5】A~Cは、包装箱の変形例を示した概略図である。
図6】A~Cは、包装箱の変形例を示した概略図である。
図7】包装箱の変形例を示した概略図である。
図8】AおよびBは、包装箱の変形例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装箱1の概略斜視図であり、図2は、包装箱1の展開図であり、包装箱1の製函前のブランクシート1xの表面を示している。
【0022】
本実施形態の包装箱1は、A式とも呼ばれる溝切り形のものであり、表ライナ、裏ライナおよび中芯からなる両面段ボールを素材としている。包装箱1は、両面段ボールに溝切りおよび罫線入れを行って形成した平板状のブランクシート1xを折り曲げることで箱状に製函される(組み立てられる)。
【0023】
図1に示されるように、包装箱1は、八角筒状の胴部10と、胴部10の軸方向(図1における上下方向)両端における2つの開放端10aを閉塞する2つの閉塞部20と、から構成されている。なお、本実施形態では、胴部10の軸方向を上下方向としているため、2つの閉塞部20は、それぞれ包装箱1の天板1aおよび底板1bを構成している。
【0024】
胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および互いに対向する1対の第2側板12から構成されている。従って、一対の第2側板12は一対の第1側板11を周方向の両端において繋いでおり、一対の第1側板11は一対の第2側板12を周方向の両端において繋いでいる。第1側板11および第2側板12は、それぞれ胴部10の周方向における寸法が異なる矩形板状に構成されており、本実施形態では、周方向の寸法が長い方を第1側板11としている。
【0025】
胴部10は、第1側板11と第2側板12の間の4つの角部13に加え、2つの第1側板11にそれぞれ2つの追加角部14を設けることで、八角筒状に構成されている。従って、製函後の包装箱1では、第2側板12が略平板状となっているのに対し、第1側板11は2か所で折り曲げられた状態となっている。
【0026】
また、本実施形態では、追加角部14は、第1側板11の中央側に向けて凸となるように中間部が屈曲したくの字状(V字状)の線に沿って形成されている。これにより、第1側板11は、2つの追加角部14の間の領域が僅かに外側に膨出し、角部13と追加角部14の間の領域が僅かに内側に窪んでいる。
【0027】
閉塞部20は、一対の第1フラップ21(本発明のフラップ)、および一対の第1フラップ21の内側に重ねられた一対の第2フラップ22から構成されている。第1フラップ21および第2フラップ22は、それぞれ胴部10の周方向における寸法が異なる矩形板状に構成され、本実施形態では、周方向寸法が長い方を所謂外フラップとし、短い方を所謂内フラップとしている。
【0028】
閉塞部20は、一対の第1フラップ21を先端21a同士が当接した状態で閉じることで、開放端10aの全域が閉塞されるように構成されている。また、閉塞部20は、第1フラップ21の基端側の周方向両端部に設けられた易変形部21bが適宜に潰れるように変形することで、胴部10の形状に応じた八角形状の外形となっている。
【0029】
図2に示されるように、ブランクシート1xにおいて第1側板11および第2側板12は、胴部10の周方向となるX方向(図2における左右方向)において交互に配列されている。本実施形態では、第1側板11および第2側板12を、図2における左側から第1側板11、第2側板12、第1側板11、第2側板12の順に配置し、最も左側の第1側板11の左側に、継ぎ代15を配置している。この継ぎ代15は、最も右側に位置する第2側板12に接着されることで、筒状の胴部10を形成するためのものである。
【0030】
第1フラップ21は、ブランクシート1xにおいて第1側板11に対してX方向に直交するY方向(図2における上下方向)の両側(図2における上側および下側)に配置されている。また、第2フラップ22は、ブランクシート1xにおいて第2側板12に対してY方向の両側に配置されている。従って、ブランクシート1xのy方向両側には、閉塞部20を構成する一対の第1フラップ21および一対の第2フラップ22がそれぞれ配置されている。
【0031】
第1側板11、第2側板12および継ぎ代15は、隣り合うもの同士が胴部折目線aを介して互いに連接されている。また、第1フラップ21は、第1フラップ折目線b1を介して第1側板11に連接され、第2フラップ22は、第2フラップ折目線b2を介して第2側板12に連接されている。第1フラップ21および第2フラップ22はまた、ブランクシート1xのy方向両端の3か所からy方向に延びるように切り込まれたスリット状の溝23により、X方向において分割されている。
【0032】
換言すると、第1側板11、第2側板12、継ぎ代15、第1フラップ21および第2フラップ22は、ブランクシート1xに設けられた胴部折目線a、第1フラップ折目線b1、第2フラップ折目線b2、および溝23によって画定されている。
【0033】
胴部折目線aは、製函時に折り曲げられることで角部13を形成するものである。胴部折目線aは、Y方向に隣り合う溝23の奥端同士を繋ぐようにY方向に延びる直線上に設けられいる。
【0034】
第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2は、製函時に第1フラップ21および第2フラップ22を折り曲げて閉塞部20を形成するためのものである。第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2は、X方向に隣り合う溝23の奥端同士を繋ぐようにX方向に延びる直線上に設けられている。
【0035】
なお、本実施形態では、Y方向の両側のそれぞれにおいて、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2を同一直線上に設けているが、重なり時の素材の厚み分を考慮して、両者をY方向にずらして設けるようにしてもよい。
【0036】
本実施形態では、胴部折目線a、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2は、一般的な溝切り形の包装箱と同様に、ブランクシート1xの裏面(包装箱1の内側面となる面)に設けられた押罫線から構成されている。
【0037】
第1側板11には、2つの追加折目線cが胴部折目線aの近傍に設けられている。この追加折目線cは、追加角部14を形成するためのものであり、Y方向、すなわち胴部折目線aと同方向に延びるように設けられている。また、追加折目線cの両端は、それぞれ第1フラップ折目線b1に接続している。
【0038】
本実施形態では、追加折目線cは、第1側板11の中央側に向けて凸となるように中間部が屈曲したくの字状(V字状)の線に沿って形成されている。従って、本実施形態の追加折目線cは、胴部折目線aと平行でない部分を有すると共に、屈曲した部分を有している。
【0039】
このように、追加折目線cに胴部折目線aと平行でない部分を設ける、または屈曲もしくは湾曲した部分を設けることで、追加折目線cを胴部折目線aよりも折れ曲がり難く構成することができる。そして、詳細は後述するが、追加折目線cを胴部折目線aよりも折れ曲がり難く構成することで、製函時に胴部折目線aを折り曲げる際に追加折目線cが不用意に折れ曲がるのを防止することが可能となるため、製函を容易化することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、追加折目線cを第1フラップ折目線b1の両端よりも第1側板11の中央側に設けることで、より折れ曲がり難く構成している。このように追加折目線cを設けることで、第1側板11と第1フラップ21の連接範囲(X方向の範囲)を、追加折目線cを跨いだ範囲とすることができる。これにより、第1側板11における追加折目線cを挟んだ両側部分(X方向の両側)を、折目線を有しない第1フラップ21によって共に支持することが可能となるため、追加折目線cを折れ曲がり難くすることができる。
【0041】
但し、追加折目線cの折れ曲がり難さが過剰となった場合、追加折目線cの折り曲げによる追加角部14の形成が困難となる。そこで、本実施形態では、追加折目線cをブランクシート1xの裏面に設けた半切線(素材を厚み方向に貫通しない切目線)から構成することで、追加折目線cの折れ曲がり難さを適宜に調整し、これにより胴部折目線aを折り曲げる際の折れ曲がり難さと、追加角部14を形成する際の折れ曲がり易さを両立させている。具体的に本実施形態では、段ボールの裏ライナのみを貫通する切れ目を断続的に設けたミシン目状の半切線から追加折目線cを構成している。なお、追加折目線cを裏面に設けた半切線から構成し、表面に切れ目や溝等が生じないようにすることで、包装箱1の外観が損なわれないようにすることができる。
【0042】
第1フラップ21には、2つの補助折目線dが第1フラップ折目線b1側に設けられている。この補助折目線dは、自身と第1フラップ折目線b1の間に易変形部21bを形成するためのものである。補助折目線dは、追加折目線cの一端から当該追加折目線cに近い方の側端21cに向けて、第1フラップ折目線b1から漸次離隔するように延びる線に沿って設けられている。
【0043】
そして、このように補助折目線dを第1フラップ折目線b1に近接させて設けた結果、両者に挟まれた部分は他の部分に比べて変形し易い領域となっている。すなわち、補助折目線dと第1フラップ折目線b1の間の三角形状の部分は、易変形部21bとなっている。
【0044】
なお、本実施形態では、補助折目線dは、ブランクシート1xの裏面(包装箱1の内側面となる面)に設けられた押罫線から構成されているが、例えば追加折目線cから連続する半切線等、その他の罫線から補助折目線dを構成するようにしてもよい。また、易変形部21b内に例えば適宜の切れ目を設けたり、段潰し加工を施したりすることで、易変形部21bをより変形し易く構成するようにしてもよく、この場合は補助折目線dを省略するようにしてもよい。また、包装箱1の素材や胴部10の形状によっては、易変形部21bを省略するようにしてもよい。
【0045】
第1フラップ21における第1フラップ折目線b1から第1フラップ21の先端21aまでの距離L1は、第1側板11を追加折目線cで折り曲げることから、第2側板12における胴部折目線aから胴部折目線aまでの距離L2の1/2よりも大きく設定されている。換言すれば、一対の第1フラップ21における第1フラップ21の先端21aまでの距離L1の合計、すなわちL1の2倍は、距離L2よりも大きく設定されている。
【0046】
次に、包装箱1を製函する手順について説明する。図3A~Cおよび図4A~Cは、包装箱1を製函する手順を示した概略斜視図である。
【0047】
包装箱1の製函では、まず継ぎ代15の表面に接着剤を塗布した後にX方向の両端の第1側板11および第2側板12を胴部折目線aで折り曲げて継ぎ代15を第2側板12の裏面に接着し、図3Aに示されるように、2枚重ねに折り畳まれた状態の筒状体1yを形成する。通常、この作業は、印刷、罫線入れおよび溝切り等と共に、機械によって行われる。以降の作業は、手作業による場合と機械による場合がある。
【0048】
次に、折り畳まれた状態の筒状体1yを、第1側板11を離隔させるようにして開き、図3Bに示されるように、4つの胴部折目線aが略直角に折り曲げられた状態にして4つの角部13を有する四角筒状の胴部10を形成する。上述のように、追加折目線cは胴部折目線aよりも折れ曲がり難く構成されているため、特別な手順を必要とすることなく、容易に胴部折目線aのみを略直角に折り曲げ、その状態に保持することができる。
【0049】
次に、底板1bを構成する閉塞部20を形成する。閉塞部20の形成では、まず底板1b側の一対の第2フラップ22を第2フラップ折目線b2で内方に折り曲げ、第2フラップ折目線b2が略直角に折り曲げられた状態とする。次に、底板1b側の一対の第1フラップ21を第2フラップ折目線b2で内方に折り曲げ、図3Cに示されるように、先端21a同士を突き合わせる(当接させる)。
【0050】
そして、先端21a同士を突き合わせた状態(当接させた状態)のまま、一対の第1フラップ21を第1フラップ折目線b1が略直角となるまで折り曲げ、第1フラップ21を粘着テープや接着剤等(図示省略)により胴部10または第2フラップ22に固定する。これにより、底板1bを構成する閉塞部20が形成される。
【0051】
また、先端21a同士を突き合わせた状態で一対の第1フラップ21を第1フラップ折目線b1が略直角となるまで折り曲げていくことで、図4Aに示されるように、一対の第1フラップ21によって一対の第1側板11の底板1b側が互いに離隔する方向に押されることとなる。一対の第1側板11は周方向の両端が第2側板12によって繋がれていることから、これにより、追加折目線cの底板1b側の半分程度が山折りに折り曲げられて追加角部14が部分的に形成されると共に、易変形部21bがS字状に折り畳まれるように潰れて底板1bの外形が八角形状となる。上述のように、追加折目線cは、半切線から構成されることで、第1フラップ21の折り曲げによって第1側板11が押された場合にはスムーズに折れ曲がるようになっている。なお、追加折目線cの底板1b側が折り曲げられることで、一対の第2側板12は、底板1b側が互いに引き寄せられることとなる。
【0052】
底板1bを構成する閉塞部20が形成されることで、筒状体1yは内容物(図示省略)を収容可能な開放箱体1zとなる。そして、開放箱体1z内に内容物を収容したならば、底板1bを構成する閉塞部20と同様の手順で、天板1aを構成する閉塞部20を形成する。
【0053】
すなわち、図4Bに示されるように、天板1a側の一対の第2フラップ22を第2フラップ折目線b2で折り曲げた後に、天板1a側の一対の第1フラップ21を第1フラップ折目線b1で折り曲げて先端21a同士を突き合わせる。そして、そのまま一対の第1フラップ21を第1フラップ折目線b1が略直角となるまで折り曲げて、胴部10または第2フラップ22に固定する。
【0054】
これにより、天板1aを構成する閉塞部20が形成される。また、一対の第1側板11の天板1a側が互いに離隔する方向に押されて追加折目線cの天板1a側の折り曲げられていなかった部分が山折りに折り曲げられると共に、一対の第2側板12の天板1a側が互いに引き寄せられる。これにより、追加角部14が全体的に形成され、八角筒状の胴部10が形成される。また、易変形部21bがS字状に折り畳まれるように潰れて天板1aの外形が八角形状となる。この結果、包装箱1が完成する。
【0055】
このように、本実施形態の包装箱1は、胴部10を八角筒状に構成しながらも、胴部が四角筒状の一般的な溝切り形の包装箱と略同様の手順で容易に製函することができる。特に、閉塞部20の形成に伴って追加折目線cが折り曲げられ、追加角部14が出現するようになっているため、手作業および機械のいずれによっても、容易に製函することが可能となっている。
【0056】
完成した包装箱1は、4つの角部13に加えて4つの追加角部14を有することで、4つの角部13のみを有する一般的な包装箱と比較して、軸方向の圧縮強度が高められている。包装箱1はまた、4つの角部13に加えて4つの追加角部14を有することで、胴部10の周長を短縮して材料費を削減しながらも、4つの角部13のみを有する一般的な包装箱と同等の容積となっている。
【0057】
さらに、本実施形態では、追加角部14を形成する追加折目線cを第1側板11の中央側に向けて凸となるように屈曲したくの字状の線に沿って設けることで、胴部10を八角筒状に構成した場合の問題を解消している。
【0058】
具体的には、胴部の4つの角部に面取りを施したような傾斜面を設けることで胴部を八角筒状に構成した包装箱では、上下に積み重ねられる等して軸方向の圧縮力が加えられた際に、傾斜面の間の側壁が内側に向けて窪むように座屈しやすいという問題があり、特に胴部の軸方向寸法が長い場合に顕著であった。
【0059】
これに対し、本実施形態では、第1側板11の中央側に向けて凸となるように屈曲したくの字状の追加折目線cに沿って追加角部14を形成することで、図4Cに示されるように、第1側板11における追加角部14の間の領域を僅かに外側に膨出させると共に、当該領域の表面側に軸方向の引張応力を生じさせるようにしている。これにより、包装箱1に軸方向の圧縮力が加えられた際に第1側板11内に生じる応力を適宜にバランスさせることができるため、第1側板11の座屈が効果的に防止されるようになっている。
【0060】
すなわち、本実施形態の包装箱1は、胴部10を八角筒状とすることによる効果を確実に奏しながらも、一般的な溝切り形包装箱と同様に製函することが可能となっている。特に、本実施形態では、底板1b側と天板1a側に分けて折り曲げることができるため、屈曲した追加折目線cであっても容易に折り曲げることが可能となっている。
【0061】
次に、包装箱1の変形例について説明する。図5A~C、図6A~C、図7ならびに図8AおよびBは、包装箱1の変形例を示した概略図である。
【0062】
図5A~Cおよび図6A~Cは、追加折目線cの変形例を示した概略斜視図である。追加折目線cが沿う線の種類は、特に限定されるものではなく、各種直線、曲線、およびこれらの組み合わせ等を採用することができる。追加折目線cは、例えば図5Aに示されるように、弧状に湾曲した線に沿うものであってもよいし、例えば胴部折目線aと平行な直線と平行でない直線(または曲線)を組み合わせた線に沿うものであってもよい。
【0063】
また、追加折目線cは、胴部折目線aと平行でない部分、または屈曲もしくは湾曲した部分を有し、胴部折目線aよりも折れ曲がり難くしたものが好ましいが、図5Cに示されるように、胴部折目線aと平行な直線であってもよい。この場合にも、追加折目線cを例えば第1フラップ折目線b1の両端よりも第1側板11の中央側に設けることで、胴部折目線aよりも折れ曲がり難くすることが可能である。また、胴部10の軸方向寸法が比較的短い場合には、第1側板11の座屈も生じ難くなっている。
【0064】
また、図示は省略するが、追加折目線cは、所定の曲線または直線等に沿って設けられる波上の半切線や、所定の曲線または直線等に沿って断続的に配置された弧状の切れ目等から構成されるものであってもよい。また、追加折目線cは、胴部折目線aと平行でない直線に沿って設けられるものであってもよい。また、追加折目線cは、押罫線から構成されるものであってもよいし、外観が問題とならないような場合には全切線から構成されるものであってもよい。
【0065】
また、追加折目線cの個数および配置は、特に限定されるものではなく、任意の個数および配置を採用することができる。例えば、図6Aに示されるように、一対の第1側板11に追加折目線cを1つずつ設け、胴部10を六角筒状に構成するようにしてもよい。また、図6Bに示されるように、一対の第1側板11のいずれか一方にのみ追加折目線cを設けるようにしてもよい。
【0066】
また、追加折目線cは、図6Cに示されるように、底板1b側(または天板1a側)の端が胴部折目線aに接続するものであってもよい。この場合、天板1a側(または天板1a側)の一対の第1フラップ21における距離L1の合計のみをL2よりも大きくすればよい。なお、図示は省略するが、底板1b側(または天板1a側)の端が第1フラップ折目線b1に接続する追加折目線cを設けた場合において、天板1a側(または底板1b側)の一対の第1フラップ21における距離L1の合計のみをL2よりも大きくするようにしてもよい。
【0067】
その他、図示は省略するが、追加折目線cを設ける第1側板11は、周方向の寸法が第2側板12よりも短いものであってもよい。また、第1フラップ21は、所謂内フラップであってもよいし、一対の第1フラップ21において距離L1を異ならせるようにしてもよい。また、第2フラップ22を省略するようにしてもよい。また、包装箱1は、底板1bのみを有するものであってもよい。
【0068】
図7および図8AおよびBは、包装箱1を粘着テープや接着剤等を使用することなく製函可能に構成した場合の一例を示している。なお、図7は、この例の包装箱1の展開図であり、包装箱1の製函前のブランクシート1xの表面を示している。また、図8Aは、包装箱1の天板1aを示した概略図であり、図8Bは、包装箱1の底板1bを示した概略図である。
【0069】
この例の包装箱1は、野菜等の農作物を収容するためのものであり、畑や倉庫等においても手作業で容易に製函可能に構成されたものである。図7に示されるように、この例では、第1フラップ21に略L字状の差込口21dを設けると共に、この差込口21d内に挿入される差込片22aを第2フラップ22に設けている。
【0070】
差込口21dは、各第1フラップ21に2つずつ設けられており、全切線によって形成された揺動片21eを、揺動折目線eで折り曲げて内側に向けて揺動させることによって開口するように構成されている。また、揺動片21eには、揺動折目線eに略直交する直交折目線fが設けられており、この直交折目線fで揺動片21eを折り曲げることで、揺動片21eを揺動しやすくすることが可能となっている。
【0071】
差込片22aは、第2フラップ22の先端部におけるX方向両側にそれぞれ設けられており、先端側が幅狭の台形状の外形に構成されている。2つの差込片22aの間には、先端側が幅狭の台形状の外形を有する押さえ片22bが設けられ、押さえ片22bの基端側には、押さえ片22bの側端を延長するように切り込まれた全切線からなる挟持スリット22cが設けられている。
【0072】
また、第2フラップ22のY方向における略中間位置には、第2フラップ折目線b2と略平行な傾斜用折目線gが設けられている。この傾斜用折目線gは、第2フラップ22の先端側を傾斜させて差込片22aを差込口21dに挿入し易くするためのものである。
【0073】
また、この例では、底板1b側の溝23の奥端側の部分を、奥端に向けて幅が漸次拡大する三角形状に構成することで、底板1b側の第1フラップ折目線b1の両端または一端が、追加折目線cの底板1b側の端よりも第1側板11の中央側に位置するようにしている。
【0074】
このようにすることで、比較的複雑に変形することとなる易変形部21bを無くし、底板1bを構成する閉塞部20を形成する際の追加折目線cの折れ曲がりを容易化することができる。また、底板1bの形状を安定化することができる。
【0075】
なお、この場合においても、天板1a側の第1フラップ21によって第1側板11が支持されるため、追加折目線cは不用意に折れ曲がらないようになっている。また、この例では、追加折目線cが底板1b側の第1フラップ折目線b1の両端よりも第1側板11の中央側に位置する部分を有しているため、底板1b側の第1フラップ21によっても追加折目線cの不用意な折れ曲がりが抑制されるようになっている。
【0076】
また、この例では、第2側板12に長円形状の手穴16が設けられると共に、第1フラップ21および第2フラップ22には、長円形状または円形状の通気穴24が設けられている。また、この例では、継ぎ代15は、第2フラップ22にも接着されるようにY方向に延長されており、継ぎ代15が接着される領域は段潰し加工が施された段潰し領域CAとなっている。また、この例では、第1フラップ21の先端21aおよび第2フラップ22の先端22dに、U字状または半円形状に切り欠かれた指かけ部25が設けられている。この指かけ部25は、包装箱1の製函および解体を容易にするためのものである。
【0077】
図8AおよびBに示されるように、この例では、第1フラップ21が所謂内フラップ、第2フラップ22が所謂外フラップとなっている。従って、差込片22aは、第1フラップ21を折り曲げて追加角部14を形成後、第2フラップ22を折り曲げる際に差込口21d内に挿入される。差込片22aを差込口21d内に挿入することで、差込口21dの周縁が挟持スリット22c内に進入し、これにより第1フラップ21は、差込片22aと押さえ片22bの間に挟持されることとなる。
【0078】
従って、この例では、粘着テープや接着剤等を使用することなく、第1フラップ21および第2フラップ22の適切な重なり状態を保持することが可能となっている。また、押さえ片22bにより、先端21aが胴部10から離隔するように第1フラップ21が揺動するのを防止することができるため、追加角部14の折れ曲がり状態を適切に保持し、胴部10を適切な形状に保持することが可能となっている。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の包装箱は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、包装箱1の素材は、特に限定されるものではなく、両面段ボール以外の各種段ボール、厚紙、各種樹脂段ボール、樹脂板等であってもよい。また、包装箱1の姿勢が特に限定されないことは言うまでもない。
【0080】
また、上述の実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 包装箱
10 胴部
10a 開放端
11 第1側板
12 第2側板
20 閉塞部
21 第1フラップ
21b 易変形部
a 胴部折目線
b1 第1フラップ折目線
c 追加折目線
L1 距離
L2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8