(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014670
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20230124BHJP
B65H 23/04 20060101ALI20230124BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20230124BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H23/04
B65H23/188
B44C1/17 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118747
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】山辺 勝利
(72)【発明者】
【氏名】水崎 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】今井 丈裕
【テーマコード(参考)】
2C060
3B005
3F104
3F105
【Fターム(参考)】
2C060BA02
2C060BC04
2C060BC11
2C060BC21
3B005EA04
3B005EB07
3B005EC17
3B005FA04
3B005GA04
3F104AA01
3F104AA03
3F104BA01
3F104FA01
3F104KA11
3F105AA01
3F105AB00
3F105CA03
(57)【要約】
【課題】長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置において、転写ローラ対を通過した直後の媒体の移動方向で小型化することが可能な箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置1は、長尺の媒体2に接着剤を塗布する接着剤塗布機構5と、媒体2に転写される箔が基材上に形成された箔転写シート3を接着剤が塗布された後の媒体2に押圧して媒体2に箔を転写するための転写ローラ対8と、転写ローラ対8を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を変更するための移動方向変更ローラ67、68とを備えている。箔転写装置1では、移動方向変更ローラ67、68は、媒体2の移動方向を、転写ローラ対8から移動方向変更ローラ67までの媒体2の移動方向と異なる方向に変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の媒体に接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、前記媒体に転写される箔が基材上に形成された箔転写シートを前記接着剤が塗布された後の前記媒体に押圧して前記媒体に前記箔を転写するための転写ローラ対と、前記転写ローラ対を通過した後の、前記箔転写シートと重なっている状態の前記媒体の移動方向を変更するための移動方向変更ローラとを備え、
前記移動方向変更ローラは、前記媒体の移動方向を、前記転写ローラ対から前記移動方向変更ローラまでの前記媒体の移動方向と異なる方向に変更することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記移動方向変更ローラとして、前記媒体を所定方向に曲げる第1変更ローラを備えることを特徴とする請求項1記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記第1変更ローラの直径は、2インチ以上となっていることを特徴とする請求項2記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記第1変更ローラの直径は、3インチ以上となっていることを特徴とする請求項3記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記移動方向変更ローラとして、前記第1変更ローラを通過した後の前記媒体を所定方向に案内するための第2変更ローラを備え、
前記第2変更ローラを通過すると、前記媒体と前記箔転写シートとが分離することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記第2変更ローラを通過して前記媒体と分離した前記箔転写シートを所定方向に案内するためのガイドローラを備えることを特徴とする請求項5記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記箔転写シートと重なっている状態の前記媒体が前記第2変更ローラの外周面に接触していることを特徴とする請求項5または6記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記媒体の幅方向から見たときに、前記箔転写シートと分離した前記媒体は、前記第2変更ローラから所定方向に直線的に伸び、前記媒体と分離した前記箔転写シートは、前記第2変更ローラから所定方向に直線的に伸びるとともに、分離した前記媒体と前記箔転写シートとがなす角度は、鋭角になっていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記媒体の幅方向から見たときに、分離した前記媒体と前記箔転写シートとがなす角度は、60°以下になっていることを特徴とする請求項8記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記第1変更ローラを通過すると、前記媒体と前記箔転写シートとが分離することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記箔転写シートと重なっている状態の前記媒体が前記第1変更ローラの外周面に接触していることを特徴とする請求項10記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の媒体(被記録媒体)に箔を転写するための箔転写装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の箔転写装置は、箔が転写される前の媒体を供給する供給ロールと、箔が転写された後の媒体を回収する回収ロールと、媒体に箔が転写される前の箔転写シートを供給する箔送り出しスプールと、媒体に箔が転写された後の箔転写シートを巻き取る箔巻き取りスプールとを備えている。また、この箔転写装置は、供給ロールから供給された媒体に接着用液を吐出するインクジェットヘッドと、接着用液が塗布された媒体に箔転写シートを押し付ける転写ローラ対(箔転写ニップローラ対)とを備えている。この箔転写装置では、媒体は、転写ローラ対から回収ロールまで水平方向に直線的に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の箔転写装置では、媒体は、転写ローラ対から回収ロールまで水平方向に直線的に移動する。そのため、この箔転写装置の場合、転写ローラ対を通過した直後の媒体の移動方向において箔転写装置が大型化する。
【0005】
そこで、本発明の課題は、長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置において、転写ローラ対を通過した直後の媒体の移動方向で小型化することが可能な箔転写装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の箔転写装置は、長尺の媒体に接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、媒体に転写される箔が基材上に形成された箔転写シートを接着剤が塗布された後の媒体に押圧して媒体に箔を転写するための転写ローラ対と、転写ローラ対を通過した後の、箔転写シートと重なっている状態の媒体の移動方向を変更するための移動方向変更ローラとを備え、移動方向変更ローラは、媒体の移動方向を、転写ローラ対から移動方向変更ローラまでの媒体の移動方向と異なる方向に変更することを特徴とする。
【0007】
本発明の箔転写装置では、転写ローラ対を通過した後の、箔転写シートと重なっている状態の媒体の移動方向を変更するための移動方向変更ローラは、媒体の移動方向を、転写ローラ対から移動方向変更ローラまでの媒体の移動方向と異なる方向に変更している。そのため、本発明では、移動方向変更ローラが設けられていない場合と比較して、転写ローラ対を通過した直後の媒体の移動方向で箔転写装置を小型化することが可能になる。
【0008】
本発明において、箔転写装置は、たとえば、移動方向変更ローラとして、媒体を所定方向に曲げる第1変更ローラを備えている。
【0009】
本発明において、第1変更ローラの直径は、2インチ以上となっていることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、第1変更ローラによって媒体を所定方向に曲げても、媒体に転写された箔のひび割れの発生を抑制することが可能になる。
【0010】
また、本発明において、第1変更ローラの直径は、3インチ以上となっていることがより好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、第1変更ローラによって媒体を所定方向に曲げても、媒体に転写された箔のひび割れの発生をより効果的に抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、箔転写装置は、移動方向変更ローラとして、第1変更ローラを通過した後の媒体を所定方向に案内するための第2変更ローラを備え、第2変更ローラを通過すると、媒体と箔転写シートとが分離する。この場合には、転写ローラ対と第2変更ローラとの間では、媒体と箔転写シートとが重なっているため、転写ローラ対と第2変更ローラとの間において、媒体および箔転写シートの移動用のスペースを小さくすることが可能になる。
【0012】
本発明において、箔転写装置は、第2変更ローラを通過して媒体と分離した箔転写シートを所定方向に案内するためのガイドローラを備えることが好ましい。このように構成すると、媒体と分離した箔転写シートを所定方向に適切に案内することが可能になる。
【0013】
本発明において、箔転写シートと重なっている状態の媒体が第2変更ローラの外周面に接触していることが好ましい。このように構成すると、第2変更ローラから箔転写シートが離れていく位置で、媒体と箔転写シートとが分離する。そのため、たとえば、箔が転写された後の媒体がロール状に巻回されていて、ロール状に巻回された媒体の外径が変動する場合であっても、媒体と箔転写シートとを一定の位置で分離することが可能になる。
【0014】
本発明において、媒体の幅方向から見たときに、箔転写シートと分離した媒体は、第2変更ローラから所定方向に直線的に伸び、媒体と分離した箔転写シートは、第2変更ローラから所定方向に直線的に伸びるとともに、分離した媒体と箔転写シートとがなす角度は、鋭角になっていることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、媒体の接着剤が塗布された部分に箔を適切に転写することが可能になる。
【0015】
また、本発明において、媒体の幅方向から見たときに、分離した媒体と箔転写シートとがなす角度は、60°以下になっていることがより好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、媒体の接着剤が塗布された部分に箔をより適切に転写することが可能になる。
【0016】
本発明において、第1変更ローラを通過すると、媒体と箔転写シートとが分離しても良い。この場合には、転写ローラ対と第1変更ローラとの間では、媒体と箔転写シートとが重なっているため、転写ローラ対と第1変更ローラとの間において、媒体および箔転写シートの移動用のスペースを小さくすることが可能になる。
【0017】
また、この場合には、箔転写シートと重なっている状態の媒体が第1変更ローラの外周面に接触していることが好ましい。このように構成すると、第1変更ローラから箔転写シートが離れていく位置で、媒体と箔転写シートとが分離する。そのため、たとえば、箔が転写された後の媒体がロール状に巻回されていて、ロール状に巻回された媒体の外径が変動する場合であっても、媒体と箔転写シートとを一定の位置で分離することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の箔転写装置では、転写ローラ対を通過した直後の媒体の移動方向で箔転写装置を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる箔転写装置の構成を説明するための側面図である。
【
図2】
図1に示す媒体の一方の面である接着剤塗布面を示す図である。
【
図3】(A)は、
図1に示す転写ローラ対の構成を説明するための正面図であり、(B)は、
図1に示す転写ローラ対の構成を説明するための側面図である。
【
図4】
図1に示すテンション付与機構の構成を説明するための側面図である。
【
図5】
図4に示すテンションバーの構成を説明するための断面図である。
【
図6】
図4に示すテンションバーの位置を検知するセンサを説明するための図である。
【
図7】(A)は、
図1に示す移動方向変更部の構成を説明するための側面図であり、(B)は、(A)のE部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(箔転写装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる箔転写装置1の構成を説明するための側面図である。
図2は、
図1に示す媒体2の一方の面である接着剤塗布面2aを示す図である。
【0022】
本形態の箔転写装置1は、長尺の媒体2に箔(金属箔)を転写するための装置である。箔転写装置1は、媒体2に転写される箔が基材上に形成された長尺の箔転写シート3を、接着剤が塗布された後の媒体2に押圧して媒体2に箔を転写する。また、箔転写装置1は、媒体2に連続的に接着剤を塗布するとともに媒体2に連続的に箔を転写する。接着剤が塗布される前の媒体2、および、箔が転写された後の媒体2は、ロール状に巻回されている。また、媒体2に箔が転写される前の箔転写シート3は、ロール状に巻回されている。
【0023】
媒体2は、合成樹脂または紙で形成されたシート状媒体である。媒体2の引張弾性率が低くなっていると、媒体2に張力が作用したときに媒体2が伸びやすくなる。箔が転写された後の媒体2に張力が作用して媒体2が所定量以上伸びると、箔にひび割れが生じるおそれがある。また、箔を転写するときの媒体2に張力が作用して媒体2が所定量以上に伸びていると、箔が転写された後、媒体2の張力が取り除かれたときに、媒体2に転写された箔にしわが生じるおそれがある。そのため、媒体2の引張弾性率は、所定の値以上となっていることが好ましい。
【0024】
具体的には、媒体2の引張弾性率は、0.1×104kg/cm2以上となっていることが好ましく、0.2×104kg/cm2以上となっていることがより好ましい。したがって、本形態の媒体2は、たとえば、ポリ塩化ビニリデン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートの中から選択される1つの合成樹脂によって形成されている。あるいは、媒体2は、これらの合成樹脂の中から任意に選択される2つ以上の合成樹脂を混合した合成樹脂によって形成されている。また、媒体2は、引張弾性率が比較的高い、繊維と合成樹脂との複合材料によって形成されていても良い。たとえば、媒体2は、ターポリン等で形成されていても良い。
【0025】
箔転写装置1は、長尺の媒体2に接着剤を塗布する接着剤塗布機構5と、接着剤塗布機構5を下側から支持する支持体6と、媒体2を搬送する媒体搬送機構7と、接着剤が塗布された後の媒体2に箔転写シート3を押圧して媒体2に箔を転写するための転写ローラ対8と、接着剤が塗布された後の媒体2に接触して媒体2に張力を付与するテンションバー9を有するテンション付与機構10と、転写ローラ対8を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を変更する移動方向変更部11とを備えている。テンションバー9は、媒体2の搬送方向(媒体2の送り方向)において接着剤塗布機構5と転写ローラ対8との間に配置されている。移動方向変更部11は、媒体2の搬送方向において転写ローラ対8の下流側に配置されている。
【0026】
また、箔転写装置1は、接着剤が塗布された後の媒体2を加熱するための第1ヒータ14と、箔が転写される前の媒体2を加熱して媒体2に塗布された接着剤の粘着力を高めるための(すなわち、接着剤を賦活させるための)第2ヒータ15と、接着剤が塗布される前のロール状に巻回された媒体2が取り付けられる媒体繰出し部16と、箔が転写された後のロール状に巻回された媒体2が取り付けられる媒体巻取り部17と、媒体2に箔が転写される前のロール状に巻回された箔転写シート3が取り付けられる転写シート繰出し部18と、媒体2に箔が転写された後の箔転写シート3を搬送するシート搬送機構19とを備えている。
【0027】
接着剤塗布機構5は、媒体2に接着剤を吐出するインクジェットヘッド23(以下、「ヘッド23」とする。)を備えている。すなわち、接着剤塗布機構5は、インクジェット方式で媒体2に接着剤を塗布する。接着剤塗布機構5は、ヘッド23が搭載されるキャリッジ24と、媒体2の幅方向となる主走査方向(
図1等のY方向)にキャリッジ24を移動させるキャリッジ駆動機構25と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ24を支持する支持フレーム26と、ヘッド23の下側に配置されるプラテン27とを備えている。キャリッジ駆動機構25は、たとえば、キャリッジ24に一部分が固定されるベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるためのモータとを備えている。
【0028】
キャリッジ24に搭載されるヘッド23は、プラテン27に載置される媒体2の上面に向かって接着剤を吐出する。すなわち、ヘッド23は、下側に向かって接着剤を吐出する。ヘッド23の下面には、接着剤を吐出する複数のノズルが形成されている。また、ヘッド23は、たとえば、ノズルから接着剤を吐出させるための圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。プラテン27は、支持体6に下側から支持されている。本形態のプラテン27は、接着剤が塗布されるときの媒体2が載置される媒体載置部である。
【0029】
媒体2の一方の面は、接着剤塗布面2aとなっている。具体的には、プラテン27に載置されたときに媒体2の上面となる媒体2の一方の面は、接着剤塗布面2aとなっている。接着剤塗布機構5は、接着剤塗布面2aの、媒体2の幅方向における一部分に接着剤を塗布する。すなわち、接着剤塗布面2aには、媒体2の幅方向において接着剤が塗布されない接着剤非塗布領域2bが形成されており、接着剤塗布面2aは、接着剤が塗布される可能性がある接着剤塗布領域2cと接着剤非塗布領域2bとから構成されている。本形態では、たとえば、接着剤塗布面2aの、媒体2の幅方向における両端側の領域、および、接着剤塗布面2aの、媒体2の幅方向における中心部の領域(
図2のハッチングで示す領域)が接着剤非塗布領域2bとなっている。
【0030】
以下の説明では、媒体2の幅方向である主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、上下方向(
図1等のZ方向)と左右方向とに直交する方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態では、接着剤が塗布される前の媒体2は、後ろ側からプラテン27の上面に搬送され、接着剤が塗布された後の媒体2は、プラテン27の上面から前側に搬送される。
【0031】
媒体搬送機構7は、長尺の媒体2を媒体2の長手方向に搬送する。媒体搬送機構7は、搬送ローラ30と、搬送ローラ30に対向配置されるとともに搬送ローラ30に向かって付勢されるパッドローラ31とを備えている。搬送ローラ30およびパッドローラ31は、媒体2の搬送方向においてプラテン27よりも上流側に配置されている。搬送ローラ30は、搬送ローラ30を回転させる駆動機構に連結されている。媒体2は、搬送ローラ30とパッドローラ31との間に挟まれた状態で搬送される。
【0032】
プラテン27の前側には、アフタープラテン32が配置されている。アフタープラテン32の表面には、プラテン27からテンションバー9に向かって搬送される媒体2を案内するためのガイド面32aが形成されている。ガイド面32aは、凸曲面状に形成されている。プラテン27からテンションバー9に向かって搬送される媒体2は、ガイド面32aに接触する。
【0033】
テンション付与機構10は、アフタープラテン32の下側に配置されている。転写ローラ対8は、テンション付与機構10よりも下側に配置されている。すなわち、転写ローラ対8は、テンションバー9よりも下側に配置されている。移動方向変更部11は、転写ローラ対8よりも下側に配置されている。テンション付与機構10、転写ローラ対8および移動方向変更部11の具体的な構成については後述する。
【0034】
第1ヒータ14は、ガイド面32aに沿うようにアフタープラテン32の内部に配置されており、媒体2の搬送方向において接着剤塗布機構5とテンションバー9との間に配置されている。また、第1ヒータ14は、テンションバー9よりも上側に配置されている。第2ヒータ15は、媒体2の搬送方向においてテンションバー9と転写ローラ対8との間に配置されている。また、第2ヒータ15は、上下方向においてテンションバー9と転写ローラ対8との間に配置されている。媒体2は、凸曲面状をなす第2ヒータ15の前面に接触する。
【0035】
媒体繰出し部16は、ロール状に巻回された媒体2である繰出ロール33を保持している。媒体繰出し部16は、支持体6に取り付けられている。媒体繰出し部16は、プラテン27よりも下側に配置されている。また、媒体繰出し部16は、接着剤塗布機構5の下側に配置されている。媒体繰出し部16は、繰出ロール33の内周側に挿通される回転軸を備えている。
【0036】
媒体巻取り部17は、ロール状に巻回された媒体2である巻取ロール34を保持している。媒体巻取り部17は、支持体6に固定された支持フレーム35に取り付けられている。支持フレーム35は、支持体6の前側に配置されている。媒体巻取り部17は、プラテン27よりも下側に配置されている。また、媒体巻取り部17は、アフタープラテン32よりも前側に配置されており、接着剤塗布機構5よりも前側に配置されている。また、媒体巻取り部17は、転写ローラ対8よりも下側に配置されるとともに、転写ローラ対8よりも前側に配置されている。
【0037】
媒体巻取り部17は、巻取ロール34の内周側に挿通される回転軸と、回転軸を回転させる駆動機構とを備えている。巻取ロール34は、この回転軸と一緒に回転する。また、媒体巻取り部17は、巻取ロール34を空転させるためのトルクリミッタを備えており、このトルクリミッタは、巻取ロール34に巻き取られる媒体2の張力が所定の張力を超えないように巻取ロール34を空転させる。
【0038】
転写シート繰出し部18は、ロール状に巻回された箔転写シート3である繰出ロール36を保持している。転写シート繰出し部18は、支持フレーム35に取り付けられている。転写シート繰出し部18は、たとえば、アフタープラテン32の前側に配置されており、上下方向においてアフタープラテン32と略同じ高さに配置されている。また、転写シート繰出し部18は、転写ローラ対8およびテンション付与機構10よりも前側に配置されている。
【0039】
転写シート繰出し部18は、繰出ロール36の内周側に挿通される回転軸を備えている。また、転写シート繰出し部18は、繰出ロール36を空転させるためのトルクリミッタを備えており、このトルクリミッタは、箔転写シート3の張力が所定の張力となったときに繰出ロール36から箔転写シート3が繰り出されるように繰出ロール36を空転させる。
【0040】
シート搬送機構19は、支持フレーム35に取り付けられている。シート搬送機構19は、搬送ローラ38と、搬送ローラ38に対向配置されるとともに搬送ローラ38に向かって付勢されるパッドローラ39とを備えている。搬送ローラ38およびパッドローラ39は、箔転写シート3の搬送方向において移動方向変更部11よりも下流側に配置されている。また、搬送ローラ38およびパッドローラ39は、転写ローラ対8および移動方向変更部11よりも前側に配置されている。
【0041】
搬送ローラ38は、搬送ローラ38を回転させる駆動機構に連結されている。この駆動機構は、搬送ローラ38を空転させるためのトルクリミッタを備えており、このトルクリミッタは、シート搬送機構19によって搬送される箔転写シート3の張力が所定の張力を超えないように搬送ローラ38を空転させる。箔転写シート3は、搬送ローラ38とパッドローラ39との間に挟まれた状態で搬送される。シート搬送機構19によって搬送された箔転写シート3は、たとえば、巻き取られてロール状になる。
【0042】
上述のように、媒体巻取り部17、転写シート繰出し部18およびシート搬送機構19は、支持フレーム35に取り付けられている。また、移動方向変更部11は、支持フレーム35に取り付けられている。本形態では、移動方向変更部11、媒体巻取り部17、転写シート繰出し部18、シート搬送機構19および支持フレーム35等によって箔転写用ユニット40が構成されている。支持フレーム35は、ネジによって支持体6に固定されている。そのため、箔転写用ユニット40は、支持体6に対して着脱可能になっている。すなわち、箔転写用ユニット40は、支持体6に着脱可能に取り付けられている。なお、支持体6の下端および支持フレーム35の下端には、車輪41が取り付けられている。
【0043】
(転写ローラ対の構成)
図3(A)は、
図1に示す転写ローラ対8の構成を説明するための正面図であり、
図3(B)は、
図1に示す転写ローラ対8の構成を説明するための側面図である。
【0044】
転写ローラ対8は、プラテン27よりも下側に配置されるとともに、媒体巻取り部17よりも上側に配置されている。すなわち、転写ローラ対8は、上下方向においてプラテン27と媒体巻取り部17との間に配置されている。また、転写ローラ対8は、第2ヒータ15よりも下側に配置されている。転写ローラ対8は、媒体2に接触して媒体2を搬送する搬送ローラ43と、搬送ローラ43との間で媒体2および箔転写シート3を挟む箔転写ローラ44とを備えている。
【0045】
搬送ローラ43および箔転写ローラ44は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。箔転写ローラ44は、搬送ローラ43に前側から対向している。すなわち、搬送ローラ43と箔転写ローラ44とは前後方向で対向している。また、箔転写ローラ44は、搬送ローラ43に向かって付勢されている。搬送ローラ43は、搬送ローラ43を回転させる駆動機構に連結されている。箔転写ローラ44は、搬送ローラ43の回転に追従して回転する。
【0046】
媒体2と箔転写シート3とは、転写ローラ対8において合流し、搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間で密着する。具体的には、箔転写シート3の、箔が形成されている面と、媒体2の接着剤塗布面2aとが搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間で密着する。搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間では、箔転写シート3が前側に配置され、媒体2が後ろ側に配置されている。箔転写ローラ44は、箔転写シート3に前側から接触し、搬送ローラ43は、媒体2に後ろ側から接触している。箔転写ローラ44の上側には、転写シート繰出し部18から繰り出される箔転写シート3を転写ローラ対8に案内するためのガイドローラ45が配置されている。
【0047】
搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間では、箔転写シート3から媒体2に箔が転写される。具体的には、媒体2の、接着剤が塗布された部分に箔転写シート3から箔が転写される。媒体2は、転写ローラ対8に到達する前に第2ヒータ15によって加熱される。また、媒体2および箔転写シート3は、搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間に挟まれた状態で転写ローラ対8によって搬送される。具体的には、媒体2および箔転写シート3は、搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間に挟まれた状態で下側に向かって搬送される。
【0048】
箔転写ローラ44は、左右方向(すなわち、箔転写ローラ44の軸方向)に分割される複数の分割ローラ46によって構成されている。本形態の箔転写ローラ44は、たとえば、
図3(A)に示すように、2本の分割ローラ46によって構成されている。分割ローラ46は、たとえば、ゴム製のゴムローラである。2本の分割ローラ46は、左右方向で隣接配置されている。
【0049】
2本の分割ローラ46の両端側のそれぞれは、軸受47によって回転可能に支持されている。具体的には、分割ローラ46は、左右方向を軸方向とする回転軸48に固定されており、回転軸48の両端部が軸受47によって回転可能に支持されている。分割ローラ46は、左右方向において、媒体2の接着剤塗布領域2cが通過する位置に配置されている。軸受47は、左右方向において、媒体2の接着剤非塗布領域2bが通過する位置に配置されている。
【0050】
また、分割ローラ46の中間部分は、中間支持部材49によって回転可能に支持されている。中間支持部材49は、前側から分割ローラ46を支持している。すなわち、中間支持部材49は、搬送ローラ43の反対側で分割ローラ46を支持している。また、中間支持部材49は、左右方向の中心位置において分割ローラ46を支持している。中間支持部材49は、分割ローラ46の回転に追従して回転する従動ローラ50を備えている。
【0051】
上述のように、箔転写ローラ44は、搬送ローラ43に向かって付勢されている。具体的には、軸受47および中間支持部材49がフレーム(図示省略)に取り付けられており、このフレームが搬送ローラ43に向かって付勢されている。なお、搬送ローラ43は、1本のローラによって構成されている。また、搬送ローラ43は、たとえば、ステンレス鋼で形成されている。搬送ローラ43の表面(外周面)は、平滑な面となっている。
【0052】
(テンション付与機構の構成)
図4は、
図1に示すテンション付与機構10の構成を説明するための側面図である。
図5は、
図4に示すテンションバー9の構成を説明するための断面図である。
図6は、
図4に示すテンションバー9の位置を検知するセンサ56、57を説明するための図である。
【0053】
上述のように、テンション付与機構10は、テンションバー9を備えている。テンション付与機構10は、テンションバー9に加えて、テンションバー9を媒体2に押し付ける方向に付勢する引張りコイルバネ54と、テンションバー9を移動可能に保持するバー保持部55とを備えている。また、テンション付与機構10は、テンションバー9の位置を検知するための2個のセンサ56、57を備えている。
【0054】
テンションバー9は、接着剤塗布機構5と転写ローラ対8との間に配置されており、接着剤が塗布された後の媒体2であって箔が転写される前の媒体2に張力を付与する。また、テンションバー9は、上下方向において、プラテン27と転写ローラ対8との間に配置されるとともに、第1ヒータ14と第2ヒータ15との間に配置されている。また、テンションバー9は、媒体2が接触する第2ヒータ15の前面よりも後ろ側に配置されるとともに、アフタープラテン32のガイド面32aの下端よりも後ろ側に配置されている。テンションバー9は、媒体2の前面側に接触している。また、テンションバー9は、媒体2の接着剤塗布面2aに接触している。
【0055】
テンションバー9は、細長い円柱状に形成される支持軸59と、支持軸59に回転可能に保持されるローラ60とを備えている。支持軸59は、支持軸59の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。ローラ60は、左右方向に細長い円筒状に形成されるローラ本体部61と、ローラ本体部61の外周面に固定される円筒状の接触部62とを備えている。本形態のローラ60は、たとえば、1個のローラ本体部61と3個の接触部62とを備えている。
【0056】
ローラ本体部61の長さ(左右方向の長さ)は、支持軸59の長さ(左右方向の長さ)よりも短くなっている。接触部62の長さ(左右方向の長さ)は、ローラ本体部61の長さ(左右方向の長さ)よりも短くなっている。ローラ本体部61の内周側には、支持軸59が挿通されており、ローラ60は、左右方向を回転の軸方向として支持軸59に対して回転可能となっている。支持軸59の両端部のそれぞれは、ローラ本体部61の両端のそれぞれよりも左右方向の外側に突出している。
【0057】
接触部62は、円筒状に形成されたスペーサである。接触部62は、ローラ本体部61の左右方向の両端部と左右方向の中心部との3箇所に固定されている。また、接触部62は、接触部62の軸心とローラ本体部61の軸心とが一致するようにローラ本体部61に固定されている。ローラ60の、接触部62が配置された部分の外径は、ローラ60のその他の部分の外径よりも大きくなっており、接触部62のみが媒体2に接触している。具体的には、接触部62のみが媒体2の接着剤塗布面2aに接触している。また、接触部62は、接着剤塗布面2aの接着剤非塗布領域2bが通過する位置に配置されており、接触部62は、接着剤非塗布領域2bに接触している。本形態のローラ本体部61は、接触部62を保持するバー本体部である。
【0058】
バー保持部55は、支持軸59の両端部のそれぞれを支持している。バー保持部55は、ローラ60の左右方向の両側に配置される支持部材63に形成されている。支持部材63の後端部は、支持体6に固定されている。バー保持部55には、支持軸59の端部が挿通されるガイド溝55aが形成されている。ガイド溝55aは、前後方向を長手方向とする直線状(スリット状)に形成されている。支持軸59は、ガイド溝55aに沿って前後方向に移動可能となっている。すなわち、テンションバー9は、バー保持部55に対して前後方向に移動可能になっている。
【0059】
引張りコイルバネ54は、ローラ60の左右方向の両側に配置されている。引張りコイルバネ54の一端部は、支持軸59の端部に係合し、引張りコイルバネ54の他端部は、支持部材63に係合している。引張りコイルバネ54は、後ろ側に向かってテンションバー9を付勢している。
【0060】
センサ56、57は、発光部と受光部とを有する透過型の光学式センサであり、発光部と受光部とが間隔をあけた状態で対向配置されている。センサ56、57は、支持部材63に取り付けられている。センサ56とセンサ57とは、前後方向において間隔をあけた状態で配置されている。センサ56は、センサ57よりも後ろ側に配置されており、後ろ側でテンションバー9の位置を検知する機能を果たしている。また、センサ57は、前側でテンションバー9の位置を検知する機能を果たしている。支持軸59には、所定の部材を介して遮光部材64が固定されている。
【0061】
遮光部材64には、センサ56の発光部と受光部との間を遮ることが可能な遮光部64aと、センサ57の発光部と受光部との間を遮ることが可能な遮光部64bとが形成されている。本形態では、遮光部64aがセンサ56の発光部と受光部との間を遮り、かつ、遮光部64bがセンサ57の発光部と受光部との間を遮る位置にテンションバー9が配置されていると、搬送ローラ43が起動可能な状態となり、転写ローラ対8による媒体2および箔転写シート3の搬送が可能になる。
【0062】
また、本形態では、搬送ローラ43の駆動中に、遮光部64aがセンサ56の発光部と受光部との間から外れるか、または、遮光部64bがセンサ57の発光部と受光部との間から外れる位置にテンションバー9が移動すると、搬送ローラ43が停止する。なお、本形態では、テンションバー9が前後方向において所定範囲移動しても、遮光部64aがセンサ56の発光部と受光部との間を遮り、かつ、遮光部64bがセンサ57の発光部と受光部との間を遮っている状態が維持される。
【0063】
(移動方向変更部の構成)
図7(A)は、
図1に示す移動方向変更部11の構成を説明するための側面図であり、
図7(B)は、
図7(A)のE部の拡大図である。
【0064】
移動方向変更部11は、転写ローラ対8を通過した後の媒体2を所定方向に曲げる第1変更ローラ67と、第1変更ローラ67を通過した後の媒体2を所定方向に案内するための第2変更ローラ68とを備えている。第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、支持フレーム35に回転可能に支持されている。第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、左右方向を回転の軸方向として支持フレーム35に対して回転可能になっている。
【0065】
第1変更ローラ67は、箔転写ローラ44の下側に配置されている。第2変更ローラ68は、第1変更ローラ67の前側に配置されている。また、第2変更ローラ68は、第1変更ローラ67よりも若干下側に配置されている。巻取ロール34の軸心は、第2変更ローラ68の斜め前下側に配置されている。搬送ローラ38およびパッドローラ39は、第2変更ローラ68の斜め前上側に配置されている。また、搬送ローラ38およびパッドローラ39は、巻取ロール34の軸心の斜め前上側に配置されている。
【0066】
転写ローラ対8を通過した後の媒体2は、箔転写シート3と重なっている。第1変更ローラ67は、転写ローラ対8を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2を前側に向かって折り曲げる。箔転写シート3と重なっている状態の媒体2は、第1変更ローラ67の下側を通過する。第1変更ローラ67の外周面には、媒体2と重なっている状態の箔転写シート3が接触している。第2変更ローラ68は、第1変更ローラ67を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2を斜め前上側に案内する機能を果たしている。箔転写シート3と重なっている状態の媒体2は、第2変更ローラ68の上側を通過する。第2変更ローラ68の外周面には、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2が接触している。
【0067】
本形態の第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、転写ローラ対8を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を変更するための移動方向変更ローラとなっている。第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、箔転写シート3と重なっている状態で転写ローラ対8から第1変更ローラ67まで下側に向かって移動する媒体2の移動方向を斜め前上側に変更する。すなわち、第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を、転写ローラ対8から第1変更ローラ67までの媒体2の移動方向(すなわち、転写ローラ対8から移動方向変更ローラまでの媒体2の移動方向)と異なる方向に変更する。
【0068】
第1変更ローラ67の外径(直径)は、2インチ以上となっている。本形態では、第1変更ローラ67の外径は、3インチ以上となっている。具体的には、第1変更ローラ67の外径は、3インチとなっている。第2変更ローラ68の外径は、第1変更ローラ67の外径と等しくなっている。なお、第1変更ローラ67の外径と第2変更ローラ68の外径とが異なっていても良い。
【0069】
重なっている状態の媒体2と箔転写シート3とは、移動方向変更ローラである第2変更ローラ68を通過すると分離する。箔転写シート3と分離した媒体2は、前側に向かって搬送されて巻取ロール34に巻き取られる。媒体2と分離した箔転写シート3は、シート搬送機構19によって斜め前上側に向かって搬送される。移動方向変更部11は、第2変更ローラ68を通過して媒体2と分離した箔転写シート3を所定方向に案内するためのガイドローラ69を備えている。
【0070】
ガイドローラ69は、支持フレーム35に回転可能に支持されている。ガイドローラ69は、左右方向を回転の軸方向として支持フレーム35に対して回転可能になっている。ガイドローラ69は、第2変更ローラ68の斜め前上側に配置されている。また、ガイドローラ69は、巻取ロール34の軸心の斜め後ろ上側に配置されている。媒体2と分離した箔転写シート3は、ガイドローラ69の上側を通過する。媒体2と分離した箔転写シート3は、ガイドローラ69によって第2変更ローラ68から斜め前上側に案内される。
【0071】
上述のように、第2変更ローラ68の外周面には、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2が接触しており、第2変更ローラ68から箔転写シート3が離れていく位置で、媒体2と箔転写シート3とが分離する。そのため、本形態では、媒体2と箔転写シート3とが一定の位置で分離する。また、箔転写シート3と分離した後の媒体2は、第2変更ローラ68の外周面に沿って若干移動した後、第2変更ローラ68から離れていくため、左右方向から見ると、媒体2と箔転写シート3とが分離する際に媒体2と箔転写シート3とがなす角度は一定になっている。
【0072】
箔転写シート3と分離した媒体2は、巻取ロール34に向かって移動しており、左右方向から見たときに、第2変更ローラ68から前方向に直線的に伸びている。また、媒体2と分離した箔転写シート3は、ガイドローラ69に向かって移動しており、左右方向から見たときに、第2変更ローラ68から斜め前方向に直線的に伸びている。本形態では、左右方向から見たときに、第2変更ローラ68を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θ(
図7(A)参照)は、鋭角になっている。すなわち、第2変更ローラ68から前方向に直線的に伸びる媒体2と、第2変更ローラ68から斜め前方向に直線的に伸びる箔転写シート3とがなす角度θは、鋭角になっている。具体的には、角度θは、60°以下になっている。本形態では、角度θは、45°以下となっている。
【0073】
箔転写シート3と分離した媒体2が第2変更ローラ68から離れる位置は、巻取ロール34の外径によって変動する。たとえば、巻取ロール34の外径が比較的大きい場合には、
図7(B)の実線で示すように、媒体2が第2変更ローラ68から離れる。一方、巻取ロール34の外径が小さくなると、
図7(B)の二点鎖線で示すように、媒体2が第2変更ローラ68から離れる。また、角度θは、巻取ロール34の外径によって変動する。なお、ガイドローラ69の位置が調整可能になっていれば、ガイドローラ69の位置を調整することで、角度θを調整することが可能である。
【0074】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の箔転写装置1は、転写ローラ対8を通過した後の、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を変更するための第1変更ローラ67および第2変更ローラ68を備えており、第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、箔転写シート3と重なっている状態で転写ローラ対8から第1変更ローラ67まで下側に向かって移動する媒体2の移動方向を斜め前上側に変更している。すなわち、本形態では、第1変更ローラ67および第2変更ローラ68は、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2の移動方向を、転写ローラ対8から第1変更ローラ67までの媒体2の移動方向と異なる方向に変更している。
【0075】
そのため、本形態では、第1変更ローラ67および第2変更ローラ68が設けられていない場合と比較して、転写ローラ対8を通過した直後の媒体2の移動方向において箔転写装置1を小型化することが可能になる。すなわち、本形態では、上下方向で箔転写装置1を小型化することが可能になる。
【0076】
本形態では、第1変更ローラ67の直径は、2インチ以上となっている。そのため、本形態では、第1変更ローラ67で曲がる媒体2の曲率半径を比較的大きくすることが可能になる。したがって、本願発明者の検討によれば、本形態では、第1変更ローラ67によって媒体2を曲げても、媒体2に転写された箔のひび割れの発生を抑制することが可能になる。特に本形態では、第1変更ローラ67の直径が3インチ以上となっているため、本願発明者の検討によれば、第1変更ローラ67によって媒体2を曲げても、媒体2に転写された箔のひび割れの発生をより効果的に抑制することが可能になる。
【0077】
本形態では、第2変更ローラ68を通過すると、媒体2と箔転写シート3とが分離しており、媒体2の搬送方向における転写ローラ対8と第2変更ローラ68との間では、媒体2と箔転写シート3とが重なっている。そのため、本形態では、媒体2の搬送方向における転写ローラ対8と第2変更ローラ68との間で、媒体2および箔転写シート3の移動用のスペースを小さくすることが可能になる。
【0078】
本形態では、移動方向変更部11は、第2変更ローラ68を通過して媒体2と分離した箔転写シート3を所定方向に案内するためのガイドローラ69を備えている。そのため、本形態では、媒体2と分離した箔転写シート3を所定方向に適切に案内することが可能になる。また、ガイドローラ69の位置が調整可能になっていれば、上述のように、ガイドローラ69の位置を調整することで、第2変更ローラ68を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θを調整することが可能になる。
【0079】
本形態では、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2が第2変更ローラ68の外周面に接触しており、第2変更ローラ68から箔転写シート3が離れていく位置で、媒体2と箔転写シート3とが分離する。そのため、本形態では、巻取ロール34の外径が変動しても、上述のように、媒体2と箔転写シート3とを一定の位置で分離することが可能になる。
【0080】
本形態では、左右方向から見たときに、第2変更ローラ68を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θは、鋭角になっている。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態では、媒体2の接着剤が塗布された部分に箔を適切に転写することが可能になる。特に本形態では、角度θが60°以下になっているため、本願発明者の検討によれば、媒体2の接着剤が塗布された部分に箔をより適切に転写することが可能になる。
【0081】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0082】
上述した形態において、移動方向変更部11は、ガイドローラ69を備えていなくても良い。また、上述した形態において、移動方向変更部11は、第2変更ローラ68を備えていなくても良い。この場合には、第1変更ローラ67を通過すると、重なっている状態の媒体2と箔転写シート3とが分離する。また、この場合には、第1変更ローラ67から媒体2が離れていく位置で、媒体2と箔転写シート3とが分離するため、媒体2と箔転写シート3とが分離する位置が巻取ロール34の外径に応じて変動する。この場合には、転写ローラ対8と第1変更ローラ67との間で、媒体2と箔転写シート3とが重なっているため、転写ローラ対8と第1変更ローラ67との間において、媒体2および箔転写シート3の移動用のスペースを小さくすることが可能になる。
【0083】
また、移動方向変更部11が第2変更ローラ68を備えておらず、第1変更ローラ67を通過すると、重なっている状態の媒体2と箔転写シート3とが分離する場合には、搬送ローラ43と箔転写ローラ44との間で箔転写シート3の前側に媒体2が配置されていて、第1変更ローラ67の外周面に、箔転写シート3と重なっている状態の媒体2が接触しているとともに、搬送ローラ38およびパッドローラ39が巻取ロール34より下側に配置されていても良い。この場合には、第1変更ローラ67から箔転写シート3が離れていく位置で、媒体2と箔転写シート3とが分離するため、上述した形態と同様に、巻取ロール34の外径が変動しても、媒体2と箔転写シート3とを一定の位置で分離することが可能になる。
【0084】
上述した形態において、媒体2の接着剤が塗布された部分に箔を適切に転写することができるのであれば、第2変更ローラ68を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θは、直角になっていても良いし、鈍角になっていても良い。また、上述した形態において、媒体2に転写された箔のひび割れの発生を抑制することができるのであれば、第1変更ローラ67の直径は、2インチ未満となっていても良い。また、上述した形態において、テンションバー9は、引張りコイルバネ54以外のバネ部材によって付勢されていても良い。さらに、上述した形態において、接着剤塗布機構5は、インクジェット方式以外の方式で媒体2に接着剤を塗布しても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 箔転写装置
2 媒体
3 箔転写シート
5 接着剤塗布機構
8 転写ローラ対
67 第1変更ローラ(移動方向変更ローラ)
68 第2変更ローラ(移動方向変更ローラ)
69 ガイドローラ
Y 媒体の幅方向
θ 分離した媒体と箔転写シートとがなす角度