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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146706
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20231004BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20231004BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20231004BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20231004BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231004BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231004BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
F21S43/15
F21S45/00
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q1/44 Z
B60Q5/00 670D
F21W103:35
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054042
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】天野 平祐
(72)【発明者】
【氏名】永田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由希子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA29
3K339AA34
3K339BA08
3K339BA09
3K339BA10
3K339BA13
3K339CA01
3K339CA12
3K339CA13
3K339CA25
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA04
3K339GB01
3K339GB21
(57)【要約】
【課題】車両後部に設けられる発音可能な灯具を提供する。
【解決手段】灯具たとえばハイマウントストップランプ10は、光源20と、車両の後方上部に設けられる、光源20を収容する灯具筐体30と、灯具筐体30に搭載される音発生装置50と、を備える。音発生装置50は、下方に向けて音を発するように灯具筐体30に搭載されてもよい。灯具筐体30は、車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音発生装置50が搭載されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
車両の後方上部に設けられる、前記光源を収容する灯具筐体と、
前記灯具筐体に搭載される音発生装置と、を備えることを特徴とする灯具。
【請求項2】
前記音発生装置は、下方に向けて音を発するように前記灯具筐体に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記灯具筐体は、車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音発生装置が搭載されることを特徴とする請求項1または2に記載の灯具。
【請求項4】
前記灯具筐体は、車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音出し穴が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の灯具。
【請求項5】
前記灯具筐体は、前記光源の配置エリアを前記音出し穴から仕切る仕切壁を備えることを特徴とする請求項4に記載の灯具。
【請求項6】
前記光源は、発光素子が実装された発光素子実装基板と、前記発光素子実装基板に接続され前記発光素子を制御する制御回路基板とを備え、前記発光素子実装基板および前記制御回路基板は前記灯具筐体内で向かい合って配置され、
前記音発生装置は、前記発光素子実装基板と前記制御回路基板の間に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の灯具。
【請求項7】
前記光源は、複数の発光素子の配列を備え、
前記音発生装置は、前記複数の発光素子のうち隣り合う2つの発光素子の間に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の灯具。
【請求項8】
前記灯具筐体は、前記音発生装置が取り付けられる開口部を有し、
前記音発生装置は、前記開口部を通じて前記灯具筐体内に音を発するように前記灯具筐体の外側で前記開口部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の灯具。
【請求項9】
前記灯具は、ハイマウントストップランプであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具に関し、より具体的には、例えば自動車などの車両への搭載に適する灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の接近をその車両の周囲に音により通報する車両接近通報装置が知られており、これを車両のヘッドランプに搭載することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、ヘッドランプのアウターレンズに電磁振動子が固定され、その振動によりアウターレンズが接近通報音を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-248900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記の車両接近通報装置について検討したところ、以下の課題を認識するに至った。車両接近通報装置は法規上、低速前進時だけでなく後退時にも通報音を発することが求められる。しかしながら、上述のようにヘッドランプなど車両前部から発音する場合、通報音の音量を車両前方での聞き取りに適当な大きさに設定したとすると、車両後方で聞き取れる音量は小さくなりがちである。その結果、車両後退時における車両後方の歩行者や自転車等への注意喚起が不十分となるかもしれない。また、法規上要請される音量の要件を下回ることは許容されない。これに対処すべく、通報音の音量を車両後方で良好に聞き取ることができるように増加したとすると、今度は車両前方で過剰な音量となって車両前方の歩行者等に不快感を与えることとなりかねない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、車両後部に設けられる発音可能な灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の灯具は、光源と、車両の後方上部に設けられる、光源を収容する灯具筐体と、灯具筐体に搭載される音発生装置と、を備える。
【0007】
この態様によると、音発生装置が灯具筐体とともに車両の後方上部に設けられる。音発生装置を利用して、車両接近通報音を適切な音量で車両後退時に車両後方に向けて発することが可能になる。また、車両後方上部、つまり比較的高い位置から音を発することができるので、歩行者や他の車両など車両周囲の聴者に対し良好に音を伝搬させることができる。
【0008】
音発生装置は、下方に向けて音を発するように灯具筐体に搭載されてもよい。音発生装置が車両の後方上部に設けられる場合、聴者は音発生装置に比べて下方で音を聞くことになることが多いものと想定される。高所から下方に向けて音を発することにより、聴者に向けて直接音を届けることができる。
【0009】
灯具筐体は、車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音発生装置が搭載されてもよい。このようにすれば、灯具の左端と右端それぞれから音を発することができ、車両の左右に向けて音を効果的に伝搬させることができる。
【0010】
灯具筐体は、車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音出し穴が形成されていてもよい。このようにすれば、灯具の左端と右端それぞれから音を発することができ、車両の左右に向けて音を効果的に伝搬させることができる。
【0011】
灯具筐体は、光源の配置エリアを音出し穴から仕切る仕切壁を備えてもよい。このようにすれば、たとえ周囲環境から音出し穴を通じて灯具筐体内に雨水や塵などが侵入したとしても、それらが光源に到達することを仕切壁によって防止しまたはそのリスクを低減することができる。
【0012】
光源は、発光素子が実装された発光素子実装基板と、発光素子実装基板に接続され発光素子を制御する制御回路基板とを備え、発光素子実装基板および制御回路基板は灯具筐体内で向かい合って配置され、音発生装置は、発光素子実装基板と制御回路基板の間に配置されていてもよい。このようにすれば、発光素子実装基板と制御回路基板の間にある空所を利用して音発生装置を配置することができる。
【0013】
光源は、複数の発光素子の配列を備えてもよい。音発生装置は、複数の発光素子のうち隣り合う2つの発光素子の間に配置されていてもよい。このようにすれば、発光素子間の空所を利用して音発生装置を配置することができる。また、発光素子が発する光を妨げないように音発生装置を配置することができる。
【0014】
灯具筐体は、音発生装置が取り付けられる開口部を有してもよい。音発生装置は、開口部を通じて灯具筐体内に音を発するように灯具筐体の外側で開口部に取り付けられていてもよい。このようにすれば、灯具筐体の内部に十分な空所がない場合であっても、音発生装置を配置することができる。
【0015】
灯具は、ハイマウントストップランプであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両後部に設けられる発音可能な灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る灯具を搭載した車両の後部を例示する概略図である。
図2図1に示す灯具のA-A断面を示す概略図である。
図3】実施の形態に係る灯具に搭載される例示的な音発生装置を概略的に示す断面図である。
図4図4(a)および図4(b)は、実施の形態に係る灯具への音発生装置の他の配置例を示す概略図である。
図5図5(a)および図5(b)は、実施の形態に係る灯具への音発生装置のさらなる配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0019】
図1は、実施の形態に係る灯具を搭載した車両の後部を例示する概略図である。また図1の上部には、実施の形態に係る灯具が拡大して示される。図2は、図1に示す灯具のA-A断面を示す概略図である。
【0020】
実施の形態に係る灯具は、ハイマウントストップランプ10である。ハイマウントストップランプ10は、ストップランプとして動作可能な光源20と、車両の後方上部に設けられ、光源20を収容する灯具筐体30と、灯具筐体30に搭載される音発生装置50と、を備える。灯具筐体30は、ランプボディ32と透光カバー34とを備え、長手方向(図において左右方向)に延在する細長形状を有する。
【0021】
図1に示されるように、車両後部には、ハイマウントストップランプ10に加えて、一対のリアランプ12が設けられている。リアランプ12は、リアコンビネーションランプであってもよく、例えば、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ、バックアップランプなど、各種の標識灯を含みうる。
【0022】
ハイマウントストップランプ10が車幅方向の中央部に配置されるのに対して、一対のリアランプ12はそれぞれ左右端に配置される。また、ハイマウントストップランプ10は、リアランプ12よりも上方に配置される。ハイマウントストップランプ10とリアランプ12は、車両後方から見て、上向きの二等辺三角形をなすように配置されている。
【0023】
図示されるように、例示的な配置として、ハイマウントストップランプ10は、リアウインドウ14よりも上方、例えば、車両後部における最上部に配置されてもよい。また、ハイマウントストップランプ10は、リアウインドウ14の外、つまり車室外に配置されてもよい。リアランプ12は、リアウインドウ14よりも下方に配置されてもよい。
【0024】
図2に示されるように、光源20は、例えば発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子またはその他の発光素子20aと、発光素子20aが実装された例えばプリント基板などの発光素子実装基板20bとを有する。また、光源20は、発光素子実装基板20bに接続され発光素子20aを制御する制御回路基板22を備える。
【0025】
発光素子実装基板20b上には、複数の発光素子20aが灯具の長手方向に配列されている。配列される発光素子20aの数は特に限定されない。発光素子実装基板20bは、発光素子20aが配列された面を透光カバー34に向けるようにして灯具筐体30内に配置される。図2で破線矢印で模式的に示すように、発光素子20aが発する光は、透光カバー34に直接向かい、これを透過する。このようにして、ハイマウントストップランプ10は、ストップランプとしての光を車両後方に向けて発することができる。
【0026】
なお、必要とされる場合には、光源20の光を透光カバー34に入射させるために、例えば導光体、インナーレンズなどのレンズ、またはリフレクタといった光学部材、またはこうした光学部材を組み合わせて形成される光学系が灯具筐体30内に配置されてもよい。
【0027】
制御回路基板22は、発光素子20aの点消灯または発光状態を制御するように構成され、発光素子実装基板20bを介して発光素子20aに電気接続されている。制御回路基板22は、接続部24を介して発光素子実装基板20bと電気接続されてもよい。接続部24は、湾曲可能であってもよく、例えばフレキシブルプリント基板であってもよい。また、制御回路基板22は、コネクタ接続など適当な手段により外部電源(図示せず)に接続されることができる。
【0028】
光源20だけでなく、音発生装置50も、制御回路基板22に接続され、制御回路基板22によって制御されてもよい。
【0029】
発光素子実装基板20bと制御回路基板22は、灯具筐体30内で向かい合って配置される。図示されるように、発光素子20aとは反対側の発光素子実装基板20bの面と制御回路基板22との間には、空所26が形成されている。発光素子実装基板20bと制御回路基板22はともに、灯具筐体30の長手方向(すなわち左右方向)に細長く延びる帯状の形状をもち、概ね等しい長さ(すなわち長手方向の寸法)を有してもよい。
【0030】
ランプボディ32はハイマウントストップランプ10の正面側に開口部を有し、この開口部を覆うようにしてランプボディ32の前端に透光カバー34が取り付けられている。ランプボディ32は、車体に取付可能に構成されている。ランプボディ32と透光カバー34が組み合わされることによって灯具筐体30が構成され、その内部には光源20、音発生装置50など様々な灯具構成部品が配置される灯室36が形成される。ランプボディ32と透光カバー34は灯室36を防水領域として密閉するように互いに結合されてもよい。灯室36には、光源20の放熱のための放熱部材など、その他の図示されない様々な灯具構成部品が配置されてもよい。ランプボディ32は、例えば汎用樹脂材料など適宜の合成樹脂材料で形成されている。透光カバー34は、透光性を有する合成樹脂材料やガラス等、適宜の透光性材料で形成されている。透光カバー34はしばしば、アウターレンズとも呼ばれる。
【0031】
この実施の形態では、ランプボディ32は単一の部品である。しかし、他の実施の形態では、ランプボディ32は複数のパーツから構成されてもよい。例えば、ランプボディ上部とランプボディ下部が別部品として用意され、互いに結合されてランプボディ32を形成してもよい。同様に、この実施の形態では、透光カバー34は単一の部品であるが、他の実施の形態では、透光カバー34は複数のパーツから構成されてもよい。
【0032】
この実施の形態では、ハイマウントストップランプ10は、車外に向けて音声を発することができる車両用灯具として構成されている。音発生装置50を利用して、ハイマウントストップランプ10に車両接近通報機能が実装されてもよい。エンジン音を模擬する疑似エンジン音などの通報音を音発生装置50から発することにより、歩行者や他の車両など車両周囲の対象に自車両の接近を知らせることができる。
【0033】
音発生装置50は、灯具筐体30内に配置される。音発生装置50は、灯具筐体30(例えばランプボディ32)に直接取り付けられてもよいし、何らかの他の部材を介して灯具筐体30に取り付けられてもよい。光源20や音発生装置50など灯具構成部品を取り付けるための取付部などの突起が灯具筐体30に形成されている場合には、音発生装置50は、このような突起を避けて灯具筐体30内に配置されてもよい。
【0034】
一例として、音発生装置50は、発光素子実装基板20bと制御回路基板22の間に配置される。このようにすれば、発光素子実装基板20bと制御回路基板22の間にある空所26を利用して音発生装置50を配置することができる。
【0035】
音発生装置50は、透光カバー34に向けて音を発するように配置されている。音発生装置50は、音源となる振動体(例えば、図3に示される円錐状の振動板52)を透光カバー34(つまり発光素子実装基板20b)に向けるようにして空所26に配置されている。
【0036】
灯具筐体30は、上述のように車両の後方上部で左右に延在し、その両端それぞれに音発生装置50が搭載されている。つまり、ハイマウントストップランプ10には2つの音発生装置50が設けられ、一方が灯具筐体30の左端に配置され、他方が灯具筐体30の右端に配置されている。このようにすれば、ハイマウントストップランプ10の左端と右端それぞれから音を発することができ、車両の左右に向けて音を効果的に伝搬させることができる。また、左右に均一に音を発することができる。
【0037】
図3は、実施の形態に係る灯具に搭載される例示的な音発生装置を概略的に示す断面図である。この例では、音発生装置50は、スピーカーである。よって、音発生装置50は、円錐状の形状をもつ振動板52と、コイル54と、磁気回路56とを備える。音発生装置50は、自身に組み込まれた振動板52を振動させることによって音を発するように構成される。言い換えれば、この実施の形態では、音発生装置50は、透光カバー34などハイマウントストップランプ10の構成部品を振動体として振動させて音を発するエキサイタではない。
【0038】
磁気回路56は、プレート56a、マグネット56b、およびヨーク56cを有する。プレート56aおよびマグネット56bは、概ね同じ大きさの円板形状を有する。ヨーク56cは、プレート56aとマグネット56bを収容できる中心凹部を有する短円筒状の形状を有し、プレート56aとヨーク56cの間にマグネット56bが挟持される。プレート56aおよびヨーク56cは、例えば鉄などの磁性材料で形成される。磁気回路56の磁気ギャップとして、プレート56aおよびマグネット56bとヨーク56cとの間に周溝が設けられており、振動板52の中心部に取り付けられたコイル54がこの磁気ギャップに配置される。
【0039】
音発生装置50は、上述のスピーカー構成要素を収容する筐体を構成するとともに、振動板52の背面側の空間を密閉する後カバー58を備える。また、振動板52の前面側には前カバー59が設けられてもよい。前カバー59には多数の音出し穴が形成されていてもよい。後カバー58および前カバー59は、例えば汎用樹脂材料など適宜の合成樹脂材料、またはその他の材料で形成されてもよい。振動板52の外周部が後カバー58の外周部に固定されている。後カバー58の中心部に設けられた円形状の開口にヨーク56cが嵌め込まれ、それにより、この円形開口に磁気回路56がコイル54とともに配置される。
【0040】
振動板52は、人にとっての可聴音(典型的には例えば約20Hz~約20kHzの範囲の周波数をもつ音)を発するように構成される。音発生装置50を駆動するための駆動電流がコイル54に供給されると、コイル54と磁気回路56の電磁気的相互作用により、コイル54とともに振動板52が振動し、駆動電流に応じた音が生成される。上述のように、この可聴音は、車両周囲の対象に車両の接近を知らせるための通報音として利用されてもよい。通報音は、車両のエンジン音を模擬する疑似エンジン音であってもよく、あるいは、車両接近を知らせる音声メッセージであってもよい。
【0041】
図1および図2を再び参照すると、理解を助けるために、音発生装置50から発せられる音が実線矢印により模式的に示されている。音発生装置50は上述のように、例えば車両接近通報音を発することができる。音発生装置50が発する音は、発光素子実装基板20bおよび透光カバー34を通過してハイマウントストップランプ10の外へと向かう。
【0042】
実施の形態によれば、車両後部に設けられる発音可能なハイマウントストップランプ10を提供することができる。音発生装置50を利用して、車両接近通報音を適切な音量で車両後退時に車両後方に向けて発することが可能になる。音発生装置50は、車両後方上部、つまり比較的高い位置から音を発することができるので、歩行者や他の車両など車両周囲の聴者に対し良好に音を伝搬させることができる。
【0043】
また、ハイマウントストップランプ10、すなわち音発生装置50は車両の外側(リアウインドウ14の外)に設置されているので、音発生装置50からの音は車室内に届きにくい。これは、車室内の静粛性に役立つ。
【0044】
図4(a)および図4(b)は、実施の形態に係る灯具への音発生装置の他の配置例を示す概略図である。図4(a)には、実施の形態に係る灯具、すなわちハイマウントストップランプ10の概略正面図が示され、図4(b)には、図4(a)のB-B断面が示されている。
【0045】
上述の実施の形態と同様に、ハイマウントストップランプ10は、ストップランプとして動作可能な光源20と、車両の後方上部に設けられ、光源20を収容する灯具筐体30と、灯具筐体30に搭載される音発生装置50と、を備える。灯具筐体30は、ランプボディ32と透光カバー34とを備え、長手方向(図において左右方向)に延在する細長形状を有する。図4(a)では、理解を容易にするために、透光カバー34の一部の図示が省略されている。
【0046】
光源20は、複数の発光素子20aの配列を備え、これら発光素子20aは、発光素子実装基板20b上に配置されている。発光素子20aは、灯具筐体の細長形状に沿って(図において左右方向)並んでいる。発光素子実装基板20bは、発光素子20aが配列された面を透光カバー34に向けるようにして灯具筐体30内に配置される。図示されるように、発光素子実装基板20bは、ランプボディ32に取り付けられ、またはランプボディ32に一体化されていてもよい。
【0047】
この例では、3個の音発生装置50が設けられている。音発生装置50は、灯具筐体30内で透光カバー34と光源20との間の空所に配置される。音発生装置50は、灯具筐体30の両端だけでなく、灯具筐体30の中央部にも配置されている。一例として、いずれかの音発生装置50(例えば左右の音発生装置50)が車両接近通報音を発するために使用され、他の音発生装置50(例えば中央の音発生装置50)が他の音声(例えば、歩行者など車両周囲の対象とのコミュニケーションのための音声など)を発するために使用されてもよい。
【0048】
図示されるように、音発生装置50は、複数の発光素子20aのうち隣り合う2つの発光素子20aの間に配置される。言い換えれば、音発生装置50は、透光カバー34と光源20との間の空所において、発光素子20aを避けて配置される。このようにすれば、発光素子20aが透光カバー34に向けて発する光を妨げないように音発生装置50を配置することができる。
【0049】
音発生装置50が車両の後方上部に設けられる場合、歩行者など車両周囲の聴者は音発生装置50に比べて下方で音を聞くことになることが多いものと想定される。そこで、音発生装置50は、下方に向けて音を発するように灯具筐体30に搭載される。音発生装置50は、音源となる振動体(例えば、図3に示される円錐状の振動板52)をランプボディ32の下面に向けるように配置される。これにより、音発生装置50は、高所から下方に向けて音を発することができ、聴者に向けて直接音を届けることができる。
【0050】
灯具筐体30には音出し穴40が形成されていてもよい。図4(b)に示されるように、音出し穴40は、音発生装置50の正面に、つまり音発生装置50の振動体に対向して、ランプボディ32の下面に形成されていてもよい。音発生装置50が発する音を音出し穴40を通じてハイマウントストップランプ10の外へと良好に伝搬させることができる。
【0051】
図5(a)および図5(b)は、実施の形態に係る灯具への音発生装置のさらなる配置例を示す概略図である。図5(a)には、図2と同様に水平面によるハイマウントストップランプ10の断面が概略的に示され、図5(b)には、図5(a)のC-C断面が示されている。
【0052】
上述の実施の形態と同様に、ハイマウントストップランプ10は、ストップランプとして動作可能な光源20と、車両の後方上部に設けられ、光源20を収容する灯具筐体30と、灯具筐体30に搭載される音発生装置50と、を備える。灯具筐体30は、ランプボディ32と透光カバー34とを備え、長手方向(図において左右方向)に延在する細長形状を有する。
【0053】
光源20は、複数の発光素子20aの配列を備え、これら発光素子20aは、発光素子実装基板20b上に配置されている。発光素子20aは、灯具筐体の細長形状に沿って(図において左右方向)並んでいる。発光素子実装基板20bは、発光素子20aが配列された面を透光カバー34に向けるようにして、灯具筐体30内で透光カバー34に近接して配置されている。図5(a)で破線矢印で模式的に示すように、発光素子20aが発する光は、透光カバー34を透過して外部に出射される。
【0054】
この例では、灯具筐体30は、音発生装置50が取り付けられる開口部42を有する。具体的には、開口部42は、ランプボディ32の背面(すなわち、灯具筐体30に対して透光カバー34とは反対側となるランプボディ32の面)に形成されている。音発生装置50は、開口部42を通じて灯具筐体30内に音を発するように灯具筐体30の外側で開口部42に取り付けられている。例えば、図示されるように、音発生装置50の外周部が開口部42の縁に取り付けられてもよい。開口部42および音発生装置50を囲むカバー60がランプボディ32に取り付けられてもよい。このようにすれば、音発生装置50が灯具筐体30の外側に設置されるので、灯具筐体30の内部に十分な空所がない場合であっても、音発生装置50を配置することができる。
【0055】
灯具筐体30の両端には、音出し穴40が形成されていてもよい。この例では、音出し穴40は、ランプボディ32に形成されているが、透光カバー34に形成されてもよい。図5(a)で実線矢印で模式的に示すように、音発生装置50が発する音は、開口部42から灯具筐体30内に入り、灯具筐体30の細長形状に沿って左右に伝搬される。発光素子実装基板20bが開口部42に対向して配置されているため、発光素子実装基板20bの裏面を音の反射に利用することができる。そして、音発生装置50からの音は、左右端の音出し穴40からハイマウントストップランプ10の外へと伝搬される。
【0056】
灯具筐体30は、光源20の配置エリアを音出し穴40から仕切る仕切壁44を備えてもよい。仕切壁44は、灯具筐体30の端部で透光カバー34側からランプボディ32の背面に向かって延在している。ただし、図示されるように、仕切壁44は、音の伝搬を妨げないように、音出し穴40が設けられた端部エリアを光源20が配置された中央エリアから完全には仕切っていない。このようにすれば、たとえ周囲環境から音出し穴40を通じて灯具筐体30内に雨水や塵などが侵入したとしても、それらが光源20に到達することを仕切壁によって防止しまたはそのリスクを低減することができる。なお、こうした汚染物質の光源20への到達を防ぐことが望まれる場合には、仕切壁44は、音出し穴40のエリアを光源20のエリアから完全に仕切る隔壁として設けられてもよい。
【0057】
図5(b)に示されるように、光源20(及び/または音発生装置50)を制御するための制御回路基板22は、音の伝搬を妨げないように、開口部42を避けて配置されてもよい。例えば、制御回路基板22は、ランプボディ32の下面(または上面)に沿って近接して配置されてもよい。
【0058】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのように組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0059】
上述の実施の形態では、音発生装置50がスピーカーである場合を例として説明しているが、本発明はこれに限られない。ある実施の形態では、音発生装置50は、ハイマウントストップランプ10など灯具の構成部品を振動体として振動させて音を発するエキサイタなど、他の形式の音発生装置であってもよい。
【0060】
上述の実施の形態では、音発生装置50がハイマウントストップランプ10の灯具筐体30に搭載される場合を例として説明しているが、本発明はこれに限られない。ある実施の形態では、音発生装置50は、例えば、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ、バックアップランプ、ヘッドランプなどの車両用灯具の灯具筐体、またはその他の灯具の灯具筐体に搭載されてもよい。
【0061】
上述の実施の形態では、ハイマウントストップランプ10に車両接近通報機能が実装され、音発生装置50が車両接近通報音を発する場合を例に挙げて説明しているが、音発生装置50は、車両接近通報音とともに、またはこれに代えて、車両周囲の対象とのコミュニケーションのための音声など他の音声を発するように構成されてもよい。場面に応じて適切な音声を音発生装置50から発することにより、車両周囲の対象と音声コミュニケーションをとることが可能になる。
【0062】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0063】
10 ハイマウントストップランプ、 20 光源、 20a 発光素子、 20b 発光素子実装基板、 22 制御回路基板、 30 灯具筐体、 50 音発生装置。
図1
図2
図3
図4
図5