(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146750
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】フィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法
(51)【国際特許分類】
B65B 11/48 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B65B11/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054114
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】504002300
【氏名又は名称】信越ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】三島 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】山下 弘之
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA04
3E051AA06
3E051AB09
3E051BA05
3E051BA16
3E051CA04
3E051DA08
3E051EA01
3E051GA01
3E051HA07
3E051HE05
3E051KA03
3E051KA07
3E051KB03
3E051LA04
3E051LB03
3E051LB05
3E051LB06
(57)【要約】
【課題】容器の変形で内容物が損傷するのを防ぎ、フィルムロール外周面に凹凸が生じるのを防止し、静電気で樹脂フィルムが変形するのを抑制するフィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法を提供する。
【解決手段】苺1を収容した容器用の搬入コンベヤ10と、容器2のサイズを検出する光電センサ20と、検出結果に基づいて容器2をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルム50で包装する包装装置30と、包装された容器2を搬送する搬出コンベヤ100とを備え、包装装置30は、樹脂フィルム50のフィルムロール49を支持する一対の支持機構47と、樹脂フィルム50を一対の接離部材間に挟持する一対の待機機構58とを含み、各支持機構47は、フィルムロール49の下方に位置して樹脂フィルム50に巻架されるガイド軸57を含み、各待機機構58は、下方の接離部材の表面に、樹脂フィルム50に接触する帯電防止性の滑り止めテープが積層される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した容器を搬送する搬入コンベヤと、容器のサイズを非接触で検出する検出センサと、この検出センサの検出結果に基づいて容器をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルムで包装する包装装置と、樹脂フィルムにより包装された容器を包装装置から搬送する搬出コンベヤとを備えたフィルム包装機であって、
包装装置は、搬入コンベヤと搬出コンベヤの間に介在される架台と、この架台に設置されて搬入コンベヤの下流部と搬出コンベヤの上流部の間に介在される容器用の本体コンベヤと、架台に設けられて樹脂フィルムが巻かれたフィルムロールを支持する一対の支持機構と、この一対の支持機構のフィルムロールから繰り出された樹脂フィルムを複数の接離部材の間に挟んで待機させる一対の待機機構と、検出センサの検出結果に基づいて一対の待機機構のいずれかから樹脂フィルムを引き出し、この引き出された樹脂フィルムにより、本体コンベヤ上の容器の上部から両側部に亘る領域を被覆包装する一対の包装機構と、一対の待機機構から引き出された樹脂フィルムを切断可能な一対の切断機構とを含み、
一対の支持機構は、架台の上流部と下流部にそれぞれ設けられてサイズの異なるフィルムロールを回転可能に支持する機構であり、
支持機構は、フィルムロールを回転可能に支持する支持軸と、この支持軸の下方に位置してフィルムロールからの樹脂フィルムに巻きかけられるガイド軸とを含み、
待機機構は、下方の接離部材に上方の接離部材が上下動可能に対向し、これら複数の接離部材のいずれか一方の対向面に、フィルムロールから繰り出された樹脂フィルムに接触する帯電防止性の滑り止め部材が取り付けられた機構であり、
包装機構は、検出センサの検出結果に基づいて待機機構の複数の接離部材間における樹脂フィルムの両側端部を一対のアームクランプに保持させ、この一対のアームクランプを本体コンベヤ上の容器方向に移動させることにより、所定の長さの樹脂フィルムを複数の接離部材から引き出して容器の上方に位置させ、一対のアームクランプを下降させながら相互に接近させることにより、容器の上部から両側部に亘る領域に樹脂フィルムを巻きかけるとともに、容器の両側部に樹脂フィルムの両側部の粘着層を粘着する機構であることを特徴とするフィルム包装機。
【請求項2】
検出センサは、容器に光線を照射する投光素子と、光線を受光する受光素子とを備えた光電センサ又はファイバセンサであり、搬入コンベヤの下流部と包装装置の本体コンベヤの上流部のいずれかに設置される請求項1記載のフィルム包装機。
【請求項3】
樹脂フィルムは、帯形の延伸ポリプロピレン樹脂フィルムと二軸延伸ポリスチレン樹脂フィルムのいずれかであり、長手方向に複数の包装領域が区画されて各包装領域が内容物を収容した容器の上部から両側部に亘る領域を被覆包装可能な略矩形に形成されており、各包装領域の両側端部に、包装機構の一対のアームクランプ用の被保持部がそれぞれ形成されるとともに、この一対の被保持部に隣接する両側部には、被保持部の内側に位置する粘着層がそれぞれ略帯形に形成される請求項1又は2記載のフィルム包装機。
【請求項4】
待機機構の滑り止め部材を、基材に鉱物粒子が積層されるテープ材、基材に金属膜が積層されるテープ材、又は基材に導電性高分子が積層されるテープ材とした請求項1、2、又は3記載のフィルム包装機。
【請求項5】
包装機構は、架台内に設けられて本体コンベヤの搬送方向にブラケット材をスライドさせるスライド機構と、このスライド機構のブラケット材に上下動可能に支持されて本体コンベヤの幅方向に一対のブロック材をスライドさせるクランプ機構と、このクランプ機構の一対のブロック材にそれぞれ取り付けられる一対のアームクランプとを含み、
アームクランプは、クランプ機構のブロック材に装着される略逆L字形の逆L字ブラケットと、この逆L字ブラケットの起立片に緩衝部材を介しスライド可能に支持されて本体コンベヤの搬送方向に指向するベース材と、このベース材に接続されて本体コンベヤの搬送方向に指向するクランプ板材と、ベース材に装着されるシリンダと、このシリンダの往復動部に接続されてクランプ板材に対向する押さえ板材とを含み、シリンダの駆動により、押さえ板材を上昇させてクランプ板材と押さえ板材との間に樹脂フィルムの側端部を挟み持つ請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルム包装機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載されたフィルム包装機を用い、内容物を収容した容器の上部から両側部に亘る領域に樹脂フィルムを被せ、容器の両側部に樹脂フィルムの両側部の粘着層をそれぞれ粘着することを特徴とする内容物収容容器の包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苺や葡萄等を収容した容器をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルムで包装するフィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
秋や冬に果物を出荷したり、販売する場合、例えば苺を出荷したり、販売する場合には、
図17や
図18に示す上部が開口した容器2に複数の苺1を並べて収容し、この苺1を収容した容器2を図示しないフィルム包装機にセットし、このフィルム包装機により、容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域に透明帯形の樹脂フィルム50を被せるとともに、容器2の両側部に樹脂フィルム50の粘着層を粘着し、苺1を樹脂フィルム50により被覆保護したのを確認後、苺1を出荷したり、販売するようにしている。
【0003】
従来におけるフィルム包装機は、図示しないが、複数の苺1を収容した容器2を搬送する搬入コンベヤと、この搬入コンベヤにより搬送されて来た容器2をフィルムロールからの樹脂フィルム50で包装する包装装置と、樹脂フィルム50により包装された容器2を包装装置から搬送する搬出コンベヤとを備え、包装作業を機械化して就農者の労力を栽培に振り向け、苺生産の拡大に資するよう機能する(特許文献1、2、3参照)。
【0004】
ところで、容器2は、苺1の大きさや収容数、ブランド性や高級感の有無、苺1の出荷・販売店舗等に配慮し、サイズ違いが製造されるのが一般的である。例えば、容器2は、(A)115×170×H45mm、(B)113.5×164.5×H39mm、(C)114×164×H43mm、(D)129×192×H25mm、(E)133×197×H25mmのサイズ等に成形され、苺1の出荷規格に応じたタイプが選択して使用される。また、食品の小売店舗や総合商業施設等では、
図18に示す箱形の容器2が多用されるが、苺狩りが楽しめる農園や直売所等では、箱形よりも底の浅いトレー形の容器2が使用されることがある(
図19参照)。
【0005】
このように容器2のサイズが異なる場合、1種類の樹脂フィルム50でサイズの異なる2種類の容器2を包装しようとすると、1種類の容器2を包装することはできても、樹脂フィルム50の幅が不足してもう1種類の容器2の包装に支障を来すことがある。そこで、従来においては、3種類の容器2をそのサイズに適した2種類の樹脂フィルム50で包装することのできるフィルム包装機が開発され、提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005‐88957号公報
【特許文献2】実登第3197553号公報
【特許文献3】実登第3197554号公報
【特許文献4】特開2021‐116081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4におけるフィルム包装機は、3種類の容器2をそのサイズに適した2種類の樹脂フィルム50で包装することができるものの、コンベヤにより搬送される容器2にマイクロスイッチが接触して容器2のサイズを検出するので、容器2にマイクロスイッチが接触すると、容器2が内側に凹むおそれがある。容器2が凹むと、この容器2に収容された苺1が損傷し、その結果、苺1の品質低下を招くという問題が生じる。この問題は、苺1が傷付き易い軟弱な果実なので、きわめて重大である。
【0008】
また、特許文献4におけるフィルム包装機は、複数の載置ローラ上に樹脂フィルム50の巻かれたフィルムロールが単に搭載され、このフィルムロールの引き出し回転に伴い、複数の載置ローラが自由回転するが、これでは、フィルムロールの外周面に凹凸が不規則に生じることとなる。フィルムロールの外周面に凹凸が生じると、樹脂フィルム50に皺が生じて品質が低下したり、容器2に樹脂フィルム50を適正に被せることができないおそれがある。この懸念は、苺1や包装の見た目が市場価値を大きく左右するので、深刻である。
【0009】
さらに、同文献4におけるフィルム包装機は、静電気対策が特に施されていないので、例えば冬期に静電気の影響で樹脂フィルム50の両側部が波打ち、その結果、フィルム包着機構のアームが樹脂フィルム50の両側部を掴むのに困難を生じたり、樹脂フィルム50による容器2の包装に支障を来すという問題が生じる。
【0010】
本発明は上記に鑑みなされたもので、容器が変形して内容物を損傷させるのを防ぎ、フィルムロールの外周面に凹凸が生じるのを防止し、静電気の影響で樹脂フィルムが変形するのを抑制して樹脂フィルムによる容器の包装に資することのできるフィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記課題を解決するため、内容物を収容した容器を搬送する搬入コンベヤと、容器のサイズを非接触で検出する検出センサと、この検出センサの検出結果に基づいて容器をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルムで包装する包装装置と、樹脂フィルムにより包装された容器を包装装置から搬送する搬出コンベヤとを備えたものであって、
包装装置は、搬入コンベヤと搬出コンベヤの間に介在される架台と、この架台に設置されて搬入コンベヤの下流部と搬出コンベヤの上流部の間に介在される容器用の本体コンベヤと、架台に設けられて樹脂フィルムが巻かれたフィルムロールを支持する一対の支持機構と、この一対の支持機構のフィルムロールから繰り出された樹脂フィルムを複数の接離部材の間に挟んで待機させる一対の待機機構と、検出センサの検出結果に基づいて一対の待機機構のいずれかから樹脂フィルムを引き出し、この引き出された樹脂フィルムにより、本体コンベヤ上の容器の上部から両側部に亘る領域を被覆包装する一対の包装機構と、一対の待機機構から引き出された樹脂フィルムを切断可能な一対の切断機構とを含み、
一対の支持機構は、架台の上流部と下流部にそれぞれ設けられてサイズの異なるフィルムロールを回転可能に支持する機構であり、
支持機構は、フィルムロールを回転可能に支持する支持軸と、この支持軸の下方に位置してフィルムロールからの樹脂フィルムに巻きかけられるガイド軸とを含み、
待機機構は、下方の接離部材に上方の接離部材が上下動可能に対向し、これら複数の接離部材のいずれか一方の対向面に、フィルムロールから繰り出された樹脂フィルムに接触する帯電防止性の滑り止め部材が取り付けられた機構であり、
包装機構は、検出センサの検出結果に基づいて待機機構の複数の接離部材間における樹脂フィルムの両側端部を一対のアームクランプに保持させ、この一対のアームクランプを本体コンベヤ上の容器方向に移動させることにより、所定の長さの樹脂フィルムを複数の接離部材から引き出して容器の上方に位置させ、一対のアームクランプを下降させながら相互に接近させることにより、容器の上部から両側部に亘る領域に樹脂フィルムを巻きかけるとともに、容器の両側部に樹脂フィルムの両側部の粘着層を粘着する機構であることを特徴としている。
【0012】
なお、検出センサは、容器に光線を照射する投光素子と、光線を受光する受光素子とを備えた光電センサ又はファイバセンサであり、搬入コンベヤの下流部と包装装置の本体コンベヤの上流部のいずれかに設置されると良い。
【0013】
また、樹脂フィルムは、帯形の延伸ポリプロピレン樹脂フィルムと二軸延伸ポリスチレン樹脂フィルムのいずれかであり、長手方向に複数の包装領域が区画されて各包装領域が内容物を収容した容器の上部から両側部に亘る領域を被覆包装可能な略矩形に形成されており、各包装領域の両側端部に、包装機構の一対のアームクランプ用の被保持部がそれぞれ形成されるとともに、この一対の被保持部に隣接する両側部には、被保持部の内側に位置する粘着層がそれぞれ略帯形に形成されると良い。
また、待機機構の滑り止め部材を、基材に鉱物粒子が積層されるテープ材、基材に金属膜が積層されるテープ材、又は基材に導電性高分子が積層されるテープ材とすることが好ましい。
【0014】
また、包装機構は、架台内に設けられて本体コンベヤの搬送方向にブラケット材をスライドさせるスライド機構と、このスライド機構のブラケット材に上下動可能に支持されて本体コンベヤの幅方向に一対のブロック材をスライドさせるクランプ機構と、このクランプ機構の一対のブロック材にそれぞれ取り付けられる一対のアームクランプとを含み、
アームクランプは、クランプ機構のブロック材に装着される略逆L字形の逆L字ブラケットと、この逆L字ブラケットの起立片に緩衝部材を介しスライド可能に支持されて本体コンベヤの搬送方向に指向するベース材と、このベース材に接続されて本体コンベヤの搬送方向に指向するクランプ板材と、ベース材に装着されるシリンダと、このシリンダの往復動部に接続されてクランプ板材に対向する押さえ板材とを含み、シリンダの駆動により、押さえ板材を上昇させてクランプ板材と押さえ板材との間に樹脂フィルムの側端部を挟み持つと良い。
【0015】
また、搬出コンベヤの下流部に容器用のストッパを取り付け、搬出コンベヤの一側部には、容器用の集積テーブルを設置し、搬出コンベヤの他側部には、搬出コンベヤから集積テーブルに容器を押しやるプッシャ機構を設置することが好ましい。
【0016】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし5のいずれかに記載されたフィルム包装機を用い、内容物を収容した容器の上部から両側部に亘る領域に樹脂フィルムを被せ、容器の両側部に樹脂フィルムの両側部の粘着層をそれぞれ粘着することを特徴としている。
【0017】
ここで、特許請求の範囲における内容物には、少なくとも果物(例えば、苺、サクランボ、葡萄、トマト等)やそれ以外の各種食品・食材(例えば、おにぎり、野菜、菓子等)が含まれる。また、容器は、透明、不透明、半透明、箱形、トレー形、蓋無しのタイプを特に問うものではない。搬入コンベヤ、包装装置の本体コンベヤ、及び搬出コンベヤは、ベルトコンベヤが主ではあるが、ローラコンベヤ等でも良い。また、非接触の検出センサには、少なくとも反射型や透過型の光電センサ、ファイバセンサ、撮像カメラ等の視覚センサが含まれる。樹脂フィルムは、透明、不透明、半透明、印刷された文字や記号の有無等を特に問うものではない。
【0018】
待機機構の滑り止め部材の基材は、金属製、樹脂製、エラストマー製を特に問うものではない。また、滑り止め用のテープ材の樹脂フィルムと接触する接触面の静摩擦係数は、接触する樹脂フィルムの位置ずれ防止の観点から、ASTM D 1894に準拠して測定した場合、0.4以上であるのが好ましい。容器の上部から両側部に亘る領域としては、容器の上部から内容物が食み出ていない場合には、容器の上部から両側部に亘る領域であり、容器の上部から内容物が食み出ている場合には、容器の上部の内容物から両側部に亘る領域である。また、アームクランプのシリンダは、必要数のエアシリンダでも良いし、油圧シリンダでも良い。さらに、アームクランプの保持という用語は、実質的に理解されねばならず、保持の他、掴持、挟持、把持、摘持等の技術を含む。
【0019】
本発明によれば、容器のサイズを検出センサが非接触で検出するので、接触に伴う容器の変形を防ぐことができる。また、支持機構の支持軸にフィルムロールを回転可能に支持させ、支持機構のガイド軸にフィルムロールの樹脂フィルムを巻きかけて待機機構に繰り出すので、フィルムロールの外周面に凹凸や皺等の生じることが少ない。さらに、待機機構の滑り止め部材が静電気対策の施された帯電防止性なので、静電気の影響で樹脂フィルムが変形することが少ない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容器が変形して内容物を損傷させるのを防ぎ、フィルムロールの外周面に凹凸が生じるのを防止し、静電気の影響で樹脂フィルムが変形するのを抑制して樹脂フィルムによる容器の包装に資することができるという効果がある。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、検出センサが容器に接触しない非接触の光電センサ又はファイバセンサなので、検出センサが接触して容器の凹むおそれがなく、容器に収容された内容物が損傷して品質低下を招くことがない。また、光電センサ又はファイバセンサを選択するので、汚れに強い他、応答時間を速くして高速ラインに対応させたり、検出精度を向上させることができ、必要に応じ、検出距離を長くすることもできる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、樹脂フィルムが延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの場合には、優れた透明性、耐衝撃性、耐水性、印刷性を得ることができる。また、樹脂フィルムが二軸延伸ポリスチレン樹脂フィルムの場合には、優れた透明性、熱成形性、実用強度等を得ることができる。また、樹脂フィルムの各包装領域が容器の上部から両側部に亘る領域を被覆包装可能な大きさなので、包装時に樹脂フィルムの幅が不足したり、過剰に余ることが少ない。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、待機機構の滑り止め部材を、基材に鉱物粒子が積層されるテープ材、基材に金属膜が積層されるテープ材、又は基材に導電性高分子が積層されるテープ材とし、テープ材の表面に導電性を確保して静電気を逃がすようにするので、テープ材に樹脂フィルムが接触したり、テープ材から樹脂フィルムが離れる際の静電気の発生を抑制することが可能となる。したがって、静電気の影響で樹脂フィルムの両側端部等が変形し、包装機構のアームクランプが樹脂フィルムの両側端部を保持するのに困難を生じたり、樹脂フィルムによる容器の包装に支障を来すことが少ない。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、樹脂フィルムの側端部を保持するアームクランプのクランプ板材と押さえ板材とが構成の簡易な略板形なので、樹脂フィルムの側端部をそのままアームクランプ用の被保持部に利用することが可能となる。したがって、被保持部形成のため、各粘着層を複数に分割し、分割した複数の粘着層を鎖線や千鳥形等に配列する必要がなく、各粘着層を連続した帯形に形成して粘着層の形成作業の迅速化や容易化等を図ることが可能となる。また、容器をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルムで包装する際、容器に接触したアームクランプのベース材が緩衝部材を撓ませながらスライドし、緩衝機能を発揮するので、アームクランプとの強い接触により、容器に収容された内容物が損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るフィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法の実施形態における苺の箱詰め作業状態を模式的に示す平面図である。
【
図2】本発明に係るフィルム包装機の実施形態を模式的に示す平面図である。
【
図3】本発明に係るフィルム包装機の実施形態を模式的に示す正面図である。
【
図4】本発明に係るフィルム包装機の実施形態におけるスタンド無しの包装装置を模式的に示す斜視説明図である。
【
図5】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における本体コンベヤを模式的に示す側面説明図である。
【
図6】本発明に係るフィルム包装機の実施形態におけるフィルムロール付きの支持機構を模式的に示す側面図である。
【
図7】本発明に係るフィルム包装機の実施形態におけるフィルムロール無しの支持機構を模式的に示す正面図である。
【
図8】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における連続した樹脂フィルムを模式的に示す平面図である。
【
図9】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における待機機構の下方の接離部材を模式的に示す平面図である。
【
図10】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における待機機構の上下一対の接離部材を模式的に示す正面図である。
【
図11】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における包装機構を模式的に示す分解斜視図である。
【
図12】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における包装機構のスライド機構を模式的に示す平面図である。
【
図13】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における包装機構のクランプ機構を模式的に示す裏面図である。
【
図14】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における包装機構のアームクランプを模式的に示す斜視図である。
【
図15】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における切断機構の検知センサとブラケットを模式的に示す正面図である。
【
図16】本発明に係るフィルム包装機の実施形態における切断機構のカット機構を模式的に示す正面図である。
【
図17】容器に収容された複数の苺を樹脂フィルムで包装した状態を示す斜視説明図である。
【
図19】底の浅いトレー形の容器を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるフィルム包装機は、
図1ないし
図19に示すように、複数の苺1を収容した容器用の搬入コンベヤ10と、容器2のサイズを検出する光電センサ20と、この光電センサ20の検出結果に基づいて容器2をそのサイズに適したサイズの樹脂フィルム50で包装する包装装置30と、樹脂フィルム50により包装された容器2を包装装置30から外部に搬送する搬出コンベヤ100とを備えた包装機械であり、包装装置30の支持機構47に、樹脂フィルム50に巻きかけられるガイド軸57が設けられ、包装装置30の待機機構48における下方の接離部材59に、樹脂フィルム50に接触する帯電防止の滑り止めテープ60が取り付けられることにより、国連サミットで採択されたSDGs(国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる持続可能な開発目標)の目標9の達成に貢献する。
【0027】
複数(例えば、8個、10個、12個、15個等)の苺1は、その大きさや収容数により、容器2の内部に完全に収納されたり、容器2の開口した上部から部分的、かつ不規則に食み出る(
図1、
図3、
図17参照)。
【0028】
容器2は、
図3、
図17、
図18に示すように、例えば透明性や加工性等に優れる非晶性ポリエチレンテレフタレート(A‐PET)樹脂等の成形材料により、上部が開口した透明の箱形に熱成形され、複数の苺1を1段詰め、あるいは2段詰め等に収容する。この容器2は、同じサイズ(大きさ)がフィルム包装機にセットして包装されたり、必要に応じ、サイズ違いがフィルム包装機にセットして包装される。例えば、115×170×H45mmのサイズや133×197×H25mmのサイズがフィルム包装機に選択してセットされる。
【0029】
搬入コンベヤ10は、
図1ないし
図3に示すように、例えばベルトコンベヤの場合、スタンド付きの長いフレーム11を備え、このフレーム11の前後両端部のローラにエンドレスのベルト12が巻架されており、このベルト12がインダクションモータ等のモータの駆動により循環することにより、ベルト12に搭載した複数の容器2を下流(図の矢印参照)の包装装置30に間欠的に搬送するよう機能する。この搬入コンベヤ10のベルト12は、例えばポリエステル樹脂製の帆布ベルトに熱可塑性ポリウレタン樹脂製のベルトが積層された抗菌性の平ベルト、洗浄性やクリーン性等に優れるスレンレス製の平ベルト、滑り性や低摩擦性等に優れるフッ素樹脂製の平ベルト等が使用される。
【0030】
搬入コンベヤ10の下流部には、ベルト12上の容器2をセンタリングするセンタリング機構13が設置され、このセンタリング機構13にセンタリングされた容器2が下流の包装装置30に搬送される。センタリング機構13は、
図1ないし
図3に示すように、搬入コンベヤ10の下流部に嵌合されて容器2を通過させる断面略チャネル形のボックス14を備え、このボックス14の下部両側には、ベルト12の幅方向外側からベルト12の中心部方向に傾斜して指向する位置決めバーがバネを介しそれぞれ水平方向に揺動可能に軸支されており、この一対の位置決めバーが平面ハ字形を描くよう配列される。
【0031】
このようなセンタリング機構13は、搬入コンベヤ10の中流部から容器2が搬送されて来ると、容器2の両側部に一対の位置決めバーを弾圧付勢して容器2の軌道を規制し、この容器2をベルト12の中心部に位置合わせして包装装置30による樹脂フィルム50の包装に資するよう機能する。位置合わせされた容器2は、一対の位置決めバーを水平外方向に揺動させながらその間を通過し、センタリング機構13から隣接する下流の包装装置30に搬送される。
【0032】
搬入コンベヤ10の左右両側部には
図1に示すように、必要に応じ、スタンドを備えた苺詰め用の作業テーブル15が配設され、この作業テーブル15上で空の容器2に複数の苺1が就農者により慎重に箱詰めされる。複数の苺1を収容した容器2は、就農者により、搬入コンベヤ10の循環するベルト12に搭載され、センタリング機構13に搬送される。
【0033】
光電センサ20は、
図1や
図3に示すように、例えば搬入コンベヤ10のフレーム11の下流部一側にブラケットを介し設置されて赤外線等の光線を搬入コンベヤ10の下流部他側方向に照射する投光素子21と、搬入コンベヤ10のフレーム11の下流部他側にブラケットを介し設置されて相対向する投光素子21からの光線を受光する受光素子22とを備えた透過型のセンサであり、センタリング機構13の下流に対設される。
【0034】
係る光電センサ20は、投光素子21と受光素子22との間に容器2が存在しない場合には、投光素子21から照射された光線を受光素子22が受光するが、投光素子21と受光素子22との間に容器2が存在する場合には、センタリング機構13を通過して来た容器2に光線が遮られ、その遮られた時間から容器2の有無とその長さ、換言すれば、容器2のサイズを非接触で高精度に検出するよう機能する。
【0035】
包装装置30は、
図1ないし
図4等に示すように、搬入コンベヤ10と搬出コンベヤ100の間に介在される架台31と、この架台31の内部中央に設置されて搬入コンベヤ10の下流部と搬出コンベヤ100の上流部の間に介在される容器用の本体コンベヤ42と、架台31に配設されて透明の樹脂フィルム50が巻かれたフィルムロール49を支持する一対の支持機構47と、この一対の支持機構47のフィルムロール49から繰り出された樹脂フィルム50をその形態を維持しながら上下一対の接離部材59・61の間に挟持して待機させる一対の待機機構58と、光電センサ20の検出結果に基づいて一対の待機機構58のいずれかから樹脂フィルム50を引き出し、この引き出された樹脂フィルム50により、本体コンベヤ42上に停止した容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域を包装する一対の包装機構63と、一対の待機機構58から引き出された樹脂フィルム50を切断可能な一対の切断機構86とを備えて構成される。
【0036】
架台31は、
図3や
図4に示すように、上部が開口した箱形に構成されるスタンド32付きの本体33と、この本体33の内隅部等に立設される複数の支柱34と、この複数の支柱34の上部に支持される制御盤内蔵の制御ボックス35とを備え、本体33の内部に、複数の支柱34に包囲される立体構造の取付フレーム41が内蔵されており、この取付フレーム41に、本体コンベヤ42、一対の待機機構58、一対の包装機構63、及び一対の切断機構86が配設される。
【0037】
本体33の下方には、少なくとも待機機構58、包装機構63、及び切断機構86を駆動させるコンプレッサ36が設置され、本体33の両側壁には、接続用の切り欠き37がそれぞれ切り欠かれており、この一対の切り欠き37には、搬入コンベヤ10の下流部と搬出コンベヤ100の上流部がそれぞれ水平に接続される。また、複数の支柱34の間には、透明の保護カバーが着脱自在に装着され、制御ボックス35の正面壁には、電源38、非常停止スイッチ39、及び操作ボックス40等が配設される。取付フレーム41は、本体33の内底部に敷設される平面梯子形のベース材を備え、このベース材の両側部間に複数の跨架材が並べて架設されることで構成されており、各跨架材が逆U字形に屈曲形成されて起立する。
【0038】
本体コンベヤ42は、例えばベルトコンベヤの場合、
図4や
図5に示すように、架台31の本体両側壁方向に指向するフレーム43を備え、このフレーム43の前後両端部の駆動ローラと従動ローラとにエンドレスのベルト44が巻架されており、このベルト44がギヤードモータ等のモータ45の駆動により循環することにより、搬入コンベヤ10からの容器2をベルト44の往路に搭載して間欠的に搬送するよう機能する。
【0039】
フレーム43は、本体33内の取付フレーム41のベース材に緩衝機構46を介し沈下可能に支持され、搬入コンベヤ10の下流部と搬出コンベヤ100の上流部に略同じ高さで水平に連接される。緩衝機構46は、例えば取付フレーム41のベース材とフレーム43の下部との間に介在されてフレーム43を弾発的に支持するコイルバネ等からなり、包装機構63の包装作業時の圧下に伴う衝撃を軽減する。
【0040】
ベルト44は、例えばポリエステル樹脂製の帆布ベルトに熱可塑性ポリウレタン樹脂製のベルトが積層された抗菌性の平ベルト、滑り性や低摩擦性等に優れるフッ素樹脂製の平ベルト等が使用され、一般的な容器2の底部と同じ幅か、あるいはやや狭い幅に形成される。このベルト44の色彩は、搬入コンベヤ10のベルト12が白色等の無彩色の場合には、識別を容易にする観点から、緑色や青色等の有彩色であるのが好ましい。
【0041】
このような本体コンベヤ42は、ベルト44を循環させてフレーム43の上流部から中流部付近に容器2を搬送して一時停止させ、この一時停止した容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域が樹脂フィルム50に被覆包装された後、ベルト44を再び循環させてフレーム43の中流部付近から下流部の搬出コンベヤ100に容器2を搬送するよう機能する。ベルト44の一時停止や再度の循環は、各種センサ(例えば、光電センサ、ファイバセンサ、圧力センサ等)による容器2や包装機構63の検出、タイマーの時間設定等により実現される。
【0042】
一対の支持機構47は、
図2ないし
図4等に示すように、架台31の上流部側(
図2や
図3の右側)の支柱34と下流部側(
図2や
図3の左側)の支柱34に配設されてサイズの異なるフィルムロール49を回転可能に支持する機構である。この一対の支持機構47は、一方の支持機構47に1種類の容器2のサイズに適する包装サイズのフィルムロール49が自由回転可能に支持され、他方の支持機構47に別の1種類以上の容器2のサイズに適する包装サイズのフィルムロール49が自由回転可能に支持される。
【0043】
例えば、上流側の支持機構47Aに、中型の容器サイズに適切に対応して包装可能な幅のフィルムロール49が自由回転可能に支持され、下流側の支持機構47Bに、大型の容器サイズに適切に対応して包装可能な幅広のフィルムロール49が自由回転可能に支持される。また、下流側の支持機構47Bに、箱形の容器サイズに適切に対応して包装可能な幅のフィルムロール49が自由回転可能に支持され、上流側の支持機構47Aに、背の低い浅底のトレー形の容器サイズに適切に対応して包装可能な幅狭のフィルムロール49が自由回転可能に支持される。
【0044】
各支持機構47は、
図6や
図7等に示すように、例えば架台31側方の複数の支柱34間に架設される略チャネル形のブラケット48と、このブラケット48の相対向する両壁間に水平に架設されてフィルムロール49を貫通支持する着脱自在の支持軸55と、ブラケット48の両壁下部間に水平に架設されて支持軸55の斜め下方に位置するガイド軸57とを備え、ブラケット48の長壁が本体コンベヤ42のベルト幅方向に伸びてガイド軸57と近接する。
【0045】
フィルムロール49は、
図2ないし
図4等に示すように、連続した長い(例えば、300m以上360m以下)透明帯形の樹脂フィルム50が巻芯に多層に巻かれることで形成され、支持軸55に自由回転可能に支持される。樹脂フィルム50は、特に限定されるものではないが、
図8等に示すように、例えば透明性、耐衝撃性、耐水性、印刷性等に優れる透明の延伸ポリプロピレン(OPP)樹脂フィルムが好ましくは使用され、長手方向に多数の包装領域51が連接して区画されており、各包装領域51が矩形に形成されて想定する容器2の上部から食み出た苺1から両側部に亘る領域を被覆包装可能なサイズ(長さ・幅)とされる。樹脂フィルム50は、容器2のサイズにもよるが、例えば幅が220mm以上240mm以下、厚さが20μm以上30μm以下、好ましくは25μm程度に成形される。
【0046】
樹脂フィルム50の包装領域51には、苺1のブランド名や生産地を示す図示しない文字等の模様が印刷される。包装領域51の両側端部には
図8に示すように、包装機構63用の被保持部52がそれぞれ幅7mm以上10mm以下の帯形に区画形成され、この一対の被保持部52に隣接する両側部には、被保持部52の内側に位置する粘着層53がそれぞれ形成されており、各粘着層53がアクリル系の接着剤等により無彩色(例えば、白色)の帯形(例えば、幅10mm以上15mm以下)に印刷されて容器2の側部に粘着可能とされる。一対の粘着層53のうち、少なくとも一方の粘着層53の端部付近には、切断機構86用の検知マーク54が隙間をおいて無彩色(例えば、白色)の平面矩形に印刷され、この検知マーク54の検知に基づいて切断機構86が動作する。
【0047】
支持軸55には、フィルムロール49を挟持して位置ずれを防止する一対のリールプレート56が嵌着され、各リールプレート56が透明の円板に成形される。また、ガイド軸57は、
図3、
図6、
図7等に示すように、細長い円柱形に形成され、フィルムロール49の斜め下方に位置してフィルムロール49と待機機構58との間に介在し、フィルムロール49からの樹脂フィルム50に緊張して巻架される。
【0048】
一対の待機機構58は、
図3、
図9や
図10に示すように、架台31に内蔵されて本体コンベヤ42の上流部と下流部に配設されることにより、本体コンベヤ42の中流部を露出させ、上流側の待機機構58Aが上流側の支持機構47Aのフィルムロール49からガイド軸57を介して繰り出された樹脂フィルム50をその形態を平坦に維持しながら上下一対の接離部材59・61の間に挟持して待機させるとともに、下流側の待機機構58Bが下流側の支持機構47Bのフィルムロール49からガイド軸57を介して繰り出された樹脂フィルム50をその形態を平坦に維持しながら上下一対の接離部材59・61の間に挟持して待機させるよう機能する。
【0049】
各待機機構58は、本体33内の取付フレーム41のベース材に固定されて本体コンベヤ42を跨ぐ下方の接離部材59と、この下方の接離部材59の表面に上方から接離可能に対向する上方の接離部材61とを備え、接離部材59がフィルムロール49前方の斜め下方に位置し、フィルムロール49から繰り出された樹脂フィルム50を前方に繰り出し可能とする。
【0050】
下方の接離部材59は、本体コンベヤ42上の容器2に通過される断面略逆U字形の台座に形成され、平坦な表面が樹脂フィルム50の被保持部52以外の領域を搭載する大きさに形成されており、表面に後方から繰り出された樹脂フィルム50を搭載してその被保持部52を左右横方向に食み出させる。下方の接離部材59の表面には、樹脂フィルム50に接触する帯電防止性の滑り止めテープ60が締結具を介して積層固定され、この帯電防止性の滑り止めテープ60が静電気で樹脂フィルム50の被保持部52等が波打ち変形するのを有効に防止する。
【0051】
滑り止めテープ60は、例えば基材に導電性の粗い鉱物粒子が積層されたテープ材、基材に導電性の粗い金属皮膜が積層されたテープ材、基材に導電性の粗い導電性高分子が積層されたテープ材等からなり、樹脂フィルム50を滑りにくくするため、少なくとも表面の静摩擦係数(表面摩擦係数)が0.4以上、好ましくは0.4以上0.90以下、より好ましくは0.45以上0.88以下、さらに好ましくは0.60以上0.86以下に設定される。この滑り止めテープ60の基材としては、特に限定されるものではないが、例えばアルミ箔、ポリエチレン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート等が使用される。また、静摩擦係数は、ASTM D 1894に準拠して測定することが可能である。
【0052】
このような滑り止めテープ60の製品例としては、例えばASH‐105Y260250〔ミドリ安全株式会社製:製品名〕、ASH‐55Y260240〔ミドリ安全株式会社製:製品名〕、ASH‐105BK260251〔ミドリ安全株式会社製:製品名〕等があげられる。
【0053】
上方の接離部材61は、
図10に部分的に示すように、例えば平面略H字形に形成され、エアシリンダ等からなる昇降シリンダの往復動可能なピストンロッド62の先端部に装着される。この昇降シリンダは、本体33内の取付フレーム41の跨架材に装着され、コンプレッサ36に接続される。
【0054】
一対の包装機構63は、架台31の本体33内に配設されて本体コンベヤ42の中流部付近から一対の待機機構58までの上方の空間に三次元動作可能に位置し、上流側の包装機構63Aが上流側の待機機構58Aに対応するとともに、下流側の包装機構63Bが下流側の待機機構58Bに対応し、上流側と下流側の包装機構63A・63Bのいずれかが光電センサ20の検出結果に基づいて所定の長さ(包装領域51の長手方向の長さに相当する長さ)の樹脂フィルム50を待機機構58から引き出し、この引き出した樹脂フィルム50により、本体コンベヤ42上に一時停止した容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域を被覆包装するよう機能する。
【0055】
各包装機構63は、
図3、
図4、
図11ないし
図14に示すように、例えば本体33内の取付フレーム41の跨架材に装着されるスライド機構64と、このスライド機構64に支持されるクランプ機構70と、このクランプ機構70に装着される左右一対のアームクランプ79とを備え、光電センサ20の検出結果に基づいて待機機構58の一対の接離部材59・61間に位置する樹脂フィルム50の被保持部52を一対のアームクランプ79に保持させ、この一対のアームクランプ79を本体コンベヤ42上の容器2方向に移動させることにより、樹脂フィルム50の包装領域51を一対の接離部材59・61から引き出して容器2の上方に位置させ、一対のアームクランプ79を下降させながら相互に接近させることにより、容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域に樹脂フィルム50を巻きかけるとともに、容器2の両側部に樹脂フィルム50の一対の粘着層53をそれぞれ粘着する。
【0056】
スライド機構64は、
図11や
図12に示すように、取付フレーム41の跨架材に装着されて相対向する一対のフレーム65を備え、この一対のフレーム65の間には、本体コンベヤ42の搬送方向に指向する複数のスライド軸66が間隔をおき並べて軸架されるとともに、エアシリンダ等からなる前後シリンダ67が装架され、複数のスライド軸66には、前後シリンダ67の駆動に基づいて本体コンベヤ42の搬送方向にスライドする板形のシリンダブラケット68が嵌通支持されており、このシリンダブラケット68には、エアシリンダ等からなる上下シリンダ69が下向きに装着される。
【0057】
クランプ機構70は、
図11や
図13に示すように、スライド機構64のシリンダブラケット68に複数の吊持軸71を介し上下動可能に支持される細長いベース板72を備え、このベース板72の下面両端部には、回転可能な一対のガイドローラ73が配設されており、この一対のガイドローラ73の間には、エンドレスのタイミングベルト74が循環可能に巻架される。ベース板72は、細長い矩形の板に形成されて本体コンベヤ42のベルト幅方向に指向し、上下シリンダ69のピストンロッドの先端部に接続されており、上下シリンダ69の駆動に基づき上下動する。
【0058】
ベース板72の下面には、タイミングベルト74内に位置する一対のホルダ75が間隔をおいて対設され、この一対のホルダ75の間には、本体コンベヤ42のベルト幅方向に指向する複数のガイド軸76が並べて軸架されており、この複数のガイド軸76には、本体コンベヤ42のベルト幅方向にスライド可能な一対のリニアブロック77が間隔をおいて嵌通支持されるとともに、この一対のリニアブロック77がタイミングベルト74に間隔をおいて内側から接続される。
【0059】
ベース板72の側部には、本体コンベヤ42のベルト幅方向に指向するエアシリンダ等からなる駆動シリンダ78が水平に装着され、この駆動シリンダ78の往復動可能なピストンロッドの先端部が一対のリニアブロック77のうちの一方のリニアブロック77にタイミングベルト74を介して連結される。駆動シリンダ78は、ピストンロッドを往復動させてタイミングベルト74を循環させ、一対のリニアブロック77を本体コンベヤ42のベルト幅方向にスライドさせることにより、一対のリニアブロック77を相互に接近させたり、離隔させる。
【0060】
一対のアームクランプ79は、
図11や
図14に示すように、クランプ機構70の一対のリニアブロック77に装着されることにより、本体コンベヤ42のベルト幅方向にスライドし、相互に接近して樹脂フィルム50を挟持したり、樹脂フィルム50の両被保持部52から離隔する。
【0061】
各アームクランプ79は、クランプ機構70のリニアブロック77に装着される逆L字ブラケット80を備え、この逆L字ブラケット80の起立片下部には、本体コンベヤ42の搬送方向に指向する横長のベース板81が支持され、このベース板81の内面には、本体コンベヤ42の搬送方向に指向するベース板81Aが緩衝用の複数のコイルバネ82を介しスライド可能に支持されており、この内側のベース板81Aの上部には、本体コンベヤ42の搬送方向に指向する倒L字形のクランプ板83が接続されるとともに、このクランプ板83の短い上部には、容器2の側部に弾接する角柱形のスポンジ等からなる緩衝片84が横長に貼着される。
【0062】
内側のベース板81Aの内面には、上方向に指向するエアシリンダ等からなるクランプシリンダが装着され、このクランプシリンダの往復動可能なピストンロッドの先端部には、クランプ板83に接離可能に対向する倒L字形の押さえ板85が接続される。クランプシリンダは、駆動してピストンロッドを突出させ、押さえ板85を上昇させることにより、クランプ板83と押さえ板85の短片部との間に樹脂フィルム50の被保持部52を保持する。
【0063】
このような包装機構63は、スライド機構64の前後シリンダ67の駆動により一対のアームクランプ79が本体コンベヤ42の搬送方向に水平に移動し、スライド機構64の上下シリンダ69の駆動により一対のアームクランプ79が本体コンベヤ42や待機機構58に対して垂直に上下動し、クランプ機構70の駆動シリンダ78の駆動で一対のアームクランプ79が本体コンベヤ42のベルト幅方向に水平に開閉するとともに、一対のアームクランプ79のクランプシリンダの駆動で押さえ板85がクランプ板83に対して上下動する。
【0064】
一対の切断機構86は、
図3、
図15、
図16等に示すように、架台31の本体33内に配設され、上流側の切断機構86Aが上流側の待機機構58Aの前方に位置し、下流側の切断機構86Bが下流側の待機機構58Bの前方に位置する。各切断機構86は、待機機構58に挟まれた樹脂フィルム50の検知マーク54を検知する検知センサ87と、この検知センサ87の検知結果に基づき、待機機構58から引き出された所定の長さの樹脂フィルム50を切断するカット機構92とを備えて構成される。
【0065】
検知センサ87は、
図15に示すように、本体33内の取付フレーム41の跨架材両側部間にブラケット88を介し装着されて赤外線等の光線を下方に照射する投光素子90と、この上方の投光素子90からの光線を受光する受光素子91とを備えた透過型のファイバセンサである。
【0066】
ブラケット88は、例えば本体コンベヤ42のベルト幅方向に指向する断面L字形に屈曲形成され、跨架材の両側部間に架設されており、一端部に樹脂フィルム50の一側部を隙間を介して挟む倒U字形のセンサホルダ89が水平方向にスライド可能に螺着される。また、検知センサ87は、センサホルダ89の相対する上部壁に投光素子90が装着され、相対する下部壁に受光素子91が装着されており、下方の接離部材59の前部側に位置する。
【0067】
このような検知センサ87は、投光素子90と受光素子91との間に樹脂フィルム50の検知マーク54が存在しない場合には、投光素子90から照射された光線を受光素子91が受光するが、投光素子90と受光素子91との間に樹脂フィルム50の検知マーク54が存在する場合には、検知マーク54に光線が遮られることにより、樹脂フィルム50を非接触で検知し、この検知に基づき、カット機構92が樹脂フィルム50を包装領域51の境界で切断する。
【0068】
カット機構92は、
図16に示すように、例えばブラケットの中央部に装着されるH字形ブラケット93を備え、このH字形ブラケット93にエアシリンダがシャフトと共に搭載され、エアシリンダの上部に、本体コンベヤ42の搬送方向に指向するベースブロックが装着されており、このベースブロックに倒L字形ブラケット94を介してエアシリンダ等の切断シリンダ95が下向きに装着される。
【0069】
切断シリンダ95の上下動可能なピストンロッドの先端部には、本体コンベヤ42のベルト幅方向に指向する弓形のヒータホルダ96が水平に装着され、このヒータホルダ96には、加熱用のヒータベース97が装着されており、ヒータホルダ96の両端部間には、樹脂フィルム50の隣接する包装領域51と包装領域51との間の境界を発熱して熱切断するニクロム線等のヒータ線98が張架される。
【0070】
搬出コンベヤ100は、
図1ないし
図3に示すように、例えばベルトコンベヤの場合、スタンド付きの長いフレーム101を備え、このフレーム101の前後両端部のローラにエンドレスのベルト102が巻架されており、このベルト102がインダクションモータ等のモータの駆動により本体コンベヤ42に連動して循環することにより、包装装置30の本体コンベヤ42からの包装済みの容器2をベルト102に搭載して下流に間欠的に搬送するよう機能する。この搬出コンベヤ100のベルト102は、例えばポリエステル樹脂製の帆布ベルトに熱可塑性ポリウレタン樹脂製のベルトが積層された抗菌性の平ベルト、洗浄性やクリーン性等に優れるスレンレス製の平ベルト、滑り性や低摩擦性等に優れるフッ素樹脂製の平ベルト等が使用される。
【0071】
搬出コンベヤ100のフレーム101の上流部両側には、包装済みの容器2を挟んで脱落を防止する落下防止板103がそれぞれ起立して装着され、各落下防止板103が略T字形に形成されており、フレーム101の下流部には、包装済みの容器2を停止させてベルト102上に一列に整列させるストッパ104が取り付けられる。このストッパ104は、例えば平面略U字形に屈曲形成され、フレーム101の下流部両側間に上下方向に回転可能に架設されており、ベルト102を跨いだ状態で搬送されて来た包装済みの容器2の前部に接触して停止させる。
【0072】
搬出コンベヤ100のフレーム101の一側部には、スタンドを備えた容器用の集積テーブル105が設置され、フレーム101の他側部には、搬出コンベヤ100のベルト102から集積テーブル105に一列に並んだ複数の包装済みの容器2を押しやるプッシャ機構106が設置される。
【0073】
プッシャ機構106は、例えばフレーム101の他側部に、コンプレッサ36に接続されたエアシリンダ等からなるプッシャシリンダ107が装着され、このプッシャシリンダ107の往復動可能なピストンロッドがフレーム101の一側部方向に指向しており、このピストンロッドの先端部に、複数の包装済みの容器2の側部に接触可能な細長いプッシャ板108が装着されることで構成される。集積テーブル105上に一列に並んだ複数の包装済みの容器2は、図示しない段ボール箱に梱包され、出荷される。
【0074】
次に、サイズの異なる2種類の容器2に苺1を収容して包装する場合について説明する。例えば、複数の苺1を収容した中型と大型の容器2をそれぞれ用意し、これらを順次包装しようとする場合には、先ず、包装装置30の上流側の支持機構47Aに、中型の容器サイズに最適な包装サイズのフィルムロール49を回転可能に支持させるとともに、下流側の支持機構47Bに、大型の容器サイズに最適な包装サイズである幅広のフィルムロール49を回転可能に支持させる。
【0075】
各支持機構47A・47Bにフィルムロール49を回転可能に支持させたら、各フィルムロール49の透明な樹脂フィルム50をガイド軸57を介して待機機構58の離隔した一対の接離部材59・61間に引き出し、樹脂フィルム50の先端部を下方の接離部材59の前部に揃え、その後、待機機構58の昇降シリンダを駆動させて上方の接離部材61を下降させ、下方の接離部材59と上方の接離部材61の間に樹脂フィルム50を挟持させる。
【0076】
この際、支持機構47A・47Bのガイド軸57にフィルムロール49からの樹脂フィルム50が弛みのない緊張状態で巻架されるので、フィルムロール49の外周面や樹脂フィルム50に凹凸や皺等が不規則に生じることがない。また、下方の接離部材59の帯電防止の滑り止めテープ60に樹脂フィルム50が搭載されるので、滑り止めテープ60に樹脂フィルム50が接触したり、滑り止めテープ60から樹脂フィルム50が離れる際の静電気の発生を有効に抑制することができる。また、滑り止めテープ60の樹脂フィルム50と接触する鉱物粒子等からなる表面の静摩擦係数が0.4未満ではなく、0.4以上なので、薄く軽い樹脂フィルム50が前後左右に位置ずれして包装作業に支障を来すのを有効に防止することができる。
【0077】
各待機機構58に樹脂フィルム50を挟持させたら、各待機機構58の上方に包装機構63を配置し、各包装機構63における一対のアームクランプ79のクランプシリンダを駆動させる。すると、一対のアームクランプ79のクランプシリンダが駆動して押さえ板85を上昇させ、各アームクランプ79のクランプ板83と押さえ板85とが待機機構58の一対の接離部材59・61間から食み出た樹脂フィルム50両側の被保持部52を保持し、フィルム包装機による包装作業の準備を完了する。
【0078】
この際、アームクランプ79のクランプ板83と押さえ板85とが熊手形やY字形等の特殊な形ではなく、それぞれ構成の簡易な略板形なので、樹脂フィルム50の被保持部52をそのままアームクランプ79用の被保持部52に利用することができる。したがって、複雑な形の被保持部52を形成するため、各粘着層53を複数に分割して個々に形成したり、分割した複数の粘着層53を千鳥形に配列する必要がなく、各粘着層53を連続した帯形に形成して粘着層53の印刷作業の迅速化や容易化等を図ることができる。
【0079】
フィルム包装機による包装作業の準備が完了したら、搬入コンベヤ10を起動し、複数の苺1を収容した中型の容器2を搬入コンベヤ10のベルト12に搭載し、その後、複数の苺1を収容した大型の容器2を搬入コンベヤ10のベルト12に搭載すれば良い。すると、中型の容器2は、搬入コンベヤ10の上流から下流に水平に搬送され、センタリング機構13を通過しながらベルト12の中心部に位置合わせされ、光電センサ20の投光素子21と受光素子22との間に搬送されて光線を遮蔽することにより、サイズが高精度に検出される。サイズが検出された中型の容器2は、搬入コンベヤ10の下流から包装装置30の本体コンベヤ42に移載され、この本体コンベヤ42の上流部から中流部に水平に搬送されて一時停止する。
【0080】
次いで、光電センサ20が容器2のサイズを中型と検出すると、上流側の待機機構58Aの昇降シリンダが駆動して上方の接離部材61を元の位置に上昇復帰させ、下方の接離部材59から上方の接離部材61が離隔して樹脂フィルム50を引き出し可能とする。樹脂フィルム50が引き出し可能になると、上流側の包装機構63Aにおけるスライド機構64の前後シリンダ67が駆動して一対のアームクランプ79を容器2の直上に移動させるが、この移動に伴い、一対のアームクランプ79に保持された樹脂フィルム50の包装領域51が一対の接離部材59・61間から引き出され、樹脂フィルム50の検知マーク54が上流側の切断機構86Aの検知センサ87に検知される。
【0081】
すると、上流側の切断機構86Aにおけるカット機構92の切断シリンダ95が駆動してヒータホルダ96を下降させ、樹脂フィルム50の引き出された包装領域51と後続の包装領域51との間の境界がヒータ線98により上方から熱切断され、引き出された樹脂フィルム50が自由に包装可能な状態となる。また、上流側の待機機構58Aの昇降シリンダが駆動して上方の接離部材61を下降させ、下方の接離部材59と上方の接離部材61の間に後続の樹脂フィルム50が新たに挟持される。
【0082】
次いで、上流側の包装機構63Aにおけるスライド機構64の上下シリンダ69が駆動して一対のアームクランプ79を容器2方向に下降させるとともに、クランプ機構70の駆動シリンダ78が駆動して一対のアームクランプ79を相互に接近させ、これらの下降と接近により、中型の容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域に樹脂フィルム50が巻装され、中型の容器2の傾斜した両側部に樹脂フィルム50両側の粘着層53が粘着して被覆包装する。
【0083】
この際、一対のアームクランプ79が中型の容器2に接触して圧下するが、この圧下に伴い、本体コンベヤ42が緩衝機構46により沈下し、包装作業時の圧下に伴う衝撃を軽減する。この衝撃の軽減により、中型の容器2内の傷付き易い苺1が押し潰され、損傷するのを有効に防止することができる。また、容器2と各アームクランプ79との接触に伴い、アームクランプ79の内側のベース板81Aが複数のコイルバネ82を圧縮させながら外側のベース板81に接近して緩衝機能を発揮するので、容器2とアームクランプ79との強い接触に伴い、中型の容器2の傾斜した両側部が凹んで苺1が損傷するのを防止することができる。
【0084】
次いで、中型の容器2が被覆包装されると、上流側の包装機構63Aにおける一対のアームクランプ79のクランプシリンダが駆動して押さえ板85を下降させ、各アームクランプ79のクランプ板83と押さえ板85とが樹脂フィルム50両側の被保持部52の保持を解除し、包装機構63Aにおけるクランプ機構70の駆動シリンダ78が駆動して一対のアームクランプ79を相互に離隔させ、スライド機構64の上下シリンダ69が駆動して一対のアームクランプ79を上昇させるとともに、スライド機構64の前後シリンダ67が駆動して一対のアームクランプ79を中型の容器2の直上から上流側の待機機構58Aの上方に復帰させ、この復帰した一対のアームクランプ79が上流側の待機機構58Aに挟持された樹脂フィルム50両側の被保持部52を再び保持する。
【0085】
また、中型の容器2が被覆包装されると、包装装置30の本体コンベヤ42が再起動するとともに、搬出コンベヤ100が連動して起動する。すると、被覆包装された中型の容器2は、本体コンベヤ42の中流部から下流部に搬送され、本体コンベヤ42の下流部から搬出コンベヤ100の上流部に移載され、その後、搬出コンベヤ100の下流部に搬送されてストッパ104に接触して停止する。
【0086】
次いで、大型の容器2の包装について説明すると、大型の容器2は、中型の容器2と同様、搬入コンベヤ10の上流から下流に水平に搬送され、センタリング機構13を通過しながらベルト12の中心部に位置合わせされ、光電センサ20の投光素子21と受光素子22の間に搬送されて光線を遮蔽することにより、サイズが高精度に検出される。サイズが検出された大型の容器2は、搬入コンベヤ10の下流から包装装置30の本体コンベヤ42に移載され、この本体コンベヤ42の上流部から中流部に水平に搬送されて一時停止する。
【0087】
次いで、光電センサ20が容器2のサイズを大型と検出すると、下流側の待機機構58Bの昇降シリンダが駆動して上方の接離部材61を元の位置に上昇復帰させ、下方の接離部材59から上方の接離部材61が離隔して樹脂フィルム50を引き出し可能とする。樹脂フィルム50が引き出し可能になると、下流側の包装機構63Bにおけるスライド機構64の前後シリンダ67が駆動して一対のアームクランプ79を容器2の直上に移動させるが、この移動に伴い、樹脂フィルム50の包装領域51が一対の接離部材59・61間から引き出され、樹脂フィルム50の検知マーク54が下流側の切断機構86Bの検知センサ87に検知される。
【0088】
すると、下流側の切断機構86Bにおけるカット機構92の切断シリンダ95が駆動してヒータホルダ96を下降させ、樹脂フィルム50の引き出された包装領域51と後続の包装領域51との間の境界がヒータ線98により上方から熱切断され、引き出された樹脂フィルム50が自由に包装可能な状態となる。また、下流側の待機機構58Bの昇降シリンダが駆動して上方の接離部材61を下降させ、下方の接離部材59と上方の接離部材61の間に後続の樹脂フィルム50が新たに挟持される。
【0089】
次いで、下流側の包装機構63Bにおけるスライド機構64の上下シリンダ69が駆動して一対のアームクランプ79を容器2方向に下降させるとともに、クランプ機構70の駆動シリンダ78が駆動して一対のアームクランプ79を相互に接近させ、これらの下降と接近により、大型の容器2の上部の苺1から両側部に亘る領域に樹脂フィルム50が巻装され、大型の容器2の傾斜した両側部に樹脂フィルム50両側の粘着層53が粘着して被覆包装する。
【0090】
この際、一対のアームクランプ79が大型の容器2に接触して圧下するが、この圧下に伴い、本体コンベヤ42が緩衝機構46により沈下して包装作業時の圧下に伴う衝撃を軽減するので、大型の容器2内の傷付き易い苺1が押し潰され、損傷するのを有効に防止することができる。また、容器2と各アームクランプ79との接触に伴い、アームクランプ79の内側のベース板81Aが複数のコイルバネ82を圧縮させながら外側のベース板81に接近して緩衝機能を発揮するので、大型の容器2の傾斜した両側部が凹んで苺1が損傷するのを防止することができる。
【0091】
次いで、大型の容器2が被覆包装されると、下流側の包装機構63Bにおける一対のアームクランプ79のクランプシリンダが駆動して押さえ板85を下降させ、各アームクランプ79が樹脂フィルム50の保持を解除し、包装機構63Bにおけるクランプ機構70の駆動シリンダ78が駆動して一対のアームクランプ79を相互に離隔させ、スライド機構64の上下シリンダ69が駆動して一対のアームクランプ79を上昇させるとともに、スライド機構64の前後シリンダ67が駆動して一対のアームクランプ79を大型の容器2の直上から下流側の待機機構58Bの上方に復帰させ、この復帰した一対のアームクランプ79が下流側の待機機構58Bに挟持された樹脂フィルム50両側の被保持部52を保持する。
【0092】
また、大型の容器2が被覆包装されると、包装装置30の本体コンベヤ42が再起動するとともに、搬出コンベヤ100が連動して起動する。すると、被覆包装された大型の容器2は、本体コンベヤ42の中流部から下流部に搬送され、本体コンベヤ42の下流部から搬出コンベヤ100の上流部に移載され、その後、搬出コンベヤ100の下流部に搬送されて中型の容器2に衝突して停止する。
【0093】
なお、中型の容器2のみを複数使用し、複数の苺1を収容して順次包装する場合には、上流側の支持機構47A、待機機構58A、包装機構63A、及び切断機構86Aが使用される。これに対し、大型の複数の容器2のみを使用し、複数の苺1を収容して順次包装する場合には、下流側の支持機構47B、待機機構58B、包装機構63B、及び切断機構86Bが使用される。
【0094】
上記構成によれば、一台のフィルム包装機により、2種類の容器2をその包装サイズに適した2種類の樹脂フィルム50で包装することができるので、処理能力が大幅に向上し、小売店舗、総合商業施設、農園、直売所等を問わず、苺1を収容した容器2を迅速、かつ確実に包装することができる。また、搬入コンベヤ10により搬送される容器2のサイズを光電センサ20が非接触で検出するので、容器2や苺1が凹むおそれを払拭することができる。したがって、容器2に収容された苺1が損傷し、苺1の品質低下を招くという問題を有効に防止することができる。
【0095】
また、複数の載置ローラ上にフィルムロール49を摺接可能に搭載するのではなく、支持機構47の支持軸55に回転可能なフィルムロール49を吊持状態に支持させ、支持機構47のガイド軸57にフィルムロール49の樹脂フィルム50を巻架して待機機構58に繰り出すので、フィルムロール49の外周面に凹凸や皺が不規則に生じることがない。したがって、樹脂フィルム50の品質が低下したり、容器2に樹脂フィルム50を適正に被せることができないおそれを確実に払拭することができる。さらに、滑り止めテープ60が静電気対策の施された帯電防止性なので、冬期に静電気の影響で樹脂フィルム50の両側端部等が波打ち、アームクランプ79が樹脂フィルム50の被保持部52を保持するのに困難を生じたり、樹脂フィルム50による容器2の包装に支障を来すことがない。
【0096】
なお、上記実施形態における搬入コンベヤ10、作業テーブル15、包装装置30、搬出コンベヤ100、及び集積テーブル105の設置高さは、フィルム包装機の使用環境に応じ、変更しても良い。例えば、フィルム包装機が苺1の選果施設で使用される場合には高く設置し、農家の畳上で使用される場合には低く設置しても良い。また、上記実施形態では搬入コンベヤ10の下流部に、容器2を位置決めするセンタリング機構13のみを設置したが、搬入コンベヤ10の下流部両側に、センタリング機構13の上流に隣接する容器用の落下防止板103をそれぞれ装着しても良い。
【0097】
また、上記実施形態における光電センサ20を包装装置30の本体コンベヤ42の上流部両側に設置しても良い。また、上記実施形態では透過型の光電センサ20を示したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、搬入コンベヤ10の下流部一側に設置されて光線を搬入コンベヤ10の下流部他側方向に照射する投光素子21と、搬入コンベヤ10の下流部一側に設置されて容器2により反射した光線を受光する受光素子22とを備えた反射型の光電センサ20でも良い。また、搬送されて来た容器2のサイズを光電センサ20ではなく、ファイバセンサや撮像カメラ等の視覚センサにより検出することができる。また、コンプレッサ36の位置や数は、必要に応じ、自由に変更することができる。
【0098】
また、樹脂フィルム50として、透明性、熱成形性、実用強度等に優れる透明帯形の二軸延伸ポリスチレン(OPS)樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、生分解性樹脂フィルム等を適宜使用することができる。また、粘着層53を透明の帯形に印刷することができる。また、検知マーク54の位置、数、形は、必要に応じ、自由に変更することもできる。また、静電気対策に特に支障を来さなければ、上方の接離部材61の下方の接離部材59に対向する平坦な対向面に、樹脂フィルム50に接触する帯電防止性の滑り止めテープ60を接着することが可能である。
【0099】
また、上記実施形態では食品包装に最適な衛生性に資する多数のエアシリンダを使用したが、アクチュエータであれば何ら限定されるものではない。例えば、電磁ソレノイド、各種モータ、油圧シリンダ等を使用することが可能である。また、所定のモータと、カム機構、クランク機構、螺子機構、歯車機構、ベルト伝動機構、又はリンク機構とを組み合わせて所定の機能を実現することが可能である。
【0100】
また、アームクランプ79の容器2に接触する可能性のある部分には、スポンジやゴム等の緩衝部材を取り付けることが可能である。また、ベース板81・81Aは、同じ大きさや形でも良いし、異なる大きさや形でも良い。さらに、搬出コンベヤ100のベルト102の色彩は、本体コンベヤ42のベルト44が緑色や青色等の有彩色の場合には、識別を容易にする観点から、白色等の無彩色としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るフィルム包装機及び内容物収容容器の包装方法は、食品包装等の分野で使用される。
【符号の説明】
【0102】
1 苺(内容物)
2 容器
10 搬入コンベヤ
20 光電センサ(検出センサ)
21 投光素子
22 受光素子
30 包装装置
31 架台
33 本体
42 本体コンベヤ
44 ベルト
47 支持機構
48 ブラケット
49 フィルムロール
50 樹脂フィルム
51 包装領域
52 被保持部
53 粘着層
55 支持軸
57 ガイド軸
58 待機機構
59 下方の接離部材
60 滑り止めテープ(滑り止め部材)
61 上方の接離部材
63 包装機構
64 スライド機構
67 前後シリンダ
68 シリンダブラケット(ブラケット材)
69 上下シリンダ
70 クランプ機構
77 リニアブロック(ブロック材)
78 駆動シリンダ
79 アームクランプ
80 逆L字ブラケット
81 ベース板(ベース材)
81A ベース板(ベース材)
82 コイルバネ(緩衝部材)
83 クランプ板(クランプ板材)
85 押さえ板(押さえ板材)
86 切断機構
87 検知センサ
92 カット機構
95 切断シリンダ
96 ヒータホルダ
97 ヒータベース
98 ヒータ線
100 搬出コンベヤ