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特開2023-146777演奏データ変換装置及び演奏データ変換プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146777
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】演奏データ変換装置及び演奏データ変換プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20231004BHJP
   G10G 1/00 20060101ALI20231004BHJP
   G10G 3/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
G10G1/00
G10G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054151
(22)【出願日】2022-03-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】勝田 雅則
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182AA13
5D182AD01
5D182AD06
5D182AD10
5D478EB02
5D478EB03
5D478EB06
5D478EB12
5D478EB21
5D478EB28
(57)【要約】
【課題】演奏データのテンポ情報と発音時刻情報を簡便に変換できるようにする。
【解決手段】演奏データ変換装置は、操作者の操作に基づき、第1の演奏データの各拍のタイミング情報を入力する入力手段と、前記各拍のタイミング情報を基に、前記第1の演奏データを第2の演奏データに変換する変換手段とを有し、前記変換手段は、前記各拍のタイミング情報と、前記第1の演奏データのテンポ情報と、前記第1の演奏データの各楽音の発音時刻情報を基に、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報と前記第2の演奏データの各楽音の発音時刻情報を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作に基づき、第1の演奏データの各拍のタイミング情報を入力する入力手段と、
前記各拍のタイミング情報を基に、前記第1の演奏データを第2の演奏データに変換する変換手段とを有し、
前記変換手段は、前記各拍のタイミング情報と、前記第1の演奏データのテンポ情報と、前記第1の演奏データの各楽音の発音時刻情報を基に、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報と前記第2の演奏データの各楽音の発音時刻情報を算出することを特徴とする演奏データ変換装置。
【請求項2】
前記変換手段は、
前記各拍のタイミング情報と前記第1の演奏データのテンポ情報を基に、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報を算出し、
前記各拍のタイミング情報と前記第1の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報を基に、前記第2の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報を算出し、
前記第1の演奏データの各拍のテンポ情報と前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報と前記第1の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報を基に、前記第2の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の演奏データ変換装置。
【請求項3】
前記変換手段は、隣接する2つの拍のタイミング情報の差分と、前記第2の演奏データの拍時間情報と、前記第1の演奏データの各拍のテンポ情報を基に、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の演奏データ変換装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記各拍のタイミング情報と、前記第1の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報と、前記第2の演奏データの拍時間情報と、前記第1の演奏データの各拍のテンポ情報と、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報を基に、前記第2の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の演奏データ変換装置。
【請求項5】
前記変換手段は、前記各拍のタイミング情報と、前記第1の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報と、前記第2の演奏データの拍時間情報と、前記第1の演奏データの各拍のテンポ情報と、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報を基に、前記第2の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の演奏データ変換装置。
【請求項6】
前記第1の演奏データ又は前記第2の演奏データを再生する再生手段をさらに有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置。
【請求項7】
前記再生手段により再生される前記第1の演奏データの発音タイミングと前記第2の演奏データの発音タイミングは、相互に同じであることを特徴とする請求項6に記載の演奏データ変換装置。
【請求項8】
前記入力手段は、前記再生手段により前記第1の演奏データが再生されている状態で、再生位置の時刻に基づき、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項6又は7に記載の演奏データ変換装置。
【請求項9】
前記入力手段は、前記再生手段により前記第1の演奏データが再生されている状態で、再生位置の時刻の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置。
【請求項10】
前記入力手段は、前記再生手段により前記第1の演奏データが再生されていない状態で、操作者の操作により指定された時刻に基づき、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項6又は7に記載の演奏データ変換装置。
【請求項11】
前記入力手段は、前記再生手段により前記第1の演奏データが再生されていない状態で、操作者の操作により指定された時刻の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項6又は7に記載の演奏データ変換装置。
【請求項12】
前記入力手段は、操作者の操作に基づき、前記第1の演奏データの一部の拍のタイミング情報を入力し、操作者の操作に基づき、前記第1の演奏データの一部の拍のタイミング情報の間隔を等分割することにより、前記第1の演奏データの残りの拍のタイミング情報を入力することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置。
【請求項13】
時間軸に沿って、前記第1の演奏データの各楽音の発音時刻を示す第1の図形と前記タイミング情報を示す第2の図形を表示するように制御する表示制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置。
【請求項14】
前記表示制御手段は、前記第1の演奏データの再生位置を表示するように制御し、
前記入力手段は、前記表示された第1の演奏データの再生位置に基づき、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項13に記載の演奏データ変換装置。
【請求項15】
前記入力手段は、前記表示された第1の演奏データの再生位置の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項14に記載の演奏データ変換装置。
【請求項16】
前記入力手段は、前記表示された第1の演奏データの再生位置に最も近い楽音の発音開始時刻情報に一致するように、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項14又は15に記載の演奏データ変換装置。
【請求項17】
前記入力手段は、タッチパネルのタップ操作又は鍵盤の押鍵操作に基づき、前記タイミング情報を入力することを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1~17のいずれか1項に記載の演奏データ変換装置として機能させるための演奏データ変換プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏データ変換装置及び演奏データ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部イベントに従って、曲データを自動演奏する自動演奏装置が記載されている。曲データは、所定の区間に区分されている。自動演奏装置は、自動演奏時には、外部イベントに応じて、外部イベントに対応する区間の自動演奏が進行するとともに、外部イベントの間隔に基づいて、自動演奏のテンポを設定する。
【0003】
特許文献2には、楽曲の音響信号を入力する手段と、楽曲のMIDIデータを入力する手段とを有するMIDIデータ編集装置が記載されている。MIDIデータ編集装置は、さらに、入力された音響信号から拍の位置を検出する手段と、検出された楽曲の拍の位置から楽曲のテンポデータを生成して入力されたMIDIデータに付与する手段とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-15647号公報
【特許文献2】特開平7-295560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
演奏者がMIDI鍵盤楽器を生で演奏すると、MIDI鍵盤楽器は、その演奏情報をリアルタイムで録音し、演奏データを生成することができる。JPOP等の一定のリズムを刻む曲の場合には、演奏者は、MIDI鍵盤楽器のメトロノーム音に合わせて演奏し、録音する。MIDI鍵盤楽器がこの演奏データを再生すると、演奏データは、メトロノーム音に同期して、再生される。
【0006】
これに対し、クラシック曲等の自由なリズムの曲の場合には、演奏者は、MIDI鍵盤楽器のメトロノーム音を使用しないで演奏し、録音する。MIDI鍵盤楽器がこの演奏データを再生すると、演奏データは、メトロノーム音に同期しないで、再生される。演奏データをメトロノーム音に同期させるには、演奏者は、演奏データを手動で編集する必要がある。この編集作業は、大変面倒であり、手間と時間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、演奏データのテンポ情報と発音時刻情報を簡便に変換できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
演奏データ変換装置は、操作者の操作に基づき、第1の演奏データの各拍のタイミング情報を入力する入力手段と、前記各拍のタイミング情報を基に、前記第1の演奏データを第2の演奏データに変換する変換手段とを有し、前記変換手段は、前記各拍のタイミング情報と、前記第1の演奏データのテンポ情報と、前記第1の演奏データの各楽音の発音時刻情報を基に、前記第2の演奏データの各拍のテンポ情報と前記第2の演奏データの各楽音の発音時刻情報を算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、演奏データのテンポ情報と発音時刻情報を簡便に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、演奏データ変換装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2図2は、演奏データ変換装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、ピアノロールの表示例を示す図である。
図4図4は、タイミング情報ウィンドウの表示例を示す図である。
図5図5は、変換前の演奏データの例を示す図である。
図6図6は、変換前の演奏データに対応するピアノロールの表示例を示す図である。
図7図7は、タイミング情報を入力した後のピアノロールの表示例を示す図である。
図8図8は、タイミング情報の例を示す図である。
図9図9は、変換後の演奏データの例を示す図である。
図10図10は、変換後の演奏データに対応するピアノロールの表示例を示す図である。
図11図11は、変換前の演奏データに対応する楽譜データの例を示す図である。
図12図12は、変換後の演奏データに対応する楽譜データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態による演奏データ変換装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。演奏データ変換装置100のハードウェアは、例えば、タブレット、スマートフォン又はパーソナルコンピュータ等の汎用情報処理装置である。
【0012】
演奏データ変換装置100は、CPU102、ROM103、RAM104、表示装置105、タッチパネル107、音源部108、通信インタフェース109、VRAM110、スキャン回路112、バス113、サウンドシステム114及び外部機器115を有する。表示装置105は、例えば液晶ディスプレイであり、VRAM110を介して、バス113に接続される。タッチパネル107は、表示装置105上に設けられ、スキャン回路112を介して、バス113に接続される。なお、タッチパネル107の代わりに、マウス及びキーボードを設けてもよい。
【0013】
ユーザは、タッチパネル107をタッチ操作することにより、指示を行うことができる。スキャン回路112は、タッチパネル107をタッチ操作した位置(座標)を検出し、バス113を介して、検出信号をCPU102に出力する。CPU102は、タッチパネル107のタッチ操作、タップ操作及びダブルタップ操作等を検出することができる。
【0014】
外部機器115は、例えば、外部記憶装置、外部コンピュータ、プリンタ又はMIDI鍵盤楽器等である。外部記憶装置は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、MOディスク、DVD又はメモリカード等である。通信インタフェース109は、USB、LAN、無線通信ネットワーク、インターネット若しくは電話回線等の通信ネットワーク、又はMIDI用ネットワークに接続されるインタフェースであり、外部機器115に接続される。演奏データ変換装置100は、通信インタフェース109を介して、外部機器115から演奏データを入力し、VRAM110を介して、演奏データを表示装置105に表示することができる。
【0015】
MIDI鍵盤楽器は、例えば、Bluetooth又はUSBの通信インタフェース109を介して、バス113に接続される。MIDI鍵盤楽器は、操作者の押鍵操作に応じて、押鍵情報と離鍵情報を出力する。押鍵情報は、押鍵の鍵番号と、押鍵操作時刻と、押鍵強さを含む。
【0016】
CPU102は、外部機器115のハードディスクに記憶されているプログラムをRAM104に展開し、RAM104に展開されたプログラムを実行することにより、演奏データ変換装置100の全体を制御する。外部機器115のハードディスクは、CPU102が実行する演奏データ変換プログラムと、演奏データを記憶する。RAM104は、CPU102の処理に使用される情報を一時記憶する。
【0017】
表示装置105は、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置105は、演奏データ等を表示する。
【0018】
音源部108は、音源としてのソフトウェアや効果付与のためのDSPを含み、演奏データに対応する楽音を発音させるためのサウンド信号を生成する。音源部108は、演奏データを基に、サウンド信号をサウンドシステム114に出力する。演奏データは、テンポ情報と、拍子情報と、複数のノートデータを含む。ノートデータは、ノートナンバ、ステップタイム、ゲートタイム及びベロシティを含む。ノートナンバは、音高である。ステップタイムは、曲の始めを基点とする発音開始時刻を示す。ゲートタイムは、発音の持続時間である。発音終了時刻は、ステップタイムとゲートタイムの合計時間である。ベロシティは、楽音の発音強さである。また、音源部108は、メトロノームモードがオンに設定されている場合には、演奏データのテンポ情報と拍子情報に基づくメトロノーム音のサウンド信号をサウンドシステム114に出力する。サウンドシステム114は、D/A変換器、アンプ及びスピーカを有し、音源部108により生成されたサウンド信号を基に、演奏データに対応する演奏を発音することができる。
【0019】
図2は、演奏データ変換装置100の機能構成例を示すブロック図である。演奏データ変換装置100は、入力部201と、変換部202と、再生部203と、表示制御部204を有する。演奏データ変換装置100は、CPU102が演奏データ変換プログラムを実行することにより、入力部201と変換部202と再生部203と表示制御部204の機能を実現する。
【0020】
演奏者がMIDI鍵盤楽器を生で演奏すると、演奏データ変換装置100は、MIDI鍵盤楽器の演奏情報をリアルタイムで録音し、演奏データを生成し、演奏データを外部記憶装置に記録する。クラシック曲等の自由なリズムの曲の場合には、演奏者は、演奏データ変換装置100のメトロノーム音を使用しないで演奏し、録音する。演奏データ変換装置100がこの演奏データを再生すると、演奏データは、メトロノーム音に同期しないで、再生される。以下、演奏データ変換装置100が、メトロノーム音に同期していない演奏データを、メトロノーム音に同期して再生することができる演奏データに変換する方法を説明する。外部記憶装置には、メトロノーム音に同期していない変換前の演奏データが記憶されている。
【0021】
CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、楽曲を選択し、選択した楽曲に対応する演奏データを外部記憶装置から読み出し、演奏データの各楽音の図形を、図3のピアノロールとして表示装置105に表示する。
【0022】
図3は、本実施形態によるピアノロールの表示例を示す図である。CPU102は、外部記憶装置に記憶されている演奏データを読み出し、その演奏データに対応する図3のピアノロールを表示装置105に表示するように制御する。
【0023】
図3のピアノロールは、表示画面の縦方向が演奏データの時間軸であり、表示画面の横方向が鍵盤楽器の音高である。演奏データの各楽音は、矩形図形で表される。楽音の矩形図形は、底辺が発音開始時刻を示し、上辺が発音終了時刻を示す。演奏データの再生位置301は、ソングポインタであり、中央の横ラインで示される。CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、演奏データの再生経過時刻を進め、各楽音の矩形図形が上から下へ向かって移動するように、スクロール表示する。楽音の矩形図形の底辺が再生位置301を通過すると、楽音の発音が開始される。楽音の矩形図形の上辺が再生位置301を通過すると、楽音の発音が終了する。演奏データの再生は、図3の再生開始ボタン322をタップ操作することにより行われる。
【0024】
タッチパネル107は、図3のピアノロールを表示する表示装置105上に設けられる。操作者は、図3のピアノロール上のタッチパネル107を操作することができる。タッチパネル107上の上下方向のスワイプ操作が行われると、CPU102は、図3のピアノロールを上下方向にスクロール表示する。また、タッチパネル107上の上下方向のピンチ操作が行われると、CPU102は、図3のピアノロールを時間軸方向にズーム表示する。
【0025】
図3のタップ入力モードボタン318がタップ操作されると、CPU102は、タップエリア305を表示し、タップエリア305のタップ操作に基づき、タイミング情報302~304の入力及び表示を行う。図3のタップ入力モードボタン318がタップ操作されていない場合、CPU102は、MIDI鍵盤楽器の押鍵操作に基づき、タイミング情報302~304の入力及び表示を行う。以下、タップエリア305のタップ操作を例に説明するが、タップエリア305の操作の代わりに、MIDI鍵盤楽器の押鍵操作を行う場合も同様である。操作者は、演奏データの各拍又は各小節の先頭のタイミングで、タイミング情報302~304を入力し、各拍又は各小節のタイミングを指定する。
【0026】
リアルタイム入力モードでは、CPU102は、タップエリア305のタップ操作に応じて、演奏データの再生を開始し、再生時刻の経過に応じて、図3のピアノロールをスクロール表示し、タップエリア305のタップ操作に応じて、再生位置301に基づく位置で、タイミング情報302~304の入力及び表示を行う。タイミング情報302~304は、再生位置301より下に位置するので、入力済みの情報である。
【0027】
ステップ入力モードでは、CPU102は、演奏データを再生せず、操作者のスワイプ操作に基づき、図3のピアノロールをスクロール表示し、タップエリア305のタップ操作に応じて、再生位置301に基づく位置で、タイミング情報302~304の入力及び表示を行う。
【0028】
CPU102は、図3のグリッドモードボタン314のタップ操作により、グリッドオンとグリッドオフを切り替える。グリッドオフの場合、タップエリア305のタップ操作が行われると、CPU102は、再生位置301の時刻で、タイミング情報の入力及び表示を行う。グリッドオンの場合、タップエリア305のタップ操作が行われると、CPU102は、再生位置301に最も近い楽音の矩形図形の発音開始時刻で、タイミング情報の入力及び表示を行う。
【0029】
なお、その入力時刻から所定時間内に既にタイミング情報が存在する場合には、CPU102は、タイミング情報の追加を行わない。CPU102は、タップエリア305のタップ操作に応じて、演奏データの先頭から末尾まで、楽曲の各拍又は各小節の先頭のタイミングで、タイミング情報302~304を入力する。
【0030】
メトロノーム音に同期しない楽曲では、再生速度を下げたリアルタイム入力又はステップ入力により、タイミング情報302~304を入力すると、タイミング情報302~304のタイミングを合わせやすい。リアルタイム入力により、演奏データを自動再生しながら、タイミング情報302~304をタップ入力してもよいし、ステップ入力により、手動スクロールで時間を進めたり戻したりしながら、タイミング情報302~304をタップ入力してもよい。CPU102は、入力されたタイミング情報を、再生位置301の時刻又は再生位置301に最も近い楽音の発音開始時刻に対応する位置に、横ライン図形で表示する。
【0031】
再生位置301に最も近い時刻のタイミング情報302は、選択状態となり、他のタイミング情報303~304とは異なる色で表示される。ステップ入力モードでは、選択状態のタイミング情報302は、操作者の操作に応じて、時刻を変更できる。
【0032】
グリッドオンにおいて、図3のダイレクト移動ボタン311のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、再生位置301に最も近い楽音の矩形図形の発音開始時刻に移動させる。グリッドオフにおいて、図3のダイレクト移動ボタン311のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、再生位置301の時刻に移動させる。
【0033】
グリッドオンにおいて、図3の前移動ボタン313のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、選択状態のタイミング情報302の時刻の直前の楽音の矩形図形の発音開始時刻に移動させる。グリッドオフにおいて、図3の前移動ボタン313のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、所定時間だけ前の時刻に移動させる。
【0034】
グリッドオンにおいて、図3の次移動ボタン312のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、選択状態のタイミング情報302の時刻の直後の楽音の矩形図形の発音開始時刻に移動させる。グリッドオフにおいて、図3の次移動ボタン312のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を、所定時間だけ後の時刻に移動させる。上記の移動のいずれの場合においても、移動先時刻から所定時間内に既にタイミング情報が存在する場合には、タイミング情報は移動させないようにする。こうすることによりタイミング情報が密集することを防ぐ。
【0035】
図3の削除ボタン315のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302を削除する。
【0036】
CPU102は、発音開始時刻が再生位置301に最も近い楽音の矩形図形306を、縁取り表示する。また、CPU102は、選択状態のタイミング情報302の時刻と同じ時刻の発音開始時刻の楽音の矩形図形上に、●印を表示する。これにより、操作者は、選択状態のタイミング情報302の時刻が不適切な場合に、移動先の時刻を簡単に指示することが可能となる。
【0037】
まず、操作者は、リアルタイム入力モードで、楽曲の各小節の先頭のタイミングで、タイミング情報を入力することができる。その後、操作者は、ステップ入力モードで、自動的に小節内の拍位置にタイミング情報を挿入するように指示することができる。CPU102は、設定ボタン324内の操作に応じて、一括分割オン又は一括分割オフを設定する。
【0038】
一括分割オンにおいて、図3の2分割ボタン316のタップ操作が行われると、CPU102は、すべての隣接するタイミング情報の間の時間を均等に2分割し、2分割した時刻に、タイミング情報を挿入する。一括分割オフにおいて、図3の2分割ボタン316のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302とその次のタイミング情報との間の時間を均等に2分割し、2分割した時刻に、タイミング情報を挿入する。
【0039】
一括分割オンにおいて、図3の3分割ボタン317のタップ操作が行われると、CPU102は、すべての隣接するタイミング情報の間の時間を均等に3分割し、3分割した時刻に、タイミング情報を挿入する。一括分割オフにおいて、図3の3分割ボタン317のタップ操作が行われると、CPU102は、選択状態のタイミング情報302とその次のタイミング情報との間の時間を均等に3分割し、3分割した時刻に、タイミング情報を挿入する。
【0040】
CPU102は、図3のタイミング情報表示ボタン323のタップ操作に応じて、タイミング情報表示オンとタイミング情報表示オフを切り替えることができる。タイミング情報表示オンの場合、CPU102は、図4のタイミング情報ウィンドウを表示する。タイミング情報表示オフの場合、CPU102は、図4のタイミング情報ウィンドウを表示しない。
【0041】
図4は、タイミング情報ウィンドウの表示例を示す図である。CPU102は、図3の選択状態のタイミング情報302の内容を、図4のタイミング情報ウィンドウに表示する。タイミング情報302~304の各々は、テンポ401と、ベロシティ402と、拍子405を有する。図4の再生速度403とメトロノーム音の音量404は、タイミング情報とは関係しない再生に関する設定値であるが、必要に応じてすばやく操作できるようにタイミング情報ウィンドウ内に便宜上配置している。
【0042】
演奏データは、テンポ401と、ベロシティ402と、拍子405を有する。テンポ401と拍子405は、例えば、演奏データの先頭と、それらが変化したときに設けられる。ベロシティ402は、演奏データ内の各ノートデータに設けられる。
【0043】
選択情報のタイミング情報302は、タイミング情報302~304の中で、再生位置301に最も近いタイミング情報である。再生位置301が移動すると、選択状態のタイミング情報が新たな選択情報のタイミング情報に切り替わる。すると、図4のタイミング情報ウィンドウの表示は、新たな選択状態のタイミング情報に切り替わる。
【0044】
図4のタイミング情報ウィンドウは、選択状態のタイミング情報302に含まれるテンポ401と、ベロシティ402と、拍子405を表示する。当該タイミング情報から次のタイミング情報までの間に複数のノートデータのベロシティがある場合には、図4のタイミング情報ウィンドウは、複数のノートデータのうちの先頭のノートデータのベロシティをベロシティ402として表示する。その場合、図4のタイミング情報ウィンドウは、複数のノートデータのベロシティの平均値をベロシティ402として表示してもよい。
【0045】
CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、図4のタイミング情報ウィンドウ内のテンポ401と、ベロシティ402と、再生速度403と、メトロノーム音の音量404と、拍子405を変更することができる。
【0046】
テンポ401は、例えば125であり、スライダー操作、+ボタン操作又は-ボタン操作により、変更可能である。ベロシティ402は、例えば69であり、スライダー操作、+ボタン操作又は-ボタン操作により、変更可能である。再生速度403は、スライダー操作により、変更可能である。メトロノーム音の音量404は、スライダー操作により、変更可能である。拍子405は、例えば3/4であり、分母と分子をそれぞれ+ボタン又は-ボタンにより、変更可能である。
【0047】
図5は、変換前の演奏データの例を示す図である。図5の演奏データは、メトロノームを無視して自由なリズムで弾いて録音されたデータである。図5の演奏データは、各ノートデータについて、楽音の音高(ノートナンバ)KNと、楽音の発音開始時刻t1と、楽音の発音終了時刻t2と、テンポT1を有する。図5の演奏データは、例えば、テンポT1が120であり、タイムベースが480であり、拍子が4/4で生成された演奏データである。ここで、タイムベースとは、4分音符の長さに相当する時間単位である。
【0048】
図6は、図5の変換前の演奏データに対応するピアノロールの表示例を示す図である。CPU102は、図5の変換前の演奏データを基に、図6のピアノロールを表示する。図6のピアノロールは、再生位置301とタイミング情報601を含む。タイミング情報601は、図5の演奏データを読み込んだ際に、拍子4/4とタイムベース480に基づいてCPU102により自動的に生成されたものである。
【0049】
発音開始時刻t1は、ノートデータのステップタイムであり、図6の楽音の矩形図形の底辺を示す。発音終了時刻t2は、ノートデータのステップタイムとゲートタイムの合計時間であり、図6の楽音の矩形図形の上辺を示す。
【0050】
CPU102が図5の演奏データを再生すると、メトロノーム音は、タイミング情報601の各時刻(再生時刻が0,480,960,1440,・・・)に発音される。しかし、そのメトロノーム音の再生時刻は、図5の発音開始時刻t1とは同期しない。メトロノーム音に同期しないこのような演奏データの場合、図6のリセットボタン(ゴミ箱アイコン)319のタップ操作によりタイミング情報601をリセットすることができる。リセットした場合には、時刻=0の先頭以外のタイミング情報601はすべて削除される。
【0051】
図7は、図6の演奏データのタイミング情報601をリセットした上で、タップエリア305のタップ操作によって新たにタイミング情報701を入力した後のピアノロールの表示例を示す図である。CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、タイミング情報701を入力し、タイミング情報701を図7のピアノロール上に表示する。
【0052】
図8は、図7のタイミング情報701の例を示す図である。ここで、図4の拍子405は、3/4に設定されている。タップインデックスは、図3のタップエリア305のタップ操作の識別番号を示す。小節インデックスは、3/4拍子の小節番号を示す。拍インデックスは、3/4拍子の各小節内の拍番号を示す。
【0053】
まず、CPU102は、リアルタイム入力により、図5の演奏データを再生しながら、グリッドオンの設定で、タップエリア305のタップ操作に応じて、各楽音の発音開始時刻に対応する入力時刻801のタイミング情報を入力する。グリッドオンにより、入力時刻801は、図5の発音開始時刻t1と同じになる。なお、タップインデックスが0のタイミング情報の値は、固定であり、タップ入力の必要がない。
【0054】
ここで、図5の発音開始時刻t1が「2127」であり、発音終了時刻t2が「3063」である楽音は、2拍分の長さであるので、この2拍を2分割した位置にタイミング情報を追加する必要がある。同様に、図5の発音開始時刻t1が「5391」であり、発音終了時刻t2が「6745」である楽音は、2拍分の長さであるので、この2拍を2分割した位置にタイミング情報を追加する必要がある。
【0055】
そこで、CPU102は、ステップ入力により、図3の2分割ボタン316のタップ操作に応じて、挿入時刻802のタイミング情報を入力する。具体的には、CPU102は、タッチパネル107の操作に応じて、再生位置301を移動させ、発音開始時刻t1が「2127」の楽音のタイミング情報を選択状態にする。その後、CPU102は、2分割ボタン316のタップ操作に応じて、選択状態のタイミング情報とその次のタイミング情報との間の時間を均等に2分割し、2分割した時刻に、挿入時刻802が「2688」のタイミング情報を挿入する。
【0056】
同様に、CPU102は、タッチパネル107の操作に応じて、再生位置301を移動させ、発音開始時刻t1が「5391」の楽音のタイミング情報を選択状態にする。その後、CPU102は、2分割ボタン316のタップ操作に応じて、選択状態のタイミング情報とその次のタイミング情報との間の時間を均等に2分割し、2分割した時刻に、挿入時刻802が「6139」のタイミング情報を挿入する。図7のタイミング情報701は、入力時刻801のタイミング情報と挿入時刻802のタイミング情報を含み、演奏データの各拍のタイミングを示す。
【0057】
図8のタイミング情報が入力された後、図3のボタン321内の変換ボタンのタップ操作が行われると、CPU102は、図5の変換前の演奏データと図8のタイミング情報を基に、図9の変換後の演奏データを生成し、図10のピアノロールを表示する。
【0058】
図9は、変換後の演奏データの例を示す図である。図10は、図9の変換後の演奏データに対応するピアノロールの表示例を示す図である。図10のピアノロールは、再生位置301と拍情報1001を含む。拍情報1001は、変換後の演奏データの拍子(例えば3/4拍子)の各拍のタイミングとして、表示される。
【0059】
時刻t11は、図8の入力時刻801と挿入時刻802に対応する。変換時刻t12は、変更後の演奏データの拍子(3/4拍子)の各拍の先頭時刻を示す。図9の演奏データは、各拍について、変換後のテンポT2と、楽音の音高KNと、楽音の発音開始時刻t21と、楽音の発音終了時刻t22を有する。
【0060】
まず、CPU102は、次式(1)のように、各拍について、図5の変換前のテンポT1と、変換時刻t12の間隔と、時刻t11の間隔を基に、変換後のテンポT2を算出する。例えば、タップインデックスが「1」の拍の変換後のテンポT2(=102.7)の算出方法を示す。
【0061】
T2=T1×(t12の間隔)÷(t11の間隔)
=120×(960-480)÷(1078-517)
=102.7 ・・・(1)
【0062】
以上のように、変換部202は、隣接する2つの拍のタイミング情報t11の差分と、変換後の演奏データの拍時間情報(変換時刻t12の間隔)と、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1を基に、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を算出する。
【0063】
次に、CPU102は、次式(2)のように、各拍について、変換時刻t12と、時刻t11と、図5の変換前の発音開始時刻t1と、図5の変換前のテンポT1と、変換後のテンポT2を基に、変換後の発音開始時刻t21を算出する。例えば、タップインデックスが「1」の拍の変換後の発音開始時刻t21(=480)の算出方法を示す。
【0064】
t21=t12+(t1-t11)×(T2÷T1)
=480+(517-517)×(102.7÷120)
=480 ・・・(2)
【0065】
以上のように、変換部202は、各拍のタイミング情報t11と、変換前の演奏データの各楽音の発音開始時刻t1と、変換後の演奏データの拍時間情報t12と、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1と、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を基に、変換後の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報t21を算出する。
【0066】
次に、CPU102は、次式(3)のように、各拍について、変換時刻t12と、時刻t11と、図5の変換前の発音終了時刻t2と、図5の変換前のテンポT1と、変換後のテンポT2を基に、変換後の発音終了時刻t22を算出する。例えば、タップインデックスが「1」の拍の変換後の発音終了時刻t22(=800)の算出方法を示す。
【0067】
t22=t12+(t2-t11)×(T2÷T1)
=480+(891-517)×(102.7÷120)
=800 ・・・(3)
【0068】
以上のように、変換部202は、各拍のタイミング情報t11と、変換前の演奏データの各楽音の発音終了時刻t2と、変換後の演奏データの拍時間情報t12と、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1と、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を基に、変換後の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報t22を算出する。
【0069】
その後、CPU102は、変換後のテンポT2と、変換後の発音開始時刻t21と、変換後の発音終了時刻t22を基に、変換後の演奏データを生成する。CPU102は、変換後の演奏データを再生することができる。再生時の変換後の演奏データの発音タイミングは、再生時の変換前の演奏データの発音タイミングと全く同じになる。そして、変換後の演奏データは、メトロノーム音に完全に同期して再生される。
【0070】
図11は、変換前の演奏データに対応する楽譜データの例を示す図である。CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、変換前の演奏データを図11の変換前の楽譜データに変換することができる。図11の楽譜データでは、音符が小節及び拍に同期しておらず、見た目がよくない。
【0071】
図12は、変換後の演奏データに対応する楽譜データの例を示す図である。CPU102は、操作者のタッチパネル107の操作に応じて、変換後の演奏データを図12の変換前の楽譜データに変換することができる。図12の楽譜データでは、音符が小節及び拍に同期しており、見た目がよくなる。
【0072】
このように、演奏データ変換装置100は、メトロノーム音に同期するように演奏データを変換し、変換後の演奏データから、見た目がよい楽譜データを容易に生成することができる。
【0073】
以上のように、CPU102は、メトロノーム音に同期していない演奏データを再生しながら、楽曲の拍に対応するタイミング情報を入力することができる。CPU102は、タップエリア305又はMIDI鍵盤楽器の操作に応じて、リアルタイム入力により、タイミング情報を入力することができる。操作者は、演奏データを再生させ、それを聴きながら、タップエリア305又はMIDI鍵盤楽器の操作により、タイミング情報を入力する。タップエリア305は、タブレット、スマートフォン、又はパーソナルコンピュータのタッチパネルのタップエリアである。
【0074】
タイミング情報は、タップエリア305のタップのタイミングとして、演奏データに対応する時刻情報を持つ。タップのタイミングは、楽曲の拍や小節の先頭に合わせるようにする。操作者は、各拍に合わせてタップしたり、各小節の先頭タイミングだけタップする。このようにして、操作者は、演奏データの最初から最後まで、タイミング情報を入力する。入力は、リアルタイム入力でなく、ステップ入力でも行うことができる。
【0075】
CPU102は、図3のピアノロールを表示し、時間軸方向にスクロールして、演奏データの時刻を進めたり、戻したりする。CPU102は、ノートデータに相当する楽音の矩形図形(音符マーク)をピアノロール上に表示する。操作者は、その音符マークを見ながら、音符マークがピアノロール上の再生位置301を通過する際の発音を確かめて、タイミング情報を入力できる。
【0076】
タイミング情報は、ピアノロールのスクロール位置で、再生位置301に最も近いタイミング情報が自動選択状態になる。選択状態のタイミング情報は、削除したり移動したりできる。グリッドオンでは、タイミング情報は、複数の楽音の矩形図形のうちの発音開始時刻が再生位置301に最も近い楽音の矩形図形の発音開始時刻と同じタイミングに設定される。リアルタイム入力では、タップ操作のタイミングがずれてしまう可能性が高いため、グリッドオンは有効である。
【0077】
CPU102は、図3のダイレクト移動ボタン311、次移動ボタン312又は前移動ボタン313のタップ操作に応じて、タイミング情報を移動させることができる。また、CPU102は、図3の2分割ボタン316又は3分割ボタン317のタップ操作に応じて、隣接するタイミング情報の間の時間を均等に分割し、分割した時刻に、新たなタイミング情報を挿入することができる。これにより、操作者は、小節単位のみのタイミング情報に対して、拍単位のタイミング情報を簡単に追加することができる。
【0078】
タイミング情報は、図4の拍子405を有する。CPU102は、演奏データの先頭の拍子と変拍子を、タイミング情報内に設定することができる。まず、CPU102は、タイミング情報ごとに、変換前のテンポT1を基に、変換後のテンポT2を計算する。次に、CPU102は、変換後のテンポT2を基に、変換後の発音開始時刻t21と発音終了時刻t22を計算する。次に、CPU102は、変換後のテンポT2と発音開始時刻t21と発音終了時刻t22を基に、変換後の演奏データを生成する。
【0079】
以上のように、入力部201は、操作者の操作に基づき、変換前の演奏データの各拍のタイミング情報を入力する。変換部202は、各拍のタイミング情報を基に、変換前の演奏データを変換後の演奏データに変換する。変換部202は、各拍のタイミング情報と、変換前の演奏データのテンポ情報T1と、変換前の演奏データの各楽音の発音時刻情報t1及びt2を基に、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2と変換後の演奏データの各楽音の発音時刻情報t21及びt22を算出する。
【0080】
変換部202は、式(1)のように、各拍のタイミング情報と変換前の演奏データのテンポ情報T1を基に、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を算出する。具体的には、変換部202は、隣接する2つの拍のタイミング情報t11の差分と、変換後の演奏データの拍時間情報(変換時刻t12の間隔)と、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1を基に、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を算出する。
【0081】
また、変換部202は、式(2)のように、各拍のタイミング情報と変換前の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報t1を基に、変換後の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報t21を算出する。具体的には、変換部202は、各拍のタイミング情報t11と、変換前の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報t1と、変換後の演奏データの拍時間情報t12と、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1と、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2を基に、変換後の演奏データの各楽音の発音開始時刻情報t21を算出する。
【0082】
また、変換部202は、式(3)のように、変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1と変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2と変換前の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報t2を基に、変換後の演奏データの各楽音の発音終了時刻情報t22を算出する。
【0083】
図9の変換後の演奏データの各拍の楽音の発音開始時刻情報t21が図5の変換前の演奏データの各拍の楽音の発音開始時刻情報t1より早い場合には、図9の変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2は図5の変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1より遅い。
【0084】
図9の変換後の演奏データの各拍の楽音の発音開始時刻情報t21が図5の変換前の演奏データの各拍の楽音の発音開始時刻情報t1より遅い場合には、図9の変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2は図5の変換前の演奏データの各拍のテンポ情報T1より速い。
【0085】
再生部203は、変換前の演奏データ又は変換後の演奏データを再生する。再生部203により再生される変換前の演奏データの発音タイミングと変換後の演奏データの発音タイミングは、相互に同じである。
【0086】
再生部203は、メトロノーム音の再生が設定された状態で、変換前の演奏データの再生が指示された場合には、変換前の演奏データのテンポ情報T1と変換前の演奏データの拍子情報405を基に、変換前の演奏データに同期しないメトロノーム音を再生する。
【0087】
また、再生部203は、メトロノーム音の再生が設定された状態で、変換後の演奏データの再生が指示された場合には、変換後の演奏データの各拍のテンポ情報T2と変換後の演奏データの拍子情報405を基に、変換後の演奏データに同期するメトロノーム音を再生する。
【0088】
入力部201は、リアルタイム入力モードでは、再生部203により変換前の演奏データが再生されている状態で、再生位置301の時刻に基づき、タイミング情報を入力する。また、入力部201は、グリッドオンでは、再生部203により変換前の演奏データが再生されている状態で、再生位置301の時刻の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、タイミング情報を入力する。
【0089】
入力部201は、ステップ入力モードでは、再生部203により変換前の演奏データが再生されていない状態で、操作者の操作により指定された時刻に基づき、タイミング情報を入力する。また、入力部201は、グリッドオンでは、再生部203により変換前の演奏データが再生されていない状態で、操作者の操作により指定された時刻の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、タイミング情報を入力する。
【0090】
入力部201は、操作者のタップエリア305の操作に基づき、変換前の演奏データの一部の拍のタイミング情報を入力し、操作者の2分割ボタン316の操作に基づき、その変換前の演奏データの一部の拍のタイミング情報の間隔を等分割することにより、変換前の演奏データの残りの拍のタイミング情報を入力する。
【0091】
表示制御部204は、時間軸に沿って、変換前の演奏データの各楽音の発音時刻を示す矩形図形とタイミング情報302~304を示す横ライン図形を表示するように制御する。また、表示制御部204は、第1の演奏データの再生位置301を表示するように制御する。
【0092】
入力部201は、表示された変換前の演奏データの再生位置301に基づき、タイミング情報を入力する。入力部201は、グリッドオンでは、表示された変換前の演奏データの再生位置301の直前の楽音の発音開始時刻情報又は直後の楽音の発音開始時刻情報に一致するように、タイミング情報を入力する。具体的には、入力部201は、表示された変換前の演奏データの再生位置301に最も近い楽音の発音開始時刻情報に一致するように、タイミング情報を入力する。入力部201は、タッチパネル107のタップ操作又は鍵盤の押鍵操作に基づき、タイミング情報を入力する。
【0093】
以上のように、演奏データ変換装置100は、メトロノーム音に同期しないような演奏データを、聴感上や視覚上リアルタイムで確認しながらの作業により、手間や時間を極力減らし、メトロノーム音に同期する演奏データに誰でも簡単で効率的に変換することが可能となる。操作者は、わざわざメトロノーム音に合わせることを気にしながら演奏データを作成する必要がなくなるという効果がある。さらに、演奏データ変換装置100は、変換後の演奏データから、見た目がよい楽譜データを容易に生成することができる効果がある。
【0094】
本実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び上記のプログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0095】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0096】
201 入力部
202 変換部
203 再生部
204 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12