(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146828
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電力監視制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20231004BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231004BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20231004BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20231004BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J13/00 301A
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04303
H01M8/04228
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/04746
H01M8/04694
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054230
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 翔太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】河越 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】濱口 直大
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CA02
5G066HA06
5G066HB07
5H127AB02
5H127AB23
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BB02
5H127DA01
5H127DA08
5H127DA11
5H127DB69
5H127DC02
5H127DC42
5H127DC45
5H127DC46
5H127GG03
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】発電による家庭内消費電力に反映されない、アイドリング状態でのガスの無駄な消費を抑制する。
【解決手段】Bルートの通信不可の場合に、コージェネレーション装置10の発電をアイドリング状態とするという、現状の発電制御に加え、一定時間(例えば、30秒)毎の通信インタバルで、スマートメータ36に対して、Bルート通信により、電力情報を取得するとき、一定回数Bルート通信ができないとき(アイドリング状態とする判定よりもさらに長期間の通信不可のとき)、発電を停止するようにした。これにより、無用なガス消費を軽減することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力負荷に関する情報を取得して、燃料ガスを用いて発電する分散型電源設備による負荷追従発電を制御する電力監視制御装置であって、
一定の通信インタバルの通信時期毎に、無線通信により消費電力に関する情報を取得するための通信を実行する通信部と、
前記通信インタバル毎の前記通信部による通信の不可期間が予め定めた第1期間を超えた場合は前記分散型電源設備の発電量を、当該分散型電源設備で自己消費する電力量以下とするアイドリング状態で動作させ、前記通信の不可期間が前記第1期間よりも長い第2期間を超えた場合に前記分散型電源設備の発電を停止、又は前記アイドリング状態よりも小さい電力量まで抑制させ、前記無線通信の回復で前記分散型電源設備の前記負荷追従発電を再開させる発電制御部と、
を有する電力監視制御装置。
【請求項2】
前記燃料ガスが、ガス供給管に設置されたガスマイコンメータを介して供給されており、
前記発電制御部は、
ガスマイコンメータの漏洩監視制御部がリセットされるまでの期間が所定の期間より短いと判断する場合、
前記発電を停止又は抑制した後の前記無線通信の回復があっても、前記漏洩監視制御部での次の前記リセット時期の到達まで待機し、発電部の前記負荷追従発電を再開させる、請求項1記載の電力監視制御装置。
【請求項3】
前記発電の抑制は、前記アイドリング状態のガス消費量よりも小さく、かつ、前記漏洩監視制御部における漏洩検知可能な燃料ガス消費量よりも小さいガス消費量での発電量である、請求項2記載の電力監視制御装置。
【請求項4】
前記発電制御部が、前記第1期間を、設定又は設定解除する機能を有する、請求項1~請求項3の何れか1項記載の電力監視制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源設備、例えば、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの運転制御に必要な電流、電力、電力量をはじめとする電力情報等を取得する電力監視制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用電源に加え、太陽光発電や蓄電池、或いはガスエンジンや燃料電池を用いて発電し、かつ排熱を利用するコージェネレーションシステム装置の所謂分散型電源が設置された家屋において、過電流や逆潮流等の監視は重要である。
【0003】
従来の家庭用発電システムでは、CT(Current Transformer)クランプを宅内分電盤に取り付けることで家庭の電力負荷を取得し、負荷追従制御を行っている(以下、有線方式という)。
【0004】
一方、無線方式として、無線CTを用いる方法やスマートメータの電力情報から遠隔で電力負荷を取得する方法がある。有線方式の場合にはCT配線工事が必要で、外壁に穴を開ける工事費を要するデメリットがあり、無線方式化が望まれている。
【0005】
CT配線レスで負荷追従制御する方法として、無線CTを用いる方法や電力スマートメータの電力情報から遠隔で電力負荷を取得する方法(Bルート)がある。
【0006】
スマートメータの情報取得は、Aルート、Bルート、Cルートの通信経路を有している。Aルートは、スマートメータと電力会社とを結ぶ通信経路であり、Bルートは、スマートメータとHEMS等を結ぶ通信経路であり、Cルートは、Aルートを介して電力会社が取得したデータを第三者(小売電気事業者等)へ提供するための通信経路である。
【0007】
特許文献1には、分岐電路の使用電力データとスマートメータからの電力量データの双方を管理する機器を収容しても大型化を防止できる分電盤を提供することが記載されている。
【0008】
なお、特許文献1では、分電盤に設けた電力情報送信ユニットが、スマートメータとG3PLC或いはWi-SUN無線通信の何れかでBルート通信を実施しているが、電力情報送信ユニットとコージェネレーション装置との関係については記載されていない。
【0009】
また、特許文献2には、Bルートの通信経路を介してスマートメータから電力情報を取得し、時々刻々と変動する家屋における使用電力におおむね追従し、家庭の電力遷移特性に近似する制御を可能とすることが記載されている。
【0010】
ところが、コージェネレーション装置における通信時期が、他の機器の通信(Aルート通信、他の機器(HEMS等)との間のBルート通信、他の機器の特定小電力無線等)の時期と重なり、電波干渉あるいは電波干渉回避のための通信待機制御(キャリアセンス)により通信が失敗する場合がある。
【0011】
この通信失敗があると、精度よく発電量を制御できない場合があるため、コージェネレーション装置は、発電アイドリング状態となり発電の外部出力を停止し、自己消費(例えば、コージェネレーション装置に搭載されるヒータの電力源等による消費)させるようにしている。その間は、発電による家庭内消費電力の補填がされなくなり、アイドリング分のガス消費は無駄なエネルギー消費となる。
【0012】
ここで、上記アイドリングによるガス消費に関する参考文献として、特許文献3には、コージェネレーション装置の発電のエネルギー源であるガスの配管に取り付けられるガスマイコンメータの微量漏洩監視制御について記載されている。
【0013】
具体的には、コージェネレーション装置が27日間連続稼働すると(上記アイドリングを含む)、24時間(1日)の休止期間を設けることで、ガスを消費し続ける発電機能による誤検知を防止し、かつ微量漏洩が無いことを認識する。また、微量漏洩が有る場合は警報を発令する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2014-075895号公報
【特許文献2】特開2021-164198号公報
【特許文献3】特開2020-16344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、家庭用発電システムは、基本的に連続運転(アイドリング状態を含む)となるため、常にガスが消費されている状態となり、燃費の低下につながる場合がある。
【0016】
本発明は、発電による家庭内消費電力に反映されない、アイドリング状態でのガスの無駄な消費を抑制することができる電力監視制御装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る電力監視制御装置は、電力負荷に関する情報を取得して、燃料ガスを用いて発電する分散型電源設備による負荷追従発電を制御する電力監視制御装置であって、一定の通信インタバルの通信時期毎に、無線通信により消費電力に関する情報を取得するための通信を実行する通信部と、前記通信インタバル毎の前記通信部による通信の不可期間が予め定めた第1期間を超えた場合は前記分散型電源設備の発電量を、当該分散型電源設備で自己消費する電力量以下とするアイドリング状態で動作させ、前記通信の不可期間が前記第1期間よりも長い第2期間を超えた場合に前記分散型電源設備の発電を停止、又は前記アイドリング状態よりも小さい電力量まで抑制させ、前記無線通信の回復で前記分散型電源設備の前記負荷追従発電を再開させる発電制御部と、を有している。
【0018】
本発明によれば、通信部は、一定の通信インタバルの通信時期毎に、無線通信により前記消費電力に関する情報を取得するための通信を実行する。
【0019】
発電制御部では、通信インタバル毎の通信部による通信の不可期間が予め定めた第1期間を超えた場合は分散型電源設備の発電量を、当該分散型電源設備で自己消費する電力量以下とするアイドリング状態で動作させ、通信の不可期間が第1期間よりも長い第2期間を超えた場合に分散型電源設備の発電を停止、又はアイドリング状態よりも小さい電力量まで抑制させる。
【0020】
そして、無線通信の回復で前記分散型電源設備の前記負荷追従発電を再開させる。これにより、発電による家庭内消費電力に反映されない、アイドリング状態での燃料ガスの無駄な消費を抑制することができる。
【0021】
例えば、ガスマイコンメータの機能の一部に、予め設定された判定期間毎にリセットされ、当該判定期間中に前記燃料ガスが継続して供給されたことを検出すると、前記燃料ガスの漏洩の可能性を報知する警報を発令する漏洩監視制御部がある。
【0022】
本発明において、前記燃料ガスが、ガス供給管に設置されたガスマイコンメータを介して供給されており、前記発電制御部は、ガスマイコンメータの漏洩監視制御部がリセットされるまでの第3期間が所定の期間より短いと判断する場合、前記発電を停止又は抑制した後の前記無線通信の回復があっても、前記漏洩監視制御部での次の前記リセット時期の到達まで待機し、発電部の前記負荷追従発電を再開させることを特徴としている。
【0023】
また、本発明において、前記発電の抑制は、前記アイドリング状態のガス消費量よりも小さく、かつ、前記漏洩監視制御部における漏洩検知可能な燃料ガス消費量よりも小さいガス消費量での発電量であることを特徴としている。
【0024】
本発明によれば、電力情報要求の通信失敗状態が長時間と判断した場合には発電停止する、或いは、ガスマイコンメータの流量カウント最小パルス以下(流量検知しない)のガス使用量まで抑制した発電量とする。
【0025】
なお、長時間とは、例えば、コージェネレーション装置を設置しない状態に比べ、燃料ガス使用量増加が大きくなる程度のアイドリング状態の継続の時間を言う。この発電停止又は発電抑制により、燃料ガスの無駄な消費を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発電による家庭内消費電力に反映されない、アイドリング状態での燃料ガスの無駄な消費を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施の形態に係るコージェネレーション装置及び当該コージェネレーション装置が設置された家屋の概略図である。
【
図2】本実施の形態に係るコージェネレーション装置のコントローラの制御ブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係るコージェネレーション装置のコントローラにおける、通信インタバル調整制御のための機能ブロック図である。
【
図4】本実施の形態に係るコージェネレーション装置のコントローラで実行される、通信インタバル調整制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図5】Bルート通信毎に実行される発電のアイドリング制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】ガスマイコンメータにおける、微量漏洩監視制御のタイミングチャートである。
【
図7】変形例に係るコージェネレーション装置のコントローラで実行される、通信インタバル調整制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、本実施の形態に係る分散型電源設備の一例として、家庭用燃料電池コージェネレーション装置(以下、本実施の形態において、単に、「コージェネレーション装置10」という)の概略図が示されている。
【0029】
コージェネレーション装置10は、タンクユニットと燃料電池ユニットとが併設されたシステムである。なお、併設とは、物理的に隣接していることに限定するものではなく、相互に連携しあうことを意味する。すなわち、タンクユニットと燃料電池ユニットとが離れた状態で設置され、配管や電気配線等で連結するようにしてもよい。
【0030】
燃料電池ユニットは、ガス供給管50からガス(例えば、都市ガス13A)を取り込んで水素を精製し、水素と酸素とによる改質を中心とした処理で発電する。
【0031】
ガス供給管50には、ガスマイコンメータ52が取り付けられている。ガスマイコンメータ52の下流側は分岐され、その一方の枝管がコージェネレーション装置10の燃料電池ユニットへガスを供給する管路であり、他方の枝管が、家屋12のガス設備(コンロ、ガスファンヒータ等)へガスを供給する管路である。
【0032】
コージェネレーション装置10は、
図1に示される如く、家屋12の外壁に沿って設置されるものであり、作業者が現場へ出向き、設置作業を実行する。
【0033】
図1は、設置作業が完了し、試運転が完了し、家屋12側の各種設備(電気機器、給湯設備等)と連携して、定常的に運転可能な状態である。
【0034】
(コージェネレーション装置10の構成)
コージェネレーション装置10の燃料電池ユニットは、図示は省略したが、ホットモジュール、パワーコンディショナ、排熱回収装置、蓄熱タンク、ラジエータ、熱交換器等を備え、それぞれが、コントローラ14によって、給湯関連制御部27及び発電関連制御部29(共に、
図2参照)を介して、相互に連携して制御される。
【0035】
ホットモジュールは、ガス供給管50からガス(例えば、都市ガス13A)が供給される燃料処理装置で、ガスから水素を取り出し、取り出した水素を燃料電池セルスタックへ供給し、空気中の酸素により直流電力を発生させる。
【0036】
パワーコンディショナは、発電された直流電力を交流電力に変換し、家屋へ供給する。
【0037】
排熱回収装置は、発電によって発生する排熱ガスから熱を回収する。
【0038】
蓄熱タンクは、熱媒を介して回収した熱を高温で貯めることができ、貯められた熱は給湯時に利用される。
【0039】
ラジエータは、熱媒を放熱し冷却する。ラジエータは、必須ではない。
【0040】
熱交換器は、熱媒タンクからの高温熱媒を利用し、水道水を温める。熱交換器は、必須ではない。
【0041】
また、コージェネレーション装置10は、発電電力を、電源線15を介して熱源機16へ送ることも可能である。熱源機16は、コージェネレーション装置10で加熱された温水を、必要に応じて都市ガス(例えば、13A)の燃焼によりさらに加温して家屋12へ供給する。
【0042】
図2に示される如く、コントローラ14は、CPU18、RAM20、ROM22、I/O24、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス26で構成されたマイクロコンピュータ28を備える。
【0043】
I/O24には、給湯関連制御部27と、発電関連制御部29とが接続され、給湯及び発電に伴う動作がコントローラ14によって制御される。
【0044】
また、I/O24には、大規模記憶装置30が接続されており、コントローラ14で実行される発電及び給湯に関する処理プログラムが記憶される共に、発電に基づく履歴情報(例えば、本実施の形態では、通信インタバルの調整情報等)が記憶されるようになっている。
【0045】
さらに、I/O24には、リモコン32が接続されている。リモコン32は、コージェネレーション装置10が設置される対象の家屋12の内部に設置され、使用者がコージェネレーション装置10(及び熱源機16)に関して指令を入力する機能やコージェネレーション装置10の状態を表示する機能等を有する。
【0046】
図1に示される如く、本実施の形態に係る分散型電源システムでは、商用電源34からの購入電力と、コージェネレーション装置10の発電電力とが、家屋12での電源とされている。
【0047】
商用電源34は、スマートメータ36に接続されている。スマートメータ36は商用電源34の電流、電力、電力量をはじめとする電力情報等を計測し、計測した情報を、Aルート、Bルート、Cルートの通信経路によって、特定の通信先へ送信することが可能である。
【0048】
すなわち、Aルートは、スマートメータ36と電力会社とを結ぶ通信経路であり、Bルートは、スマートメータ36と家屋12に設置された機器(例えば、HEMSが構築されている場合は、そのコントローラ等)を結ぶ通信経路であり、Cルートは、Aルートを介して電力会社が取得したデータを第三者(小売電気事業者等)へ提供するための通信経路である。
【0049】
スマートメータ36から出力される電源線38は、家屋12に設置された分電盤40へ配線されている。
【0050】
分電盤40は、スマートメータ36側を上流側とすると、上流側から順に、サービスブレーカ42、漏電遮断器46、及び安全ブレーカ48が設置されている。
【0051】
サービスブレーカ42は、契約容量を決定するための遮断器であるが、設置されていない場合もある。
【0052】
漏電遮断器46は、家屋12の内部配線や電気機器の漏電を素早く感知・遮断し、電気事故を未然に防ぐための遮断器である。
【0053】
安全ブレーカ48は、分電盤40から家屋12の各使用場所へ送電するための分岐回路のそれぞれに取り付けられ、電気機器の故障等に伴うショートや一定以上の電力使用を検知した場合に自動的に回路を保護する遮断器である。
【0054】
ここで、コージェネレーション装置10によって発電した発電電力は、分電盤40に設けられた専用の安全ブレーカ48Aを介して、商用電源34と合流し、家屋12の内部の電気機器の電源として用いることができる。
【0055】
なお、図示は省略したが、コージェネレーション装置10には、商用電源34の停電時専用の電源線が設けられ、停電により商用電源34から電力が供給されない状況において、コージェネレーション装置10の発電電力を、家屋12の一部に取り付けられた停電時専用コンセントを介して、供給することができるようになっている。
【0056】
ここで、コージェネレーション装置10のコントローラ14では、時々刻々と変動する家屋12における電力使用量に応じて、発電電力を制御する必要がある。
【0057】
本実施の形態では、Bルートの通信経路を介してスマートメータ36から電力情報を取得する通信インタバルとして、30秒に1回を基準としている。当該通信インタバルであれば、無線通信の各種基準に抵触することなく、時々刻々と変動する家屋12における使用電力におおむね追従させる制御(負荷追従制御)が可能である。
【0058】
ところで、スマートメータ36は、Bルートによるコージェネレーション装置10のコントローラ14の通信に加えて、Aルートによる通信等の他の通信も行っている。また、スマートメータ36のアップデートを含む通信できない状態の期間も存在する。
【0059】
このため、コージェネレーション装置10のコントローラ14が、30秒に1回の通信インタバルで、Bルートの通信経路で電力情報を取得しようとした場合、自家あるいは隣家の他機器の通信(Aルート、Bルート、特定小電力無線)が干渉する期間等、電力情報取得のための通信が失敗する可能性もある。
【0060】
言い換えれば、コージェネレーション装置10のコントローラ14において、30秒に1回の通信インタバルの機会で取得する通信制御のみでは、必要な頻度で電力情報を得ることができない可能性がある。
【0061】
コージェネレーション装置10が、電力情報を必要な頻度で取得できない状態が継続すると、安定した負荷追従制御ができず、適正な発電量を維持できないため、第1の手段として、発電量を、コージェネレーション装置10の内部での消費量以内とするアイドリング状態としている。
【0062】
しかし、電力情報を必要な頻度で取得できない状態がさらに長期間継続するとかえって、ガス消費量が増大することになる(例えば、コージェネレーション装置10を設置しない状態に比べて、ガス消費量が増加する等)。
【0063】
そこで、本実施の形態では、電力情報を必要な頻度に相当する期間(例えば、取得失敗の回数等)にしきい値を設定し、当該しきい値を超えた場合は、コージェネレーション装置10の発電を停止させるようにした。
【0064】
図3は、コージェネレーション装置10のコントローラ14における、通信インタバル制御及び発電可否制御のための機能ブロック図である。この機能ブロック図の各ブロックは、機能別に分類したものであり、本実施の形態では、ROM22に記憶された通信インタバル調整プログラムに基づいて、CPU18が動作する、ソフトウェアによる制御として実行される。なお、一部又は全部の機能ブロックに示す動作プログラムを、ASIC等のICチップを組み込んで動作させるようにしてもよい。
【0065】
図3に示される如く、無線通信部54は、スマートメータ36のBルートの通信経路を介して電力情報を取得するための通信プロトコルを確立する。無線通信部54は、通信インタバルタイマ56に接続されており、通信プロトコルの確立のタイミングを通信インタバルタイマ56から受けるようになっている。本実施の形態では、デフォルトとして、30秒に1回の通信インタバルで通信プロトコルを確立する。
【0066】
無線通信部54は、電力情報取得部58に接続されている。無線通信部54において、通信プロトコルが確立すると(成功すると)、電力情報取得部58は、Bルートの通信経路によって、スマートメータ36から電力情報を取得する。
【0067】
電力情報取得部58は、システム稼働制御部60に接続されており、取得した電力情報をシステム稼働制御部60へ通知する。
【0068】
システム稼働制御部60では、取得した電力情報に基づいて、発電出力等を計算し、コージェネレーション装置10の必要な制御対象デバイスへ制御指示信号を送出する。これにより、コージェネレーション装置10は、家屋12における使用電力におおむね追従した発電出力で運転することができる。
【0069】
なお、システム稼働制御部60は、制御デバイスへ発電出力の制御指示信号の送出に加え、後述する発電停止及び発電再開の制御指示信号を送出する場合がある。
【0070】
一方、無線通信部54は、通信成否判定部62に接続されている。通信成否判定部62では、無線通信部54における、所定通信インタバルでの通信プロトコルの確立の結果の成否を判定し、連続失敗カウンタ64へ送出するようになっている。
【0071】
連続失敗カウンタ64では、通信が失敗する毎に+1カウントされ、通信が成功することで、失敗カウントの累積値がリセットされる。すなわち、連続失敗カウンタ64のカウント値は、連続して通信が失敗した回数となる。
【0072】
連続失敗カウンタ64は、判定部66に接続され、通信インタバル毎(30秒毎)にカウント値が判定部66に送出されるようになっている。
【0073】
判定部66には、失敗回数しきい値記憶部68が接続されており、連続失敗カウンタ64からカウント値を受け付ける度に、当該カウント値としきい値とが比較される。
【0074】
判定部66は、システム稼働制御部60に接続されており、判定部66で、連続失敗カウンタ64からのカウント値がしきい値未満の場合には、システム稼働制御部60へ発電可能信号を出力し、連続失敗カウンタ64からのカウント値がしきい値以上になると、システム稼働制御部60へ発電不可信号を出力する。
【0075】
システム稼働制御部60は、判定部66から受け付けた発電可否情報に基づいて、発電実行中からの発電停止、発電停止中からの再開、発電継続、発電停止継続等を判断し、制御デバイスへ、発電停止及び発電再開の制御指示信号を送出する。
【0076】
以下に本実施の形態の作用を
図4及び
図5のフローチャートに従い説明する。
【0077】
図4は、コージェネレーション装置10のコントローラ14で実行される、電力情報取得制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0078】
また、
図5は、Bルート通信毎に実行される発電のアイドリング制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0079】
ステップ100では、発電停止フラグFをリセット(0)し、ステップ102へ移行する。この発電停止フラグFは、発電可能なときはリセット(F=0)され、発電不可のときはセット(1)されるフラグである。
【0080】
ステップ102では、通信インタバルのデフォルト値(本実施の形態では、30秒に1回)を読み出し、ステップ104へ移行する。
【0081】
ステップ104では、通信インタバル時間を経過したか否かを判断し、通信インタバル時間が経過するまで、ステップ104を繰り返す。ステップ104で肯定判定されると、ステップ106へ移行して、Bルート通信が可能か否かを判断する。
【0082】
このステップ106で肯定判定された場合は、ステップ108へ移行して、フラグFがセット(1)されているか否かを判断する。このステップ108で肯定判定された場合については、後述する。
【0083】
このステップ108で否定判定された場合は、発電可能であるため、ステップ110へ移行して、無線通信部54により、スマートメータ36へ電力情報を要求し、ステップ112へ移行する。
【0084】
ステップ112では、ステップ110での要求に対して、電力情報を取得したか否かを判断する。ステップ112で否定判定された場合は、電力情報を取得できなかったため、ステップ114へ移行してエラー処理(例えば、電力情報取得失敗の報知、ログ情報記録等)を実行し、ステップ104へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0085】
また、ステップ112で肯定判定された場合は、ステップ116へ移行して、電力情報に基づき、各制御対象デバイスの稼働状態を制御し、ステップ104へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0086】
一方、ステップ106で否定判定された場合は、Bルート通信が不可能であると判断し、ステップ118へ移行する。
【0087】
ステップ118では、フラグFがセットされているか否かを判断し、肯定判定されている場合は、既に、発電が停止されていると判断し、ステップ104へ戻る。
【0088】
また、ステップ118で否定判定された場合は、現在発電中であると判断し、ステップ120へ移行する。
【0089】
ステップ120では、今回の通信が不可であったと認識し、ステップ122へ移行する。ステップ122では、一定回数の通信不可が継続されたか否かを判断し、否定判定された場合は、発電停止には時期尚早と判断し、ステップ104へ戻る。
【0090】
また、ステップ122で肯定判定された場合は、これ以上、発電すると、かえってガス消費量を増大させる結果となる可能性があると判断し、ステップ124へ移行して、発電の停止工程処理の実行を指示し、ステップ126へ移行する。
【0091】
ステップ126では、発電が停止したことを示すフラグFをセット(1)し、ステップ104へ戻る。
【0092】
このフラグFがセット(1)されている場合、前述のステップ108において、肯定判定されることになる。
【0093】
すなわち、発電停止後、ステップ106で、Bルート通信が可能となった時点で(肯定判定)、ステップ108で肯定判定され、ステップ128へ移行して、発電の起動工程の実行を指示し、ステップ130へ移行する。ステップ130では、発電が可能であることを示すフラグFをリセット(0)し、ステップ110へ移行する。
【0094】
図5は、Bルート通信毎に実行される発電のアイドリング制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0095】
ステップ150では、運転停止中か否かを判断する。このステップ150で肯定判定された場合は、
図4の制御おいて、発電停止中と判断し、このルーチンは終了する。
【0096】
また、ステップ150で否定判定された場合は、通常発電中又はアイドリング中(何れも発電中)であると判断し、ステップ152へ移行する。
【0097】
ステップ152では、Bルートの通信状態を確認し、次いで、ステップ154へ移行して、Bルートの通信状態に基づいて、アイドリングの要否を判定する。
【0098】
ステップ154でアイドリングが必要と判定された場合は、ステップ156へ移行して、アイドリング状態へ移行し(アイドリング中の場合はアイドリング状態を維持)、このルーチンは終了する。また、ステップ154でアイドリングが不要と判定された場合は、ステップ158へ移行して、通常発電へ移行して(通常発電中の場合は、通常発電状態を維持)、このルーチンは終了する。
【0099】
本実施の形態によれば、Bルートの通信不可の場合に、コージェネレーション装置10の発電をアイドリング状態とするという、現状の発電制御に加え、一定時間(例えば、30秒)毎の通信インタバルで、スマートメータ36に対して、Bルート通信により、電力情報を取得するとき、一定回数Bルート通信ができないとき(アイドリング状態とする判定よりもさらに長期間の通信不可のとき)、発電を停止するようにした。
【0100】
例えば、比較例として、一定回数、Bルート通信ができないとき、発電量を、コージェネレーション装置10での内部機器(例えば、ヒータ)で消費する程度に下げ、発電は継続するようにしたが、このBルート通信不可期間が所定期間(複数回の通信機会)、継続されると、かえって、ガスの消費量が増大することがあった。
【0101】
これに対して、本実施の形態では、複数の通信機会において連続して通信不可となった場合に、発電を停止するようにした。これにより、無用なガス消費を軽減することができる。
【0102】
(変形例)
本実施の形態では、電力情報を必要な頻度に相当する期間(例えば、取得失敗の回数等)にしきい値を設定し、当該しきい値を超えた場合は、コージェネレーション装置10の停止させるようにした。
【0103】
ここで、コージェネレーション装置10のガス消費停止(発電停止)を強いられる条件として、ガスマイコンメータ52の微量漏洩監視機能の動作回避がある。
【0104】
ガスマイコンメータ52は、供給するガスの流量を計測すると共に、ガスの供給における異常を監視する複数の機能を有している。その中で、主たる監視機能(異常流出監視機能、感震機能、圧力監視機能、長時間使用監視機能)に加え、ガスの供給を積極的に遮断するものではないが、安全機能として、「微量漏洩監視機能」を搭載している。
【0105】
図6に示される如く、微量漏洩監視機能では、漏洩が一定期間(例えば、30日)継続した場合に(
図6の矢印A参照)、警報を発令(警報ランプの点滅等)する。
【0106】
ここで、コージェネレーション装置10では、通常、発電を目的として、ガスを消費し続けており、微量漏洩監視機能が働かないように、30日が経過する前に、一定の発電休止期間を設けるようにしている。一例として、27日の連続稼働毎に1回、24時間(第3の期間)の発電休止期間を設け、安全機能の警報カウンタをリセットするようにしている(
図6の矢印B参照)。
【0107】
コージェネレーション装置10が27日間連続稼働すると24時間(1日)の休止期間を設けることで、微量漏洩が無い場合は、発電機能による誤検知を防止し、かつ微量漏洩が無いことを認識することができる。
【0108】
ところで、本実施の形態のコージェネレーション装置10では、電力情報を必要な頻度に相当する期間(例えば、取得失敗の回数等)にしきい値を設定し、当該しきい値を超えた場合は、コージェネレーション装置10の発電を停止させるようにした(以下、「電力情報失敗時停止制御」という)。
【0109】
一方、コージェネレーション装置10では、27日間連続稼働すると24時間(1日)の休止期間を設けることで、微量漏洩の誤検知を防止するようにしている(「微量漏洩鑑識制御」という)。
【0110】
本実施の形態に係る変形例では、異なる条件で、コージェネレーション装置10の発電を停止されることに着目し、電力情報失敗時停止制御において、コージェネレーション装置10が発電停止の際、電力情報取得のための通信が回復したとしても、直ぐに、発電再開せず、次の警報カウンタのリセットまで(最大24時間)、発電停止を継続することで、微量漏洩監視制御による発電停止機会を軽減するようにした。なお、最大24時間を待つことなく、リセット状態を監視すれば、リセットされた時点で、発電を再開するようにしてもよい。
【0111】
以下に本実施の形態の変形例に係る作用を
図7のフローチャートに従い説明する。なお、本実施の形態の作用である
図4のフローチャートと同一ステップについては、同一のステップ番号を付し、その処理の説明を省略する。
【0112】
変形例では、Bルート通信が可能と判断され(ステップ106の肯定判定)、ステップ108において、発電が停止中であると判断された場合に(ステップ108の肯定判定)、ステップ130へ移行して、発電停止による漏洩監視制御の警報カウンタのリセット時期trを取得し、ステップ132へ移行する。リセット時期trは、発電中止から24時間としてもよいし、微量漏洩監視制御の警報カウンタのリセット状態を監視可能であれば、リセットされたか否かを判断してもよい。
【0113】
ステップ132では、リセット時期trに到達したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ132を繰り返す。
【0114】
また、ステップ132で肯定判定されると、電力情報失敗時停止制御によるBルート不通が解除され、かつ、微量漏洩監視制御の警報カウンタがリセットされたと判断し、ステップ128へ移行する。
【0115】
これにより、電力情報失敗時停止制御に基づく、Bルート通信不通による発電停止期間を、微量漏洩鑑識制御に基づく、警報カウンタをリセットさせるための発電停止期間に利用することができる。
【0116】
なお、本実施の形態及び変形例では、通信インタバルにおいて一定回数通信不可が継続された場合に、発電を停止するようにしたが、アイドリング状態の発電量よりも少ない発電量で発電を継続するようにしてもよい。この場合、変形例の対応として、微量漏洩を監視するためのガスマイコンメータ52の流量カウント最小パルス以下(流量検知しない状態)まで、ガス消費量を低下させた状態での発電が好ましい。
【0117】
なお、本実施の形態(変形例を含む)では、第1期間でアイドリング状態とし、第2期間で発電停止(又は微量漏洩検知以下)としたが、第1期間と第2期間という段階的処理を行わず、例えば、予め定めた期間、通信が不可となった場合に、直接発電停止(又は微量漏洩検知以下)としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10 コージェネレーション装置
12 家屋
14 コントローラ
15 電源線
16 熱源機
18 CPU
20 RAM
22 ROM
24 I/O
26 バス
27 給湯関連制御部
28 マイクロコンピュータ
29 発電関連制御部
30 大規模記憶装置
32 リモコン
34 商用電源
36 スマートメータ
38 電源線
40 分電盤
42 サービスブレーカ
46 漏電遮断器
48 安全ブレーカ
48A 安全ブレーカ
50 ガス供給管
52 ガスマイコンメータ
54 無線通信部(通信部)
56 通信インタバルタイマ(通信部)
58 電力情報取得部
60 システム稼働制御部(発電制御部)
62 通信成否判定部(発電制御部)
64 連続失敗カウンタ(発電制御部)
66 判定部(発電制御部)
68 失敗回数しきい値記憶部(発電制御部)