(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146880
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20231004BHJP
B66B 5/28 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
B66B11/02 Z
B66B5/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054303
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F304
3F306
【Fターム(参考)】
3F304DA66
3F304DA67
3F306AA12
3F306CB06
3F306CB60
(57)【要約】
【課題】乗りかごに衝撃が伝わりにくいエレベータの提供。
【解決手段】走行路2内に配置される複数の乗りかご3と、走行路2内の走行経路に沿って設置されるガイドレール40、及び乗りかご3の側面に対して取り付けられ且つガイドレール40によって走行経路に沿って案内される被ガイド部41を有する走行ガイド構造4と、少なくとも乗りかご3の走行方向において乗りかご3よりも外側に位置するようにして被ガイド部41又はガイドレール40に設けられる衝突防護部5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路と、
前記走行路内に配置される複数の乗りかごと、
前記走行路内に設定される走行経路に沿って設置されるガイドレール、及び前記乗りかごの側面に対して取り付けられ且つ前記ガイドレールによって前記走行経路に沿って案内される被ガイド部を有する走行ガイド構造と、
少なくとも前記乗りかごの走行方向において前記乗りかごよりも外側に位置するようにして前記被ガイド部又は前記ガイドレールに設けられる衝突防護部と、を備える、
エレベータ。
【請求項2】
前記衝突防護部は、前記走行方向における先端部に設けられる緩衝部であって、弾性を有する緩衝部を有する、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記衝突防護部として、前記乗りかごの周囲を包囲する枠状防護部を備える、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記枠状防護部を前記乗りかごに対して非接触の状態で前記乗りかごとともに移動させる防護部移動手段を備える、
請求項3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記衝突防護部として、前記枠状防護部と、前記走行方向において先端部が前記乗りかごよりも外側に位置するように前記被ガイド部から延出する延出防護部と、を備え、
前記枠状防護部は、前記ガイドレールに設けられ、
前記延出防護部は、前記走行方向における先端部に設けられる緩衝部であって、弾性を有する緩衝部を有し、
前記防護部移動手段は、前記走行方向において前記枠状防護部に接するように前記緩衝部が配置された前記延出防護部によって構成される、
請求項4に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記枠状防護部は、前記ガイドレールに設けられ、
前記防護部移動手段は、
前記枠状防護部又は前記ガイドレールに設けられ、且つ前記枠状防護部に対して前記乗りかごとともに前記ガイドレールに沿って移動させる動力を与える動力付与手段によって構成される、
請求項4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に開示されているような、1つの走行路(昇降路)内に複数の乗りかごを走行させるように構成されたエレベータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のエレベータでは、乗りかご同士が互いに接近する方向に向かって走行することがあり、乗りかご同士が衝突すると乗りかごに大きな衝撃が加わることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、乗りかごに衝撃が伝わりにくいエレベータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータは、
走行路と、
前記走行路内に配置される複数の乗りかごと、
前記走行路内に設定される走行経路に沿って設置されるガイドレール、及び前記乗りかごの側面に対して取り付けられ且つ前記ガイドレールによって前記走行経路に沿って案内される被ガイド部を有する走行ガイド構造と、
少なくとも前記乗りかごの走行方向において前記乗りかごよりも外側に位置するようにして前記被ガイド部又は前記ガイドレールに設けられる衝突防護部と、を備える。
【0007】
上記構成のエレベータでは、乗りかごの側面に連結されている被ガイド部又はこの被ガイド部を案内するガイドレールに対して走行方向において乗りかごよりも外側に位置するようにして衝突防護部が設けられるため、乗りかご同士が接近したとしても、乗りかごから離れた位置で衝突防護部同士が衝突する。このようにして、乗りかご同士の直接的な衝突が防止される。
【0008】
また、衝突防護部は、乗りかごの側面に連結される被ガイド部又はこの被ガイド部を案内するガイドレールに設けられているため、衝突防護部同士の衝突により生じた衝撃を乗りかごから外れた位置で受けることができる。そのため、衝突防護部同士の衝突により生じた衝撃が乗りかごの側面に対して真っ直ぐに加わることも防止される。
【0009】
このように、上記構成のエレベータは、乗りかご同士の直接的な衝突と、乗りかごの側面に対して真っ直ぐに衝撃が加わることを防止することによって、乗りかごに衝撃が伝わりにくくなっている。
【0010】
本発明のエレベータにおいて、
前記衝突防護部は、前記走行方向における先端部に設けられる緩衝部であって、弾性を有する緩衝部を有するようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、衝突防護部同士が衝突する際に緩衝部同士を接触させることにより、衝突防護部同士の衝突時に生じる衝撃が抑制される。
【0012】
本発明のエレベータは、
前記衝突防護部として、前記乗りかごの周囲を包囲する枠状防護部を備えるようにしてもよい。
【0013】
同じ走行路内に複数のガイドレールと、複数の被ガイド部及び乗りかごとが配置されている場合、別々のガイドレールによって案内される乗りかご同士が接近することがあるが、上記構成のエレベータによれば、乗りかごから離れた位置で枠状防護部同士が衝突するため、乗りかご同士の直接的な衝突が防止され、また、枠状防護部同士の衝突により生じた衝撃が乗りかごの側面に対して真っ直ぐに加わることも防止される。
【0014】
この場合、本発明のエレベータは、
前記枠状防護部を前記乗りかごに対して非接触の状態で前記乗りかごとともに移動させる防護部移動手段を備えるようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、乗りかごを案内するガイドレールに枠状防護部を設ける場合であっても、枠状防護部によって乗りかごを他の乗りかごから防護している状態を維持しながら、乗りかごとともに枠状防護部を移動させることができる。
【0016】
また、本発明のエレベータは、
前記衝突防護部として、前記枠状防護部と、前記走行方向において先端部が前記乗りかごよりも外側に位置するように前記被ガイド部から延出する延出防護部と、を備え、
前記延出防護部は、前記走行方向における先端部に設けられる緩衝部であって、弾性を有する緩衝部を有し、
前記防護移動手段は、前記走行方向において前記枠状防護部に接するように前記緩衝部が配置された前延出防護部によって構成されていてもよい。
【0017】
このようにすれば、乗りかごの走行に伴って枠状防護部が延出防護部に押された移動するため、枠状防護部によって乗りかごを他の乗りかごから防護している状態を維持しながら、乗りかごとともに枠状防護部を移動させることができる。
【0018】
また、本発明のエレベータにおいて、
前記防護移動手段は、
前記枠状防護部又は前記ガイドレールに設けられ、且つ前記枠状防護部に対して前記乗りかごとともに前記ガイドレールに沿って移動させる動力を与える動力付与手段によって構成されていてもよい。
【0019】
このようにする場合は、乗りかごの走行時に枠状防護部が動力付与手段から付与された動力によって移動するため、枠状防護部によって乗りかごを他の乗りかごから防護している状態を維持しながら、乗りかごとともに枠状防護部を移動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のエレベータは、乗りかごに衝撃が伝わりにくいという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの構成の概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータの概要図であって、乗りかごが縦走行路から横走行路に移った状態の概要図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るエレベータの縦走降路内の拡大図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るエレベータの横走行路内の拡大図である。
【
図5】
図5において、(a)は横ガイド部の外観図であり、(b)は横ガイド部の縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係るエレベータの説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るエレベータの説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施形態に係るエレベータの説明図であって、(a)は縦走行路内に乗りかごが位置している状態に説明図であり、(b)は横走行路内に乗りかごが位置している状態に説明図である。
【
図9】
図9は、本発明のさらに別の実施形態に係るエレベータの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかるエレベータについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0023】
エレベータ1は、
図1、
図2に示すように、走行路2と、走行路2内に配置される乗りかご3と、走行路2内に設定される走行経路に沿って設置されるガイドレール40、及び乗りかご3の側面に取り付けられ且つガイドレール40によって走行経路に沿って案内される被ガイド部41を有する走行ガイド構造4と、少なくとも乗りかごの走行方向において乗りかごよりも外側に位置するようにして被ガイド部41又はガイドレール40に設けられる衝突防護部5と、を備えている。
【0024】
本実施形態の走行路2には、上下方向に延びる縦走行路20と、水平方向に延びる横走行路21とが含まれており、縦走行路20と横走行路21とは互いに連通している。
【0025】
乗りかご3には、出入口が形成されている。また、乗りかご3の側面には、出入口が形成される一面を正面とした場合に、正面、右側面、左側面、背面が含まれている。
【0026】
ガイドレール40は、走行路2内での乗りかご3の走行経路に沿って設置されている。
【0027】
本実施形態の走行路2には、上下方向に延びる縦走行路20と、水平方向に延びる横走行路21とが含まれているため、縦走行路20には、該縦走行路20内で上下方向に延びるガイドレール40(以下、縦ガイドレール400と称する)が設置され、横走行路21には、該横走行路21内で水平方向に延びるガイドレール40(以下、横ガイドレール401と称する)が設置されている。
【0028】
本実施形態の走行ガイド構造4は、被ガイド部41として、縦ガイドレール400によって上下方向に沿って案内される縦ガイド部410と、横ガイドレール401によって水平方向に沿って案内される横ガイド部411と、を有する。なお、縦ガイド部410や、横ガイド部411は、索体で引き操作されるように構成されていてもよいし、自走式であってもよい。
【0029】
乗りかご3を上下方向に走行させる場合は、乗りかご3には縦ガイド部410が連結され、乗りかご3を水平方向に走行させる場合は、乗りかご3には横ガイド部411が連結される。
【0030】
乗りかご3を上下方向と水平方向とに走行させる場合は、縦ガイド部410に横ガイド部411を連結可能にしたり、横ガイド部411に縦ガイド部410を連結可能にしてもよい。
【0031】
本実施形態の走行ガイド構造4では、縦ガイド部410に横ガイド部411が連結可能に構成されている。
【0032】
より具体的に説明すると、縦ガイド部410の前面には横ガイドレール401が形成されており、横ガイド部411は、縦ガイド部410に連結されている状態(縦ガイド部410の前面に形成された横ガイドレール401に嵌合している状態)においては、縦ガイド部410とともに縦ガイドレール400によって上下方向に案内され、また、縦ガイド部410の前面に形成された横ガイドレール401によって水平方向にも案内されるように構成されている。
【0033】
本実施形態の横ガイド部411には、
図5(a)(b)に示すように、走行方向である水平方向に対して直交する方向(上下方向)での乗りかご3の動き(振動)を制限する制振構造412が設けられている。
【0034】
衝突防護部5は、上述のように、少なくとも走行方向において乗りかご3よりも外側に位置するようにして被ガイド部41又はガイドレール40に設けられており、本実施形態のエレベータ1では、走行方向となる上下方向において先端部が乗りかご3よりも外側に位置するように被ガイド部41から延出する延出防護部(縦延出防護部)50と、走行方向となる水平方向において先端部が乗りかご3よりも外側に位置するように被ガイド部41から延出する延出防護部(横延出防護部)51と、を有する。
【0035】
縦延出防護部50は
図3に示すように、縦ガイド部410の上端と下端とに設けられている。縦ガイド部410の上端に設けられている縦延出防護部50は、先端が乗りかご3よりも上方に位置し、縦ガイド部410の下端に設けられている縦延出防護部50は、先端が乗りかご3よりも下方に位置するように形成されている。
【0036】
横延出防護部51は、
図4、
図5(a)に示すように、横ガイド部411の左端と右端とに設けられている。横ガイド部411の左端に設けられている横延出防護部51は、先端が乗りかご3よりも左方に位置し、横ガイド部411の右端に設けられている横延出防護部51は、先端が乗りかご3よりも右方に位置するように形成されている。
【0037】
衝突防護部5は、先端部に設けられた弾性を有する緩衝部52を有するように構成されていてもよい。本実施形態では、横延出防護部51が、左端と右端とに設けられた緩衝部52を有するように構成されている。
【0038】
なお、本実施形態の縦延出防護部50は縦ガイド部410と一体的に形成され、横延出防護部51は横ガイド部411と一体的に形成されている。
【0039】
本実施形態に係るエレベータ1の構成は、以上の通りである。本実施形態のエレベータ1によれば、乗りかご3の側面に連結されている被ガイド部41には、走行方向において乗りかご3よりも外側に位置するようにして衝突防護部5が設けられるため、乗りかご3同士が接近したとしても、乗りかご3から離れた位置で衝突防護部5同士が衝突するため、乗りかご3同士の直接的な衝突が防止される。
【0040】
衝突防護部5が縦延出防護部50である場合は、上下方向での乗りかご3同士の直接的な衝突が防止され、衝突防護部5が横延出防護部51である場合は、水平方向での乗りかご3同士の直接的な衝突が防止される。
【0041】
また、衝突防護部5は、乗りかご3の側面に連結される被ガイド部41に設けられているため、衝突防護部5同士の衝突により生じた衝撃を乗りかご3から外れた位置で受けることができる。そのため、衝突防護部5同士の衝突により生じた衝撃が乗りかご3の側面に対して真っ直ぐに加わることも防止される。
【0042】
縦延出防護部50も横延出防護部51も、走行方向で隣り合う乗りかご3の間から外れた位置で被ガイド部41につながっているため、何れも衝突防護部5同士の衝突により生じた衝撃が乗りかご3の側面に対して真っ直ぐに加わることを防止できるようになっている。
【0043】
このように、エレベータ1は、乗りかご3同士の直接的な衝突と、乗りかご3の側面に対して真っ直ぐに衝撃が加わることを防止することによって、乗りかご3に衝撃が伝わりにくくなるという優れた効果を発揮できるようになっている。
【0044】
また、横延出防護部51は、走行方向における先端部に設けられた弾性を有する緩衝部52を有するため、横延出防護部51同士が衝突する際に緩衝部52同士を接触させることにより、横延出防護部51同士の衝突時に生じる衝撃が抑制されるようにもなっている。
【0045】
なお、本発明に係るエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
上記実施形態において、被ガイド部41は、乗りかご3の背面に取り付けられていたが、この構成に限定されない。例えば、被ガイド部41は、乗りかご3の右側面や、左側面に取り付けられていてもよい。被ガイド部41が乗りかご3の右側面や左側面に取り付けられる場合であっても、被ガイド部41と衝突防護部5とは走行方向で隣り合う乗りかご3の間から外れた位置でつながっていればよい。
【0047】
上記実施形態において、衝突防護部5は、被ガイド部41と一体的に形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、衝突防護部5は、被ガイド部41と別体で形成されていてもよい。より具体的に説明すると、縦延出防護部50は縦ガイド部410と別体で形成されていてもよいし、横延出防護部51は横ガイド部411と別体で形成されていてもよい。
【0048】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、走行方向における縦延出防護部50の先端部にも、弾性を有する緩衝部が設けられていてもよい。このようにする場合においても、被ガイド部41同士が接近した際に弾性を有する緩衝部同士が衝突するため、衝突時に生じる衝撃が緩衝部によって抑制される。
【0049】
上記実施形態の衝突防護部5は、被ガイド部41に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、衝突防護部5は、乗りかご3とともに走行できれば、ガイドレール40に設けられていてもよい。
【0050】
より具体的に説明すると、縦延出防護部50は縦ガイドレール400に設けられていてもよいし、横延出防護部51は横ガイドレール401に設けられていてもよい。
【0051】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、衝突防護部5は、
図6に示すように、乗りかご3の周囲を包囲する枠状防護部53を有するようにしてもよい。
【0052】
図7に示すように、同じ走行路2内に複数のガイドレール40と、複数の被ガイド部41及び乗りかご3とが配置されている場合、別々のガイドレール40によって案内される乗りかご3同士が接近することがあるが、上記構成のエレベータ1によれば、乗りかご3から離れた位置で枠状防護部53同士が衝突するため、乗りかご3同士の直接的な衝突が防止され、また、枠状防護部53同士の衝突により生じた衝撃が乗りかご3の側面に対して真っ直ぐに加わることも防止される。
【0053】
なお、枠状防護部53は、乗りかご3とともに走行できれば、ガイドレール40に対してスライド可能に設けられていてもよい。
【0054】
この場合、エレベータ1は、ガイドレール40に沿って枠状防護部53を移動させる防護部移動手段を備えるように構成されていればよい。
【0055】
防護部移動手段は、枠状防護部53と乗りかご3とが非接触の状態を維持しながら枠状防護部53をガイドレール40に沿って移動させるように構成される。
【0056】
例えば、エレベータ1が衝突防護部5として、枠状防護部53と、走行方向において先端部が乗りかご3よりも外側に位置するように被ガイド部41から延出する延出防護部とを備える場合、延出防護部によって防護部移動手段を構成してもよい。
【0057】
図8(a)、
図8(b)に示す防護部移動手段6は、緩衝部52付きの横延出防護部51によって構成されている。
【0058】
かかる防護部移動手段6では、緩衝部52が走行方向において横延出防護部51に接するように配置されているため、乗りかご3が横ガイドレール401に沿って走行すると、乗りかご3の走行方向と同方向に向けて枠状防護部53が緩衝部52に押され、これにより、枠状防護部53と乗りかご3との非接触の状態が維持されながら、枠状防護部53が横ガイドレール401に沿って移動するようになっている。
【0059】
なお、枠状防護部53を横ガイドレール401に沿って移動させる場合は、例えば、走行経路に沿って伸びる案内溝401aを横ガイドレール401と横ガイド部411とに形成し、枠状防護部53の一部を被案内挿入部530として、案内溝401aに挿入すればよい。
【0060】
また、別の態様の防護部移動手段6は、枠状防護部53に動力を与える動力付与手段によって構成されていてもよい。この場合、防護部移動手段6は、電動モーター等の駆動源と、駆動源の動力を枠状防護部53に伝える駆動伝達手段とを有するように構成されていればよい。防護部移動手段6は、枠状防護部53自体に設けられていてもよいし、ガイドレール40等の枠状防護部53とは別の構成に設けられていてもよい。
【0061】
この場合、乗りかご3の走行に合わせて防護部移動手段6が枠状防護部53に動力を与えて移動させると、枠状防護部53と乗りかご3とが非接触の状態が維持されながら、枠状防護部53が横ガイドレール401に沿って移動する。
【0062】
上記実施形態において、縦ガイド部410は、1つの走行路2内に収まるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、縦ガイド部410は、
図9に示すように、複数の縦ガイド部410に跨るように構成されていてもよい。
【0063】
図9では、走行経路が異なる2つの乗りかご3A、3Bが1つの空間内に配置されており、一方の乗りかご3Aの走行経路と、他方の乗りかご3Bの走行経路がそれぞれ異なる走行路2A,2Bとなっている。つまり、
図9に示す例では、1つの空間内に2つの走行路2A,2Bが設定されている。
【0064】
乗りかご3Cは、これらの2つの走行経路2A,2Bに跨って走行するように構成されており、枠状防護部53が設置される場合は、乗りかご3Cとともに枠状防護部53も2つの走行経路2A,2Bに跨って移動するように構成されていればよい。
【0065】
この場合においても、枠状防護部53を横ガイドレール401に沿って移動させる場合は、例えば、走行経路に沿って伸びる案内溝401aを横ガイド部411に形成し、枠状防護部53の一部を被案内挿入部530として、案内溝401aに挿入すればよい。
【符号の説明】
【0066】
1…エレベータ、2…走行路、4…走行ガイド構造、5…衝突防護部、20…縦走行路、21…横走行路、40…ガイドレール、41…被ガイド部、50…縦延出防護部、51…横延出防護部、52…緩衝部、53…枠状防護部、400…縦ガイドレール、401…横ガイドレール、401a…案内溝、410…縦ガイド部、411…横ガイド部、412…制振構造、530…被案内挿入部