(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146884
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】施工画像登録システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231004BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054309
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 睦己
(72)【発明者】
【氏名】惠美 祥一郎
(72)【発明者】
【氏名】天野 敏治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】施工後の画像の登録を適正かつ容易に行うことを可能にする。
【解決手段】 各配電設備に関する情報を記憶する管理サーバ4と、撮影対象の配電設備の識別情報をコード化した二次元コード2と、撮影機能を備え、二次元コード2を読み取った後に撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と二次元コード2から読み取った識別情報を管理サーバ4に送信するスマートフォン3と、を備え、管理サーバ4は、スマートフォン3から受信した識別情報に該当する配電設備に対して撮影画像を記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各配電設備に関する情報を記憶する管理サーバと、
撮影対象の配電設備の識別情報をコード化した二次元コードと、
撮影機能を備え、前記二次元コードを読み取った後に前記撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と前記二次元コードから読み取った識別情報を前記管理サーバに送信する通信端末と、
を備え、前記管理サーバは、前記通信端末から受信した識別情報に該当する配電設備に対して前記撮影画像を記憶する、
ことを特徴とする施工画像登録システム。
【請求項2】
前記通信端末は、前記配電設備を撮影した際の撮影方向を入力可能で、入力された撮影方向を前記撮影画像とともに前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記通信端末から受信した撮影方向を前記撮影画像に関連付けて記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の施工画像登録システム。
【請求項3】
前記撮影対象の配電設備の撮影を含む操作を前記通信端末の画面上で案内する報告プログラムを備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の施工画像登録システム。
【請求項4】
前記二次元コードは、複数の前記配電設備の識別情報がコード化され、
前記通信端末は、各識別情報と該当する前記撮影画像とを前記管理サーバに送信する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の施工画像登録システム。
【請求項5】
前記通信端末は、1つの前記撮影対象の配電設備に対して複数の前記撮影画像を前記管理サーバに送信可能で、
前記管理サーバは、前記通信端末から受信した複数の前記撮影画像を該当する配電設備に対して記憶可能となっている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の施工画像登録システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、外部から指定された、あるいは、予め設定された前記撮影対象の配電設備に対して、前記二次元コードを自動生成する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の施工画像登録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線工事等の施工後の画像・写真を所定の場所に登録するための施工画像登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、外線工事後の竣工報告に伴って装柱画像を登録する必要があり、工事件名および電柱単位で撮影した画像を整理する必要があった。すなわち、現場で撮影した画像をパソコンに取り込む作業が必要で、パソコンに取り込んだ後に件名や電柱ごとに撮影した画像を整理する必要があった。その際、画像のファイル名がIMG_0002.jpgなどの記号化・番号化されたものであるため、ファイル名だけでは画像の内容がわからず、1枚ずつ画像を確認して整理する必要があった。
【0003】
一方、工事報告書の作成にかかる負担を軽減できる、という工事報告書作成システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、工事報告書のレイアウト枠に画像を貼付する際に、ユーザに画像貼付欄に貼付する画像の画像データの所在を指定させる画像データ指定欄と、画像貼付欄の夫々に対応させて設けられ、ユーザが選択可能に表示される複数の図案が設けられた貼付先指示欄と、を有する画像貼付設定画面を表示し、指定された画像を画像貼付欄に貼付するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、工事現場で撮影した画像を事務所等に戻ってからパソコンに取り込んで、画像を整理しなければならないため、作業員にとって手間と時間を要するばかりでなく、どの画像がどの件名や電柱に対応するかを忘れてしまう、あるいは、曖昧になってしまうおそれがあった。このような問題は、特許文献1に記載のシステムを使用したとしても生じ得る問題であった。
【0006】
そこで本発明は、施工後の画像の登録を適正かつ容易に行うことを可能にする、施工画像登録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、各配電設備に関する情報を記憶する管理サーバと、撮影対象の配電設備の識別情報をコード化した二次元コードと、撮影機能を備え、前記二次元コードを読み取った後に前記撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と前記二次元コードから読み取った識別情報を前記管理サーバに送信する通信端末と、を備え、前記管理サーバは、前記通信端末から受信した識別情報に該当する配電設備に対して前記撮影画像を記憶する、ことを特徴とする施工画像登録システムである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の施工画像登録システムにおいて、前記通信端末は、前記配電設備を撮影した際の撮影方向を入力可能で、入力された撮影方向を前記撮影画像とともに前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記通信端末から受信した撮影方向を前記撮影画像に関連付けて記憶する、ことを特とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の施工画像登録システムにおいて、前記撮影対象の配電設備の撮影を含む操作を前記通信端末の画面上で案内する報告プログラムを備える、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の施工画像登録システムにおいて、前記二次元コードは、複数の前記配電設備の識別情報がコード化され、前記通信端末は、各識別情報と該当する前記撮影画像とを前記管理サーバに送信する、ことを特徴する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4に記載の施工画像登録システムにおいて、前記通信端末は、1つの前記撮影対象の配電設備に対して複数の前記撮影画像を前記管理サーバに送信可能で、前記管理サーバは、前記通信端末から受信した複数の前記撮影画像を該当する配電設備に対して記憶可能となっている、ことを特徴する。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から5に記載の施工画像登録システムにおいて、前記管理サーバは、外部から指定された、あるいは、予め設定された前記撮影対象の配電設備に対して、前記二次元コードを自動生成する、ことを特徴する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、通信端末で二次元コードを読み取り、工事施工後に撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と二次元コードの識別情報が管理サーバに送信され、管理サーバにおいて該当する配電設備に対して撮影画像が自動的に記憶される。このように、作業員が二次元コードを読み取って工事現場で配電設備を撮影するだけで、管理サーバの該当する配電設備に対して撮影画像が自動的に記憶されるため、施工後の画像の登録をミスなく適正かつ容易に行うことが可能となる。しかも、通信端末に撮影機能を備えるだけでよいため、既製・既存のスマートフォンや多機能端末などを通信端末として使用することができ、新たな設備・機器を要することなく本施工画像登録システムを構築することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、通信端末で入力した撮影方向が、管理サーバにおいて撮影画像に関連付けて記憶されるため、その後撮影画像を見た際に、撮影画像がどの方向から撮影されたかがわかり、配電設備の状態をより適正に把握・確認することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、報告プログラムによって撮影対象の配電設備の撮影を含む操作が、通信端末の画面上で案内されるため、配電設備の撮影などの操作を誰でも容易かつ適正に行うことが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、二次元コードに複数の配電設備の識別情報を含み、通信端末から各識別情報と該当する撮影画像とを管理サーバに送信することができる。つまり、複数の配電設備に対して1度の二次元コードの読み取りや送信を行えばよいため、画像の登録をより適正かつ容易に行うことが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、1つの配電設備に対して複数の撮影画像を管理サーバに記憶可能なため、配電設備の状態をより適正に把握・確認することが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、外部から指定された配電設備や予め設定された配電設備に対して、管理サーバで二次元コードが自動生成されるため、二次元コードの生成に要する時間と労力を削減できるとともに、二次元コードを適正に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施の形態に係る施工画像登録システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の施工画像登録システムの装柱写真登録シートを示す図である。
【
図3】
図1の施工画像登録システムのスマートフォンの概略構成ブロック図である。
【
図4】
図3のスマートフォンの竣工報告アプリによる第1の案内画面(a)と第2の案内画面(b)を示す図である。
【
図5】
図4の案内画面に続く第3の案内画面(a)と第4の案内画面(b)と第5の案内画面(c)を示す図である。
【
図6】
図1の施工画像登録システムの管理サーバの外線工事詳細画面を示す図である。
【
図7】
図1の施工画像登録システムの管理サーバの装柱写真登録画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
図1は、この発明の実施の形態に係る施工画像登録システム1を示す概略構成図である。この施工画像登録システム1は、配電線工事等の施工後の画像・写真を所定の場所に登録するためのシステムであり、二次元コード2と、スマートフォン(通信端末)3と、管理サーバ4と、を備える。
【0022】
二次元コード2は、設計書の識別情報(設計書番号)や、この設計書の工事対象であり撮影対象の配電設備の識別情報、例えば、電柱Pの電柱番号などの情報がコード化・記号化された二次元コードであり、
図2に示すような装柱写真登録シート(設備写真登録シート)20に印刷されている。この装柱写真登録シート20には、設計書番号や撮影対象の配電設備の識別情報、この図では、電柱Pの電柱番号などが記載されている。ここで、1つの二次元コード2に、複数の配電設備の識別情報などがコード化されてもよく、また、1つの装柱写真登録シート20に複数の二次元コード2が印刷されてもよい。このような二次元コード2および装柱写真登録シート20は、後述するように、管理サーバ4で生成され、工事業者(作業員)Mによって印刷される。
【0023】
スマートフォン3は、工事業者Mが使用する通信端末であり、撮影機能を備え、主として、二次元コード2を読み取った後に撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と二次元コード2から読み取った配電設備の識別情報を管理サーバ4に送信する多機能携帯電話である。このスマートフォン3は、配電設備の撮影画像などを管理サーバ4に送信する機能等を有することを除いて、既製・既存の多機能携帯電話と同等の機能・構成であり、
図3に示すように、主として、通信部31と、タッチパネル32と、時計33と、GPS部34と、カメラ35と、記憶部36と、竣工報告アプリ(報告プログラム)37と、これらを制御などする中央処理部38と、を備える。
【0024】
通信部31は、外部と通信するためのインターフェイスであり、具体的には、管理サーバ4に撮影画像などを送信したりする。タッチパネル32は、各種情報や画像を表示したり、各種情報や指令を入力したりするための表示部および入力部である。例えば、後述する竣工報告アプリ37による案内画面・画像を表示したり、この案内画面に表示されたボタンを選択したりする。
【0025】
時計33は、現在時刻を常時測定する装置であり、管理サーバ4に撮影画像を送信する際に、撮影日時も送信されるようになっている。GPS部34は、自己の位置を検出するための機能部であり、GPS(Global Positioning System)衛星から時刻信号電波を受信して、スマートフォン3つまり工事業者Mの現在の位置情報(緯度、経度)をリアルタイムに演算、取得する。また、管理サーバ4に撮影画像を送信する際に、撮影時の位置情報(撮影位置)も送信されるようになっている。
【0026】
カメラ35は、映像を撮影する装置であり、主として、この実施の形態では、2次元コード2を撮影することで、2次元コード2から撮影対象の配電設備の識別情報などを読み取ったり、撮影対象の配電設備を撮影することで、その撮影画像を生成したりする。記憶部36は、各種情報・データを記憶するメモリであり、主として、2次元コード2から読み取った配電設備の識別情報や撮影画像が記憶される。
【0027】
竣工報告アプリ37は、撮影対象の配電設備の撮影を含む操作をタッチパネル32の画面上で案内するアプリケーション・プログラムである。すなわち、タッチパネル32で所定のアイコンがクリックされると起動され、撮影対象の配電設備の選択や撮影、撮影方向の入力、撮影画像の送信などをタッチパネル32の画面上で順次案内しながら、撮影画像や撮影方向などを管理サーバ4に送信するものである。ここで、この実施の形態では、スマートフォン3に竣工報告アプリ37を備えているが、管理サーバ4に備え、スマートフォン3で管理サーバ4にアクセスすることで、管理サーバ4から案内画面を提供してスマートフォン3の画面上で案内するようにしてもよい。また、配電設備が電柱Pの場合について、主として以下に説明する。
【0028】
具体的には、起動されるとまず、カメラ45を作動して、
図4(a)に示すように、2次元コード2を読み取る第1の案内画面をタッチパネル32に表示する。そして、2次元コード2から配電設備の識別情報などを読み取ると、
図4(b)に示すような第2の案内画面をタッチパネル32に表示する。この案内画面には、読み取った設計書番号、「電柱番号」ボタン(2次元コード2から読み取った配電設備の識別情報(電柱番号)と撮影済みか否かを示すボタン)、「その他」ボタン、「写真データ送信」ボタン、「一時保存」ボタン、「削除」ボタンなどが表示されている。ここで、二次元コード2に複数の配電設備の識別情報がコード化されている場合には、それぞれの配電設備に対して「電柱番号」ボタンを生成、表示する。
【0029】
次に、特定の電柱番号の「電柱番号」ボタンが押下されると、
図5(a)に示すような第3の案内画面(カメラ45で撮影されている画像)をタッチパネル32に表示する。続いて、スマートフォン3のシャッターが押されて撮影対象の配電設備を撮影すると、
図5(b)に示すような第4の案内画面をタッチパネル32に表示する。この案内画面には、撮影画像と、「続けて位置登録する」ボタン、「再撮影する」ボタンなどが表示されている。
【0030】
そして、「再撮影する」ボタンが押下されると、
図5(a)の第3の案内画面に戻り、配電設備の再撮影(撮影のやり直し)が可能となる。一方、「続けて位置登録する」ボタンが押下されると、
図5(c)に示すような第5の案内画面をタッチパネル32に表示する。この案内画面には、撮影対象の配電設備(円形マーク)を中心に八方に配置された中心向きの矢印と、方位マーク、「続けて写真登録する」ボタン、「再撮影する」ボタン、「登録完了」ボタンなどが表示されている。
【0031】
そして、いずれかの矢印を選択・タッチすることで、配電設備を撮影した際の撮影方向を入力可能となっている。ここで、スマートフォン3に搭載されたコンパス機能によって撮影方向が自動的に割り出され、割り出された方向の矢印が初期表示(他と異なる色などで表示)されており、この方向と異なる場合に、任意の矢印を選択すればよい。次に、「登録完了」ボタンが押下されると、この配電設備の識別情報と撮影画像と撮影方向を関連付けて記憶部36に記憶し、
図4(b)の第2の案内画面に戻る。
【0032】
一方、「続けて写真登録する」ボタンが押下されると、この配電設備の識別情報と撮影画像と撮影方向を関連付けて記憶部36に記憶し、
図5(a)の第3の案内画面に戻り、同じ配電設備に対して追加の撮影が可能となる。すなわち、1つの撮影対象の配電設備に対して複数(例えば、3つ)の撮影画像を撮影、記憶可能となっている。ここで、記憶部36に記憶する際には、撮影日時と撮影位置も関連付けて記憶する。また、「再撮影する」ボタンが押下されると、撮影画像と撮影方向を記憶しないで
図5(a)の第3の案内画面に戻り、配電設備の再撮影(撮影のやり直し)が可能となる。
【0033】
このようにして、1つの撮影対象の配電設備の撮影と撮影方向の入力が完了し、
図4(b)の第2の案内画面において他の電柱番号の「電柱番号」ボタンが押下されると、その電柱番号に対して同様の処理を繰り返す。また、撮影済みの「電柱番号」ボタンが押下されると、撮影画像の確認、再撮影および削除が可能となる。さらに、
図4(b)の第2の案内画面において「その他」ボタンが押下されると、同様の操作により、配電設備の識別情報とは関連しない(紐づけされない)で、撮影および撮影画像等の記憶が可能となる。この際、メモを入力、記憶することが可能で、記憶されたメモは、後述する装柱写真登録画面G2の撮影写真欄G22の上部に反映、表示されるようになっている。
【0034】
一方、
図4(b)の第2の案内画面において「写真データ送信」ボタンが押下されると、設計書番号および記憶部36に記憶された各配電設備の識別情報と撮影画像と撮影方向などを管理サーバ4に送信する。この際、1つの配電設備・識別情報に対して複数の撮影画像と撮影方向が記憶されている場合には、すべての(予め設定された最大数の)撮影画像と撮影方向を管理サーバ4に送信する。また、上記の「その他」ボタンで撮影された撮影画像等は、紐づけされない撮影画像等として設計書番号とともに管理サーバ4に送信する。
【0035】
また、
図4(b)の第2の案内画面において「一時保存」ボタンが押下されると、記憶部36に記憶された撮影画像や撮影方向などをそのまま保存して竣工報告アプリ37を一時的に終了する。そして、竣工報告アプリ37が再起動されると、上記のような処理の続きを行えるようになっている。さらに、
図4(b)の第2の案内画面において「削除」ボタンが押下されると、記憶部36に記憶された撮影画像や撮影方向などを、配電設備を指定して削除できるようになっている。
【0036】
管理サーバ4は、各配電設備に関する情報を記憶するサーバ・コンピュータであり、電力会社の管理センタCに配設され、この実施の形態では、配電線工事を設計したりするための配電地図情報システムを構成する。すなわち、配電設備の識別情報(電柱番号)ごとの情報を記憶し、パソコンなどで管理サーバ4つまり配電地図情報システムにアクセスして、配電設備の位置が図示された配電地図上で架空線・配電線の工事設計を行ったり、工事対象の電柱Pなどを指定したり、工事対象の電柱Pなどに対して工事内容の詳細を設計したりできるようになっているとともに、工事後の装柱写真・撮影画像等の登録、管理などを行う。
【0037】
具体的には、設計書番号・件名番号ごと、および配電設備の識別情報ごとに、当該する配電設備に関する情報を記憶するデータベース・記憶部を備える。そして、パソコンなどで配電地図情報システムにアクセスされて、
図6に示すような外線工事詳細画面G1において、工事対象の電柱Pつまり電柱番号などに対して工事内容の詳細が設計されると、「装柱写真要否」欄G11にチェックがされた電柱Pに対して、上記のような二次元コード2を自動生成する。このように、外部から指定された撮影対象の電柱Pに対して二次元コード2を自動生成する。また、工事対象の配電設備が変圧器や開閉器などの機器の場合には、予め設定された配電設備として、一律に二次元コード2を自動生成する。そして、所定の操作が行われると、この二次元コード2を含む装柱写真登録シート20を生成する。
【0038】
また、スマートフォン3から設計書番号、配電設備の識別情報(電柱番号)、撮影画像、撮影方向、撮影日時、撮影位置などを受信すると、データベースにおいて、受信した識別情報と同じ識別情報の配電設備に対して撮影画像や撮影方向などを記憶する。この際、同じ識別情報の配電設備に対して、複数組の撮影画像や撮影方向などを受信した場合には、受信した複数組の撮影画像や撮影方向などをデータベースに記憶する。このようにして、データベースにおいて、設計書番号ごとおよび配電設備の識別情報ごとに、撮影画像や撮影方向を含む情報が記憶される。また、紐づけされない撮影画像等を受信した場合には、該当する設計書番号に対してこれらを記憶する。
【0039】
そして、このように記憶された情報を配電地図情報システムに自動的に連係する。例えば、
図7に示すように、配電地図情報システムの装柱写真登録画面G2において、電柱Pの報告写真欄G21に、当該電柱番号に関連付けられた撮影画像を割り付ける。この際、この実施の形態では、関連付けられた撮影画像を最大3つまで報告写真欄G21に割り付ける。また、同じ電柱Pに対して、さらにスマートフォン3から複数回撮影画像などを受信した場合には、先の撮影画像を報告写真欄G21から解除して、紐づけされない撮影画像として扱い、最新の撮影画像を報告写真欄G21に割り付ける。
【0040】
そして、同じ設計書番号に紐づけされない撮影画像がある場合には、これらの撮影画像を撮影写真欄G22に割り付ける。さらに、撮影写真欄G22の撮影画像のなかから報告写真欄G21に割り付ける撮影画像を指定することで、その撮影画像を報告写真欄G21に割り付けられるようになっている。また、各写真欄G21、G22には撮影日時が表示され、所定の操作を行うことで、報告写真欄G21の撮影画像の撮影方向を表示したり、編集したりできるようになっている。この際、平面地図上において、撮影対象の配電設備を中心として一律所定距離(例えば、10m)離れた位置に、撮影方向をマーキングして表示する。
【0041】
次に、このような構成の施工画像登録システム1による施工画像登録方法について説明する。ここで、撮影対象の配電設備が電柱Pの場合を例にして、主として説明する。
【0042】
まず、管理サーバ4の配電地図情報システムで配電線等の工事設計を行い、
図6の外線工事詳細画面G1において「装柱写真要否」欄G11にチェックをすると、当該撮影対象の電柱Pに対して二次元コード2および装柱写真登録シート20が生成される。次に、この装柱写真登録シート20を工事会社事務所のコンピュータ等に送ると、工事業者Mが装柱写真登録シート20を印刷して工事現場に持参する。
【0043】
次に、工事現場において、工事業者Mがスマートフォン3の竣工報告アプリ37を起動すると、スマートフォン3のタッチパネル32に上記の案内画面が順次表示され、これに従って、装柱写真登録シート20の二次元コード2を読み込み、撮影対象の電柱Pの撮影などを行う。そして、上記のようにして、撮影画像や撮影方向などを管理サーバ4に送信すると、撮影画像や撮影方向などが配電地図情報システムに自動連係される。すなわち、撮影画像や撮影方向などが管理サーバ4のデータベースの該当する電柱P・電柱番号に記憶され、装柱写真登録画面G2において電柱Pの撮影画像が写真欄G21、G22に割り付けられたりするものである。
【0044】
以上のように、この施工画像登録システム1および施工画像登録方法によれば、スマートフォン3で二次元コード2を読み取り、工事施工後に撮影対象の配電設備を撮影すると、その撮影画像と二次元コード2の識別情報が管理サーバ4に送信され、管理サーバ4において該当する配電設備に対して撮影画像が自動的に記憶される。このように、工事業者Mが二次元コード2を読み取って工事現場で配電設備を撮影するだけで、管理サーバ4の該当する配電設備に対して撮影画像が自動的に記憶されるため、施工後の画像の登録をミスなく適正かつ容易に行うことが可能となる。しかも、スマートフォン3に撮影機能を備えるだけでよいため、既製・既存のスマートフォンを本施工画像登録システム1のスマートフォン3として使用することができ、新たな設備・機器を要することなく本施工画像登録システム1を構築することが可能となる。
【0045】
また、スマートフォン3で入力した撮影方向が、管理サーバ4において撮影画像に関連付けて記憶されるため、その後撮影画像を見た際に、撮影画像がどの方向から撮影されたかがわかり、配電設備の状態をより適正に把握・確認することが可能となる。
【0046】
また、竣工報告アプリ37によって撮影対象の配電設備の撮影を含む操作が、スマートフォン3の画面上で案内されるため、配電設備の撮影などの操作を誰でも容易かつ適正に行うことが可能となる。
【0047】
また、二次元コード2に複数の配電設備の識別情報を含み、スマートフォン3から各識別情報と該当する撮影画像とを管理サーバ4に送信することができる。つまり、複数の配電設備に対して1度の二次元コード2の読み取りや送信を行えばよいため、画像の登録をより適正かつ容易に行うことが可能となる。
【0048】
また、1つの配電設備に対して複数の撮影画像などを管理サーバ4に記憶可能なため、配電設備の状態をより適正に把握・確認することが可能となる。
【0049】
また、外線工事詳細画面G1で指定された電柱Pや、予め設定された変圧器や開閉器などに対して、管理サーバ4で二次元コード2が自動生成されるため、二次元コード2の生成に要する時間と労力を削減できるとともに、二次元コード2を適正に生成することが可能となる。
【0050】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、管理サーバ4が配電地図情報システムを構成する場合について説明したが、配電線工事を設計したりする機能を備えないで、単に各配電設備に関する情報(撮影画像や撮影方向を含む)を記憶するサーバであってもよい。また、スマートフォン3が通信端末の場合について説明したが、通信端末が既製・既存のタブレット型端末や携帯電話などであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 施工画像登録システム
2 二次元コード
20 装柱写真登録シート
3 スマートフォン(通信端末)
37 竣工報告アプリ(報告プログラム)
4 管理サーバ
M 工事業者(作業員)
P 電柱(配電設備)