(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146899
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】銅または銅合金の表面処理剤
(51)【国際特許分類】
C23F 11/14 20060101AFI20231004BHJP
C23C 22/58 20060101ALI20231004BHJP
B23K 35/26 20060101ALN20231004BHJP
C22C 13/00 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
C23F11/14
C23C22/58
B23K35/26 310A
C22C13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054331
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】722013405
【氏名又は名称】四国化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】前 智也
(72)【発明者】
【氏名】吉成 光市
(72)【発明者】
【氏名】中西 正人
【テーマコード(参考)】
4K026
4K062
【Fターム(参考)】
4K026AA06
4K026AA22
4K026BA01
4K026BB10
4K026CA13
4K026CA18
4K026CA37
4K026DA02
4K026DA03
4K026DA06
4K062AA01
4K062BB18
4K062BB22
4K062CA03
4K062FA09
4K062FA16
(57)【要約】
【課題】銅表面に形成される化成皮膜の耐熱性に優れ、半田付けを行う際には、良好な半田付け性が得られる表面処理剤を提供すること。
【解決手段】
化学式(I)で示されるイミダゾール化合物または化学式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物と、化学式(III)で示されるトリアゾール化合物を含有する銅または銅合金の表面処理剤とする。化学式(I)~(III)中の各置換基の定義は、明細書中の定義と同じである。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I)で示されるイミダゾール化合物または下記化学式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物と、下記化学式(III)で示されるトリアゾール化合物を含有することを特徴とする銅または銅合金の表面処理剤。
【化1】
(式(I)中、
R
1は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチルメチル基、-CH-(Ph)
2、-(CH
2)
k-Ph、チエニル基、チエニルメチル基、フリル基またはピリジル基を表し、ここで、Phは置換基を有してもよいフェニル基を表し、kは2~5の整数を表す。
R
2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基またはフリル基を表す。但し、R
2が、同時に水素原子である場合を除く。)
【化2】
(式(II)中、
R
3は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、-(CH
2)
m-Ph、-(CH
2)
m-Npまたは下記式(1)で示される基を表し、Phは置換基を有してもよいフェニル基、Npは置換基を有してもよいナフチル基を表し、mは1~5の整数を表す。
【化3】
(式(1)中、mは1~5の整数を表す。)
R
4は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
【化4】
(式(III)中、
R
5及びR
6は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチル基、ピリジル基または下記式(2)で示される基を表す。但し、R
5及びR
6が同時に下記式(2)で示される基である場合を除く。
【化5】
(式(2)中、tは0~12の整数を表す。)
R
7は、水素原子、ベンジル基または-(CH
2)
n-COOHを表し、nは1~5の整数を表す。)
【請求項2】
さらにハロゲン化物イオンを含有することを特徴とする請求項1に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【請求項3】
前記ハロゲン化物イオンが塩化物イオンであることを特徴とする請求項2に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【請求項4】
さらに亜鉛イオンを含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【請求項5】
前記化学式(III)で示されるトリアゾール化合物が、前記化学式(I)で示されるイミダゾール化合物または前記化学式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物に対して、0.005~3.0のモル比で含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【請求項6】
pHが2~5であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の銅または銅合金に使用する表面処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時プリント配線板の実装方法として、実装密度を向上させた表面実装が広く採用されている。このような表面実装方法は、チップ部品をクリーム半田で接合する両面表面実装、チップ部品のクリーム半田による表面実装とディスクリート部品のスルホール実装を組み合わせた混載実装等に分けられる。いずれの実装方法においても、プリント配線板は複数回の半田付けが行われるので、その度に高温に曝されて厳しい熱履歴を受ける。
その結果、プリント配線板の回路部を構成する銅または銅合金(以下、単に銅と云うことがある)の表面は、加熱されることにより酸化皮膜の形成が促進されるので、該回路部表面の半田付け性を良好に保つことができない。
【0003】
このようなプリント配線板の銅回路部を空気や熱による酸化から保護するために、表面処理剤(プレフラックス)を使用して銅回路部表面に化成皮膜を形成させる処理が広く行われている。表面処理剤により形成されたOSP(Organic Solderability Preservative)膜と称される化成皮膜には、銅回路部が複数回の熱履歴を受けた後も化成皮膜が変成(劣化)することなく銅回路部を保護し、これによって半田付け性を良好なものに保つことが要求される。
【0004】
一方、従来から電子部品をプリント配線板などに接合する際には、錫-鉛合金の共晶半田が広く使用されていたが、近年その半田合金中に含まれる鉛(Pb)による人体への有害性が懸念され、鉛を含まない半田を使用することが求められている。
そのために種々の無鉛半田が検討されているが、例えば錫(Sn)をベース金属として、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの金属を添加した無鉛半田が提案されている。
【0005】
ところで、従来のSn-Pb系共晶半田は、接合母材に使用される金属、特に銅の表面に対する濡れ性に優れ銅に対して強固に接合するので、銅部材間の接合性については高い信頼性が得られている。
これに対して、無鉛半田は、従来のSn-Pb系共晶半田に比べると銅の表面に対する濡れ性が劣っているので、半田付け性が悪く、ボイド発生などの接合不良が生じ、接合強度も低いものであった。
【0006】
そのため無鉛半田を使用するに当たっては、より半田付け性の良好な半田合金および無鉛半田に適したフラックスの選定が求められているが、銅表面の酸化防止のために使用される表面処理剤に対しても、無鉛半田の濡れ性を改善し半田付け性を良好なものとする機能が求められている。
また、無鉛半田の多くは融点が高く、半田付け温度が従来のSn-Pb系共晶半田に比べて20~50℃程高くなるため、当該表面処理剤に対しては、優れた耐熱性を有する化成皮膜を形成させることも望まれている。
【0007】
このような表面処理剤には有効成分としてイミダゾール化合物が用いられており、種々検討がなされている。例えば、特許文献1,2には、特定の置換基を有するイミダゾール化合物を含有する銅または銅合金の表面処理剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-241251号公報
【特許文献2】特開2013-1977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子機器の性能向上のためにはプリント配線板への電子部品の良好な半田付け性を維持することが求められており、特に無鉛半田を使用する場合は銅表面の酸化を防止するために表面処理剤の更なる改善が求められている。
そこで、本発明は、銅表面に形成される化成皮膜の耐熱性に優れ、半田付けを行う際には、良好な半田付け性が得られる表面処理剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定構造のイミダゾール化合物またはベンズイミダゾール化合物を用い、さらに助剤として特定構造のトリアゾール化合物を含有する表面処理剤によって、銅回路部を有するプリント配線板を処理することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の〔1〕~〔6〕の通りである。
〔1〕下記化学式(I)で示されるイミダゾール化合物または下記化学式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物と、下記化学式(III)で示されるトリアゾール化合物を含有することを特徴とする銅または銅合金の表面処理剤。
【0012】
【0013】
(式(I)中、
R1は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチルメチル基、-CH-(Ph)2、-(CH2)k-Ph、チエニル基、チエニルメチル基、フリル基またはピリジル基を表し、ここで、Phは置換基を有してもよいフェニル基を表し、kは2~5の整数を表す。
R2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基またはフリル基を表す。但し、R2が、同時に水素原子である場合を除く。)
【0014】
【0015】
(式(II)中、
R3は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、-(CH2)m-Ph、-(CH2)m-Npまたは下記式(1)で示される基を表し、Phは置換基を有してもよいフェニル基、Npは置換基を有してもよいナフチル基を表し、mは1~5の整数を表す。
【0016】
【0017】
(式(1)中、mは1~5の整数を表す。)
R4は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
【0018】
【0019】
(式(III)中、
R5及びR6は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチル基、ピリジル基または下記式(2)で示される基を表す。但し、R5及びR6が同時に下記式(2)で示される基である場合を除く。
【0020】
【0021】
(式(2)中、tは0~12の整数を表す。)
R7は、水素原子、ベンジル基または-(CH2)n-COOHを表し、nは1~5の整数を表す。)
【0022】
〔2〕さらにハロゲン化物イオンを含有することを特徴とする前記〔1〕に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
〔3〕前記ハロゲン化物イオンが塩化物イオンであることを特徴とする前記〔2〕に記載の銅または銅合金の表面処理剤。
〔4〕さらに亜鉛イオンを含有することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の銅または銅合金の表面処理剤。
〔5〕前記化学式(III)で示されるトリアゾール化合物が、前記化学式(I)で示されるイミダゾール化合物または前記化学式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物に対して、0.005~3.0のモル比で含有することを特徴とする前記〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の銅または銅合金の表面処理剤。
〔6〕pHが2~5であることを特徴とする前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の銅または銅合金の表面処理剤。
【発明の効果】
【0023】
本発明の銅または銅合金の表面処理剤は、プリント配線板の回路部等を構成する銅または銅合金の表面に、耐熱性に優れた化成皮膜を形成させると共に、該表面に対する半田の濡れ性を飛躍的に向上させ、半田付け性を良好なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明の銅または銅合金の表面処理剤は、有効成分として式(I)で示されるイミダゾール化合物または式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物を含有し、助剤として式(III)で示されるトリアゾール化合物を含有する表面処理剤(水溶性プレフラックス)である。
銅または銅合金に本発明の表面処理剤が付着すると、銅表面から溶出した銅イオンが式(I)で示されるイミダゾール化合物または式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物と反応し、銅-イミダゾール錯体が形成される。この銅-イミダゾール錯体は表面処理剤に対して不溶であるため、銅または銅表面に沈着し化成皮膜(OSP膜)が形成される。表面処理剤中に式(III)で示されるトリアゾール化合物を含有することで、その作用は明らかではないが、トリアゾール化合物が化成皮膜中に取り込まれることにより、結果化成皮膜の耐熱性が向上すると推測される。
【0026】
(式(I)で示されるイミダゾール化合物)
式(I)で示されるイミダゾール化合物(以下、イミダゾール化合物(I)ということがある。)は、以下の構造を有する。
【0027】
【0028】
(式(I)中、
R1は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチルメチル基、-CH-(Ph)2、-(CH2)k-Ph、チエニル基、チエニルメチル基、フリル基またはピリジル基を表し、ここで、Phは置換基を有してもよいフェニル基を表し、kは2~5の整数を表す。
R2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基またはフリル基を表す。但し、R2が、同時に水素原子である場合を除く。)
【0029】
式(I)において、R1は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチルメチル基、-CH-(Ph)2(Phは置換基を有してもよいフェニル基である。)、-(CH2)k-Ph(Phは置換基を有してもよいフェニル基であり、kは2~5の整数である。)、チエニル基、チエニルメチル基、フリル基またはピリジル基である。
【0030】
炭素数1~18の直鎖状のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基等が挙げられる。炭素数1~18の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3~18の分岐鎖状のアルキル基であり、具体的に、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、イソオクチル基、s-オクチル基、t-オクチル基等が挙げられる。
【0031】
フェニル基、ナフチル基およびベンジル基の水素に置換される置換基としては、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0032】
フェニル基、ナフチル基およびベンジル基の水素に置換されるハロゲン原子としては、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたフェニル基としては、具体的に、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-ヨードフェニル基、3-ヨードフェニル基、4-ヨードフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,4,5-トリクロロフェニル基、3,4,5-トリクロロフェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたベンジル基としては、具体的に、2-フルオロベンジル基、3-フルオロベンジル基、4-フルオロベンジル基、2-クロロベンジル基、3-クロロベンジル基、4-クロロベンジル基、2-ブロモベンジル基、3-ブロモベンジル基、4-ブロモベンジル基、2-ヨードベンジル基、3-ヨードベンジル基、4-ヨードベンジル基、2,3-ジクロロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基、2,5-ジクロロベンジル基、2,6-ジクロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基、3,5-ジクロロベンジル基、2,4,5-トリクロロベンジル基、3,4,5-トリクロロベンジル基等が挙げられる。
【0033】
チエニル基としては、2-チエニル基と3-チエニル基が挙げられ、フリル基としては、2-フリル基と3-フリル基が挙げられる。
【0034】
R1は、化成皮膜の耐熱性の観点から、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチルメチル基、チエニル基であるのが好まい。
【0035】
R2は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基またはフリル基である。これらの置換基は、上記R1で記載したものと同様である。2つあるR2は、同一であっても、異なっていてもよいが、R2が同時に水素原子であることはない。
【0036】
R2は、化成皮膜の耐熱性の観点から、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基、フリル基が好ましい。但し、R2が、同時に水素原子である場合を除く。
【0037】
式(I)で示されるイミダゾール化合物(イミダゾール化合物(I))としては、式(I-1)~式(I-6)で示されるイミダゾール化合物が好ましい。
【0038】
【0039】
(式(I-1)中、R112は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R214は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、R215は、水素原子または炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。
式(I-2)中、R224は、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、チエニル基またはフリル基を表し、R225は、水素原子または炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R226は、同一または異なって、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基またはハロゲン原子を表し、pは、0~3の整数を表す。
式(I-3)中、R234は、置換基を有してもよいフェニル基を表し、R235は、水素原子または炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。
式(I-4)中、R244は、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはチエニル基を表し、R245は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、R246は、同一または異なって、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子を表し、pは、0~3の整数を表す。
式(I-5)中、R254は、置換基を有してもよいフェニル基を表し、R255は、水素原子または炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。
式(I-6)中、R264は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基を表し、R265は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。)
【0040】
イミダゾール化合物(I)の具体例として、式(I-1)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
2-エチル-4-メチルイミダゾール、
2-ウンデシル-4-メチルイミダゾール、
2,4,5-トリメチルイミダゾール、
4,5-ジメチル-2-オクチルイミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-ノニルイミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0041】
式(I-2)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
2,4-ジフェニルイミダゾール、
2,4-ジフェニル-5-メチルイミダゾール、
2,4-ジフェニル-5-ヘキシルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2-クロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(3-クロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(4-クロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(4-フルオロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(4-ブロモフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(4-ヨードフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2,5-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2,6-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(3,5-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2-プロピル-3-クロロフェニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(3-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-ウンデシルイミダゾール、
2-フェニル-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(1-ナフチル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2-ナフチル)-5-メチルイミダゾール、
2-フェニル-4-(2-チエニル)イミダゾール、
2-フェニル-4-(3-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-2-フェニル-4-(2-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-2-フェニル-4-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-フリル)-2-フェニルイミダゾール、
2-(2-メチルフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3-オクチルフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-メチルフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-イソプロピルフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-メチルフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(4-イソプロピルフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(4-ビフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジメチルフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2-クロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3-クロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-クロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-フルオロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-ヨードフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,3-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,5-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,6-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,5-ジクロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,4-ジブロモフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2-メチル-4-クロロフェニル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(4-メトキフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,3-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2,5-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2,6-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(3,5-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-エチルイミダゾール、
2-(2,3-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-デシルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-フェニル-5-ヘプタデシルイミダゾール、
2-(2-ヘプチル-4-クロロフェニル)-4-フェニル-5-イソブチルイミダゾール、
2,4-ビス(4-クロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(3,4-ジメトキフェニル)-5-メチルイミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(3,4-ジメトキフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-メチルフェニル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(4-イソプロピルフェニル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(4-メチルフェニル)-4-(4-クロロ-6-ブチル-1-ナフチル)イミダゾール等が挙げられる。
【0042】
式(I-3)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
2-(1-ナフチル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2-ナフチル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(1-ナフチル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール、
2-(2-ナフチル)-4-フェニル-5-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0043】
式(I-4)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
2-ベンジル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(4-ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2-クロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(3-クロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(4-クロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(4-ブロモフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,5-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,6-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(3,5-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,4,5-トリクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(3,4,5-トリクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-5-メチル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-5-ブチル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-5-ヘプチル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-5-ヘキシル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-5-オクチル-4-フェニルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(2-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(3-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-ベンジル-5-メチル-4-(2,4,5-トリクロロフェニル)イミダゾール、
2-ベンジル-4,5-ジフェニルイミダゾール、
2-ベンジル-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-ベンジル-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(4-クロロフェニル)イミダゾール、
4-(4-ブロモフェニル)-2-(4-クロロベンジル)イミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-(4-クロロフェニル)イミダゾール、
2-(4-フルオロベンジル)-4-(4-フルオロフェニル)イミダゾール、
2-(2-ブロモベンジル)-4-(4-ブロモフェニル)イミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-(3-ブロモフェニル)イミダゾール、
4-(4-ブチルフェニル)-2-(2-クロロベンジル)イミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(4-ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(2,4-ジブロモフェニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(4-メチルベンジル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,5-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,5-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(4-ブロモフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
4-(4-ビフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)イミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,5-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,5-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
2-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)イミダゾール、
4-フェニル-2-(3,4,5-トリクロロベンジル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-5-メチル-4-フェニルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-(4-ブロモフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(2,4-ジブロモフェニル)-5-メチルイミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(4-フルオロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(4-フルオロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(4-ブロモベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチル-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-5-メチル-4-フェニルイミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチル-4-(4-メチルフェニル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(4-メトキシフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2,4-ジブロモベンジル)-4-(3,4-ジブロモフェニル)-5-メチルイミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(3,4-ジメトキシベンジル)-5-メチルイミダゾール、
4-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-メチルイミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-5-ヘキシル-4-フェニルイミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(2-クロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(3-クロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(4-クロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,3-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,5-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,5-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(2,6-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(3,4-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール、
2-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール、
2-(3,5-ジクロロベンジル)-4-(2-ナフチル)イミダゾール等が挙げられる。
【0044】
式(I-5)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
2-(1-ナフチルメチル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(2-ナフチルメチル)-4-フェニルイミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)-4-フェニルイミダゾール、
5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)-4-フェニルイミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(1-ナフチルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-ナフチルメチル)イミダゾール等が挙げられる。
【0045】
式(I-6)で示されるイミダゾール化合物としては、例えば、
4-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-ナフチル)-2-(2-チエニル)イミダゾール
4-(2-ナフチル)-2-(3-チエニル)イミダゾール
5-メチル-4-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-4-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-4-(1-ナフチル)-2-(2-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-4-(1-ナフチル)-2-(3-チエニル)イミダゾール、
5-メチル-4-(2-ナフチル)-2-(2-チエニル)イミダゾール
5-メチル-4-(2-ナフチル)-2-(3-チエニル)イミダゾール
4,5-ジフェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4,5-ジフェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール、
4-(2-ナフチル)-5-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール
4-(2-ナフチル)-5-フェニル-2-(3-チエニル)イミダゾール等が挙げられる。
【0046】
その他、式(I)で示されるイミダゾール化合物の具体例としては、例えば、
5-シクロヘキシル-2,4-ジフェニルイミダゾール、
5-シクロヘキシル-2-(2,4-ジクロロベンジル)-4-フェニルイミダゾール、
2-(3,6-ジクロロ-2-ナフチル)-4-(2-イソプロピル-5-フルオロフェニル)-5-デシルイミダゾール、
4-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-ナフチル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール
4-(2-ナフチル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール
5-メチル-4-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
5-メチル-4-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
5-メチル-4-(1-ナフチル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
5-メチル-4-(1-ナフチル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
5-メチル-4-(2-ナフチル)-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
5-メチル-4-(2-ナフチル)-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4,5-ジフェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4,5-ジフェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,3-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2,6-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(3,5-ジクロロフェニル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(1-ナフチル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-ナフチル)-5-フェニル-2-(2-チエニルメチル)イミダゾール、
4-(2-ナフチル)-5-フェニル-2-(3-チエニルメチル)イミダゾール等が挙げられる。
【0047】
(式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物)
式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物(以下、ベンズイミダゾール化合物(II)ということがある。)は、以下の構造を有する。
【0048】
【0049】
(式(II)中、
R3は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、-(CH2)m-Ph、-(CH2)m-Npまたは下記式(1)で示される基を表し、Phは置換基を有してもよいフェニル基、Npは置換基を有してもよいナフチル基を表し、mは1~5の整数を表す。
【0050】
【0051】
(式(1)中、mは1~5の整数を表す。)
R4は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
【0052】
式(II)において、R3は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、-(CH2)m-Ph(Phは置換基を有してもよいフェニル基であり、mは1~5の整数である。)、-(CH2)m-Np(Npは置換基を有してもよいナフチル基であり、mは1~5の整数である。)または上記式(1)で示される基である。
【0053】
炭素数1~18の直鎖状のアルキル基および分岐鎖状のアルキル基は、上記イミダゾール化合物(I)で記載したものと同様である。
また、フェニル基、ナフチル基の水素に置換される置換基も、上記イミダゾール化合物(I)で記載したものと同様である。
【0054】
R4は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。この炭素数1~18の直鎖状のアルキル基および分岐鎖状のアルキル基は、上記イミダゾール化合物(I)で記載したものと同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)等が挙げられる。4つあるR4は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0055】
R4は、化成皮膜の耐熱性の観点から、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはハロゲン原子であるのが好ましく、水素原子、メチル基または塩素原子(Cl)がより好ましい。
【0056】
式(II)で示されるベンズイミダゾール化合物(ベンズイミダゾール化合物(II))としては、式(II-1)~式(II-4)で示されるベンズイミダゾール化合物が好ましい。
【0057】
【0058】
(式(II-1)中、R312は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R415は、同一または異なって、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子を表し、qは、0~3の整数を表す。
式(II-2)中、Xは、同一または異なって、ハロゲン原子を表し、mは、1~5の整数を表し、qは、0~3の整数を表す。
式(II-3)中、Xは、同一または異なって、ハロゲン原子を表し、mは、1~5の整数を表し、qは、0~3の整数を表し、rは、0~3の整数を表す。
式(II-4)中、Xは、同一または異なって、ハロゲン原子を表し、mは、1~5の整数を表し、qは、0~3の整数を表す。)
【0059】
ベンズイミダゾール化合物(II)の具体例として、式(II-1)で示されるベンズイミダゾール化合物としては、例えば、
2-メチルベンズイミダゾール、
2-エチルベンズイミダゾール、
2-プロピルベンズイミダゾール、
2-ブチルベンズイミダゾール、
2-tert-ブチルベンズイミダゾール、
2-ペンチルベンズイミダゾール、
2-ヘキシルベンズイミダゾール、
2-ヘプチルベンズイミダゾール、
2-オクチルベンズイミダゾール、
2-ノニルベンズイミダゾール、
2-デシルベンズイミダゾール、
2-ウンデシルベンズイミダゾール、
2-ドデシルベンズイミダゾール、
2-トリデシルベンズイミダゾール、
2-テトラデシルベンズイミダゾール、
2-ペンタデシルベンズイミダゾール、
2-ヘキサデシルベンズイミダゾール、
2-ヘプタデシルベンズイミダゾール、
2-ヘプチル-5,6-ジメチルベンズイミダゾール、
2-オクチル-5-クロロベンズイミダゾール、
2-ペンチル-5,6-ジクロロベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0060】
式(II-2)で示されるベンズイミダゾール化合物としては、例えば、
2-(2-チエニルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(3-チエニルメチル)ベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0061】
式(II-3)で示されるベンズイミダゾール化合物としては、例えば、
2-(フェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(4-クロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(2,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
6-クロロ-2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(2-フェニルエチル)ベンズイミダゾール、
2-[2-(4-クロロフェニル)エチル]ベンズイミダゾール、
2-(3-フェニルプロピル)ベンズイミダゾール、
2-[3-(2-クロロフェニル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2-(4-フェニルブチル)ベンズイミダゾール、
2-[4-(4-クロロフェニル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2-(5-フェニルペンチル)ベンズイミダゾール、
2-[4-(2,4-ジクロロフェニル)ブチル]-4,7-ジクロロベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0062】
式(II-4)で示されるベンズイミダゾール化合物としては、例えば、
2-(1-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2-(2-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2-[2-(1-ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2-[2-(2-ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2-[3-(1-ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2-[3-(2-ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2-[4-(1-ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2-[4-(2-ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2-[5-(1-ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2-[5-(2-ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0063】
イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)は、表面処理剤全量に対して、0.01~10重量%の割合で含有するのが好ましく、0.05~5重量%の割合で含有することがより好ましく、0.05~1重量%の割合で含有することがさらに好ましい。イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)の含有量が0.01重量%以上であると、銅表面に酸化を防止し得る膜厚にて化成皮膜を形成できる。また、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)が10重量%以下であると表面処理剤にイミダゾール化合物が溶解しやすくなり、且つ、銅表面の半田付け性を向上することが出来る。
【0064】
なお、本発明の実施においては、上記したイミダゾール化合物(I)およびベンズイミダゾール化合物(II)からなる群から選択されるイミダゾール化合物を、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0065】
また、イミダゾール化合物(I)およびベンズイミダゾール化合物(II)は、適当な酸と塩を形成した状態で用いることもできる。該酸としては、HCl(塩酸)、HBr(臭化水素)等が挙げられ、HCl塩、HBr塩として用いることができる。
【0066】
また、本発明の表面処理剤には、これらのイミダゾール化合物(I)およびベンズイミダゾール化合物(II)と共に、本発明と同一技術分野における公知のイミダゾール化合物を併用することも可能である。
【0067】
(式(III)で示されるトリアゾール化合物)
式(III)で示されるトリアゾール化合物(以下、トリアゾール化合物(III)ということがある。)は、以下の構造を有する。
【0068】
【0069】
(式(III)中、
R5及びR6は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチル基、ピリジル基または下記式(2)で示される基を表す。但し、R5及びR6が同時に下記式(2)で示される基である場合を除く。
【0070】
【0071】
(式(2)中、tは0~12の整数を表す。)
R7は、水素原子、ベンジル基または-(CH2)n-COOHを表し、nは1~5の整数を表す。)
【0072】
式(III)において、R5及びR6は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ナフチル基、ピリジル基または上記式(2)で示される基である。R5及びR6は、同一であっても、異なっていてもよいが、同時に上記式(2)で示される基となることはない。
【0073】
炭素数1~18の直鎖状のアルキル基および分岐鎖状のアルキル基は、上記イミダゾール化合物(I)で記載したものと同様である。
また、フェニル基、ベンジル基の水素に置換される置換基も、上記イミダゾール化合物(I)で記載したものと同様である。
【0074】
R5及びR6は、化成皮膜の耐熱性の観点から、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有するベンジル基、ナフチル基、ピリジル基、式(2)で示される基であるのが好ましい。また、式(2)において、tが0~10の整数であるのが好ましく、0~8の整数であることがより好ましく、0~6であることがさらに好ましい。
【0075】
R7は、水素原子、ベンジル基または-(CH2)n-COOH(nは1~5の整数)を表す。
R7は、化成皮膜の耐熱性の観点から、水素原子、-(CH2)n-COOH(nは1~3の整数)であるのが好ましい。
【0076】
式(III)で示されるトリアゾール化合物(トリアゾール化合物(III))としては、式(III-1)~式(III-5)で示されるイミダゾール化合物が好ましい。
【0077】
【0078】
(式(III-1)中、R513は、水素原子、アミノ基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、R515は、水素原子、アミノ基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、sは、1~3の整数を表す。
式(III-2)中、R523は、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ピリジル基を表し、R525は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基またはピリジル基を表す。
式(III-3)中、R531は、水素原子または置換基を有してもよいベンジル基を表し、R535は、水素原子、炭素数1~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアミノ基を表す。
式(III-4)中、R545は、水素原子、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいベンジル基を表す。
式(III-5)中、tは、0~6の整数を表す。)
【0079】
トリアゾール化合物(III)の具体例として、式(III-1)で示されるトリアゾール化合物としては、例えば、
1,2,4-トリアゾール-1-酢酸、
1,2,4-トリアゾール-1-プロピオン酸、
1,2,4-トリアゾール-1-酪酸、
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸、
3-アミノ-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸等が挙げられる。
【0080】
式(III-2)で示されるトリアゾール化合物としては、例えば、
3-メチル-1,2,4-トリアゾール、
3-エチル-1,2,4-トリアゾール、
3-プロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-ブチル-1,2,4-トリアゾール、
3-ペンチル-1,2,4-トリアゾール、
3-ヘキシル-1,2,4-トリアゾール、
3-オクチル-1,2,4-トリアゾール、
3-ウンデシル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール、
3-エチル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-プロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-イソプロピル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール、
3-ブチル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-ペンチル-1,2,4-トリアゾール、
5-ヘプチル-3-メチル-1,2,4-トリアゾール、
5-メチル-3-オクチル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-ウンデシル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジエチル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジプロピル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジイソプロピル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジブチル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジペンチル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジヘプチル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジオクチル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジウンデシル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3-エチル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
5-フェニル-3-プロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-ブチル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3-ペンチル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-(フェニルメチル)-1,2,4-トリアゾール、
3-エチル-5-(フェニルメチル)-1,2,4-トリアゾール、
5-(フェニルメチル)-3-プロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-メチル-5-(4-ピリジル)-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ビス(4-ピリジル)-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
【0081】
式(III-3)で示されるトリアゾール化合物としては、例えば、
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-メチル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-エチル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-プロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-ブチル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-ペンチル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-(1-ナフチル)-1,2,4-トリアゾール、
3-アミノ-5-(2-ナフチル)-1,2,4-トリアゾール、
1-ベンジル-3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
【0082】
式(III-4)で示されるトリアゾール化合物としては、例えば、
3-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3-ベンジル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、
3,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
【0083】
式(III-5)で示されるトリアゾール化合物としては、例えば、
3,3′-ビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-メチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-エチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-トリメチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-テトラメチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-ペンタメチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、
3,3′-ヘキサメチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)等が挙げられる。
【0084】
トリアゾール化合物(III)は、表面処理剤全量に対して、0.005~1重量%の割合で含有するのが好ましく、0.01~0.5重量%であることがより好ましく、0.01~0.3重量%であることがさらに好ましい。
【0085】
なお、本発明の実施においては、上記したトリアゾール化合物(III)から選択される1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、このトリアゾール化合物と共に、本発明と同一技術分野における公知のトリアゾール化合物を併用することも可能である。
【0086】
本発明において、トリアゾール化合物(III)は、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)に対して、0.005~3.0のモル比で含有するのが好ましく、0.01~2.7のモル比で含有するのがより好ましく、0.05~2.5のモル比で含有するのがさらに好ましい。トリアゾール化合物(III)と、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)の割合が上記の範囲にあることで、耐熱性の高い化成皮膜を形成できる。
【0087】
本発明の表面処理剤は、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)と、トリアゾール化合物(III)とを、水に溶解させることにより調製される。これにより、水溶性のプレフラックスが得られる。
【0088】
水は、特に限定されず、上水(水道水)、イオン交換水、精製水、純水等が挙げられる。
【0089】
本発明の表面処理剤には、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)と、トリアゾール化合物(III)とを水に溶解(水溶液化)させやすくするために、可溶化剤を含むのが好ましい。可溶化剤としては、例えば、有機酸または無機酸(これらを酸と云うことがある)を使用するのが好ましい。
【0090】
代表的な有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、べラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソ酪酸、2-エチル酪酸、オレイン酸、グリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、グルコン酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、ブトキシ酢酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、2-{2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}酢酸、3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸、3-プロポキシプロピオン酸、3-ブトキシプロピオン酸、レブリン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、パラニトロ安息香酸、ピクリン酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸等が挙げられ、同無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
これらの酸は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0091】
可溶化剤は、表面処理剤全量に対して、0.1~50重量%の割合で含有するのが好ましく、0.1~40重量%の割合で含有するのがより好ましい。可溶化剤の割合が上記の範囲にあることで、イミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)とトリアゾール化合物(III)とを水に溶解させやすくなり、かつ、化成皮膜を形成させやすくなる。
【0092】
本発明の実施においては、前記の可溶化剤と共に、有機溶剤を併用することができる。
この有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ、あるいはアセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセチルアセトン等の水と自由に混和するものが好ましく使用される。
これらの有機溶剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
有機溶剤は、表面処理剤全量に対して、0.1~50重量%の割合で含有するのが好ましく、1~40重量%がより好ましい。
【0094】
本発明の表面処理剤には、化成皮膜の形成速度(造膜性)および該皮膜の耐熱性を更に向上させるために、ハロゲン化物イオンを含有するのが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、1種を単独で含んでいても、2種以上が含まれていてもよい。中でも、化成皮膜の耐熱性向上の観点から、表面処理剤には塩化物イオンを含有するのがより好ましい。
【0095】
ハロゲン化物イオンは、表面処理剤全量に対して、0.005~1重量%の割合で含有するのが好ましく、0.01~0.1重量%がより好ましい。
【0096】
ハロゲン化物イオンは、表面処理剤中にハロゲン化合物を添加することで含有させることができる。ハロゲン化合物としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、クロロプロピオン酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、ブロモプロピオン酸、ヨウ化ナトリム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨードプロピオン酸等が挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
本発明の表面処理剤には、形成された化成皮膜の耐熱性を更に高めるために、亜鉛イオンを含有するのが好ましい。
亜鉛イオンは、0.05~2重量%の割合で含有するのが好ましく、0.1~1重量%がより好ましい。
【0098】
亜鉛イオンは、表面処理剤中に亜鉛化合物を助剤として添加することで含有させることができる。この亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
本発明の表面処理剤には、銅の表面における化成皮膜の形成速度(造膜性)を速めるために、銅イオンを含有するのが好ましい。
銅イオンは、表面処理剤全量に対して、0.005~1重量%の割合で含有するのが好ましく、0.01~0.1重量%がより好ましい。
【0100】
銅イオンは、表面処理剤中に銅化合物を助剤として添加することで含有させることができる。この銅化合物としては、例えば、ギ酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化銅、水酸化銅、リン酸銅、硫酸銅、硝酸銅等が挙げられ、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
本発明の表面処理剤には、前述のハロゲン化合物、亜鉛化合物、銅化合物以外にも、化成皮膜の造膜性の向上や化成皮膜の物性改良を目的として、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等の金属化合物やクラウンエーテル、ビピリジン、ポルフィリン、フェナントロリン等の配位化合物を助剤として添加することができる。
なお、マンガン化合物としては、例えばギ酸マンガン、塩化マンガン、シュウ酸マンガン、硫酸マンガン、炭酸マンガン等が挙げられ、コバルト化合物としては、例えば酢酸コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト等が挙げられ、ニッケル化合物としては、例えば塩化ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル等が挙げられる。
これらの金属化合物については、1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、表面処理剤全量に対して、0.05~2重量%の割合で含有するのが好ましく、0.1~1重量%がより好ましい。また、同配位化合物についても、1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、表面処理剤全量に対して、0.05~2重量%の割合で含有するのが好ましく、0.1~1重量%がより好ましい。
【0102】
本発明の表面処理剤には、金(Au)の表面への化成皮膜の形成を抑制しつつ、銅の表面への化成皮膜の造膜性を向上させるために、キレート剤および/または鉄化合物を、助剤として含有することができる(特開平9-291372号公報参照。引用により本明細書に含む)。
【0103】
前記のキレート剤としては、例えば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、エチレンジアミン二酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、ヘキサメチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸等とこれらの塩類が挙げられる。
キレート剤は、0.01~0.4重量%の割合で含有するのが好ましい。
【0104】
本発明の表面処理剤は、化成皮膜の造膜性(形成速度)の観点から、pHが2.0~5.0であるのが好ましく、2.2~4.8であるのがより好ましく、2.5~4.5であるのがさらに好ましい。
【0105】
なお、表面処理剤のpHを下げる場合には、前述の有機酸または無機酸を使用することができ、pHを上げる場合には、塩基を使用することができる。塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの他、アンモニアあるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。塩基としては、アミン類等の緩衝作用を有する物質が好ましく使用できる。
【0106】
本発明の表面処理剤を、銅の表面に接触させることにより、銅の表面に、化成皮膜を形成することができる。
本発明の表面処理剤を用いて銅の表面を処理する際の条件としては、表面処理剤の液温を10~70℃の範囲に設定し、接触時間を1秒~10分の範囲に設定することが好ましい。銅の表面を処理するための、銅と表面処理剤の接触方法としては、浸漬、噴霧、塗布等の手段が挙げられる。
【0107】
銅の表面に表面処理剤を接触させた後は、必要により水洗を行い、その後は銅の表面を乾燥させることが好ましい。乾燥は、室温(例えば20℃)~150℃の温度、好ましくは60~120℃の温度で、1秒~10分、好ましくは10秒~3分程度の時間とすることが好ましい。なお、水洗に用いる水としては、イオン交換水、蒸留水、精製水等の純水が好ましい。水洗の方法や時間には特に制限はなく、スプレー法、浸漬法等の方法による適宜の時間で構わない。
【0108】
表面処理剤を銅の表面に接触させる前に、アゾール化合物を含有するプレディップ液を前記銅の表面に接触させてもよい。このプレディップ液は、銅の表面に形成される化成皮膜の造膜性を高める機能を有する。
アゾール化合物としては特に限定されず、市販のイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物などが挙げられる。
プレディップ液には、アゾール化合物の他に、水と添加剤を含有する。添加剤としては、例えば、前述の有機溶剤、アミン類、銅化合物、ハロゲン化合物やその他の添加剤(例えば、硫酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩)を含有してもよい。
【0109】
本発明の表面処理剤により形成される化成皮膜(OSP膜)の膜厚は、0.10~0.50μmであるのが好ましい。皮膜の膜厚が0.10μm以上であると、十分な耐熱性を付与できるので本発明の所望の効果が得られる。また皮膜の膜厚が0.50μm以下であると、良好なはんだ付け性を維持できる。
【0110】
本発明の実施において使用する半田としては、従来知られたSn-Pb系の共晶半田の他、Sn-Ag-Cu系、Sn-Ag-Bi系、Sn-Bi系、Sn-Ag-Bi-In系、Sn-Zn系、Sn-Cu系等の無鉛半田が挙げられる。
【0111】
また本発明の半田付け方法は、電子部品が実装されたプリント配線板を、半田槽内の溶融半田の液面に接触させながら移動させて、電子部品とプリント配線板の接合部を半田付けするフロー法や、予めプリント配線板にペースト状のクリーム半田を回路パターンに合わせて印刷し、そこに電子部品を実装し、プリント配線板を加熱して半田を溶融させ、半田付けを行うリフロー法等に適応し得るものである。
【実施例0112】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
[イミダゾール化合物]
実施例に使用したイミダゾール化合物は以下のとおりである。
【0114】
(合成例1)
<4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-ノニルイミダゾール(A-1)の合成>
特開2010-77071号公報記載の方法に準拠して、イミダゾール化合物「4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-ノニルイミダゾール」(「A-1」と略記することがある。)を合成した。
【0115】
(合成例2)
<2-フェニル-4-(1-ナフチル)-5-メチルイミダゾール(A-2)の合成>
特開2006-36683号公報記載の方法に準拠して、イミダゾール化合物「2-フェニル-4-(1-ナフチル)-5-メチルイミダゾール」(「A-2」と略記することがある。)を合成した。
【0116】
(合成例3)
<5-メチル-4-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール(A-3)の合成>
特開2014-37370号公報記載の方法に準拠して、イミダゾール化合物「5-メチル-4-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール」(「A-3」と略記することがある。)を合成した。
【0117】
(合成例4)
<2-(3-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール(A-4)の合成>
特開2010-90105号公報記載の方法に準拠して、イミダゾール化合物「2-(3-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール」(「A-4」と略記することがある。)を合成した。
【0118】
A-1~A-4のイミダゾール化合物の化学式を以下に示す。
【0119】
【0120】
[ベンズイミダゾール化合物]
実施例に使用したベンズイミダゾール化合物は以下のとおりである。
【0121】
(合成例5)
<2-ノニルベンズイミダゾール(B-1)の合成>
特開平5-107814号公報記載の方法に準拠して、ベンズイミダゾール化合物「2-ノニルベンズイミダゾール」(「B-1」と略記することがある。)を合成した。
【0122】
(合成例6)
<6-クロロ-2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール(B-2)の合成>
以下の方法により、ベンズイミダゾール化合物「6-クロロ-2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール」(「B-2」と略記することがある。)を合成した。
3,4-ジクロロベンジルシアニド133.0g(0.715mol)と脱水ジクロロメタン190gを混合し、さらに脱水エタノール36.4g(0.790mol)を添加した。氷冷下で撹拌しながら、塩化水素ガス29.6g(0.812mol)を少しずつ吹き込んだ後、5℃以下で一晩撹拌した。得られた生成物を減圧濃縮して、白色粉末状の2-(3,4-ジクロロフェニル)エタンカルボキシイミド酸エチル塩酸塩192.1g(0.715mol、収率100%)を得た。
4-クロロ-1,2-フェニレンジアミン25.4g(0.178mol)と脱水メタノール200mLを混合した後、2-(3,4-ジクロロフェニル)エタンカルボキシイミド酸エチル塩酸塩48.0g(0.179mol)を添加した。還流下で2時間撹拌した後、さらに25%アンモニア水23.6gを添加した。その後、減圧濃縮して黒褐色タール状の生成物76.4gを得た。熱水中でこの生成物を撹拌し、得られた固体を熱時濾過した後、乳鉢で粉砕し、水400mLを加えて加熱した後、冷却して晶析、濾過して黒紫色結晶を得た。メタノールと活性炭を加えて加熱撹拌、濾過して得られた濾液を減圧濃縮し、得られた生成物をアセトニトリルで再結晶して、乳白色粉末の6-クロロ-2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール33.7g(0.108mol、収率60.9%)を得た。
【0123】
(合成例7)
<2-(2-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール(B-3)の合成>
以下の方法により、ベンズイミダゾール化合物「2-(2-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール」(「B-3」と略記することがある。)を合成した。
2-ナフチル酢酸50.9g(0.273mol)とo-フェニレンジアミン29.5g(0.273mol)を混合し、水の流出が無くなるまで加熱して紫色の固体を得た。得られた固体を乳鉢で粉状にした後、水1Lと88gの炭酸ナトリウムを入れて還流下で30分間撹拌した。熱時濾過を行った後、得られた固体について同様の操作をもう一度行った。これにメタノールと活性炭を加えて加熱撹拌、濾過して得られた濾液へ貧溶媒として水を少しずつ加えて晶析し、得られた結晶をメタノール及び水で洗浄した後、乾燥して淡黄色結晶の2-(2-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール39.4g(0.153mol、収率55.8%)を得た。
【0124】
B-1~B-3のベンズイミダゾール化合物の化学式を以下に示す。
【0125】
【0126】
[トリアゾール化合物]
実施例に使用したトリアゾール化合物は以下のとおりである。
【0127】
(合成例8)
<3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸(C-1)の合成>
以下の方法により、トリアゾール化合物「3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸」(「C-1」と略記することがある。)を合成した。
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール30.1g(0.357mol)とメタノール200mLを混合し、そこへ水酸化ナトリウム14.5g(0.363mol)と水80.0gを予め混合した水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加した。その後、モノクロロ酢酸ナトリウム41.6g(0.357mol)を添加して加熱し、一晩還流下で撹拌した。得られた生成物を減圧濃縮した後、水100mLを添加し、冷却しながら36%塩酸36.1gを少しずつ添加した。析出物を濾過した後、水で洗浄、乾燥して白色粉末の3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸24.3g(0.171mol、収率47.8%)を得た。
【0128】
(合成例9)
<5-メチル-3-オクチル-1,2,4-トリアゾール(C-2)の合成>
以下の方法により、トリアゾール化合物「5-メチル-3-オクチル-1,2,4-トリアゾール」(「C-2」と略記することがある。)を合成した。
ノナン酸エチル37.26g(0.200mol)とメタノール100gを混合した後、室温でさらにヒドラジン一水和物20.02g(0.400mol)を添加して1時間撹拌した後、加熱して一晩還流下で撹拌した。冷却により析出した結晶を濾過し、少量のメタノールで洗浄した後、乾燥して白色鱗片状結晶のノナン酸ヒドラジド28.26g(0.164mol、収率82.0%)を得た。
アセトアミジン塩酸塩15.60g(0.165mol)とメタノール100gを混合した後、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液34.72g(0.180mol)、さらにノナン酸ヒドラジド25.84g(0.150mol)を添加した。還流下で一晩撹拌した後、冷却、濾過してNaClを除去した後、濾液を減圧濃縮した。得られた濃縮物へトルエン80gと水80gを添加し、生成物をトルエンに溶解させ、この有機層を分離した後、全量が40gとなるまで減圧濃縮した。この濃縮液を冷却して晶析した後、濾過、乾燥して白色粉末の5-メチル-3-オクチル-1,2,4-トリアゾール20.51g(0.105mol、収率70.0%)を得た。
【0129】
(合成例10)
<3-ベンジル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(C-3)の合成>
以下の方法により、トリアゾール化合物「3-ベンジル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール」(「C-3」と略記することがある。)を合成した。
ベンズアミジン塩酸塩31.3g(0.200mol)とエタノール300mLを混合した後、予めエタノール240mLとナトリウムメトキシド14.0g(0.259mol)を混合しておいた液を添加した。析出したNaClを濾過して除去後、得られた濾液にフェニル酢酸ヒドラジド30.0g(0.200mol)を添加した。還流下で1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮してタール状の生成物55.1gを得た。水を加え撹拌して得られた固体を濾過し、一度乾燥後にジエチルエーテルで再結晶を行い、乾燥して白色粉末の3-ベンジル-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール14.4g(0.061mol、収率30.6%)を得た。
【0130】
(合成例11)
<3,3′-メチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)(C-4)の合成>
Russ.J.Applied Chem.,82(2),276(2009)記載の方法に準拠して、トリアゾール化合物「3,3′-メチレンビス(5-アミノ-1,2,4-トリアゾール)」(「C-4」と略記することがある。)を合成した。
【0131】
C-1~C-4のトリアゾール化合物の化学式を以下に示す。
【0132】
【0133】
実施例および比較例で採用した評価試験方法は、以下のとおりである。
【0134】
[半田上がり率の評価試験]
試験片として、内径0.60、0.80、1.00mmの銅スルーホールを各300穴有する120mm(縦)×150mm(横)×1.6mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製のプリント配線板を使用した。この試験片を、下記の条件により、ソフトエッチング、水洗および乾燥を行った後、所定の液温に保持したプレディップ液に所定時間浸漬し、水洗、乾燥させた後、所定の液温に保持した表面処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥することにより表面処理して、銅表面上に厚さ約0.2μmの化成皮膜を形成させた。
この表面処理を行った試験片について、赤外線兼用温風リフロー装置(製品名:SNR-725GT-MH、千住金属工業社製)を用いて、表1~6に記載の条件でリフロー加熱を行い、次いで、フロー半田付け装置(コンベア速度:1.0m/分)を用いて半田付けを行った。
なお、使用した半田は、千住金属工業社製「エコソルダーM705」(商品名、Sn-3.0Ag-0.5Cuの無鉛半田)であり、半田付けに際して使用したフラックスは、千住金属工業社製「ES-1062V-1」(商品名)である。また、半田温度は250℃とした。
半田付けを行った試験片について、銅スルーホールの上部ランド部分まで半田が上がった(半田付けされた)スルーホール数を計測し、全スルーホール数(900穴)に対する割合(%)を算出した(半田上がり率)。
銅の表面に対して半田の濡れ性が大きい程、溶融した半田が銅スルーホール内を浸透し該スルーホールの上部ランド部分まで上がり易くなる。即ち、全スルーホール数に対する上部ランド部分まで半田が上がったスルーホール数の割合が大きい程、銅に対する半田濡れ性が優れ、半田付け性が良好なものと判定される。
【0135】
[試験片の表面処理]
以下の工程i~iiiに従って試験片の処理を行った。
i. 酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ii. プレディップ液(四国化成工業社製「PT20」)に浸漬/30秒(30℃)、水洗、乾燥/1分(100℃)
iii.表面処理液に浸漬/1分(40℃)、水洗、乾燥/1分(100℃)
【0136】
(実施例1)
2-(3-クロロベンジル)-4-(1-ナフチル)イミダゾール(A-4)、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-1-酢酸(C-1)、酢酸およびヘプタン酸をイオン交換水に溶解させた後、アンモニア水でpH3.20に調整して、表1に記載の組成の表面処理剤を調製した。
得られた表面処理剤を用いて上記した半田上がり率の評価試験を行い、半田上がり率(%)を測定した。リフロー条件は、表1に記載のとおり、ピーク温度を260℃とし、加熱回数は2回で行った。
試験結果は表1に示したとおりであった。
【0137】
(実施例2~16、比較例1~4)
実施例1と同様にして、表1~2に記載の組成のとおりに表面処理剤を調製し、得られた表面処理剤を用いて、表1~2記載の処理条件にて半田上がり率の評価試験を行い、半田上がり率(%)を測定した。
これらの試験結果は表1~2に示したとおりであった。
【0138】
【0139】
【0140】
実施例1~4と比較例1、実施例5~8と比較例2、実施例9~12と比較例3、実施例13~16と比較例4の対比より、表面処理剤中にイミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)と共にトリアゾール化合物(III)を含有させることにより、半田上がり率が向上した。このことから、実施例1~16の表面処理剤は、得られる化成皮膜の耐熱性に優れることがわかった。
【0141】
(実施例17~20、比較例5~8)
実施例1と同様にして、表3に記載の組成のとおりに表面処理剤を調製し、得られた表面処理剤を用いて、表3記載の処理条件にて半田上がり率の評価試験を行い、半田上がり率(%)を測定した。
これらの試験結果は表3に示したとおりであった。
【0142】
【0143】
実施例17と比較例5、実施例18と比較例6、実施例19と比較例7、実施例20と比較例8の対比より、ハロゲン化物イオンとして臭化物イオン、ヨウ化物イオンを含有する系においても、表面処理剤中にイミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)と共にトリアゾール化合物(III)を含有させることにより、半田上がり率が向上した。
【0144】
(実施例21~30、比較例9~18)
実施例1と同様にして、表4~5に記載の組成のとおりに表面処理剤を調製し、得られた表面処理剤を用いて、表4~5記載の処理条件にて半田上がり率の評価試験を行い、半田上がり率(%)を測定した。
これらの試験結果は表4~5に示したとおりであった。
【0145】
【0146】
【0147】
イミダゾール化合物(I)として、4-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-2-ノニルイミダゾール(A-1)、2-フェニル-4-(1-ナフチル)-5-メチルイミダゾール(A-2)および5-メチル-4-フェニル-2-(2-チエニル)イミダゾール(A-3)を添加し、ベンズイミダゾール化合物(II)として、6-クロロ-2-(3,4-ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール(B-2)および2-(2-ナフチルメチル)ベンズイミダゾール(B-3)を用いた場合も、表面処理剤中にイミダゾール化合物(I)またはベンズイミダゾール化合物(II)と共にトリアゾール化合物(III)を含有させることにより、半田上がり率が向上した。
【0148】
(実施例31~32、比較例19~20)
実施例1と同様にして、表6に記載の組成のとおりに表面処理剤を調製し、得られた表面処理剤を用いて、表6記載の処理条件にて半田上がり率の評価試験を行い、半田上がり率(%)を測定した。
これらの試験結果は表6に示したとおりであった。
【0149】
【0150】
実施例31と比較例19、実施例32と比較例20の対比より、金属イオンを含有する系においても、表面処理剤中にイミダゾール化合物(I)と共にトリアゾール化合物(III)を含有させることにより、半田上がり率が向上した。
本発明によれば、半田を使用して電子部品等をプリント配線板に接合する際に、プリント配線板の回路部等を構成する銅または銅合金の表面に、耐熱性および半田との濡れ性に優れた化成皮膜を形成させることによって、半田付け性を良好なものとする表面処理剤、表面処理方法を提供することができる。