(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146902
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】小動物捕獲器
(51)【国際特許分類】
A01M 23/20 20060101AFI20231004BHJP
A01M 23/18 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A01M23/20
A01M23/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054334
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】592205632
【氏名又は名称】有限会社栄工業
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山村 九吉
(72)【発明者】
【氏名】山村 則子
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121BA16
2B121BA21
(57)【要約】
【課題】小動物の踏圧による踏板部材の傾動動作により連繋ワイヤを介して閉込扉体を確実に閉口動作させることができ、屈曲自在な連繋ワイヤを用いて踏板部材と閉込扉体とを連動させる構造であるから、連動機構を簡素化することができる。
【解決手段】連動機構5に踏板部材4と閉込扉体3とを連繋する連繋ワイヤ6が設けられ、連繋ワイヤの前方端部は閉込扉体に止着連結され、連繋ワイヤの後方端部に踏板部材に磁着可能な磁石MGが設けられ、踏板部材と磁石との磁着により連繋ワイヤは緊張状態となって閉込扉体を水平開口状態に保持し、踏板部材の傾動動作により磁着力に抗して磁石が踏板部材から離反したとき連繋ワイヤは弛緩状態となって閉込扉体を水平開口状態から垂直閉口状態3Hに閉口動作させる開閉機構Kが設けられ、閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構Dを備えてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご状本体の前面に小動物が進入可能な進入口部が形成され、該進入口部を開閉可能な閉込扉体が設けられ、該かご状本体内に小動物により踏圧される踏板部材が傾動自在に配設され、閉込扉体の開閉動作と小動物による踏板部材の傾動動作とを連動させる連動機構が設けられてなり、上記連動機構に上記踏板部材と上記閉込扉体とを連繋する連繋ワイヤが設けられ、該連繋ワイヤの前方端部は上記閉込扉体に止着連結され、該連繋ワイヤの後方端部に該踏板部材に磁着可能な磁石が設けられ、該踏板部材と磁石との磁着により該連繋ワイヤは緊張状態となって該閉込扉体を水平開口状態に保持し、該踏板部材の傾動動作により磁着力に抗して該磁石が該踏板部材から離反したとき該連繋ワイヤは弛緩状態となって該閉込扉体を水平開口状態から垂直閉口状態に閉口動作させる開閉機構が設けられ、該閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構を備えてなることを特徴とする小動物捕獲器。
【請求項2】
上記閉口保持機構として、上記かご状本体の前面に上記閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な押さえ杆を上下移動自在に配設してなることを特徴とする請求項1記載の小動物捕獲器。
【請求項3】
上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、該係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して該閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の小動物捕獲器。
【請求項4】
上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、該係止杆部の上記水平開口状態における前後方向の引出位置を調節自在に配設し、該係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して該閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の小動物捕獲器。
【請求項5】
上記閉込扉体の開閉動作に伴う上記連繋ワイヤの進退移動を案内する案内ローラを配設してなることを特徴とする請求項1記載の小動物捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、迷子猫、野良猫、ネズミ、イタチなどの小動物を捕獲する際に用いられる小動物捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の小動物捕獲器として、かご状本体の前面に小動物が進入可能な進入口部が形成され、進入口部を開閉可能な閉込扉体が設けられ、かご状本体内に踏板部材が傾動自在に配設され、閉込扉体の開閉動作と小動物による踏板部材の傾動動作とを連動させる連動機構を設けてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記閉込扉体の開閉動作と小動物による踏板部材の傾動動作とを連動させる連動機構として、踏板部材の傾動動作により進退移動して閉込扉体を水平開口状態から垂直閉口状態に閉口動作させるための連結杆及び連結杆用ガイド板が用いられ、連結杆及び連結杆用ガイド板は所謂、剛体からなり、このため、かご状本体に対する踏板部材と閉込扉体の動作を連動させる連動機構の組込の融通性が低下すると共に連動機構の構造が複雑化し易いことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、かご状本体の前面に小動物が進入可能な進入口部が形成され、該進入口部を開閉可能な閉込扉体が設けられ、該かご状本体内に小動物により踏圧される踏板部材が傾動自在に配設され、閉込扉体の開閉動作と小動物による踏板部材の傾動動作とを連動させる連動機構が設けられてなり、上記連動機構に上記踏板部材と上記閉込扉体とを連繋する連繋ワイヤが設けられ、該連繋ワイヤの前方端部は上記閉込扉体に止着連結され、該連繋ワイヤの後方端部に該踏板部材に磁着可能な磁石が設けられ、該踏板部材と磁石との磁着により該連繋ワイヤは緊張状態となって該閉込扉体を水平開口状態に保持し、該踏板部材の傾動動作により磁着力に抗して該磁石が該踏板部材から離反したとき該連繋ワイヤは弛緩状態となって該閉込扉体を水平開口状態から垂直閉口状態に閉口動作させる開閉機構が設けられ、該閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構を備えてなることを特徴とする小動物捕獲器にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記閉口保持機構として、上記かご状本体の前面に上記閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な押さえ杆を上下移動自在に配設してなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、該係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して該閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、該係止杆部の上記水平開口状態における前後方向の引出位置を調節自在に配設し、該係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して該閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記閉込扉体の開閉動作に伴う上記連繋ワイヤの進退移動を案内する案内ローラを配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、上記閉込扉体の開閉動作と小動物による踏板部材の傾動動作とを連動させる連動機構として、上記踏板部材と上記閉込扉体とを連繋する連繋ワイヤが設けられ、連繋ワイヤの前方端部は上記閉込扉体に止着連結され、連繋ワイヤの後方端部に踏板部材に磁着可能な磁石が設けられ、踏板部材と磁石との磁着により連繋ワイヤは緊張状態となって閉込扉体を水平開口状態に保持し、踏板部材の傾動動作により磁着力に抗して磁石が踏板部材から離反したとき連繋ワイヤは弛緩状態となって閉込扉体を水平開口状態から垂直閉口状態に閉口動作させる開閉機構を備えて構成しているから、小動物の踏圧による踏板部材の傾動動作により連繋ワイヤを介して閉込扉体を確実に閉口動作させることができ、屈曲自在な連繋ワイヤを用いて踏板部材と閉込扉体とを連動させる構造であるから、連動機構を簡素化することができると共に各種大きさのかご状本体に対する組込の融通性を向上することができ、用途の拡大を図ることができ、かつ、閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構を備えているから、閉込扉体の開閉動作を確実に行うことができる。
【0008】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記閉口保持機構として、上記かご状本体の前面に上記閉込扉体の開口動作を阻止又は許容可能な押さえ杆を上下移動自在に配設して構成しているから、押さえ杆の下方位置から上方位置への移動により閉込扉体の開口動作を許容することができ、上記閉込扉体の閉口動作に伴って上記押さえ杆が自重により上方位置から下方位置へ下降移動することにより上記閉込扉体の開口動作を阻止することができ、閉込扉体の開閉動作を確実に行うことができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなるから、上記閉込扉体の開閉動作を確実に行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記開閉機構として、上記閉込扉体の前面に係止杆部を配設し、係止杆部の上記水平開口状態における前後方向の引出位置を調節自在に配設し、係止杆部に緊張状態の連繋ワイヤが接触係止して閉込扉体を水平開口状態に静止保持可能に設けてなるから、上記閉込扉体の開閉動作を確実に行うことができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記閉込扉体の開閉動作に伴う上記連繋ワイヤの進退移動を案内する案内ローラを配設してなるから、連繋ワイヤを円滑に案内することができ、踏板部材の傾動動作と閉込扉体の開閉動作とを確実に連動させることができ、閉込扉体の開閉動作を確実に行うことができ、確実に小動物を捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態例の閉口状態の全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態例の閉口状態の全体前面図である。
【
図3】本発明の実施の形態例の閉口状態の前部拡大斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態例の閉口状態の全体後面図である。
【
図5】本発明の実施の形態例の開口状態の全体側断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態例の開口状態の前部拡大側断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態例の開口状態の前部拡大平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態例の開口状態の後部拡大側断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態例の閉口状態の部分拡大後断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態例の閉口状態の部分拡大平面図である。
【
図11】本発明の実施の形態例の開口状態の部分拡大後断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態例の閉口状態の動作説明図である。
【
図13】本発明の実施の形態例の閉口状態の全体側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図13は本発明の実施の形態例を示し、大別して、かご状本体1の前面1dに小動物Qが進入可能な進入口部2が形成され、進入口部2を開閉可能な閉込扉体3が設けられ、かご状本体1内に小動物Qにより踏圧される踏板部材4が傾動自在に配設され、閉込扉体3の開閉動作と小動物Qによる踏板部材4の傾動動作とを連動させる連動機構5が設けられてなり、上記連動機構5に上記踏板部材4と上記閉込扉体3とを連繋する連繋ワイヤ6が設けられ、連繋ワイヤ6の前方端部は上記閉込扉体3に止着連結され、連繋ワイヤ6の後方端部に踏板部材4に磁着可能な磁石MGが設けられ、踏板部材4と磁石MGとの磁着により連繋ワイヤ6は緊張状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kに保持し、踏板部材4の傾動動作により磁着力に抗して磁石MGが踏板部材4から離反したとき連繋ワイヤ6は弛緩状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作させる開閉機構Kが設けられ、閉込扉体3の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構Dを備えて構成している。
【0011】
この場合、上記かご状本体1にあっては、
図1、
図2、
図4、
図5の如く、底面体1a、左右の側面体1b・1b及び上面体1cは複数本の線材Wにより格子枠状に形成され、上面体1cの後側に持ち手Tが起倒自在に設けられ、かご状本体1の前面1dに小動物Qが進入可能な進入口部2が形成され、進入口部2を開閉可能な複数本の線材Wにより格子枠状に形成された閉込扉体3が設けられ、かご状本体1の後面1eに小動物Qを取出可能な取出口部7が形成され、取出口部7を開閉可能な複数本の線材Wにより格子枠状に形成された取出扉体8が設けられている。
【0012】
この場合、上記閉込扉体3にあっては、
図2、
図3、
図6の如く、上記進入口部2を開閉可能な大きさに形成され、閉込扉体3の上辺杆部3aを進入口部2の開口上辺杆部2aにリング状の枢着部Mにより連結し、枢着部Mを支点として閉込扉体3を水平開口状態3Kと垂直閉口状態3Hとに開閉動作自在に設けて構成している。
【0013】
又、上記閉口保持機構Dとして、上記かご状本体1の前面1dに上記閉込扉体3の開口動作を阻止又は許容可能な押さえ杆Fが上下移動自在に配設され、この場合、
図2の如く、かご状本体1の前面1dに進入口部2の開口左右辺部に沿って左右一対のガイド杆G・Gを縦設し、ガイド杆G・G間に押さえ杆Fを垂直閉口状態3Hにおいて上下移動自在に係合し、
図6の如く、ガイド杆G・Gに対する押さえ杆Fの相対位置を上記枢着部Mを中心とする閉込扉体3の水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hへの閉口動作に伴ってガイド杆G・G間の押さえ杆Fが自重により上方位置から下方位置へと下降移動可能な位置に配置し、自重により下方位置に移動した押さえ杆Fにより閉込扉体3の前面を押さえて進入口部2を閉口保持するように構成している。なお、上記閉口保持機構Dとして、かご状本体1と閉込扉体3との間に閉込扉体3の開口動作を阻止又は許容可能な引張バネを掛架する構造を採用することもできる。このバネ構造の場合、閉込扉体3が瞬時に閉口することによりかご状本体1と閉込扉体3とが衝接し、この衝接による衝撃音及びかご状本体1の振動により捕獲された迷い猫等の小動物Qを驚かせてしまうおそれがある。
【0014】
又、上記踏板部材4にあっては、金属等の磁着可能な強磁性体からなり、上記かご状本体1内に傾動自在に配設され、この場合、
図5、
図8、
図12の如く、踏板部材4は踏板枠4aの上面に踏板材4bを固着して形成され、踏板部材4の前辺部に貫通穴4cを複数個形成し、貫通穴4cとかご状本体1の底面体1aを形成する線材Wとしての支点杆4dとを軸受リング4eにより枢着連結し、踏板部材4の後辺部に踏板部材4をかご状本体1の外方位置から傾動操作可能な摘子杆4fを突設し、支点杆4dを傾動中心Sとして踏板部材4を傾動自在に設けて構成している。
【0015】
5は連動機構であって、上記閉込扉体3の開閉動作と小動物Qによる上記踏板部材4の傾動動作とを連動させる構造を備えてなり、この場合、
図1、
図4、
図5の如く、上記連動機構5に上記踏板部材4と上記閉込扉体3とを連繋する連繋ワイヤ6がかご状本体1に前後方向に進退移動自在に設けられ、連繋ワイヤ6の前方端部は上記閉込扉体3の下部に止着連結され、連繋ワイヤ6の後方端部に踏板部材4に磁着可能な磁石MGが設けられ、踏板部材4と磁石MGとの磁着により連繋ワイヤ6は緊張状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kに保持し、踏板部材4の傾動動作により磁着力に抗して磁石MGが踏板部材4から離反したとき連繋ワイヤ6は弛緩状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作させる開閉機構Kを備えて構成している。
【0016】
この場合、
図2、
図6の如く、上記開閉機構Kとして、上記閉込扉体3の前面に係止杆部9を配設し、係止杆部9の上記水平開口状態3Kにおける前後方向(垂直閉口状態3Hにおいて上下方向)の引出位置を調節自在に配設し、上記係止杆部9に緊張状態の連繋ワイヤ6が接触係止して閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持可能に設けて構成され、この場合、
図2の如く、上記閉込扉体3の前面に左右一対の軸受筒3b・3bを固定し、軸受筒3b・3bに上部杆9a及び左右一対の側杆9b・9bからなる門形状の前側の持ち手Tを兼ねた係止杆部9の左右一対の側杆9b・9bを遊嵌挿し、しかして、門形状の係止杆部9を上記閉込扉体3の水平開口状態3Kにおいては前後方向に移動自在に挿通し、
図1、
図2の如く、閉込扉体3の前面下部に連結杆3cを固着し、連結杆3cに連繋ワイヤ6の前方端部を留具6aにより止着連結し、
図1、
図4の如く、連繋ワイヤ6の後方端部に踏板部材4に磁着可能な磁石MGを留具6bにより止着し、しかして、閉込扉体3の垂直閉口状態3Hにおいては、
図1、
図3の如く、連結杆3cに止着連結された連繋ワイヤ6の前方端部から閉込扉体3の前面と上記下方位置の押さえ杆Fとの間、下降状態の係止杆部9の上部杆9aの前方位置、閉込扉体3の上辺杆部3aの前方位置、上記進入口部2の開口上辺杆部2aの前方位置、及び、かご状本体1の上面体1cの上方位置を経由してかご状本体1の後部位置においてかご状本体1の内部に垂下され、垂下された連繋ワイヤ6の下方端部に上記踏板部材4に磁着可能な磁石MGが留具6bにより止着され、又、
図5、
図6、
図8の如く、閉込扉体3の水平開口状態3Kにおいては、連結杆3cに止着連結された連繋ワイヤ6の前方端部から上記押さえ杆Fと閉込扉体3の上面との間、閉込扉体3の上辺杆部3aの上方位置、上記進入口部2の開口上辺杆部2aの上方位置、上記調節された引出位置の係止杆部9の上部杆9aの上方位置、及び、かご状本体1の上面体1cの上方位置を経由してかご状本体1の後部位置において内部に垂下され、垂下された連繋ワイヤ6の後方端部に上記踏板部材4に磁着可能な磁石MGが留具6bにより止着して構成されている。
【0017】
しかして、この場合、
図5、
図6、
図7の如く、閉込扉体3の水平開口状態3Kの保持にあっては、上記押さえ杆Fをガイド杆G・Gにより上方位置に移動させて閉込扉体3の上向き開口動作を許容し、上記開閉機構Kにより上記閉込扉体3を上記枢着部Mを中心として上向き開口動作させて進入口部2を開口し、
図6、
図7、
図8の如く、閉込扉体3の水平開口状態3Kにおいて、踏板部材4に連繋ワイヤ6の後方端部の磁石MGを磁着し、上記軸受筒3b・3bにより上記係止杆部9のかご状本体1の前後方向の引出位置を調節し、上記閉込扉体3の開閉動作の中心としての上記枢着部Mを支点とする閉込扉体3の閉口動作の
図6中の時計回りの力のモーメントと上記閉込扉体3の水平開口状態3Kにおいて上記緊張状態の連繋ワイヤ6が上記引出位置が調節された上記係止杆部9の上部杆9aに接触している接触位置Pにおける閉口動作に抗する
図6中の反時計回りの力のモーメントとの釣り合い、及び、接触位置Pにおける緊張状態の連繋ワイヤ6と接触位置Pにおける閉口動作に抗する力とに起因する連繋ワイヤ6と係止杆部9の上部杆9aとの摩擦力により閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持することになる。
【0018】
すなわち、例えば、上記係止杆部9の枢着部Mから上記接触位置Pまでの距離が短か過ぎると、閉込扉体3の閉口動作の時計回りの力のモーメントが、接触位置Pにおける閉口動作に抗する力による反時計回りのモーメントよりも大きくなり、緊張状態の連繋ワイヤ6により係止杆部9の上部杆9aを押圧保持することができず、連繋ワイヤ6の緊張状態を保持できず、閉込扉体3を水平開口状態3Kに保持できないことになる。このため、磁石MGと踏板部材4との磁着力の大きさによっては、上記釣り合い、上記抗力及び上記摩擦力を考慮して、上記係止杆部9を軸受筒3b・3bとの遊挿通により上記連繋ワイヤ6の緊張状態を保持可能な上記接触位置Pに引出して位置調節する必要がある。なお、磁石MGと踏板部材4との磁着力が十分に大きい場合には、上記係止杆部9の引出位置を調節せずに、閉込扉体3を枢着部Mにおける水平位置より上向きにさらに開口動作しておくことにより連繋ワイヤ6の張力だけで閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持することができ、磁石MGが踏板部材4から離反して連繋ワイヤ6が弛緩状態になるとスナップアクション動作を伴って閉込扉体3は水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作することになる。なお、この場合、上記軸受筒3b・3bにより上記係止杆部9のかご状本体1の前後方向の引出位置を調節自在としているが、閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持することができる位置に、予め上記係止杆部9を閉込扉体3に位置固定しておくことにより引出位置の調節が不要となる構成とすることもできる。
【0019】
この場合、
図1の如く、上記閉込扉体3の開閉動作に伴う上記連繋ワイヤ6の進退移動を案内する複数個の案内ローラR・・、この場合、三個の案内ローラR・・がかご状本体1の上面に配設されている。
【0020】
また、上記取出口部7及び取出扉体8にあっては、
図4、
図9、
図10、
図11の如く、上記かご状本体1の後面1eの取出口部7の左右開口両側部に平断面コ状のガイド枠板7a・7aを上下方向に固着し、ガイド枠板7a・7aのコ状溝7b・7b内に取出口部7を覆う板状にして線材Wにより網板状に形成された取出扉体8が上下に開閉移動自在に設けられ、一方のガイド枠板7aに規制杆7cをバネ7dにより進退自在に配設し、バネ7dに抗して規制杆7cを引動して取出扉体8の線材Wの格子内から規制杆7cを引き抜いて取出扉体8の上下開閉移動を許容し、取出扉体8を引上移動して取出口部7を開口した状態でバネ7dにより規制杆7cを取出扉体8の線材Wの格子内に挿入し、取出扉体8の線材Wと規制杆7cとの係止により取出扉体8を上方位置に開口保持するように構成している。
【0021】
この実施の形態例は上記構成であるから、
図5、
図6、
図7の如く、上記閉口保持機構Dにより閉込扉体3の開口動作を許容し、この場合、押さえ杆Fをガイド杆G・Gにより下方位置から上方位置に移動させて閉込扉体3の上向き開口動作を許容し、上記開閉機構Kにより上記閉込扉体3を上記枢着部Mを中心として上向き開口動作させて進入口部2を開口し、
図6、
図7、
図8の如く、閉込扉体3の水平開口状態3Kにおいて、踏板部材4に連繋ワイヤ6の後方端部の磁石MGを磁着し、この場合、上記軸受筒3b・3bにより上記係止杆部9のかご状本体1の前後方向の引出位置を、上記連繋ワイヤ6が緊張状態を保持して閉込扉体3の水平開口状態3Kを保持可能な接触位置Pとなるように調節し、これにより、
図5の如く、上記踏板部材4と磁石MGとの磁着により連繋ワイヤ6は緊張状態を保持して閉込扉体3は水平開口状態3Kに保持され、かご状本体1内に小動物Qの好物である餌Eを踏板部材4の後方位置に配置して捕獲に備えて待機することになる。
【0022】
この待機状態において、
図5の如く、小動物Qが進入口部2から進入して小動物Qが踏板部材4を踏圧すると、小動物Qの重量により踏板部材4は上記傾動中心Sを中心として傾動し、
図12の如く、踏板部材4の傾動により磁石MGと踏板部材4との磁着力に抗して磁石MGが踏板部材4から離反したとき、連繋ワイヤ6は弛緩状態となって閉込扉体3は水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作することになり、踏板部材4の閉口動作に伴い上記閉口保持機構Dとしての上記押さえ杆Fはガイド枠G・Gにより上方位置から下方位置へと自重で追従して下降落下移動し、押さえ杆Fの下方移動により閉込扉体3の前面を押さえ杆Fが押さえて閉込扉体3の枢着部Mを中心とする不測の上向き開口動作を阻止し、かご状本体1内に小動物Qが閉じ込められて捕獲されることになり、捕獲後、かご状本体1の後面1eの取出扉体8を上昇開口動作し、小動物Qを取出口部7から取り出すことになる。
【0023】
したがって、上記閉込扉体3の開閉動作と小動物Qによる踏板部材4の傾動動作とを連動させる連動機構5として、
図1、
図4、
図5の如く、上記踏板部材4と上記閉込扉体3とを連繋する連繋ワイヤ6がかご状本体1に前後方向に進退移動自在に設けられ、連繋ワイヤ6の前方端部は上記閉込扉体3の下部に止着連結され、連繋ワイヤ6の後方端部に踏板部材4に磁着可能な磁石MGが設けられ、踏板部材4と磁石MGとの磁着により連繋ワイヤ6は緊張状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kに保持し、踏板部材4の傾動動作により磁着力に抗して磁石MGが踏板部材4から離反したとき連繋ワイヤ6は弛緩状態となって閉込扉体3を水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作させる開閉機構Kを備えて構成しているから、小動物Qの踏圧による踏板部材4の傾動動作により連繋ワイヤ6を介して閉込扉体3を確実に閉口動作させることができ、屈曲自在な連繋ワイヤ6を用いて踏板部材4と閉込扉体3とを連動させる構造であるから、連動機構5を簡素化することができると共に各種大きさのかご状本体1に対する組込の融通性を向上することができ、用途の拡大を図ることができ、かつ、閉込扉体3の開口動作を阻止又は許容可能な閉口保持機構Dを備えているから、閉込扉体3の開閉動作を確実に行うことができる。
【0024】
又、この場合、
図2の如く、上記閉口保持機構Dとして、上記かご状本体1の前面1dに上記閉込扉体3の開口動作を阻止又は許容可能な押さえ杆Fを上下移動自在に配設して構成しているから、押さえ杆Fの下方位置から上方位置への移動により閉込扉体3の開口動作を許容することができ、上記閉込扉体3の閉口動作に伴って上記押さえ杆Fが自重により上方位置から下方位置へ下降移動することにより上記閉込扉体3の開口動作を阻止することができ、閉込扉体3の開閉動作を確実に行うことができ、又、この場合、
図6、
図7の如く、上記開閉機構Kとして、上記閉込扉体3の前面に係止杆部9を配設し、係止杆部9に緊張状態の連繋ワイヤ6が接触係止して閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持可能に設けてなるから、上記閉込扉体3の開閉動作を確実に行うことができ、又、この場合、
図1の如く、上記開閉機構Kとして、上記閉込扉体3の前面に係止杆部9を配設し、係止杆部9の上記水平開口状態3Kにおける前後方向の引出位置を調節自在に配設し、係止杆部9に緊張状態の連繋ワイヤ6が接触係止して閉込扉体3を水平開口状態3Kに静止保持可能に設けてなるから、上記閉込扉体3の開閉動作を確実に行うことができる。
【0025】
さらに、この場合、
図1の如く、上記閉込扉体3の開閉動作に伴う上記連繋ワイヤ6の進退移動を案内する案内ローラRを配設してなるから、連繋ワイヤ6を円滑に案内することができ、踏板部材4の傾動動作と閉込扉体3の開閉動作とを確実に連動させることができ、閉込扉体3の開閉動作を確実に行うことができ、確実に小動物Qを捕獲することができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、押さえ杆F、磁石MG、開閉機構K、案内ローラR、閉口保持機構D、かご状本体1、踏板部材4、連動機構5、連繋ワイヤ6、係止杆部9等の構造は適宜変更して設計される。
【0027】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0028】
Q 小動物
F 押さえ杆
MG 磁石
K 開閉機構
R 案内ローラ
D 閉口保持機構
1 かご状本体
1d 前面
2 進入口部
3 閉込扉体
3K 水平開口状態
3H 垂直閉口状態
4 踏板部材
5 連動機構
6 連繋ワイヤ
9 係止杆部
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
この待機状態において、
図5の如く、小動物Qが進入口部2から進入して小動物Qが踏板部材4を踏圧すると、小動物Qの重量により踏板部材4は上記傾動中心Sを中心として傾動し、
図12の如く、踏板部材4の傾動により磁石MGと踏板部材4との磁着力に抗して磁石MGが踏板部材4から離反したとき、連繋ワイヤ6は弛緩状態となって閉込扉体3は水平開口状態3Kから垂直閉口状態3Hに閉口動作することになり、
閉込扉体3の閉口動作に伴い上記閉口保持機構Dとしての上記押さえ杆Fはガイド枠G・Gにより上方位置から下方位置へと自重で追従して下降落下移動し、押さえ杆Fの下方移動により閉込扉体3の前面を押さえ杆Fが押さえて閉込扉体3の枢着部Mを中心とする不測の上向き開口動作を阻止し、かご状本体1内に小動物Qが閉じ込められて捕獲されることになり、捕獲後、かご状本体1の後面1eの取出扉体8を上昇開口動作し、小動物Qを取出口部7から取り出すことになる。